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ヤンデレの小説を書こう!Part37

1 :名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 22:08:56 ID:6+oisVfH
ここは、ヤンデレの小説を書いて投稿するためのスレッドです。

○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど)
○ぶつ切りでの作品投下もアリ。

■ヤンデレとは?
 ・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。
  →(別名:黒化、黒姫化など)
 ・転じて、病ん(ヤン)だ愛情表現(デレ)、またそれを行うヒロイン全般も含みます。

■関連サイト
ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫 @ ウィキ
http://www42.atwiki.jp/i_am_a_yandere/

■前スレ
ヤンデレの小説を書こう!Part36
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1284253470/

■お約束
 ・sage進行でお願いします。
 ・荒らしはスルーしましょう。
  削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
  削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。

■投稿のお約束
 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
 ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。
 ・版権モノは専用スレでお願いします。
 ・男のヤンデレは基本的にNGです。

2 :名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 22:20:00 ID:Y4HLcFMA
>>1

3 :名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 22:25:25 ID:U4CXk7kO
>>1一乙
もうPart37か・・・

4 :名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 23:12:14 ID:IVrIR6M/
>>1
お疲れ様です!!
さぁ、最初に上がる作品はどれかな?

5 :名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 23:40:49 ID:Dzlbzgc/
>>1
乙です

6 :名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 00:48:25 ID:dAxLcOwu
>>1
乙です

7 : ◆Uw02HM2doE :2010/09/28(火) 01:59:15 ID:Z38Oz+x4
>>1
乙です!投下ペースが落ちてしまいましたがリバース13話、投下します。
今回はかなり長くなってしまいました。申し訳ありません。

*作中に逆レイプがあるので苦手な方は閲覧をお控えください。

8 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/09/28(火) 02:00:18 ID:Z38Oz+x4
修学旅行三日目。
天気は今までの二日間と打って変わってどんよりとした雲で覆われている。
厚い雲が今日は雨が降るということを俺達に知らせていた。
「白川君!大丈夫かい?」
廊下で佐藤先生に話し掛けられる。そういえば昨日は先生の前で突然倒れたんだっけ。
「はい。昨日はいきなりすいませんでした」
「いやいや、白川君が無事なら良かったよ!今日も無理そうだったら遠慮せずに言ってね」
「ありがとうございます」
佐藤先生のおかげで俺は記憶を取り戻せるかもしれない。
今はとにかく放課後が待ち遠しかった。だからかもしれない。
もしくは周りが全く見えてなかったのだろう。
「…………」
大和さんが濁った目でこちらをずっと見ていることに、俺は気付かなかった。



昼休み。
いつもは英と亮介と一緒に昼飯を食べるが、今日は誘いを断って一人屋上に来ていた。
二人は何も聞かずに俺を行かせてくれた。持つべきものは友達、といったところだろうか。
屋上はこの天気のせいか人っ子一人いなかった。一人で考え事をするにはちょうど良いのかもしれない。
「はぁ……」
鉛色の空を見つめる。まるで自分の胸中をぶちまけたような色合いだ。
「雨、降らないでくれよ」
もし雨が降ったらきっとライムさんはあの公園には来ない。
そうなると明日は昼前には帰るため、もう彼女とは会えなくなる。それだけは避けたかった。
「……"リバース"」
昨日からずっと考えている。
あの夢で鮎樫らいむが出した問題。果たしてあの時の俺は解けたのか。
「……一体どういう意味なんだ?」
真っ先に思い付いたのは"逆"という意味。でも何を逆にするんだ。
あの夢では名前について話していた。だからてっきり逆から読めばどうにかなると思ったんだが……。
「むいらしかゆあ……。ドラクエの呪文かよ」
全く意味を成さない。やはり考え方自体を変える必要があるようだ。だけどその方向性が分からない。
そもそもただの夢をこんなに真に受ける必要があるのだろうか。
「今日もありがとね」
俺が寄り掛かっている給水塔の反対側から声が聞こえてきた。
「気にすんなって。俺とお前の仲だろ」
「うん……。それじゃあ頂きます」
どうやら給水塔の陰に俺以外の生徒がいたようだ。
こんな天気の日に屋上で昼飯とは、俺と同じく変わり者なのだろう。給水塔に寄り掛かりながら話に耳を傾ける。
「……美味しい!相変わらず料理上手だね」
「まあな。元々ウチは海外事業で両親いなかったしさ」
よくいるカップルの会話に聞こえるが、何故か違和感を覚える。
話からしてどうやら男子が女子に弁当を作ってきているらしい。
「気のせいか……」
確かにそれも珍しいのだが、もっと根本的な何かが狂っているような……。
「……残念だったね、生徒会長さん。助からなかったんでしょ?」
「……あ、ああ。通り魔とか……信じられないよ」
落胆を隠しきれない男子の声とは対照的に女子の声は嬉しそうだった。
……いや、嬉しそうなわけないだろ。今の脈絡からしてどうやら西桜の生徒会長さんが亡くなったようだ。
誰か、それも身近な人が亡くなって喜ぶ奴が何処にいるっていうんだ。
「……会長さんがいなくなって、寂しい?」
「……灯(アカリ)がいてくれたら、俺はそれでいいよ」
「ありがとう。大好きだよ、蛍(ケイ)」
男子の抑揚のない声。それでも女子は嬉しそうだった。
寒気がする。天気のせいじゃない。ただこの給水塔を挟んだ反対側で起こっていることがあまりにも恐ろしい、本能的にそう感じた。
「……そろそろ戻るか。もうすぐ予鈴だしな」
自分に言い聞かせてその場を去る。
すぐ身近にある非日常。それを認めたくはなかった。
認めてしまえばこれから俺に起こることも認めてしまいそうだったから。

9 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/09/28(火) 02:05:36 ID:Z38Oz+x4
放課後。やはりと言うべきか雨が降り出していた。それでも僅かな望みにかけて公園へと走る。
途中まで走って教室に傘を忘れたことを思い出したが、時間が惜しいので諦めて走り続けた。
「はぁはぁ…!」
20分程走り続けてようやく公園に辿り着く。公園に着いた時には、既に雨が本格的に降っていた。
こんな雨の中ライムさんがいるとは思えない。それでもほんの僅かな望みに賭けて青いベンチを目指す。
「……いない、か」
青いベンチには誰もいず、地面には水溜まりが出来始めていた。
分かってはいたが、やはりいないと落ち込む。せっかく何かが分かりそうなのに。
「あら、こんにちは」
「あ……」
いきなり木陰から出て来たライムさんに思わず呆然とする。水玉柄の傘を差す彼女はヨーロッパの貴族のような雰囲気を醸し出していた。
「えっと、白川…君だっけ?ずぶ濡れだけど大丈夫?」
「え、あ、はい。……会えた」
ライムさんに言われた通り俺は全身ずぶ濡れだ。だけど今はそんな些細なことは関係ない。
会えたんだ、彼女に。本当に良かった。後は彼女に聞けば良い。そうすれば何か分かるはずなんだ。
「あの、ライムさん!実は聞きたいことが」
「あっ!来た!」
「ある……えっ?」
いきなりライムさんが走り出す。その先にはスーツを来た一人の男がいた。
「お帰り、亙(ワタル)!」
「ただいま、ライム」
亙と呼ばれたその男はライムさんを抱き寄せて――
「んっ……」
そのままキスをした。あまりの超展開に俺はただ二人を見つめるしかない。
雨の中抱き合う二人は何故かとても幻想的で、彼らとその周りだけが別世界のように感じた。
やがてライムさんが惜しむように離れると男がこちらに近付いて来る。歳は20代前半で佐藤先生とあまり変わらない感じだ。
少し長めの黒髪に端正な顔立ちだが、表情は強張っており俺を警戒していることが分かった。
「え、えっと俺!」
とりあえず誤解されているならば何とかしなくてはならない。そう思い口を開いたが先に男が俺に話し掛けた。
「…鍋、好き?」
「……はい?」
男の右手にはスーパーの袋があり、その袋からねぎの先っぽが出ていた。



公園から5分程歩いた所にライムさんと先程の男、遠野亙(トオノワタル)さんの住んでいる家があった。
「はい、タオル。拭かないと風邪引くよ?」
「あ、ありがとう……ございます」
そして何故か俺は彼らの家にお邪魔していた。というか亙さんに鍋に誘われたといったところだろうか。
「亙、後ちょっとで出来るからね!」
「はいよ」
台所ではライムさんが晩御飯の支度をしている。鼻歌交じりに料理する彼女は、まさに新妻といった感じだ。
リビングでは亙さんと俺が座って身体を拭いていた。
「急に降られちゃってね。やっぱり天気予報は信じなきゃ駄目だな」
「あ、はい……」
こうなったら亙さんでもいい。"鮎樫らいむ"について知っていることを聞き出さないと。
「あ、あの亙さん!実は聞きたいことがあって……」
「俺に聞きたいこと?……初対面だよね、俺達」
「す、すみません。でもどうしても聞きたいんです!鮎樫ら――」
本当は"鮎樫らいむ"まで、言うつもりだった。だけど"鮎樫"という単語を言った瞬間、亙さんが急に立ち上がった。
俺を見つめる冷たい目につい口を閉ざす。何故か分からないが"鮎樫らいむ"はこの空間では発していけない単語のような気がした。
「ライム、白川君が公園に忘れ物をしたらしいから、一緒に取りに行ってくる」
「……本当に?」
台所にいると思っていたライムさんが急に亙さんの背中から顔を覗かせる。
両手は彼を拘束するかのように腰に回されていた。そんなライムさんにも動じることなく亙さんは答える。
「ああ、勿論。俺が愛しているのはライムだけだから」
「……うん。分かったよ。早く帰って来てね?」
「了解。じゃあ行こうか白川君」
「……あ、はい」
亙さんに連れられる形で家を出る。ライムさんの視線はこの際気にしないようにした。

10 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/09/28(火) 02:07:30 ID:Z38Oz+x4

雨の中を歩くスーツ姿の男性と学生服の少年。端から見れば親子にでも見えるのだろうか。
やがて俺達は公園近くの喫茶店に入った。
店内はこの雨のせいか閑散としているが、こじんまりとした雰囲気はどことなく"向日葵"に似ていた。
亙さんが店員に慣れた口調で注文をする。どうやら彼はこの店の常連のようだ。
「ここ、俺のお気に入りなんだ。昔よく行った喫茶店に似ていてね」
「そうなんですか。俺も好きです、こういう感じ」
ちょうど珈琲が来たので飲んでみる。癖になりそうな苦さも"向日葵"そっくりだった。
まさか向日葵二号店かと思い、ついてきたナプキンに店名が書いていないか探す。
書いてあった名前は"tournesol(トゥールヌソル)"だった。
フランス語かロシア語だろうか。とにかく向日葵ではないようだ。
……まあそんな偶然あるわけないのだが。
「……急に連れ出してすまないね。でも禁句なんだ。ライムの前で"鮎樫らいむ"は」
「そうなんですか。でもライムさんは……」
確か俺の見た夢、そして佐藤先生の発言からもライムさんが"鮎樫らいむ"のはずだ。
「……ああ、ライムは確かに半年前まで"鮎樫らいむ"というアイドルだったよ」
「じゃあ何で……」
やはりライムさんは半年前引退したアイドル、"鮎樫らいむ"だった。じゃあ一体どういうことだ。
「……ライムはね、記憶喪失なんだ。アイドルとしての"鮎樫らいむ"の記憶は、今のライムにはない」
「記憶……喪失…」
記憶喪失。奇しくも俺と同じ症状だ。
……偶然、だよな。いやそうに決まっている。
「だから今のライムには……彼女の記憶を刺激するような単語は聞かせないようにしてる」
「そう…ですか」
窓の外を見つめる亙さんは何処か悲しそうだった。
本当は何故記憶喪失になったのか、それも聞きたかったが止めた。何となく聞いてはいけない気がしたから。
「……白川君はライムのファン?」
「いや、俺は知りたいんです。"鮎樫らいむ"の名前の由来を」
ライムさんは記憶喪失だ。ならばもう亙さんしかいない。
彼ならばどうして"鮎樫らいむ"という名前が生まれたのか、知っているかもしれない。
「名前の由来?何でそんなものを」
「お願いします!知っていること、何でも良いんです!」
思わず店内にも関わらず叫んでしまった。
亙さんは一瞬驚いたようだったがすぐに難しい顔をして、何かを考えている。
「……亙さん、俺!」
「まあ落ち着きなよ、白川君」
亙さんの言葉で始めて自分が身を乗り出していることに気がつく。
何事かと店員が顔を覗かせていたので、慌てて席に着いた。
「す、すいません……」
「俺が知っていることはほんの僅かだよ。殆どの人が"鮎樫らいむ"が偽名ということも知らないわけだし。むしろ白川君がそれを知っていることが俺には不思議だな」
……確かにそうだ。普通ならば"鮎樫らいむ"の由来はおろか、それが偽名だということすら知らないはずだ。
でも「夢で見たから」などと言って信じてもらえるのだろうか。
「それは……」
「……まあお互い細かいことは言いっこ無しだな。俺がライムから聞いた話は一つだけど、それで良いなら話そうか」
「は、はい!お願いします!あ……」
また乗り出しそうになるのを抑える。落ち着け。別に焦る必要はない。
「確か……"逆"にすると、とか言ってたな」
「逆……ですか?」
「つまり"鮎樫らいむ"を逆にするんだよ」
……"リバース"か。要するにライムさんが言ったことは鮎樫らいむの言ったことと同じ意味だったのだ。
全身の力が一気に抜けそうになる。結局、降り出し。自分で答えを考えるしかないってことなのか。

11 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/09/28(火) 02:10:29 ID:Z38Oz+x4
「それなら試しました。"鮎樫らいむ"をリバースして"むいらしかゆあ"ですよね。でも意味が分からなくて」
「そうなんだよ。……リバース?」
急に亙さんが考え込む。どうしたというのだろうか。
亙さんはそのまま1分程考え込んでいたが、突然「リバースか!」と叫びメモ帳を取り出して何かを書きはじめた。
俺はそれをただ見守るしかない。やがて亙さんは満足げな顔で俺を見てきた。
「な、何か分かったんですか?」
「……ああ。この謎が解けたよ」
何処かの推理小説にでも出て来そうな台詞を言う亙さん。しかし今の俺にはそんな些細なことは気にならなかった。
「ほ、本当ですか!?」
「まあね。まず"鮎樫らいむ"を平仮名で書いてみて」
亙さんにメモ帳とペンを貸してもらい、そこに
『あゆかしらいむ』
と平仮名で書く。
「出来ました」
「そうしたらそれをローマ字にしてみて」
「ローマ字……ですか?」
「ああ、なんたって"リバース"だからね。平仮名ではなく、ローマ字にするべきなんだ」
亙さんに言われた通り、『あゆかしらいむ』を
『ayukashi raimu』
とローマ字にする。一体これで何が分かるんだ?
「あ、"shi"は"h"を抜かして書いて」
「えっと……分かりました」
よく分からないが今は亙さんの指示に従おう。確かここを変えるから……
『ayukasi raimu』
こうなるな。……あれ?
「ま、まさか……」
「気付いたかい?後はこれを"リバース"。逆から読むだけだ」
逆から読む。つまり"リバース"すると
『umiar isakuya』
……これは。そういうことだったのかよ。
「いやぁ、一年越しの謎が解けてすっきりしたよ。ありがとう白川君」
「ま、待ってください!つまり…この名前って」
「ああ。"鮎樫らいむ"の由来はこの人の名前をローマ字にして逆から、つまりリバースしたものだったんだ」
「……この人、えっと…うみあ――」
瞬間頭に激痛が走り目の前が真っ白になる。あまりの痛さに目を閉じる。
「っ!!な、何だ……!?」
少しずつ痛みが引いてきたので目を開けると、そこは一面真っ白だった。

「……な、何だここ…」
「間に合ったみたいね」
振り向くとそこには腰ほどもある長い黒髪に真っ赤なワンピースを着た鮎樫らいむ……いや、鮎樫らいむ"だった"奴が立っていた。
「ここは何処だ?俺は確か喫茶店に……」
「安心して。ここは要の意識の中だから。用が済んだらすぐに帰してあげる」
微笑みながら彼女が近付いてくる。いや、こないだのあの夢と同じ意地悪そうな笑みを浮かべていた。
「……一つ良いか?」
「何かな?」
「お前、本当は"鮎樫らいむ"じゃないよな」
「……いきなり直球来たね。要のそういうとこ、嫌いじゃないけど」
彼女が近付くのを止めた。表情もさっきのような笑みを浮かべてはおらず、無表情で俺を見つめていた。

12 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/09/28(火) 02:12:01 ID:Z38Oz+x4
「ごまかすなよ。お前、本当はうみあ」
「待って!」
急に大声で俺を制止する彼女。思わず口を閉ざす。一体何だって言うんだ。
「……要は今、幸せ?」
「えっ?」
「要が記憶を失ってから3、4ヶ月経ったよ。最初は分からないことだらけでその後もトラブル続きだったね」
「……ああ」
いきなり彼女は語り出す。まるで俺の今までの生活を全て見ていたような口ぶりだ。
「でも要は諦めなかった。それどころか周りを変えちゃうくらい、要は頑張ったよね」
「…………」
何なんだろう。どう考えてもおかしい。彼女の言っていることは確かに正しい。
正しいのだが何故全てを把握することが出来るのだ。
勿論、適当に言っている可能性もなくはない。
しかしどうしても彼女の言葉には何か確信があるように感じる。そしてその言葉を聞き流せない自分がいた。
「妹さんとも仲直りしたし、会長さんや春日井さんのことだって何とかなる。このまま何も思い出さずに暮らせば、要がずっと待ち望んでいた"平穏"が手に入るんだよ」
「お、おい……」
彼女は泣いていた。泣きながらも俺に訴えかける。泣いている彼女を見るのは初めて会う時以来で、何故か胸が締め付けられた。
……いや、待て。何故知っているんだ。彼女には潤や会長、遥のことは話していないはず。
何でそんなこと、彼女が知っているんだ。一気に色々なことが起きたせいで混乱する。
「要は……それでも記憶を取り戻したいの?」
「ち、ちょっと待て。俺が記憶を取り戻したら……何か起きるのか」
「……ううん。元に戻るだけだよ。何もかもね」
意味が分からない。彼女は"鮎樫らいむ"じゃない。彼女の本当の名前を言うだけだ。
なのに、なのにどうしてこんなにも彼女はそれを止めようとするんだ。
「それでも……平穏を犠牲にしても記憶を取り戻したいなら、私の名前を言って」
「……何だよ、それ。意味分かんねぇよ…」
"鮎樫らいむ"の由来が分かれば何かが変わるんじゃなかったのか。
この少女の本当の名前が分かれば何かが好転するんじゃないのか。
確かに変わるらしいが彼女の言い方だとまるで俺が悪いことを、自ら平穏を壊そうとしているように感じられる。
「少し時間をあげる。明後日の午前0時、要の家の近くにある公園で待ってる。その時に答えを聞かせて」
「お、おい!?」
途端にまた視界が真っ白になる。去ろうとする彼女の背中に手を伸ばすが――

「待てよっ!」
「……大丈夫?白川君」
「……えっ!?」
辺りを見回す。真っ白な景色は何処にもなく、先程の喫茶店に俺はいる。
目の前には亙さんがいて、心配そうに俺を見ていた。
「急に大声出して……何かあったの?」
「えっ……あ、あれ?」
何度見回しても真っ白な空間も"鮎樫らいむ"の姿もなく、俺はただ呆然とするしかなかった。

13 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/09/28(火) 02:14:22 ID:Z38Oz+x4

「色々とありがとうございました」
喫茶店を出て亙さんに向き合う。早くホテルに帰らないと夕飯に間に合わない。
「鍋は……まあライムと食べるか。それより白川君」
「何ですか?」
「俺とライムのこと、秘密にしておいてくれないか」
亙さんが俺をしっかりと見て言う。その言葉には何か決意のようなものが感じられた。
ふと思う。この人もまた、苦労してきたに違いない。そう思うと親近感が沸いて来た。
もし別の場所でこの人と会えたら、俺達はもっと仲良くなれたかもしれない。
「……分かりました」
「ありがとう」
「亙さん、何で初対面の俺なんかにこんなに親切にしてくれたんですか?」
そのまま立ち去ろうとする亙さんに俺は尋ねる。聞かずにはいられなかった。
「……似てたから、かな」
「……似てた?」
亙さんは振り返らずに続ける。
「君が、俺にね。その眼差しとか、すぐ熱くなるとことか。あ、それから右腕を骨折してるとこもかな。まあ原因は同じわけないだろうけどさ」
何故か亙さんは苦笑いをしていた。何か過去にあったのだろう。
「そんな君に先輩から一つアドバイスを」
「アドバイス…ですか」
背中を向けているので亙さんがどんな表情をしているのか分からない。
でも口調から彼が楽しそうなのは感じた。
「信じること。一度信じると決めた奴は最後まで信じる。たとえ事実がそれと違ってもね」
「信じる……こと」
亙さんの言葉はとても力強かった。
重みがあるというか経験者にしか出せない説得力がある。亙さんはライムさんを信じきったのだろうか。
「白川君には皆に認められる幸せを見つけて欲しいな」
「皆に認められる幸せ、ですか」
亙さんはどんな想いで話しているんだろうか。一体、何を想っているのだろうか。
「俺達は無理だったからね。……まあ今幸せだから良いんだけどさ」
「亙さん……」
「……そろそろ帰るわ。ライムが待ってるし。じゃあな白川君」
亙さんの背中がどんどん遠ざかって行く。何故かもう二度と会えない気がして思わず声をかける。
「亙さん!また会えますよね!?……俺、鍋好きです!」
亙さんは手を振りながら雨の中へ消えて行った。



「ただいま」
「お帰り亙!遅かったね。もう晩御飯出来てるよ」
帰ってきた瞬間、ライムに抱き着かれる。どうやらずっと玄関で待っていたようだ。
「白川君の忘れ物が中々見つからなくてさ。あ、彼時間がないからって帰ったよ」
「そう。とにかく早く食べよ?せっかくのお鍋が冷めちゃう」
「そうだな」
ライムに腕を引っ張られながら思い出す。彼、白川君のことを。
果たして彼は幸せを掴むことが出来るのだろうか。
「……信じること、か」
かつて後輩に言われた言葉。まさか誰かに言う日が来るとは。
もう会うことはないけれど、何となく俺に似ているあの少年には頑張って欲しいと思った。
「諦めんなよ、白川君」
届くはずはないけれど、それでも彼にエールを送った。

14 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/09/28(火) 02:16:32 ID:Z38Oz+x4
ホテルに帰ると既に夕飯が始まっていた。
初日と同じように黒川先生にたっぷりと叱られた後、皆に合流した。
でもあまり覚えていない。今夜で最後のホテルの夕飯も露天風呂も。"彼女"の言葉がひたすら頭の中に響いていた。

『それでも……平穏を犠牲にしても記憶を取り戻したいなら、私の名前を言って』

「……意味分かんねぇ」
思い出す度に同じ言葉を紡ぐ。何で名前を言うと平穏が壊されるんだ。
ベットの上で一人考え込む。英と亮介は修学旅行最終日の疲れからか既に眠っていた。
「……ちょっと散歩でもするか」
少し頭を冷やしたいし気分転換にもなる。せっかくだし修学旅行最後の星空だ。
まあ晴れていればだが。俺はそんな軽い気持ちでロビーに向かう。
部屋の隅にある俺の携帯にある50件以上の着信には気付かずに。
そしてその人物がロビーで待っているとも知らずに。

ロビーは降り続ける雨からか少し肌寒かった。結局散歩に行けたのは初日だけだったな。
そんなことを思いながらふと考える。
「……何か忘れているような」
そう。確か誰かと何かの約束を――
「こんばんは、白川君」
「っ!?」
こんな夜中に、しかもロビーに人がいるなんて思っていなかったため思わず声を出しそうになる。
ゆっくり振り向くとそこには
「……大和さん?」
「よく分かったね」
いつものように瑠璃色のポニーテールを揺らしている大和さんが立っていた。
「……大和さんのポニーテールは目立つから。こんな夜中にどうしたんだ?」
「どうしたんだ……か」
大和さんはゆっくりと一歩ずつ俺に近付いて来た。異様な雰囲気がロビーを支配している。
何だ、この感じ。凄く息苦しい。まるで縫い付けられたようにその場から一歩も動けない。
「や、大和さん……?」
「……罰ゲームだよ、白川君」
「罰ゲーム……?」
大和さんの言っている意味がよく分からない。罰ゲームってどういうことだ。
「あたし、待ってたんだよ。昨日も今日も、さ」
「待ってた……あ」
確か初日に大和さんと星空を見た後、明日もよかったらって言われた気がする。
……まさかずっと俺を待っていたのか。
「大和さんゴメン!俺……」
「もう遅いよ」
頭を下げて謝る俺の首筋に冷たい感触が――
「えっ?」
「おやすみ、白川君」
次の瞬間、バチバチと景気の良い音がロビーに響き俺の意識はそこで途切れた。



「もし生まれ変われるとしたら、何になりたい?」
俺の横で布団の中から顔だけを出して、彼女は言った。
「生まれ変わったら……忘れたい、かな」
「忘れたい?」
彼女はきょとんとした顔でこちらを向く。そんな些細な仕草も愛らしかった。
このまま何も考えずに彼女と……いや、結局それは何の解決にもならない。
「ああ。もし生まれ変われるなら……生まれ変わらなくてもいい。ただ忘れたい。嫌なこと、全部さ」
「……そっか」
彼女は俺をそっと抱きしめてくれた。
こんな小さな身体の何処にあんな力があるのか。間違いなく世界七不思議の一つだろう。
「***は生まれ変わったらどうするんだ?」
「私はね……生まれ変わったら――」

15 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/09/28(火) 02:17:47 ID:Z38Oz+x4

「…………」
目の前にはホテルの天井。
そっか俺、寝ちゃっていたんだな。また変な夢を見たなと思いながら起き――
「……あれ?」
起きられなかった。よく見るとロープによって手足が固定されている。何だこの状況は。
というかそもそも俺はロビーにいたはずじゃないのか。
「白川君、起きたんだ」
「あ、大和さん。このロープ……」
いや、落ち着け。俺は大和さんに何かされたんじゃなかったか。
そもそも何で目の前にいる彼女は全裸なんだ。
「ど、どうかな?自慢じゃないけど結構スタイル良いと思うんだけど」
「うん。…じゃなくて、な、何でそんな格好してんだよ!?つーか何だよこの状況……」
「静かにしてくれる?皆起きちゃうから。ね?」
突然目の前に出された黒い物体、スタンガンに思わず黙ってしまった。
……さっきのバチバチはこれか。周りをよく見ると他の女子生徒が何人か寝ている。
「皆よく寝てるでしょ。さっき盛った睡眠薬、効いてるみたいなの」
「睡眠薬って……こんなことしてもし誰かに知られたら!」
「レイプされたことにするよ?勿論白川君にね」
笑顔で言う大和さん。しかしその目は冷たく淀んでいた。
「……何、言ってんだよ」
「君に選択肢は無いんだよ?だってこれは罰ゲームなんだから」
「大和さ…んっ!?」
いきなりキスをされる。
大和さんの舌が俺の口に入って来た。抵抗しようとするが手足が動かせないため、どうにもならない。
俺の舌や歯茎を蹂躙した後、大和さんはやっとキスを止めてくれた。
唇からは透明な糸が俺の唇まで繋がっていて、大和さんは満足げな表情を浮かべていた。
「や、大和さん……」
大和さんは裸で俺に抱き着いてくる。豊かな感触が胸板辺り感じられ、彼女からは甘い香りがした。
「……ずっと君を見てたんだよ?」
「えっ?」
俺に抱き着いたまま、大和さんは上目遣いでこちらを見て話を続ける。
「白川君は忘れちゃったと思うけど、あたし達一年生の時も同じクラスだったんだ」
大和さんが俺を今までより強く抱きしめる。まるで自分のものだと主張するかのように。
「一目惚れ…だったのかな。理科実験で同じ班になった時から、君をずっと見てたんだよ?」
寒気がする。今日の昼休みにあの屋上で感じた狂気を、今目の前でも感じている。
「君が悪いんだよ。あたし、頑張ったのに。精一杯我慢したのに……」
そのまま身体を這わせて大和さんは俺のズボンを脱がそうとする。
「や、大和さんっ!?」
「……もう戻れないんだ。全部貰うって、決めたから」
抵抗するがそれも虚しく下半身を露出させられる。大和さんはすぐに俺のペニスをくわえた。
「くっ!?な、何だ……?」
くわえられた瞬間、下半身に異常な程の快感が与えられた。
いくら自慰じゃないからといって、ここまで感じるものなのか。
「……効いてきたみたいだね。さっき君にも注射しておいたんだ。即効性の媚薬をね」
「き、君にも?……うぁ!?」
「ふぃらふぁらふん、ふぁふぁふぃい」
おそらく「白川君、可愛い」と言ったのだろうが、俺のペニスをくわえながらなので上手く喋れないようだ。
というかこれはまずい。媚薬のせいか下半身に暴力にも等しいくらいの快感が与えられ続けている。
「うぁ!?や、大和さっ!?くぅ!」
急に身体が熱くなる。意識が朦朧として下半身の感覚だけがやけに鋭くなっていた。
「ふぃらふぁらふん……」
大和がストロークを速めて俺のペニスを舐め回す。
今までに体験したことのない快感に思わず無意識に腰を浮かせている自分がいた。
「くぅ…!?大和さん!もう……!!」
「っ!?」
止める隙もなくあっという間に精を大和さんの口へ吐き出す。
大和さんは苦しそうにしながらも、吐き出された精子を全部飲み込んでいた。

16 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/09/28(火) 02:22:14 ID:Z38Oz+x4
「はぁはぁ…!く、そ……!」
一回出せば収まると思っていたがペニスはますますいきり立ち、自分の考えが甘いことを思い知らされる。
「んっ…。ご馳走様でした。あんまり美味しくなかったけど、白川君のだもんね」
大和さんは舌で唇を舐めながら俺の上に跨がる。腹部に湿った何かが当たった。
「ふぁっ!?…い、言ったよね?"君にも"って。あたしもね、注射したんだ……」
大和さんがゆっくりと立ち上がる。陰部からは透明な糸が垂れており、瞳は潤んでいた。
「や、大和…さん……」
上手く頭が回らない。何も考えられない。意識は下半身に集中していて、ただ目の前の光景を見ている。
とにかく猛っている自分のペニスを何とかしたい。もうそれしか考えられなくなっていた。
「白川君……行くよ?」
大和さんが腰を浮かせて俺のペニスをあてがう。陰部に触れただけで強烈な快感が俺を襲った。
それは大和さんもだったようで小刻みに震えながらも、ゆっくりとそのまま腰を落としてゆく。
「んぁ……くっ…」
「ぐっ……!」
途中で何かを突き破るような感覚があった。どうやら大和さんの処女膜を破ったらしい。
大和さんは一瞬痛みからか顔を歪めたが、そのまま腰を落として俺と彼女はぴったりとくっついた。
「くぁ……あぁ……し、白川く…ん?ぜ、全部…入っ…たよ?」
「うっ…うぁ……」
あまりの快感に思考が停止する。ただ目の前の快楽を貪りたいが、手足が縛られているせいで自分では動けない。まさに性行為という名の拷問であった。
「動きたいん…だね?良いよ、ロープ…解いてあげる」
大和さんは繋がったまま俺に近付いて耳元で囁いた。
「あたしのこと……好き?」
「……えっ?」
大和さんはいつの間にかポニーテールを解いていた。意外と長い彼女の瑠璃色に染まった髪が俺の顔にかかる。
女性特有の甘い香りが俺の理性を溶かしてゆく。
「好きって…言って?言ってくれたらこのロープ、解いてあげる」
「……そ、それは」
僅かに残る俺の理性が警鐘を鳴らしている。このまま大和さんに従っていたら、取り返しがつかなくなるような気がして。
「うぁぁあ!?」
「……どうする?」
急に大和さんが腰を動かす。しかもギリギリ俺が射精出来ない程度の絶妙な加減だった。
為す術もなくただ大和さんに犯されてゆく。身体、そして精神までも。
「く、くぁぁあ!?」
「良いんだよ?我慢しなくて。だって媚薬のせいなんだから。白川君は、何も悪くないんだよ」
「…お、俺は…悪く……ない?」
溶けきった理性に大和さんの言葉が流れ込んで来る。……そうだ、これは俺の意志じゃない。仕方ないことなんだ。俺は悪くない。
「そう。……だから言って?あたしのことが好きだって」
「………好き…だ」
自分の中の何かが壊れたような気がした。大和さんは心底嬉しそうな表情をしている。
「誰が?ちゃんと言って」
「……好きです。俺は…大和さんの……ことが好き…です」
言ってしまった。でも仕方ない。これは仕方ないことなんだ。既に理性は無く、意識は下半身に集中していた。
「ふ、ふふふっ!あははははははは!!あたしも大好きだよ、白川……ううん、要君っ!!」
「あ……」
大和さんが俺の両手の拘束を解く。
それが合図だった。思考よりも身体が先に動く。自分の意志とは関係なく勝手に腰を動かしている自分がいた。

17 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/09/28(火) 02:23:18 ID:Z38Oz+x4
「ふぁ!?んああっ!!い、いいよ要くぅん!!」
「あぁぁぁあ!?大和さ」
「ま、待って!」
急に腰を浮かせて止まる大和さん。まだ焦らせるというのだろうか。もう彼女の言うことなら何でも聞いてしまいそうだ。
「"大和さん"じゃ駄目。ちゃんと"撫子"って……呼んで?」
「な、撫子……」
「よく出来ました」
そう言うと大和さん……いや、撫子は俺の両足の拘束を解く。俺には既に精を放つことしか考えられなくなっていた。
繋がったまま起き上がり、逆に撫子を押し出す。彼女の艶やかな瑠璃色の髪がベットに広がった。
「んぁ!?ひあぁぁあ!!もっとぉ!!」
ただ突く。目の前の肉に向かって何度も熱の塊を突き続ける。それ以外はもう何も考えられない。
早く、一刻でも早く精を放ちたい。段々と目の前が霞んでくる。
「あぁぁぁぁぁあ!!」
「っ!?ふあぁぁぁあ!!」
思いっ切り撫子を引き寄せて射精する。今までに経験したことのない快感に意識が薄れていく。急激な眠気が俺を襲っていた。
「んっ……要…君……これで……あたし達……」
意識を手放す直前に見えた撫子の顔は恍惚としていたが、それは黒い喜びから来ているように俺には思えた。



「…て、要君。起きて、要君」
「……ん?…撫子?」
目を開けるとそこには撫子の顔があった。そうか、俺あのまま――
「な、撫子だって!」
「おめでとう撫子!まさか両想いだったなんてね!」
「アタシも早く彼氏作んないとなぁ」
「……えっ?」
目の前の状況に頭がついていかない。
彼女達は何を言っているんだ。両想いって一体どういうことなんだ。
撫子は満足げな表情を浮かべていた。
「少し散歩しようか、要君」
「あ、ああ……」
「いきなり見せ付けるねぇ!アタシらはもう一眠りしますか」
状況が未だに理解出来ないまま、とりあえず撫子について行くことにした。

18 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/09/28(火) 02:24:16 ID:Z38Oz+x4

「やっぱり早朝の空気は美味しいね」
「………」
早朝の東雲町を俺達は歩く。新鮮な空気を吸っている内に段々と記憶が蘇ってきた。
昨日のあの、非日常を。
「……でも上手くいって良かった」
「……上手くいって?」
「ふふっ、これで状況証拠も証人もバッチリ。本当は行為中に見られたかったけどね。とりあえず添い寝にしておいたよ。それに……」
撫子は立ち止まって携帯の画面を俺に見せる。
「……どういうことだよ、これ」
「見ての通り。あたしと要君の愛の証拠だよ?」
そこには裸で絡み合う俺と撫子の映像が流れていた。
一体いつの間にこんな物が撮られていたのか。
……いや、最初から目的はこれだったのかもしれない。
「クラスメイトが寝ている目の前で性行為なんて……あたし達、バカップルだよね」
「カ、カップル?」
撫子は微笑みながらこちらに近付いて来る。思わず後ずさるが彼女は俺の耳元で昨日の様に囁いた。
「……それとも君が、あたしをレイプしたように見える?」
「なっ!?」
慌てて距離を取ると撫子は歪んだ笑みを浮かべていた。自然と冷や汗が出る。
もしかしたら俺は引き返せない所まで来てしまったのかもしれない。
そう考えた途端に、目の前の少女が怖くなる。一体彼女は俺をどうする気なのだろうか。
「別にそれでもあたしは良いよ?要君が自分の手で決めて。恋人か、それとも犯罪者か」
冷たい視線が俺を射抜く。俺が選ぶべきなのは――



こうして俺達の修学旅行は幕を閉じた。
最後に西桜高校の佐藤先生にお礼を言う。勿論"鮎樫らいむ"の話をしてくれたからだ。
当の本人はよく分かっていなかったようだが「また遊びにおいで」と言ってくれた。

「しっかしつまらなかったなぁ……」
亮介が車窓を眺めながら溜め息をつく。窓の外には行きと同じように田んぼが一面に広がっていた。
「そんなことないぞ、亮介。結構有意義だったしさ」
そう。この町は俺にとって大きな意味があった。
ライムさんや亙さんとの出会い。"鮎樫らいむ"の本当の意味。
「それは要に彼女が出来たからじゃないのかい?」
苦笑しながら俺を見る英。
俺がそれに答えるよりも早く、横に座って俺の左手ををずっと握り締めている撫子が口を開く。
「や、やめてよ藤川君!は、恥ずかしいじゃない……」
「……要、一日で良い!俺と代わってくれ!」
「亮介には耐えられないんじゃないかな……」
撫子は顔を真っ赤にして俯き、亮介と英はいつものように掛け合いをする。
そんないつもと同じ風景を見ながら俺は思う。
俺が望んでいた"平穏"はとっくに手の届かない所へ行ってしまったのではないのだろうか、と。

修学旅行を経て出来た"恋人"、大和撫子。
彼女がこれから起こる悲劇の引き金になるとは、今の俺には知る由もなかった。

19 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/09/28(火) 02:27:45 ID:Z38Oz+x4

今回はここまでです。長くなってしまい申し訳ありませんでした。
修学旅行(後編)、終了です。
次回はヤンデレ撫子と鮎樫らいむの正体です。投下終了します。

20 :名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 06:25:39 ID:3QMU2ff/
GJ!

21 :名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 11:20:43 ID:irEZZrS5
good job!! nice!!!

22 :名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 11:22:34 ID:vmz/f3rm
GJ!
鮎樫らいむってそういう意味だったのか!
もっかい読んでくる!

23 :名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 12:30:33 ID:6CE3SB9J
旧主人公来たな…クローン里奈と会ったらどうなるかな?

24 :名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 14:01:25 ID:fE4zOvAI


25 :名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 14:01:25 ID:tsgNY5r8
修学旅行先で細々と隠遁生活送ってるみたいだし遭遇予定無いんでねーの
とりあえずライムが何らかの拍子でいつか記憶が戻る事を願う

26 :sage:2010/09/28(火) 17:56:24 ID:+nUm+MA+
GJ!
リバース待ってました!要が大変過ぎる…。
鮎樫らいむの謎はまだ残ってるのか?


27 :AAA:2010/09/28(火) 20:16:43 ID:rNnIRLGW

次回も期待。

28 :名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 20:35:59 ID:d4YHp9MW
うん、感想はいいんだけど出来るだけsage進行でお願いね

29 :名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 22:20:03 ID:8uXodSgk

何気に『見えないものと視えるもの』の二人がでてるな
生徒会長さん死んだのかw

30 :名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 22:22:47 ID:qMIQ6jM0
生徒会長・・・お気の毒に

31 :名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 22:59:31 ID:1wqlTp5S
GJ
向日葵ってフランス語でtournesolって言うんだぜ…

32 :名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 23:19:14 ID:PGv/uLbC
まぁ…ただの通り魔だろうな
まさかとは思うが盲目の人間に殺せるとは思えん

33 :名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 23:28:01 ID:58SLL0sC
GJです!

キミトワタルの時に鮎樫って可愛くない
と言ってすみませんでした。
撫子は怖い娘

34 :名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 23:50:06 ID:6cnleUol
リバース来たか。次回も楽しみだ。

35 :名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 00:24:23 ID:vKOy7esv
リバース乙です。毎週楽しみにしてます。

亙もライムも里奈も桃花も出て来て、
後はいつ回文さんが出てくるか楽しみです。

36 :名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 00:32:47 ID:cI8zvtig
リバースの主役はことごとくヤンデレに好かれてうらやましぃ

37 :名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 15:38:47 ID:a+r/Q5ZS
そろそろハロウィンかトリックオアトリートで菓子を渡さないなら
子供が欲しいと言ってるヤンデレ娘を妄想してしまった
病院行ってくる

38 :名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 18:05:46 ID:pby+Ffjy
たまには小ネタも見たいのう

39 :名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 19:36:31 ID:s2pWAOXn
テスト

40 :名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 21:25:23 ID:DHXvlYpy
迷い蛾、予告では今日だが投下くるだろうか?

41 :名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 23:13:49 ID:2vLn1ejW


42 : ◆AJg91T1vXs :2010/09/29(水) 23:25:23 ID:Z8K/4nxH
 また、こんな時間になってしまった……。

 予告したからには、最後まで約束は守りたいと思います。
 今回も、文章量は少し少なめですが……。

 前回に続き、監禁・逆レイプの描写あり。
 苦手な人は避けて下さい。

43 :迷い蛾の詩 【第八部・繭破り】  ◆AJg91T1vXs :2010/09/29(水) 23:29:14 ID:Z8K/4nxH

 あれから、どれだけの時間が経ったのだろうか。
 気がつけば、この暗闇での生活に慣れつつある自分がいた。

 あの日、繭香に監禁されてからも、亮太は必死に平静を保とうと試みた。
 今は機会がなくとも、いつかはこの拘束から逃れる術が見つかるはずだ。
 そう、信じて心を強く保とうとした。

 人間は、誰もいない暗闇に三日ほど閉じ込められると、恐怖と孤独から精神を病んで発狂すると言われている。
 少なくとも、亮太は三日よりもはるかに長くこの生活に耐えていたが、それには列記とした理由があった。

 監禁しているとはいえ、繭香は亮太のことを放置しているわけではなかった。
 むしろ、暇を見つけては足しげく亮太のいる場所に通い、彼の身の回りの世話をした。
 それこそ、食事を与えることから身体を拭くこと、果ては下の世話まで、動けない亮太のためであれば何でもやった。

 自分の理性を保ってくれている存在こそが、この暗闇に自分を閉じ込めた張本人。
 奇妙な関係であると思ったが、それでも亮太は繭香の行為を拒むことはしなかった。

 今、この状況で繭香のことを拒絶すれば、それこそ自分は永遠に暗闇の中に閉じ込められかねない。
 闇に閉ざされたこの世界で生き残るには、繭香のことを頼るしかないのだ。

 自分は決して、脱出の望みを諦めたわけではない。
 全てを放棄し、人であることを止めたわけではない。
 これは、自分が自分であるために、仕方なく身を任せているだけのこと。

 幾度となく襲い来る狂気の呼び声に打ち勝つため、亮太は心の中で唱えながら自分を律し続けた。

 ここで自分まで狂ってしまえば、繭香の凶行を止める者は誰もいなくなる。
 破壊された日常から自分自身を、そして繭香のことも救い出すには、なんとか隙を見つけ、この部屋から脱出する他にない。

 湿った空気が、今日も亮太の鼻をくすぐった。
 肌にへばりつくような湿気を感じるが、そんなものに心を惑わされている場合ではない。

 繭香の話によれば、ここは彼女の家の地下室ということらしかった。
 なんでも、今は使われていない部屋の一つで、物置小屋同然に扱われている部屋だそうだ。
 扉を閉めれば中からの音は殆ど聞こえなくなるため、人を監禁するのには好都合だった。

 階段を下る足音が、今日も亮太のところへ近づいて来る。
 きっと、繭香が食事を運んできたのだろう。

「気分はどう、亮太君?」

 燭台を手に、繭香が亮太の前に立つ。
 相変わらず、こんな場所で見なければ、それだけで魅了されてしまうような笑顔を振りまいて。


44 :迷い蛾の詩 【第八部・繭破り】  ◆AJg91T1vXs :2010/09/29(水) 23:30:50 ID:Z8K/4nxH

「ねえ、亮太君。
 今日は、亮太君のために、私がご飯を作ったんだよ。
 いつもはお手伝いさんが作った残りものを持ってきているけど……やっぱり、私の作ったものを食べてもらいたから」

 言葉を返さぬ亮太に対し、繭香は一方的に自分の重いだけを告げる。
 そして、その更に盛られた料理を口にし、そのまま亮太に口移しで食べさせた。

 咀嚼された料理と共に、繭香の舌が亮太の中に入り込んで来る。
 初めは異質にしか感じられなかった繭間の行為だが、亮太はあえて、それを受け入れることにしていた。

 このまま何も食べなければ、それこそ自分は死んでしまう。
 例え、どれほど人としての尊厳を奪われようとも、ここで息絶えてしまってはどうにもならない。

 食事を与えている内に、繭香の息が徐々に荒くなってきた。
 皿に盛られた料理は既に眼中になく、その瞳はひたすらに、亮太だけを求めている。

 食事を与えている際に、気持ちが高ぶってそのまま情事に及ぶ。
 最近の繭香は、特にその傾向が強くなっていた。
 空腹も満足に満たされないまま、亮太はただ、繭香の行為に身を任せる他にない。

 この異様な空気の漂う状況下で、なぜか自分の下半身だけは素直に反応するのが不思議だった。
 繭香と身体を重ねながら、亮太はふと、何かの本で読んだ一説を思い出す。

 人は、生死に関わるような極限の状況に陥ると、性欲が異常に高まることがあるらしい。
 大きな災害に見舞われずとも、場合によっては単に貧しい暮らしをしているだけで、いつも以上に欲情することがあるようだ。

 自分が死ぬ前に、せめて少しでも多くの遺伝子を後世に伝えようという本能。
 それが、極限状況下での性欲を高めることに、一役かっているとの話だった。

 暗闇の中に監禁され、繭香の咀嚼した僅かな食事を与えられるのみの生活。
 肉体に負担がないと言えば、それは嘘になる。
 自分の身体が繭香の行為によって熱くなるのも、単に本能の成せる業に過ぎない。

(俺は、自分が死なないために、こうしているだけなんだ……。
 俺は狂っていない……。
 狂っているのは、この暗闇に閉ざされた世界の方だ……)

 繭香の指が、亮太の全身を舐めまわすようにして愛撫してくる。
 その刺激に耐えるようにして、亮太はひたすらに自分の心を律しようと努めていた。

 だが、そんな亮太の意思に反し、身体の方は否応なしに反応してしまう。
 そして、亮太のことを愛でる繭香の身体も、徐々に赤味を帯びてくる。

「今日は、ちょっと冷えるね、亮太君。
 こんな場所にいたら、寒いでしょう?
 可哀想だとは思うけど……でも、もう少しだけ我慢してね」

「可哀想って思うんなら……せめて、この縄を解いてくれよ……」

「それは、駄目だって言ったよね。
 だって、亮太君、縄を解いたら逃げ出すに決まってるもの」


45 :迷い蛾の詩 【第八部・繭破り】  ◆AJg91T1vXs :2010/09/29(水) 23:32:54 ID:Z8K/4nxH

 繭香の目が、下から覗きこむようにして亮太を見る。
 蝋燭の灯りに照らされているにも関わらず、その瞳はどんよりと淀んで光がない。
 そして、そんな灰色に濁った瞳の中に、亮太は自分の姿が閉じ込められているのを目の当たりにした。
 繭香の瞳が、まるで牢獄の役割を果たすかのように、自分のことをしっかりと捕えている光景を。

「ねえ、亮太君。
 縄を解くことはできないけど……その代わり、今日は私が温めてあげるね。
 私の身体で、亮太君のことを……たくさん、たくさん、たくさん、温めてあげる……」

 今まで亮太の下半身を撫でていた繭香の手が、すっと引いていった。
 しかし、亮太が安心したのも束の間、今度は一糸まとわぬ姿のまま、繭香が亮太の頭を彼女の胸で抱え込んできた。

「聞こえる、亮太君……。
 私の心臓の音……亮太君のことを想っていたら、今もこんなにドキドキしているんだよ……」

 胸の谷間で挟み込むようにして、繭香は亮太の頭をしっかりと抱きしめた。
 柔らかく、それでいて温かい胸の感触に、思わず亮太の理性も吹き飛びそうになる。

 繭香はあんなことを言っているが、正直な話、亮太には心臓の音など聞いている余裕などない。
 このままでは、ここから抜け出す前に、本当にこちらの方がおかしくなってしまう。

(くそっ……。
 こうなったら……)

 既に、手段を選んでいる場合ではなかった。

 亮太は自身の舌に歯を当てると、それを力いっぱい噛み締めた。
 同時に、自由に動かせる指の先を使い、掌におもいきり爪を立てる。

 口内と、それから両手にも、痺れるような痛みが走った。
 繭香の行為によって突き動かされる本能に打ち勝つには、もう自分の身体を傷つける他にない。
 自分自身に痛みを与えることで、狂いそうになる理性をなんとか繋ぎ止めるのだ。

 ここで繭香に屈してはならない。
 彼女に毒されたら、全ては終わる。
 痛みと快感のせめぎ合いの中、亮太はなんとかして繭香の行為が終わるのを待とうとした。

 だが、そんな亮太の変化に、繭香が気づかないはずもなかった。
 亮太の頭からそっと胸を離すと、その顔を撫でるようにして指を這わせる。

「亮太君……耐えてるの?
 でも、そんなことしなくていいんだよ。
 自分を傷つけてまで我慢するなんて……まだ、元の亮太君に戻ってないのかな……?」


46 :迷い蛾の詩 【第八部・繭破り】  ◆AJg91T1vXs :2010/09/29(水) 23:35:04 ID:Z8K/4nxH

 燭台の上で輝く蝋燭の火が、風もないのに揺れて見えた。

 椅子に縛られたままの亮太の膝に、繭香がそっと腰を下ろす。
 そのまま亮太のものを自分の敏感な部分に宛がうと、一気に腰を落として一つになる。

「今度は、我慢する必要はないからね。
 そんなこと……私ができないようにしてあげる……」

 そう言うと、繭香は亮太の頭を抑え、いきなり唇を重ねてきた。
 そして、口で口を塞いだまま、今度は両手を下に回す。
 後ろ手に縛られた亮太の手に、自分の指を絡ませるようにして重ね合わせた。

「んっ……んんっ……ちゅっ……」

 亮太の指を自分の指で、亮太の口を自分の口で抑え、繭香は自分の欲望を全身でぶつけてきた。
 こうなると、もう舌を噛むことも爪を立てることもできない。

 身体全身を犯されているような錯覚に陥り、亮太は自分の理性が物凄い速度で麻痺してゆくのを感じていた。
 繭香の中が自分を激しく締めつける度に、凄まじい快感が亮太の全身を襲う。
 身体の奥から溶かしつくしてしまうように、深く、温かく繋がって。

 いつしか、二人は同時に達していたが、繭香は亮太の身体から離れる様子はなかった。
 既に、自分も絶頂に達しているにも関わらず、なおも激しく身体を動かして亮太を求める。

 その、あまりに貪欲な欲求に、亮太も幾度となく繭香の胎内に精を吐き出させられた。
 それこそ、自分の生気を全て搾り取られてしまうのではないかと思う程に、半ば一方的に搾取され尽くした。

 いつも以上の激しい交わりを終え、繭香はゆっくりと亮太の膝から離れる。
 その目は未だ宙を見据え、どこか虚ろに視線を漂わせている。

「今日は……いっぱい愛してくれたね……。
 このままずっと……ずっと一緒にいようね、亮太君……」

 去り際に、椅子に縛られたままの亮太に向かい、繭香がそっと呟いた。
 亮太はそれに答えることなく、ただ暗闇の中で目を閉じている。

 階段を昇る足音が遠ざかり、繭香が部屋を出てゆくのがわかった。
 燭台の明かりは失われ、再び闇が辺りを包む。

 暗い、誰もいない、静寂だけが支配する空間。
 永遠の孤独を連想させる闇の牢獄は、その全てで亮太を飲み込まんと迫りくる。

 だが、しばらくすると、亮太の意識は徐々に鮮明なものへと戻っていった。
 繭香との行為を終え、中に溜まっていた欲望が急激に冷めたということもあったのだろう。
 それこそ、全身の煩悩という煩悩を全て吸い出される程に交わったのだから、今の自分の身体には、欲望の欠片さえ残っていないに違いない。


47 :迷い蛾の詩 【第八部・繭破り】  ◆AJg91T1vXs :2010/09/29(水) 23:36:12 ID:Z8K/4nxH

 身体の節々が痛み、思うように力が入らなかったが、心まで完全に折れたわけではなかった。

 ぎし、ぎし、と縄の軋む音がして、後ろ手に縛られた亮太の腕が激しく動く。
 連日、繭香との行為によって精を吸われていたにも関わらず、なぜこれほどまでに力が残っているのか、自分でも不思議でならなかった。

 縄目が手首に食い込み、椅子が悲鳴を上げた。
 亮太が動けば動くほど、その拘束は少しずつであるが効力を失ってゆく。

 縛り付けた時は強かった縛めも、日が経てばそれだけ弱くなる。
 その上、連日に渡る繭香との激しい結合も、縄目を緩くするのに役立った。
 生き人形のようにして繭香の行為に身を任せていたのも、全ては一度しかない脱出の機会を失わないための演技だ。

 手首を縛る縄が肉に食い込み、肌が擦り切れて強い痛みを感じた。
 それでも亮太は諦めず、ひたすらに腕を動かし続ける。

 ここで焦ってはいけない。
 焦って縄抜けに失敗すれば、脱出の機会は永遠に失われてしまう。
 そう、頭では理解していても、やはりどこかで焦りを覚えている自分がいる。

(落ち着け、陽神亮太……。
 繭香に知られたら、それで全ては終わりだ……)

 縄が擦れる音だけが、暗闇の中に響き渡る。
 その単調なリズムだけが、亮太の感覚を徐々に痺れさせ、奪ってゆく。

 痛みなど、既に気にしている場合ではなかった。
 程なくして、亮太は自分の右腕を、緩んだ縄から引き抜く事に成功した。
 手首には縄と擦れた時についた赤い痕が残り、皮が剥けて血が流れていた。

「はぁ……はぁ……。
 や、やった……」

 自由になった右手を使い、亮太はまず、自分の左手を縛る縄を解きにかかった。
 きつく結ばれているだけに、一筋縄では解けそうにない。
 が、それでもなんとか縄を解くと、最後に両脚の拘束も解き放つ。

 完全に自由になった身体を伸ばし、亮太は椅子から立ち上がった。
 時間にして、実に一週間以上は椅子に座っていたからだろうか。
 立ち上がった瞬間、身体のあちこちが悲鳴を上げて、骨が軋む音がしたような気がした。

 二歩、三歩と前に出ただけで、膝が笑って倒れそうになる。
 しかし、ここで行き倒れてしまっては、元の牢獄に逆戻りだ。

 壁に手をつき、亮太は手探りで階段を探した。
 物置代わりの地下室は、そこまで広い部屋ではない。
 脱出のための道はすぐに見つかり、亮太は足を踏み外さないよう、それを一歩ずつ昇って行く。

 扉を開けると、そこは繭香の家の廊下だった。
 今までずっと暗闇にいたため、外の明かりが妙に眩しくて敵わない。
 思わず片手で目の前を隠したが、やがて少しずつ、その明るさにも慣れていった。


48 :迷い蛾の詩 【第八部・繭破り】  ◆AJg91T1vXs :2010/09/29(水) 23:37:13 ID:Z8K/4nxH

「繭香は……いないのか?」

 足音を立てないよう注意しながら、亮太はそっと繭香の家の廊下を歩く。
 着ている制服は既に汚れきっていたが、そんなことは関係なかった。
 今は繭香に見つからないよう、この家を抜け出す事が先決なのだから。

 ふと、廊下にかけてあるカレンダーを見ると、日付は既に七月の半ばとなっていた。
 それまでの日にちには、黒いペンで大きく斜線が引いてある。
 やはり自分は、一週間以上の長きに渡り繭香に監禁されていたようだ。

 廊下を抜け、辺りに人がいないことを確かめながら、亮太は家の玄関まで出た。
 ここまでの過程で、人に出会わなかったのは奇跡に値すると言ってもよいだろう。

 もっとも、学校は既に夏休みに入っていたが、今日は平日である。
 今が日中であることを考えると、繭香の両親は仕事で出かけているのかもしれない。

 そうこうしている間に、亮太はついに家の玄関まで辿り着いた。
 ここを抜ければ、その先には外の世界。
 いつも通りの日常が待っている、壊れていない普通の世界だ。

 玄関のドアノブに手をかけ、亮太はそれをゆっくりと回した。
 靴を探して履いている暇などない。
 汚れた靴下も、既に地下室で脱ぎ捨ててしまった。

 裸足のまま、亮太は繭香の家を出るための一歩を踏み出した。
 が、次の瞬間、唐突に後ろから自分の名を呼ばれて愕然とする。

「亮太君……」

 そこにいたのは、繭香だった。
 例の、沼の底のように淀んだ瞳を携えて、亮太の方をじっと見つめている。
 その手には握られているのは、先の鋭く尖った刺身包丁。
 あの、天崎理緒を手にかけた時に使ったものと同じものだった。


49 : ◆AJg91T1vXs :2010/09/29(水) 23:40:33 ID:Z8K/4nxH
 本日は、これで投下終了です。
 以前に比べて文章量が減りましたが、話の区切れ目を考えると、仕方ありませんでした。

 次回でラスト。
 事の顛末+エピローグ的な話になる予定です。

50 :名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 23:43:34 ID:Olw+A3jL
乙です
光の速さでGJ!!
ラストに期待

51 :名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 23:48:20 ID:23qdzGhD
C

52 :名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 23:52:05 ID:hTldsz/d
先を越されたがGJ!
だけど最後はただ殺されて終わりは勘弁だな俺的には
だからといってハッピーエンドすぎるのも‥
まぁ話はもうまとまってるだろうし、来週をまつか‥‥

53 :名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 00:44:50 ID:qmNoR6YH
GJ
バッドエンドにしかならないのかな…?

54 :名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 02:14:01 ID:BLEZOyDv
妄想は腐るほどできるけど、ssという形にできない。

55 :名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 02:24:39 ID:KTxjDpS4
GJ!!
ノゾミガタタレター

56 :名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 10:49:49 ID:lXEr6xb1
GJ
今さらハッピーエンドを希望してみる。
 ……どう考えても積んでるけどな!

57 :名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 10:51:41 ID:lXEr6xb1
 ぐあ、上げてしまった。
 申し訳ねぇ…ヤンデレな娘さんに刺されてくる…

58 :玲子:2010/09/30(木) 18:47:02 ID:BLEZOyDv
昔から玲子は不気味な奴だった。
幼稚園の頃、廊下の隅で玲子はよく泣いていた。大声を上げるような泣き方ではなく、
音を立てずに体を振るわせて泣いていた。なぜ泣いているのかというと、まあ簡単に言えば玲子はみんな
に虐められていた。
無視され、叩かれ、そしていつも一人だった。
ある日、俺はそんな玲子が年長の餓鬼3人に虐められている現場に行き会った。
玲子は教室の隅に追いやられ、うずくまっていた。
その餓鬼3人は、ヘラヘラ小汚い笑い声を上げながら玲子のわき腹に蹴りを入れていた。
自分以外に人はいたが皆見て見ぬふりをしていた。
その時自分がなにを思ったのかは知らないが、急に目の前が赤くなり。
気がつけば、その餓鬼3人に突進していた、突然の奇襲に会いよろけている餓鬼3人に、
無我夢中に拳を叩きつけていたのを覚えている。


59 :名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 19:19:39 ID:ZhTOnR6R
>>49
GJです
亮太の一介の高校生とは思えぬ意志の強さよ
俺なら2日目あたりでギブアップだろうぜ

60 :名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 19:50:19 ID:JoKLU4U7
>>58
頼む
やるなら最後まで・・・

61 :名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 20:09:38 ID:7BSZxQjN
規制でもくらったのかな?

62 :名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 23:36:41 ID:MWNzv2MP


63 :名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 00:08:45 ID:dmBHKuLZ
>>59
2日目の時点で学校は大パニックになってるんじゃないか?
被害者と親しかった生徒が行方知れずだし…

64 :名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 00:29:48 ID:aehfcxnx
どうして往々にしてヤンデレには日本語が通じないんだろうな。

まぁ、そっちのほうが八方塞がり感が出てて非常によろしいんだが

65 :名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 00:43:10 ID:Q8cxdI9v
最近、髪の毛は消化されないから、食べると悲惨な事になるという話を聞いたんだが

ヤンデレはそこら辺は考えてくれてるんだろうか

そもそも、ヤンデレが自分の体の一部を食事に混ぜるみたいなネタはもうないのか


66 :名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 02:30:37 ID:dXS2ALnw
>>65
消化はされないが、梅干しの種みたいにそのまま出てくるだけだから、あんまり心配しなくていいよ。

67 :名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 18:51:37 ID:UMVn0QYL
ID:Clg0NTnt
NG

68 :名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 19:30:15 ID:YBs/7gAI
天使が人間を好きになったけど、彼に近づいてくる泥棒猫たち
ヤンデレ化した天使は堕天使と呼んでいいんだろうか?

69 :玲子 ◇あばばばばば:2010/10/01(金) 20:12:06 ID:wdstd6t7
投下します、この前のは事故です。

70 :玲子 (1)◇あばばばばば:2010/10/01(金) 20:14:52 ID:wdstd6t7
昔から玲子は不気味な奴だった。
幼稚園の頃、廊下の隅で玲子はよく泣いていた。大声を上げるような泣き方ではなく、
音を立てずに体を振るわせて泣いていた。なぜ泣いているのかというと、まあ簡単に言えば玲子はみんな
に虐められていた。
無視され、叩かれ、そしていつも一人だった。
ある日、俺はそんな玲子が年長の餓鬼3人に虐められている現場に行き会った。
玲子は教室の隅に追いやられ、うずくまっていた。
その餓鬼3人は、ヘラヘラ小汚い笑い声を上げながら玲子のわき腹に蹴りを入れていた。
自分以外に人はいたが皆見て見ぬふりをしていた。
その時自分がなにを思ったのかは知らないが、急に目の前が赤くなり。
気がつけば、その餓鬼3人に突進していた、突然の奇襲に会いよろけている餓鬼3人に、
無我夢中に拳を叩きつけていたのを覚えている。
餓鬼3人の叫び声を聞きつけたのか、どこからか先生がすっ飛んで来て
暴れる俺を押さえつけるや、つまらない説教を言い始めた。「人を叩いちゃダメでしょ」とか「なんで
こういことしたの?」とか。どうやら先生は俺に落ち度があると思っているようだ、たしかに
俺が先に餓鬼三人に手を上げた、しかしこいつらは玲子を虐めていたではないか?
なぜ自分は責められなくてはいけないのか?至極理不尽だと、子供心にそう思ったのを覚えている。
普段は大人しい性格だったが、この時は相当頭に血が上っていたらしく、珍しく先生に反論した。
「せんせい!ぼく、玲子ちゃんが虐められてるの見たんだ!!だ、だからぼく・・助けようと思って・・・!!」
やはり大人に刃向かうのは怖かったのか、後の方は声がふるえていた。餓鬼3人は弱みを握られたような
表情をしていた。
「・・・本当?あなた達玲子ちゃんを虐めてたの?」
先生は怖い顔で餓鬼3人を睨み聞いた。当人の餓鬼3人は「し、しらねーよ、やってねーよ・・・」と
嘘をつきた。その傲慢な態度にイラついて、また手が出そうになったが我慢していた。
このままでは収集がつかないので先生は玲子本人に聞いた。

「玲子ちゃん、あなた蹴られたり、叩かれたりした?」


71 :玲子 (1)◇あばばばばば:2010/10/01(金) 20:15:43 ID:wdstd6t7
しかし、玲子はなにもしゃべらず、ただただ頭を垂れていた。気味の悪い沈黙が場に流れ始めた・・・・
時計の針の音が妙に大きく聞こえ、いつの間にわいたのか外野の野次馬も黙っていた。

「・・・・ゎ・たし・・は・・s・・」

玲子が、か細い声で喋りはじめた。

「いじめられて・・・いません・・・」

一瞬、玲子がなにを言ったか分からなかった。
「いじめられていません」そんな分けない、じゃあなんでそんなに震えている?
なんでスカートがそんなに汚れている?なんで洋服くっきり足跡がついている?
こんなときどうしたらいいのか分からず、ただオロオロするしかなかった。

「ホラッ!玲子もされてないって、言ってるジャンかよー!!!」
(ち、違う・・・!)


「早川君・・・嘘はダメだよ・・・」
(先生・・・!!)


「・・・・・・・・・」
(なんか言ってよ!玲子ちゃん!!)

みんなは、よってたかって俺を責め始めた。
心の中が悲しみなのか、悔しさなのか、怒りなのかよく分からないモヤモヤしたものが
詰まっていくのを感じた。

(僕は悪くない・・)

(僕は悪くない・・)

(僕は悪くない・・)

(僕は悪くない・・)

(僕は悪くない・・)



僕は悪くない・・・・・・・・・・・・!



その時、玲子と目が合った、ほんの一瞬だけど確実に。
その瞬間僕の中の、なにかが弾けた、頭が真っ白になり、
気がつけば俺は玲子の手をとって駆け出していた。
教室を飛び出し、靴も履かず、そのまま門を出た。
後ろから先生の声が聞こえたけど、無視した。
いやだった。なにもかもから逃げ出したかった。








72 :玲子 (1)◇あばばばばば:2010/10/01(金) 20:18:08 ID:wdstd6t7
また今度投下してみたいとおもいます。
ちなみにss書くのは初めてです、生暖かい目で見守ってくれるとうれしいです

73 :名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 20:49:18 ID:XYUwgDsE
GJ!玲子に殴り掛かるのかと思ったぜ

74 :名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 21:22:45 ID:g4WZ9uhO
ところでコテつけれてないんじゃないのかな

75 :名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 21:50:03 ID:Fn7oqwP8
トリップ成功してないね
トリップは半角の#に好きな文字列だよ

76 :玲子 (1)◇あばばばばば:2010/10/01(金) 22:49:17 ID:wdstd6t7
ありがとう、無知な自分が恥ずかしい。

77 :名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 23:33:24 ID:aehfcxnx
>>73
俺も思った

78 :名無しさん@ピンキー:2010/10/02(土) 07:47:48 ID:qEEsHnjd
>>76
だが話はおもしろかった
続き、楽しみに待ってるぜ

79 :◆w9U6Ms6d42 :2010/10/02(土) 17:17:28 ID:s6WUu45c
投下します、あいかわらず下手です。

80 :玲子(2) ◆w9U6Ms6d42 :2010/10/02(土) 17:19:48 ID:s6WUu45c


気がつけば俺は公園にいた。
無我夢中で我武者羅に走っていたら、近くの公園についたのだ。
昼間の公園には誰も居らず閑散としていた。俺は公園のベンチを見つけると
そこへ玲子を引っ張っていき一緒に座った。
俺には幼稚園から公園までの距離はどうってことなかったが、玲子には
きつかったらしく、「ハァ・・ハァ・・」と辛そうに息をしていた。
玲子はしばらくすると息を整え黙りこんでしまった。
公園にはそよ風が吹いていた、走ってすこし汗ばんだ体に涼しい風を当てる
のはとても心地よかった。
どれくらいそうしていただろうか?俺と玲子はまだ一言も口をきていいない。
逆にあまりにも静か過ぎて、その沈黙を壊すことが怖かったのだ。
俺は遠くの高層ビルや雲を見るフリをしながら、玲子を尻目に観察していた。
玲子はベンチに弱弱しくベンチにちょこんと座っていて、
腰まで届く長くて艶のある髪は顔をすっぽり隠してしまっている。
服には餓鬼3人による、痛々しいイジメの傷跡が残っていた。
ハサミか何かで切られたのか、ところどころ服が無造作に破けていて
背中にはくっきりと上履きの跡がついている、それも何個も・・・・
それだけでなく、あちらこちらにサインペンで「死ね」だの「消えろ」
だの「貞子」だの悪口のオンパレードだった。
気がつくと無意識に自分の手が動き、玲子の背中を撫でていた。
ゆっくり子猫を撫でるように、やさしく・・
玲子は怯えているのか、体が小刻みに震えていた。
俺なんと声をかけたらいいのかわからず、ただただ玲子の背中を撫でていた。
俺はなけなしの勇気をふりしぼって玲子に話しかけた。


81 :玲子(2) ◆w9U6Ms6d42 :2010/10/02(土) 17:20:31 ID:s6WUu45c
「あ、あのさ!れ、れいこちゃん・・」

「・・・・・・」


「あ、あの・・ごめんね?・・変なとこ勝手につれてきちゃて・・・は、はは!
なんかあの時暴走しちゃって・・なんか・・その・・ごめん・・」

「・・・・・・」

玲子はなにも言わない。

「あの・・その・・」

「・・・・・・」

「な、なんでさっ!そ、その・・・いじめられてない・・って言ったの?」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「あ!無理して言わないでいいよ!!ごめん・・」

玲子は最後までしゃべらなかった、なんだか自分が余計な事して玲子を傷つけてしまったの
でわないかと思いとても心配になった。
気がつくと、空に赤みが差してきて夕陽が俺と玲子の長い影を作っていた。カラスの鳴く声や、遠くで子供が騒ぐ声
豆腐屋の独特なラッパの音・・・
俺は寂寥感と重い沈黙に耐えられず、ベンチから立ち上がろうとした。
そのとき服の袖になにかが引っかかった。驚いて振り向くと玲子が俺の袖をつかんでいたのだ


82 :玲子(2) ◆w9U6Ms6d42 :2010/10/02(土) 17:21:16 ID:s6WUu45c
れいこちゃん?・・」

突然のことに慌てながらも、恐る恐る聞いてみた。しかし玲子は無言で袖をつかんだままだった、心なしか掴んでいた
指の力が強くなった気がした。

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

長い沈黙が流れる。

「・・あの・・れいこちゃん・・・」

「・・・・・・・」

「ずっとこうしてるのも暇だからさ・・・お、お砂場で・・遊ぼうよ」

今思えばなんでこのとき砂場で遊ぼうだなんて言ったか検討もつかない。

「・・・・・・」

「ほら・・行こう・」

俺はなかなか動こうとしない玲子を半分引きずるようにして砂場に連れて行った。
砂場には誰もいなかった。誰かが忘れていったのだろうか?プラスチックのおもちゃのスコップが寂しく転がっていた。
俺は玲子を座らせ、もくもくと砂でお城を作り始めた。

「ほら、れいこちゃんもてつだってよ」

「・・・・・」
玲子は最初はためらっていたが、か細い手で砂をいじり始めた。
始めに砂で山を作り、トンネルを掘り、木の枝などで扉や窓を表現する。
山を作るところは俺がやって、トンネルは玲子がやり、木の枝で扉や窓をつくるのは難しいので、二人で協力
してやった。完成したお城はなかなかの出来栄えだった。

「できたね・・・」

「・・・・・うん・」

物凄く小さな声だったけど玲子は初めて返事をしてくれた。俺は驚いて玲子を見て息を呑んだ
玲子は微笑んでいた、楽しそうに。俺もつられて笑ってしまった。
俺と玲子はまだなんにも会話らしい会話をしていなかったが、どこか心が通じ合った気がした。



83 :玲子(2) ◆w9U6Ms6d42 :2010/10/02(土) 17:22:55 ID:s6WUu45c
ここまでです。
一度に長く書けない・・・

84 :名無しさん@ピンキー:2010/10/02(土) 20:33:23 ID:K3+IxEo8
玲子 (1)◇あばばばばば

85 :名無しさん@ピンキー:2010/10/02(土) 21:49:16 ID:OSnCpMDV
GJ!!
ストーリー展開が独特で面白い!!
次回も楽しみにしてます。

86 :名無しさん@ピンキー:2010/10/02(土) 23:02:23 ID:rciE5WLn
おもしろかった!乙です!

しかしポケ黒がこないな
ヤンデレポケに監禁でもされてるのだろうか


87 :名無しさん@ピンキー:2010/10/02(土) 23:20:56 ID:EvB7s8X2
ヤンデレボールの中に監禁されたのかもな

>>83
続き期待してます

88 :名無しさん@ピンキー:2010/10/02(土) 23:38:11 ID:NsQqifC8
>>83GJ
これは期待の新作だな

89 :名無しさん@ピンキー:2010/10/02(土) 23:59:10 ID:MVv56A6a
そろそろリバースとかがくるかな


90 :名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 00:05:24 ID:pmi3BJc6
いじめられてるというのを否定されてブチ切れるどころか相手を気遣うとはな……そら惚れるで

91 :AAA:2010/10/03(日) 02:33:36 ID:KBbG6ge7
園児でこんなに優しい奴は初めて見た。

92 :名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 04:55:15 ID:LPRU/MHX
投下します。

93 :名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 05:01:28 ID:jpATXtFV
支援

94 :キモオタと彼女 4、75話:2010/10/03(日) 05:05:48 ID:LPRU/MHX
ウチがあの人に出会ったのは、2年ちょっと前の話です。
ウチは、まだ大学入りたてで満員電車に慣れていなかった頃、痴漢に遭ったです。
それはもう、驚きましたですよ。
田舎じゃ、そんな事はなかったですし、男の人には免疫がなくて、誰の手かもしれない人に体を触られているのは、恐怖しかなかったです。
怖かったです。
怖くても、声もあげられなかったです。
周りには、男性の乗客しかいなくて、ジェスチャーで訴えればもしかして助けてくれるかもしれない。
そして、たまたま目が合った真面目そうなサラリーマン風な男の人に、後ろの痴漢に気付かれないように、手で「痴漢されている。」というニュアンスを含んだジェスチャーを送ったです。
それが、伝わってないのか。
何故か、相手はニヤニヤしながら、こちらを見始めたです。
…あぁ、ウチの困る姿を見て楽しむつもりですか…。
もう、どうでもいいです。
勝手にしやがれです。
ウチがそう思ったのと同時に、下着の中に手を突っ込まれてきたです。
「っん!」
ッツ、ふざけんなです。
そこまで、許したつもりはねぇです。
と、大声で怒鳴り散らしたい所ですが…。
案の定、ただただ黙っていることしか出来なかったです。
それを、良いことに奥に入れられて…。
その時は、死にたくて仕方なかったです。
痴漢には会い、見知らぬ男には見捨てられ、自暴自棄になっていた所に…。
彼に会ったです。

「オッフ、や止めなされ。 ち、痴漢行為は犯罪でござる。」
後ろを振り返ると、顔が整った男と、お世辞にも普通とは言えない容姿の男がいたです
「はぁ? 俺が痴漢したっての? っていうか、お前がしたんじゃねぇの?」
「オゥフ、何を言ってなさるのか。 拙者は見ましたぞ。 貴方が痴漢しているのを。」
…正直言いますと、どう見てもオタクっぽい人が、痴漢行為を働いたように見えましたです。
でも、私は…
「…そう…です。 その人が…痴漢です…。」
私が、震えながら指を指したのは…。

整った顔の方の男に指を指しましたです。
「ふっざけんなよ!? 糞女ァ!! 言いがかりもいい加減にしろよ!!」
「っひ…!」
整った顔が一気に崩れ、恐ろしい顔でこちらに迫って来た時は、失神しそうになったです。


95 :キモオタと彼女 4、75話:2010/10/03(日) 05:11:17 ID:LPRU/MHX
「やややや止めなされぼぼぼぼうひょくはいけないでござんす!」
震えながらも、ウチをかばってくれるオタクの人…。
背中は、汗びっしょりだし、何か酸っぱい臭いもするし、正直頼りない人だけど…。
そんな人だけど、勇気を振り絞ってウチを助けてくれるのは、凄く嬉しかったです……。
「ってめぇ! きめぇんだよ!」
ッガ!
「おぶぷ!」
私を助けてくれた彼は、奇妙なうめき声をあげながら、派手に後ろに飛び、人混みの中に倒れ込んでしまったです。
その瞬間、今まで道場以外で使いたくなかった合気道で、後ろを振り向いていた相手の腕をとり背中にまで捻り、関節を外した。
ポキン
「ッギャアアアア!!」
気持ちのいい音ともに、相手の悲鳴が満員電車の中に響きわたる。
車内の到着のアナウンスがなっている気がするが、男の悲鳴が大きすぎて、何も聞こえはしなかったです。



着いた後、男は駅員に引っ張られていきましたです。
引っ張られながらも、私に罵声を投げつつ、駅員室の方に連れていかれたです。
あっ…。
今まで張り詰めていたものが一気に萎み、座り込んでしまいました。
こ、怖かったぁ……。
安心したら、どんどん涙が出てきて、とてもじゃないですが、平静を保てなかったです。
ウチは、その場にうずくまり、泣いていました。
その時、泣いているウチに声をかけてくれる人はいなかったです。
やっぱり、先程の男の関節を外した時、男が絶叫した瞬間を、乗客が一斉にうちと男を見て驚いたのでしょう。
小柄な女が男の腕を捻っているのを見たら、うちに近づきたくなくなるのも、当然ですね…。
そんな事を思うと、更に涙が出て来て大変でした。

「だ、だ大丈夫ですか…?」
顔を上げると、ウチをかばってくれた男の人でした。
「ここここれをよよよ良かったら、使って下さい!」
と言われて、渡されたのがポケットティッシュとお水でした。
それをウチが受け取った瞬間、男の人は走ってどこかにいっちゃいました…。
彼のそんな姿を見て、さっきまでの感情が嘘のように吹き飛んだ。
見ず知らずのウチの為に、殴られて痛い思いをしているはずなのに、ウチの事を気遣ってくれた彼の優しさに心惹かれましたです…。
今度、彼に会ったらお礼を言おう…。
そう心に決めた私は、先程までの辛い気分は吹っ飛び、代わりに胸のどこかで心地よい優しい痛みを感じていた。


96 :名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 05:15:19 ID:LPRU/MHX
投下終わります。

見て下さった方は、お疲れ様です。

藍那編の番外は、もう一話あります。

本編を進めた後に投下したいと思っていますので、よろしくお願いします。

97 :名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 06:41:28 ID:4fCpON3z
おおGJ

98 :名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 09:23:31 ID:SWorB41i
>>96
キモオタと彼女キタ━━(゚∀゚)━━!!!このお話好きだ。


99 :AAA:2010/10/03(日) 12:03:25 ID:KBbG6ge7
本編期待。番外編続きも期待

100 :名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 16:18:49 ID:pSZyjW1f
>>98 >>99
次から気をつけてくれ。
アドレスのところに「sage」と入れるだけだからさ

101 :名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 18:04:50 ID:GzIB7NyO
キモオタと彼女GJ!!

最近ポケ黒が来ないのが心配だな。

102 :名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 18:30:41 ID:RY56buk1
それより桜の幹とヤンデレ家族、触雷の続きをだな・・・

103 : ◆AW8HpW0FVA :2010/10/03(日) 18:31:26 ID:TDSsLryv
test


104 : ◆AW8HpW0FVA :2010/10/03(日) 18:32:19 ID:TDSsLryv
期待に添えないでしょうが投稿します。
変歴ではないほうです。

105 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十五話 ◆AW8HpW0FVA :2010/10/03(日) 18:33:13 ID:TDSsLryv
第十五話『エロスの弓矢』

ピドナに帰還してから、数日が経った。
ブリュンヒルドは未だに各地を転戦しており、ここにはいない。
そんな中、シグナムはバトゥとハイドゥを自分の執務室に呼び寄せた。
だというのに、その中にハイドゥはいない。呼びに行ったが、不在だったのだ。
まぁ、いいか、とシグナムは思い、やって来たバトゥに向かって、
「バトゥ、お前は妻帯をしていたり、思い人がいたりするか?」
と、切り出した。あんぐりと口を開けているバトゥを尻目に、シグナムは、
「いないのなら、お前には結婚をしてもらいたい」
と、言った。
そんな大した事を言ったつもりはないのに、バトゥは顔を赤くし、激しく動揺していた。
「シッ……シグナム様、いきなりなんて事を言うのですか!
こういう事は、お互いがもっと信頼し合える様な関係……、
……いや、確かに私はあなたの事を信頼していますが……」
「あぁ……、いきなりこんな事を切り出してすまなかったな。
だが、これは重要な事だからな、避ける訳にはいかないのだ」
そう言うと、バトゥは黙り込んでしまった。随分とシャイな奴なんだな、とシグナムは思った。
しばらくすると、バトゥも落ち着いてきたらしく、
「それでシグナム様、重要な事とはなんですか?」
と、冷静な言葉をいえるくらいまで回復していた。シグナムは咳払いを一つして、
「お前はこの度の功績で、高い位を与えられる。つまり、貴族となり政治に参加できるのだ。
そこで聞きたいのだが、お前は儀礼についてどこまで知っている?」
と、尋ねた。バトゥは首を傾げてしまった。
「そういう事だ。軍事ならばまだしも、政治となると、そこは儀礼の世界、
小さなミスで、全てを失ってしまう紙一重の世界だ。
貴族でも豪族でもないお前に、その様な事が分かる筈もない」
そこまで言って、シグナムは人差し指を立てた。バトゥがその指を注視した。
「故に、結婚が重要になってくるのだ。お前が貴族の息女と婚姻関係を結べれば、
その力を借りる事ができる。なに、身分の事は心配するな。
お前は私と共に大陸統一に尽力した英雄の一人だ。誰もお前を見て嫌な顔はするまいよ」
「なんだ、……そっちの方か……」
「そっちの方?」
奇妙な単語が聞こえてきたので、シグナムは思わず聞き返した。
独り言が聞こえたと分かったのか、バトゥは顔を真っ赤にして、
「あっ、いや、なんでも……ありません……」
と、的を得ない答えを返してきた。シグナムはそれ以上追求はしなかった。
「まぁ、とりあえずはお見合いからだな。日時は決まったら知らせるから、
お前は今日中にでも新しい服を買っておけよ」
シグナムがそう言って、この話は終わりである。バトゥは頭を下げて退出した。
バトゥと入れ違いに、大量の書類をトゥルイとフレグが運んできた。
今日中に目を通しておいてくれ、との事らしい。
シグナムは、それ等の書類に目を通す事に必死になり、ハイドゥの事を忘れてしまった。
ハイドゥが執務室にやってきた時には、シグナムは顔を見る事なく追い出してしまった。


106 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十五話 ◆AW8HpW0FVA :2010/10/03(日) 18:33:45 ID:TDSsLryv
翌日、シグナムは王に内謁した。
内謁の理由は、バトゥ、ハイドゥのお見合いの許可を取る事である。
幾ら、軍権と政権を掌握しているとはいえ、シグナムは王臣である。筋を通す必要があったのだ。
王はシグナムがお見合いをすると言い出したので、多少驚きながら、
「臣下の結婚を斡旋する宰相など、初めて見ましたよ」
と、多少皮肉混じりに言った。シグナムはクスリと笑いながら、
「今回のお見合いには、それなりの理由があります」
と、言った。それなりという割には、その表情には真剣味は感じられない。
「第一に、バトゥ、ハイドゥ両将は、平民にございます。
平民である彼等に、政治が行えるはずがございません。
それゆえ、貴族の息女と結婚させ、彼等を助けさせるのです」
シグナムの言ったそれは、バトゥに言った事と殆ど同じであった。
だが、その次の事を言おうとした時のシグナムの表情には感情の色が消えていた。
「第二に……、彼等が平民だからです」
それは、無表情で言った割りにはあまりにもお粗末なものだった。
「宰相殿、理由が重複していますよ」
思わず王もクスリと笑ってしまった。
しかし、相変らずシグナムの表情は無表情で、放たれる威圧感は凄まじかった。
「では、正直に申しましょう。……私は、彼等に政治を任せる気はありません」
このシグナムの発言には、流石の王も驚いた様だった。
なにせ、今まで自らの手足の如く使ってきた忠臣に、
政治を任せたくないというのだから当然である。
そんな王を見ても、シグナムはかまわず続けた。
「彼等平民は、政治を知らない。……これは表向きの理由に他なりません。
本当の理由は、彼等が実権を握り、他の平民が政治に参入してくる事です」
いつも以上にシグナムは饒舌になっていた。王が口を挟む暇もない。
「もしも平民が政治に介入するようになれば、王族、さらには貴族の力が急落します。
これは、断じて認める訳にはいきません。
平民とは、貴族が与えるものをなにも考えずに享受していればいいだけの存在です。
それを、平民が貴族の上に立ち、命令を出すなど、絶対にあってはならない事なのです。
なので、彼等を貴族の息女と結婚させて、監視を付ける事によって、
彼等の自立の芽を事前に摘もうという訳です」
そこまで言って、シグナムは口を閉じた。
その凄まじい口舌に、王は押されるばかりであった。
「……なるほど、それほどこの結婚は重要という訳か……。
宰相殿、先ほどは失礼な事を言って、すまなかった」
「畏れ多い事です」
シグナムはそう言って、頭を下げ、そのまま何事もなかったかの様に部屋から出て行った。


107 : ◆AJg91T1vXs :2010/10/03(日) 18:34:14 ID:5Pit/50Q
 予告通り、迷い蛾・最終部の投下行きます。

 とりあえず、今まで色んなところに投げておいた伏線だけは回収しました。
 その分、酷い鬱展開ですが……。


 最後になりますが、流血シーンがあります。
 そこまでグロテスクではありませんが、血の苦手な人は避けて下さい。

108 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十五話 ◆AW8HpW0FVA :2010/10/03(日) 18:34:25 ID:TDSsLryv
ブリュンヒルドはまだ帰ってこない。鬼の居ぬ間の洗濯は続く。
お見合いの手続きも全て完了し、あとは開催日を待つのみである。
だというのに、未だにハイドゥには結婚の話を持ち掛けられずにいる。
どういう訳か、忙しくない時に限って、ハイドゥは不在のため、話を切り出せないのだ。
ならば、口伝に誰かに言ってもらえばいいではないか、という者もいるかもしれないが、
この様な重要な事柄を、他人の口から言わせるのはどこか味気ない。
なので、シグナムは自分の口から伝える事にこだわった。
だが、相変らずハイドゥは不在の時が多く、部屋にいると分かって呼びに行こうとすると、
高確率でトゥルイかフレグが書類の山を運んでくるか、
それでなくても、王直々の諮問を受けたり、陳情の処理などで、それ所ではなくなってしまう。
こうなると、ハイドゥは自分の事を避けているのではないか、とさえ思えてしまう。
この様な事が五回連続で続いた時には、ハイドゥに対して怒りが湧いた。
今度こそ、ハイドゥにこの事を話さなければならない。
シグナムは万全を期すために、今回の事にまったく関係がないトゥルイ達に頼み事をした。
それは、トゥルイには書類の整理を、フレグには陳情の処理を、
一日だけ一人で裁いてもらいたい、というものだった。
「そういう事でしたら、お任せください」
「シグナム様のお手は煩わせません」
と、二人は言って、快諾してくれた。
ふと、シグナムはこの二人から浮いた話は聞いた事がないな、と思い、
「二人は、結婚はしているのか?」
と、まるで独身男性が聞く様な質問をした。
「子供の頃は、幼心に結婚の約束した相手がいましたが、
今となってはトンと縁がなくて。……私には、魅力がないのでしょうかね……」
「私も兄上と同じです。今頃は、その人達も結婚しているのでしょうね」
と、二人は答えた。
「なんだったら、お前達もお見合いに参加するか?」
なんとなしに、シグナムは誘ったが、二人は遠慮しておきますと断った。
余計な事を言ってしまったか、とシグナムは思ったが、取り合えずこれで準備は万端である。
シグナムはハイドゥの部屋に向かった。ハイドゥがいる事は、既に分かっている。
シグナムが戸をノックしようとした時、
「宰相閣下」
背後から兵士に声を掛けられた。
こんな時に、とシグナムは思ったが、声を掛けられたのだから答えなけばならない。
「どうしたんだ?書類の整理はトゥルイが、陳情はフレグが、
王からの諮問は昨日答申したから、今日はないはずだが……」
「宰相閣下、両将軍のお見合いの事ですが、
皆様の都合上、今日の夜でなければ出来ない事になりました。
ですが、現場監督殿は風邪で倒れられ、後任の方々もなぜか身体を壊してしまったので、
最早、指揮が出来るのは宰相閣下しかおられません。お手数をお掛けしますが、お願いします」
またか、とシグナムは思った。ここまで来ると嫌がらせの域を超えている。
それでもシグナムは、跪いている兵士に微笑みかけ、
「ハイドゥ将軍に用があるので、少し待っていてもらおう」
と、言って、戸を叩こうとしたが、それよりも先に兵士が、
「将軍でしたらおりませんよ。先ほどどこかに出掛けて行くのを見掛けましたから」
と、言って引き止めた。
シグナムは眩暈を覚えた。まさかのニアミスを食らったからだ。
倒れそうになるのを耐えて、シグナムは兵士を連れて会場に向かった。


109 :迷い蛾の詩 【最終部・待宵草】  ◆AJg91T1vXs :2010/10/03(日) 18:35:11 ID:5Pit/50Q
 
「ま、繭香……」

「どこへ行くの、亮太君。
 私と亮太君は、ずっと一緒だって言ったよね?
 ずっと……離れないって言ったよね……」

「ごめん、繭香……。
 だけど……俺は行かなくちゃならないんだよ。
 こんな生活を繰り返していたら、それこそ取り返しがつかないことになる。
 俺も……繭香も……二人ともだ」

「どうして!?
 どうして亮太君は、私から逃げようとするの!?
 私は……私はこんなに亮太君のことが好きなのに!!
 私には……本当の私を見てくれる人は、亮太君しかいないのに!!」

「繭香……」

 色のない繭香の目から、大粒の涙が零れ落ちた。
 それを見た亮太の脳裏に、あの神社での出来事が蘇る。

 純粋すぎる程に一途な想い。
 そして、その想い故に、心の均衡を崩してしまった繭香。
 こんな状況でなければ、彼女の気持ちに素直に応えられただろう。
 が、しかし、今はそれ以上に、繭香の歪んだ心を元に戻すことを考えねばならない。

「亮太君……どうしても、行くんだね……」

 一歩ずつ、足元を踏みしめるようにして、繭香が亮太に近づいて来る。
 その手に握った包丁の切っ先を、しっかりと亮太の胸元に向けて。

「もし、亮太君が出て行くって言うなら……亮太君を殺して、私も死ぬよ……」

 じりじりと、繭香が亮太との距離を詰める。
 逃げ出そうと思えば逃げられたが、亮太はあえて、繭香がこちらに近づくのを待った。

「逃げないの、亮太君……?
 本当に……本当に殺しちゃうよ?」

 繭香の手にした包丁の先が、ついに亮太の胸まで数センチ程の距離に迫る。
 銀色の刃が亮太のシャツに触れ、胸に軽い痛みが走った。

 このまま刺せば、亮太は確実に死ぬ。
 今ここでやらねば、亮太は永遠に自分の側から消えてしまう。
 だが、そう思って刃を突き出したはずの繭香の腕は、亮太の手によってしっかりと止められていた。

「もう、止めるんだ、繭香……。
 これ以上……君は罪を重ねちゃいけない……」

「あ……」

 亮太の手が、震える繭香の手を静かに下ろす。
 力なく垂れたその手から、包丁だけをそっと奪った。


110 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十五話 ◆AW8HpW0FVA :2010/10/03(日) 18:35:26 ID:TDSsLryv
お見合い会場は騒然としていた。
大体の準備は終わっているというのに、そこら中でトラブルが続発していたからだ。
なぜこの様な事になっているのか、シグナムには理解できなかった。
そもそも、給仕達は一週間ぐらい前から少しずつ準備をしていたにもかかわらず、
その動きは恐ろしいほどぎこちない。
まるでわざとやっているようにしか思えない。
しかし、彼等の目は本気そのものであり、わざとらしさは微塵も見えない。
シグナムは、不穏な考えを捨て、気分を切り替えた。
とりあえず、殆どの作業は終わっているのだ。後はちょちょいと終わらせて、
ハイドゥを探しに行けばいい。まだ昼前、夜までには時間がある。
探し出して、結婚の事を話し、参加させればいい。
シグナムはそんな事を思いながら、給仕達に指示を出した。
だが、シグナムの思惑通りには行かなかった。
シグナムが指揮をとっても、給仕達は思いの外スムーズに動かなかったのだ。
どこかで誰かが転び、なにかをぶちまけ、絨毯やテーブルクロスを汚す。
それを替えようとした給仕がまた転ぶ。遠くではガラスの割れる音が聞こえた。
厨房では怒鳴り声が響き、何人かの見習いが紙を片手に外に出て行った。
まるで戦争だった。それも大が付くほどの。
シグナムは、頭の中から雑念を捨てた。その中には、バトゥやハイドゥの事も入っていた。
すると、急激に給仕達の動きがよくなった。
シグナムはそんな事にも気付かず、的確な指示を飛ばし、給仕達を動かした。
日が傾くにつれ、給仕達はさらに動きがよくなり、
大地が赤く染まる頃、会場の準備は全て整った。
「宰相閣下、ご骨折り、ありがとうございました」
椅子に座ってぐったりしているシグナムに、給仕の一人がそう言って水を差し出した。
シグナムはそれを一口に飲み込むと、その給仕に、
「お前は今すぐ、バトゥ将軍にお見合いの準備が出来た、と伝えてきてくれ。
私は、……もうしばらくここで休んでいる」
と、言って、テーブルに突っ伏した。
あぁ、そういえば、とシグナムはハイドゥの事を思い出した。
結局、ハイドゥには話しそびれてしまった。
これでは、ハイドゥを貴族として朝廷に上げる事が出来ない。
しばしの思考の後、
「もういいや……、面倒臭い」
と、完全に投げやりな結論に到った。

お見合い開始の時間が近付き、疎らだった会場は貴族達で埋め尽くされた。
ちょうど時間にもなったので、シグナムは、一段高い所から貴族たちを見下ろすように、
「会場の皆様!」
と、大きな声を出した。片手にはグラスが握られていた。貴族達がシグナムに注目した。
「今宵はお忙しい中、このお見合いの席に来て頂き、実にありがとうございました。
本来ならば、この場にはもう一人、ハイドゥ将軍がいるのですが、
こちらの不手際で呼ぶ事が叶いませんでした。その事をこの場でお詫びいたします。
ですが、今宵はバトゥ将軍にとっても、皆様にとっても、
素晴らしい出会いの日である事には変わりありません。どうか楽しんでいってください。
さあ、長い挨拶はこの程度にして、不肖、このシグナムが乾杯の音頭を取らせてもらいます」
と、シグナムが言うと、貴族達もグラスを取り始めた。
「乾杯!」
「乾杯!!!」
貴族達の歓声と共に、空前のお見合いが始まった。


111 :迷い蛾の詩 【最終部・待宵草】  ◆AJg91T1vXs :2010/10/03(日) 18:36:21 ID:5Pit/50Q

「どうして……」

 亮太の胸元で、繭香の声が微かに震える。

「どうして亮太君は……こんなに私に優しいの……?
 私は……本当の私は……こんなに汚くて、ちっぽけなのに……」

「どうして、か……。
 それは……俺も繭香のことが、好きだからだよ」

「嘘!!
 だったら、私を拒まないで!!
 私から逃げないでよ!!
 私だけの……私だけを見てくれる亮太君でいてよ!!」

「ごめん、繭香……。
 悪いけど、それはできないよ。
 俺は繭香のことが好きだけど……だからこそ、繭香と一緒に、この世界で生きて行きたいんだ。
 あんな暗闇に閉じこもっているんじゃなくて、ちゃんと日の光の当たる場所を、二人で一緒に歩きたいんだ」

「そんなの、私は嫌だよ。
 私と本当に向き合ってくれたのは、亮太君しかいないの!!
 私には、亮太君だけがいれくれればいいの!!
 他の人の目なんて……世界なんて……私には要らないもの!!」

 一度、思いの丈を口にすると、もう止まらなかった。
 今まで抑圧してきた全てのものが、身体の奥から止め処なく溢れ出て来る。

「亮太君が私を見てくれなくなるんなら、こんな世界、壊れちゃえばいいんだ!!
 本当の私を見てくれない人しかいない世界なんて……全部無くなっちゃえばいいのに!!」

「それは違うよ、繭香……。
 確かに……今まではそうだったかもしれない。
 でも、これから先も、未来永劫そうだなんて、誰にも分からないはずだよ。
 それこそ、俺にも、繭香にもね……」

「で、でも……私は……!!」

「それに、繭香は前に言ったよな。
 俺のことを助けたい。
 俺のことを元に戻してやりたいって……」

「…………」

「だから、今度は俺が繭香の力になりたい。
 繭香が胸を張って外の世界を歩けるように、俺も精一杯協力する。
 理緒の事で、しばらくは会えなくなるかもしれないけど……俺は、いつまでも繭香を待つよ」


112 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十五話 ◆AW8HpW0FVA :2010/10/03(日) 18:36:26 ID:TDSsLryv
シグナムは何ヶ所かテーブルを廻って、挨拶を済ませると、会場から出て行った。
今回の主役はバトゥであり、それを配慮したというのもあるが、
実際の理由は貴族達と会談を開く事だった。
シグナムと貴族達は、会場から離れた会議室に集った。
内容は、バトゥがどの貴族の息女を見初めるのかは分からないが、
そうなった場合、バトゥには極力自立した考えを持たせないように、と懇願する事だった。
この会談自体はすぐに終了し、そのまま小宴会的なものになった。
その席で、シグナムは縁談を持ち掛けられた。
いきなり振られた縁談話に、シグナムは少し驚いた様な表情をした。
シグナムには自覚はないが、この大陸でシグナムの評判は頗る良い。
超大国ファーヴニルの王太子という血筋も然る事ながら、
女と見間違うほどの容姿と、オゴタイ王国を復興させたという実績は、
貴族だけでなく庶民の女達の心をも射止めた。
そして以上に、貴族の当主達もシグナムの事を欲した。
当然といえば当然である。
シグナムはオゴタイ王国の宰相である。それを自分の一族に取り込む事が出来れば、
一朝にして朝廷の重職を自分の親族で埋める事も夢ではない。
それに、例えシグナムがファーヴニルに帰って即位したとしても、
自分達は外戚として権勢を振るう事が出来る。
どっちに転んでも絶対に損はしないという訳である。
そういう打算もあって、貴族達はシグナムに縁談を持ち掛けたのである。
シグナムは、貴族達の思惑を知ってか知らずか、笑いながら、
「私には、女を愛するとか、そういう崇高な事が出来るほど立派な人間ではありませんよ」
と、言って断った。
貴族達は首を傾げたが、それでも穏やかな表情で、
心の底では必死になりながらシグナムを説得した。
だが、結局はシグナムの首を縦に振らせる事は出来なかった。
こうして様々な思いが錯綜したお見合いは、朝近くまで続き、お開きとなった。

翌日、政務が一段落したシグナムは、早速バトゥに相手は見付かったか、と聞きに行った。
バトゥは多少顔を赤くして頷いた。それを見たシグナムは微笑みながら、
「そうか、それはよかった。では早速、お前の選んだ相手を見に行こうか。
その当主にも会っておかねばならんからな」
と、言うと、バトゥを連れて、馬車を走らせた。
ちょうどその時、シグナム達は馬車の行列と入れ違った。
その馬車は、政庁の門前で止まり、一人の貴婦人が降りてきた。
空色の短髪と、釣り目が印象的なその貴婦人は、門衛に向かって、
「私はソフィア・ローレライ。
トゥルイ・ダマスクス将軍に目通りしたいのだが、よろしいかな?」
と、凛とした声で言った。
門衛達は驚いた。ローレライ家は、古の史書にも名を残すほどの名族で、
魔王軍襲来の際は、その比類ない忠誠心でよく旧主を助け、
旧主が敗死した後も、軍をまとめて人民を災厄から守り続けた忠臣である。
しかしその忠臣も、シグナムにとっては降伏勧告を拒否し、郡県制の進行を滞らせ、
それを討伐しようにも手を出しにくいという目の上のたんこぶの様な存在だった。
そのため門衛達は、この西方で知らぬ者のいない貴族の息女に恐縮の体を見せながら、
将軍になんのご用件なのですか、と聞いてみた。
するとソフィアは、涼しい表情のまま、
「子供の頃に交わした結婚の約束を果たしに来ただけだ」
と、とんでもない事をぶちまけた。門衛達は開いた口が塞がらなかった。


113 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十五話 ◆AW8HpW0FVA :2010/10/03(日) 18:36:53 ID:TDSsLryv
トゥルイが大変な事に巻き込まれそうになっている一方で、
シグナム達は件の相手の屋敷に着いて唖然としていた。
「バトゥ、……お前の選んだ相手とは、聖人君主かなにかか?」
と、シグナムが言うほど、その屋敷はオンボロだったからである。
そう言ってみてシグナムは、聖人君主は言いすぎか、強いて言うならば貧乏……いや清貧か、
などと、どうでもいい事を考え始めた。
そんな言葉遊びをしているシグナムをさらに驚かせたのは、
出迎えに来たのが、なんと当主本人だった事だ。
当主曰く、家臣どころか、使用人を雇う金がないとの事らしい。
屋敷の中に入ると、当主の言う通り、その清貧さはますます明らかになった。
所々で穴が開いていたり、壊れていたりして、本当に人が住めるのかと思うほど酷かったからだ。
応接室に案内されたシグナムとバトゥは、綿の飛び出たソファーに座って待たされた。
清貧なので、菓子どころかお茶も出ない。しばらくすると、当主が入ってきた。
「申し訳ございません。娘の着付けに時間が掛かってしまいまして。
……ほらヘカテ、入ってきなさい」
当主の声と共に、一人の女性が入ってきた。
やはり父親同様、継ぎ接ぎだらけのドレスを着ていたが、
萌黄色の長髪といい、くりっとした緑眼といい、その容姿はかなりのものだった。
「ご挨拶を」
「………………」
当主が促すが、ヘカテは一言もしゃべらず、ただ手に持っている紙になにかを書いていた。
書き上がったのか、その紙には、
「ヘカテ・ハルクラテスと申します。お初にお目に掛かります、宰相閣下」
と、書かれていた。シグナムは不快に思いながらも、
「彼女は恥かしがりなのですか?」
と、聞いた。シグナムの機嫌を損ねたと分かった当主は慌てて、
「娘は極度の無口でして、滅多に口を開かないのです。娘の無礼、お許しください」
と、宥める様に言った。ヘカテも紙に、申し訳ありません、と書いていた。
不快な気分の抜けないシグナムは、後は二人だけに、と言って退席した。その後を当主も追った。
外に出たシグナムは、追ってきた当主に対し、
「昨晩の誓い、忘れてはいないでしょうな」
と、感情を消した声で言った。当主も慌てて跪き、
「もちろんでございます、宰相閣下の命令に背くはずがございません」
と、言った。
しばらく、当主に背を向けていたシグナムは、不意に振り返り、
「バトゥとヘカテの縁組が成れば、散り散りになったあなたの家臣達も戻ってくるでしょう。
……どうか、バトゥを支えてやってもらいたい」
と、先ほどとは違い、血の通った声で言った。
当主は、目に涙を浮かばせ、頷いた。
シグナムと当主が応接室に戻ってくると、バトゥの胸に顔を埋めるヘカテの図が目に入ってきた。
バトゥはあっと驚いた様だが、ヘカテはシグナムを一瞥すると、再び胸に顔を埋めた。
「なるほど、無口ではあるが、恥かしがりではないというのはそういう訳か……」
多少呆れた様にシグナムは言った。


114 : ◆AW8HpW0FVA :2010/10/03(日) 18:38:01 ID:TDSsLryv
投稿終了です。
なんだか割り込んでしまった様なのですいません。

115 : ◆AJg91T1vXs :2010/10/03(日) 18:39:08 ID:5Pit/50Q
>>104

申し訳ない、ニアミスで投下被った……。

小一時間程自重してから、また来ますわ……。
その時は、最初から投下し直した方が良いですかね?

116 :名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 18:54:53 ID:JaTOFKC8
>>115
ドンマイ
出来れば、最初からお願いします

117 :名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 19:08:05 ID:Z2ehQNJT
GJ
早く次が読みたくなる
まよい蛾の作者ニアミスやけど投下楽しみにしてま

118 : ◆AJg91T1vXs :2010/10/03(日) 19:36:40 ID:5Pit/50Q
>>116
>>117

ホント、最後の最後になにやってんだか、自分。
これじゃあ、締まるところも締まらないままですな……orz


気を取り直して再投下。
今度こそ、正真正銘のラストです。



119 :迷い蛾の詩 【最終部・待宵草】  ◆AJg91T1vXs :2010/10/03(日) 19:37:28 ID:5Pit/50Q

「ま、繭香……」

「どこへ行くの、亮太君。
 私と亮太君は、ずっと一緒だって言ったよね?
 ずっと……離れないって言ったよね……」

「ごめん、繭香……。
 だけど……俺は行かなくちゃならないんだよ。
 こんな生活を繰り返していたら、それこそ取り返しがつかないことになる。
 俺も……繭香も……二人ともだ」

「どうして!?
 どうして亮太君は、私から逃げようとするの!?
 私は……私はこんなに亮太君のことが好きなのに!!
 私には……本当の私を見てくれる人は、亮太君しかいないのに!!」

「繭香……」

 色のない繭香の目から、大粒の涙が零れ落ちた。
 それを見た亮太の脳裏に、あの神社での出来事が蘇る。

 純粋すぎる程に一途な想い。
 そして、その想い故に、心の均衡を崩してしまった繭香。
 こんな状況でなければ、彼女の気持ちに素直に応えられただろう。
 が、しかし、今はそれ以上に、繭香の歪んだ心を元に戻すことを考えねばならない。

「亮太君……どうしても、行くんだね……」

 一歩ずつ、足元を踏みしめるようにして、繭香が亮太に近づいて来る。
 その手に握った包丁の切っ先を、しっかりと亮太の胸元に向けて。

「もし、亮太君が出て行くって言うなら……亮太君を殺して、私も死ぬよ……」

 じりじりと、繭香が亮太との距離を詰める。
 逃げ出そうと思えば逃げられたが、亮太はあえて、繭香がこちらに近づくのを待った。

「逃げないの、亮太君……?
 本当に……本当に殺しちゃうよ?」

 繭香の手にした包丁の先が、ついに亮太の胸まで数センチ程の距離に迫る。
 銀色の刃が亮太のシャツに触れ、胸に軽い痛みが走った。

 このまま刺せば、亮太は確実に死ぬ。
 今ここでやらねば、亮太は永遠に自分の側から消えてしまう。
 だが、そう思って刃を突き出したはずの繭香の腕は、亮太の手によってしっかりと止められていた。

「もう、止めるんだ、繭香……。
 これ以上……君は罪を重ねちゃいけない……」

「あ……」

 亮太の手が、震える繭香の手を静かに下ろす。
 力なく垂れたその手から、包丁だけをそっと奪った。


120 :迷い蛾の詩 【最終部・待宵草】  ◆AJg91T1vXs :2010/10/03(日) 19:37:53 ID:5Pit/50Q

「どうして……」

 亮太の胸元で、繭香の声が微かに震える。

「どうして亮太君は……こんなに私に優しいの……?
 私は……本当の私は……こんなに汚くて、ちっぽけなのに……」

「どうして、か……。
 それは……俺も繭香のことが、好きだからだよ」

「嘘!!
 だったら、私を拒まないで!!
 私から逃げないでよ!!
 私だけの……私だけを見てくれる亮太君でいてよ!!」

「ごめん、繭香……。
 悪いけど、それはできないよ。
 俺は繭香のことが好きだけど……だからこそ、繭香と一緒に、この世界で生きて行きたいんだ。
 あんな暗闇に閉じこもっているんじゃなくて、ちゃんと日の光の当たる場所を、二人で一緒に歩きたいんだ」

「そんなの、私は嫌だよ。
 私と本当に向き合ってくれたのは、亮太君しかいないの!!
 私には、亮太君だけがいれくれればいいの!!
 他の人の目なんて……世界なんて……私には要らないもの!!」

 一度、思いの丈を口にすると、もう止まらなかった。
 今まで抑圧してきた全てのものが、身体の奥から止め処なく溢れ出て来る。

「亮太君が私を見てくれなくなるんなら、こんな世界、壊れちゃえばいいんだ!!
 本当の私を見てくれない人しかいない世界なんて……全部無くなっちゃえばいいのに!!」

「それは違うよ、繭香……。
 確かに……今まではそうだったかもしれない。
 でも、これから先も、未来永劫そうだなんて、誰にも分からないはずだよ。
 それこそ、俺にも、繭香にもね……」

「で、でも……私は……!!」

「それに、繭香は前に言ったよな。
 俺のことを助けたい。
 俺のことを元に戻してやりたいって……」

「…………」

「だから、今度は俺が繭香の力になりたい。
 繭香が胸を張って外の世界を歩けるように、俺も精一杯協力する。
 理緒の事で、しばらくは会えなくなるかもしれないけど……俺は、いつまでも繭香を待つよ」


121 :迷い蛾の詩 【最終部・待宵草】  ◆AJg91T1vXs :2010/10/03(日) 19:38:56 ID:5Pit/50Q

「亮太君……」

「もう、こんなことは止めよう、繭香。
 俺と一緒に、外の世界に目を向けるんだ」

 亮太の手が、繭香の瞳から零れ落ちる涙を拭いた。
 その瞳は、真っ直ぐに繭香のことを見つめている。
 あの日、初めて繭香と出会った時の、一点の迷いも穢れもない真摯な眼差しで。

「そっか……。
 亮太君も、私のことを、そこまで考えてくれていたんだね……」

 ゆっくりと、肺の中の空気を吐き出すようにして、繭香が力なく呟いた。

「でも、それは無理だよ……。
 だって、私は……もう、繭の中の蛹には戻れないから……。
 それに、私には……外の光は眩しすぎるから……」

 そう言って、繭香は亮太の腕をしっかりと握り締める。
 未だ包丁を握ったままの腕を、そっと持ち上げて自分に向けた。

 陽神亮太は、自分と同じように迷っているのだと思っていた。
 だからこそ、彼を迷わせる存在を排除し、正しく自分を見てくれない亮太を癒そうと考えた。

 しかし、今日のことではっきりと分かった。
 亮太は最初から、何も迷ってなどいなかった。
 ひたすらに真っ直ぐに、自分と真摯なつき合いをしようとしていただけだ。
 ただ、その瞳に映っていたのが、繭の中に閉じ籠っていた方の繭香ではなかったというだけで。

 自分が宵の迷い蛾ならば、亮太は宵の闇を照らす灯火だ。
 赤々と燃え、闇の中で卑屈に丸くなっている蛹を、外の世界へと誘う存在。
 光に憧れる夜の虫たちを、常に魅了してやまない者。

 だが、そんな光を手に入れることは、迷い蛾である自分には決して敵わない夢だ。
 手を伸ばせば、自分の方がその身を炎に焼かれてしまう。
 永遠に届くことのない、切なく儚い虫の夢。

 恋敵を殺害し、暗闇に監禁し、最後は刃を突き付けて脅しても、亮太の心が折れることはなかった。
 自分には、最初から光を手にすることなど不可能だったのだ。
 ならば、せめて最後はその光に、身を焦がすことを承知で飛び込むしかない。

「もう……こうするしかないよね……。
 私と亮太君が、永遠に一緒になるには……こうするしか……」

 何かにとり憑かれたように、繭香はその言葉を繰り返す。
 そして、そのまま亮太の腕を押さえ、彼の手に握られたままの包丁を、自分の胸に突き立てた。


122 :迷い蛾の詩 【最終部・待宵草】  ◆AJg91T1vXs :2010/10/03(日) 19:39:30 ID:5Pit/50Q

 一瞬、何が起きたのか、亮太には分からなかった。
 包丁を持った亮太の腕を繭香が握り、それを繭香自身の胸に突き立てている。

 柔らかく、それでいて生温かい感覚が、包丁の柄を通して亮太の手に伝わった。
 それは、肉に刃がめり込む感触。
 刃の先端が突き刺さったその先から、赤い雫がゆっくりと滴り落ちてくる。

 鮮血が自分の指先を濡らした時、亮太はようやく目の前で起きたことを理解した。
 慌てて繭香の胸に刺さった包丁を引き抜こうと手をかけるが、刃は深々と彼女の胸に突き刺さったままだ。
 まるで、獲物に食らいついた鮫のように、その身体にしっかりと食い込んでいる。

「ま、繭香!!
 なにやってるんだよ!!
 いきなり……なんてことするんだよ!!」

「あはは……。
 ごめんね、亮太君……。
 でも、私にはもう……こうするしかなかったんだ……。
 こうやって、亮太君の手で殺してもらうことでしか……ずっと、一緒にいるための方法が……見つからなかったから……」

 胸元に深々と突き刺さった包丁と、止め処なく溢れだす真紅の液体。
 喉の奥からも血が昇り、繭香は思わず咳き込みながら、赤い飛沫を吐き出した。

「繭香……どうして……なんで……」

「私ね……本当は……醜い蛾なんだよ、亮太君……。
 醜い蛾が……光を求めるなんて……そんなことは……許され……ないの……」

「なに言ってるんだよ、繭香!!
 なんなんだよ、それ!!」

「だから……光と一つになるには……自分から炎に……飛び込むしかないの……。
 その身を……焼いてもらうことでしか……一つになる方法なんて……ないんだ……よ……」

「でも……だからって……こんな!!」

「亮太君……。
 私は……亮太君の心の中で……ずっと……一緒だよ……」

 だんだんと、繭香の視界がぼやけてきた。
 胸を刺した時に感じた激しい痛みも、今は殆ど感じられない。

 今ならば、迷い蛾が炎にその身を捧げる気持ちがはっきりと分かる。
 彼らは別に、無知から炎に飛び込んだわけではない。
 ましてや、衝動に駆られて自分を見失ったわけでもない。

 ずっと前から、彼らはきっと知っていたのだ。
 自分が光と一つになるには、その身を炎で焼く他にないことを。
 己の醜い姿を焼いてもらい、灰になることでしか、光を手にすることができないことを。
 焔に焼かれ、その一部になることでしか、ずっと一緒にいるための術がないことを。


123 :迷い蛾の詩 【最終部・待宵草】  ◆AJg91T1vXs :2010/10/03(日) 19:40:10 ID:5Pit/50Q

 繭香が殺したかったもの。
 それは他でもない、自分自身だ。
 最愛の亮太でも、彼を奪おうとした天崎理緒でもない。

 繭の中に籠る醜い蛹と、その殻を破って現れた不格好な蛾。
 そんな醜い己の内面を、自分はことさらに嫌悪していたのではあるまいか。

 だからこそ、自分は最愛の人に命を絶ってもらうという選択をした。
 愛する者に、その身を焼き尽くしてもらうことで、醜い己の姿は美しく浄化される。
 そうすることで、初めて焔の光と一つになることができるのだ。

(私……天崎さんに、酷いことしちゃったな……。
 殺すことなんてしなくても……私が亮太君と、永遠に一つになることはできたのに……)

 目の前で、亮太が自分のことを呼ぶ声がする。
 しかし、その声でさえ、繭香の耳には徐々に届かなくなってくる。

「ご、ごめんな……さい……」

 薄れゆく意識の中で、繭香は最後に一言だけ呟いた。
 ごぼっ、という濁った音がして、口から赤黒い血の塊が吹き出る。

 その言葉は、自ら殺めてしまった理緒に対するものなのか、それとも、狂気から闇に閉じ込め続けてしまった亮太に対するものなのか。

 亮太が繭香の言葉を聞いた時、その答えを知る者は、既に彼の腕の中で息を引き取った後だった。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




124 :迷い蛾の詩 【最終部・待宵草】  ◆AJg91T1vXs :2010/10/03(日) 19:40:55 ID:5Pit/50Q
 八月は、一年の中でも最も暑い月の一つだ。
 真夏の蒸すような重苦しい空気は、夜になっても一向に涼しくなる気配を見せないでいる。

 月野繭香の起こした一連の事件は、公には発狂の末の自殺として発表された。
 当初は亮太が警察から疑念の目で見られることになったが、彼も直ぐに釈放されることとなった。

 あの後、月野家の地下から発見された、亮太を監禁していた際の生々しい痕跡。
 それに加え、今までの一連の出来事を、主観的にではあるが克明につづった繭香の日記。
 それらの物証が上がるにつれ、警察もまた、亮太の話を信じざるを得なかった。

 思い込みから恋敵を殺害し、更には想い人を監禁するという前代未聞の事件。
 だが、それでも未成年が引き起こしたものとして、事件そのものが公の場で騒がれることは殆どなかった。
 学校と、繭香の両親の力もあり、全ては闇に葬られたのではないかと亮太は思っている。

 早瀬川に沿って作られた遊歩道を、亮太は何をするでもなく自転車を押して歩いた。
 あの日、繭香がこの世を去ってから、彼の心の中に残るのは強い罪悪感の念だけだ。

 自分が繭香のことを意識していたのは、いつの頃からなのだろうか。
 初めて出会った時から、なんとなく不思議な感じのする子だとは思っていた。
 その気持ちが好意に変わるのも、そこまで時間がかからなかったように思う。

 好意を抱いているからこそ、彼女とは真摯に向き合いたい。
 そう思って行動してきたつもりだったが、繭香が亮太に求めていたものは、亮太の意図したものとは似て異なっていた。

 繭香が悩んでいる時は力になり、繭香が寂しそうにしていれば声をかける。
 そんな当たり前の優しさではなく、彼女が欲していたのは無償の愛だ。
 前置きも、飾りもいらず、ただ自分の全てを受け止めて欲しいという純粋な気持ち。

 地下に監禁されてからも、自分はどこかで繭香を救おうと考えていた。
 心を病んでしまった繭香を、なんとかして元の繭香に戻そうと考えていた。

 しかし、それは繭香にとって、要らぬ世話に他ならなかったのだろう。
 なぜなら、病んでいるか否かに関係なく、繭香はただ、亮太に自分のことを見て欲しいと思っていただけなのだから。

125 :迷い蛾の詩 【最終部・待宵草】  ◆AJg91T1vXs :2010/10/03(日) 19:41:32 ID:5Pit/50Q

 事切れる直前に、繭香は自分のことを醜い蛾と言った。
 そして、自分から炎に飛び込むことでしか、光と一緒になることはできないとも。

 月野繭香という少女を迷い蛾に例えるならば、陽神亮太は間違いなく、闇夜を照らす灯火だった。
 暗い繭の中に閉じ籠り、本当の姿を晒すことを恐れ続ける卑小な蛹。
 その蛹を、宵闇に誘うようにして揺らめく赤い蝋燭の火。

 繭香が自ら死を選んだのは、間違いなく自分のせいだろう。
 他の人間からすれば、単なる自意識過剰に思われるかもしれない。
 だが、それでも亮太は自分の繭香に対する接し方が、今さらになって悔やまれた。

 灯火になって光を与えようとしたからこそ、繭香は壊れ、散ってしまった。
 では、自分は繭香にとって、どうあるべきであったのか。

 ふと、足元に目をやると、夏の夜風にマツヨイグサの花が揺れていた。
 繭香と初めて一つの傘を差して帰った日に、道端に咲いていた黄色い花。

 マツヨイグサは、その特性から、夜に活動する昆虫によって受粉の手助けをしてもらう。
 昼間、青空の下を優雅に飛んでいる蝶ではなく、夜の帳が降りた世界を舞う迷い蛾の力を借りるのだ。

 宵の闇を待って花を開き、月を眺めて迷い蛾を待つ。
 避けることも、拒むこともせず、花びらの全てを使って包み込むように、迷える蛾をその花の中に受け入れる。
 繭香にとって、自分はそんなマツヨイグサのような存在であるべきではなかったのか。

「繭香……」

 風に揺れる花を見つめながら、亮太は独り繭香の名前を呟いた。
 もっとも、いくら名前を呼んだところで、彼女は決して戻ってはこない。

 気がつくと、亮太の側を一匹の白い蛾が舞っていた。
 足元に咲くマツヨイグサには目もくれず、亮太の周りをくるくると舞っている。
 不器用に、それでも懸命に羽ばたいて、迷い蛾は月明かりの下で舞い続けた。
 まるで亮太に自分の存在を示すかのように、強く、一心にその羽を動かして。

 早瀬川の水面を、少し強めの夜風が撫でる。
 その風に乗るようにして、迷い蛾は名残惜しそうに舞いながら、月に向かって空へと昇って行った。


―――― ずっと、一緒だからね……亮太君……。


 月夜に消える迷い蛾の姿を追いながら、亮太は自分の横をすり抜ける風の中に、そんな繭香の声を聞いたような気がした。


126 : ◆AJg91T1vXs :2010/10/03(日) 19:45:43 ID:5Pit/50Q
 以上、投下終了です。

 ステレオタイプなヤンデレ像を追いかけていたら、何時の間にやら鬱endにしかならなくなってしまった……。
 ハッピーエンドを期待していた皆さま、ごめんなさい。

 ただ、ヤンデレだから全て悲劇で終わるのが正しいとは、当然、自分も思いません。
 次に新ネタ投下する際は、もう少し救いようのある話を作ってみたいと思います。

 兎にも角にも、ヤンデレSS初心者の投下に最後までお付き合い頂いた方々に感謝いたします。
 しばらくは投下も自重しますが、新ネタが出来た際には、またよろしくお願いいたします。

127 :名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 19:47:04 ID:6zYZpxGg
GJすぎる、良いラストだった

128 :名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 19:55:30 ID:YikQNlwR
両者ともにGJ
迷い蛾終わっちゃうんだね、お疲れ様です
ヤンデレにハッピーエンドは来ないのかな

129 :名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 19:59:03 ID:JaTOFKC8
GJ
切ないラストだが、良いもの読ませてもらいました

130 :名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 20:25:45 ID:QoXC8jP5
>>126 GJ!終わり方がとても綺麗でした!

131 :名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 20:42:02 ID:vDlSdb3z
目から汗が…
お疲れ様です。

132 :名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 22:17:40 ID:ORtNCy54
二人ともGJ!お疲れ様です
ニアミスなんて珍しいこともあるもんだ

133 :名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 22:52:15 ID:Z2ehQNJT
ドラゴンファンタジー出る女全てがヤンデレ臭を放ってる

134 :名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 23:04:22 ID:5qz6q/FU
迷い蛾完結お疲れさまでした

切ないENDが良かったです


135 :名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 23:30:12 ID:/TXApDBj
GJ!
 迷い蛾、今まで楽しませていただきました!
 ひでぇエンディングも予想していましたが、実際は物悲しくもどこか美しい終幕だったと思います。

136 :名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 23:50:41 ID:CHVJ3sGR
……


ええかった

137 : ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/04(月) 00:30:58 ID:BR/Y4UC5
感動中のところ申し訳ありません。
触雷!第17話投下します。

138 :触雷! ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/04(月) 00:31:38 ID:BR/Y4UC5
僕は晃に抱きかかえられたまま、彼女の家の奥深くまで引き摺られていった。
そして、プロレス用の練習場までたどり着いたところで、床に押し倒される。
「あの……」
「まずは、あのメイド豚のことから話してもらおうかなあ」
「そ、総日のみんなのところに行かなくていいの?」
「相変わらず、詩宝は鈍いね」
晃は完全に僕にのしかかり、馬乗りになって顔を近寄せてくる。
息がかかりそうな距離で見つめられ、僕は蛇に睨まれた蛙のようになった。
「ひ……」
「あんなの口実に決まってるじゃん。詩宝を成金豚から助け出すためのさ」
そのために長木さんを巻き込んだのか。僕は身震いした。
「さあ、早く白状して!」
「わ、分かったよ……」
僕は怖さのあまり、紅麗亜と出会ったときのことから話し始めた。
紅麗亜が道で行き倒れていたこと。
その後、紅麗亜が僕のメイドになったこと。
紅麗亜が中一条先輩を警戒して、僕を家から出さなかったこと。
「……という訳なんだ」
「ふーん。それって、明らかに詩宝、はめられてるよね? 屋敷もカードも持ってる女が行き倒れるわけないじゃん」
「そ、それはそうだけど……」
その疑問は、僕も抱かなかったわけではない。しかし、紅麗亜が怖すぎて言いだせなかったのだ。
「まあいいや。じゃあ次に、なんであの成金豚と婚約なんかしたの? あたしいつも言ったよね? あいつは詩宝をからかってるんだって」
「そ、それは……」
僕は、偽の婚約披露宴で先輩の家に行ったこと、そこで先輩をレイプし、婚約することになったことを話した。
例の“カリキュラム”については、さすがに言いだせなかったけど。
「薬だね」
僕の話を最後まで聞いた晃は、即座にそう言った。
「薬?」
「そう。媚薬みたいなのを盛られたんだよ。そうでもなきゃ、詩宝があのデブスに欲情なんかするわけないじゃん」
先輩は太っていないし、絶世の、と言ってもいい位の美人だけど、そう言われてみれば、思い当たる節がないでもなかった。
先輩にお茶を勧められて飲んでから、何かおかしくなったような気がする。
「でも、どうして先輩はそんなことを……?」
「あの性悪豚のことだからね。詩宝を困らせて喜んでたんだよ」
そんなことのために、先輩はわざわざ自分の貞操を犠牲にするだろうか。
僕は腑に落ちなかったが、晃があまりにも断定的に言うので、口に出せなかった。
「成金豚を襲う前に、何か食べさせられたり飲まされたりしなかった?」
「お、お茶を何杯か……」
そう晃に言うと、彼女は我が意を得たりとばかりに頷いた。
「やっぱりそうだ。よし、病院に行って検査してもらおう」
「検査?」
「そう。薬を盛られたって証明するの。そうすれば、あの成金豚と手を切れるでしょう?」
晃は僕の上からどくと、僕を引き起こし、無理やり外に連れ出した。


139 :触雷! ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/04(月) 00:32:37 ID:BR/Y4UC5
タクシーに乗り、移動することしばし。
僕達は、かなり大きな病院に到着していた。
「ここって……」
「ドーピング検査では、かなり定評のある病院だよ。ここで検査すれば、一発で分かるって」
「ははあ……」
僕は晃に引き摺られるように、病院に入っていく。
正直、先輩が僕に薬を盛ったとは、信じたくなかった。
いつも僕に親切で、優しくしてくれた先輩。
その先輩が、僕を陥れるようなことをするなんて……
晃は受付で、何やら話をしていた。やがて看護師さんがやって来る。
「こちらです」
案内されて医務室に入ると、初老の医師が僕達を待っていた。
「では、検尿をお願いします」
晃が、あらかたの話を付けていたらしく、検査はごくスムーズに進んだ。
検尿のサンプルを医師に渡し、晃と待合室で待つ。
『紬屋詩宝様、お入りください』
名前をアナウンスされて医務室に入ると、早速結果が伝えられた。
「いや、これはひどいですな」
「と言いますと……?」
「興奮剤に精力剤、勃起促進剤に性欲増進剤が大量に検出されました。これでは、どんな紳士でも一発で無差別強姦魔になってしまうでしょう」
「そんな……」
やっぱり先輩は僕を陥れていたのか。暗澹とした気分になった。
「それじゃ先生、診断書ください」
僕と対称的に、満面の笑みを浮かべた晃は両手を差し出し、診断書を受け取った。
タクシーに乗って、再び晃の家に向かう。
その途中で、晃の携帯電話が鳴った。
「はい。もしもし……何? あいつが……ふーん。分かった」
晃は携帯電話を切った。
「どうかしたの?」
僕の問いには答えず、晃は運転手さんに言う。
「行き先、変えてください」
着いた先は、ビジネスホテルだった。
「家に帰らないの?」
「んー。しばらくはね。めんどいことになりそうだから」
「そ、そう……」
何か事情がありそうだったが、教えてくれそうな雰囲気ではなかったので、あえて聞かなかった。
チェックインして2人で部屋に入ると、間髪をいれずに晃が言った。
「それじゃ早速、電話しよっか」
「で、電話ってどこに……?」
「成金豚んところだよ。婚約解消しなきゃ」
「え……」


140 :触雷! ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/04(月) 00:34:13 ID:BR/Y4UC5
「え、じゃないだろ」
晃は僕をベッドの上に投げ飛ばすと、僕に覆いかぶさって耳元で言った。
「詩宝が成金豚を襲ったのは薬のせいなんだから、婚約は無効じゃん。あたし、間違ってるかなあ?」
「そ、それは……」
「どうなの?」
カプッと耳たぶを噛まれた。僕は返答に詰まる。
確かに、晃の言うことは筋が通っている。
しかし、あの先輩が、電話一本で婚約解消を告げられて、はいそうですかと納得するだろうか。
そんなわけがない。
むしろ、天地開闢以来の修羅場が巻き起こる可能性大だ。
それに、ただでさえ酷い目に遭っていた道善さんがどうなることか。
命があるかどうかすら怪しい気がする。
「だ、大事な問題だから一晩考えさせてもらって……」
「だーめ」
晃の、僕を抱く腕の力が強くなった。息が苦しい。
「ううっ」
「せっかく成金豚の陰謀を暴いてあげた、あたしの厚意を無にする気? 今すぐ電話するの!」
「で、でも、そういうことは電話じゃなくて直接会って言った方が……」
「それも駄目。あの成金豚が、逆ギレして詩宝に暴力振るうかも知れないでしょ。電話でさよならするのが一番なの」
「わ、分かったよ……」
息も絶え絶えに言うと、ようやく晃は僕を放した。
「ほら、早く早く」
晃は顎をしゃくり、部屋に備え付けの電話機を示した。
こうなったら、なるべく先輩を刺激しないように、婚約の解消を持ちかけるしかない。
僕は電話機のところに行き、受話機を取ると、震える手で先輩の携帯電話の番号をプッシュした。
何回か、呼び出し音が鳴る。
いっそ出ないでくれれば、ありがたい。
しかしその期待も虚しく、先輩の声が聞こえた。
『誰よ!?』
物凄く不機嫌そうだ。僕は思わず悲鳴を漏らしてしまった。
「ひっ! あ、あの……」
『え……詩宝さん? ご、ごめんなさい。非通知だから詩宝さんだって分からなくて……』
先輩の声が、急に柔らかくなった。もっとも数十秒後には、どうなるか分からないが。
『ずっと探しているんです! 今どこにいるんですか!?』
「あ、あの。それがですね……ちょっと病院に行ってまして……」
『病院!? どこか悪いんですか? だったらすぐうちの系列の病院に……』
「いえ、そうじゃないんです」
呼吸が苦しい。スーハーと、僕は深呼吸した。
『詩宝さん?』
「そこで、検査してもらったら、いろいろお薬を飲まされてたみたいで……」
受話器の向こうで、先輩が息を呑むのが分かった。
『あの、詩宝さん。それは……』
「それで、婚約のことなんですけど、一度白紙に戻してもらっていいですか? いや、別に、縁を切るとかじゃなくて、ゼロベースでもう一度考え直すと言うか……」
ガチャ
突然、通話が切れた。
見ると晃が、受話機を置くところを指で押していた。
「もう十分だよ。これ以上、話す必要ないって」


141 :触雷! ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/04(月) 00:36:51 ID:BR/Y4UC5
「さあて。こっちこっち」
晃はベッドに座り、僕にも隣に座るように促した。
並んで座ると、晃は僕の肩に腕をかけてくる。
「で、どうなの?」
唐突に晃が質問してきた。でも、何を聞かれているのか分からない。
「どうなのって、何が……?」
「とぼけるんじゃないよ」
晃は両腕で僕の頭を抱えるようにした。軽いヘッドロックだ。
「いたた……」
「詩宝はね、あの成金豚のせいで、一生を台無しにするところだったんだよ?」
「た、確かにそうだけど……」
「で、それをあたしが救ってあげたわけだ」
「……そうだね」
「だったら、そのあたしに、それなりの誠意を見せるのが人として正しいあり方じゃないの?」
「せ、誠意?」
「そう。早く誠意見せなよ」
まるでヤクザの脅迫だった。
ただ違うのは、ヤクザが『誠意を見せろ』と言えば金銭の要求を意味しているわけだが、晃が僕にお金を要求しているとは思えないところだった。
中一条グループには遠く及ばないが、晃の家は僕の家よりずっと金持ちだ。
わざわざ金をせびる必要はない。
「せ、誠意と言われても、具体的に言ってくれないと……」
「何? 女に言わせるの?」
ヘッドロックが強くなった。意識を失いそうだ。
そのとき、僕の脳裏に幼い日の記憶が蘇った。
確か、僕は晃にプロレス技を極められ、プロポーズをさせられた。
こうなったら仕方がない。僕は駄目元で言ってみた。
「あ、晃……僕と付き合って……」
「ふうん」
ヘッドロックの締めが、大分緩んだ。どうやら正解だったようだ。
「それって遊び? それとも結婚前提?」
「……結婚前提で」
「よろしい」
ウヘヘヘと笑いながら、晃は僕の頭を解放した。
「……自分で言っておいて何だけど、男の振りしてるのに、僕と付き合って大丈夫なの?」
「隠れて付き合えば大丈夫。女ってばれたらばれたで、別にいいし」
あまりにもあっけらかんとした回答で、僕は拍子抜けした。
でも、これから、どうなるんだろうか。先輩の家には当然帰れないし、僕の元の家も、先輩の所有だから入れない。そんな僕の心配を見透かしたように、晃は言った。
「しばらくは、あたしの家にいればいいよ。もっとも、今すぐには帰れないけどね……」
「そ、そう……」
「そんなことよりさ」
「?」
「エッチしよ。恋人なんだから」
「え?」
次の瞬間、僕の体は晃に軽々と抱え上げられ、ベッドに倒された。そのまま、力ずくでシャツやズボン、下着を脱がされてしまう。
腕力で圧倒的に劣る僕は、これに全く抵抗できなかった。
「ちょ、ちょっと待って……」
「嫌」
僕を全裸に剥いた晃は、自分の服も脱ぎ捨てた。そして僕に馬乗りになる。
「ううっ……」
「ふふっ。どう? あたしの裸」
僕は晃の体を見上げた。少し筋肉が浮き出ているが、基本的にはウエストのくびれた、モデル体形だ。
胸は、異常なほど大きい。
小さくするためと言われて、毎日のように僕がマッサージさせられていたのだが、全く効果がなかったようだ。
「どうって……」
「言葉も出ないんだ。それじゃ、いただきまーす」
晃が体を、僕の方に倒してくる。唇と唇が重なり、晃の舌が僕の口の中に侵入してきた。


142 : ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/04(月) 00:37:29 ID:BR/Y4UC5
今回は以上です。
また近いうちに投稿いたします。

143 :名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 00:48:23 ID:+ZAXvtVb
すばやくGJ!!
起きてて良かった

144 :名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 01:12:01 ID:sbIyDOyD
>>142GJ!

>>143同感だ。起きててよかった。

145 :名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 01:29:40 ID:dhq/HLX4
触雷きたフォォォォォォ!!!

146 :名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 01:54:52 ID:xW+2at+Z
とうとう晃も絡んできたか。これで話がおもしろくなってきたな

GJ

147 :名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 02:15:46 ID:NVCxp7s1
>>142
GJ
ドMの俺にはたまりませんなぁ

148 :名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 02:24:07 ID:POPCiea5
GJ!!!!

149 :名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 04:15:36 ID:PYjr4tH8
 _  ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!
( ⊂彡 おっぱい!
|  |
し⌒J


150 :名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 13:21:25 ID:cLa/+Er9
台無しになるところを救われ、更に台無しにされるとは!

相手が変わっただけという

151 :名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 13:24:58 ID:kOZXC0/S
なんという総受け主人公w
意志の弱さに関しては業界随一だな。
 

152 :AAA:2010/10/04(月) 16:39:39 ID:mJMh1lI5
主人公哀れ・・・

書き込みの仕方また間違ってたらスイマセン。

153 :名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 17:36:37 ID:R3LpJgKJ
こう定期的に投下してくれるのはいいな
どんな作品も長く間が空くと駄作になる

154 :名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 18:14:31 ID:Bam9pmw6
またお前は余計な事を言う!

155 :名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 18:34:55 ID:PsUP2l9T
>>153
それはお前だけだバカ


156 :名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 18:47:07 ID:NVCxp7s1
そろそろスルー覚えようか

157 :名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 19:12:07 ID:OnA8JtVb
ドラゴンファンタジーも乙

今まで読んでなかったから保管庫で一気読みした

普通に歴史大河モノとして面白い…てか初期と後期で主人公別人W

158 :名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 21:24:05 ID:o3S0SbbH
『キモオタと彼女』と『山姫と海姫』以外に容姿が良くない主人公の話ってある?

159 :名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 22:31:26 ID:3YlMb2N3
 あとは「ウェハース」の主人公がぽっちゃり体系だったくらいか?
 ほかはちとわからん。

160 :ヤンデレの娘さん 義姉の巻:2010/10/04(月) 22:56:27 ID:3YlMb2N3
 皆様こんばんわ、今日のような月のない夜はヤンデレ娘が歩いてそうですね。
 と、いうわけでヤンデレの娘さんのモノです。
 今日は姉キャラ登場ですよー。
 家事万能でしっかりものでスパルタでツンデレでヤンデレなおねーさんですよー。
 でも主人公とフラグはたたない。
 誰得!?
 というわけで投下させていただきます。

161 :ヤンデレの娘さん 義姉の巻:2010/10/04(月) 22:57:00 ID:3YlMb2N3
 今日も今日とてゆるゆる過ごし、やがて気付けば下校時間。
 日と月がバトンタッチをする時間、夕日が二つの影を伸ばしている。 
 「そう言えば、緋月の兄貴ってウチの生徒会長やってたんだって?三年くらい前に」
 中でも長い方の影の持ち主、って要は俺、御神千里はいつものようにみんなとゆるゆるとダベる。
 「…はい、お兄ちゃんが生徒会長で、お姉様が副会長だったと聞いています」
 そう応じるのは小さく細い影の持ち主、緋月三日。
 相変わらず華奢で細身なので、無駄にデカい俺と並ぶと兄妹のようにも見えるが、実際はそろそろ名前呼びイベントとか欲しい時期の恋人同士である。
 「俺も今の生徒会長から聞いただけだけど、ハンパ無いイケメンで破天荒つーかアグレッシブな人だったとかー」
 今年度の生徒会長を思い出しながら俺は言う。
 俺と緋月の交際を聞いた美少女狂いの彼女が、珍しくいろいろと緋月の兄、緋月一日(ヒヅキカズヒ)に話してくれたのだ。
 曰く、不正を是正するために学生運動まがいの大騒ぎを起こしたとか、曰く告白してきた百人近くのの女子をことごとく振ったとか、曰く学園中の生徒から慕われていたとか曰く―――いやこの先は止そう。
 「…はい、どんな相手にも物おじしない人で、頭とかもすごい良い人なんです。…憧れの、自慢のお兄ちゃんです」
 俺の言葉に緋月は憧憬のこもった目でそう言った。
 「……ふぅん」
 実際、憧憬に値する人物なのだろう。
 あの美少女狂いの変人でさえ明らかな尊敬した口調だったし。
 …緋月も、兄のことを語る時は何となく気安い感じだし。
 「嫉妬!?」
 「いやいやいや」
 緋月の過剰(?)反応をいなしながら、俺はゆるゆる歩を進める。
 「…私は、こちらなので」
 「んじゃなー」
 「…はい、また明日」
 途中で、緋月と別れた俺は1人、今の友人関係に想いを馳せる。
 葉山と緋月は最初は随分仲が悪いと思ったが、最近は随分話せるようになってきたと思う。(葉山は、もう諦めたと言っていたが)
 明石はしばしば葉山にアプローチらしきものを仕掛けているが、全くもって気付かれる様子は無い。
 けれど、決して仲が悪いようには見えないので、希望はあるんじゃないだろうかと思う。
 そして、緋月と俺。
 正直なところ、俺の中には最初アイツに対して積極的な感情は無かった。
 ただ、アイツの頑張る姿が何か良いな、と思っただけだった。
 今でも、アイツへの感情が激しいものだとは思わない。
 けれど、アイツといるのは悪くないと思う。
 世話のかかる面はあるけれど、世話をするのは嫌いじゃない。
 恋人としてはいささか踏み込みすぎている部分はあるかもしれないが、俺自身としてはそれに不満は無い。
 別に、うるさくされてる訳でもないしな。
 まぁ、熱烈に愛する対象と言うよりは、家族みたいなモン?
 まぁとにかく、アイツといる時間は嫌いじゃない。
 正直、好き、なんだと思う。
 これからもそんな時間をアイツと過ごしていきたいと思うし、アイツがそれを望んでくれているなら嬉しく思う。
 それは、積極的な感情、なのかもしれない。
 そんなことを思いながら、部屋のドアを開ける。
 「ただいまー」
 誰もいるはずの無いマンションの室内に、俺は呼びかける。
 うん、いる「はず」の無い「はず」だ。
 今日は親は遅いし、他に(緋月を勘定にいれなければ)家族は居ない。
 だから、この家に今俺意外に誰もいない。
 そのはずだった。

162 :ヤンデレの娘さん 義姉の巻:2010/10/04(月) 22:58:12 ID:3YlMb2N3
 「おかえりなさい…。今日は、早かったのですね…」
 そう言って姿を現したのは、見覚えの無い女性だった。
 年齢は恐らく、俺達より少し年上、10代後半から20代前半といったところか。
 俺ほどでは無いが背は高い。
 シミ一つない陶磁器のような肌が特徴的だ。
 目鼻立ちは日本人形のようにクセ無く整っており、夜空の色をした眼は吸いこまれそうな魅力がある。
 ハッとするほど美しい黒髪も相まって、奥ゆかしげな和風美人といった雰囲気。
 ただし、首から下は全然奥ゆかしく無い。
 プロポーションが良すぎるくらいに良い。
 グラビアアイドルがハダシで逃げ出す位に肉感的である。
 淫微と言っても良い。
 なまじ一挙一動が優雅なので、逆に惹きつけられる。
 彼女と言う人間そのものが、ある種の芸術品のように見えた。
 そして、彼女はその美しい手足を惜しげも無く俺の眼にさらしている。
 彼女の体を隠しているのは、エプロン一枚に見える。
 いわゆる裸エプロンである。
 正直、引いた。
 ……これは、笑うところなのだろうか。
 そもそも、この状況は何なんだ?
 親がデリヘル嬢でも呼んだのか?
 あの人、女装好きの変態ではあるけれど、ゲイってわけじゃないからな。
 俺にはそんな素振りを見せないだけで結構溜まっている筈―――ってそんな話で無く。
 「……ええっと、すみません」
 俺は何とか、彼女に対する言葉を絞り出す。
 「はい、何でしょう、義弟くん…」
 その女性は、いちいち優雅な動作で応じる。
 服装が裸エプロンなんでそれが逆にエロい。
 平静を装わなきゃならんこっちの身にもなって欲しい。
 って言うかオトウトくん?そう言う設定なのか?」
 「失礼ですが、どちらさまでしょうか?俺――僕と貴女は今日初めてお会いするものだと思うのですが」
 目上の相手なので、一人称を言いなおし、なるべく丁寧に聞いてみる。
 「あら、それは失礼…。では、私のことは通りすがりのお義姉様とでも呼んで下さい…」
 じゃあそのまま通り過ぎて頂きたい。
 って言うかおねーさま、って何よ?
 「もう少ししたら、食事の準備が整いますから…。ゆっくり、待っていてくださいね…」
 「いや、あの…」
 「待っていてください、ね…」
 穏やかながら、どこか有無を言わせぬ口調でそう言って、おねーさんはナチュラルにキッチンへと戻る。
 キッチンからは彼女の言葉通り美味しそうな匂いが漂ってきている。
 そこは俺の場所だ。
 つーか、答えを見事にはぐらかされた。
 「答える気は無いってコトか…」
 俺はカバンを放りだし、リビングにゴロ寝する。
 取りあえず、あの女性は放置しよう。
 恰好がアレなだけで、取りあえず害は無いっぽいし。
 ……それにしても裸エプロンの美女と二人っきりか。
 ……緋月の奴に知れたらあらぬ誤解を招きそうな状況である。
 ピンポーン…ピンポーン…
 そんなことを考えていると、家のチャイムが鳴る。
 「義弟くん、出ていただけますか…?」
 キッチンからおねーさんの声が聞こえる前に、俺はもうインターホンに応じている。
 「はいはい、御神です」
 『…御神くん、…ドアを開けていただけませんか…?別に、怒ってるわけではありませんから…』
 インターホンのマイク越しに聞こえのたは、緋月の声だった。
 随分と押し殺したような声だった。

163 :ヤンデレの娘さん 義姉の巻:2010/10/04(月) 22:58:55 ID:3YlMb2N3
 「おっけー。今開けるね。でもどうしたん?さっき別れた所なのに…」
 ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン
 「話してる途中にチャイムを鳴らすなよ!」
 ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピピンポンピポンピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポ…
 「分かったから分かったから。今開けるからそんな高速でチャイムを押すなって。近所迷惑だから」
 ピポピポピポピピピピピピピピピピピーーーーーーー!
 高速で押しすぎて、連打が線のようになってる。
 …微妙に分かりづらいが、どうも緋月は怒っているらしい。
 この感じだと、下手をしたら過去最高クラスかもしんない。
 無警戒にドアを開けたら、ちょっと厄介かもしれない。
 軽く注意しつつ、俺はドアを開ける。
 「うわあああああああああああああああん!」
 ガチャリ、と開けた瞬間、涙目の緋月が飛び込んできた。
 ナイフを振り上げての、渾身の体当たりだった。
 ―――ってナイフはヤバイバ!

164 :ヤンデレの娘さん 義姉の巻:2010/10/04(月) 22:59:19 ID:3YlMb2N3
 咄嗟に身を捻ってかわす。
 「ひぎゃ!」
 そのままの勢いでびたーん!と床の上にころぶ緋月。
 「あ、ごめん…」
 意外と痛そうな音に、思わず謝る俺。
 取りあえず、転んだ時に緋月の手から離れたナイフは俺が確保しとこう。
 コイツにこんなモンを持たせるのは、赤ん坊に核ボタンを持たせるようなものだ。
 そんなことをしていると、緋月が鼻を押さえながらも起き上がり、俺に向き合う。
 「うわきものうわきものうわきものうわきものうわきものうわきものうわきものうわきものうわきもの〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
 涙目になりながら、ぽかぽかと俺の胸板を叩く緋月。
 本人としては殴ってるつもりなのだろうが、コイツの基本スペック(攻撃力とか)は低いので大して痛くは無い。
 「ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
 ぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽか
 こう言うテンションの緋月は珍しい。
 「いやまぁ、取りあえず落ち着けって」
 くしゃくしゃと緋月の頭を撫でながら、俺は言う。
 「私がいないからって、裸エプロンといやらしいことをしようとするなんてぇ!お姉様となんてぇ!うわーん!ころしてやるころしてやるころしてやる〜〜〜〜〜!」
 ぽかぽかぽかぽかぽかぽか
 「いやいや、やらしーことなんて何もないって。誤解だって」
 ぽかぽかと俺の腹を叩き続ける緋月の頭をくしゃくしゃと撫でる。
 …しっかし、何で裸エプロンのおねーさんがウチに居るなんて知ってるんだろ、緋月は?
 「失点」
 その時、冷たい感情をのせた声が、その場に響いた。
 「想定していたよりも2分55秒も到着が遅れましたよ、三日…。この遅れは致命的にもなりえます…」
 そう言ったのは、噂のおねーさまだった。
 美しい黒髪をゆらりと揺らし、何ら動じることなく言葉を紡ぐ。
 美しい黒髪……?
 彼女の髪に妙な既視感を覚え、思わず緋月を見る。
 緋月の髪はおねーさんと同じくらい艶やかな黒髪だ。
 いや、髪だけでは無い。
 真っ白な肌も、癖の無い顔立ちも、緋月とおねーさまはどこか似ている。
 面影が、ある。
 「…お姉…様」
 おねーさまの言葉に、緋月はビクっとおとなしくなる。
 「…二日(ニカ)、お姉様…」
 緋月は、裸エプロンの女性を見て、そう言ったのである。




















165 :ヤンデレの娘さん 義姉の巻:2010/10/04(月) 22:59:49 ID:3YlMb2N3
 緋月二日(ヒヅキニカ)
 正直、彼女について俺が知ることはそう多く無かった。
 緋月三日の姉で、緋月家長男の緋月一日(ヒヅキカズヒ)の妹。
 19歳の大学生。
 緋月家の家事担当。
 そして、緋月三日が誰よりも恐れる相手。
 それが、その人が今目の前に居た。
 「さぁ…、冷める前に召し上がりなさいな…」
 いつの間にかダイニングに食事を並べ終え、裸エプロンのおねーさまこと、緋月二日さんは言った。
 我が家のダイニングは、完全に二日さんの天下だった。
 ちなみに、二日さんはいつのまにか清楚なロングスカート姿に着替えている。
 「「いただきます」」
 取りあえず、俺と緋月(妹の方ね)はそろって手を合わせる。
 二日さんが用意してくれたのは、ハンバーグだった。
 ワインの香りが上品なソースが香る、上品な感じの逸品である。
 「しかし、驚きましたよー」
 俺は、ナイフでハンバーグを切り分けながらそう言った。
 「緋月―――三日さんのお姉様が我が家にいらっしゃるなんて。しかも、食事までご用意していただくなんてありがとうございます。事前に仰っていただければ、おもてなしの用意をしておきましたのに」
 正直なところ、緋月まで来るのなら自分で作りたかったというのが本音だ。
 アイツが俺の料理をキラキラした目で頬張る姿を見るのは俺の楽しみの1つだし。
 俺の言葉に、二日さんは薄く微笑む。
 「お気遣い無く…。妹の恋人である貴方は、いずれ私達の家族になるのですもの…。家族が家族の所に来るのに、何の気兼ねも問題も無いでしょう…?」
 その言葉は、自分がここに居る理由を追求するなと言っているようにも聞こえた。
 ……ん、美味しいけどちょっとソースの酸味が強いかな?
 緋月(妹)はむしろもう少し甘めの方が好みっぽい気がするけど…
 もしかしてこのレシピ、本来は別の誰かのための料理なのかな?
 例えば、二日さんの一番好きな人とか。
 「と、緋月。口にソースがついてる」
 ふと、俺の横に座る緋月に声をかける。
 「「(…)はい(…)?」」
 緋月(彼女)と二日さんが同時に反応する。
 って、今この場には緋月姓は二人いるんだった。
 「ええっと、妹さんの方」
 「「(…)はい(…)」」
 いや、確かに二人とも上に兄姉がいるけれど!
 ここまでハモると確信犯なんじゃなかろーか!
 …とはいえ。
 「緋月三日よ」
 どうにも気恥ずかしいが、改めて聞いてみる。
 「…はい」
 「下の名前でお呼びしてもよござんしょか」
 「はい!」
 輝くような笑顔で答える緋月もとい三日。
 この笑顔をみられただけで、今日1日生きてて良かったと思わされる。
 ……それはともかく。
 「ところで三日。一体全体どーして俺ん家におねーさんが来てるって分かったん?俺も来てるの知らなかったのに」
 三日の頬についたソースを拭き取りつつ聞いてみる。
 「…私も全然知りませんでしたよぅ!お姉様が御神くんの家に来てるなんて。丁度家について、いつものように御神家監視カメラの映像を見て癒されようと思ったら、お姉様があんな恰好で映っていてぇ…」
 興奮した様子で答える三日。
 つーか今すげぇこと言いましたよね。
 監視カメラって…
 いやまぁ、今さら何されたって驚きゃしませんが、もう家ン中で迂闊なことはできやしないな。
 「あー、それじゃ誤解してもしゃーないか…」
 「それで、取るものも取らずに取り合えずナイフだけ持ってこっちに来たんです」
 「明らかに取らなくて良いものを取ってきてるよな!」
 思わず三日にツッコミを入れる俺とは対照的に、二日さんはどこか満足げに頷いている。
 「何を忘れてもナイフ一本は忘れてはいけませんからね、三日…。護身、殺害、料理…これ一本で何でもできますからね…。長いこと調きょ…もとい教育し続けた甲斐があります…」
 二日さん、あなたが原因ですか…。
 っていうか今調教って言いかけましたよね。
 緋月家の教育方針は色々と問題がありませんか?

166 :ヤンデレの娘さん 義姉の巻:2010/10/04(月) 23:01:43 ID:3YlMb2N3
 「……料理にはちゃんと調理器具を使った方が良いと思いますよ?」
 色々ツッコミどころはあったが、俺は取りあえずこれだけは言っておくことにした。
 「もちろん、料理は言葉の綾ですわ…。ですが、嫁入り前のか弱い娘が出歩くのに護身の術は必須…。そうでしょう、義弟くん…?」
 二日さんが当然のように言った。
 「―――俺はそのか弱い娘に殺されかかりましたがね、今さっき」
 俺は苦笑しながら言った。
 なまじ間違ったことは言っていないだけ性質が悪いな、この人。
 「…け、けれど、お姉様。…本当に浮気では無いんですか?」
 恐る恐ると言った風で二日さんに聞く三日。
 「浮気です」
 「ええー!」
 真顔で即答する二日さんに、目が飛び出んばかりに驚く三日。
 驚き過ぎてキャラが崩れている。
 「と、言ったらどうしますか…?」
 そう続ける二日さん。
 「…えう」
 二日さんの言葉に涙目になる三日。
 「…お姉様に本気になられたら、勝ち目なんて無いじゃないですか…」
 自分と二日さんを見比べて言う三日。(特に胸を)
 三日がそう言うのも分からんでも無い。
 実際、見た目的にも三日をパワーアップさせた感じだからな、二日さん。
 性格は正反対だが。
 「失点の失点ですね…」
 それを見た二日さんが冷たく言い放つ。
 「どのような相手であろうと自らの幸福を諦めるなど、緋月家の娘にあらざる態度…。自身の幸福の為なら全てを叩き潰しなさい踏みつけになさい蹂躙なさい!相手が肉親だろうと!友人だろうと!恋人だろうと!自分だろうと!」
 今までにないテンションの二日さんの言葉に、三日の表情が消える。
 「…はい、潰します。全ての喜びを怒りを哀しみを楽しみを。相手が例えお兄ちゃんだろうとお姉様だろうとお母さんだろうとお父さんだろうと朱里ちゃんだろうと御神くんだろうと私自身であろうとも…!この幸福を永遠にするために!!!!!!!!!」
 ガリ、とナイフを握る三日の手に力がこもる。
 「いやいや、そこで自分まで潰しちゃ駄目だよね?」
 くしゃ、と俺は三日の頭を撫でる。
 「おねーさんもあんまり妹さんをいじめないでやって下さいよ。ウワキなんざする気もさせる気も無いンでしょう?」
 三日を撫でながら俺は二日さんに言った。
 「それくらいの仮定と覚悟が無くして人を愛することなどできないでしょう…?何しろ恋は戦争、ですから…」
 「恋はまったり進行、とも言いますがねー」
 ハンバーグを頬張る俺の言葉に怪訝そうな顔をする二日さん。
 「誰の言葉ですか…?」
 「俺の言葉です」
 無駄にきりっとした表情で答えてやる。
 「それはそれはそれは……オメデタイ、ですね…」
 明らかに言葉通りでは無い表情で二日さんが俺を見る。
 なんつーか木から百回くらい落ちたサルでも見たような顔だ。
 「ところで義弟くん」
 唐突に話を変える二日さん。

167 :ヤンデレの娘さん 義姉の巻:2010/10/04(月) 23:03:05 ID:3YlMb2N3
 「何でしょう?」
 「学校での三日の具合はいかがでしょうか…?」
 「具合、ですか?健康状態に関しては、特に問題は無いようですね。ただ、体力は相変わらず無いようなので、栄養のつく物を食べさせてはいますが…」
 「いえ、そちらでは無く、ベッドの上での…」
 「まさかの下ネタ!?」
 この人、先ほどの恰好といい、微妙にオヤジ臭いな!
 「それで、実際のところはどうなのですか…?男女の仲になったからには、当然そうしたこともしているのでしょう…?ねぇ、三日…?」
 えらい冷たい流し眼で三日を見る二日さん。
 「はひぃ!」
 二日の口調には相変わらず穏やかな中に反論を許さない空気があり、三日は硬直する他無い。
 「ま、やることはやってますね。キスとかキスとかベロチューとか。最初の一回は白昼堂々で公衆の面前だったので、さすがに先生方から注意を受けましたよ」
 「と、いうことはそれ以上のことはやっていないということですね…。私にも欲情する様子はありませんでしたし、もしかして貴方―――」
 「紳士ですか?」
 「チキンですね」
 「……」
 今日会ったばかりの相手にひでぇこと言われた。
 「……褒め言葉として受け取らせていただきます」
 俺は渋い顔になりそうになりながらもそう言った。
 もし二日さんを襲ってたらnice boatな結末しか思い浮かばないから、本音ではあるのだが。
 チキンで死亡フラグを避けられるのなら、チキン万万歳である。
 「ああ、それとも女性に対しては勃たない人ですか?あるいは男性に対してしか欲情しないとか?父親の性癖を考えるとそちらの方が―――」
 「……」
 人の肉親を遠慮なく悪し様に言う二日さん。
 どうにも、人がイラっとくるポイントを突いてくる人だ。
 フォークを握る手に、少しだけ力がこもる。
 「誤解ですよ。俺はただ、そう言うのが顔に出ない性質でして」
 正直俺にしては珍しくかなりイラついているが、ここはサラっと流しておこう。
 何か、さっきから三日もビクついてて静かだし。
 ムカついたからって怒りを露にしたら、三日を無駄に不安にするだけだ。
 ここはむしろ怒った方が負けだろう。
 恋人の身内に対しては、心象は悪いより良い方が良いし。
 「そう言えば義弟くん…?夕食を作る前に少々、貴方の部屋を見させていただいたのですが…」
 二日さんがこれまた唐突にそんなことを言った。
 自分の家のようにくつろいで下さいとはよく言うが、それを本当に実践してる人だ。
 …今さら言うようだけど、そもそもこの人はどうやってこのウチに入ったんだろうか?
 「ベッドの下の春画の類を全てゴミに出させていただきました…」
 二日さんの言い回しに、一瞬ワケが分からなくなる。
 「シュンガって…」
 「いわゆるエロ本です」
 ベッド下に隠してた俺の素晴らしきコレクションを捨てたと申すか!
 「一通り見させて頂きましたが…、童女から熟女、セーラー服から和服、二次元から三次元まで、随分と節操無い系統の本を揃えましたね…」
 「ンなこと別にどうでも良いじゃないですかい…」
 何とかツッコミを入れるが、何か冷や汗はダラダラである。
 俺のコレクションが!?って言うか俺のプライバシーが!?
 「ああ…、でも、幾分かの共通項はありましたね…。表紙や内容から察するに、貴方は髪の長い女が好…」
 「ごめんなさいマジすいませんもう勘弁して下さい」
 よりにもよって三日の眼の前で自分の性癖を明かされるって、どんな拷問ですか。
 その彼女は顔を真っ赤にしながらも食い入るように俺を見てるし。
 「…御神くんは私以外の女で欲情するなんて…」
 訂正、三日は顔を真っ赤にしながら嫉妬のこもった視線を俺に向けている。
 …ドン引きされなかっただけマシだが、キツいことには変わりない。
 知らん内にコレクションまで捨てられてるし、俺のプライバシーがガシガシ浸食されとるし。
 ま、まあたかだか本だけどね!

168 :ヤンデレの娘さん 義姉の巻:2010/10/04(月) 23:04:22 ID:3YlMb2N3
 「まぁ、義弟くんにはあんな春画などこれからは必要ないのでしょう…?」
 何でもないような口調で仰る諸悪の根源二日サマ。
 居直り強盗よりも性質が悪い台詞だが、一体どういう意味だろう。
 「代わりに妹を使えば良いじゃないですか…」
 …は?
 「三日なら、性欲のはけ口としては適切で手頃でしょう…。この娘にあれらの本にあるようなコトをさせれば良いではないですか…。やり過ぎれば壊れてしまうかもしれませんが、あの娘の体など私には関係の無いことですから…。好きに好きなだけお使いなさいな…」
 自作のハンバーグを口にしながら、あくまでも優雅で穏やかに二日さんは言った。
 まるで、三日が目の前にいないかのように。
 どうにも、楽しくない態度である。
 いやまぁ、確かに、俺だって性欲はある。
 三日を抱きたいと思うことだってあるさ。
 けれど、ただそれだけの為の相手と言わんばかりの言い回しは好きじゃない。
 ましてや『関係の無い』なんて
 ましてや『壊す』なんて。
 そんな言葉、好きじゃないし、許し難い。
 「俺がアンタの立場なら―――」
 普段糸目にしてる目つきが自然と鋭くなるのが分かる。
 「身内を性欲のはけ口と認識するような奴を生かしちゃおかないでしょうね」
 俺は、努めて軽い口調で続けた。
 「ふう、ん…」
 俺の言葉を聞いた二日さんが、スッと目を細めた。
 「軽く叩きつぶしたと思ったのですが…、中々どうして生意気をやってくれますね」
 虚無の色をした二日さんの目が、俺を見つめる。
 うわぁ…
 こりゃ怖いわ。
 ぶっちゃけ感情とか全然見えない目なんだけど、その代わりに問答無用で圧倒する威圧感がある。
 隣で三日がガクブル震えてるのも良く分かる。
 こりゃトラウマになるや。
 そうして二日さんはカエルを睨むヘビのように俺を見つめていたが、やおら唇を動かした。
 「加点」
 はい?
 「どれだけ引っかき回してもまともに反抗しないので単なる木偶の棒かと思ったら、そうでも無いようですね…」
 クスクスと口だけで笑いながら、二日さんは言った。
 一体何だって言うんだ?
 「義弟くん、自分で気づいてましたか…?私が妹を『性欲のはけ口』と言った時、貴方はとても良い顔をしていましたよ…。とても良い怖い顔を、ね…」
 二日さんが続けた。
 「正直、私が扇情的な恰好で表れて何の反応もしないような殿方が女性と、ましてや妹と真剣に交際しているというのは半信半疑でしたが、まぁ、そうでも無いらしいですね…。三日も苦労しそうではありますが…」
 ああ、あの痴女みたいなカッコはあれで意図があったんだ。
 どんな対応取っても地雷だった気がするけど。
 「さて、私はそろそろお暇させていただきますか…」
 いつの間にか食事を終えていたニカさんは立ち上がった。

169 :ヤンデレの娘さん 義姉の巻:2010/10/04(月) 23:04:45 ID:3YlMb2N3
 「もう暗いですし、お送りましょうか?」
 「お気遣いなく…。三日と違ってこれでも自分のことを守る心得ぐらいはありますもの…」
 俺の申し出を言葉だけはやんわりと断る二日さん。
 心得、というのは武術の類だろうか?
 「それはまた…見てみたいような見たくないような」
 二日さんの闘いを想像して言う。
 とんでもなくえげつないやり方をするに違いない。
 「見せて差し上げますよ…。もし、あなたが妹を大切にしないようなことがあれば、ね…」
 そう言ってにこぉ、と二日さんが口を三日月に開いた。
 「それじゃ、見る機会は二度と無さそうですね」
 俺の口から、思ったよりスッとその言葉が出た。
 「期待してますよ、義弟くん…」
 そう言って立ち去ろうとする二日さん。
 「…あ、では私もそろそろ…」
 それに続こうと立ち上がる三日。
 「ああ、義弟くん…。今日はソレを置いていきますね…」
 しかし、動き出そうとする三日を指さして二日さんは言った。
 「生意気を言うようですが、最愛の妹さんをソレ呼ばわりはどうかと思いますよ?」
 「それは誤解です…。私が『愛』と言う言葉を使うのは1人だけ…。まぁ、三日にも愛着程度はありますが、ね…」
 俺の苦笑に穏やかな口調で応じる二日さん。
 「それでは、また…。今度会う時が最期にならないことを、祈っていますよ…」
 そう言って、二日さんは颯爽と去って行った。

170 :ヤンデレの娘さん 義姉の巻:2010/10/04(月) 23:05:44 ID:3YlMb2N3
 「なんつーか、地味に嵐みたいな人だったなー」
 バタン、と閉まったドアをたっぷり1分は見た後、俺は呟いた。
 場を無駄に引っかきまわすだけ引っかき回したら帰ってった。
 「…お姉様は、我が家の女王様ですから」
 三日が言った。
 その気持ちは超わかる。
 でもまぁ…、
 「女王様ではあっても、暴君では無いんじゃないかな」
 俺は言った。
 二日さんの行動を思い返すと、どうも一貫して俺を、妹の恋人を試していたように思える。
 それはつまり、三日が心配だったんだと思う。
 あまりにも弱くて脆くてまっすぐで、『愛着』のたっぷりある妹が。
 「…はい。お姉様は一度敵と認めた人に対しては容赦ありませんけど、そうでない人にはそんなことありませんから」
 三日も同意する。
 さすが姉妹。お互いのことをよく分かってら。
 「良いおねーさんだね」
 こういうの、きょうだいのいない、親一人しか家族のいない俺にとっては素直に羨ましいと思う。
 が、
 「そこは全力で否定させてください!」
 「そうなの!?」
 色々台無しな、三日の一言だった。
 いやさ、確かにさ、超スパルタンなおねーさんではあったけど、そこまで言わんでも良くない?
 全力でなくても良くない?
 今回って、『家族って良いな』的なオチじゃなかったんだ…
 そんなことを思っていると、
 「…えっと、あの、ところで御神くん…」
 三日がモジモジしながら言った。
 「なにー?」
 身長差のある三日に目の高さを合わせて俺は応じる。
 「…あの、あの、今日は、今日から、名前で呼んでくれてありがとうございます。御神くんの方から言ってくれてとても嬉しくて、その…さしでがましいようなんですけど、あの…」
 つっかえつっかえしながらも、自分の想いを伝えようと言葉を紡ぐ三日。
 それを俺は笑顔で聞いている。
 彼女が言いたいことを言えるように、それを邪魔しないように。
 「…私も、…私も御神くんのこと名前で呼んで良いでしょうか!?」
 三日が言いきった。
 いつかの大桜でのような、全力がこめられた、頑張った一言だった。
 思えば、大桜の下での告白を言うのにも、一年近くかかったんだよな、コイツ。
 俺は、三日の頭をくしゃっと撫でて答える。
 「俺の答えは、あん時から同じー」
 その時は、まだ積極的な感情は無かった。
 けれど、今はちょっとだけ違う。
 一緒に居たいかな、と強く思う。
 「良いよー」
 だから、同じなのは言葉だけだ。
 「はい!千里くん!」
 三日は、そう花の咲くような笑顔で言ったのだった。







171 :ヤンデレの娘さん 義姉の巻:2010/10/04(月) 23:06:08 ID:3YlMb2N3
 数分後
 「―――ところで、三日。今夜はマジでウチに泊まってくん?」
 さっきからえらい嬉しそうにしている三日を見ながら、俺は思いだして言った。
 「…はい、千里くん。お姉様のことですから、今夜は帰っても家に入れてくれないと思います。だから、今夜私が頼れるのは千里くんだけなんです、千里くん」
 キラキラした目で答える三日。
 犬だったらパタパタと尻尾を振ってることだろう。
 「…千里くん家にお泊まり、千里くんとの一晩、千里くんと朝帰り、千里くん千里くん千里くん千里くん千里くん千里くん千里くん千里くん、ああ…!」
 名前で呼べるのがよほど嬉しいのか、何度も俺の名を連呼する三日。
 コイツが嬉しいのは良い事なのだが、状況はイロイロと微妙である。
 「ええっと、あの、三日さん?けれども年頃の男女が同じ屋根の下で過ごすのってさ…」
 俺がそこまで言うと、三日はポッと頬を赤らめた。
 「…千里くんの、えっち…」
 ぐはぁ!
 「…千里くんのえっち千里くんのえっち千里くんのえっち千里くんのえっち千里くんのえっち千里くんのえっち」
 「止めて連呼しないでお願いいやマジでお願いします」
 今日1日の文脈的にその一言はキツすぎる。
 三日的には俺の名前を呼びたいだけなんだろうが。
 これはアレだ。
 二日さんの罠だ!
 あの人からの最後の試験だ!
 一晩三日と同じ屋根の下に置いて、俺の理性を試そうってハラだな!
 「…今日も、千里くんのお父様たちはお仕事で帰られないのでしょう?」
 「なぜ知ってる!?」
 何だこの状況…
 客観的に見ればかわいそうなクラスメートを一晩泊めるだけだってのに、どんどん追いつめられてる気がする。
 「…遅い時間まで千里くんと愛し合っても、何ら問題はありませんよね?」
 恥じらった顔でそんなことを言ってくれる三日。
 『愛し合って』って、どう考えても言葉通りの意味じゃないよな!
 「…私、その、そうしたことは初めてなので、千里くんが千里くんが千里くんが優しくしてくださると、嬉しいと言うか何と言うか…」
 そんな三日を見て、ふと去り際におねーさんが言った一言が思いだされる。
 ―――もし、あなたが妹を大切にしないようなことがあれば、ね…―――
 この場合、どうすることが三日を大切にすることになるんだ?
 今日は諸々必要な物の用意が無いし、ああでも三日がそうしたいって言うならそうしてあげた方が良いのか…!
 もしかして、コレ、どんな行動をとっても地雷しか無いんじゃないのか!?
 しかも下手したら俺、二日さんに殺されかねないし!
 思ったよりもハンパ無いぞ、二日さんの罠!
 あまりの状況に、俺の頭もパンクしそうになる。
 「あんのヤンデレの娘さんのおねえさんがああああああ!」
 俺はただ、そう叫ぶほか無かった。








172 :ヤンデレの娘さん 義姉の巻:2010/10/04(月) 23:06:33 ID:3YlMb2N3

 おまけ
 夜風に身を任せるような優雅さで家路を行きながら、緋月二日は上品なデザインの携帯電話をとりだした。
 慣れた手つきでキーを操作し、ある人物の番号を呼び出す。
 携帯電話を耳に当ててすぐに相手と繋がる。
 「もしもし、愛しい方…」
 御神千里にも、ましてや妹にも聞かせたことの無い、甘く愛しげな声音で、二日は言った。
 「私の愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい――――お父様」
 父、と呼びながら、二日の声は最愛の恋人に対するそれだった。
 そう、彼女は愛しているのだ。
 血のつながった実の父親を。
 自身の母という妻を持つ1人の男を。
 「ええ、きちんとちゃんとお父様のお言いつけ通りに御神千里を、あの障子紙より弱い妹の最愛の恋人を、義弟を、つまり未来の家族を精査して検査して調査して参りましたわ…。え、君が言ったんだろうって?あらあら、そうだったかしら…?」
 フフ、と嬉しそうに笑う二日。
 嬉しいのだ、彼女は。
 今この瞬間父と話している、繋がっているというその事実が。
 母親では無く自分が、という現実が。
 「結果は…、まぁギリギリ合格と言った所でしょうか…。まだ緋月家向きの殿方とは言い難いですが、少なくとも三日との交際の結果私たちまで不利益を被ることはない、と断言出来ますわ。…ええ、三日との交際は思いのほか真剣だったようです…」
 嬉々とした表情で、二日は電話の相手に報告する。
 そうしているうちに、自然と足元が躍るようなステップに変わる。
 月に照らされて舞う二日の姿はとても美しく―――同時にどこか狂気的であった。
 「正直あの三日のことだから、悪い男に引っかかったんじゃないかと心配…もとい期待していたのですが、そんなことは無かったようでした…。とはいえ、フフ…。中々に初心で、三日以上にいじめ甲斐がありそうな殿方でしたわ…。思いのほか反骨精神もあるようですし」
 自分を睨みつける御神千里の顔を思い出し、二日は笑った。
 三日のようなタイプも良いが、それなりに反抗してくれた方が彼女としては面白い。
 「これで、私たち家族の、いえ私たち二人の憂いは無くなりましたわ。今日は母も仕事で帰りませんし、今夜はとてもとても楽しく激しく愛しく―――」
 二日は笑う。
 実の父を想って。
 実の父との『この後』のひと時のことを想って。
 「抱き合いまぐわい愛し合いましょう、お父様?」
 もし、そう言って笑う二日の姿を見る者がいたとしたら、禍々しさを感じぬ者は居なかっただろう。
 禍々しさを感じながら――――その笑みの美しさを否定できる者もまた、居なかっただろう。

173 :ヤンデレの娘さん 義姉の巻:2010/10/04(月) 23:10:50 ID:3YlMb2N3
 以上になります。
 一応ニカを弁護すると、三日の性格がアレなのは母親の責任でもあります。
 ってか、一家全員どっかしらアレなんで。
 そう言えば、一日兄貴が今後登場するかは…、ちょっと未定です。
 むしろ、キャラが濃すぎてピンで別の話で主役張ってそうなイメージです。
 それでは、またお会いできれば・・・。

174 :名無しさん@ピンキー:2010/10/05(火) 02:51:16 ID:OxHy2f6w
>>173
乙!!

175 :名無しさん@ピンキー:2010/10/05(火) 07:20:00 ID:8xHQzHrv
激しく乙です
てか二日怖いw

ところで「俺と緋月の交際を聞いた美少女狂いの彼女」て誰だろ

176 :名無しさん@ピンキー:2010/10/05(火) 13:59:53 ID:8xHQzHrv
↑過去ログ読んで自己解決しました

177 :名無しさん@ピンキー:2010/10/05(火) 21:47:42 ID:qOAW6D6m
ひづきんってあだ名が好きだっただけにちょっと残念。
でも関係が深まったようでよかったよかった。
キモ姉かと思ったらキモ娘か。
お兄ちゃんはどんな人なのかね。次回以降に期待。GJです。

178 :名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 09:41:53 ID:srwnToUX
投下がないなぁ…

179 :◇solidsnake:2010/10/06(水) 18:30:18 ID:D070YUWU
お久しぶりです、色々と忙しく投下できませんでした
それでは、我が幼なじみ7話投下します、今回は短いです

180 :我が幼なじみ◇solidsnake:2010/10/06(水) 18:31:02 ID:D070YUWU
「風奈、入るぞ?」

ノックをしても返事がない

その後、なんどかノックをして呼びかけたが、返事は返ってこない

「入るからな?」

俺はそう言って、ドアを開けた
暗い部屋の中、風奈は部屋の真ん中で、両膝をくの字に曲げ、床に手を付いていた

「……何?」

俯いたまま聞いてきた
顔はよく見えないが、きっと泣いているんだろう
声が弱々しい……それに、鼻をすする音が聞こえる

「風奈、少し話しをしないか?」

俺はできるだけ優しく言った

「やだ……やだ!お兄ちゃんは信じてくれないもん!!」
「ごめんな……俺もあの時はいきなりだったから、ろくに話も聞かずに怒って悪かった……」

続けて言った

「だから、今度はちゃんと聞くから、何があったか教えてくれないか?」

しばらくの沈黙の後、風奈はポツポツと話し始めた

181 :我が幼なじみ◇solidsnake:2010/10/06(水) 18:32:13 ID:D070YUWU
「お家に帰ってきて、お兄ちゃんと遊ぼうと思ってね……お兄ちゃんの部屋に入ったら……」
「由美子が……その……してたって事か」
「うん」
「見間違いじゃなくて?」
「やっぱり、信じてくれないんだ……」

何やってんだ、俺は……

「あ……ごめん!そんなつもりで言ったんじゃないんだ!」
「もういい……」
「本当に違うんだ」
「もういいもん!……お兄ちゃんなんて、大っ嫌い!!」
「あ……」

その言葉に、俺は深く傷付いた
まさか、風奈に大っ嫌いなんて言われる日がくるなんて……

今のは完全に、俺が悪かった。これじゃあ風奈に嫌われたって、文句は言えない……

「ごめんな……」

そう言って、俺は部屋を出た
最低だな……俺

あんな聞き方したら、傷付くに決まってんのに……
本当……最低だよ……

自分が憎い、大切な妹を傷付けた自分に苛ついてくる
今、風奈を支えてやれるのは俺しかいないのに……


「えへへ……これで、しばらくはあんな女の事よりも、風奈の事を考えてくれるよね?……お兄ちゃん」

182 :我が幼なじみ◇solidsnake:2010/10/06(水) 18:33:18 ID:D070YUWU
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
優の部屋

部屋に戻ると、由美子が心配そうに声をかけてきた

「どうしたの……?優君……泣きそうな顔してるよ?」

俺はそんな顔してたのか

「風奈に……嫌われたんだ」
「どうして……?」

心配そうな由美子を無視して言う

「今日はもう、寝るよ……」

今日はもう、何もする気が起きない……

「優君!」

由美子が、ベッドに行こうとした、俺の手を掴んできた

「どうした……?」
「私は……優君の味方だよ?……だから、悩み事とかあったら、何でも相談していいんだよ?……泣いてもいいんだよ……だから、優君には苦しんでほしくないよぅ……」

由美子が、泣きそうな声で言った

由美子はとても優しい、何時だって常に俺の心配をしてくれていた
改めて、俺は由美子が、如何に人間として良く出来ているかを思い知った

だから、好きなんだろうな……

183 :我が幼なじみ◇solidsnake:2010/10/06(水) 18:33:49 ID:D070YUWU
由美子の優しさに、今にも泣き出しそうになった

駄目な自分に対する、後悔や怒りとか悲しみ、いろんな感情がごちゃごちゃになって
それが怖くて、苦しかった、今すぐ泣きたかった

だけど、泣いてはいけない、そう思った
それは、人前で泣くという、恥ずかしさから来るものも少しはあるが、何より

好きな人の前では泣きたくない

そんな、小学生みたいな理由が殆どだった
それに、泣ける立場なのは風奈の方だろう……

「ありがとう、由美子」

笑顔でそう言って、俺はベッドに潜り込んだ
これから、どうしなきゃいけないとか、考えないといけない事はあったけど
今は何も考えていたくなかった

風奈……本当にごめん

そして、ありがとう……由美子

184 :◇solidsnake:2010/10/06(水) 18:34:27 ID:D070YUWU
以上で投下終了です

185 :◇sigmarion:2010/10/06(水) 18:35:32 ID:D070YUWU
テスト

186 : ◆ZWGwtCX30I :2010/10/06(水) 18:37:09 ID:D070YUWU
連レス申し訳ありませんでした
トリップの付け方間違えました……

187 :名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 23:04:04 ID:AjrHGjN2
GJ!

188 :名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 23:58:58 ID:aWCJjCan
ええかった

まさか由美子の株を上げてしまうなんてww

189 :名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 19:34:00 ID:qb41ooWg
静かだね

190 :名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 20:23:52 ID:lLCyEWbo
GJでした
ここのおかげでヤンデレ好きになった凄すぎる
自分が考えてもなかなかヤンデレにもっていけないし
小さい頃周りに虐められていた弟を姉が庇い、守って過ごしていく内に
弟は自分が姉を守れるようになりたいと思いはじめ
強くなろうと武道を習い姉よりも強くなり、姉よりも賢くならないとと勉強に励み常に首位
格好よくないと姉に釣り合わないと思いファッションにも気をつけイケメンになりモテモテに
並んでいると弟とあまりにも不釣り合いで周囲から陰口を叩かれる姉は
「アンタと一緒にいると自分は惨めになる」と大学を県外にして一人暮らしを始める
「僕の気を引きたくてワザと離れていくんだね」とトップクラスの大学を蹴り姉と同じ二流大学に進学
弟の未来を奪ったと両親まで姉を嫌い、両親にまで拒絶された姉はだんだん病んでいく
そんな姉を弟が「今度こそ僕が姉さんを守ってあげるからね」と姉を監禁…
てのはヤンデレなのかね?男ヤンデレスレかな…難しいわ

191 :名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 20:33:19 ID:bDFiTfLG
>>190 それだと、男ヤンデレの方だと思う

192 :名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 21:56:20 ID:94Af32Dt
姉より強くなろうとするが姉に結局勝てず頭と恰好はよくなるが
姉の差し金で友達や先生に嫌われるが幼なじみに毎回慰められ弟が付き合う
姉が病んで束縛するが束縛を嫌い自力でトップレベルの大学に入りが姉から離れようとするが
まで思いついた

193 :名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 22:30:03 ID:yov1IU2l
なるほどなるほど

それで

194 :名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 23:14:17 ID:d0szGU6j
GJでした
ここのおかげでヤンデレ好きになった凄すぎる
自分が考えてもなかなかヤンデレにもっていけないし
小さい頃周りに虐められていた弟を姉が庇い、守って過ごしていく内に
弟は自分が姉を守れるようになりたいと思いはじめ
強くなろうと武道を習い姉よりも強くなり、姉よりも賢くならないとと勉強に励み常に首位
格好よくないと姉に釣り合わないと思いファッションにも気をつけイケメンになりモテモテに
並んでいると弟とあまりにも不釣り合いで周囲から陰口を叩かれる姉は
「アンタと一緒にいると自分は惨めになる」と大学を県外にして一人暮らしを始める
「僕の気を引きたくてワザと離れていくんだね」とトップクラスの大学を蹴り姉と同じ二流大学に進学
弟の未来を奪ったと両親まで姉を嫌い、両親にまで拒絶された姉はだんだん病んでいく
そんな姉を弟が「今度こそ僕が姉さんを守ってあげるからね」と姉を監禁…
てのはヤンデレなのかね?男ヤンデレスレかな…難しいわ

195 :名無しさん@ピンキー:2010/10/08(金) 00:40:05 ID:8tB/LR5e
違う点があるのかと思って10分ぐらい探したらなかった悲しみ

196 :名無しさん@ピンキー:2010/10/08(金) 10:46:19 ID:MnK1Y3Vl
そういや、リバースはいつくるんだろう

197 :名無しさん@ピンキー:2010/10/08(金) 16:42:21 ID:9BuIBd06
>>194
それぞれの性別を入れ替えればここでも書けると思まーす
あとsageを使ってくださーい。たまにケンカになりまーす

……こんなところか。

198 :名無しさん@ピンキー:2010/10/08(金) 21:20:30 ID:n1NwY/VC
投下ないな……

199 :名無しさん@ピンキー:2010/10/08(金) 21:34:16 ID:d96wxnUL
これが普通だ

200 :小ネタ 吸血鬼と少女:2010/10/08(金) 22:59:14 ID:yQqUWT/H
 吸血鬼ヤンデレ&百合ヤンデレネタを思いついたんで投下させていただきます。
 フィクションでよくある「吸血鬼による吸血は快楽が伴う」という設定を念頭に置くとムダに感情移入がしやすいと思われ。

201 :小ネタ 吸血鬼と少女:2010/10/08(金) 23:00:11 ID:yQqUWT/H
 ―――ある吸血鬼の独白―――

 貴女は人間。
 私は吸血鬼。
 貴女は美しく日の光を下を生き。
 私は醜く夜闇の中を逝く。
 私は貴女の血を吸って。
 私は貴女という光を得る。
 それがいつしか日常となって。
 私は貴女に言った。
 光を得られるのは一人だけ。
 貴女という光を得た私は幸せだった。
 血液なんてただの口実。
 ただ貴女と話をしたかった。
 ただ貴女に笑いかけてもらいたかった。
 ただ貴女と一緒に居たかった。
 貴女がただ私とだけ。
 貴女という光を独占したかった。
 貴女に分かるだろうか。
 二度と日の光を浴びることの適わぬことを知ったときの絶望が。
 夜の闇の孤独の中に消えねばならないことの絶望を。
 そして、貴女という味方を、光を、愛する人を手にした喜びを。
 私には貴女しかいない。
 貴女にも私しかいないよね。
 けれど、何であんな男たちと話しているのかな?
 けれど、何であんな子供に笑いかけるのかな?
 けれど、なんであんな家族と一緒に居るのかな?
 私にとって貴女が唯一の光なのに!
 どうして貴女はそんな奴らと!
 貴女のいない世界はあまりにも暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い!
 だから私は光(あなた)を取り戻した。
 頑張って取り戻した。
 奴らすべてを排除して。
 だから、怒らないで?
 だから、あんな奴等のために怒らないで?
 私から貴女を引き離そうとした下種な連中のためになんか怒らないで?
 もし、貴女が奴等のために怒っているのなら。
 もし、その手の刃が私に向くのなら。
 私は妬んで怒って狂って―――貴女を殺してしまうかもしれないから。

202 :小ネタ 吸血鬼と少女:2010/10/08(金) 23:01:11 ID:yQqUWT/H
 ―――ある少女の独白―――

 貴女は吸血鬼。
 私は人間。
 貴女は美しく月下を行き。
 私は醜く惨めにヒトの世を生きる。
 貴女は私の血を吸って。
 私は貴女という光を得る。
 それがいつしか日常となって。
 そして、貴女は言いました。
 光を得る者は一人だけ。
 貴女という光を浴びた私は幸せでした。
 血液だけではなくなっていました。
 もっと貴女と話をしたいと思いました。
 もっと貴女に笑いかけてもらいたいと思いました。
 もっと貴女と一緒に居たいと思いました。
 貴女がただ私とだけ。
 貴女という光を独占したいと思い始めました。
 貴女に分かるでしょうか?
 集団の中に溶け込めず、1人惨めに過ごしていた女の子の気持ちが。
 そして、貴女という味方を、光を、美しい鬼と出会えた喜びを。
 体を重ね、私の血を提供する度に貴女の血液が私のモノで構成されていくことの恍惚を。
 ある日、私の男友達が死にました。
 ある日、私の弟が死にました。
 ある日、私の両親が死にました。
 体中の血を抜き取られて。
 けれど、私は悲しいとは思いません。
 不幸だとは思いません。
 貴女のいない世界があまりにも暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗いことは良く知っていますから。
 私には貴女という光があれば、私にはもう何もいらないのですから。
 けれど、もし殺したのが貴女なら。
 けれど、もし貴女が彼らの血を一滴でも吸ったのなら。
 私ではなく彼らの血を一滴でもその身に取り込んだのなら。
 貴女が私で無くなったのなら。
 私は妬んで怒って狂って―――貴女を殺してしまうかもしれません。

203 :小ネタ 吸血鬼と少女:2010/10/08(金) 23:04:57 ID:yQqUWT/H
 以上になります。
 ネタつーかポエムっぽくなってしまいましたが(笑)
 この吸血鬼と少女がどうなったのか。
 それは皆様のご想像にお任せします。

204 :名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 00:10:09 ID:T2gzCofM
>>203乙!なかなか深いと思う。



そして今思ったんだが、『あの女の匂いがする………』ってセリフあるけどよく想い人以外の匂いもわかるの?wwって思ったんだが



205 :名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 03:01:59 ID:6gHj1X7Z
長編予定の一話目を投下します

中二設定に嫌悪感を覚える方はスル―してください
今回は病み要素極小です

206 :アヤツリ人形【第一話】  ◆S96vOI40zw :2010/10/09(土) 03:04:55 ID:6gHj1X7Z
「あなたがいないと、私は死ぬらしいのです」
「…………は?」
 思わず首を傾げた僕に対し、初対面であるはずの彼女は数回瞬きをしてから、

「あなたがいないと、私は死ぬらしいのです」
 同じことを繰り返した。
 いや、僕が聞き返したのは決して聞こえなかったからとかそういう理由じゃないんだけど。
 BGMよろしく小鳥が背後で囀っている中、刺さるような彼女の視線から逃れるように視線を外し、

「悪いけど、何のことかさっぱりだから」
 彼女が開口一番に言った言葉を聞いた直後から鳴り響いている警鐘に従い、僕は来た道を全力疾走で駆け戻った。
 困っている女の子を助けないというのは基本許せないたちなのだが、彼女の場合はどうにも事情が違っていた。
 まず、困っているという様子が一切掴めない。表情が一貫して無表情なものだから、むしろこっちが困ってしまう。
 第二にどう聞いてもまともじゃないあの言葉。
 僕がいないと死ぬって何だ。遠回しの告白?あなたがいないと生きていけない、みたいな。
 ねーよ。仮にそうだとしても怖いわ。
 そして第三に、彼女の雰囲気が、僕にはどうにも恐ろしく感じられた。
 肩に届くか届かないかという艶のある黒髪は毛先が酷く雑に切られており、肌が異様に白く、大きな瞳はどこか濁っているようだった。
 またそれと相対するように彼女はとても綺麗な顔立ちをしていたため、余計に恐怖感を煽がれる。
 関わってしまえば、絶対にろくな目に遭わない――そんな不吉な空気を彼女は周囲にばらまいていた。

 息を切らせながら五つほど曲がり角を横切った辺りで背後を確認してみる。しかし、そこには人っ子一人いはしなかった。
 これで追いかけられていたら、それこそホラーだ。
 ほっと胸を撫でおろして携帯電話の時刻を確かめてみると、そこには8時38分と表示されていた。

「……一限目は、40分開始だよな」
 どうやっても間に合いそうにない。
 深呼吸と同時進行で、僕は大きく息をついた。

207 :アヤツリ人形【第一話】  ◆S96vOI40zw :2010/10/09(土) 03:05:55 ID:6gHj1X7Z
 ・・・

「それって幽霊じゃない?」
 目を爛々と輝かせてそう言った千葉は、妙に嬉しそうだった。
 千葉千華【ちばせんか】。やや茶色がかったショートカットと白色のカチューシャが特徴的なクラスメイトである。 
 僕の真ん前に席を構えているため、遅刻した理由を聞かれたついでに今朝のことを話したところだった。

「服はどんなのだった?」
「赤いラインの入った紺色のセーラー服。ここらでは見ない制服だろ?」
「うーん……セーラーなら南高だけど、あそこはライン白だしね」
「そもそも、幽霊なんてどこから出てきたんだよ」
 確かに恐怖感は感じたが、そういう怪奇現象とは違うものだ。
 しっかり足もついていたし、存在感はむしろありすぎるぐらい。インパクト大で一生はともかく、あと数カ月は忘れられそうもない。

「だって、伊槻君の説明がそんな感じに聞こえたんだもん」
 そう少し頬を膨らませるように言った千葉。
 まあ、ホラーだとか不吉だとかいう言葉を使ってしまったので、そう思われるのも無理はない。
 かといって、百パーセント幽霊ではないとも言い切れないわけだが。
 そんな風に若干盛り上がりに欠けた会話を繰り広げていると、

「紺色のセーラーで幽霊か」
 まるで今までの会話を盗み聞きしていたような声が聞こえてきた。
 ので、声の主の方へと振り返ると、案の定思っていた通りの奴が腕を組んで思案顔を形成していた。

「しかも美人だと……?よし、伊槻。もう一回その子を呼び出してくれ」
「だから幽霊かどうか分からないって言ってるだろ」
 もし幽霊だったとしても呼び出すってなんだ。魔物でも降臨させる気かお前。
 大真面目な顔で阿呆なことを頼んでくるのはクラスメイトその2、城主遠矢【しろぬしとおや】だ。
 大層な名字をもっているが、城主の家自体はごく普通の中流階級のはずである。

「でも、私も見てみたいなー」
「千華ちゃんもこう言ってることだし、な?」
「な?じゃねえよ」
 できるわけないだろ。
 ばっさりそう言いきると、当たり前だが最初から期待していなかったとでも言いたげにふたりはため息を吐いた。
 
「まあ、幽霊にしろ幽霊でないにしろ、伊槻君がいないとその子死んじゃうんでしょ?なら、近いうちにまた来るんじゃない?」
「……嫌なこと言うなよ」
「いいよなー、美人がわざわざ訪ねてくるなんて」
「城主。お前は美人って単語から離れろ」
 一日の始まりこそ妙なものだったが、学校に着いてしまえばそんなものは関係なく、いつも通りの時間が流れていた。
 平々凡々とした、変わりのない時間だけが、ゆるゆると流れて行くだけだった。

208 :アヤツリ人形【第一話】  ◆S96vOI40zw :2010/10/09(土) 03:06:41 ID:6gHj1X7Z

 ・・・
 
 夕暮れ時。学校に忘れ物をして、それを取りに行ったら教室で変なもの、人に出会いました。
 そんな非日常系学園ものにおけるテンプレ的地雷を、僕は踏んでしまったらしい。

「困ります」
 そう言った彼女の瞳にはやはりなんの感情も浮かんではいなかった。
 白い肌に夕陽の赤色がよく映え、窓から入る風になびいている髪すらも赤く見える。
 場違いにもそれを綺麗だと思いながら、僕は教室中央にある自分の席の傍で立ちつくしていた。
 その様子を瞬きもほどほどに見つめ、彼女はすうと音もなく教室の扉を閉める。
 今朝の紺色セーラーの少女は、ごく普通に、教室の引き戸からここへ入ってきたのだ。

「あなたは、私のたったひとつの〈ドール〉ですから」
 逃げられると、困ります。
 呟くようにそう言い加え、足音小さくこちらへ近づいてきた。
 僕は後ずさりすらできずに、千葉とは正反対な彼女の瞳をずっと見つめ続けている。

「もう私にはあなたしかいないのです」
 だから、逃げないでください。
 紺の生地を揺らせながら、彼女は空気にすら溶け込んでしまいそうな程、澄んだ声を発した。
 得体のしれないものに近寄られるのは誰だって嫌だろう。僕も決して例外ではない。
 徐々に近づいてくる彼女から、離れたくてたまらなかった。

 けれど、体は動かない。
 体が、動かない。

「私の手足となってください。私の身体となってください。私のものになってください」
 そして、もしそれが完了したなら、
「私と、仲良くなってください」
 言って彼女との距離が数十センチをなったとき、どこからかパキリという音が鳴った。
 彼女の言っていることもさることながら、何がなんだかわからずに音の正体を探して背後の窓へと目を向けると、

 教室の窓ガラスが、一瞬にして消滅した。

 ――そう思ったのもつかの間の話で、すぐさま視界には黒い何かが入り混じり、凄まじい風と身を切りつけられているような鋭い痛みが全身を覆う。
 窓ガラスは消えたのではなく、粉々に割れて、こっちに吹き飛ばされてきたのだ。
 とっさに目を瞑り、無意識に何かを掴んで抱き寄せてから、窓に背を向ける。

 なんだ これ


209 :アヤツリ人形【第一話】  ◆S96vOI40zw :2010/10/09(土) 03:07:21 ID:6gHj1X7Z

「キャハッ」
 風が止んだ後、混乱して取り乱す暇もなく、背後から甲高い子供の笑い声が聞こえてきた。
 やっとのことで目を開けて自分の掴んでいるものへ目を向けると、涼しげな顔でいる得体のしれない彼女が、僕の腕に収まっていた。
 高校生にもなって未だ男女の付き合いをしたことがない僕には、例え相手が正体不明女の子であっても衝撃的すぎるものだった。

「ご、ごめ、」
「私がさせたことですから」
 謝りきる前に、彼女はそう言ってするりと腕の中から抜け出て行った。
 いろいろと考えるべきことはありそうなものだが、まず僕が思ったのは「彼女は絶対に幽霊じゃない」ということ。
 ちゃんと掴むことができたし、体温もあった。……その名残が妙に生々しい。
 
「みーいつけたあ、かすかちゃんとおにんぎょさん」
 そんな無邪気な声を聞いてやっと我に返り、僕は現状を思い出した。
 じわじわと痛みだした無数の切り傷を気にしながらも慌てて振り向けば、窓の外にいたのは、

「うわ、いたそー」
 三毛猫を連想させる茶と白と黒の混じった滅茶苦茶な髪色をした七歳ほどの女の子だった。
 どういうわけか、その子は黒い何かの上に立って宙に浮いている。よく目を凝らして見ると、

「カラス……?」
 少女の足元でうごめているそれは、カラスだった。

「あの子は鳥類専門ですから」
 なんでもないように言う彼女は、先ほどのガラスで切れてしまったのか頬から血を流している。
 今までさんざん無視を決め込んでいたものに、そろそろ向き合わなくてはいけない時が来たらしい。
 やや混乱気味の頭をひねり、なんとか僕は口を開く。
  
「お前ら……一体、何なんだ?」

 すると、彼女は夕陽に染まった赤い瞳で、

「私たちは〈人形遣い〉。あなたはそれに操られる〈ドール〉すなわち〈人形〉」


 ――そして、私はあなた専門の人形遣いです。



210 :名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 03:11:21 ID:6gHj1X7Z
投下終了です
お付き合いくださった方、ありがとうございました

まだ序盤も序盤で最初のうちはただ病んでいるだけになるかと思いますが、
徐々にヤンデレ化させようと考えております

211 :名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 03:54:01 ID:MGv7/0Xq
GJ!
なんが怖いなw

212 :名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 11:01:45 ID:DAZ5UHWA
こういうのもいいな

GJ



213 :名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 12:34:29 ID:No66Ebop
>>203
レズ板でやれ

214 :名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 22:50:34 ID:ZiEZXNAQ
>>203
あれだ、多少特殊性癖とか交じるのだったら注意書きを最初にしてくれると非常にありがたいのよね
そういう注意書きがないと苦手な人が読み飛ばしたりできないからさ

215 :名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 23:08:14 ID:YNC7QfuG
最初に吸血鬼ヤンデレ&百合ヤンデレネタって書いてあるじゃん 
えらそうなこと言う前によく読めよ

216 :名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 23:08:38 ID:SOU5pTuV
ところでこのスレ住人的に、ULTIMOのルネはどうなんだ……?


俺、普段男のヤンデレは苦手なんだけど……、この子だけは嫌いになれないんだ

217 :名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 23:15:52 ID:HeIlZH2r
>>216
ULTIMO厨の俺からすればジェラスが至高
ULTIMO人気なくて打ち切りなりそうだからもっとジェラスの出番出してほしい。

ルネは前世厨だからな、風貌からしても別に嫌う要素なんざないだろ。

218 :名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 23:29:03 ID:Lq1Dqjx6
 >216
ルネはいいヤンデレだと思うぜ。
 女性キャラでないのが悔やまれる!

219 :名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 00:00:14 ID:4O/i0D18
確かに
ルネが女の子だったら、(まあそしたらいろいろと成り立たなくなるけど)俺的には最高

220 :名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 00:15:42 ID:bsquuQ8I
>>218
だよねー


ただ、例え男になっても傍に居ようとする健気さにキュンってするのも、やっぱり男の娘だからかなーとも思うんだよねー。

221 :名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 02:27:32 ID:NPbULSZV
久しぶりに来たんだけど、ぽけもん黒の作者さんって投稿やめます宣言とかした?
結構更新途絶えてるみたいだから気になった

222 :名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 04:14:21 ID:sC3tLDYo
どうだろ?それにしても最近百合ネタが多いなぁ…でも、大丈夫だ問題ない

223 :名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 05:03:43 ID:OhE/oRLv
いろいろあってからかなり投下が減ったような気もする

224 : ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/10(日) 05:14:31 ID:Og/MI9J0
やっつけで恐縮ですが、一作投下します。
以下の注意点があるので、苦手な方はスルー願います。
・ヤンデレ成分が薄めです。
・凌辱表現があります。

225 :現物支給 ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/10(日) 05:15:21 ID:Og/MI9J0
日本国高校生、朝霧陣氏(あさぎり じんし)は夏休みを利用し、ヨーロッパのとある王国に1人旅行に出かけた。
そして、そこで軍事クーデターに巻き込まれた。
「うひー」
道端に伏せて飛び交う銃弾をかわしながら、匍匐(ほふく)前進でアメリカ大使館を目指す。
こういうとき、日本の大使館は、透明なビニールでできた日傘ぐらい、役に立たない。
移動の途中、不意に、どちらの陣営か不明だが、兵士に遭遇した。
「ぎゃお!」
慌てて立ち上がって格闘に持ち込み、殴り倒してバズーカ砲を奪った。
――素手よりはマシか。それとも、返って狙われやすくなるかな?
そんな風に考えたとき、突如、目の前に戦車が現れた。砲口がこちらを向いている。
「キャイン!」
驚愕した陣氏がバズーカ砲を発砲したのと、戦車砲が火を吹いたのは同時だった。
爆風を受け、陣氏は気を失った。

気が付くと、病院のベッドの上だった。
体の節々が痛い。
――これがいわゆる、やっちまった系って奴かな……
しばらくすると、病室にスーツを来た男が現れた。流暢な日本語で陣氏に話し始める。
「私、新政権外務省の者です。このたびは観光客のあなたに怪我を負わせてしまい、お詫びのしようもありません」
新政権ということは、クーデターを起こした側が勝ったということか。
それはさておき、陣氏はその外交官に返事をした。
「どうということは、ないです」
「新政権は、日本との関係を重視しておりまして……そのことからも、あなたには十分な補償をさせていただきます」
「は……それはそれは」
随分良心的な政権だな、と陣氏は思った。普通こういうとき、補償なんか出ないだろう。
「しかしながら……新政権はかなりの財政難でして。現物支給という形にさせていただきたいのですが」
「現物……ですか?」
一体何でくれるのだろうか。鉄砲とかだったら困るなと陣氏は思った。
「こちらになります。おい、入れ」
外交官が言うと、1人の少女が部屋に入ってきた。
背はかなり高く、色白で、髪は金色のツインテール。
高級そうなドレスを着ている。ウエストはくびれ、胸は爆発しそうなほど、大きく張り出していた。
「誰……?」
状況を理解できない陣氏が固まっていると、外交官が説明を始めた。
「この女は、以前に国を支配していた国王の娘です。父親の国王はあまりに悪政を働くので、我々がクーデターを起こして政権を奪ったのですが……」
「ほー。この国じゃ、ろくでもない政治家は排除されるのか。羨ましい限りだな」
「……王族のほとんどが逃亡し、この女だけが我々の捕縛するところとなったわけです」
「なるほどね」


226 :現物支給 ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/10(日) 05:15:59 ID:Og/MI9J0
縛られた王女は、じっと陣氏の方を見ていた。話を聞く限り、相当悲惨な状況のはずだが、特別悲哀を感じさせる表情でもなく、むしろ尊大に見えると陣氏は感じた。
「で、この王女様と自分と、どういう関係が?」
「はい。この女を、あなたに奴隷として現物支給します」
「え!?」
陣氏は、我が耳を疑った。そんな馬鹿な話があるか。
「ご冗談を……」
「冗談ではありません」
答えたのは、王女の方だった。これまた見事な日本語だ。
「お初にお目にかかります。フェルデリアと申します」
「ど、どうも。朝霧陣氏です。しかし……」
「あなたへの補償をどうするか、この者共が困っていたので、わたくしを奴隷として提供するよう、命じました。王族として大変に不本意ではありますが、父の悪政に対する、せめてもの償いです」
そう言って、フェルデリアは外交官を見た。依然として自分が王女だという認識を持っているらしい。
「そういう訳で、陣氏様。わたくしを奴隷にしていただきます。よろしいですね?」
「いや……」
さすがに陣氏はためらった。このご時世に奴隷など、あまりに常識から外れている。
「日本では、奴隷制度は認められていませんので……」
「我が国でも、認めていません。それが何か?」
フェルデリアは、傲然と陣氏を見下ろして言った。あくまで拒否を許さない、威厳を感じさせる態度である。
「……分かりました」
この場で説得するのは無理だ。陣氏はとうとう降参した。
ひとまず受け入れておいて、日本に帰ったら、速攻で解放してしまえばよい。
「貴国からの補償として、受け入れましょう」
「恐れ入ります。ではこれにて」
外交官は、疾風のように退出していった。
後には、陣氏とフェルデリアが残される。
「では、陣氏様。これからは屈辱に耐えて、あなたをご主人様とお呼びします」
「その必要はない」
「と、言いますと?」
「日本に着いたら、すぐに解放してやる。どこへでも、好きなところに行けばいいさ」
「何ですって?」
「だから、日本に着いたら……」
「わたくしなど、奴隷にするにも値しないとおっしゃるのですか?」
「え、いや、そういうことでは……」
「王族のわたくしを、侮辱するのですね」
奴隷にする方が、よっぽど侮辱なんじゃないのか。
陣氏がそう言おうとしたとき、フェルデリアは床にうずくまって泣き始めた。
「悔しい……反逆者共の虜囚になったかと思えば、異国の男に奴隷の価値もないと言われ……」


227 :現物支給 ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/10(日) 05:16:35 ID:Og/MI9J0
女性を泣かせたままにしておくのはよくない。陣氏は慰めにかかるしかなかった。
「価値はあるよ。だから泣かないで」
「本当、ですか……」
フェルデリアはゆらりと立ち上がり、陣氏の顔を覗き込んだ。
「本当だよ」
「では、陣氏様は嫌がるわたくしを無理やりに服従させ、奴隷としての辱めを与えるとおっしゃるのですね?」
「…………」
陣氏は否定したかったが、そうした場合、またフェルデリアがゴネ出す予感がした。
「ま、まあ、それに近い感じがしなくもないという方向も視野に入れることを検討……」
「ああ、何という運命でしょう。王女たるわたくしが、異国の庶民の奴隷に……」
もう好きにしてくれ。陣氏は毛布をかぶって寝込んだ。

そんなこんなで数日後。
陣氏とフェルデリアは、飛行機に乗って日本に到着した。
陣氏としては、途中でフェルデリアが逃亡することを期待していたのだが、結局彼女は逃げ出さなかった。
フェルデリアに多額の現金を入れた鞄を持たせ、「ちょっと行ってくる。ああ、今逃げられたら捕まえるのは無理だなあ」とか言って彼女を1人にしたりしたのだが、何時間陣氏が陰から見ていても、フェルデリアは一歩も動かなかった。
仕方なく陣氏が戻ると、
「ご主人様。おトイレに行かせてください」
と、いきなり言いだす。
「そんなの俺に断らないで、自由に行けばいいだろ」
「奴隷の排泄の管理は、ご主人様の義務ですよ。そんなこともご存じないのですか?」
一事が万事、この調子だった。

道中、飛行機に乗ってからも降りた後も、2人は周囲の注目を浴びっぱなしだった。
豪奢なドレスに身を包んだ絶世の美少女が、一般の少年観光客と一緒にいるのだから、無理もない。
そういう訳で、自分の家に到着したとき、陣氏はようやくほっとした。鍵を開ける。
「ここが俺の家だ。とりあえず入ってくれ」
「とりあえず、とは何ですか? わたくしは一生、ご主人様にここで飼われるのではないのですか?」
「……入ってくれ」
「それと、いつになったら命令口調になるのですか? ご主人様の自覚を持ってください」
「……入れ」
「はい。ご主人様。ここがわたくしの、終生の牢獄となるのですね」
「…………」
陣氏の家族は、単身赴任やら何やらで、全員家を空けている。今住んでいるのは、陣氏1人だ。
そのため、フェルデリアを連れて入っても問題にはならない。その点は陣氏にとって幸運だった。
しかし、中に入ってドアを閉めると、フェルデリアは奥に入ろうとしなかった。
「どうした? 入れよ。あ、あっちとは家の構造が違うから戸惑ってるのか? こっちでは、靴を脱いで上がるんだよ」
「そんなこと、とうに存じています。ご命令はまだですか?」
「だから、入れって……」
「違います。少なくとも屋内では、奴隷は全裸か、もしくはそれに準ずる格好にするのが常識です。それに、首輪はどうしたのですか?」
「……服は脱げ。首輪は……後で用意します」
陣氏の台詞の最後の方は、消え入りそうな声だった。


228 :現物支給 ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/10(日) 05:17:06 ID:Og/MI9J0
「かしこまりました。ご主人様」
フェルデリアは、ドレスと下着を脱ぎ捨てた。巨大なスイカのような乳房は、両手で隠している。
「よし」
ようやく奥へ入れる。そう陣氏が思ったとき、またフェルデリアから駄目出しが入った。
「ご主人様、奴隷が身の程知らずにも胸を隠していますよ。何か言うことがあるのではありませんか?」
「……手をどけろ」
「申し訳ありませんでした。ご主人様」
フェルデリアは乳房を露出した。

「ふへー」
居間のソファーに座りこんだ陣氏は、これからどうしたものかと考えた。
1人だったら、風呂にでも入って旅の疲れを癒したいところだが、この状況ではそうも行かない。
目の前には、全裸のフェルデリアが立っている。
「その辺に……」
適当に座れ、と陣氏は言おうとした。ところがその前に、フェルデリアは陣氏に背を向け、壁に手をつく。
「ついに、このときが来たのですね」
「……何が?」
「わたくしの秘所にその醜怪な肉棒をねじ込み、純潔を散らし、生涯の忠誠を誓わせようと言うのでしょう。分かっています」
「いや、特にそういった予定は……」
「服を1枚残らず剥ぎ取られ、あられもない姿勢を強要され、肉棒に犯されながら人としての尊厳を全て破棄する宣言をさせられるのですね。覚悟はできています」
「聞けよ」
「ですが、これだけは言っておきます。極限まで肉体を蹂躙され、いかなる屈辱的な言葉を口にさせられても……」
「させられても?」
「わたくしの心は、あなたの思うままにはなりません」
「今実感してるよ!」
陣氏はとうとう、叫び出してしまった。


229 :現物支給 ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/10(日) 05:17:45 ID:Og/MI9J0
「わたくしの肉体はご主人様に凌辱されても、心までは譲りません。それが王族としての誇りです」
「……さいですか」
「その証拠に、ご主人様がどんなにわたくしを犯しても、わたくしは一切の快感を感じないでしょう」
「そ、そうなの?」
「当然です。真にわたくしの主にふさわしい方ならともかく、そうでない者と性交して、快楽を覚えるはずがありません」
「じゃ、じゃあ」
陣氏はにわかに希望を感じ、フェルデリアに問いかけてみた。
「俺が君とセックスして、君が全然気持ちよくならなかったら、俺は君の主人にふさわしくないってことだよね?」
「はい。全くその通りです」
「じゃあ試してみよう。もし俺が君を感じさせることができなかったら、君を解放するということで」
「いいでしょう」
よかった。陣氏は胸を撫で下ろした。
フェルデリアの処女を奪うのは気が引けるが、これで彼女を自由にできる。
万事解決、とまでは言えないかも知れないが、いい方向に事態は向かうだろう。
「やるぞ。いいか?」
「駄目です。きちんとご命令ください。犯してやるからマンコを差し出せと」
「…………」
まあいい。どうせこれで最後だ。陣氏は言った。
「これからお前を犯してやる。尻を突き出してマンコを出せ」
「はい。ご主人様」
フェルデリアはむっちりした両足を大きく広げ、豊満なヒップを突き出した。のみならず、片手の指で自らの秘裂を大きく広げる。
「ご主人様、どうぞ……」
「よし」
陣氏はペニスを出した。情けない話だが、フェルデリアの裸を見て勃起していたので、すでに準備OKだ。
「行くぞ……」
陣氏は、右手をフェルデリアの腰に当てると、左手でペニスを支え、フェルデリアの溝に少しずつ差し込んでいった。
途端に、フェルデリアの絶叫が響き渡った。
「ああんっ! 気持ちいいっ! レイプ最高っ!」
全然駄目じゃん。陣氏は全身から力が抜ける心持ちがした。


230 : ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/10(日) 05:18:51 ID:Og/MI9J0
以上になります。
最初にも書きましたが、ヤンデレ成分は薄く、凌辱があります。
苦手な方はスルー願います。

231 :名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 05:30:38 ID:ABJnIOZa
gj
この姫と主人公に何か前に接点があれば納得いくんだがなんか唐突気味な気がした。気を悪くしたらすいません

232 :名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 06:00:20 ID:vzyJ20cD
何この駄目姫最高だろ

233 :名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 07:34:57 ID:CFxZOpQ/
GJ

この笑える&ドタバタ感に既視感があると思ったら触雷!の人か

234 :名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 10:08:19 ID:srbfkWYa
どっちかと言うと、「強気なマゾ女」だな

でもこういうの好き

235 :名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 10:27:39 ID:sC3tLDYo
主人公がレイプする分全然大丈夫だと思いますよ、ただ主人公以外だと大ブーイングですが

236 :名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 12:44:37 ID:94hl5Aiw
GJ!
面白かったw

237 :名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 16:00:30 ID:0d4qOz38
GJ!
こういう感じの作品好き
やっぱヤンデレはこうでないと

238 :名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 16:04:54 ID:wEqatqaQ
最近wikiの編集はやすぎ

239 :名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 18:30:31 ID:4Q35ewt6
>>230
吹いたww

240 : ◆AW8HpW0FVA :2010/10/10(日) 18:44:56 ID:mNhTWqXt
test


241 : ◆AW8HpW0FVA :2010/10/10(日) 18:45:37 ID:mNhTWqXt
投稿します。今回も変歴ではありません。

242 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十六話 ◆AW8HpW0FVA :2010/10/10(日) 18:46:45 ID:mNhTWqXt
第十六話『レッド・ホット・サマーデイズ』

馬車に乗っているシグナムの表情はげんなりとしている。
バトゥの腕に抱き着いて離れないヘカテが目に入るからである。
特にヘカテは、バトゥと目が合うと問答無用でキスしようとするのだから堪ったものではない。
バトゥも何度か目でこちらに合図を送ってくるのだが、シグナムにはどうしようもない。
ここに自分がいなければ、ディープな奴になるのではないかと思ったが、
いてもいなくても、それはまったく関係のないものらしく、
目の前では口付けてちゅぷちゅぷと音を立てている二人の図がありありと広がっている。
というか、実はこれでも遠慮していて、
自分がいなくなったら、さらに凄い事でも始めるのではないかと思えてならない。
そもそも、なぜヘカテがここにいるのだろうか。
式を挙げる時にまた会いましょう、と言って別れた筈である。
どうやって誰にも気付かれずに馬車に乗り込んだのだろうか。
足音どころか、気配も感じなかった。謎は深まるばかりである。
ただ、唯一分かっている事は、知らなかったとはいえ、
貴族の息女を誘拐してしまったという事であった。
困ったな、とシグナムが思いながら、ふと窓の外を眺めてみると、
二人の貴婦人が、身形の悪い男達に囲まれているのが目に入った。
シグナムは馬車を止めると、従ってきた兵達を連れて飛び出した。
「そこの男達、道中での淫らな行為は禁止されているというのを知らないのか?」
その声を聞いた男達は、自分達が兵に包囲されている事に気付き、慌てて逃げ出した。
「大丈夫ですか、お二方?」
シグナムは二人の貴婦人に声を掛けた。
遠くからでは分からなかったが、よく見ると、二人は双子だった。
癖のある栗色の長髪と、お淑やかさを前面に打ち出した様な垂れ目も印象的だったが、
それ以上に目を見張ったのは、ドレスを突き破らんばかりに巨大な胸だった。
巨乳フェチのシグナムは、Hカップはある、と即座に測定した。
その胸でその腰の細さは反則だろうなどと変な事を考えているシグナムを他所に、
「危うい所を助けていただき、実にありがとうございました。
さぞかし高貴なお方とお見受けしますが、どうか、お名前をお教えくださいませ」
と、片方の女が言った。シグナムは、ここで自分の名前を出せばどうなるか、
分かりすぎるほど分かっているので、名乗るほどの者でもありませんよ、と答え、
「お供もなしでこの様な所に、一体どうしたというのですか?」
と、続けた。供も連れずに女二人だけという異常性に、シグナムは事件の臭いを感じたのである。
しかし、返ってきたのは、
「実は私達、父上に黙ってある人を捜しにこの都市まで来たのです」
という、いたって普通のものだった。事件性がない事に安心したシグナムは、
「なるほど、……父親に黙って来たというのは感心できませんが、
誰を捜しに来たのですか?私に出来る事でしたら、力になりますよ」
と、言って、この双子の用件をさっさと終わらせ、親元に返してやる事にした。
それを聞いた二人は、再び同じタイミングでシグナムに頭を下げた。
この辺りは流石に双子だな、とシグナムは感心した。


243 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十六話 ◆AW8HpW0FVA :2010/10/10(日) 18:47:27 ID:mNhTWqXt
シグナムは一度馬車に戻ると、相変らずいちゃついているバトゥ達に、
先に帰っているように、と言っておいた。
本当だったら、馬車に乗った方が早いのだが、中には自重しないヘカテがいる。
見ず知らずの、しかも女性二人を馬車に乗せる訳にはいかなかったのだ。
シグナムが扉を閉めようとした時、ぐぷり、と今までで最も大きい水音が聞こえた。
まさか、と思ったが、もう考えたくもなかった。
馬車を見送った後、シグナム達は政庁に向かった。
政庁には不完全とはいえ戸籍帳簿があり、それを見ればすぐに見付かると思ったのだ。
政庁の門前に着いたシグナムは、二人を留めておき、先に中に入った。
これからやってくる二人の女性に、自分がシグナムであると教えるな、と伝えるためである。
伝え終わった後、シグナムは二人をとある一室に招き、
そこで規則だからという理由で二人の名前を書かせた。
それと平行して、二人が捜している人の名前を聞いた。
しかし、捜し人の名前を聞いた時、シグナムはあからさまに嫌な顔をした。
その名前いうのが、サム・スミスだったからである。
その手の名前は、そこ等中に掃いて捨てるほど存在している。
そんな中から目的の人物を捜すとなると、一生掛かっても見付かるはずがない。
さらにシグナムを悩ませたのが、その捜し人と最後に会ったのは十五年前であり、
記憶がとんでもなく曖昧であるという事だった。
唯一の救いといえば、その人の年齢は現在は二十一歳という事が分かっているぐらいだが、
そんなものは慰め程度でしかない。
面倒臭い事に巻き込まれたと思いながらも、シグナムは微笑みながら、
「姉の名前はルナ・フローライト、妹の名前はセレネ・フローライト。間違いはないですね?」
と、確認のために二人の名前を読み上げた。それが終わると同時に、役人達が帳簿を運んできた。
シグナムは運ばれてきた帳簿の山を前に、鼻眼鏡を掛け、自らに活を入れた。
だが、如何せん情報が少なすぎる。二十一歳のサム・スミスと絞ってみても、
首都のピドナ内で十万人、全国の郡を合わせると百万人もいたのだ。
この時ほど、サム・スミスという名前を憎んだ事はなかった。
このままでは埒が明かないと思ったシグナムは、二人がなにか思い出す事を期待した。
しばらくすると、考え込んでいたルナが、
「思い出しました!確か、そのスミスさんは豪族でした」
と、胸につかえていたものを吐き出す様に言った。
豪族というワードが出た事により、これで多少は減るだろうとシグナムは思ったが、
それでも六万人も残り、相変らず捜すのは困難であった。
シグナムが途方に暮れていると、一人の兵士が走り寄ってきた。
内容は、今まで服従しなかったローレライ家の息女が、ここに来ているというものだった。
シグナムは、フローライト姉妹に、急用が出来ました、と言って部屋から出て行った。
ローレライ家の息女がいるという部屋に向かう途中、偶然フレグとすれ違った。
ちょうどいいとばかりに、シグナムはフレグに人捜しの代行を頼んだ。
「随分と大変なものを抱え込みましたね」
と、面倒臭い事を頼まれながらも、フレグは嫌な顔もせずそう言った。
「まぁ、これも円満に経営していくためには必要なんだよ。役人は好きに使っていいから、
とりあえず、ほどほどにやって、暗くなったら帰ってもらってくれ」
シグナムはそう言って立ち去った。
しばらくしてからシグナムは、フレグの昔の名前がサム・スミスであった事や、豪族であった事、それに現在二十一歳である事だけでなく、以前フレグと話した時の内容を思い出した。
「まさか……な……」
そんな事を思ったシグナムは、その予感を胸にしまい、再び歩き出した。


244 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十六話 ◆AW8HpW0FVA :2010/10/10(日) 18:48:12 ID:mNhTWqXt
ローレライ家の息女ソフィアと相対したシグナムは、敢えて尊大な風を纏いながら、
「お初にお目に掛かる。私がオゴタイ王国の宰相シグナム・ファーヴニルだ。
名族と名高いローレライ家のご息女自らがご出向は、一体どの様な目的で?」
と、皮肉を交えて言った。しかし、ソフィアは顔色一つ変えずに、
「宰相殿も随分と分かり切った事を聞く。私がここに来たという事は、
我が一族がオゴタイ王国に服従するという意味に決まっているではないか」
と、凛とした声で答えた。名族らしく怒鳴り散らすだろうと思っていたシグナムは、
その毅然とした態度に肩透かしを食らったが、それでも態度を崩さなかった。
「以前、降伏勧告を出した際は断ったくせに、
今になって降伏とは、……随分、虫が良すぎるんじゃないかな?」
「確かに、あの時は我が一族は降伏勧告を蹴った。
だがそれは、旧主より授けられた土地を手放す訳にはいかなかったからだ。
しかし、時機を逸して、こうなってしまった以上、我々に残された道は、
厚かましいと思うだろうが、家名を後代まで残すために、降伏するしかないのだ。
それで貴殿が気分を害したのならば、私が一族を代表して謝罪しよう」
「謝罪をしに来たのならば、当主が来て謝るのがしかるべきだと思うが」
「まだ周辺で賊が跋扈している中、当主が無闇に領地を離れる訳には行かないだろう」
シグナムの詰問に、ソフィアは一歩も引く事なく答えた。
そこには、交渉が決裂しようものなら、戦う事も辞さないという覚悟があった。
この手の人間に、シグナムは嫌悪ではなく、寧ろ好感を持つ事が出来た。
その感情が、そのまま胸に沁みたのか、シグナムは尊大な態度を解き、
「まぁ……、我々はまだ一度も干戈を交えた事はなく、そちらから服従を願うのなら、
それを無碍に断る訳にはいかないか。……分かりました、あなた達を受け入れましょう」
と、温言を掛けた。なにはともあれ、こうしてまた一つの大敵が消えた。
「所で……」
シグナムは、先ほどまでの緊迫した雰囲気から、一転して呆れた表情になった。なぜなら、
「いい加減、トゥルイから離れたらどうかな」
「嫌です」
さっきからソフィアがトゥルイにべったりとくっ付いて離れないからである。
部屋に入った時からこの状態だったが、シグナムはあえて問わず、それを見ない様に、
ひたすら話に集中していたが、遂に我慢が出来なくなったのである。
こうなった経緯をソフィアから聞いたシグナムは、
同じ様な光景を少し前に見たので、激しく砂を吐きそうになった。
「あなたとトゥルイが子供の頃に結婚の約束をした仲だというのは分かりましたが、
時と場合は弁えるべきではないかな、貴族として、人として」
「時や場合など、人間が勝手に考えた概念ではないか。
人間の本能に直接訴え掛ける愛の前に、その様なものは不要だ」
「いや、だからそれを理性で以って抑えるべきなん……むぐっ!」
シグナムに乗じようとしたトゥルイは、その言を封じられた。
ソフィアのディープキスによって。
「ぷはっ……、君はなにも言わなくていいんだ、トム……いや、今はトゥルイだったかな」
「…………………………」
掴み所のない性格であるはずのトゥルイが目に見えて慌てている。
この様なトゥルイを見るのは初めてだった。
黙らされたトゥルイは、顔を赤くしてこちらに救いを求める目を向けてきた。
しかし、ヘカテの時同様、シグナムにはどうする事も出来ない。
まったく、今日は訳あり美女の大安売りでもしているのか、とシグナムはそんな事を思った。


245 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十六話 ◆AW8HpW0FVA :2010/10/10(日) 18:48:48 ID:mNhTWqXt
ソフィアとの会談を終えたシグナムは、半泣きのトゥルイを置いて、部屋から出て行った。
扉越しに二人の声が聞こえる。
「シグナム様、待ってください!二人きりにしないで……」
「やっと二人きりになれたな。……さぁ、これで邪魔者は誰もいない。
思う存分に愛し合おう。君が散々焦らすから、私のここはもう……」
「ちょっ……、待ってくれ!まだ心の準備が……」
「君には出来ていなくても、私は二十年前から既に出来ている。
ふふふっ……、狼狽する君も可愛いな……」
「可愛いって……、だからそんな……うぁあああああ!!!」
シグナムは扉から遠ざかった。同時に悲鳴もだんだん遠ざかっていった。
既に日も暮れ始めている。シグナムは小走りにフレグ達のいる部屋に向かった。
フローライト姉妹に、一緒に捜してやる、とは言ったものの、
六万人の中から目当ての人物を捜し当てるのは、一両日中に出来る様な事ではない。
今日は諦めて帰りなさい、とあの姉妹に告げようとシグナムは思ったのである。
しかし、扉が開いた先でシグナムが見たのは、
フローライト姉妹に抱き締められて眠っているフレグだった。
少し前に浮かんだ予感が、見事に実現したという訳である。
今日でこの様な図を見るのは三度目である。流石にシグナムの精神も擦り切れそうになった。
唯一の救いは、前者の二人に比べれば、フレグのそれは極めてライトなものだった事だ。
これがヘビーなものだったら、シグナムは血を吐いて倒れていたであろう。
正直、このまま起こさないで立ち去りたいとシグナムは思ったが、
事情を聞かない訳にはいかないので、やむなく幸せそうに眠っている三人を起こす事にした。
起こされた三人の内、フローライト姉妹は眠たげな眼でシグナムを見つめていたが、
起こした人物がこの国の宰相であるシグナム・ファーヴニルと知ると、慌てて跳ね起き、
「この国の宰相閣下とは知らず、とんだご無礼を。
私達のこれまでの失言、どうかお許しくださいませ」
と、二人揃って同じ事を言うと、地に額を擦り付けんばかりに頭を深々と下げた。
二人に面を上げさせたシグナムは、なんとなく察しは付くが、こうなった経緯の説明を求めた。
そして返ってきた答えは、大体シグナムの予想通りのものだった。
「フレグの話を思い出した時、まさかとは思いましたが、
やはり、子供の頃に結婚の約束をしたというのは、あなた達の事だったんですね。
それにしても、十五年も前の事なのに、よくフレグがサムだと分かりましたね」
と、シグナムが感心した様に言うと、二人共顔を真っ赤にして、
「直感で……」
「匂いで……」
と、言って、大いに引かせてくれた。気を取り直したシグナムは、
「それで、なぜ今になってここに?」
と、聞いた。すると二人は、相変らずの赤い顔が嘘の様に、
「父上が勝手に私達の許婚を決めて、今日が結婚式だったのです」
「だから、逃げてきたのです」
と、内容の割りに随分と軽い感じで答えてくれた。
シグナムは強烈な眩暈を覚えた。
この後必ず来るであろう、フレグに対する許婚達の問責の使者に、
シグナムは対応しなければならない、と目に見えて分かったからである。
「あぁ……、やる事が溜まっていく。どうでもいい事が溜まっていく……」
と、嘆いたシグナムの予想通り、翌日、
シグナムの許には二人の許婚を名乗る男と、ヘカテの父親が抗議にやって来た。
さらには、その日の政務の忙しさも相まって、
全てが終わった頃には、シグナムは青息吐息の態だった。


246 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十六話 ◆AW8HpW0FVA :2010/10/10(日) 18:49:15 ID:mNhTWqXt
お見合いが終了してから一週間が経った。太陽の光が目に痛い時期になった。
この頃になるとシグナムの政務は通常運転に戻っていた。
しかし、周りでは異常運転が続いている。
例えばある日の余暇、シグナムが城内を歩いていると、ヘカテとすれ違った。
これといって不思議な事でもなかったが、よく見ると、ヘカテの顔は上気しており、
なんとなしに下に目をやると、地面に小さな染みが等間隔で出来ていた。
今、雨は降っておらず、ヘカテは水気のものを持っている訳でもない。
シグナムは気付いてしまった。というか、気付かされた。馬車の中で堂々と行なわれた淫行。
あれを思い出せば、その染みの正体がなんなのか、すぐに分かった。
「バトゥのか、ヘカテのか、……そのどちらかしかないな……」
そう考えて、なんでこんなくだらない事が分かってしまったのか、シグナムは自分が嫌になった。
その次が、トゥルイとソフィアのカップルである。
シグナムが朝廷に出席すると、その末席に、なぜかソフィアがいた。
驚いたシグナムは、朝政が終わると、ソフィアに問い詰めた。
するとソフィアは涼しい表情で、
「なぜとは失礼だな。私は降伏の使者であると同時に、
この王朝に仕えるローレライ家の家臣の先駆けでもあるのだから、
朝政に参加してもさして文句はあるまい」
と、さらりと言ってのけた。シグナムはなにも言えなくなった。
朝政の席に、ソフィアが加わった事事態は大した問題ではなかった。
彼女は優秀だった。恐ろしいほどの速さで、政務をこなしていったのだ。
それだけならば、問題はなかった。本当に問題だったのは、
「トゥルイ、子宮が寂しくなってきたから、君の事を食べたいのだが」
と、時も場所も関係なく、とんでもない事を臆面もなくぶちまける事だった。
それだけでなく、政務中にトゥルイとソフィアがどこかにいなくなる時があり、
見つけた時には、イカの臭いを漂わせているのだ。
上記の二人に比べると、フレグはあまり変化がなかった。
フローライト姉妹に会っても地面に染みは出来ないし、フレグからはイカの臭いも漂ってこない。
「お前が一番まともな相手を見つけたかもな」
と、シグナムは偶然出会ったフレグに言った事がある。一番まともと言ったが、
それはヘカテやソフィアに比べればであり、フローライト姉妹も十分異常であった。
フレグは笑いながらシグナムの愚痴を聞いていた。
「それでは、僕は仕事に戻ります。また後で」
愚痴っていたら、かなり時間が経っていたらしい。フレグは一礼して、走り去った。
走り去るフレグの背中を見つめながら、シグナムは奇妙な違和感を抱いていた。
フレグは、自分を僕と呼称した事があったか、というのが違和感の正体だった。
その違和感を覚えてから三日後、一通の手紙がシグナムの許に送られてきた。
その内容は、バトゥ等の合同結婚式の招待状であった。
お見合いをしてから十日で、三人はゴールインしたのである。開催日は、四日後だった。
ついでに余談だが、実は結婚式当日に一通の手紙が送られたのだ。
内容は、ハイドゥの死亡を伝えるものだったが、
シグナムが会場に向かうのと入れ違いに届いたせいもあり、
その手紙は書類の下に埋まり、後には消失し、永遠に誰にも見られる事がなかっただけでなく、
他殺なのか、事故死なのか、ハイドゥの死をも永遠に分からなくしてしまった。
まぁ、余談だから別にいいのだが。


247 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十六話 ◆AW8HpW0FVA :2010/10/10(日) 18:49:58 ID:mNhTWqXt
結婚式に出席したシグナムは、自らが神父をやる、とバトゥ達に言った。
喜ばしい席なのだから、上司である自分が誓詞を述べたい、と言うのが表向きだが、
本当の理由は、緩みに緩みまくっているバトゥとトゥルイの嫁に、
この場で諫言を込めた誓詞を送ってやろう、という企てがあった。
三人は、シグナムが神父役を買って出てくれる事に甚く感動し、涙ながらに了承してくれた。
そして、その時が来た。壇上に立ったシグナムは、スーツやドレスで着飾った七人を見渡した。
咳払いを一つしたシグナムは、先ずバトゥとヘカテに目を向けた。
「バトゥ・サインハン。汝はヘカテ・ハルクラテスを妻とし、
神の御定めに従い、清き婚姻を結び、共にその生涯を送る事を誓うか?
汝はこの女性を愛し、慰め、敬い、支え、両人の命ある限り、
一切の心変わりをせず、この女性の夫として操を立てる事を誓うか?」
「誓います」
「ヘカテ・ハルクラテス。汝はバトゥ・サインハンを夫とし、
神の御定めに従い、清き婚姻を結び、共にその生涯を送る事を誓うか?
汝はその男性との生活において、場の空気を読み、恥じらいと慎ましさを持って、
一切の心変わりをせず、この男性の妻として貞操を守る事を誓うか?」
「…………」
ヘカテは相変らずなにもしゃべらなかったが、取り合えずその沈黙を了承と受け取り、
次にシグナムは、トゥルイとソフィアの方に向き直った。
トゥルイへの誓いの言葉は、バトゥの時と同じである。問題はソフィアであった。シグナムは、
「ソフィア・ローレライ。汝はトゥルイ・ダマスクスを夫とし、
神の御定めに従い、清き婚姻を結び、共にその生涯を送る事を誓うか?
汝はその男性との生活において、とにかく自重の上に自重を重ね、さらにその上で自重し、
一切の心変わりをせず、この男性の妻として貞操を守る事を誓うか?」
と、とにかく自重という言葉を強調した。
「当然だ」
自信満々に胸を張って言うソフィアに、シグナムは不安を感じたが、それは表に出さず、
最後にフレグとフローライト姉妹に目を向けた。
この三人に対しては、特に言う事がないので普通の誓詞となった。
これで、シグナムの言葉は終わりだった。続いて新郎新婦の誓詞である。
七人はとうとうと誓詞を述べ始めた。
だが、なぜか女性陣が、死が二人を分かつまで、の所を強調したので、
油断していたシグナムは、驚いてしまった。
それも終わると、後は指輪の交換である。これも恙なく終了した。
最後にしめの誓詞である。再びシグナムは咳払いをし、
「神の名の下、汝達が夫婦となった事をここに宣言する。
神が結び付けた縁を、断ち切ってはならない。汝達の道程に、幸多からん事を」
と、述べた。満場一杯に拍手が響いた。
こうして、結婚式は終了。引き続き披露宴に移行した。
シグナムは、ローレライ家やフローライト家の親族達を挨拶を交わしつつ、
酒や料理に舌鼓を打っていた。しかし、やっぱりというべきか、
バトゥ、トゥルイの夫妻がお色直しに行ったきり帰ってこなかった。
しばらくすると、その二組が帰って来た。二組が横を通り過ぎた時、仄かにイカ臭が漂った。
あいつ等、誓いの言葉を早速破りやがった、とシグナムは舌打ちしたくなった。
少しはフレグとフローライト姉妹を見習え、とシグナムはそちらの方に目を向けた。
なぜか半ズボンを履いたフレグが目に入った。シグナムはすぐに目を逸らした。
なんだかんだあったが、こうして合同結婚式は無事に終了した。
シグナムにとって、この数週間は本当に充実したものだった。
だが、それももうすぐ終わろうとしていた。
なぜなら、この日から二日後、ブリュンヒルドが西方の賊を討滅し、凱旋したからである。
シグナムの表情が、瞬く間に黒雲に覆われた様に暗くなった。


248 : ◆AW8HpW0FVA :2010/10/10(日) 18:51:01 ID:mNhTWqXt
投稿終了です。次回もこれぐらいの時に投稿できたらな、と思います。
あぁ、速筆の才能が欲しい。

249 :名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 22:33:20 ID:HLGZ19lz
GJ
まわりはヤンデレの幸せそうなカップルが出来てると言うのに・・・

250 :名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 23:34:41 ID:ITNeUJF8
GJです

そろそろシグナムのターンが来そうで次に期待ですね

251 :名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 23:48:29 ID:WIBV2Kx+
GJ!

やっぱりドラファジーは面白い!


そしてまた勢いで書いたの投下!

252 :名無し:2010/10/10(日) 23:51:46 ID:WIBV2Kx+

「俺…やっと彼女が出来ました!」


突然クラスの人気者、女子の好きな人No.1に輝く我が腐れ縁の藤中が帰りのHR前にとんでもない爆弾を放ちやがった。
見ろ。お前の幼なじみの小野さんや学年のアイドル横山さんやクラス委員長の大平さん等がすごい形相でこっちを見てくるぞ。
グロテスクは見たくないから、正直お前から離れたいのだが………

「どうした?誰だか知りたいか?そうだろ〜?」

さっさと後ろから刺されなさい。いや、僕まで刺されそう。
見ろ。転校生の安原さんがカッターを持ち出した。目が大変な色に変わってしまってるぞ

「……そうだ。今から彼の彼女と自称するゴミを詮索しろ。見つけ次第早急に排除だ。………」

いつの間にか隣のクラスのご令嬢の平さんがクラスの端にいて、何だか怪しい言葉が発してるようだが………誰か早く注意しないのか?

「おーい、そんな顔すんなよ。今教えてやるからさ!」

この瞬間、クラスの空気が変わった。全方位から視線を泣きたくなるぐらい浴びてる僕と藤中。
だが、藤中は持ち前の鈍感で気付くことなく平然といる。
チラッと周りを見たらクラスは女子だらけになってしまっていた。
何コレこわい。


なんかここでこいつの彼女聞いたら被害は藤中と彼女さんだけでなく、僕の方にも及びそう………


253 :名無し:2010/10/10(日) 23:52:38 ID:WIBV2Kx+

こんちくしょう!、それだけは阻止しなくては!

「………だ。」
「はっ?」
「だからラブイコールの彼方ちゃんだ。」

流石に周りには聞かれたくなかったのか、耳元でギャルゲーのヒロインの名前を囁く馬鹿野郎。

それよりもなんてことしやがった!こいつ!!!
これで僕の生存確率が急激に減ってしまったじゃないか!?

やべー、目がやばい安原さんだけでなく藤中を想う恋の戦士たちが徐々に近づいてくる!危険なオプション付きで。

『はーい、席に着け。HRを始めるぞ。』

担任の葵ちゃんが来た!これで命は守られた!

「今度お前にも俺の彼女見せてやるよ。」

『……よーし、藤中ちょっといいか?』


殺すならこの馬鹿野郎一人でお願いします。
それから何故か殺人対象が僕になって決死に逃げ続けるのはまた違う話。

そしてその腹せいに藤中のラブイコールを勝手に進めるのもまたいつか違う時に。



現在、藤中の修羅場を遠くで傍観する僕はラブイコールのアイスちゃんを攻略している真っ最中であった。



「おーい!助けてくれー!!!」




僕に気づき、勢い良く突っ込んできた藤中。そしてこちらに向かってくる夜叉たち。

訂正、藤中をどうやって殺すか考えながら修羅場メンバーから逃げる僕だった。





254 :名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 23:54:57 ID:WIBV2Kx+

投下終了

そしてドラファジ次回作に期待!

255 :名無しさん@ピンキー:2010/10/11(月) 08:45:46 ID:3t7SKjLi
…ハイドゥ(ノ△T)

256 :名無しさん@ピンキー:2010/10/11(月) 16:54:20 ID:H7/YdhFv
乙乙

257 :名無しさん@ピンキー:2010/10/11(月) 22:32:36 ID:mxyptzMl
ふと思いついたんだが・・・バイオハザードのTウイルスを
Y(ヤンデレ)ウイルスにしたらどうなるんだろう?

258 :名無しさん@ピンキー:2010/10/11(月) 22:38:54 ID:zvPejyS/
ヤンビになるんじゃあ

259 :名無しさん@ピンキー:2010/10/11(月) 22:40:21 ID:e2XUKHv8
>>257
お前の彼女で地球がやばい

260 :名無しさん@ピンキー:2010/10/11(月) 22:40:40 ID:w4n7P6K1
ヤンデレウイルスってネタがSSがあったような気がする

261 :名無しさん@ピンキー:2010/10/11(月) 22:56:54 ID:F/XnqB4C
短編であったな…俺は最近病んでると思ったのは「9・18事件」が病んでると思った件について

262 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 01:20:31 ID:9UOzgCmo
空気感染以外の感染方法は?



263 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 04:00:11 ID:r2wkWNU1
………、血液感染………?

264 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 04:04:15 ID:r2wkWNU1
いや、むしろ女のみ発症にして、感染はするが発症はしない男を媒介にして、粘膜接触で感染拡大的な?

265 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 04:36:35 ID:HFdE/xo4
その場合男からホスト以外の別の女にどうやって感染するのやら

266 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 12:21:09 ID:QWgaEpGg
創聖合体

267 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 12:26:52 ID:Auwg7gtY
ヤンデリオン

268 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 12:32:03 ID:ZBim3PvF
ウイルスでヤンデレになるとかその愛情が陳腐に見える
ひぐらし的な感じ

269 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 13:33:34 ID:M083thBG
ひぐらしは断じてヤンデレではない(※ただし詩音を除く)

270 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 13:51:54 ID:9UOzgCmo
そういえばヤンデレ世紀もそんな感じだったな

271 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 15:25:52 ID:MpyiUAn4
媒介の男が他の女とヤッた時点でその男が殺されて殺した方も殺されてヤンデレウイルスはすぐなくなるんじゃ

272 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 18:29:27 ID:r2wkWNU1
>>271

ヒント
男→ヤンデレから逃げる→他の女に手を出す(される)→他女ヤンデレ化→血みどろの争い→男逃げる→別女ヤンデレ化(以下繰り返し

そして空気感染があるとすれば……?

273 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 18:51:13 ID:YfYG32FH
なんかニワカがキチガイを語ってると聞いて
それもはやバイオハザードだろ
スプラッタ前提でしか語れないヤンデレとかないわ・・・

274 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 19:05:58 ID:bl4ea5Hz
だから最初にバイオハザード派生だって言ってんじゃん

275 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 19:41:56 ID:L5rZFJLU
それもはやバイオハザードだろ(キリッ

276 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 19:53:10 ID:kYh5UDDA
まぁどっちにしろ愛情以外の原因で病んでるからヤンデレじゃないな
ただの感染症だろそれ

277 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 19:59:24 ID:cVuOOuap
電波とヤンデレを一緒にしてる時点でもう・・・って感じだろ
愛故に病むんじゃなくてウイルス故に病んでるのにどこがヤンデレなんだって感じ
首ちょんぱすればヤンデレだろって安易な考えが見えすぎてて

278 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 20:10:38 ID:L5rZFJLU
>>1を読みなされ

・転じて、病ん(ヤン)だ愛情表現(デレ)、またそれを行うヒロイン全般も含みます。
に該当するだろ。

・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。
  →(別名:黒化、黒姫化など)
しか認めないって人も多そうだけど、ヤンデレの定義で議論したいならそんなスレがあったと思うからそっちへどうぞ


279 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 20:38:23 ID:cVuOOuap
なんかもうそれなんでもありだな・・・
愛情が薄っぺらく感じるわ

280 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 20:46:47 ID:pWvUjNyu
ヤンデレを卒業する時期が来たんだろう

281 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 20:51:14 ID:kYh5UDDA
ひぐらしもヤンデレと認められちまった世の中なんて


282 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 20:52:26 ID:DFRmnkMO
消えちまえ!

283 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 20:55:30 ID:E6Chq9FO
毎回毎回、作品を読むたびに
「いいヤンデレだった、作者さんGJ!!」って思う心と
「畜生!!リア充主人公め!!殺してやる!!」って思う心がせめぎ合う。


284 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 21:04:29 ID:Ox0tcQA6
ヤンデレハザード

ヤンブレラが極秘開発したYウイルスが流失した。ネオラクーンシティの女性はYウイルスに感染したことにより
ヤンデレへと変貌し、男たちはヤンデレから逃げるために都市から脱出することを決意する。
そう、これは。俺にとっての最後の脱出劇。


バイオハザード+ヤンデレで面白い二次創作ができそうだね

285 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 21:07:42 ID:kYh5UDDA
そこまで行くともはやただの男に飢えた痴女(モンスター)だろ・・・

286 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 21:12:59 ID:cMiSH0rO
意中の男への愛情を徐々に増幅させるウイルスとかはどうだろう
結局、ヤンデレ化がウイルスに依存する割合が高いからだめか?

287 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 21:19:29 ID:HFdE/xo4
ただの愛情がヤンデレ方面に転ぶ脳内物質の分泌を促進させる作用のある成分とか

288 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 21:22:32 ID:kYh5UDDA
例えば普段はまじめで好きな人への愛情を必死に抑えてる女の子が
告白する勇気がないからと告白するために勇気がでる薬をもらうんだけど
副作用で多少理性のたがが外れやすくなるってのがあって、普通はそこまで問題はないんだけどあまりに愛情が深すぎて
そのせいで晴れてカップルになったあと段々と独占欲を抑えきれなくなってとかいうのはありだとおもうが

289 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 21:26:09 ID:cMiSH0rO
自分でも気付かないうちに病んでいくってのは良い感じだな
ただ、鬱々しい臭いがビンビンするぜ

290 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 21:38:45 ID:Ox0tcQA6
May 16, 1998
昨日、この屋しきから逃げ出そうとしたおと、こ 一人、射さつされた、て はなしだ。
夜、からだ中 あついかゆい。
胸のはれ物 かきむしたら 肉がくさり落ちたにゃー
いったいあたし どうな て

May 19, 1998
やと ねつ ひいた も とてもかゆい
今日 はらへったの、いぬ のエサ くう

May 21, 1998
かゆい かゆい ○○くんキ・キ・キ・キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
ひどいかおなんで ころし
うまかっ です。

4
かゆい
うま


291 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 21:46:15 ID:9UOzgCmo


ピザがヤンデレ化したら………

292 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 22:04:26 ID:E6Chq9FO
>>291
それはヤンデレじゃなくて、ただの頭が変な人だと思った
俺の中で『ヤンデレ=美人』であってほしいっていう願望が渦巻いてるからだろうな



293 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 22:06:18 ID:ttjIJDdK
>>291デブなヤンデレとか誰得

294 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 22:16:14 ID:JkP6Yb4q
ヤンブレラ・・・いい響きだな

295 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 22:18:06 ID:oOU75KzV


296 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 22:18:33 ID:+p34ADhE
振り向いて欲しくて血のにじむような努力で痩せるだろ

297 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 23:10:28 ID:pAifXT1f
ここってヤンデレならエロゲや漫画の二次創作のSSでもいいの?

298 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 23:16:27 ID:U6WrzMXH
>>297
>>1
・版権モノは専用スレでお願いします。

299 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 23:18:25 ID:E6Chq9FO
>>297
1には……書いてねえなあ……。どうなんだろ?
でも保管庫にギアスの二次創作っぽいのもあるからなあ……。禁止はされてないっぽい。
あ、もし投稿するつもりなら投稿前に『○○の二次創作』とか『注意!!』とか書いてくれるとうれしい
二次創作が苦手な人もいるだろうしな。

300 :名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 23:19:25 ID:E6Chq9FO
>>298
おわ!まじか……ちょっと刺されてくる

301 : ◆AJg91T1vXs :2010/10/13(水) 01:34:14 ID:C/fVf56M
>>257

 ヤンデレウィルスの設定を、自分なりに考えてまとめてみました。
 埋めネタの代わりにどうぞ。

 可能な限りのリアリティを持たせようとした結果、感染しても即ヤンデレ化しない、またはヤンデレにさえならない場合もあるという、微妙な設定になりましたが……。


【Y−ウィルス】
 製薬会社のヤンブレラ社が開発した新種のウィルス。
 生物兵器の類ではなく、本来は女性の美容を促進するための成分を抽出する目的で生み出された。
 ただし、未だ改良の余地がある試作品であり、実験は厳重な管理下の下で行わねばならない。
 万が一、外部に漏れた場合、深刻なバイオハザードを引き起こす可能性がある。


<ウィルスの作用と感染時の症状>
 Y−ウィルスは、主に脳の性別を決定する女性の性ホルモンと反応する。
 より正確に述べるならば、Y−ウィルスに感染した者の脳は、性ホルモンと反応する特殊な脳内物質を生成するようになる。
 この物質は脳内の性ホルモンと反応し、新たな物質へと生まれ変わる。
 この物質は美容、健康、新陳代謝などを促進し、感染者の容姿を若々しく、美しく保つ効果がある。
 しかし、同時に『心の奥で最も執着しているもの』に対して極度の依存症状を引き起こす副作用を持ち、感染者に極めて深刻な中毒症状を引き起こす。
 以下、その中毒症状の進行具合を記すものとする。


【感染第一期】
 自分の執着しているものに対し、より強い独占欲を抱くようになる。
 しかし、まだ表面的には発症せず、一人であれこれと悩んだり、自分の想いを日記に書きとめる程度に終わる。


【感染第二期】
 第一期よりも積極的な行動に出るようになる。
 依存の対象を自分だけのものにしようとし、今までは大人しかった女性が意中の異性に積極的にアタックを開始したり、露骨なボディタッチをするようになる。
 また、自分以外の人間が依存の対象に触れることに、露骨な嫌悪感を示すようになる。


【感染第三期】
 感染前と比べ、明らかに外見に変化が現れ始める。
 具体的には美容と健康が促進され、髪の艶や肌の色、張りなども良くなる。
 その反面、執着している存在が側にいない場合、言いようのない不安感に襲われることになる。
 それらの不安から逃れるために、酒やセックスに溺れる、自傷行為に走るといった者も現れる。
 携帯電話の留守電に何度も電話したり、意中の相手をストーキングするといった奇行に出る者もいる。


【感染第四期】
 第三期以上に、外見に変化が現れる。
 依存の対象が自分の集中にある場合は、美しいを通り越して妖艶と表現した方が正しい容姿になる。
 一方、依存の対象が側にいない場合や、何らかの事情で他者に奪われた場合は、死んだ魚のような目をしてふらふらと彷徨うようになる。
 その様はまさに生ける屍(ゾンビ)そのものであり、最終的には狂笑をしながら恋敵を排除するという実力行使に出る。
 なお、この時期のY−ウィルスによる身体への影響は異常なものがあり、健康増進作用によって平時の数倍の体力を獲得する。
 故に、感染前からは想像もできないほどのタフネスを会得し、意中の相手と際限なく情事に及んだりもする。


【感染第五期】
 末期状態。
 依存心が極度に膨れ上がり、依存の対象と片時も離れることができなくなる。
 恋敵の有無に関係なく相手を監禁し、場合によっては四肢を切断するような行為にも躊躇いを見せない。
 相手の特に気に入ったパーツを入手するために殺害行為に及んだり、同化欲求から食人に走る感染者もいる。

302 : ◆AJg91T1vXs :2010/10/13(水) 01:37:02 ID:C/fVf56M
 以上が、Y−ウィルス感染者の感染進行状況である。
 進行状況には個人差があり、長らく第一期から第二期の状態で潜伏する者もいるが、数日の間に第五期まで発症する者もいる。
 これは、感染前の状態で、どこまで依存の対象に執着していたかにもよる。

 なお、脳内の女性ホルモンと反応して物質が生み出されるため、男性は基本的に感染しても発症しない。
 しかし、先天的に女性脳を持っている性同一性障害の男性は、通常の女性と同じく発症する危険性がある。
 その場合、男ヤンデレならぬオカマヤンデレ(もしくはホモヤンデレ)と化すため、極めて性質が悪い。
 反面、男性脳の女性は感染しても発症しないため、レズビアンによる百合ヤンデレが発生する可能性は少ない。
 ただし、相手に対する友情が依存に置き換わった場合は、より歪んだ形での百合ヤンデレが誕生する可能性もある。

 依存の対象が人外であった場合、俗にいうヤンデレ化には至らない。
 極度のアル中やニコ中、小動物に対する過剰な愛情表現などという形で表面化し、最終的には勝手に自滅する。

 それ以外の場合は、愛情がそのまま依存に置き換わる危険性を持つために、油断できない。

 家族愛の強い姉や妹 …… 徐々にキモ姉、キモウト化。
 片思い中の女子   …… 徐々にキモイン化。
 女同士の強い友情  …… 百合ヤンデレ化。
 
 などの形で表面化してくる。
 加えて、感染前から人間の肉体に何らかのフェチシズムを抱いていた者は、その部位に極度に固執するサイ娘となる可能性が極めて高い。
 感染の進行速度が速いのもこのタイプで、耳や眼球など、人体のパーツの一部を切断、保管したりする。

 意中の相手に振り向いてもらうため、ダイエットに勤しむ女性も注意が必要。
 症状が進むにつれて『痩せた自分を見て欲しい』という欲求が肥大化し、骨と皮になってもやせ続けることを止めない。
 最終的には餓死するまで拒食が治らない。

303 : ◆AJg91T1vXs :2010/10/13(水) 01:38:17 ID:C/fVf56M
<ウィルスの感染経路>
 感染経路は、主に経口感染と粘膜接触。
 ウィルスそのものは、空気中では三日と持たずに自己崩壊するが、水中では数週間に渡り生存が可能。
 それ故に、汚染された水を口にして感染する可能性が高い。
 また、粘膜接触は性行為以外にも、キスだけで感染することもある。
 男性はキャリアとなることが多いため、知らずにキスをして複数の女性を感染させる危険性がある。
 その他、感染者の血液や唾液などが体内に入った場合、ほぼ確実に感染する。


<予防と対策>
 ウィルスは熱に弱いため、生水は必ず加熱してから飲む。
 不用意にキス、性行為、その他粘膜が接触するような行為をしない。
 感染者は隔離し、血液や唾液に触れないようにする。
 
 以上が感染予防として考えられる策である。
 なお、既に感染してしまった者に対しては、感染第三期までであれば、抗ウィルス剤の注射によって感染の進行を食い止めることができる。
 抗ウィルス剤を注射された患者の細胞は、瞬く間にY−ウィルス由来の脳内物質の生成を中止。
 以降は普通の生活が送れるようになり、そのままであれば再発の危険性はない。
 しかし、同時に感染していた際に得ていた体力や美貌、さらには依存の対象を集中に収めていた際の高揚感が忘れられず、再び感染を望み、自らウィルスを体内に取り込む患者も存在する。
 その結果、一種のアナフィラキシーショックが起こり、脳症状を引き起こしたまま死亡する。
 また、死亡に至らなかった場合は再びウィルスに感染。
 その際には感染が一度に第五期まで進み、もはや助ける術はない。


<抗体の存在>
 Y−ウィルスはHIVウィルスのように、基本的には抗体を作り出すことができない。
 しかし、100人に1人は先天的に抗体を持っている人間がいるとされ、彼らは決して感染することはない。
 また、彼らの抗体を取り出して血清として用いれば、抗ウィルス剤と同様の効果を示す。



 こんなところでしょうか?

 とりあえず、自分にできるのはここまで。
 作品書く余裕までは、今はないです……。

 ホント、設定厨でスマソ……orz
 誰か使いたい人がいれば、ご自由にどうぞ。

304 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 01:44:01 ID:CpwPctNc
ウィキ見てたけど、キモオタと彼女の4.75が乗ってないな

あとサプライズの人は直接ウィキに載せてて、こっちの方には載せないのか

305 : ◆AJg91T1vXs :2010/10/13(水) 02:19:29 ID:C/fVf56M
>>301
 第三期の説明に誤入力が……。

 集中→×
 手中→○

 ですね。

 私もちょっくら刺されてきます……。


306 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 03:46:12 ID:xOOBqou6
投下こないかな

307 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 09:16:07 ID:Zo7TGPyg
触雷とサトリビトマダー?

308 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 09:22:01 ID:bUPV8BT4
なんでもかかってこいやー

309 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 09:46:45 ID:Md0226sk
ポケ黒マダー?

310 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 09:48:30 ID:DBESco3x
>>301
ヤンブレラは公式設定になったのかwww

311 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 10:17:09 ID:hBijOj1W
「触雷!」紅麗亜がどんな恐ろしいことを展開していくのだろうが…

312 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 10:37:24 ID:GPwAZWch
ほトトギすマダー?

313 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 10:43:57 ID:r1nO4Q0e
俺は紅麗亜がなぜか、うみねこの紗音で脳内再生されてるからなんかあまり怖く感じないんだよな

314 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 11:44:38 ID:6WOXBF85
熊射殺

315 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 13:00:30 ID:RjSzZy2w
私は、戦場のヴァルキュリアのセルベリアで再生されるなんだかそのまま、ブリュンっかんじがする

316 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 14:23:42 ID:Jn55qT53
俺、声の想像はないが、あのヒロイン全般、THE ガッツ(←土方系エロゲ)に出てくるような凄いガタイのいいのを想像してしまう

317 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 14:35:39 ID:ceZ8aYIo
>>316
ガッツ懐かし過ぎw
俺はKOFのキャラで再生される
あと触雷投下まだー?

318 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 14:42:43 ID:dvM4QsRz
触雷!と我が幼馴染が楽しみだ

319 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 20:25:46 ID:RjSzZy2w
ひつこいかもしれないけれども時間があったらセルベリアググッテみてください。  作中に書かれていた、特徴と同じだと個人的には思います。あくまで、個人的には、ですけれども・・・・ 

320 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 20:28:07 ID:RjSzZy2w
ポケ黒きてほしいな

321 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 21:13:40 ID:f+XFG2l4
一時浮気していた彼女が捨てられた後にヤンデレ化する
っていうのはここでいう「寝取られ」に入ってしまうんか?
そんな感じの内容を思いついたんだが

322 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 21:35:01 ID:0mEM5+AM
注意書きあれば構わないと思うけど
一部の人は過剰反応するかもね
俺は読みたい

323 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 21:36:50 ID:H9Na5rRS
あんまりビッチっぽくするとキャラのバランス具合が微妙になるぞ
ヤンデレとビッチは対極に位置するような物だし
まぁビッチが愛に目覚めていくうちにヤンデレ化するとかならありじゃね?

324 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 21:39:02 ID:/ah9rReY
少なくとも推奨はしない
ただ主人公の嫉妬心を煽るためにそういう振りをしてるならともかく、ガチ浮気なら止めといた方が無難

制止を振り切って投稿するならそれでも構わんが

325 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 21:45:45 ID:f+XFG2l4
まあ設定としては寂しさが相俟って断れずみたいな感じ
振られて新彼女に超嫉妬→ヤンデレ
みたいな感じなんだがいかが?
これがダメなら没になる

326 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 21:49:25 ID:Jn55qT53
俺はかなり読みたいが「よし、叩く理由を見つけたぜ」とここぞとばかりに叩く奴は絶対に出る。
そこをどう思うかだと思う

327 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 22:03:06 ID:5O6Td23L
俺は>>324に同意かな
嫉妬心を煽るためにってのならいいけど、本当に浮気するのはなぁ…
多分叩かれると思うよ。完全な一途じゃないってことだろ

328 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 22:14:53 ID:f+XFG2l4
話がほぼ出来上がったら大筋だけ書いてく。それで荒れそうな内容
みたいなら載せることはしない
まぁ、ダメ元で考えてみるよ。

329 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 22:48:47 ID:xOOBqou6
寝取られ系はダメだけど、>>325読んでみたい

330 : ◆e8vVUlQNyw :2010/10/13(水) 22:50:21 ID:f+XFG2l4
てst

331 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 22:52:09 ID:Y4lHm5Yt
個人的には投下してほしいな
浮気してたという負い目を感じながらも
主人公への想いを断ち切れずにヤンデレ化
ってのも見てみたいし

それに物語の冒頭でヒロインが他の男と付き合い始めるとこから始まる
前例もたしかここであったんじゃね?


332 : ◆e8vVUlQNyw :2010/10/13(水) 22:59:26 ID:f+XFG2l4
とりあえず鳥つけた
おおまかな流れ
付き合って1年→友人の目撃→尾行して彼女ホテルへ→
翌日同窓会の知らせ→同窓会に行く→同窓会で告られる→
別れを決意→別れを宣告→彼女が大学に来なくなる→
久しぶりに彼女登場→オーラ怖すぎて主人公引く→
猛烈な復縁要求→断り続ける→監禁→エンド
てな感じ
元々短編みたいにするつもりだったし俺の文才のなさも手伝って
安っぽくなってしまったんだが
見たいという人と推奨しない人がいるから迷ってる。
まだ完全に書き上げていないから載せるとしても少し時間かかるけど

333 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 23:02:26 ID:TzVjj9d8
面白そうだから読んでみたいな

334 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 23:04:55 ID:SlN471yz
ある程度同意を得られた事実を盾に投下しちゃえばいいと思うよ

335 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 23:10:03 ID:8UNfCSyU
ま、確実に荒れるけどな
正直、俺には三次元キチガイメンヘラとの違いが分からんよ

336 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 23:10:47 ID:phIev3rZ
絶対叩く奴湧くけどな
おれも見たい

337 : ◆e8vVUlQNyw :2010/10/13(水) 23:15:18 ID:f+XFG2l4
一応、書き続けておくよ。
支持してくれたみんなに感謝
期待はずれの出来にならないように書いてく

338 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 23:19:18 ID:hBijOj1W
投下前にちゃんと注意書きさえ書いてあれば無問題、書いて無いとヤンデレ家族の作者みたいにネトラレサイトへ永久追放になるからね…

339 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 23:34:47 ID:I4aE95yN
>>338
死ね

340 :名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 23:35:00 ID:898gclK6
俺はほトトギすの作者さんが来てくれるのを待つ。

341 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 00:14:29 ID:U63xNQXU
>>321どう考えても3次のビッチです。

342 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 00:15:06 ID:XlXKKX4Z
>>339
m9(^Д^)プギャー

343 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 00:50:22 ID:9492J7Ct
なんでヤンデレにわざわざ浮気とかNTRを含ませてくるんだ?普通にヤンデレで面白いのを書いたらいいじゃないか。わざわざビッチとか入れんな。荒れるだけ
もうそういう捻ったのは作者が面白いだけで読んでるほうはつまらないんだって気づけよ。なんでヤンデレという一途な愛を見に来たのにビッチやNTRを見なきゃならん
すし屋言ってハンバーガー出てきたら怒るわそりゃ。今までROMってたがもうこのNTR擁護みたいな流れが我慢できん。しかも一定のやつらが声を大きくOKみたいにしてROMのやつらの意見も同じみたいに勘違いするし
作者も擁護して欲しい見たいなレスは何なの?こういうことで荒れるならむしろ荒らしのほうを応援するわ

344 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 00:53:55 ID:nB5N4eUR
来たぜ来たぜ
>>337はどうすんのかな

345 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 01:03:59 ID:zvvdQZXk
>>343
お前金払ってSS見てんの?

346 : ◆e8vVUlQNyw :2010/10/14(木) 01:17:49 ID:fcEASeLb
わざわざ、荒らしホイホイな話題を振っておいてスマンが
どうやら普通のヤンデレっぽくなるかも。というより、話を作っていく
過程で自分の考える構図と離れていった感じになってしまっていた。
完成させてみてそれで出来た感じがまずそうだったのならまた聞くとしよう
>>343のように回転寿司でサーモンが流れてきたら
「寿司はまぐろだけって決まってんだろ」的な怒りを露わにするような住人
もいるみたいだしな


347 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 01:17:57 ID:Pj9zfXm6
>>343
お前、投下する前に自分の文章読まないの?

348 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 01:20:16 ID:B0Mux/ms
>>1では
ヤンデレ系のネタなら大歓迎
趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください
上のように書いてありますが
ヤンデレならどんな作品でも大歓迎のようですよ(版権モノ除く)
そんなわけで、浮気とかNTRが嫌いなら読み飛ばせ以上

349 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 01:23:41 ID:TyQ/R+qd
騒いでんの一人だけだし、スルーした方が良くないか?

350 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 01:29:20 ID:pAiadXJm
>>343の言っている事が理解不能なんだが
永久にROMってればいいと思うけど
逆になにも言わずに投下した方が荒れるかもしれないしあの短編みたいに

351 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 01:38:09 ID:EPpxc8Ry
>>343はツン2:ヤンデレ∞ていったところだな

352 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 01:45:22 ID:/MvDD53p
まあ、NTRとかは注意書き入れてくれればそれで良いよ

353 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 02:09:44 ID:o/t8BD6M
age

354 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 02:20:24 ID:bZIb13CG
>>352 の言う通りに作者が投下する時に注意書きすればそれで問題ないでしょ。
登場人物の嫉妬のさせ方や病ませ方について聞かれても、何も言えるはずがないよ。
そもそも質問内容が馬鹿なテレビが街頭のカップル捕まえて「なにをしたら浮気か?」って聞いてるようなもんで、そんなのそれぞれの主観頼りなんだから、荒れるに決まってるじゃん...。

355 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 02:42:17 ID:+YKy5xY6
まあ、俺だったら

2年間付き合っている彼女と別れた理由は実家の家業が経営難に落ち込んだせいで
とある企業が融資してくれることを条件に、社長の令嬢と無理矢理婚約するはめになった
その事実を認めることができない彼女がヤンデレストーカー化になって

主人公と婚約者の仲を切り裂こうと策略を仕掛ける

一方、社長令嬢である婚約者も親戚が持ってきた縁談相手である主人公に一目ぼれをする
世間知らずのお嬢様育ちゆえに主人公が自分のことを世界一愛していると思い込む
とあることがきっかけに主人公の前カノ存在を知ってからは、主人公は自分のことは
実は好きではないと疑心暗鬼になってしまう。

と、適当に書いてみた







356 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 02:43:46 ID:+YKy5xY6
プロットもどきは簡単に書けるのに、実際の作品としては色々と大変ですね

357 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 02:46:04 ID:N2nuW2PY
なんだこのキモイ流れ
こういうジャンルは常に変化してんの
寝取られ入ってたって1の通りにやれば何も問題無いのにわざわざトリ付けて誘い受けするカスてめーは氏ね

358 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 03:38:22 ID:0D1I6y6n
荒らしを誘導する自治廚も悪いが、誘い受けで作者気取りもいい加減にしろ。投下があまりないから書いてくれるのは嬉しいけど、なにか言う前に注意書きして投下しろよ、作者もどきが。

359 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 04:01:36 ID:kpvda4LT
需要聞く前に取り敢えず投下してもらえるとありがたい
勿論注意書き付きでだが

360 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 04:05:57 ID:mIHm7A5N
なにこの日本語不自由

361 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 04:07:04 ID:pAiadXJm
こんな会話してるから投下しづらいのかな•••
ちょっと心配だなぁ

362 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 04:07:15 ID:XlXKKX4Z
  (((;;;:: ;: ;;          ;; ;:;::)) ::)
   ( ::: (;;   ∧_,∧   );:;;;)) )::: :; :))
    ((:: :;;  (´・ω・)っ ;;;; ; :))
     ((;;;  (っ ,r どどどどど・・・・・
          i_ノ┘

 ((;;;;゜;;:::(;;:  ∧__,∧ '';:;;;):;:::))゜))  ::)))
 (((; ;;:: ;:::;;⊂(´・ω・`)  ;:;;;,,))...)))))) ::::)
  ((;;;:;;;:,,,." ヽ ⊂ ) ;:;;))):...,),)):;:::::))))
   ("((;:;;;  (⌒) |どどどどど・・・・・
         三 `J

         .∧__,,∧
       ⊂(´・ω・`)⊃
    ☆   ノ   丿 キキーッ
      ヽ .ノ  (⌒) 彡
       と_丿=.⌒

       *      *  
     *  いやです  +  
        n .∧__,,∧ .n
    + (ヨ(´・ω・`)E)
        Y     Y    *

363 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 04:08:02 ID:mIHm7A5N
>>>360>>358

364 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 04:11:22 ID:3vNOxdl3
秋だなぁ

365 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 06:09:03 ID:2k69lvez
なんか書くか

366 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 06:09:35 ID:N2nuW2PY
このスレ潰すなら今ですね!(*^o^*)

367 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 06:19:47 ID:XlXKKX4Z
せやなw

368 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 06:34:58 ID:6Y0dosty
@@3年前からのたのしみだから落とさないでTT

369 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 07:08:59 ID:WeIuiC4q
荒れたスレには作品の投下しかないぜ

370 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 10:28:32 ID:0/nNGqlL
叩いたり批評したりする暇があるなら働けw
だいたいが仕事や学校行って書いてる作者が多いんだから批評してる引きこもりニートは働けば?

371 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 11:02:38 ID:+YKy5xY6
俺のプロット無視されて涙目だよ

372 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 11:33:21 ID:WeIuiC4q
>>371
設定超いいから書けるならぜひ書いてほしい

373 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 11:41:04 ID:IuXnNnxM
>>355
>>371
何を躊躇している。その設定で今すぐ書くんだ!

374 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 12:44:49 ID:lI1MJ+JP


375 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 13:52:42 ID:nB5N4eUR
>>371
なら作品書きなよw

376 :AAA:2010/10/14(木) 16:26:45 ID:zqTBF8Dz
みんなで一つの作品を作ると言うのは?
多分無理だろうけど、読む楽しさと作る面白さが
沸いてくるのでは?

377 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 17:28:14 ID:sWW8s6rw
リレー小説ですね分かります


が、止めといた方が良いかと
要素盛り込み過ぎて混沌とするってのが一つ
皆の意志が一つにならんとお話にならないってのが一つ
一人でも変な要素いれると叩かれて話の完成どころじゃなくなるってのが一つ

まあ要するにやめとけって

378 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 17:44:17 ID:lI1MJ+JP


379 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 20:37:40 ID:2k69lvez
やめとけじゃない や る な

素直に正座して投下を待つクマー

380 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 21:58:09 ID:hWnzmxiY
投下したいけど、PCで文章を打つと目が痛くなって、頭痛とか起こすから無理
なんかいい解決方法とかないですかね?

381 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 22:00:08 ID:9oSvb38g
ヤンデレに代筆してもらうといいよ

382 :名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 22:54:15 ID:H51xWFog
>>380
背景色変えれば?

383 :名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 01:26:09 ID:Hx8q2HIT
投下ないな…

384 :名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 01:34:38 ID:I/yhrcqv
>>332はまだか!?

385 :名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 01:44:24 ID:Hx8q2HIT
正直言って>>332は別に来なくてもいい
未完の作品の投下がほしい
特にリバース

386 :ヤンデレホテルへようこそ 前編 ◆9znZNYtb1U :2010/10/15(金) 01:46:05 ID:l1qmokTu
 こんばんは、ヤンデレの娘さんのモノです。(今回からトリップなるモノをつけてみました)
 期待を外してしまったらすみません。
 今回は三日たちの物語から少し舞台を移して、ゴシックでホラーなお話を書こうと試みたら…こんなコトになりました。

387 :ヤンデレホテルへようこそ 前編 ◆9znZNYtb1U :2010/10/15(金) 01:48:30 ID:l1qmokTu
 イギリスのとある街。
 雷鳴轟く深夜。
 ぬかるんだ石畳に足を取られそうになりながら、オリヴァー・フォレストは無人の街を余裕の1つ無く走っていた。
 なかなかにハンサムな男である。
 雨でぐしょぐしょになった部屋着は、明らかなブランドもの。
 ギリギリの逃走劇を成立させている、適度に鍛えられた均整の取れた(ややマッチョ寄り)体つきは、モテるために大学でテニスをしていたから。
 髪はやや地味な色合いの赤毛だが、見事なグリーンの瞳は学生時代『エメラルドの都のオリヴァー』と言われたほどだ。
 ただし、そのあだ名の由来は羨望一割やっかみ一割失笑四割嘲笑四割。
 彼のことを少しでも知る人間ならば、口をそろえて顔「だけ」はハンサムな男と言うことだろう。
 現に……
 「ちくっしょおおおおおおおおおおおおお!(SHIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIT!)」
 オリヴァーは品性下劣な慟哭を夜の街に響かせていた。
 「ありえねえ!マジありえねえ!どうしてこうなったどうしてこうなった!今頃俺は人を超え、セレブを超えて超獣合身してるはずだろうがよ!それが何でひーこらと逃げ回ってんだよぉ!俺の人生クソゲーか!」
 オリヴァー・フォレスト、自分のクリアできないゲームは全部クソゲーとか言っちゃう人である。
 「それもこれもみっんなあいつのせいだ!」
 後ろをチラと振り向いて言うオリヴァー。
 スポーツで鍛えた足で随分と相手を引き離したが、それもいつまで待つか分からない。
 どうした理屈か、相手は確実に彼の後を追ってくるのだ。
 耳を澄ませばひたひたという彼女の足音が聞こえるようだった。
 「ンなところで殺されてたまるかってんだああああああ!」
 豪雨の音を上回る勢いで絶叫するオリヴァー。
 バレるバレる。
 「こーなりゃ、どっかに匿ってもらうしかねぇ!」
 そう言って辺りを見回すオリヴァーだが、時間が時間だけに街には人っこ一人出歩いていない。
 夜盗1人いない治安の良さがこの街に訪れた理由の1つなのだが、結果としてそれが仇になったのかもしれない。
 その上、家の明かりさえ見られない。
 ―――いや、一箇所だけある。
 レンガ作りのやや大きな屋敷。
 何やら赤い意匠の看板がかかっていることから、何らかの店舗か何からしい。
 オリヴァーは藁にもすがる思いで、その屋敷の扉を開けた。
 「助けてくれ!」
 オリヴァーはその建物の中に飛び込むと同時に叫んだ。
 「ほぅ…こんな夜分にお客様とは」
 オリヴァーの耳に良く通る声が聞こえた。
 屋敷内のソファに座っている、黒髪の男からだった。
 その男が優雅に立ち上がり、オリヴァーの方を見る。
 男は、オリヴァーよりも背が高く、均整の取れた体つきをしていた。
 どんな名工が彫ったのかと思える形の良い目鼻。
 切れ長の、光を反射しない漆黒の瞳。
 白磁に白い肌。
 何より鴉の濡れ羽色をした艶やかな髪。
 さらに、その一挙一動には誰もを魅了する華がある。
 日本にいる時に一度だけ見た「カブキ」というものを、オリヴァーは思い出した。
 オリヴァーを中々のハンサムと言うのなら、男は絶世の、いや浮世離れした美形といえた。
 美形と言えるのだが―――どうにも胡散臭い雰囲気がある。
 「まぁ、ともあれご挨拶させていただこう」
 言って、男は芝居がかった所作で両手を広げる。
 「クレセント・インにようこそ!」






388 :ヤンデレホテルへようこそ 前編 ◆9znZNYtb1U :2010/10/15(金) 01:49:48 ID:l1qmokTu
 英国のとある街にある宿。
 住人全員が行方知れずとなった貴族の屋敷を改装した建物。
 看板は血濡れた三日月の意匠。
 狂気と狂喜を孕んだ客が集う場所。
 去る者は許すが来る者は決して拒まない。
 オーナーは謎めいた男、ミスタークレセント。
 建物の名をクレセント・イン。
 またの名を―――



389 :ヤンデレホテルへようこそ 前編 ◆9znZNYtb1U :2010/10/15(金) 01:50:42 ID:l1qmokTu
 「ってそんなナレーションはいいから俺を助けろ!匿え!」
 役者のように朗々と言葉を紡ぐ男にオリヴァーは叫んだ。
 オリヴァーよりも背が高く、中々にサマになってはいるのだが、生憎オリヴァーに三文芝居に付き合う余裕は無い。
 「何だ、風情のない。テレビアニメにナレーションは付き物だというのに」
 カラン、と白手袋をした手でウィスキーの入ったグラスを傾ける男。
 どうやら、ここは宿泊施設で、男はロビーのラウンジスペースで酒を飲んでいたらしい。
 「アニメじゃないわよ、コレ」
 そうため息交じりにツッコミを入れるのは、彼の横に立つドレスのようなワンピースを着た若い女。
 絹のような肌に鮮やかな金髪、遠目からも目鼻立ちが整っていることが分かるが、その目元はなぜか黒い目隠しがされている上、右手には男の左手と繋がる手錠が施されている。
 テーブルの上にはなぜかボールギャグまでおかれており、完全にSMの世界である。
 「無粋なことを言わんでくれよ、マイワイフ」
 男が言った。
 どうやら、男の妻らしい。アクセサリのせいでステロタイプな奴隷にしか見えないが。
 「では改めて自己紹介させていただきましょう。私がこの宿のオーナーのミスター・クレセント。こちらは我が細君のレディ・クレセント。ああ、ヴァイオラくん。お客様のチェックイン手続きを頼むよ。ついでにお客様のお洋服を拭いて差し上げてくれ。ぬれ鼠状態だからな」
 ひょい、と控えていた従業員に指示を出すクレセント。
 「俺は匿えと言ったんだ!泊るなんて一言も……」
 「当クレセント・インは万全の防犯防災防音設備が自慢ではありますが、その恩恵を受けられるのはスタッフと宿泊客の方々のみとなっております」
 「泊らせてもらう!」
 ヴァイオラの言葉を受け、乱暴に専用用紙に記入するオリヴァー。
 「お部屋はいかがされますか?最上級のスーペリアロイヤルスイートがお勧めとなりますが…」
 「シングルでいい!」
 あからさまな営業トークだった。
 「お支払いのほうは?」
 「明日払う!」
 「かしこまりました」
 横柄なオリヴァーに鉄面皮で応じるヴァイオラ。
 いやな客といやな店員だった。
 「とにかく、早く鍵を閉めてくれ。アイツが来る」
 「アイツ、とは?」
 ヴァイオラが鍵をする間、我関せずという顔で妻と酒を飲んでたクレセントが言う。
 ほとんど営業時間外とはいえ、見事なまでに施設を私用に使っていた。
 「……アンタたちに関係無いだろう」
 ラウンジのソファに身を投げ出し、オリヴァーは言う。
 「悲しいことをおっしゃる」
 芝居がかった動作で首を振るクレセント。
 一々決まっているのだが、洋画かとツッコミを入れたくなる動作である。
 「我が国の諺に『袖すりあうも他生の縁』という言葉もあります。偶然にもここに飛び込んできたのも何かの縁。私たちに事情を話してみませんか?話すだけでも楽になると言いますし」
 ウィスキーを片手に言うクレセント。
 「……日本人だったのか」
 「よくご存じで」
 驚くオリヴァーに飄々と答えるクレセント。
 『ミスター・クレセント』というアメコミまがいの名前が本名だとはオリヴァーも思っていなかったが、クレセントの言葉は意外だった。
 クレセントは東洋人離れした顔立ちをしているが、なるほど、確かに黒曜石のような目と鴉の濡れ羽色の髪は言われて見れば日本人的と言えた。
 「確かに、俺たちにはそっちの言う縁というやつがあるらしいな」
 首を振ってオリヴァーは言った。
 「少し長い話になるが、いいか?」
 「かまいませんよ、夜は長い」
 オリヴァーに用意したグラスにウィスキーを注ぎながら、クレセントは言った。

390 :ヤンデレホテルへようこそ 前編 ◆9znZNYtb1U :2010/10/15(金) 01:51:10 ID:l1qmokTu





 俺がアイツ、三条エリと出会ったのは一年前、留学で日本に来た時だった。
 え、何で留学したかって?
 ぶっちゃけ、向こうの大学がつまらなくなったからな。
 どの道、大学を出れば父の会社に就職できるのは決まっていたし。
 その留学先に通っていた学生がエリだったってわけだ。
 初めて会ったときから、コイツのことは狙っていた。
 もとい、好感を持った。
 今まで俺の周りにいた女共は我が強いわ俺の金にたかりに来るわ、色んな意味で「うるさい」連中ばっかりだったわけだわ。
 エリはそいつらとは全く逆の女だった。
 常に一歩引いた態度。
 穏やかな所作。
 面立ちに関しちゃキレイな目とデカい胸が取り得名だけであとは普通より少し上って感じだったが、その分ヘンに思い上がった所が無いのはポイント高い。
 あだ名が『ナデシコ』ってのも納得ものだぜ。
 ま、そういうわけで一目で思ったね。
 こんな、いかにも清純そうな娘が俺のものになったらどれほど痛快だろうと。
 あらゆる手練手管を駆使して、俺はエリを落とそうと奮闘した。
 すぐにコロっと行っちゃうかと思ったら、意外と困難だった。
 高い服を買ってやっても、高い車を買ってやっても「そんなもの受け取れません」の一点張り。
 奥ゆかしいを通り越して自己評価が低いから、自分が男に狙われてるって発想自体が無い。
 どんなにアプローチしても、そういう意味だと捉えないんだわ、これが。
 「オリヴァーさんとは仲の良い友達です」なんて、オイオイ。
 2人きりでディナーに行っておいてそりゃないだろ。
 そのときも食事代自分で払おうとするし。
 奨学金でやっと大学に通ってるくせに無茶するなと。
 そんなわけで、俺は半年で思い知った。
 こいつにゃ金じゃどうにもならん。
 俺が金無しでもどんだけクールでカッコいい(意味重複)のか。
 俺がエリにどんだけ夢中なのか。
 それをアイツに思い込ませることが重要だと方針転換したわけよ。
 手練手管を駆使して、俺はエリに優しくてクールでカッコ良くてイケメンな俺ちゃんを見せまくった。
 ゴロツキを雇ってエリを襲わせて、それを颯爽と助ける俺様、なんてベタな演出をしたこともあった。
 エリの好きなドラマや漫画をそれとなく聞いて、ソレと同じようなセリフを言ってやったこともある。
 そうして、やっとアイツに言わせたわけだ。
 「愛しています、私と添い遂げてください」
 ってな。








391 :ヤンデレホテルへようこそ 前編 ◆9znZNYtb1U :2010/10/15(金) 01:52:08 ID:l1qmokTu
 「ねぇ、クレセント」
 酒の勢いのまま話を続けるオリヴァーを見ていたレディ・クレセントが言った。
 「たたき出さない、この勘違い男?」
 「何だとこのSM女!」
 「だってそうじゃない」
 立ち上がるオリヴァーに向かって、ひょい、と肩をすくめるレディ。
 「キャラが薄っぺらい癖に一々女をナメたこと言っちゃって。大体、女の子の気持ちがそうそうモノやカネで動くはず無いじゃない。ま、今まであなたがお付き合い(笑)してきた女の子たちはみんなあなたのお金目当てだったんだろうけど」
 立て板に水を流すようにオリヴァーを言葉で粉砕していくレディ。
 「し、失礼、ご夫人…。あんまり人を馬鹿にしたことを言うものじゃありませんよ……?」
 青筋を立てながらも何とか丁寧口調を保つオリヴァー。
 「まぁまぁ、マイスイートレディ。本当のことでも言わないでやる優しさというものもある」
 「お前が一番優しく無ぇ!」
 無駄に慈愛に満ちた表情のミスター・クレセントに怒鳴るオリヴァー。
 こいつら明らかに自分よりも年下の癖に、とオリヴァーは思った。
 「それに、ミスター・オリヴァーのお話はまだ終わってはいない。今の段階で結論を出すのは早計というものだろう。主にミスター・オリヴァーの人間性に対して」
 「そうね、結論を出すのは早いわね。主にオリヴァー・フォレストの人間性に対して」
 「そうですね、結論を出すのは結末を聞いてからでも遅くは無いでしょう。主にお客様の人間性に対して」
 クレセントの言葉に、レディとのみならず今までずっと黙っていたヴァイオラまで同意する。
 「俺が生きるか死ぬかの瀬戸際の話なんだぞ!」
 屋敷の外にも聞こえんばかりに叫ぶオリヴァー。
 「それでは、続けていただこうか、ミスター・オリヴァー。三条エリ嬢の物語を」
 クレセントは三日月型の笑みを浮かべて、先を促した。
 その笑みは、どこか悪魔のそれに似ていた。


 to be continued

392 :ヤンデレホテルへようこそ 前編 ◆9znZNYtb1U :2010/10/15(金) 01:57:05 ID:l1qmokTu
 前半は以上になります。
 ゴシックでホラー(笑)とか言っていたらスラップスティックコメディになってました。
 自分にシリアスは無理かもですね。
 ちなみに、オリヴァーのあだ名の「エメラルドの都〜」というのは児童文学「オズの魔法使い」からです。
 話の筋立ては森鴎外の「舞姫」ですが。
 いずれにせよ、主人公はオリヴァーほどひどくは無いのですがね。

393 :名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 03:28:09 ID:aAxxN2iU
やったよ父さん、投下がきたよ
ということでGJ 
舞姫には面白いところいろいろあるからがんばれ

394 :名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 05:06:54 ID:1nHZmeGU



アマガミで 上崎裡沙ルート制作決定で俺歓喜

395 :名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 07:23:42 ID:9AiGgq+L
>>392

何故か安永航一郎の絵面で脳内再生された

GJだ、後半楽しみにしている

396 :名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 20:08:54 ID:W1oVMg0S


397 :名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 21:24:20 ID:CG+it2fK
>>394 ヤンデレ好きには吉報だね。

398 :AAA:2010/10/15(金) 23:51:27 ID:cFr09005
楽しそうなので小説を作ってみました。
初めて書くので小説として駄目かもしれないし
投稿方法も間違えているかもしれないが
それでもよければ、読んでください。

399 :風の声 第1話「風の始動」:2010/10/15(金) 23:56:46 ID:cFr09005
小学校と中学校で見続けてきたイジメという名の悪夢。
二度と見ない為にはどうすればいいか、何回も何回も考えた。
そしてたどり着いた答え

「”人”とは必要以上に関わらない」
そう、俺には風さえあればそれでいい・・・。


400 :風の声 第1話「風の始動」:2010/10/16(土) 00:30:04 ID:wy8t3aCQ
「ピピピ ピピピ ピピピ」
「カタッ カタッカタッ カタッ」
2つの音で俺の1日は始まる。
1つの音は目覚まし。
そしてもう一つは

「カタッカタッカタッカタッカタッ」
「急かすな、今開けるから」

目覚ましを止めて向かう先、それは音の原因である窓

「おはよう」

声を掛けると同時に窓を開ける。
入ってきたのは無数の“風”
反対側の窓も開けて、風の通り道を作る。

「今日は機嫌がいいみたいだな」
一つの風が耳元を通り抜ける
「フッ、相変わらずだな」

独り言に見られがちだが俺は“会話”をしている



朝食を取る為に台所へ、
独り暮らしだから全て自分でやらなくてはならない。
独り暮らしなのは今日から始まる事のために、
2度と悪夢を見ない様にする為でもある。
今日は俺の、風魔 翼(ふうま つばさ)の
高校デビューの日である。

悪夢というのは俺が小・中学生の時に受けていたイジメの事だ。
小学生の時は傷で済んだが、中学生になってからは、
命に関わるような事が多かった。
例としてあげるならば、
人体に害がある薬品を気化させ、それを充満させた密室に
閉じ込められたりしたことがある。
虫の息になりかけていた俺は発見されて一命を取り留めたものの
その薬品の毒素で髪は脱色してしまい、今もなお白い髪のままだ。
このようなことを避けるために俺は中学から遠く知り合いに会わない
高校に通うことにし、独り暮らしを始めたのである。

401 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 00:38:40 ID:zi9/kgaJ
GJ!!
命に関わってるならもうイジメとかいう問題じゃないな>>70


402 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 00:55:39 ID:IAyZqOPt


403 :風の声 第1話「風の始動」:2010/10/16(土) 00:59:31 ID:wy8t3aCQ
朝食を終え、制服に着替える。そして、黒いリストバンドとヘアバンドを
両手首と額につける。これらは悪夢によってつけられた傷を隠すのに
使用している。

暮らしているマンションから高校までは、まず高校に1番近い駅まで
バイクで行き、その駅からバスで行くというルートだ。
誕生日が4月2日と最速なので免許が取れたものの、
「バイク通学禁止」という校則のせいで、このような通学手段を
使うハメになっている。

バイクでの移動中は不安で心がいっぱいだった。
「“人”とは必要以上に関わらない」
心の中で何回も言い聞かせていた。

駅の駐輪場にバイクを止め駅の構内をとおり反対側のバス停へ、
構内では俺と同じ制服を着ている奴らを見かけた。と同時に
恐怖が湧いてくる。
俺の嫌いな“人”、“人”の臭いで充満している駅構内。
酔いそうになるが鞄の中から登山などでよく使う酸素ボンベを出す。
これを吸うと少しばかり楽になるので手放す事ができない。

バス停へ向かう階段を下りているときだった。

「きゃっ!!」

後ろから声がしたので振り返ると、そこには俺に
向かって倒れてくる“人”がいた。
避けてやり過ごそうと思ったのだが、俺の心の良心が勝手に体を動かした。
結果、その“人”を受け止め助けることに成功したものの
嫌いな“人”と触れている感触、“人”の臭い。
それら悪影響のせいで俺は助けた“人”と距離を置くようにして
座り込んでしまった。

(気持ち悪い・・・)
鞄から酸素を出そうとした時だった。

「あの、大丈夫ですか?」

頭上から声がしたので見上げると
そこにはさっき助けた“人”、言い方を変えると“少女”がいた。

「さっきは助け・・・」

彼女が話しかけた瞬間、俺は走り出していた。
恥ずかしかった訳じゃない、怖かったんだ。だから俺は走ったんだ。
いや、正確には逃げていた。

バス停に戻れなくなった俺は、そのまま歩いて高校に行くことにした。
高校では“人”と関わらなければ
すぐに3年過ぎて平和に終わると思っていた。

しかし、この出来事が後に俺の高校生活に今までとは違う“悪夢”を
引き起こすとは知るよしもなかった。


404 :AAA:2010/10/16(土) 01:02:40 ID:wy8t3aCQ
以上です。

割り込みでコメントされていたけどGJと
評価されていたので嬉しいです。
次回は遅くなりますが楽しみにしてくれる人がいてくれたら
なるべく早く作るよう努力します。(^^)

405 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 01:04:28 ID:9wLCBUeX
なあ、このスレで基本NGなのはヒロインの寝取られであって、ヒロインに最初、
彼氏(主人公じゃない)がいてそいつが別の女と浮気ってのはありなの?

>>332からの流れからそういう風に感じたんだけど

406 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 01:18:51 ID:ggHVuvL9
>>404
書きながら投下しているんだから割り込みに文句言うな

407 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 01:34:41 ID:o0oRXVHK
できれば次からは書きためてからUPしてもらえると嬉しい

408 :AAA:2010/10/16(土) 01:36:05 ID:wy8t3aCQ
書きためのやり方教えてもらえませんか?

409 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 01:41:11 ID:9wLCBUeX
.txtファイルに書きためて適当にぶつ切りにして投下すればいい

410 :AAA:2010/10/16(土) 01:44:47 ID:wy8t3aCQ
どうもです。

(できるかな?ww)

411 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 01:49:26 ID:dkomG8tX
最近の流れ好きじゃないわ!

412 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 02:58:21 ID:lMMEr+pP
>>404 GJ!
これからも期待してるからがんばれー

>>411 じゃあ君が投下して流れを変えてくれるとうれしい

413 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 03:18:57 ID:4XmKyBL2
>>405
その後、主人公に対してヤンデレ化するなら俺はアリだと思うけど
ただ、その彼氏とヒロインがイチャつく描写があったりするとまたいつもの奴が騒ぐと思う

414 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 03:49:14 ID:IAyZqOPt


415 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 04:08:09 ID:ggHVuvL9
>>413
いつもの奴乙

416 :AAA:2010/10/16(土) 04:37:19 ID:wy8t3aCQ
頭に浮かんだことを打ってたら
2話目できました。

417 :風の声 第2話「風の出会い」:2010/10/16(土) 04:38:18 ID:wy8t3aCQ
県立 烏羽高校
ここが俺が今日から通う高校だ。
俺がここを志願した理由は授業や特色ではなく
とあるスポットに惹かれたからである。

そのスポットは校舎の屋上 通称「風屋根」
ここは、年中風が吹いているというスポットで
原因として挙げられているのが
1.校舎が高校にしては珍しく7階建て
2.周りの地形によって上空に風が舞っている
3.偶然
など、様々に言われているが誰も答えを知らないらしい・・・。

生徒達には「風が強すぎる」という理由で嫌われているらしいが
風好きの俺にとっては最高の癒しの空間である。
俺が風を好きな理由は自分でもあまり分からないのだが
俺の人生にはいつも風が関連している。

俺が生まれた日の天気は台風
何かのイベントの日には高確率で暴風警報が出る。
そんな感じで風とは親しく今に至るというわけだ。

入学式は地獄だった。
隣の“人”とはほぼ0距離だし校長やその他の人たちの話が長いしと嫌な事ばかりだった。
しかも、白髪のせいか、周りの視線をモロに受けることになり、気分が悪かった。

入学式が終わり教室に移動して初めてクラスのメンツが分かった。
男女の割合が50%:50%ときれいに別れていたり、
俺以外にも髪の色が黒以外の人間が若干いたりと
動物園にいる感覚で見て楽しむことができた。

担任からの挨拶も済み、休み時間になった時だった、
俺は志願の理由でもある「風屋根」に行こうと机の上を少し片付けている時だった。

「ねぇ、ちょっといいかな?」

418 :風の声 第2話「風の出会い」:2010/10/16(土) 04:39:05 ID:wy8t3aCQ
声のしたほうを振り向くとそこには腰の辺りまで伸ばした髪が印象の少女がいた。
どっかで見た気がするのだが、あまり関わりたくないので無視して行こうとした時だった。
いきなり腕をつかんで逃げられないようにすると、今度は顔を覗き込んできた。

(ジーーーーーッ)
「な、何なんだよ・・・」
「やっぱりそうだ♪」
(何が?)

彼女はつかんでいた俺の腕を放し笑顔で話しかけてきた

「今日の朝、私のことを・・・って、どこに行くの!?」
(お前には関係ないだろ)

彼女が腕を話した瞬間、俺は「風屋根」に向かって移動を開始、
聞こえた質問に心の中で返答した後、早歩きで「風屋根」に向かった。

「まだ話が終わってないんだけど!」

振り向くと同時に今度は両腕をつかまれ、さっきよりも強くホールドされた。

「今日の朝、駅の階段で私のことを助けてくれた人だよね?」
「・・・知らねぇよ」

視線を逸らしながらおれはつぶやく。
朝から入学式という地獄のイベントで“人”といたのに、
休み時間まで“人”と一緒にいるなど冗談じゃない。
そして、そんな考えを一切察知しない彼女・・・もう“人”でいいや。
目の前の“人”は話を続ける

「うそ。そんなに目立つ白髪の人そういないよ。
それに、同じ学校の制服も着ていたしね。」

さらに、顔を近づけてくる。
すこし“人”の臭いがして気持ち悪くなってきた。
そのときだった。

「キーン コーン カーン コーン」

予鈴に気をとられた“人”は俺をつかんでいる腕の力を少し緩めた。
おれはその機会をのがさずに逃げることに成功。したと思ったのだが
俺とその“人”は同じクラスだったため教師が来るまで
ずっと傍にいて質問攻めされるハメになった。
無視し続けるというのも結構大変なものだとその時知った・・・

帰りのHRが終わると同時に俺はダッシュで教室を抜けて「風屋根」へ向かった。

419 :風の声 第2話「風の出会い」:2010/10/16(土) 04:42:34 ID:wy8t3aCQ
屋上は開放されていて自由に出入りすることができる。
ドアを開けると同時に無数の風が入ってきた。
今日の「風屋根」には雨のように上から叩き付けるような風が吹いていた。
気を抜くと叩き付けられそうな感覚になるほどの強風だ。
生徒達に不満を言われているこの風も、俺にとっては友人同然だ。

(・・・・・)
声が聞こえた気がした。風の声だ。
風の声は俺にしか聞こえない。 という設定になっている。
本当に聞こえるわけではないが、風の吹く強さ、角度、暖かさで
何て言っているのかを創造するだけのいわゆる遊びみたいなものだ。
会話はできないが風を“読む”ことはできる。
今吹いている風からこの後の天気を当てたりすることはできるので
現実的には“会話”というよりも“感じて当てる”といったほうが正しい。

「ヨッ」
(・・・・・)
「へ〜そうなんだ。」
(・・・・♪)
「え、マジで!?」
(・・・!?)
「なるほどねぇ」
(^0^)
「今、何て言った?」
(・・・ww)

会話に夢中になっている時だった。
「ギィ・・・」
振り向くと屋上出入り口のドアが開いていてそこに人が立っていた。
(まさか、見られた!?)
「あ、見つけたーーー!!」

420 :風の声 第2話「風の出会い」:2010/10/16(土) 04:43:18 ID:wy8t3aCQ
この声には聞き覚えがある
俺のことを2回もホールドしたあの“人”だ。

「まさか、不人気スポットの「風屋根」にいるとは、考えも・・・」

“人”が話している時、風の向きが上から真横へと変わった。

「あ、風の奴、遊んでいやがるな・・・」
「キャーーーーーーーーーーーーー!!」

視線を風から“人”へと戻すとスカートの端を押さえて耐えているところだった。

「ちょっと、何とかしてよ。その変な力で。」
「何とかって言われても・・・変な力!?」

もしかして、さっきの会話のことを言っているのだろうか?
でも、本当に会話しているわけじゃないから、どうにもできないんだよな・・・

「・・・・・(考え中)」
「早くしなさいよ!!」
(うるせぇ(怒))

(多分効かないけどやってみるか・・・)

考えた結果、風に話しかけるという方法に決定。

「・・・少しだけ大人しくしてくれないか?
 出来ないのなら・・・分かっているよな?」

・・・・・

やはり効果なし、そう思った時だった。
急に静かになり、さっきまでの暴風が微風になっていた。

(ウソ!?)

そう思うや否や、俺の体はまた勝手に動いていた。
風でぼさぼさ頭になっている“人”の首根っこをつかんで校舎内に放り込んだ。
それに続いて、自分も校舎に入ると同時に微風が暴風に戻りだした。

421 :風の声 第2話「風の出会い」:2010/10/16(土) 04:44:01 ID:wy8t3aCQ
(風が俺の声を聞いた?)
「すごい風だったわね・・・」
(偶然だよな?)
「朝、髪型セットするの苦労したのに〜(泣)」
(俺って、風使いかなんかなのかな?)
「ちょっと、聞いてんの!?」

耳元で“人”の大声。鼓膜にものすごいダメージが・・・

「あなたさぁ、もしかして人のことを怒らせて楽しんでる?
 絶対そうよ。じゃなきゃ2回も3回も連続で無視なんかしないよ」
「別にそういうつもりじゃない・・・」
「じゃあどういうつもりよ?」
「・・・」

“人”とは必要以上に関わりたくない と直球で言えたらどんなに楽か・・・

「つうか、あなたを責めに来たわけじゃないし。」
「え?」
「朝のお礼、まだ言ってなかったでしょ。
 助けてくれてありがとう。あの時のあなた体調悪そうに見えたけど
 大丈夫そうね♪」
「だから、あれは俺じゃない・・・」
「・・・ツンデレ」
「は!?」
「素直じゃないね〜。思いっきりデレデレしていいのに。」

よく分からないことを言い出したのでとりあえず教室に鞄を取りに行くことにした。
鞄を取ったら即行で帰る。そしてこの“人”とおさらばだ。

「あ!ちょっと待ってよ」
(まだ あんのかよ!?)
「私、大空 舞(おおぞら まい)あなたは?」
「・・・」
「フー太くんだっけ?」
「風魔! 風魔 翼だ!・・・あっ」
「フフッ、よろしくね翼君♪」

こうして“人”・・・じゃなくて、
“大空”が俺の友達(?)になった・・・

422 :AAA:2010/10/16(土) 04:45:23 ID:wy8t3aCQ
以上です
改行が多かったために
結構分解しました(TT)

423 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 06:49:27 ID:lMMEr+pP
GJ!
風魔さん普通に見たらただの厨二病なのになぜかかっこ良い•••不思議

424 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 07:42:53 ID:k4kbX1nW
痛いのは変わりない

425 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 08:39:15 ID:Wv8SlN8Q
GJ!
風魔がこのまま大空を無視し続けて病ませるのも一向だな

426 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 18:44:34 ID:IAyZqOPt


427 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 18:54:32 ID:1bG4IYKk
この作風、それに間の抜けたようなわざとらしい初歩的な質問
これは間違いなく一万年・・・
遂に奴が上陸してきたのか


428 :AAA:2010/10/16(土) 20:01:05 ID:wy8t3aCQ
「風の声」を保管庫に移したいのですが
やり方教えてください。m(_ _)m

(知識のない自分に腹が立つ・・・)

429 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 20:03:53 ID:sXdXAcM6
>>428
まとめwikiのほうでページ作ってコピペすればおk
ページの作り方は@wiki初心者ガイド見るなりして調べれ

430 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 20:17:53 ID:fUNPOAMN
あれって有志の人がやってくれてるんじゃなかったの?

431 :AAA:2010/10/16(土) 20:22:11 ID:wy8t3aCQ
人気のある小説なら有志でやってくれるかもしれないけど
自分みたいな初心者が書いた小説を有志でやってくれるような
人はいないような気がして・・・(泣)

432 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 20:33:12 ID:99jVOUJd
いらっ

433 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 20:40:30 ID:fUNPOAMN
管理人さん等がやってくれてるとしたら、そんなハブられ方はしないハズです。
故にしばらく待てば何もせずとも載ると思います。

434 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 20:44:39 ID:1bG4IYKk
キャラの名前からして、完全に一万年と二千年前から愛してるw

435 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 21:58:15 ID:Wv8SlN8Q
>>431
自虐は控えた方が良いよ。イライラするからね

436 :名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 23:15:11 ID:LzrGOSkE
>>431
自分が初心者で初投下だったときもしっかり保管庫に保存してもらえたから心配する必要はないと思いますよ

437 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 00:05:24 ID:Rtwc9QuU
そういう事書く奴がいらっとする

438 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 00:15:41 ID:+hX/+mNV
わらた
いらっとするなら流せよ
何時から人はこんなに傲慢になった

439 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 00:29:42 ID:jy6udeRZ
自作自演だから

440 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 01:21:02 ID:TIR1CMlE
ヤンデレのキャラとかキャラの名前とかは自分で考えるんですか?

441 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 01:41:12 ID:Smr8xlT3
321 名無しさん@ピンキー 2010/10/17(日) 00:06:01 ID:s3o5Hd8/
おい、一万年がヤンデレスレ連載しているぞ
322 名無しさん@ピンキー sage 2010/10/17(日) 00:15:13 ID:jy6udeRZ
一万年は本気でヤンデレスレを潰すつもりだ
初心者は装っていちいち書き込んでいる時点でねあいつの手口だからな
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 第57章
http://speedo.ula.cc/test/r.so/yomi.bbspink.com/eroparo/1276075209/

442 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 01:56:00 ID:Smr8xlT3
208 名無しさん@ピンキー sage 2010/09/23(木) 14:05:23 ID:5xE0blwI
まさに廃墟だなぁ
ところで、うなぎ呼び込んだのは俺だって知ってた?
修羅場スレの名前出したらホイホイ荒らして痛快だったよ
ほんと馬鹿だよね
209 名無しさん@ピンキー sage 2010/09/23(木) 20:44:22 ID:pcX6UvQK
おぉ、あの時の君か
つい口車に乗っかっちゃって、ちょっと味見だけして立ち去るつもりだったのに
ちょうどタイミング的にまずかったのな
いや、それにしても懐かしいなあ
210 名無しさん@ピンキー sage 2010/09/23(木) 22:54:37 ID:pcX6UvQK
で、ヤンデレスレを荒らしてるのも君なんだろ?
ウナに荒らしの片棒担がそうとしてるんだろうけどダメだよ
一万年の時みたいに正当な理由がなきゃ、ただの荒らしになっちゃうから

443 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 02:02:24 ID:+hX/+mNV
案の定現れるコピペ野郎
お前面白いと思ってやってんの?
つまんねって言われたいからやってんの?
おしぇなさぃ!

444 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 02:03:23 ID:N32wj6xp
嫉妬スレってどうしてああなったの?

445 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 02:03:54 ID:SvY9oldK
だから、自作自演

446 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 02:15:46 ID:Smr8xlT3
660 :一万年と二千年前から愛してる :2007/11/04(日) 19:39:18 ID:05FfID3Hトリップってどうやって付けるんですか?
661 :名無しさん@ピンキー:2007/11/04(日) 19:47:14 ID:5ACv94C+名前欄に半角シャープ+適当な文字列
#aaaaa
↑こんな風にやる
あとこれからわからないことは人に聞く前にググルのがオススメ
ググルというのはグーグル検索で調べるという意味ね
662 :名無しさん@ピンキー:2007/11/04(日) 19:47:33 ID:Q3b4+tozおいおい仮にも18禁板なのにトリも付けれないガキが紛れ込んでるのか
663 :一万年と二千年前から愛してる :2007/11/04(日) 19:51:58 ID:05FfID3H餓鬼じゃないです。機械に弱いだけです
664 :一万年と二千年前から愛してる♯kimeenndayo:2007/11/04(日) 19:53:16 ID:05FfID3Hテスト
665 :一万年と二千年前から愛してる ◆RKfY.eXwSY :2007/11/04(日) 19:54:15 ID:05FfID3H間違えた?
666 :一万年と二千年前から愛してる :2007/11/04(日) 19:54:56 ID:05FfID3Hこれをやるとどうなるんですか?
667 :一万年と二千年前から愛してる ◆RKfY.eXwSY :2007/11/04(日) 19:56:28 ID:05FfID3Hテストその2
668 :気象予報士 ◆Wm/bvCu4Dw :2007/11/04(日) 19:56:34 ID:5ACv94C+NG推奨
669 :一万年と二千年前から愛してる ◆RKfY.eXwSY :2007/11/04(日) 19:57:00 ID:05FfID3H意味がわかりました。ありがとうございました
670 :名無しさん@ピンキー:2007/11/04(日) 19:57:19 ID:RrgrFqjBいくらなんでも滑稽すぎるなお前

447 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 02:23:10 ID:4JqgRL8e


448 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 02:25:51 ID:SvY9oldK
こりゃ、ヤンデレスレも終わったな

449 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 02:30:41 ID:Njlz5ZEv
調子に乗りすぎだからなぁ、潰してやるぜ

450 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 02:36:45 ID:+hX/+mNV
潰すとか言っちゃってかっこいいね
つぶしてごらん

451 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 03:34:49 ID:TK7/gFOi
潰してやるぜ(キリッ

452 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 04:10:20 ID:MAQtqKiN
171 名前: ◆ AW8HpW0FVA 2010/10/16(土) 23:55:43 ID:YB2ktEFg0

規制されました。前回、今週の日曜日に投稿すると書きましたが、
まだ完成しておらず、ここにも投稿出来ません。


453 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 05:34:58 ID:b+Pm8j5U
なんだかんだで荒らされてもなんとかなってたヤンデレスレも終わりかな。

454 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 05:47:47 ID:XypQqTvq
住民の質も最悪だしもう潰れていいよ

455 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 06:21:01 ID:RzM2ZvG7
ここで終わりとか未完の作品も新作も見たいのに•••
作者がみんなどっか行っちゃったならもうだめなのかもしれない

456 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 06:49:26 ID:+EZKxZD4
お前らの雑談なんてどうでもいい

俺はSSが読みたいんだよ さっさと投下しろ。いや、投下してくださいお願いしまする

457 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 07:16:22 ID:C4xaQpAz
日曜日最高!!
ちょっと監禁されてくる

458 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 08:57:55 ID:fQ/rajZ9
政府に監禁されるのか

459 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 11:00:42 ID:28p/+m5j
突然だがおまえらの好きなヤンデレってどういうの?
ちなみに俺はおとなしい子が豹変するのが好きでつ


460 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 11:28:40 ID:8P1WwQ+7
>>459
幼馴染のヤンデレは至高だと考える

461 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 11:29:07 ID:bDaU1qYx
わたしは、なんとなくこの娘いいな〜って思った娘ですね

例えば、『ぽけもん黒』の香草さんとか、『ヤンデレの娘さん』の三日さんとか
他にも好きな娘は沢山いますけどね

特にこういったタイプが一番好き、というのはないですね

462 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 11:43:42 ID:q2kKdqik
ツンデレがヤンデレになっていく過程こそが至高

463 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 12:32:00 ID:DJ87pfUp
風の声いいですね!

執筆頑張ってください!!

464 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 13:44:12 ID:QZzCXZfH
僕はアマガミの上崎ちゃん!



ストーキングと他の女の排除を「仕方ないよね」の一言で、自重しない、テンプレみたいなヤンデレだけど、だがそれが良い!

最後ちゃんとハッピーエンドになるのもベネ。


465 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 14:25:41 ID:XG7ChRsF
俺は「風雪」の加藤レラのような、主人公をいじめて周りを寄せ付けないようにするタイプだ。こういうのは主人公にはかなり嫌われるから拒絶された時の暴走がたまらん

466 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 16:00:46 ID:TIR1CMlE
え〜と・・・・・SS投下していいですか?
とゆうか投下しますよ?
キャラは、オリキャラのほうがいいんですよね?
タイトルは「歪んだ愛」ってかんじのたいとるでいきます。

467 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 16:06:15 ID:7Nay1Pj1
いいよ〜じゃんじゃん投下してって〜
……むしろしてください。

468 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 16:07:35 ID:rSLUzRw3
         ∧_∧   ┌────────────
       ◯( ´∀` )◯ < 僕は、大倉都子ちゃん
        \    /  └────────────
       _/ __ \_
      (_/   \_)

469 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 16:46:11 ID:XisNqYOX
テスト

470 :駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6 :2010/10/17(日) 16:50:20 ID:XisNqYOX
ヤンデレ作品に感化され、自分も作ってみようと思いました。
タイトルは日常に潜む闇
生温かい目で見守ってください。
では投下します。

471 :駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6 :2010/10/17(日) 16:54:45 ID:XisNqYOX
日常に潜む闇 第1話

4月――それは新年を迎える1月と似ていて、世の中が何かと新しいものに変わる時期だ。
特に、日本では4月が1月以上に重く見られているような気がする。
 そんなことを考えながら、久坂誠二(くさか・せいじ)は桜並木の下を歩いていた。
 周囲を見回せば、まだシワが寄っていない真新しい制服を身につけた男女がちらほらと見える。実に微笑ましい光景だ。
 なんてことを思っている誠二だが、彼もまた彼ら彼女らと同様、久遠坂学園高等部の入学生である。
 久遠坂学園は久遠市の西側に位置する私立学校で、小高い丘の上に広大な面積を持つマンモス校だ。
 小学校に相当する初等部からいわゆる大学である大学部までが揃っており、
桜並木の正門から敷地内に入って、左に初等部、右に中等部、その奥の両サイドに高等部があり、寄宿寮となぜか学園内に立地している商業区を間において大学部が一番奥に存在している。
 これだけ広いと、外部から通学している者にとっても寮住まいの者にとっても徒歩は厳しいらしく、
バスや路面電車という公共交通機関が堂々と設置されている。
 それでいて授業料やその他諸々の費用は一般的な私立と同じか、
もしくはそれより若干休めだというのだから驚きである。
 さすが数の暴力といったところだろうか。
 誠二はとりとめもない思考を続けながら、学園の門をくぐる。学生証に内蔵されている非接触型ICで身分証明を行うことによって通れる、改札口がとても新鮮だった。


472 :駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6 :2010/10/17(日) 16:56:54 ID:XisNqYOX
「ここが、久遠坂学園……」
 誠二は目の前に広がる教育施設群、そして見渡す限りの人に感嘆を漏らした。
 と、その時背後からいきなり声をかけられた。
「うむ。その通りだ。ここが君たちの学び屋の園となる久遠坂学園だ。
 学園にようこそ、新入生君」
 驚いて、後ろを振り返る。
 そこにいたのは長い黒髪が特徴的な高等部の女子生徒。
 彼女の周囲の空気はピンと適度に張りつめて澄んでいる感じがした。
「ええ、と……ありがとうございます」
 しかしいきなり見知らぬ人、もとい見知らぬ先輩となる人物に声をかけられ、返答に窮する誠二。
 とりあえず歓迎はされたのでお礼だけは言っておこうと思った。
 見知らぬ先輩はそんな誠二の返し方に一瞬キョトンとしたが、何がおかしいのか口に手を当てて笑い始めた。
「くくっ。なるほど、噂どおりに面白い人物だな、君は」
 そして踵を返す。
「また後で会おう、久坂誠二」
「え? あ、はい」
 後ろ手を振って立ち去る見知らぬ先輩の言動について行けず、未だに混乱する誠二だったが、ふと疑問が浮かぶ。
「あの人なんで僕の名前知ってたんだ?」
 あんな感じの人と以前会っただろうかと記憶を探ろうとするが、
 途中で入学式の会場に早く行かないといけないことを思い出して誠二はその場を足早に去った。


473 :駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6 :2010/10/17(日) 16:58:29 ID:XisNqYOX
「君も相変わらず物好きだな、天城君」
「いいや、貴方ほどではないさ。生徒会長」
 生徒会長と呼ばれた男子生徒は手にしていたペットボトルの紅茶を軽く口に含みながら、その真意をうかがい知ることが出来ない微笑みを浮かべている。
 生徒会長に対して、苦笑を浮かべたのは何とも口調が男勝りな、
誠二に話しかけてきたあの女子生徒だった。
「そろそろ時間だ。可愛い後輩たちを迎え入れるとしよう」
 二人がいるのは舞台袖。隙間から会場内を見ればすでに満員御礼だ。
 ペットボトルを傍の机に置き、生徒会長は気を引き締めるようにネクタイを軽く締める。
「久坂会長、よろしくお願いします」
 静かに告げるように声をかけて来たのは司会進行役の女子生徒。
いつの間にか舞台袖に移動していたようだ。
 生徒会長――久坂誠一(くさか・せいいち)は頷くと、高等部の新一年生、総数400名及びその保護者らが待ち受ける壇上へと上がった。
 天城はその様子を、微笑を浮かべて舞台袖の暗がりから見つめるのであった。


474 :駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6 :2010/10/17(日) 17:01:10 ID:XisNqYOX
投下終了です。
とりあえず第1話はここまでです。
ヤンデレ成分ねえじゃんよ! フラグ立ってんのかよ?
って思った方。第2話からヤンデレ来ます。たぶん
仕事柄毎日更新とはいきませんが、最低でも週一で更新できるよう頑張ります。

475 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 17:23:58 ID:HrfmDwM7
投下gj

楽しみにしとく

476 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 18:24:34 ID:fQ/rajZ9
>>466
どうした!投下が無いぞ!

あと序でに触雷!と我が幼馴染も

477 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 18:47:41 ID:4JqgRL8e


478 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 19:36:03 ID:uQNMnJ63
>>470
GJ!


479 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 19:36:46 ID:Avl9f+Lt
GJ!
毎週の楽しみにするb

森山家の青少年…

480 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 21:27:22 ID:28p/+m5j
>>476
物語の女性に嫉妬したヤンデレに監禁されてんだよ
そして『逃げようとしては捕まり』を繰り返しているに違いない
投下が無いのはそのせいだろう。

481 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 21:33:51 ID:xdapsScS
wikiの抜けを更新しようと思ったが方法がわからない・・・
失敗して全部消えるとかしたらどうしよう

482 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 21:43:59 ID:S1Q4CLoB
失敗したら諦めてどっかで救援求めれ
基本新規にページ作成してコピペしてリンク貼るだけだ

483 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 21:46:37 ID:xdapsScS
やってみるわ

484 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 22:29:31 ID:25UuKEdV
触雷!来ないかねぇ?
新しいSSと並行は大変だと思うが

485 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 22:33:35 ID:xdapsScS
>>482
更新する勇気をくれてありがとう

486 : ◆Uw02HM2doE :2010/10/17(日) 22:46:34 ID:W3t7prb6
こんばんわ。「リバース」を投下している者です。
もうすぐハロウィンということで今回は短編を投下します。
よろしくお願いします。

487 :Vampire☆Generation ◆Uw02HM2doE :2010/10/17(日) 22:47:51 ID:W3t7prb6

「吸血鬼……ってお前なぁ」
昼休み。
多くの学生が友人や恋人と一緒に昼飯を共にすることで、絆を深める時間帯。
そんな時間に市内の高校二年生である俺、朱神光(アカガミヒカル)は胡散臭い話を聞いていた。
「いやいや、これが本当なんだって!騙されたと思って!な、頼むよ主人公!」
俺の目の前で手を合わせ懇願してくるのはクラスメイトで悪友の向井太一郎(ムカイタイチロウ)だ。
コイツは様々な所に情報網があり、いつも面白い話を持って来ては一緒にやろうと持ち掛けてくる。
……まあその情報の7割くらいがガセネタもしくは噂と全然違ったりするのだが。
「お前の話に乗って得した試しがないからな。つーか"主人公"は止めろ」
先程1階の購買で買ってきたカツサンドの封を開けながら太一郎と話す。
ちなみに"主人公"というのは最近クラスで流行っている俺のあだ名だ。
俺の本名、朱神光は確かに読もうと思えば"シュジンコウ"と読める。
全てはこの前教育実習で来た大学生が俺の名前を「じゃあ次……シュジンコウ君!」とか言ったのが発端だった。
「まあまあ。で、乗るか?吸血鬼退治」
「……まあ良いけど」
目を輝かせながら俺に迫ってくる太一郎。こうなるとコイツは相手が頼みを聞いてくれるまで、ずっと詰め寄って来る。
ここは潔く早めに降参するのが得策だったりするのだ。
「流石!話が分かるね光君は」
「結局強制イベントになるだけだからな。……近付くんじゃねぇ」
俺の肩を叩きながらさりげなくカツサンドを取ろうとする太一郎を牽制する。
「つれないなぁ。じゃあ今日の10時に例の屋敷前で!」
「はいはい……」
溜め息をつきながらも何だかんだ太一郎との冒険に心を躍らせている自分がいた。
だからいつまでもコイツとつるんでいるのかもしれない。
「……我ながら物好きだな」
そんなことを思いながら窓に広がる青空を見上げた。



この市内には囁かれている噂が一つある。
それは最近この辺りに真っ赤な目を持ち、夜中に市内を徘徊する"吸血鬼"がいるというものだ。
数多の目撃証言もあり、この近辺で闇夜に怪しく光る赤い目を見ているそうだ。
しかし"吸血鬼"と囁かれる由縁は赤い目だけではなく、近辺で最近怒っている殺人事件の影響もある。
被害者は皆首筋に小さな穴を二つ開けられ、いずれも血が抜かれていた。
以上二つのことから巷では「赤い目の吸血鬼が血を吸いに来た」と騒がれているらしい。

488 :Vampire☆Generation ◆Uw02HM2doE :2010/10/17(日) 22:48:49 ID:W3t7prb6

「……寒っ」
時刻は午後10時5分。待ち合わせの時間を5分過ぎても太一郎はまだ来ていなかった。
「しかしでかい屋敷だな……」
見上げるとそこには学校ほどもありそうな巨大な西洋風の屋敷があった。
太一郎が言うには赤い目をした吸血鬼がこの屋敷に入っていく所を見た人がいるらしい。
「……でも退治って…どうするんだ?」
有り得ないが仮に吸血鬼がいたとして、果たしてどうやって倒せば良いのだろうか。
太一郎は「ニンニクでなんとかなる!」とか力説していたが。
「……遅いな」
「こんばんは」
「うわぁぁあ!?」
いきなり後ろから声をかけられ思わず叫んでしまった。
振り返るとそこには黒髪に日本人形のように端正な顔立ち、そして真っ赤な目をした少女が立っていた。
「……き、吸血鬼…」
「ふふっ」
俺の言葉に彼女は微笑んだ。そしてゆっくりと俺に近付いてくる。
俺はまるで蛇に睨まれた蛙のようにその場から一歩も動けない。
俺は思った。どうせ死ぬならやりかけだったRPGをやってから死にたかった、と。



「どうぞ、紅茶には自信があるんです」
「あ、どうも……」
広い屋敷の一室。恐らくは客間に俺の姿はあった。
目の前には金で縁取られた豪華な机の上に仄かに甘い香りの真っ赤な紅茶が置かれている。ソファーもとても坐り心地が良い。
そしてすぐ左には先ほどの"吸血鬼"っぽい少女が微笑みながら座っていた。
「それで朱神君はどうしてこの屋敷に?」
「え、えっと……」
結局血は吸われず何故かこの少女、紅野香織(ベニノカオリ)さんにお茶に誘われた。
断ろうしたのだが紅野さんは家族を事故で無くしこの屋敷に数人の使用人と住んでいるようで、寂しいから是非と言われてしまい断りきれなかったのだ。
たわいのない世間話やお互いの自己紹介をしながら紅茶を飲む。今まで体験したことがない雰囲気に思わず緊張していた。
「……気に障ったらごめんなさい。誰かと話すの久しぶりでどう接して良いか分からなくて……」
「あ、その……別にそんなんじゃないんで!」
悲しそうな紅野さんの顔を見ていると何故か慰めなければいけない気がしてしまう。
結局、その場の雰囲気に流され1時間ほど話し込んでしまっていた。

489 :Vampire☆Generation ◆Uw02HM2doE :2010/10/17(日) 22:49:56 ID:W3t7prb6


「って感じでこないだも失敗しちゃってさ」
「ふふっ、外の世界は面白いことが一杯なのね」
紅野さんの笑顔を見てほっとする。生まれつき彼女は日中外に出られない病気で、夜に近辺を散歩していたらしい。
どうやら紅野は巷で噂の"赤い目の吸血鬼"のようだ。まあその噂自体がやはりガセ……というか"吸血鬼"ではなかった。
太一郎が聞いたらさぞかしガッカリするだろうが。
「面白いっていうかむしろ……んっ?」
携帯が振動している。電話だった。画面には『向井太一郎』と表示されている。
「電話?どうぞ出て。紅茶のおかわり、煎れてくるから」
「あ、うん。じゃあちょっと電話してきます」
席を立ち廊下に出る。部屋と違って薄暗く肌寒いのであまり長居はしたくなかった。
「……はい、もしもし」
『!光か!?やっと繋がった!今何処にいるんだ!?』
出ると間髪入れず太一郎が話し始めた。声は若干上擦っており普段おちゃらけている太一郎が珍しく焦っているのが分かった。
「何処ってあの屋敷だけど。お前こそ今何処に―」
『今すぐにその屋敷を出ろ!!』
「お、おい……一体どうしたんだよ?」
普段聞いたことのない太一郎の怒鳴り声。一体何があったのだろうか。
『話は後だ!とにかく早く逃げろ!じゃないと―』
「電話、終わりましたか」
「あ、もうちょっと……えっ?」
『っ!?まさか目の前にいるのか!?』
振り返るとそこには確かに紅野さんがいた。
でも彼女の目は先ほどの穏やかさとは打って変わって、まるで獲物を捕らえようとする狩人のようだ。
張り付いたような笑みを浮かべこちらに近付いてくる。そう、俺達が出会った時のように。
「紅野……さん?」
「香織、で良いよ?光君」
『光逃げ―』
一瞬だった。
右手から携帯が吹っ飛びそのまま壁にたたき付けられ、破片をばらまきながら床に落ちる。
目の前にいる紅野さんを見て始めて彼女が携帯を吹き飛ばしたのが分かった。
「随分友達想いなのね、彼。でも私たちには必要ないわ」
「……あ」
紅野さんが右手を前に出す。その手には凄まじい電気を放つ黒い塊があった。
「長かった……。でもこれでやっと幸せになれる」
動けない。恐怖からだろうか。それとも諦めからだろうか。ただ心臓だけが早鐘のように脈打っている。
「光君。私はね、"吸血鬼"なんだよ?」
「……っ!?」
身体に衝撃が走る。意識が遠くなっていく。最後に見たのは"吸血鬼"の冷たい笑みだった。

490 :Vampire☆Generation ◆Uw02HM2doE :2010/10/17(日) 22:50:58 ID:W3t7prb6

今に始まった事件ではなかった。調べていく内に分かったこと。
それはこの地域で約20年周期で"吸血鬼"の噂が流れるということ、そして同じ時期に首筋に二つ穴を開けられた死体が見つかることだった。
つまりこの"吸血鬼"事件は20年周期でこの地域に起こっていたのだ。
「はぁはぁ……!」
闇夜の中をがむしゃらに走る。1時間程電話してやっと出た友人は絶体絶命だった。
「待ってろ光!」
更に今までに犠牲になった人は全て女性。
そして最後にその女性たちと近しい男性が行方不明になり、事件はピタリと止む。
今回の犠牲者は全て光の知り合い、もしくは友達だった。
つまり"吸血鬼"のターゲットは朱神光に違いない。
「後少し……!」
角を曲がるとそこには大きな門と屋敷があった。そして入口には赤い目をした少女が不適な笑みを浮かべてこちらを見ていた。
「こんばんは。光君のお友達?」
「はぁはぁ……!光は……何処だっ!?」
少年、向井太一郎は必死の形相で叫ぶ。それでも少女、紅野香織は顔色を変えず言葉を紡ぐ。
「光君は私の物になりました。母様も祖母様もやった、紅野家の儀式。これで私もようやく幸せになれます」
「ぎ、儀式……?」
香織は嬉しそうに話を続ける。太一郎は困惑しながらもその話を聞くしかない。
「一目惚れでした。ある日窓の外から見た彼が、光君が忘れられなくて。使用人に調べさせてからも私の気持ちは高ぶるばかり」
「……狂ってる」
香織は頬を染めて恍惚な笑みを浮かべていた。
太一郎は思う。彼女は根本的に何かが崩れているのではないのか、と。
「光君は日に当たれない私に文字通り光をくれたんです。絶対に離しません」
「……最近起きている猟奇殺人はアンタの仕業か」
「……ああ、彼に言い寄るあのクズ達なら、吸血鬼の仕業にして使用人達が掃除してくれました。母様や祖母様の時と同じだから、慣れたものですよ」
何が可笑しいのかクスクスと笑い出す香織。太一郎の中で疑惑は確信に変わっていた。
間違いなく今回、いやこの地域に20年周期で起こっている"吸血鬼"事件は紅野家の仕業だということを。
「光は何処だ」
「……何故貴方にこんな話をしたと思いますか」
「一体何を」
人の気配を感じる。気付いた時には黒服を着た男達に囲まれていた。
「確かに私は"吸血鬼"。だって日に当たれなくて、赤い目をしている。だから」
「くそっ……!?」
香織が手を挙げると同時に黒服が一斉に懐から何かを取り出す。太一郎にはそれがサイレンサー付きの銃だとすぐに分かった。
「最期に貴方の血を頂戴?」
そして何かの音が数回した後、街には静寂が戻っていた。

491 :Vampire☆Generation ◆Uw02HM2doE :2010/10/17(日) 22:52:06 ID:W3t7prb6



光の姿を最後見てから随分時間が経った。
結局俺は殺されず、散々痛め付けられた後解放された。
どうやら光のおかげで殺されずにすんだようだった。
退院してすぐにあの屋敷に行ったがもぬけの殻、むしろ近所では元々誰もあの屋敷に住んでいないことになっていた。



「お疲れ様でした」
定時に仕事を終えて帰宅する。あれからどれくらいの時間が流れたのだろうか。
俺はずっとあの場所、朱神光がいなくなったあの時間に縛られている。

「……また来ちまったか」
気が付けば無意識に屋敷に足を運んでいた。
仕事場を屋敷の近くにした時点で、自分自身があの時に縛られていることは明らかだった。
「……光」
屋敷を眺めながらいなくなった友を想う。
何の生産性もない行為。だけれどもこれが日常になってしまっていた。
「こんにちは」
「っ!?」
そんな時、後ろから声をかけられた。
慌てて振り返るとそこには白いワンピースを着た女の子が立っていた。黒い長髪に端正な顔立ち。
そして何よりも特徴的なのは彼女の赤い目だった。
「お兄さん、いつもここに来てるよね?私、お兄さんのこと気になっちゃって」
「……ま、まさか」
何処かで見たことのある顔立ち。
そう、あの秋の日に行方不明になった、"吸血鬼"に捕まってしまった親友を思い出させるのだ。
「私の名前は紅野希(ベニノノゾミ)。よろしくね、向井太一郎さん」
「う、うわぁぁぁぁあ!!」
少女から全速力で逃げ出す。思わず叫び声を上げた。
でも仕方ない、仕方ないのだ。分かってしまったから。次は俺の番なのだ、と。
そう、吸血鬼からは決して逃げられない。きっと次の日には同僚の女性が死んでいるに違いない。
それでも逃げなくてはいけない。出来るだけ吸血鬼のいない所へ。
向井太一郎は闇夜を走り抜けた。かつて友を助けに行くために走った道を逆走する。
今度は自分が助かるために。



「ふふっ、やっぱり面白い人」
そんな太一郎の後ろ姿を紅野希は慈しむように見つめる。
きっと太一郎は希の物になる。何件かの殺人事件と一件の行方不明を残して。
そう、彼女の母親と父親が20年前そうしたように。
「待っててね、太一郎」
吸血鬼は微笑む。誰も知らない彼女達だけの秘密の儀式が始まるのだった。

492 : ◆Uw02HM2doE :2010/10/17(日) 22:55:13 ID:W3t7prb6
以上です。あまりハロウィンっぽくなかったです。
「リバース」の方はもう少しかかります。もし待ってくださっている方がいたら申し訳ありません。

投下終了します。

493 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 23:16:53 ID:D5dET+A0
GJ!
楽しかったです!


494 :名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 23:39:50 ID:4JqgRL8e


495 : ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/18(月) 01:04:55 ID:nzeKkCQd
前作品との間隔が狭くて申し訳ありません。
触雷!第18話投下いたします。

496 :触雷! ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/18(月) 01:06:05 ID:nzeKkCQd
ジュルッ、ジュルル……ブジュ……
晃は僕の唾液を強く啜ると、逆に彼女自身のを僕の口に流し込んできた。
強引な体液交換だ。僕は黙って飲み込むしかなかった。
「んん……」
「ぷはあっ」
やがて満足したのか、晃は口を離した。
「吸って」
今度は、巨大な胸の先端、ピンク色の突起を僕の口元に突き出してくる。
「あの……」
「グダグダ言わない。黙って吸う」
「…………」
僕は逆らえずに、晃の乳首に口を付けた。
「あんっ……分かってたんだからね。あたしの胸マッサージしてるとき、いつもチンチン固くしてたでしょ?」
「それは……」
口ごもる僕。図星だった。僕だって生物学的には牡なのだ。
年頃の女の子の裸を見て触れて、反応しないで耐え続けるのは至難の技だ。
「フフッ。いいんだよ。責めてるわけじゃないんだから」
そう言うと晃は僕の手を掴み、乳房へとあてがった。
「これからは……ううん。今までもこれからもずっと、これは詩宝だけのものなんだから、詩宝が好きにしていいんだよ」
「…………」
僕は無意識に、晃の胸を揉みしだいていた。
触り慣れているはずなのに、今までと何かが違う気がする。
「んっ、あっ、いいよ詩宝。気持ちいい……」
これは、マッサージと愛撫の違いなのか。
――僕は今、晃を愛撫している……?
違和感が、頭をよぎった。
微妙な、友達同士とも何とも言えない関係が崩れて、僕は気が動転しているのだろうか。
しかし、僕が考えをまとめるのを、晃は待たなかった。
「あはは、もうグショ濡れだわ」
腰を浮かせて、晃は自分の秘所を示す。
そこからは確かに、大量の粘液が滴り落ちていた。
晃のその部分も、僕は何度となく見ているはずなのに、今はまるで印象が違った。
――これは一体、何……?
茫然としていると、晃がいきなり僕のものを握り締めた。
「あひっ!?」
「詩宝もカッチカチだねえ。お互い準備OKってことで、本番いっちゃいますかあ」
晃は何の躊躇も見せず、僕の先端を秘裂にあてがった。
「行くよ……あ、もちろんあたし、これが初めてだからね」
「あ、晃。ちょっと待……」
「うへへへ……念願の詩宝のチンポで脱処。それっ……」
ためらう僕を黙殺し、晃は腰を沈めた。
「あうっ……ちょっと痛いかな。でも凄いカイカン……」
「んんっ!」
僕は眼を閉じ、挿入の快感に耐えていた。
しばらくして目を開くと、破瓜の血が流れるのが見える。晃は少しずつ腰を動かし始めた。
「あっ! いいっ! ううああ!!」
晃の腰の動きは、どんどん激しさを増す。
「ひいっ! そ、そんなに動かさないでっ!」
挿れていると言うより、晃の膣に咥え込まれ、引き摺り回されているような感覚がした。
もちろん、ぶつけられる快感は半端ではない。
「出ちゃう! このままじゃ出ちゃうよっ!」
「あぎいっ! おぐうっ! いいよっ! 中で、あたしのマンコの中でぶちまけてっ!」
僕が限界に達したのは、それから間もなくだった。


497 :触雷! ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/18(月) 01:07:22 ID:nzeKkCQd
どうでもいい授業を聞き流しながら、私は考え事をしていた。
――やっぱり、詩宝さんを連れてくるべきだったかしら?
下手に外に連れ出すと、あのゴキブリメイドに襲われかねないと思って屋敷に残ってもらったが、こうして離れてみると、寂しくてたまらない。
明日からは、詩宝さんと一緒に学校に来よう。そして、私の膝の上に座ってもらって、同じ授業を受けよう。
詩宝さんと私では学年が違うが、詩宝さんなら1年上の授業ぐらい簡単に理解できるだろう。
何なら、校長に命じて詩宝さんを飛び級にさせてもいい。
夫婦なのだから、同じ学年の方が何かと便利だ。
一緒に学校に来ると決まったら、当然休み時間には、人気のない場所で夫婦の営みだ。
詩宝さんの精液をあそこから垂らしながら、何食わぬ顔で授業を受ける私。
ノーパンノーブラのお乳やお尻には、“詩宝専用”なんてマジックで書かれちゃったりして……
そこまで想像したとき、携帯電話のバイブレーターが作動した。メールの着信だ。
開いてみると、エメリアからだった。
『緊急自体です。大子宮おでんわを』
たった1行なのに、エメリアらしくもない誤字また誤字。
何事か分からないが、よほど切羽詰まっているに違いない。嫌な予感がする。
私はすぐに立ちあがり、大急ぎで教室を出た。教師が何か言ったようだが、耳に入るはずもない。
廊下で、すぐにエメリアの携帯に通話を入れた。1コールで彼女が出る。
『お嬢様!』
案の定、エメリアは錯乱状態に近かった。声の調子で分かる。
「落ち着きなさい。何があったの?」
私も思わず冷静さを失いかけたが、それでは会話が成立しない。努めて平静な声で、エメリアに問いかける。
『詩宝様が……屋敷の外に出られました』
「何ですって!」
聞いた途端、一瞬で私の頭に血が上った。もはや冷静さなど無用だ。大声で聞き返した。
「どうして!?」
『総日本プロレスの社長が会長に面会に来られて、帰りに詩宝様を……』
「お父様は、一体何をしていたの!?」
『それが……許可を出されてしまいまして……』
プツッという音が聞こえた。私の中で何かが切れたらしい。
思わず拳を壁に叩き込む。
コンクリートの破片が教室内部に散り、ギャーという悲鳴が多数上がった。
だが、悲鳴を上げたいのはこっちの方だ。
あの馬鹿父め。今、詩宝さんを1人で外に出すことが、どれだけ危険か分かっていないのか。
私がついていない間に、ゴキブリに襲われ、攫われでもしたらどうする気だ。
徹底的に、体に教え込んでやらないと駄目なのか。
いや。私は考え直した。
父を折檻するのは後でいい。今はとにかく、詩宝さんの身柄を確保することだ。
「詩宝さんがどこに行ったか分かる?」
『総日の、本部だと思います』
「分かったわ。すぐに学校に車を回しなさい」
『今向かっています! ソフィも一緒です!』


498 :触雷! ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/18(月) 01:08:45 ID:nzeKkCQd
通話を切ると、鞄を取りに、私は教室に戻った。
何故か、教師と生徒が全員、机の下に隠れていた。
揺れは感じなかったが、地震でもあったのだろうか。
まあどうでもいい。例えマグニチュード8の地震でも、今の私の行動を変えられはしないのだから。
迎えに来た車に乗り、超特急で総日の本部を目指す。
到着すると、すぐさま3人で中に入った。事務員らしい男が何か話しかけてくる。
「何よ?」
振り向いて聞き返すと、相手は口から泡を噴いて失神した。何かの持病だろうか。
構っていられないので、そのまま社長室に向かう。すると、今度はプロレスラーらしい男が前に立ちふさがった。
「おい、ここは関係者以外立ち入り……」
邪魔だ。拳で顎を打ち抜いて沈黙させた。
それからも、やたら筋骨だけはたくましい男達が何人も私達を阻もうとしたが、そのたびに全て、私かエメリアかソフィが打ち倒した。
社長室のドアを蹴破ると、中で社長の長木が震えている。
「詩宝さんはどこ!?」
「あの、これは中一条のお嬢様。実は……」
ソフィは長木に近寄り、右手の人差し指を掴んで無造作にへし折った。
「ウギャアアアアア!!」
「ボスは、詩宝様はどこかとお聞きですけど?」
「ひいい……ま、ま、待ってください……」
ソフィは中指もへし折る。
「ギエエ!!」
「早く言いなさい。今なら靴の紐ぐらい結べるわよ」
エメリアが傲然とした口調で言うと、長木はようやく白状した。
「と、と、堂上の家ですっ!」
堂上晃。詩宝さんと一緒のクラスの、あいつか。
男だから、詩宝さんと会話するのを容認してやったのに、その恩を忘れて詩宝さんを連れ出し、あまつさえ自分の家に引っ張り込むとは。
何という恥知らずの輩だろうか。一度思い知らせてやらねばなるまい。
「行くわよ」
「はい」
「イエス」
失禁と脱糞を繰り返しながら気絶する長木を置き去りにし、私達は社長室を出た。
ビルの出口にたどり着くまで、数十人の重軽傷者が呻いていたが、当然全て黙殺する。
総日も、所属のレスラーが素人の女子高生に倒されたなんて公表したくないはずから、表沙汰にはならないだろう。
再び車に乗った私達は、堂上晃の家に殺到した。
インターホンを押したが、誰も出ない。留守のようだ。あるいは居留守を使っているのか。
個人の邸宅ともなると、私でも迂闊に押し入ることはできない。仕方ないので玄関から離れた場所に車を停め、様子を見ることにした。


499 :触雷! ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/18(月) 01:10:21 ID:nzeKkCQd
しばらくすると、また私の携帯電話が震え出した。
今度は電話だ。非通知である。
苛々していた私は、思わず電話口で怒鳴ってしまった。
「誰よ!?」
『ひっ! あ、あの……』
しまった。
詩宝さんの声だ。間違えようもない。ずっと聞きたかった詩宝さんの声。
詩宝さんの方から、わざわざ私に連絡を取ってくれたのだ。
それなのに、私はきつい口調で話してしまった。脅えさせてしまったようだ。激しく後悔するが、もう遅い。
私は慌てて取り繕った。
「え……詩宝さん? ご、ごめんなさい。非通知だから詩宝さんだって分からなくて……」
詩宝さんからの返事はなかったが、早く逢いたい私は、先を続けた。
『ずっと探しているんです! 今どこにいるんですか!?』
「あ、あの。それがですね……ちょっと病院に行ってまして……」
病院と聞いて、私は気が動転した。まさか詩宝さんが、病気にでもなったのではないかと思ったからだ。
詩宝さんが風邪をひいたと聞いたときでも辛かったのに、もっと重い病気だったら、私は正気を保っていられないだろう。
『病院!? どこか悪いんですか? だったらすぐうちの系列の病院に……』
「いえ、そうじゃないんです」
詩宝さんは否定する。でも、何だか苦しそうだ。
『詩宝さん?』
「そこで、検査してもらったら、いろいろお薬を飲まされてたみたいで……」
私ははっとした。
薬というのは、あの日お茶に混ぜて詩宝さんに飲ませた、媚薬のことに違いない。
詩宝さんは病気になったのではなく、病院でそれを調べられていたのだ。
おそらく、堂上晃に強要されて……
ともかく、私は弁明しようとした。詩宝さんならきっと、分かってくれる。
「あの、詩宝さん。それは……」
『それで、婚約のことなんですけど、一度白紙に戻してもらっていいですか? いや、別に、縁を切るとかじゃなくて、ゼロベースでもう一度考え直すと言うか……』
ガチャ
婚約の白紙撤回。
一番聞きたくなかった、ショッキングな言葉を残して、突然通話が切れた。
詩宝さんが自分で切ったというより、話している間に誰かに切られたような感じだ。
もちろん、堂上晃だろう。
婚約を白紙に戻すよう唆したのも、あいつに違いない。
私の中の、堂上晃に対する怒りはさらに倍加した。
大体、詩宝さんに媚薬を呑ませたからと言って、それが何だと言うのか。
詩宝さんがいくら媚薬を呑んでいても、私に“女”を感じていなければ、襲ってくれることはなかったはずだ。
襲ってくれたのは、私をメスだと認識していたから。
つまり、媚薬がなくても、詩宝さんと私が結ばれるのは既定事項だったのだ。
それなのに……
「あいつ……生まれてきたことを、後悔させてやるわ」
「お嬢様?」
「ボス?」
エメリアとソフィが、青ざめた顔で私の方を覗き込んできた。
2人とも、今の会話で、ただならぬ気配を感じ取ったことだろう。
「詳しいことは、屋敷で話すわ」
私は一度屋敷に戻ることに決め、車を出させた。


500 : ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/18(月) 01:11:30 ID:nzeKkCQd
今回は以上になります。
現物支給の方とは、交互ぐらいに投下していきたいと思います。
では、また……

501 :名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 01:20:54 ID:WYEHQC68
リバースと触雷!の作者GJ!!

長期連載してる二人が帰って来てくれて一安心です!
次も期待してます!

502 :名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 01:33:52 ID:KHlVxKsd
極乙

503 :名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 01:35:20 ID:SytvMM1S
やべー…
吸血鬼の話超おもしろかったです。それから触雷!の作者さんもGJです

最近投下がなかったのですごくうれしいっす


504 :名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 02:01:09 ID:oqXfCFsq
どうも初投稿者の名無です。
いよいよ、秋も深くなっていきましたね。
秋という事で、少しヤンデレ(?)物のSSを書かせてもらいました。
レスの、無駄遣いになるかも知れませんが、投稿させていただきます。
駄文注意、厨二病注意です。
ローペースで更新していく予定なので続編が、
どれだけ先になるか分かりませんが、何とか最後まで書きます。
では、投稿します。
タイトルは、『特級フラグ建設士』です。

505 :名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 02:03:15 ID:oqXfCFsq
落ちている。
いや、物が道路に落ちているってわけじゃなくて。
俺が、高所(約300mのタワー)から落ちている。
そう、落下しているのだ。
なんて事無い、突き落とされただけだ。
「あ〜あ、俺の人生ここまでか」
落下している中、俺は溜め息を吐き呟いた。
そう言えば、人は約200m/mで落下するって聞いたな。
「丁度落とされた所だし、数えてみるか…1」
淡々と、数え自分の死があと何秒かに来るか予想をしていたら。
いきなり、落下が止まった。

506 :名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 02:05:58 ID:oqXfCFsq
「あれ?これもフラグになるわけ?」
俺は、自分の生還を祝いつつ、もう一度溜め息を吐いた。
空中で、ふわふわと浮きながら。
どうやら、『自分の生を諦めて死ぬまでの時間を数えるのは生存フラグ』になるらしい。
らしいってのは、自分でもよく分かってないからだ。
何がって?このフラグ建設能力の事だ。
取り合えず、分かっている事を言う(?)と、
自分に死亡フラグが立って回収された時、
自分に何かしら生存フラグを立てると回収されるらしい。
回収された結果、超常現象で生存してしまうようだ。

507 :名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 02:08:41 ID:oqXfCFsq
さて、自分の変な能力の説明も終わった事だし、なぜこうなったか説明でもしようか。
自己紹介が遅れたが俺は、神条整(かみじょうせい)だ。
名前の意味は、神々の条約を整える者って意味らしい。
このタワーから落下していたのは、学校の奴に突き落とされただけだ。
突き落とした理由?知らぬ。
取り合えず学校の奴に突き落とされたって事実だけしか、俺は知らぬ。
ここ最近、何故か死亡フラグすぐにが立ってしまう。
昨日は、通り魔に襲われるし、
先週は、交通事故に遭いかけるし、
その度に、このフラグ建設で何とか生き残っているわけだが。
そうこう考えているうちに、警察のヘリがやってきた。
下の野次馬の内の一人が通報でもしたのだろう。

508 :名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 02:11:17 ID:oqXfCFsq
「君!!大丈夫かね?」
「普通に大丈夫です」
平然としながら返事をして、ヘリに乗った。
取り合えず、救出され、事情聴取を受け、マスコミからの取材を流し、家に帰った。
家に着き、寛いでいたら、
ふと、俺を突き落とした奴の顔を思い出した。
「そう言えば、俺を突き落とした奴って…早川さんだよな」
明日にでも本人に聞けばいいか…
と、twitterで呟いた。


509 :名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 02:16:06 ID:oqXfCFsq
駄文ですみません
短文ですみません
レスを無駄遣いしてすみません
色々と、皆様には謝らなくてはいけないことがありますが、
取り合えず、『特級フラグ建設士』1話は、ここで終了です。
投稿してみて思った事なのですが、
物凄く心臓がバクバクと鳴っていて、とても緊張しました。
さて、そんな作者の心境の為だけに、スクロールバーを長くしてしまって、
すみません。
最後まで、謝っていてすみませんでした。
では、また遭う日までさようなら。

510 :名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 02:33:08 ID:IfrFr50b
GJ
トリつけたほうがいいぞ

511 :名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 02:35:03 ID:oqXfCFsq
>>510
あわわわわ、GJ有難うございます。
次からは、タイトルでトリップ付けていきます。
遅れましたが、トリップをつけていなくて、すみませんでした。


512 :名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 10:52:39 ID:KKYs10Ps
>>466のものです。とにかく投下します。


「お〜い、美香ぁ、起きろぉ〜」
「う〜ん、・・・・・・あっ、おはよう!お兄ちゃん。」
「おはよう」
やっと起きたこいつ、美香ことおれの妹だ、自分でイうのもあれだが、
こいつはお兄ちゃんこだから、おれが一人暮らしするといって、そしたら、こいつも付いてきた、
ので、今俺はこいつと2人ぐらしだ。
「お兄ちゃん、今日はお兄ちゃんが朝ごはんつくってね」
「え?おれ?なんで」
「だって、おにいちゃんのつくったごはんが食べたいんだもん」
「はぁ〜、しょうがないなぁ。じゃあつくってやるよ。」
「わ〜い、おにいちゃん大好き〜」
とまあ、こんな日常を毎日繰り返しているのである。
・・・・・でも、この日常が俺にとっては一つの幸せだ。だからこんな幸せがこんな形で崩されるとは思っても見なかった。

ある日のこと、
「おにいちゃん・・・」
「ん?なんだ美香。」
「おにいちゃんさ・・・・私のこと、好き?」
「は?なにいってんだおまえは、」
「・・・・・おにいちゃんは私のこと嫌い?」
「嫌いじゃねえけど・・・・なんだ 急に、」
「ううん、別になんでもないの・・・・あ、いまのきにしないでね」
・・・・・どうしたんだ?美香のやつは。謎だ、なんてゆうか何考えてんのかわからん妹だな。
まあいっか。

とある日
今日はなんか、美香用事があるとかなんとか、
とそんな時にクラスの同級生に
「ねえ、康太一緒に帰らない?」
「まあ。いいけど、そうだ、帰りによっていってもいいか?」
「いいけど、どこ行くの?」
「まあ、今晩のおかず・・・かな?」
「ふ〜ん、とりあえず行こっ」
このときの俺はおもいもしなかった、まさかこの行動があんなことになるなんて。

「まあ、今日のおかずはこれでいいか。お〜い愛子、行くぞぉ」
「あ、うん、いまいくぅ〜」
とまあ、こんな感じに買い物すませて、愛子と一緒にかえって
「じゃ、また明日な。愛子」
「うん、また明日〜」
こんな感じで無事帰宅。まあごはんの用意したし、あとはあいつをまつだけなんだが、暇だし
ゲームでもしてよっと、今日こそあいつを狩るんだ。
・・・・・・・20分後
「クソっ、なんでこいつにかてないんだ。ボウガンがイケナイのかちくしょう!」
てとこであいつが帰ってきた。
「ただいま〜おにいちゃん。あっ、ごはん作ってくれたの?ありがと〜うおにちゃ〜ん」
「おかえり、美香、なにしてたんだ?」
「えっ?あ、うんちょっとかいものと用事を済ませてきたの」
「ふ〜ん、そうか、まあ食おうぜ」
「うん、いただきます。」
 






513 :名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 12:33:20 ID:yp3v6RP1
終わり?

514 :名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 17:05:32 ID:8QY9wZ/Y
偉そうにしてたくせに投下終了宣言もできなけりゃ
タイトルもトリもつけられてない。
内容もヘッタクソだし、もう投稿しなくていいよ。

515 :名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 17:11:26 ID:NNZe2DSW
書かない奴が何言っても無駄だがな

516 :名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 17:36:43 ID:kEDheu3S


517 :名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 18:04:19 ID:cww3l3lQ
>>515
右に同じ

518 :名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 19:04:37 ID:bs9gjOai
上に同じ

519 :名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 19:05:17 ID:Q0tRwjqX
投下ラッシュだー!
皆さんGJです

520 :名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 19:59:19 ID:HV3Qv+bU
GJ!

521 :名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 23:29:49 ID:kEDheu3S


522 :名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 23:50:59 ID:yp3v6RP1


523 :名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 00:04:21 ID:0ZXhOe+E


524 :名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 00:08:18 ID:D6E2IATW
そろそろ黒い陽だまりとかきてほしいな

525 : ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/19(火) 00:55:41 ID:O8N0WXGP
別の作品で申し訳ありませんが、投下します。

526 :現物支給 ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/19(火) 00:56:18 ID:O8N0WXGP
「ああんっ! 気持ちいいっ! レイプ最高っ!」
――これでは約束が違う!
『やはりあなたは、わたくしの主にふさわしくありません。さようなら』
となるのではなかったのか。陣氏は抗議した。
「ちょっと! 気持ちよくならないんじゃなかったの!?」
「ああっ! そうですっ! この王女の皮を被ったはしたない雌豚を、もっと罵倒してくださいっ!」
「いや、罵倒してるんじゃなくて、遺憾の意を表明してるんだけど!」
「はいいっ! イカ臭いご主人様のオチンポに犯されて、淫乱奴隷のフェルデリアは感じていますっ!」
会話が成立していない。陣氏は一度、フェルデリアから一物を引き抜こうとした。
だが、抜く前に、気配を察したらしいフェルデリアが背後の陣氏にヒップを押しつけてきた。
そればかりか、器用に足をかけてくる。バランスを崩し、陣氏は仰向けに倒れた。
「ぐげっ!」
「あうっ……あああ……いい……」
倒れた陣氏の股間の上で、フェルデリアは腰を複雑にくねらせた。
とても処女とは思えないが、確かに破瓜の血は出ているようだ。
四方から絡み付いてくる粘膜の刺激で、陣氏はだんだん限界が近づいてきた。
「どいてくれ。そろそろ出る……」
「何ですか、その妄言は?」
途端にフェルデリアは動きを止め、冷たい視線を陣氏に向けた。
「いや、だって……」
「子種汁出してやるから、しっかり精液処理マンコで受け止めろ、ぐらいのことを言えないのですか?」
「でも、さすがに中は……」
「早くなさい!」
王女の威厳だろうか。陣氏はその言葉に逆らえず、フェルデリアの台詞を繰り返した」
「ええと……子種汁出してやるから、しっかり精液処理マンコで受け止めろ」
「真剣味が感じられません。もう一回」
「そんな」
「それに、さっきから膣を犯すだけで、他にわたくしの肉体を辱めることはなさらないのですか? 胸を責めるとか、肛門をいじるとか、何か考えられませんか?」
「…………」
もう何を言っても無駄だ。とにかく一回終わりにしよう。
陣氏は右手を伸ばしてフェルデリアの乳房を後ろから鷲掴みにし、できるだけ感情を込めて言った。
「子種汁を出してやる! 精液処理マンコで受け止めろ、淫乱王女!」
「ああっ! かしこまりました、ご主人様あっ!」
フェルデリアは、再び腰を高速で振動させた。たまらずに陣氏は、彼女の中に精を放ってしまう。
「うぐあっ……」
「おおお……ご主人様の精液が、雌豚奴隷の汚ない膣一杯に……」


527 :現物支給 ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/19(火) 00:57:22 ID:O8N0WXGP
「あのさ」
性交が終わって人心地ついた後、陣氏は騙されたような気分になり、フェルデリアと向かい合って言った。
「今ので、俺がフェルデリアの主にふさわしいって感じ、みたいな? になっちゃったけど、それでいいの?」
「はい」
フェルデリアは跪いて即答した。
「でもさっきは、心までは譲らないとかどうとか……」
「ご主人様は、わたくしの故国で、戦車を撃破されたことを覚えておいでですか?」
「戦車? ああ……」
そう言われてみれば確かに、陣氏は戦車に向けてバズーカ砲を発砲した。
撃破したかどうか、戦果までは確認できなかったが。
「あれは、反乱軍共の戦車でした。それがご主人様に破壊されたのが要因の1つとなって、わたくしの家族は国外に逃れることができたのです」
「うわ……」
俺ちゃんてば、そんな海外情勢を左右するような、大それたことやっちゃったのね。陣氏はいささか青ざめた。
「じゃあ、俺って君の国の新政府に睨まれてるんじゃ……」
「いいえ。戦車がご主人様に向けて発砲したので仕方ないと、泣き寝入りすることにしたそうです」
「ははあ」
――強気なのか弱腰なのか分からないな、その新政府……
そう陣氏は思った。
「まあ、同盟国に喧嘩売りまくって、核ミサイル向けてくる国に媚売りまくるよりマシか……」
「え?」
「いや、何でもない。それより、今の話が、君が俺の奴隷になる理由なの?」
「そうです。家族を救ってくださったご主人様に、わたくしの生涯をかけてご恩返しをいたします」
フェルデリアは、そう言って深々と頭を下げた。
――そういうことか。うーん……
腕を組んで考え込む陣氏。とりあえず、フェルデリアが自分の奴隷になることを志願した理由は分かった。
しかし、だからと言って、いつまでもフェルデリアを奴隷としてここに置いておく訳には行かない。
ここは陣氏1人の家ではない。今でこそ1人暮らしだが、いつ家族が帰ってきてもおかしくないのだ。
それに、近所の目もある。フェルデリアはその容姿だけでも相当に目立つから、例え実情が知れなくとも、あらぬ噂が立つのは時間の問題だろう。
――どうしよっかなあ。
考えていると、フェルデリアが急に赤面しながら話しかけてきた。
「あの、ご主人様……」
「ん? 何?」
「おトイレに、行かせてください……」
またそれか。陣氏はすぐに許可した。
「いいよ。行ってこいよ。トイレはここを出て、左の突き当たりだ」
フェルデリアが出て行くと、陣氏はほうっと溜息をついた。
――行きたいときは勝手にトイレに行けって何度言っても、聞いてくれないんだよな……
しばらくすると、フェルデリアが戻ってきて、こう言った。
「ご主人様、プラスのドライバーを貸していただけますか?」
「え? ああ、いいけど……」
陣氏は深く考えずに、工具箱からドライバーを取ってきて渡した。


528 :現物支給 ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/19(火) 00:58:33 ID:O8N0WXGP
「何でこんなことしたの!?」
取り外されたトイレのドアを前にして、陣氏はフェルデリアを詰問していた。
自分も用を足そうと陣氏がトイレに行くと、見事にドアがなくなっていたのである。
「必要ないからです。わたくしの排泄行為は、ご主人様の管理下に置かれているわけですから、いつでもご覧になれるようにするのが当然かと」
「それについては異論もあるけど、100歩譲ってまあいいとしよう。でもトイレは、俺も使うんだよ?」
「はあ? ご主人様、気は確かですか?」
フェルデリアは、頭脳の不自由な人を見るような目で陣氏を見た。
「ど、どういう意味だよ……?」
「これからご主人様が用を足されるときは、わたくしがお世話をするのです。なおさらドアなど不要ではありませんか」
「な、何ですと……?」
「では、早速失礼いたします」
フェルデリアは、ドアのないトイレに陣氏を押し込めると、自分も中に入り、陣氏のズボンのチャックを無造作に開けた。そのまま手を突っ込み、ペニスを露出させる。
「こ、これから毎回これを……?」
「当然です。出し終わったら仰ってください」
「でも……」
「何かご不満でもあるのですか? ああ、分かりました。わたくしの口に出すのですね?」
フェルデリアは口を開くと、何の躊躇も見せずに、陣氏のペニスを頬張った。
「……便器の方に、向けてください」
敗北感に満ちた声で、陣氏は言った。

その後、陣氏は首輪を買いに外に出た。フェルデリアから執拗に要求されたのである。
「奴隷が首輪なしでは、外にも出られないではありませんか」
――そう言われてもなあ……
首輪を着けるのは200歩譲っていいとしても、それで外に出るのだけは勘弁してほしいところだ。
何とか、こちらの要望も聞いてもらえるようにはならないものか。
重い足取りで、陣氏はできるだけ自宅から離れたペットショップに行き、犬用の首輪を購入した。
実は、首輪の他にも、ロープやら鞭やら蝋燭やら手錠やらというおどろおどろしい買い物リストをフェルデリアから突き付けられていたのだが、ハードなネゴシエーションの末、それだけは免れていた。
「金がない」
の一点張りで陣氏が頑強に抵抗し、ついにフェルデリアも、
「まあ、今日のところはいいでしょう」
と折れたのである。


529 :現物支給 ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/19(火) 01:00:08 ID:O8N0WXGP
首輪を買った陣氏が自宅に戻ると、フェルデリアが全裸のまま、居間で携帯電話をいじくっていた。
陣氏の携帯電話ではない。彼女自身のものだ。
――おっと。プライベートな時間を邪魔しちゃいけないな。
陣氏がそっと居間から出て行こうとすると、フェルデリアの慌てた声が聞こえた。
「あっ、ご主人様。申し訳ありません。お出迎えもせず……」
「いい。続けてろよ。俺はしばらく、自分の部屋で休むから。フェルデリアも好きなことしていろよ」
「そうは参りません。ご主人様のお出迎えもできない愚かな雌豚奴隷に、お仕置きをお願いします」
そう言って四つん這いになり、無防備にヒップを向けてくるフェルデリア。
疲れ果て、自室で横になりたい一心の陣氏は、強引に話を逸らそうとした。
「め、メール打ちかけなんじゃないの? それだけ先にやっちゃえば?」
「メールなら、先程一括送信しましたので。もう大丈夫です」
「一括送信?」
何気なく聞いた陣氏だったが、フェルデリアの返答を聞いて肝を潰した。
「はい。わたくしがご主人様のお世話になっていることを、わたくしの縁のある者達に伝えました」
「ギャアアアアアアア!!」
「どうなさいました? ご主人様」
「お、お、俺の奴隷になってるって、まさか知り合いみんなに言っちゃったの?」
「ご心配には及びません」
フェルデリアは立ち上がり、胸を張って言った。
「メールは、王家に連なる者にしか分からない暗号で書いてあります。例え盗読されても、ここの住所が漏れることはありません」
「ああ、うう、ぐう」
住所まで書いてもーたんかい。
陣氏は気が遠くなった。
それこそ、ご主人様の許可を得なければいけないことだろうに。
「まさかとは思うけど……」
気丈にも陣氏は意識を保ち、フェルデリアに問いかけた。
「メール見た何人かが、ここに来るってことはないだろうね?」
「いいえ。それはないかと思います」
「それなら、まだいいか……」
陣氏は全身から脂汗を流しながら、ソファーに座った。
「今こちらに向かっているというメールは、まだ1通しか返信がありませんので」
「ウーム……」
今度こそ陣氏は気絶した。

ピンポーン
「うっ!」
呼び鈴の音で、陣氏は目を覚ました。
すっかり暗くなっている。何時間ほど気を失っていたのか。
気が付くと、ソファーに横たわっていて、毛布をかぶっていた。フェルデリアがかけてくれたのだろう。
ピンポーン
再び呼び鈴が鳴る。
――今時分に、誰だ……?
陣氏は立ち上がり、壁にかかっている受話機を取った。これで呼び鈴を押した相手と、話すことができる。
「……どちら様で?」
恐る恐る言うと、相手の声が聞こえた。
『夜分に恐れ入ります。こちらは、朝霧陣氏様のお宅でよろしいでしょうか?』
女性の声だった。日本語だ。しかし、外国訛りがある。日本人ではない。
「そうですが、あなたは……?」
『フェルデリア様にお仕えしている、アレウナと申す者です。門を開けていただけますか?』
――もう来たのか!
陣氏は、己の心身が戦慄するのを感じ取っていた。


530 : ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/19(火) 01:01:31 ID:O8N0WXGP
今回は以上になります。
なお、このSSも、触雷!同様に団体戦に発展させる予定です。
苦手な方はご注意ください。

531 :名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 01:12:45 ID:D6E2IATW
GJ!
触雷!のほうもがんがれ〜

532 :名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 02:10:17 ID:+Hs3ffMD
ふう・・・GJ!

533 :名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 02:22:52 ID:trf1013N
GJ!!
なんかえれぇことになっとるな

534 :名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 07:28:53 ID:ac9FAYGw
GJ

最近の奴隷はあんなに偉そうなの?

535 :名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 17:18:08 ID:7aMhkNqS
いいえ、エロそうなんです

536 :名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 17:57:44 ID:qz/1SxA5
奴隷こわい

537 :名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 18:15:44 ID:6riWNUmW


538 :名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 18:17:16 ID:8q518ols
GJ!

まとめ更新の方も乙です

539 : ◆Uw02HM2doE :2010/10/19(火) 20:15:33 ID:VKPE3Ad+
こんばんわ。今回はリバース14話を投下します。
よろしくお願いします。

540 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/10/19(火) 20:16:44 ID:VKPE3Ad+
修学旅行の翌日。
二年生は昨日まで修学旅行だったということで、今日は休校日になっていた。
「じゃあ行ってくるね、里奈、兄さん!」
「おう、いってらっしゃい」
「いってらっしゃい!」
学校へ行く潤を玄関で見送る。隣にいる里奈は元気良く手を振っていた。
「さ、もう一眠りするかな」
「じゃああたしもカナメと一緒に寝る!」
俺の左腕を掴む里奈。
どうやら修学旅行で俺が家にいなかった間、潤と里奈は仲良くなったようだ。
今も里奈が潤を見送りに来ていたし、今朝の朝飯を作っていた潤を自ら手伝っている里奈を見ると二人はまるで仲の良い姉妹のようだった。
「この家には慣れたか?」
「うん!カナメは好きだし、ジュンも最初は怖かったけど今は優しいもん!」
嬉しそうに言う里奈。確かに最初里奈を連れて来た時の潤の反応は異常だった。
しかし今はこうして里奈にも好かれている。きっと何かが潤に心境の変化をもたらしたのだろう。
もしかしたらあの雨の日、潤が倒れた日に何かがあったのかもしれない。
とにかく潤は変わろうとしている。それはとても喜ばしいことだった。
「カナメのベットに一番乗り!」
里奈は俺の部屋に入って一目散にベットに飛び込む。
「おいおい、俺のベットだろ」
苦笑しながらもこんな一日も悪くないな、と思う。今日は久しぶりにゆっくり出来そうだ。
ふと視界に点滅した光を放つ携帯が入る。
「メールか。一体誰だろう?」
「カナメ〜、早く来てよ〜」
「分かったからちょっと待っててくれ」
里奈に急かされながら携帯を開く。やはり受信メールが一件あった。差出人は――
「…………っ!」
「カナメ?どうしたの?」
「…い、いや何でもない。さ、もう一眠りだ」
「……うん」
なるべく動揺を悟られないように携帯を閉じる。里奈を連れてそのままベットに潜り混んだ。



送信者:大和撫子
件名:無題
本文:今日の正午、桜ヶ崎駅東口で待ってます。
   あたし達、恋人だもんね。来なかったら……分かるよね?


541 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/10/19(火) 20:17:47 ID:VKPE3Ad+

桜ヶ崎駅東口。寝ている里奈を起こさないようにして家を出た。
「ここか……」
以前にも呼び出されてここに来た。前回は会長、そして今回は――
「時間ピッタリだね。合格だよ、要君」
「……撫子」
"恋人"の大和撫子だ。彼女は瑠璃色のポニーテールを揺らして駅前の柱に寄り掛かっていた。
「本当は5分前行動がベストなんだけど……許してあげる」
俺の左腕を取り自分の腕に絡める。撫子からは仄かに甘い香りがした。
「お、おい」
「さあ行きましょ。今日は一杯歩くんだから。覚悟しておいてよね」
嬉しそうに腕を組む撫子を見ているとつい忘れそうになる。彼女がどれほど恐ろしい存在か、ということを。
「あ、ああ……」
でも忘れてはいけない。この"恋人"がいる限り、俺に安らぎは訪れないのだから。



海上娯楽施設"アクアマリン"。桜ヶ崎駅からモノレールで20分程の所にある、海を題材としている巨大テーマパークだ。
休日になると家族連れやカップルで賑わう、我が県のイチ押しといっても過言ではない場所である。
「うわぁ!綺麗……」
「……確かに」
海底をイメージしたエントランスは撫子の言う通りとても綺麗で幻想的だった。
色とりどりの貝殻が周囲を飾り、正面ゲートには本物のアクアマリンがこれでもかという程たっぷりと散りばめられている。
「これ、藤川君のお父さんが作ったんだよね……」
「まあ正確には会社が、だけどな」
このアクアマリンは英の父親である藤川栄作が経営する、藤川コーポレーションが建設したテーマパークだ。
これは東桜では殆どの生徒が知っていることだし、俺も英から直接教えてもらった。
「あたしアクアマリン来たことなかったんだ。よぉし、今日はとことん遊ぶぞぉ!」
「ちょ!?おい、引っ張るなって!」
腕を組みながら俺をぐいぐい引っ張ってゲートに行く撫子。今日は平日だから別に混んではいないし、そんなに焦る必要もないのだが。
それでも目を輝かせながらゲートを通る撫子を見ていると、何だかこっちまで楽しい気分になってくる。
「アクアマリンにようこそ!」
海をイメージした青色を基調とした制服を着るスタッフに出迎えられ、俺達はゲートを潜って行った。


542 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/10/19(火) 20:18:47 ID:VKPE3Ad+

「ジェットコースターだって!あたしジェットコースター大好きなんだ!乗ろっ!」
中に入って早々走らされてジェットコースター乗り場へ。
別に平日の真昼間なんだから焦る必要なんてないと思うんだが、撫子が楽しそうなのでそれで良いかな。
「何々…"海へ突き出たレールがここでしか味わえない興奮を貴方に"…か」
入る時に貰ったパンフレットに書いてある説明を見る限り、かなり本格的なジェットコースターのようだった。撫子は隣でそわそわしている。
「海へ突き出す!?絶対楽しいに決まってるよ!」
「よくジェットコースターでそんなにテンション上げられるな……」
隣で無邪気にはしゃぐ撫子はまるで子供のようだ。どうやら余程ジェットコースターが好きらしい。
「よし、絶対にジェットコースター系は制覇するからね!」
「おいおい……」
乗り場へとスキップしながら登って行く撫子を見ていると、何だか俺までワクワクして来てしまった。恐るべしポニーテール。



「来るよ来るよ!」
「あ、ああ……」
日本の技術力は凄いと思う。
"海へ突き出たレールがここでしか味わえない興奮を貴方に"
確かにその通りだ。一体どうやって支えているのかは分からないが海面スレスレにレールがあり、まるで海へダイブするような感覚になる。
ただ一つ、"ここでしか味わえない興奮"が人によっては恐怖になる場合を除いてだが。
「さん、にぃ、いち……!」
「う、うわぁぁぁぁあ!?」
最初に一気に急降下して海面スレスレまで行った後は、激しいアップダウンを繰り返して一回転する。そしてカーブしながらまた海へ飛び出すのだ。
「さいっこぉぉぉお!」
「あぁぁぁぁあ……」
隣でテンションが最高潮まで上がっている撫子とは正反対な俺。しかしそれは当たり前のことなのだ。
いくらジェットコースターが好きだと言っても普通2、3回乗れば飽きるもしくは体力的に辛くなるものだ。
しかし隣にいる大和撫子という人間には限界がないらしい。
「きゃぁぁぁぁあ!!」
「…………」
既にこの本格的なジェットコースターに乗ること7回目。
さすがに係員にも顔を覚えられ始めた。後何回乗れば隣のスピード狂は満足するのだろうか。

543 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/10/19(火) 20:20:00 ID:VKPE3Ad+

「いやぁ、楽しかったね!マリンコースターもアクアジェットも良かったけどやっぱり一番はジ・オーシャンだったよ!」
「……気持ち悪い」
結局"海へ突き出たレールがここでしか味わえない興奮を貴方に"が売りのジェットコースター、ジ・オーシャンには12回乗った。
その後も休憩を全く挟まずにアクアマリン内にある絶叫アトラクションを全て最低3回ずつ乗り回ったのだった。
「情けないなぁ。しっかりしてよ要君」
「いや、俺は頑張った方だと思うんですが……」
空には既に月が出ている。まさか一日中ジェットコースターに乗らされるとは思わなかった。
これが撫子の言う"デート"ならこれからはデートするのは考えた方が良さそうだ。
「こんなのまだ序の口だよ?……あ」
「うん?」
急に立ち止まる撫子につられて立ち止まる。目の前には工事中のビルが立っていた。
「アクアポート、もうすぐ完成するんだ。半年前に駄目になったばっかりなのに」
「アクアポート?」
俺の質問に撫子は驚いたように目を見開く。
「要君、まさか知らないの!?」
「えっと……何が?」
撫子は信じられないといった様子だが俺にもよく分からない。
この工事中のアクアなんちゃらとかいうビルを知らないことが、そんなにも問題なのだろうか。
「はぁ……。ニュースくらいちゃんと……って要君、記憶喪失だったんだね」
「あ、ああ……」
「このビルはね、半年前、完成間近に事故で爆発しちゃったんだ。当時のニュースで大々的に扱ってたから知らない人はいないと思う」
「爆発……事故……」
何かが引っ掛かる。確かつい最近、そんな話をどこかで聞いたような気が――

『……半年くらい前にビルの爆発事故で行方不明になってさ。そこに写っているメイドと一緒にね』

「っ!?」
急に頭痛がする。頭が割れそうだ。何かを、忘れてはいけない何かを忘れてしまった気がする。
「だから半年しか経ってないのにまた完成間近……要君!?」
「ぐっ!?」
何なんだ、この感じ。最近頻繁に起きる発作的な頭痛とこの感じ。忘れてはいけないことが思い出せそうで思い出せない。
「やはりここにいたか要」
「……えっ?」
聞き覚えのある声。顔を上げるとそこには会長が立っていた。
しかし何故だろう。いつもの要組の時の会長とは打って変わってその碧眼は冷たく撫子を射抜いている。
そして彼女の紅い髪も燃え盛る業火の如く揺らめいていた。

544 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/10/19(火) 20:21:19 ID:VKPE3Ad+

「……生徒会長さんが何の用?」
「要、体調が悪そうだな。外に車を用意してある。家まで送って行こう」
撫子を完全に無視して会長がこちらへ近付いて来る。途端に理解する。彼女は怒っているのだ。それも尋常でない程に。
「ちょっと待って。要君はあたしの彼氏よ。勝手なことしないで」
近付く会長の目の前に立ちはだかる撫子の声は氷のように冷たかった。撫子もまた怒っているが会長とは正反対に静かな怒りだった。
「……君は一体誰だ?」
「あたしは大和撫子。後ろにいる白川要君の彼女よ。人に名前を聞く時はまず自分からじゃないの、会長さん?」
撫子の挑発とも取れる自己紹介に会長は眉をひそめる。しかし5秒程の沈黙の後、会長が話し始めた。
「私は美空優。そこにいる白川要の婚約者だ。要はもう私の両親への挨拶も済ませている。そうだろ、要?」
「馬鹿言わないで。要君はあたしと付き合ってるの。もう愛し合った仲なのよ。ね、要君?」
会長と撫子がこちらを睨んでくる。何なんだこの修羅場。撫子の言っていることに間違いはない。
でも会長の言っていることも"婚約者"以外は間違ってはいないのだ。
いや、それよりも問題なのは今までこの危うさに気が付けなかった俺自身なのだろうか。
「愛し合った?君は単なる要の性処理道具、つまりオナホだ。要が君なんかに欲情するわけないだろう」
「面白いこと言いますね。ただ乳がでかいだけの年増の何処に要君が欲情するんですか」
二人は睨み合い場の雰囲気が凍り付いているのが分かった。
少し前にも会長と潤の睨み合いがあったが、それとは比べものにならない程空気が張り詰めている。
「分からないのか、君は要には似合わない。どうせこの関係も君が押し付けたものだろうな」
まるで知っているかのように切り捨てる会長。
恐らくあてずっぽうだが、あながち間違ってはいない。撫子はゆっくり息を吐いてから反撃する。
「適当なこと言わないで貰えますか。貴女、偉そうで大嫌いです」
「奇遇だな。私も君が大嫌いだ」
ゆっくりと歩み寄る二人。お互いの射程距離を計っているようだ。緊張は極限まで膨らんでいた。後は何かきっかけがあれば――
「優お嬢様。そろそろお時間です」
そんな時、会長の執事であろう初老の紳士がやって来た。
「……そうか。それでは今日は引き上げよう。君、夜道には気をつけた方が良い」
「……そちらこそ」
「要、また学校で会おう。修学旅行のお土産、期待してるからな」
「あ、はい……」
そのまま会長は紳士を連れて、去って行った。

545 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/10/19(火) 20:22:27 ID:VKPE3Ad+

「今日、楽しかったな」
「うん……」
「えっと……撫子はジェットコースター乗りすぎなんだよ」
「そうだね……」
アクアマリンからの帰り道。会長と対峙してから撫子はずっと俯いて何かを呟いていた。
こうして帰り道を歩いていても生返事しかしない。やはり会長に言われたことが堪えているのだろうか。
「えっとさ……」
「……要君」
突然撫子が立ち止まり俺を見つめてくる。彼女の目は一切の光を写してはいなかった。生気のない、暗闇しか写さない目。
「要君は逃げないよね?裏切らないよね?側に……いてくれるよね?」
覗き込んでくる撫子。その目の暗闇に吸い込まれそうになる。
一切の光がない暗闇が目の前に広がっているようだった。無意識に後退りする自分がいた。
「俺……帰らないと……」
怖かった。とにかく怖かった。昼間一緒にいた彼女とはあまりにも違いすぎて。
一刻も早くこの場所から立ち去りたい。ただそれだけを考えてしまう。
「……そう。分かった」
「あ、撫子……」
声をかけるが撫子はそのまま背を向けて去って行った。
「……くそっ」
彼女は俺を脅していたんだ。それならばこれで良かったはずなのに、何だろうこの胸に広がる罪悪感は。
ただ一つ分かるのは俺がどうしようもなく情けないということだった。



「…………」
家に帰ると里奈に何処へ行っていたのかしつこく聞かれたが、謝ってごまかした。
潤も聞きたそうな様子だったが俺を気遣ってくれたのか、直接何も聞こうとはしなかった。
そんなこんなで気まずい夕飯を終えてベットに飛び込む。
「……会長……撫子……」
一体俺はどうするべきだったのだろうか。根拠はないが俺は何かをすべきだったのではないか。
少なくともあのまま撫子を帰してはいけなかったような気がしてならない。
「……わかんねぇ」
考えていても仕方ない。ふと時計を見ると午後10時ちょうどだった。何か面白い番組、やっていたかな――

『少し時間をあげる。明後日の午前0時、要の家の近くにある公園で待ってる。その時に答えを聞かせて』

「っ!?」
急に蘇る記憶。いや、これは修学旅行の時の記憶だ。鮎樫らいむに言われた言葉を思い出す。
そう、確かに彼女は言った。明後日、つまり今日の午前0時に公園に来いと。そしてそこで答えを聞かせて欲しいと。
「……本当に意味わかんねぇ」
行って何になるというのだろうか。あいつは鮎樫らいむじゃない。
それは亙さんのおかげで分かった。だったらわざわざ会う必要はないのではないか。
「……馬鹿馬鹿しい」
俺は布団を被り直した。行ってたまるか。
ただでさえ混乱しているのに、自分から面倒を増やす必要はない。それでも彼女の言葉は耳から離れなかった。

546 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/10/19(火) 20:24:45 ID:VKPE3Ad+

午前0時。俺は公園のベンチに向かっていた。
「……寒っ」
結局鮎樫らいむの言葉が忘れず、のこのこと近所の公園まで来てしまっていた。
自分でも馬鹿だとは思うが仕方ない。何故か彼女の言葉を無視出来なかったのだ。
「こんばんは」
「……こんばんは」
鮎樫らいむは前回と同じようにベンチに座っていた。相変わらず真っ赤なワンピース一枚でこの寒空の中、何ともない様子で座っている。
「やっはりワンピースか。……ほら」
そんな鮎樫らいむに自分が着ていたジャケットを手渡す。ちょっと照れ臭いので目は合わせない。
「……ありがとう。座ったら?」
鮎樫は微笑みながらそれを受けとった。そして自分の隣を指差す。別に逆らう理由もないので彼女の隣に座った。
「綺麗な星空でしょ。確かあれは……オリオン座だっけ?」
「いや、あれはオリオン座じゃないだろ」
確かに見上げた空には星が輝いておりとても綺麗だった。
「あれ?二人でプラネタリウムに行った時に教えて貰ったんだけど……。じゃああれは北極星!?」
「……違うと思うぞ」
明らかに飛行機の赤く点滅ライトを北極星と言う鮎樫に思わずため息をつく。つーか俺達プラネタリウム行ったのかよ。
「うーん……。もう忘れちゃったな」
「まあ人間は忘れる生き物だからな。また思い出せば良いんじゃないか?」
俺の言葉に鮎樫は「そうだね」と呟いた。
深夜ということもあって辺りは静まり返り、このベンチだけが別世界へと切り離されたような感覚に陥る。
「……答え、聞かせて?」
「……ああ」
鮎樫が静寂を破った。
俺を真剣な眼差しで見つめる。俺は"答え"をゆっくりと口にする。
「……色々考えたけど、やっぱり知りたいんだ。一体俺が今まで何をしてきて、どんな奴だったのか」
「……うん」
俺も鮎樫の目を見つめて話をする。
「確かに思い出したくはないこともあるかもしれない。でも……それも全て含めて"俺"だから」

547 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/10/19(火) 20:25:50 ID:VKPE3Ad+
鮎樫や潤、英や亮介、会長や遥、桃花や桜花や里奈、撫子、亙さんとライムさん。他にも色々な人達との出会いがあった。
そしてそれら全てが今の俺を形作っている。たった4ヶ月でこんなにも多くの人達との思い出がある。
だったら過去を忘れたままなんて出来ない。だってそれらも全て含めて俺、白川要という人間なのだから。
「…………そっか」
鮎樫はゆっくりと立ち上がり俺の目の前に来る。微笑む彼女は何処か寂しそうだった。
「分かった。要が決めたなら、それが一番だもんね。立って、要」
鮎樫に言われた通り立つ。すると彼女は俺の両手を握ってそのまま前に出した。まるで二人で円を作っているようだ。
「私の本当の名前を言って。それで貴方はきっと全てを思い出せる」
「……分かった」
何故名前を言えば記憶が蘇るのか。その理由は分からない。でも何となくそうなると思っている自分がいた。
結局俺は最初から彼女を、鮎樫らいむを信じたかっただけなのかもしれない。
「最後に一つだけ。……要、たとえ離れても私はずっと貴方を見ているからね」
「ああ……」
「……じゃあ……お願い」
鮎樫は目を閉じる。俺に全てを任せるようだ。ゆっくりと深呼吸をする。心臓が破裂するくらい鼓動しているのが分かる。覚悟を決めろ。
「お前の本当の名前は……」
「………」

「海有朔夜(ウミアリサクヤ)」

その瞬間、視界が歪んだ。今まで体験したことのない激しい頭痛が俺を襲う。
気が付けば手を離し地面に這いつくばっていた。耳鳴りがし、目が開けられなくなってきた。
「――――――――――!!」
あまりの痛みに叫ぶが何を言っているのか聞こえない。意識が朦朧としてくる。そんな中確かに俺は聞いた。鮎樫、いや海有朔夜の声を。



「さようなら、要」






「……んっ」
空には満天の星空が広がっていた。どうやら気絶していたらしい。
「…痛っ」
地面に倒れていたので起き上がる。頭の痛みはまだ引いていなかった。
「いねぇ……」
周囲を見回すが海有朔夜はおらず彼女に渡したジャケットがベンチに置いてあった。
「……とりあえず帰るか」
記憶が戻った実感もなければ昔のことを覚えているわけでもない。だからといっていつまでもここにいるわけにもいかないので家に帰ることにした。



これが平穏の終わり、そして惨劇の始まり。

548 : ◆Uw02HM2doE :2010/10/19(火) 20:28:53 ID:VKPE3Ad+
今回はここまでです。次回からいよいよヤンデレタイムに入る予定です。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
投下終了します。

549 :名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 20:44:39 ID:xAk9EuMj
GJ!リバース来るの楽しみにしてました!

続きが気になる……orz

550 :名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 23:42:10 ID:7ZxWcG2e
GJ!本当の名前は海有朔夜っていうのか
次回のヤンデレタイムに期待!

551 :名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 23:47:33 ID:jYKHrGgb
GJ!次回から惨劇のヤンデレタイム楽しみです!

552 :名無しさん@ピンキー:2010/10/20(水) 00:35:34 ID:9afGcwA8
gj!
既に会長と撫子の修羅場でワクワクしてる俺がいる

553 :名無しさん@ピンキー:2010/10/20(水) 00:59:02 ID:JkA2+jOu
GJ!リバースも14話か、早いな。
次回に期待!

554 : ◆lSx6T.AFVo :2010/10/20(水) 12:11:18 ID:KgIpHWOW
第六話、投下します。

555 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/10/20(水) 12:14:05 ID:KgIpHWOW
 ――あなたみたいな人間が誰かに好かれるなんて、不可能よ。
 何の変哲も無い、いつもの朝方の教室でのことだった。
 ホームルーム前の教室は相変わらず賑やかで、あちらこちらと会話が生まれ、正に談論風発としている。
 そんな中、私は彼等の輪の中に入ろうという気も起きず、深海魚のようにじっと座って、ぼんやりと何処か遠くを眺めていた。
 そんな風にしていたのがいけなかったのかもしれない。
 不意に昨日の言葉が頭を過り、私は顔をしかめたのだった。
 ハァと、恋する乙女のような物憂げな溜め息をしてから、眉間の辺りを指で揉む。気分は一向に良くならない。
 久しぶりの斎藤ヨシヱとの邂逅は、私にとってはもはや消し去りたい過去のひとつになっていた。
 昨日のことは、何度思い出しても恥ずかしくなる。柄にも無く感情的になって、自分の内面の一角を安々とさらけ出してしまった。あのことは確実に、私の黒歴史の一ページに刻まれたことだろう。
 ああ、駄目だ。
 考えれば考えるほど、心がむずむずとこそばゆくなる。しかし逆に彼女のことを考えないように意識すると、より一層濃く残滓するのだ。
 まるで呪いだな、と私はうんざりした。
 斎藤ヨシヱと会った後は、いつもこうだった。
 彼女はいつも、私の仮面の下の素顔を暴こうと何らかの揺さ振りをかけてくる。
 しかも嫌らしいことに、彼女ならそんな仮面簡単に剥がせる筈だろうに、あえてそうしないのだ。じわりじわりと私を追い詰め、いつもギリギリのところで手を引く。
 そういう人を手玉に取っているような行動は、はっきり言って腹が立つものだった。自分が道化のような気がしてならないからだ。
 あのサディストめ、と私は心中毒づいたが、懲りずに茶道室へと通い続ける私も、またマゾヒストなのかもしれないと思い直し、再び苦い気持ちになる。
 とにかく、昨日のことは早く忘れるが吉だ。
 私はいやいやするように、軽く頭を振るのと同時に雑念をも振り払った。
 そして、何気なく前を見る。
 と。
 そこに、見覚えのある背中を見つけた。
 小動物を思わせる雰囲気を纏ったその背中は、間違いなく彼女だろう。
 田中キリエ。
 確か、昨日は風邪を患わって休んでいた筈だが、どうやら無事に回復したらしい。
 本人は、身体が弱く欠席することが多いと言っていたけれど、あまり病を長引かせるタイプでもないみたいだ。


556 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/10/20(水) 12:15:15 ID:KgIpHWOW
 それにしても。
 たった一日会わなかっただけというのに、彼女を見るのも随分と久しい気がする。
 そう思えるということは、田中キリエは私が想像しているよりもずっと大きい存在になっているのかもしれない。
 私が無意識にじぃと見つめていたせいだろうか。
 突然、彼女が後ろを振り返った。
 必然と目が合う。
 そのまま目を逸らすのもアレなので、私はニコリと微笑んで会釈した。
 すると、田中キリエもはにかみながら会釈を返してくれる。その笑顔に病の余韻は伺えない。
 よかった、ちゃんと治ったみたいだ。
 私は安心し、それで朝の挨拶も終わりだと思ったのだが――
 あれ?
 何故か、彼女はまだ私のことを見つめていた。
 何かを期待するような、もしくは示唆するような、そんな視線を私に寄越し続けている。
 どうしたのかしら。
 不思議に思って私も目を離せずにいた中、ガラガラとしたローラー音と共に教室のドアが開いた。
 担任が入って来た。
 早く席に着け、という鶴の一声によって散らばっていた生徒達も自分の席へと戻っていく。
 私も田中キリエもそこで視線を離した。
 それから、朝のホームルームが始まったのだが、
「…………」
 まだ、見てる。
 彼女は、担任の目を盗んではチラチラと私の方を見ていた。
 もしや、私の顔に何かついているのか。
 そう思って自分の顔をぺたぺたと触ってみたけれど、特に変わったものはついていないように思えた。ついているものといえば、馴れ親しんだ形の悪い目や鼻や口ぐらいだ。
 うーん。
 私は困ったように頬を掻く。というか実際困っていた。
 しばしの思案の後、結論を出す。
 無視しよう。
 正直、自分からわざわざ、一体全体どうしたのですかと聞きに行くのも面倒臭いし、それに彼女だって子供じゃないんだから、用があるのなら自分から言ってくるだろう。大して気にすることでもない筈だ。
 なので、私は担任の話に集中することにした。
 なんの面白みの無い平板な声が耳に届く。
 期末テストが近いせいか、担任の話は全てテスト関連の話だった。テスト対策や日程について、しつこく生徒達に聞かせている。少しでもクラスの平均点を上げたいのだろう。
 私はテストの杞憂よりもむしろ、もうそんな時期になるのか、という時の流れについて驚いていた。


557 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/10/20(水) 12:16:46 ID:KgIpHWOW
 中間テストをやったのもついさっきのような気がしているのに、もう期末が始まってしまう。まるで私だけが流行に乗り遅れてしまったみたいで、妙な孤独感を感じた。
 私は、おもむろに窓の外に目を向ける。
 夏の間は緑色に繁っていた桜の木も、今では木の葉ひとつ無かった。
 時間は、たしかに流れていっているのだ。
 期末テストが終われば、冬休みが始まし。冬休みが終われば、新学期が始まるし。そして新学期が終わる頃、卒業式が行われる。
 そして卒業式が終われば――上級生である斎藤ヨシヱは、この学校を去っていく。
 そんなことを考えている時。私はなんとも言えない複雑な気持ちになる。
 私と彼女の関係は、一言で表せない程に目茶苦茶なものだ。
 一応、友人関係ということになってはいるが、実際はポケットにつっこんだイヤホンのコードみたいに、私達の関係はこんがらがっている。
 なので私には、彼女が卒業するのは悲しいことであるのと同時に、嬉しいことでもあるのだ。矛盾した言い方であるが、他に適した表現も見つからないので仕方ない。
 そういえば、斎藤ヨシヱは進路はどうするのだろうか。
 無難なのはやはり進学だが、彼女が大学生っていうのもなんだかイメージが湧かない。そもそも、高校生である今でも違和感を感じているというのに。斎藤ヨシヱは、あの達観している態度のせいかやけに年上に見えるのだ。
 まあ、いいか。
 今度まとめて聞いておこう、と私は思った。
 そんな中でも、視線の矢は未だに私を捉え続けていた。

 結論から言えば、無視出来なくなった。
 田中キリエは、一限目の数学の時も、二限目の日本史の時も、三限目の現代文の時も、ずっとずっと私のことを見続けていた。
 しかも彼女の見方の巧みなことやら。
 田中キリエの座る最前列の廊下側という位置上、後列にいる私を見るためには否が応でも後ろを振り向かなくてならないのだが
 彼女は周囲の人間が気をそらしたその瞬間を見計らって後ろを振り返るという高度な技術を駆使しているため、私以外の人間は気付いた風ではないのだ。
 そんな状況に、思わず私も眉根を寄せる。
 こうも見られてしまっては、全く授業に集中出来なかった。
 ここまでくると、もはや盗み見というより、むしろ監視だ。気分はまるで看守と囚人。


558 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/10/20(水) 12:17:47 ID:KgIpHWOW
 正直、ウザい。
 ノートも中途半端にしかまとめられてないし、言いたいことでもあるのなら、さっさと言ってしまえばいいのに――と。
 そこで漸く、私は気付く。
 そうか。したくても、出来ないのか。
 田中キリエの恥ずかしがり屋、常に一歩引く控え目な性格を考えると、クラスメイトの目がある教室内で異性の私に話し掛けるなど、到底出来ることではない。
 あまり付き合っていることを公言したいような子にも見えないし、むしろひた隠しにしたいタイプだろう。変に話しかけたりして、私達の仲を疑われるのは避けたいはずだ。
 まあ、そうとわかれば話は早い。
 人目がある所が駄目ならば、人目が無い所に行けばいいまでだ。
 私は三時間目が終了すると、ひとり教室を出た。
 後ろを見てみると案の定、田中キリエがひょこりと顔を出していた。それから、距離を置いてトコトコとついて来る。
 どうやら私の予想は当たっていたらしい。珍しく、今日は冴えている。
 私は、彼女がついてきてるかどうかを確認しつつ、非常階段を目指した。
 学内で人気が無いとこといえば、あそこぐらいしか思い付かないし、ここ最近は中々の頻度でお世話になっているため、へんな愛着が沸いてるからだ。
 そして暫く歩いていると、非常階段前に着いた。
 想定通り、周りには私以外誰も居なかった。遠くから生徒の騒ぐ声が辛うじて聞こえるくらいで、後は静かなものだ。この場所なら、彼女も気兼ねなく用件を話すことが出来るだろう。
 田中キリエは遅れてやって来た。
「あの、なんだかすいません。気を使わせちゃったみたいで」
 彼女はぺこりと頭を下げる。
「いえいえ、気にしないでください。それよりも、何か私に言いたいことがあるのでしょう?」
「うっ、うん」
 私がそう聞くと、田中キリエは急に顔を赤らめたり指を弄ったりと、もじもじし始めた。
 こうなってしまうと彼女が長いことは、今までの経験から知っていた。
 のんびりと話を切り出してくるのを待つことにする。
「あの、よかったら……」
 蚊の鳴くような声で、彼女は切り出した。
「よかったら、お昼ごはん一緒に食べませんか……?」
「お昼ごはんですか?」
「はい。鳥島くんがよかったらでいいんだけど」
「いや、全然大丈夫です。うん、そうですね。お昼ごはん、一緒に食べましょう」


559 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/10/20(水) 12:19:28 ID:KgIpHWOW
 私がそう言うと、田中キリエの顔が太陽みたいにパーっと明るくなった。それからありがとう、と言って身体をくの字に曲げる。
 昼食ぐらいで大袈裟な人だ。
 それにしても、そんなことが言いたいがために授業中あんなに見ていたのか。
「それじゃあ、場所は――」
 と、田中キリエが言いかけたところで予鈴が鳴った。
 時計を見れば、もうそろそろ戻らないとマズイ時間だ。
「教室に戻りましょうか。昼休みになったら、またここで落ち合いましょう。場所についてはその時に教えてください」
 こくりと頷き、了承してくれた。
「後、それと」
 私はポケットから携帯電話を取り出すと、苦笑混じりに言った。
「これからは何か言いたいことがあったら、メールにしてくれると嬉しいです。その、授業中にあんなに見られると、あまり落ち着かないので」
 私の進言に彼女は、あっと目を開いて赤面した。そして、呟くようにゴメンナサイと言う。
 やはり、メールをするという発想には至らなかったみたいだ。
 そんな田中キリエを見て、可愛いらしい人だな、と私は頬を緩ませた。

 昼休みになって、私は購買部へ赴き昼食を購入した。
 残念なことにカレーパンは残っていなかったので、メロンパンとコーヒー牛乳を代替品にする。
 購入品の入ったビニール袋を片手に引っ提げて、私は足早に階段を登っていった。
 いつもならそのまま教室に向かうのだが、今日はちょっとだけ進路を変えてみる。
 自分の教室がある階をさらに飛ばして、私はさらに上へと昇って行った。
 目指す先は、屋上だ。

「お昼は屋上で食べませんか?」
 四時間目が終わった後。
 非常階段の前で再び田中キリエと落ち合うと、彼女は迷わず屋上を指定した。
 我が校では、他の高校と比べ珍しく、一般の生徒に屋上が開放されている。
 そのため、春や秋などの屋外ですごしやすい季節には、沢山の生徒が屋上で食事をしたり、お喋りをしたり、告白をしたりと中々の賑わいをみせる場所なのだが、生憎今の季節は冬だ。おそらく、屋上には人っ子ひとり居ないことだろう。
 確かに人気は無い。
 屋上ならば、彼女も気兼ね無く私と共に昼休みを過ごせることだろう。
 確かに人気は無い。無いけど。


560 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/10/20(水) 12:20:39 ID:KgIpHWOW
「屋上ですか……」
 正直、彼女の提案は私としてはかなり頷き難いものであった。
 前々から言っていることなのだが、私は根っからの寒がりなのである。
 この季節に屋上など行ったら、ヘタしたら凍死してしまうかもしれない。
 ということなので、さすがの私も反論を試みようと口を開いたが、何故か肝心の言葉が何も出てこない。屋上以外に昼食をとれる場所が何も思い付かないのだ。
 結局、私は渋々承諾することになった。渋々と言っても、もちろん顔や態度には出していないけれど。
 そして話し合いの結果、弁当持参の田中キリエは先に屋上で待ち、私は購買部で昼食を購入してから屋上に向かうということになったのだった。

 階段を昇り終え、踊り場に辿り着いた。
 踊り場に田中キリエの姿は無かった。
 此処に居ないということは、おそらく先に屋上で待っているのだろう。
 というか、いっそこの踊り場で食事をしてもいいんじゃないのか、と私は思った。
 埃っぽいのさえ我慢すれば、問題など全く無いのに。わざわざ屋外で食べる意味がわからない。
 けど、そんな文句を言ったって仕方がない。
 私は、屋上へと通じる重い鉄製の扉を押し開けた。
 開け放たれた扉の隙間から、しんしんと冷え込んだ空気が漏れ出してくる。それだけで嫌になる。
 そして、屋上に足を踏み入れた。
「寒い……」
 思わず呟く。
 わかってはいたことだけど、やはり屋上は寒かった。
 寝る時に湯たんぽが欠かせないような自分には、この寒さは中々厳しい。
 私はぶるぶると震えながら、辺りを見回した。
 春や秋には賑わう此処も、今では誰も居なかった。檻のように囲んでいる転落防止のフェンスと、落書きだらけのベンチが数個設置されているだけだ。
 周囲に田中キリエの姿は見えない。
「あっ、鳥島くん。こっちこっち」
 と、聞こえてくる声は後ろからだった。
 振り向くと、田中キリエは屋上内の隅にある貯水タンクの辺りでちょこんと座っていた。
 なんでそんな所に、と私は疑問に思ったが、理由はすぐにわかった。
 暖かい。
 そこは、ぽっこりと突き出た踊り場の壁と、貯水タンク等がうまい具合に風を遮って、まるでかまくらのような暖かさがあったのだ。
 助かった、と私は胸を撫で下ろす。ここならまだ我慢出来ない程ではない。
 それにしても、田中キリエも事前に調べていたみたいに良い場所を知っている。


561 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/10/20(水) 12:22:19 ID:KgIpHWOW
 私は彼女の側に歩み寄ると、その隣に腰を下ろした。
 その時、田中キリエがさりげなくハンカチを敷いて、私のズボンが汚れないようにしてくれた。気が利く子だな、と感心した。
「それじゃあご飯にしよっか」
 と言って、カバンの中から弁当箱を取り出し、さあ昼食だとなる筈だったのだが、彼女が突然あっと悲鳴を漏らした。
「どうしたんですか?」
「水筒、教室に忘れてきちゃったみたい……」
 弁当箱は持ってきているのに水筒を忘れるなんて……。彼女も案外マヌケなことをする。
 朝の睨めつけの一件もそうだけど、田中キリエは意外とドジをやらかす娘なのかもしれない。
「今から水筒取ってくるんで、先に食べててください」
 彼女はそう言い残すと、すくっと立ち上がり、お尻をはたいてから慌だたしく駆けて行った。
 そんな田中キリエの背中を見送る。
「それじゃあ、先に食べるかな……」
 お腹も空いていたので、私は彼女の言葉に甘えることにする。
 ビニール袋からメロンパンを取り出し封を開けようとしたのだが、その時ふと彼女の学生カバンが目に入った。
 チャックが開いたままのカバンの中からは、携帯電話が覗いている。もう何世代か前の、既に型落ちしてしまったスライド型の機種だ。
「…………」
 ふと閃く、ある考え。
 私は、意味ありげにその携帯電話見つめる。
 そして幾らかの逡巡の後、私はその携帯電話を利用することにした。
 学生カバンの中に手を突っ込み、そのままの状態で携帯電話を操作する。これなら、田中キリエが戻ってきても直ぐにごまかせるだろう。
 他人の携帯電話の慣れない操作に戸惑いながらも、私はなんとかメニュー画面を開いた。
 あった。
 私は画面に映るアドレス帳の項目を見つけると、迷わずそこをクリックした。

 田中キリエは意外と早く帰ってきた。
 右手には忘れ物であろうピンク色の水筒が握られていて、急いできたせいか軽く肩を上下させている。
「先に食べてて良かったのに……」
 田中キリエは、手中にある封の切られていないメロンパンを見て、申し訳なさそうに言った。
「まあ、そういうわけにもいかないと思いまして」
 私は曖昧に笑ってごまかす。
「食事は一人で摂っても美味しくないものですよ。それに、せっかく屋上まで来たんだから一緒に食べたいじゃないですか」
 なんていい感じに締めて、私は横に座るよう促した。


562 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/10/20(水) 12:23:39 ID:KgIpHWOW
 田中キリエは水筒を地面に置いて腰を下ろした。
「それじゃあ、今度こそお昼だね」
 彼女はそう言って、学生カバンを膝上に乗せた。そして、弁当箱を取り出そうとカバンの中に手を伸ばしたのだが――不意に動きが止まった。
「どうしたんですか?」
 コーヒー牛乳にストローを挿しこみながら、何気なく聞いてみる。
「鳥島くん、もしかして私のカバンいじった?」
「カバン、ですか?」
 私はきょとんとした表情で田中キリエを見た。
「いえ、特に何もしていませんけど……。どうかしたんですか?」
「そう、だよね……。ううん。別に気にしないで。多分、私の気のせいだと思うから……」
 そうは言うけれど、彼女は中々会得がいかない様子であった。訝し気にカバンの中を覗き続けている。
 それから漸く諦めたのか、やがてカバンから弁当箱を取り出した。それは彼女の身体に比例した、とても小さな弁当箱だった。
「お弁当は自分でつくっているんですか?」
「うん、一応」
「すごいですね」
「そんなことないよ。お弁当をつくるなんてことぐらい、みんなやってることだし」
 と言いながら、彼女は弁当箱を開けた。
 私も自然と視線を移す。
「へぇ」
 思わず感嘆の息が漏れた。
 田中キリエの弁当は凄く美味しそうだった。
 油物と野菜のバランスがいい上に、見た目の色合いもきちんと考えられていて、一目見てそれが美味しいということがわかるような、料理のお手本みたいな弁当だった。高校生の弁当にありがちな、冷凍食品の類も見当たらない。
「料理、上手なんですね」
 お世辞とか抜きに、心からそう思った。
「そんなことないよ」
 しかし、田中キリエは困ったように謙遜する。人に褒められるのが苦手なのか、早くその話題から逸れてほしそうに見受けられた。
「そういう鳥島くんは、いつもお昼は購買部で買ってるよね」
「そうですね」
「お弁当にはしないの? 家族の人につくってもらうとか」
「出来ればつくって貰いたいんですけど。残念ながら、家族はみんな朝忙しいんで、弁当をつくる暇なんてとてもとても」
 と言いながら、私は妹の鳥島リンのことを考えた。
 そういえば、リンちゃんは昼食はどうしているのだろうか。彼女も結構器用な人だし、案外自分で弁当をつくっているのかもしれない。


563 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/10/20(水) 12:24:54 ID:KgIpHWOW
「それならさ」
 と、田中キリエがもじもじと太股を擦り合わせながら言った。
「……よかったら、私が鳥島くんのお弁当つくってこよっか?」
「えっ?」
 思わぬ提案に、私は目をパチクリとさせる。
「そんな、悪いですよ」
 まず口から出たのは遠慮だった。
 弁当をつくって貰うこと自体は、私としては願ってもない提案ではあったが、朝一番から彼女にそんな労苦をいとわせるのはさすがに気が引けた。
「全っ然っ悪くなんかないよっ!」
 しかし田中キリエは即座に否定する。
「私のお弁当をつくるついでだしさ、手間とか全然かからないから全然平気。というか、鳥島くんはそんなの全然気にしなくていいよ。本当、全然全然」
 全然を連呼する彼女である。
「ああ、でも、その代わり私と同じメニューになっちゃうけど、それでも大丈夫かな?」
 どうやら弁当をつくること自体は、もう決定事項らしい。
「そんなそんな。いやあ、嬉しいなあ。それじゃあ、お願いしてもいいですかね?」
「うんっ」
 田中キリエは、満面の笑みで快諾した。
 私も嬉しくなって、思わず鼻歌でも歌いたくなった。
 誰かにご飯をつくってもらうなんて随分と久しぶりだ。彼女の料理の腕は目の前の弁当で証明済みだし、これから昼食は楽しみになるぞ。
 ニコニコと微笑みながら、メロンパンをかじる。
 恋人を持つのも、そんなに悪くないかもしれないな。
 私は初めて田中キリエの存在に感謝した。

 それから、私達は弁当をつつきながら談笑に勤しんだ。
 私にとって意外だったのは、田中キリエとの会話が弾んだことだった。
 私はどちらかと言えば口ベタなほうなので、正直気まずい雰囲気になるんじゃないかと危惧していたのだが、それもどうやら杞憂に終わったらしい。
 彼女はかなりの聞き上手だったのだ。
 私の何でもない話にも丁寧に相槌を打ち、それに聞くばかりではなく、自分の意見も織り交ぜて返答するので自然と話が続く。それこそ、会話はボールのようにポンポンと弾んだ。
 自分にとって、彼女との会話の持続が一番の懸念材料だったのだけに、私はひどく安心した。
 そのせいか、多少気が緩んでいたのかもしれない。
 気が付けば、彼女のことを話に持ち出していた。


564 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/10/20(水) 12:26:38 ID:KgIpHWOW
「そういえば田中さんって、マエダさんと仲が良いんですよね」
「えっ?」
 私の口からマエダカンコの名前が出たのが意外だったのか、田中キリエはただでさえ大きい瞳をさらに大きくさせる。
「マエダさんって、もしかしてカンコちゃんのこと?」
 彼女の問いに私が首肯してみせると、田中キリエは嬉しそうに破顔させた。
「うん、カンコちゃんとは凄く仲が良いよ。私にとって、一番の仲良しさんじゃないかな」
 一番の仲良しときたか、と私は思った。
 実を言うと私は、田中キリエとマエダカンコが本当に友人関係なのかを疑っていた。
 二人は見ての通り全くタイプの異なる人間だし、マエダカンコの異常愛もあるから、マエダカンコが一方的に田中キリエに好意を寄せているというセンもあったが、今の証言でそれも消滅した。
「マエダカンコって、漢字ではどう書くんですか?」
 いい機会だと思って聞いてみる。
 すると、田中キリエは空中に人差し指を掲げて、まるで虚空に浮かぶ用紙にでも書くように、つらつらと文字を連ねていく。ちゃんと鏡文字になっていないあたりの配慮が、実に彼女らしい。
 やがて、文字を書き終えた。
“前田かん子”
 空中に刻まれたその文字を、私はじっくりと見つめる。
 その時初めて、本当の意味で彼女の名を知った気がした。
「彼女とは、何時からの付き合いで?」
 私はさらに質問を重ねていく。
「えーっと、かん子ちゃんとは中学校からの付き合いになるのかな。て言っても、最初は全然話したりしなかったんだけどね。けど、あることがきっかけでそれから凄く仲が良くなったんだ」
「そのあることとは具体的に?」
 私は身を乗り出すようにして、さらに質問する。
 我ながら多少強引過ぎるとも思うが、しかし前田かん子の情報はよく聞いておきたかった。
 これから、彼女の存在は嫌でも大きなものになっていく。
 けれど、私は前田かん子のことをあまりに知らない。知っていることと言えばせいぜい、田中キリエに抱いている異常なまでの愛情と、胸が大きいことぐらいだ。
 クラスの人間に聞くという選択肢もあるが、それでは些か信憑性に欠けた。
 噂というのはたいてい何かしらの脚色がされて、妙な尾ヒレがついているからだ。
 それに比べ、田中キリエから得られる情報は確実である。
 なんせ、前田かん子の一番の友人を自負しているのだ。彼女からなら何の誇張表現の無い、ありのままの情報が得られる筈だ。


565 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/10/20(水) 12:27:48 ID:KgIpHWOW
「鳥島くん」
 と、耳に届いたか細い声で我に返る。
 少しがっつき過ぎたか。
 そう思って、すいませんと謝りながら後ろへ身を引いたのだが――今度は逆に、田中キリエが私の方に身を乗り出してきた。
 あまりに突然のことだったので、私はそのまま体勢を崩し仰向けに倒れた。彼女はその上に乗っかるような体勢をとって私を見下ろし――
「ねえ、鳥島くん。どうしてそんなに、かん子ちゃんのことを知りたがるの?」
 ――静かに詰問した。
 思わず、戦慄する。
 田中キリエの顔からはいつの間にか、およそ表情と呼べるものがごっそりと抜け落ちていた。のっぺら坊のような無機質な顔で私を見つめる。
 人間ってこんな顔も出来るんだな、と少し感心した。
「大して深い意味はないですよ」
 しかし私の態度に変化は無い。
「ただ、前田さんってこの学校じゃ凄い有名人じゃないですか。だから、どんな人なのかなってちょっと気になっただけで他意は無いですよ」
 田中キリエは私を見下ろしながら、そうなんだ、と短く言った。そのくせ、彼女はこれっぽっちも納得していないように見えた。
「でも、おかしいなあ」
 わざとらしく小首を傾げてみせる。
「どうして鳥島くんは私とかん子ちゃんが友達だってことを知っているのかな?」
「それは――」
 この時、私は何故かこの質問に対して妙な間を置いてはいけないと思ってしまった。いや、思わされてしまった。
 そうしなければ怪しまれるぞ、と。
 なので、気がつけば私の舌は私の意思とは無関係に、自分勝手に言葉を紡ぎだしていた。
「それは、クラスの人達が話しているのを小耳に挟んだんですよ。前田さんと田中さんは仲が良いって――」
 あっ。やっべ。
 言ってから気付く。今の発言はマズった。
 私は慌てて口を塞いだが、もう遅い。
 田中キリエも勿論、今の失言を見過ごす訳が無く
「おかしいなあ」
 とまた呟いた。
「……何がおかしいんでしょうか?」
 私は半ば諦め気味に彼女に問いた。


566 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/10/20(水) 12:29:02 ID:KgIpHWOW
「だって私、この学校では私とかん子ちゃんが友達だってことを誰にも言ったことが無いんだもの。だから、クラスの人達がそんな話をしている筈が無いんだけどなあ。
「しかも私、かん子ちゃんに学校で話したことも一度も無いんだよね。かん子ちゃん学校で話しかけられるのスゴイ嫌がるから。だから、もし会っても無視しろってきつく言われてるんだ。
「もちろん、かん子ちゃんのことは鳥島くんにも話したことないよね。ねぇ、鳥島くん。なのに、なんであなたは誰も知らないことを知っているのかな?」
 思わず、溜め息を漏らしそうになる。
 さあて、どうするかな。
「でもそれって、あくまで田中さんが話していないだけですよね」
 意味無いとはわかっているが、一応形ばかりの反論をしてみる。
「あなたたちの話をしていたその生徒が、偶然街中で二人でいるところを目撃したのかもしれないし、それとも中学時代のことを知っていたのかもしれない。例え田中さんが話していなくたって、二人の仲を知る可能性はいくらでもありますよ」
「うん。そうだね」
 田中キリエはあっさりと同意してみせる。
「確かにその可能性もあるけど、それだと話がますますおかしくなるんだよね。さっき鳥島くんも言ったように、かん子ちゃんってこの学校じゃスゴイ有名人なんだ。学校の皆が、かん子ちゃんの一挙一動に注目してる。
 そんな注目を浴びてるかん子ちゃんに友人が居ることが、しかも同じ学校に通っていることが判明して、何も起こらないと思う? 普通は何らかのアクションが起こる筈だよね。
 まず起こるのは、間違いなく話の伝播。話は人から人へとどんどん伝わっていって、やがて学校中に広まる。そうなったら、私も今頃はかん子ちゃん並の有名人になってる筈だよ。あの前田かん子の親友の田中キリエだー、ってね。
「けど、もちろん私は今有名人なんかじゃないし、誰かにかん子ちゃんのことを聞かれたこともない。ということはイコール私とかん子ちゃんが友人だってことは、学校の誰も知らないってことになる。そうだよね?」
 だーよね。私もそう思います。
 ああ、本当どうしようかな。
「ねぇ、鳥島くん」
 彼女に呼ばれて視線を上げる。
 眼鏡の奥の田中キリエの瞳は、マジックで塗り潰したみたいに真っ黒で、光が無い。


567 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/10/20(水) 12:31:11 ID:KgIpHWOW
「答えてよ。どうして私とかん子ちゃんのことを知っていたのかを」
「…………」
「ねぇ。ねぇ。ねぇ。ねぇ。何か言ってよ」
「…………」
「鳥島くん。黙ってたら私、なーんにもわかんないよ」
「…………」
「どうして? どうして? どうして知ってたの? 鳥島くん?」
「…………」
「何で? 何故? どうして? どのようにして? 何処で? 何時知ったの? 鳥島くん?」
「…………」
「ねぇ、鳥島くん。言ってくれないなら、私――」
「……放課後」
「えっ?」
「放課後、一緒に帰りましょうか」
「ほうかご?」
「はい。放課後です。実を言うと私、一度でいいから女の子と一緒に下校してみたかったんですよ。いやぁ嬉しいなぁ、やっと長年の夢が叶うのかぁ。長かったなぁ」
「鳥島くんっ! 私は――」
「それとも」
 私は有無を言わせぬ鋭い瞳で、田中キリエを捉える。
「もしかして、私と一緒に帰るのが嫌だったりします?」
「そっ、そんなことないよ! 私も鳥島くんと一緒に帰りたい!」
「それなら、良かった」
 私は安堵したように、ふぅと息を吐いた。
 と、そこで屋上に設置されているスピーカーからチャイムの音が鳴った。古くなっているせいか、不自然に音が割れていた。
「チャイムも鳴ったみたいですし、そろそろ教室に戻りましょうか。田中さんは先に帰っていてください。一緒に帰っているところを、誰かに見られるのは不本意でしょう?」
「へっ?あっ、うん。わかった」
「放課後については、後でメールしておきます。それでいいですね?」
「うっ、うん」
「それでは、また放課後に」
 私は片手を上げて、ひらひらと手を振った。田中キリエに余計なことを言わせる暇は与えなかった。
 彼女は学生カバンを肩に引っ提げると、足早に屋上を出て行った。
 と思ったが、最後にドアの前で立ち止まり、私のことを見た。
 田中キリエは何も言わない。
 私も何も言わない。
 私達は黙って見つめ合う。
 そして、彼女はやおら屋上を出て行った。


568 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/10/20(水) 12:32:44 ID:KgIpHWOW
 田中キリエが行ったのを確認してから、私は忌ま忌まし気に言葉を吐き捨てる。
「最悪だ」
 本当に最悪だった。
 どうして私はあの時、たまたま二人のことをクラスで聞いたなんて変な嘘をついてしまったのだろうか。私があそこで嘘をつく必要など、これっぽっちも無かったのに。
 そもそも、私と前田かん子の間に面識があるのはもはや周知の事実なのだ。
 田中キリエは学校を休んでいたから知らないだろうけど、前田かん子は一昨日、昼休みに私を拉致したり、放課後に堂々と教室に登場したりと、もはやクラスどころか学校中の人間が私達の関係を認知している。
 だから私はあの時、ありのままのことを言っておけばよかったのである。私と前田かん子の関係について。なのに変に焦ってしまった揚句、失言した。こんなくだらないミスをするのは、本当に私らしくなかった。
 ミスの原因はわかっていた。
 彼女のせいだ。全部あの茶道室の魔女のせいなのだ。彼女に会ってからの私は、本当におかしい。まるで平均台の上を歩いているみたいに、精神が安定しない。
 私は腕時計の針を気にしながら、今後のことを考えた。
 今回のことで、田中キリエの中に私に対する猜疑心が生まれたのはまず間違いないだろう。
 問題はその猜疑心が今後どう動き、私にどのような影響を与えるかである。まあ、上手い方向には動かないと思うけど。とにかく、そのことについては用心しておくに越したことはない。
 私はそこで大きく伸びをした。
 それなら、さっさと切り替えよう。幸い、覆水盆に返らずって程の失敗でもないし、私ならいくらでも軌道修正出来るさ。次だ次。
 反省終了。
 私は教室に帰ろうと立ち上がった。
 その時。
 ポツリ、とコンクリートの地面に黒い染みが出来た。
 雨かしら、と思って空を見上げたが、頭上には雲ひとつ無い冬晴れの空が広がっている。
 どうやら、地面に落ちたのは私の汗のようだった。


569 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/10/20(水) 12:33:50 ID:KgIpHWOW
「おかしいな……なんで汗かいてんだろ」
 冬なのに。私は根っからの寒がりだというのに。なのに、どうして汗なんか。
 制服の袖で額の汗を拭うが、汗は一向にひかない。
 もしかして恐れているのだろうか、と私は思った。
 けれど、何に?
 最初に思い浮かんだのは、やはり田中キリエだったが、私は直ぐに思いなおす。
 彼女だけは有り得ない。
 確かに、先程の田中キリエの勢いには目を見張るものがあったが、突き止めてしまえばあんなもの只の嫉妬でしかない。
 そりゃ、自分の恋人が他の女のことを聞いたりしてたら、不快になるに決まっている。しかも聞いている相手が他ならぬ恋人自身なのだ。田中キリエが怒るのも無理ないだろう。
 だったら、なんだ? なんで、私はこんなに震えているんだ?
「あっ」
 そして、私はこの感覚が初めてじゃないことに気づき、さらに震えた。
 なんで、今さら? 高校に入ってからはめっきりなくなったじゃないか。もう、終わったと思ったのに。
“やっと、わかったと思ったのに――”
 くらり、と湯あたりをしたみたいに視界が廻る。そのまま倒れるんじゃないかと思ったが、なんとか踏ん張ってくれた。
 私はかぶりを振る。
 いや、落ち着け。呑まれるな。
 こんなの、気のせいだ。少し考え過ぎてるだけだ。汗をかいてるのだってきっと、さっきのやりとりで疲れただけだ。
 だから、落ち着け。私はもう、わかってるんだ。
 私は一度深呼吸をしてから、今度こそ屋上を出て行った。その足どりに、不安は見えない。
 なのに、教室へ帰る間ずっと、汗は拭っても拭っても際限なく溢れてきた。


570 : ◆lSx6T.AFVo :2010/10/20(水) 12:34:32 ID:KgIpHWOW
投下、終わります。

571 :名無しさん@ピンキー:2010/10/20(水) 12:37:09 ID:BgR4Z8c/
うぽつ まってたょん

572 :名無しさん@ピンキー:2010/10/20(水) 16:08:13 ID:cmpjF6Or


573 :名無しさん@ピンキー:2010/10/20(水) 17:28:10 ID:81GmowxC
私は人がわからないktkr

574 :名無しさん@ピンキー:2010/10/20(水) 18:10:15 ID:KjM2393h
先が気になる作品が増えすぎて生きるのが辛い

575 :名無しさん@ピンキー:2010/10/20(水) 20:48:01 ID:3J/k5EDb
鳥島さんマジパねえ……
キリエの追及を鮮やかに打ち切るとは……

576 :名無しさん@ピンキー:2010/10/20(水) 23:24:46 ID:ePvmOyYH
GJ
相変わらず独特の空気があっていい

577 :名無しさん@ピンキー:2010/10/21(木) 16:37:50 ID:f7FAzKYR


578 :AAA:2010/10/21(木) 16:48:39 ID:6lxDgFs5
中間テスト終わったー!!
というわけで投稿再会します

579 :風の声 第3話「風の恩師」:2010/10/21(木) 16:49:37 ID:6lxDgFs5
大空 舞(おおぞら まい)
身長 俺(175cm)より少し低い。167cmくらい
ヘアスタイル 腰よりも少し長い栗色のロングヘアー
胸 特大・大・中・小・貧でいうと・・・・・大・・・

「なに人のことじろじろ見てるの?」

大空の声で俺は我に返る
階段での自己紹介の後、即行で変えるはずだったのだが
大空の「女の子を一人で帰すつもり?」という言葉に心が引っかかり
駅まで一緒に帰る羽目になってしまった。
今は駅に向かうバスの車内

「そういえばさ」
「・・・(無視)」
「屋上で何かブツブツ言ってたみたいだけど、何してたの?」

一瞬心臓が止まりそうになった。やはりあれを見られていたか。
しかし、彼女は俺が何をしていたかまでは知らないようだ。

「・・・独り言」
「屋上で?」
「あぁ・・・」
「楽しいの?」
「さぁ・・・」

俺が大空から解放されたのは駅に着き改札で「じゃあ、また明日♪」という
大空の言葉を聞いた時だった。解放され一息ついたとき、ふと気がついた。

「明日、土曜日で学校休みじゃん・・・」

駐輪場につきおもむろに携帯を出して時間を確認すると12:30
この後の予定に余裕で間に合う時間だ。何の予定かというと
人と会う予定が入っている。
俺はその人に会うためにバイクを走り出させた。

『烏羽総合病院』
ここが待ち合わせ場所、というかその人が働いている場所だ。
俺はカウンターの人にその人を呼び出してもらうよう頼みロビーのベンチに腰を掛けた
『♪〜♪〜♪〜』
メールだ。確認すると母からだった。
『入学おめでとう。慣れない生活に戸惑うかもしれませんが頑張ってね』
俺は返信をしようとボタンに指を置いたときだった。

「院内での携帯の使用は禁止だぞ・・・風魔」

後ろから殺気に満ちた声が聞こえ、俺はその方向に顔を向ける。

「お久しぶりです・・・“先生”」
「挨拶をする前にまずは携帯の電源を切れ」

580 :風の声 第3話「風の恩師」:2010/10/21(木) 16:50:33 ID:6lxDgFs5
隼 大輔(はやぶさ だいすけ)28歳
俺が中学3年のころの担任で今はここの病院で精神科医をしている。
教師のころは担当教科が保健体育で生徒を第一に考える熱血教師でもあった
そんな先生がなぜ精神科医になったかというと俺が関係している
先生はイジメにあっていた俺と真剣に向き合ってくれてイジメを止めようとものすごく動いてくれて
他の教師にも声を掛けたり、俺の相談に乗ってくれたりなどしてくれた。
しかしイジメは止まらず、他の教師も先生のことをシカトするようになり、
校長からも指摘を受けるようになると「生徒一人のために動かないで何が教師だ!!」とか言って
俺が卒業すると同時に教師を辞め、俺みたいな人を一人でも笑顔にしたいという夢を掲げ
精神科医になったのだった。
(1ヶ月で夢を叶えるとか何者だよ、この人は・・・)

「あれからもう数ヶ月も経つのか」
「シュー・・・シュー・・・」
「あのころはお前のためによく走り回っていたなぁ」
「シュー・・・シュー・・・」
「・・・」
「シュー・・・」
「人が話している時に酸素なんぞ吸うなぁーー!!」

俺は先生に連れられて屋上に来ていた。

「だって、院内は“人”の臭いが充満してて、今ものすごく気持ち悪いんですよ」
「少しは我慢しろ!!」
「無理です・・・」

数分後・・・

「治ったか?」
「・・・はい」
「そういえば今日は入学式だったんだよな」
「はい、無事何事もなく終わりましたよ」
「そうか、友達とかはできたか?」

一瞬“大空 舞”が頭の中に出てきたが、それを消して話を続けた

「初日から友達ができるような奴はいませんよ。それ以前に俺は・・・」
「友達を作る気は無い ってか?」
「・・・はい」
「“人とは必要以上に関わらない”だっけ?」
「えぇ、そのつもりです。」
「そうか・・・」

その後、30分ほど先生と他愛のない話をして俺は帰ることにした。
帰り際に先生が「苦しくなったらいつでも来い」と言ってくれたのは少しうれしかった。

581 :風の声 第3話「風の恩師」:2010/10/21(木) 16:51:18 ID:6lxDgFs5
その日の夜
夕食を済ませてテレビを見ている時だった
『プルルルルルルルルル プルルルルルルルルル』
電話だ
「はい」
「ヤッホー元気?」
「・・・切っていいか?姉貴」
「ちょっと人が親切に電話掛けてあげてるのにそれはないでしょ!?」
「はいはい」

俺の姉貴 風魔 朝美(ふうま あさみ)
簡単に説明すると、いつもテンションが高い。うるさい。うざい。
社会人で、すでに家を出ている

「で、何のようだよ」
「入学式でしょ。祝ってあげようと思って電話掛けたのよ」
「・・・そう」
「それでね「お姉ちゃん、早くかわってよ〜」」
「あれ、もしかして姉貴、実家にいんの!? あいつの声がするけど・・・」
「そうだよ、今かわるね〜」
「あ、お兄ちゃん元気?」
「夕美(ゆみ)おまえか・・」

風魔 夕美(ふうま ゆみ)
俺と一つ違いの妹で、今は中3だ
こいつの説明は姉貴とほぼ同じだ

「お兄ちゃん初日から、いじめられてない?大丈夫?」
「初日からいじめられるほど俺はザコじゃない」

1時間後・・・

「じゃあ切るぞ」
「え、まだお話したいことがあるんだけど」
「今度にしてくれ。じゃあな」
「あ、おにいちゃ」
『ピッ』

疲れた・・・
妹は昔から俺になついていて、俺が家を出る時も大泣きだったからな。
甘えるのはいいが、あいつも中3で進路のことを考えないといけないのに
電話で疲れた俺はベッドに潜り込んで寝ることにした。
電気を消してふと気づいた。

「まだ初日なんだよな・・・色々ありすぎて疲れた・・・」

明々後日の月曜日からは通常授業が始まり、あのうるさい奴(大空だっけ?)にもつかまるのだろう
そんなことを考えながら俺は眠りについた。

582 :風の声 第3話「風の恩師」:2010/10/21(木) 16:51:59 ID:6lxDgFs5
初日からあんな人に会えるなんて思いもしなかった
改札を通ってすぐに目に付いたのが前を横切っていく“キミ”
一際目立つ白髪に黒のヘアバン、同じ学校の制服でバス停に向かっているようだったからついていった
君に夢中になりすぎて階段から落ちた時なんかものすごく驚いた
でも本当に驚いたのは私のことを胸で受け止めて助けてくれたのが“キミ”だったこと
本当、私のことを抱きしめて助けてくれたときなんか思わず『ドキッ』としちゃった
お礼を言いたかったけど“君”はあわてて逃げちゃったけど、同じ学校、同じクラスになれたのは
本当にうれしかった。名前も教えてもらえたけど、“キミ”は私のことが嫌いなのかな?
話しかけても無視するし、あまり会話も続かないし、ちょっとショックかな・・・
でも明日から、またいっぱい話しかければそのうち“キミ”も私に話しかけてくれるようになるよね?
明日からが楽しみだな。フフッ・・・♪
そのとき、ふと気がついた。

「明日、土曜日で休みだった・・・」

583 :AAA:2010/10/21(木) 16:54:13 ID:6lxDgFs5
以上です

そういえば、作品中のキャラで一万年ネタが上がっているようですが
キャラの名前は全員自分で考えていますのでご了承お願いします
(俺、一万年見てないから知らないし・・・)

584 :名無しさん@ピンキー:2010/10/21(木) 17:30:51 ID:RvDkfNsC
>>570
GJ
この主人公結構スペック高いのか

585 :名無しさん@ピンキー:2010/10/21(木) 18:48:25 ID:MSfjT8aR
中間テストって、INKのルール守れて投稿できてるんだよな?

586 :名無しさん@ピンキー:2010/10/21(木) 18:48:53 ID:MSfjT8aR
INK→PINKね…

587 :名無しさん@ピンキー:2010/10/21(木) 19:19:49 ID:SdCgeyek
GJ!!
姉VS妹VS舞……修羅場だなぁ…これ絶対土曜日に風魔の家潜入フラグだろ?

588 :AAA:2010/10/21(木) 20:29:16 ID:6lxDgFs5
ルールって年齢のことですか?
18歳なので大丈夫だと思います。

PS  587さん、まだそこまで考えていませんし、なるとしたら
   もう少し先になります。m(__)m

589 :AAA:2010/10/21(木) 20:30:52 ID:6lxDgFs5
大丈夫というのはエロネタをあまり入れない方向で
書くので大丈夫だと思います。 ってことです。

590 : ◆ZWGwtCX30I :2010/10/21(木) 21:12:29 ID:rCJPnnsU
我が幼なじみ第八話、投下します

591 :我が幼なじみ ◆ZWGwtCX30I :2010/10/21(木) 21:14:05 ID:rCJPnnsU
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
夏休み最後の日

「……君!……優君!起きて!」
「もう……今日は遊園地に行くんでしょ?」
「……んぅ?……あっ!!やば!時間は?」

慌てて時計を探すが、由美子が即座に答えてくれた

「まだ5時だけど、用意とかしなくて大丈夫?」

なんだ……まだ5時か、良かった

「ん?あぁ用意なら大丈夫だよ、すぐ終わるし」

すると由美子は笑顔で言った

「そっか!じゃあ朝ご飯、作ったから食べよ?」
「由美子が作ったのか?」

珍しいな、普段は俺が作ってるから由美子の手料理を食べるのはこれが初めてだ

「えへへ〜そうだよ、だから冷めない内に早く食べよ?」
「あぁ、そうだな」

そう言って、食卓へ向かう

あの後、風奈とは話していない。謝ろうと思ったけれど、拒絶されるのが恐くて話せなかった
結局、俺には兄なんて無理なのかもしれない……

592 :我が幼なじみ ◆ZWGwtCX30I :2010/10/21(木) 21:15:32 ID:rCJPnnsU
「見てみて!このハンバーグ!」

ただ、由美子の無邪気さや明るさを見ているとなんだか安心できる。そして、自然に笑みがこぼれていくのが分かる

「おぉ!凄い綺麗にできてるな!」

綺麗な形をしたハンバーグには真っ赤なケチャップがかかっていて、とても美味しそうだった

「由美子って料理できたんだな」

そう言うと、由美子は頬を膨らませて言った

「む〜ひどいなぁ!私だって料理くらいできるってば!」
「ははっ!悪い悪い、んじゃ!頂きます」
「どうかな?……あんまり自信は無いけど……」
「いや、凄い美味いよ!」

俺がそう言うと、由美子は満面の笑みで言った

「本当!?良かったぁ、不味かったらどうしようかと思ったよ〜」
「正直、俺のより全然美味いよ」
「そんなことないよ!……でもありがと」

由美子は顔を赤くして俯いた。分かりやすいな

ん?由美子の指、絆創膏が貼ってある……

593 :我が幼なじみ ◆ZWGwtCX30I :2010/10/21(木) 21:16:14 ID:rCJPnnsU
「あれ?由美子、その指……大丈夫か?」

俺がそう言うと、由美子は慌てて、指を隠した

「え!?だ……大丈夫だよ!少し切っただけ!もう消毒もしたから平気!」
「そうか?……ならいいんだけど」

気を取り直して、ご飯を食べる……うまい!

「……御馳走様!」
「そう言えば、遊園地には何時から行くの?」
「8時半には家をでる」
「じゃあ私、準備してるね!」

そう言うと鼻歌を歌いながら、軽い足取りで階段を上ってゆく

ここ数日、由美子の奴どこか暗かったから、元気がでて良かったよ。しかもさり気なく風奈の分まで作ってくれてる……優しいな、由美子は
それに比べて俺は……ちゃんと向き合わないといけない問題をほったらかしにして、好きな人と遊びに行くんだ。かなり腐ってるな……俺

594 :我が幼なじみ ◆ZWGwtCX30I :2010/10/21(木) 21:16:56 ID:rCJPnnsU
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
遊園地

「うわぁ〜凄いね!」

由美子が周りを見渡しながら言った

「どこもそんなに、変わらない気がするけどな」

実際、小さな遊園地なんてそんなもんだ。観覧車にジェットコースター、お化け屋敷にコーヒーカップ、それだけ揃っていれば十分だ

「そうなの?私……お父さんが忙しいから、遊園地に来たことないんだ……」

由美子が少し悲しそうに言った
失言だ、せっかく楽しもうとしているのに、なんで暗い話題を振ってしまうんだろう……

「そうなのか……じゃあ、今日は沢山遊ぶぞ!」

俺がそう言うと、由美子はとても嬉しそうに頷いた。
ふぅ……良かった

「私、アレに乗ってみたい!」

そう言って、ビルの7階分の高さが有るであろう、ジェットコースターを指差した
大丈夫なのか?……

「恐くないのか?」
「大丈夫!早くいこ!」
「分かった、じゃあ行こう!」

595 :我が幼なじみ ◆ZWGwtCX30I :2010/10/21(木) 21:20:22 ID:rCJPnnsU
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
由美子

「優君……恐かったよぅ……」

初めてのジェットコースター、恐かったけど……優君と一緒だから楽しかったなぁ

「だから大丈夫か?って聞いたのに……」

すがりつく私の頭を優君がなでなでしてくれた……それだけでイける私は変わっているのかな?いや、普通だよね!だって優君だもん!気持ちいい……

「そうだ、少しここで待ってて。飲み物でも買ってくるよ」

そう言って、優君は行ってしまった……もっと話したいのに……なでなで……

「アナタ……もしかして山本由美子さん?」

突然、二十歳ぐらいの綺麗な女の人が話しかけてくる

「はい、そうですけど……どちら様ですか?」
「あ……ごめんなさい、私は闇仲 陽狐よ」

私はその名字を聞いて、動揺を隠せなかった……恐らく、あの女の姉だ

596 :我が幼なじみ ◆ZWGwtCX30I :2010/10/21(木) 21:21:19 ID:rCJPnnsU
「……すいません、思い出せません」
「今の動揺……やはりアナタが……まぁいいわ、お邪魔してごめんなさいね」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜


日が沈みかけ、子連れの親達が帰り始めるころ、それを眺めながら俺と由美子はベンチに座っていた

「……由美子、今日は楽しかったか?」
「うん!ありがとう優君」
「良かった……由美子、ちょっと話しがあるんだ」

はぁ……緊張するなぁ

「何かな?優君」

一度深呼吸をして落ち着こうとしたが意味を成さず、微妙な間が余計に緊張させた

「俺……その……」

人に想いを伝えるというのがこれほど大変な事とは知らなかった

「由美子が好きなんだ……」

……なんでこんな情けない言い方をしてしまうんだろう……終わったな、俺……

597 :我が幼なじみ ◆ZWGwtCX30I :2010/10/21(木) 21:22:28 ID:rCJPnnsU
「え……?本当なの……?」
「あぁ、本当だよ」

すると由美子は俯き、泣き出してしまった
やっぱり言い方が気持ち悪かったのか?

「私も……私も優君が……好き」

……は!?

「……え!?それは……本当なのか?嘘じゃない?」
「こんな嘘……つかないよ……」

信じられん、両想いなんて都市伝説だと思っていたけど、実在するのか……

「だって、俺は断られると思ってたから……」
「どうして?」
「由美子って綺麗だし優しいし……その……可愛いからモテるんじゃないかって」

そう言うと、由美子は顔を真っ赤にしながら応えた

「ぁ……ありがと!だけど、私は……昔から優君が好きだったよ?……優君が気づいてくれかったけど」
「そうだったのか!?……もっと早く言ってくれよぉ……」

そう言って2人で笑い合った。久しぶりの良い出来事だった

何故だろう……今なら出来る気がする、風奈に謝る事が

598 :我が幼なじみ ◆ZWGwtCX30I :2010/10/21(木) 21:23:05 ID:rCJPnnsU
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
由美子

今日は人生の中で二番目に良い日になった……ちなみに、一番は優君と出会った日か、いつか来るであろう優君と結婚する日で迷っている
とにかく、今日はすっごく楽しかった!……あの女と出会ったのは不快だったけど、優君「から」の告白でそんな不快な事どうでも良くなってしまう

それに、優君が私の事を好きだなんて!嬉しい……あの件が有ったから、まさか告白されるなんて思わなかったけど。やっぱり、一緒に過ごした「時間」に勝てる人なんていないんだね!
これからは、私が優君を守らなきゃ!

まずは糞虫……アナタからだよ……

599 :我が幼なじみ ◆ZWGwtCX30I :2010/10/21(木) 21:24:37 ID:rCJPnnsU
以上で投下終了です
次回で夏休み編が終わると思います。では……また今度

600 :白い翼 ◆efJUPDJBbo :2010/10/21(木) 22:10:49 ID:0/Mz8zvh
>>599
我が幼なじみ。めっちゃgjです

白い翼、第三話投下します


601 :白い翼 ◆efJUPDJBbo :2010/10/21(木) 22:12:55 ID:0/Mz8zvh
 「誰も……もう誰もいない」
暗闇の世界。
闇、静、独……それだけが世界を包む。
色が足りない、光が足りない、音が足りない、匂いが足りない、
風が足りない、仲間が足りない、温度が足りない…………翼が足りない。
 「ねぇ、寂しいよ」
永遠にこのまま、一人ぼっちなのであろうか?
誰にも触れぬまま、永遠の時をここで過ごすことになるのだろうか……。
そんなの嫌だ!
たとえ私が……人間に干渉する″という禁忌を犯したとしても……。
 「寂しいよ……ここから出して、ジュン君」
ジュン君ジュン君ジュン君ジュン君ジュン君ジュン君ジュン君ジュン君
ジュン君ジュン君ジュン君ジュン君ジュン君ジュン君ジュン君ジュン君
 「私はあなたを助けたのに……あなたは私を助けてくれないの?」
そんなの不公平だよ。
私はあなたがこんなに好きで、好きで、好きでたまらないのに。
あなたの悲しむ顔が見たくないから願いをかなえたのに。
 「だったら私は……この翼で」
白い片翼″を広げた私は、胸元に手を重ねて祈る。
 「ジュン君の夢を……私にちょうだいッ」
―――私はもう一度、禁忌を犯す。
広げた白い翼は、大きく羽ばたき、やがてその姿を消した。
すると闇の中に、一人の少年が降り立つ。

 「ここは……どこだ?」
まだ寝ぼけ眼の少年に、私は語りかける。

―――――私は昔、神様だったの


602 :白い翼 ◆efJUPDJBbo :2010/10/21(木) 22:14:04 ID:0/Mz8zvh
 〈あたかも必然たる学園生活〉
授業って……何のためにあるんだろうな?
将来のためという名目で、若者たちを勉学の道へと引きづり込む巨大組織、文部科学省。そしてその末端機関である学校。
教育を受け続ける最中でもちろん俺だって思ったことはある。
勉強って……将来の役に立つのかな?……とかさ。
ま、結局そんなものは、大人になってみないことには分かるはずもないしな。
その時を楽しみに、心待ちにすればいいんだよ。
だから今は、肩の力をちょっとくらい抜いたって良いような気がするんだよ。
ま、結局俺が何を言いたいのかというとだな……とりあえずは。

 「授業中って……眠いよな……………ぐぅ」


「おはよう、神坂君」
 「………はよ………う………………」
ぐぅ……。
誰かが声をかけたらしいけど、俺はしっかり返事をできたのだろうか?
と、意識的には思ってみるものの体は動かない。机に伏したままだ。
眠い……ひたすら眠い。
 「もう、しっかり起きてください」
そよ風のように、心地よく、柔らかな声……。
だからであろう。俺の意識は眠りの世界へと加速する。
 「もう……しっかり」
しかし、それは叶わない。両頬に暖かい何かが触れる。
ゆっくりと俺の顔を持ち上げていくので、それが手だということは、俺にも十分に分かった。
「はへ……ぇ」
誰だろう? 俺の安眠を邪魔するのは?
俺は眠いながらも、頑張って目を開けてみる……細目だけど。
 「あ、ちょっと起きた?」
くすくす、と、可愛らしい笑い声。
体全身をすり抜けていくかのような優しいその声に……
俺は……俺は……………って、えっ?
ちょっ! この声ってまさか!
俺は、驚きすぐさま立ち上がる。
 「―――きゃッ!」
俺の顔を触っていた少女は、いきなり立ち上がったのに対して驚き、危うく倒れそうになってしまった。
 「えっ、あ、あの、その」
俺はしどろもどろになりながらも、瞳にその少女の姿を確認する。
艶やかな長い黒髪が、真っ白な肌が、少し湿った唇が……その少女を彼女と結び付ける。
間違いない。〈萩原空〉だ。
 「び、びっくりしたぁ」
空は、胸元に手を運び、息を整えている。
それを呆然と立ち尽くし、見ている俺。
 「もう、神坂君ったら」
少し頬をふくらませる空……あ、可愛い。
いやいやいやいや、そうじゃなくて……そうじゃなくてだな!
 「どっどどどっどどっどどどうして?」
こんなにリズミカルな「どうして」を言ったのが、俺は生れて初めてだった。
 「とりあえず落ち着こうよ、ほら、深呼吸っ」
すーーーーーーーはーーーーぁッ!
 「ごほっ、ごほ、ゴホッ!」
深呼吸の間で息を詰まらせてしまう俺。
せきこみだす。
 「だ、大丈夫?」
あわてた様子で、近寄ってきた彼女は俺の背中をさすってくれた。

603 :白い翼 ◆efJUPDJBbo :2010/10/21(木) 22:14:52 ID:0/Mz8zvh
 「あ、ありがとう……萩原さん」
せきも落ち着いたところで呼吸を整え、感謝の言葉を空に向かって告げた。
 「どういたしまして」
彼女は可愛らしく微笑んで見せた……あ、めっちゃ可愛い。
 「………あ、そ、そういえばどうして俺なんかを?」 
彼女の笑みに一瞬我を忘れそうだった俺が、疑問をぶつける。
そう、彼女は俺のような人間のクズに話しかけるような存在ではなかったのだ。
容姿端麗、文武両道……そんな四字熟語たちが似合う彼女だったから……。
一緒なクラスにいても、ほとんど話したこともなかったのに。
 「だって、もう放課後なのに起きないんだもん、神坂君」
 「………あっ!」
その時俺は気づく。
教室内なのに、俺と彼女しかいないこと。……もう放課後のようだ。
教室内が、夕日で赤く染まっていること。……どうやら一日中寝てしまったらしい。
そして彼女が、クラス委員長であることを。
 「あ、ご、ごめん」
とっさに俺は、委員長の仕事内容を思い出す。
その中にはキッチリと「教室のカギの施錠」というものがあったのだ。
つまり彼女は、いつまでたっても寝ている俺がいたから、教室を施錠することができなかったと……そういうことらしい。
急いで俺は、荷物を片づけ始めた……のだが。

―――ガチャ。

 「……………?」
俺は音がしたから振り返る、幾度となく聞いた音がしたから振り返る。
―――それは、扉の施錠音。
 「へ?ちょ、ちょっと……萩原さん?どうして閉め―――」
扉を閉めたのは俺でないのだからもう一人しかいない。萩原空だ。
まだ二人とも、この教室にいるのに、萩原さんは教室のカギを閉めたのだ。
振り向きざまに俺は言葉を述べようとしたのだが、振り向いた先に見えたのは、木刀。
 「ガアッ!」
 「あっれー?」
―――咆哮。
頭部に木刀が命中する、生温かい血が、どくどくと流れているのを俺は感じた。
 「あの至近距離でも、回避行動に入れるんだ……相変わらずすごいね、純君は……ふふ」
確かに俺はとっさに、回避行動に入ったがよけきれなかった。
しかし問題はそこではない。何故彼女が俺に向かって攻撃をしてきているかだ。
 「ど…………どうしてこんな―――」
 「うーん、じゃあこれでどうだー」
俺の言葉には聞く耳持たない彼女は、自身が持っていた木刀を、投げた!
 「くっ………」
何だか知らないが、当たってやるほど俺はバカじゃない。
理由も聞かずに攻撃されてたまるかよ……と、俺は飛んでくる木刀を、回し蹴りで飛ばす。
 「すっごい、すっごい」
 「しまっ――」
しかし同時に俺は気付いてしまう。
木刀を弾き飛ばしてすきができた俺の懐までつめてきた空。
その右手には、青白く閃光をあげる何か。

――――――バチバチッ

604 :白い翼 ◆efJUPDJBbo :2010/10/21(木) 22:15:19 ID:0/Mz8zvh
閃光が飛び散る。
俺の体が、自然と地面へと吸い寄せられた。
 「あなたがどれだけ強くてもね、あなたがどれだけ壊れていてもね、あなたがどれだけ狂っていたとしてもだよ……さすがに文明の利器には勝てないでしょっ?」
首をかしげて語尾を可愛く言った彼女の手には、マンガとかでよく見るあのスタンガン″と呼ばれるものがあった。
 「あ………グ……」
体全身がしびれて動かない、言葉をしゃべれない、瞼が……閉じる。
 「おーやーすーみぃー。純君」
俺の意識はそこで途絶えた。
それを、見ていた第三者がいると気付かぬまま。

〈あたかも必然たる学園生活〉 裏T
今日は一日中、彼の姿を見ていられたので幸せだった。
朝のことは、吐き気がするほど妹を憎んだけれども……。
こうして幸せそうに眠っている彼の横顔を見つめているだけで幸せだった。
そして私は強く思う。
 「欲しい」
願う、望む。
「欲しい……彼の笑顔が、彼の声が、彼の髪が、彼の爪が、彼の肉が、彼の皮膚が、彼の骨が、彼の血が、彼の優しさが…………もうすべて欲しい。いらないものなんて何もない」
すき、好き、スキ、好き……大好き。
彼のことを考えるだけで、彼の顔を見るだけで、彼の声を聞くだけで……。
私の体は過剰に反応する。敏感に、敏感に、触りたくなる。
でももう、一人でいじって過ごす毎日も終わりだ。
明日からは彼と一緒なんだから……。
 「ねぇ、純君」
使用人が運転する車の中で、私と彼。
二人だけが車の後部座席に乗り……。
 「はむぅ……んちゅ………ぁ、んぁ」
深い深い、キスを交わした。
萩原空は……欲するものを手に入れた。

〈あたかも必然たる学園生活〉 裏U

 「はは……ハハハハ……キャハアアッハハアアアアアアア」
かかった、かかった、かかった、かかった、引っかかりやがった!
雌が一匹引っかかりやがった!
バーーカ、バーーーカ、バーカ!
 「まったくバカな雌だわ……私が、カメラに気付いてないとでも思っていたのかしら?」
萩原空が仕掛けたと思われる大量のカメラの数々、そんなものに、私が気付いてないはずがないでしょ?
そう、私はその事を知った上で、いつも通り兄さんとの朝の行為を行い、萩原空を急かせた。案の定、雌は私の罠に嵌(はま)ったみたいだ。
 「だぁいじょうぶだよー、兄さぁん……ふふ」
私は甘い声でささやく。
 「また私と一緒に暮らせるまでもうちょっと待ってね、私も寂しいけれど萩原空を殺すためには仕方のないことだわ……」
私はそう言うと、静まり返る校舎の壁に背をつける。
天井に……手を伸ばす。
 「絶対に、兄さんは……ワタシダケノモノ」
狂いに狂った神坂美咲の姿が、そこにはあった。

605 :白い翼 ◆efJUPDJBbo :2010/10/21(木) 22:16:02 ID:0/Mz8zvh
投下終了です
ありがとうございました

606 :名無しさん@ピンキー:2010/10/21(木) 22:44:12 ID:6bHh6Rgq
極乙

607 :名無しさん@ピンキー:2010/10/22(金) 01:50:47 ID:SNUelkTG
白い翼ノーマークでした。まさかこんな素晴らしい作品があったなんて…

GJです

608 :名無しさん@ピンキー:2010/10/22(金) 06:23:47 ID:QyJpd+1f
美咲……恐ろしい子!

609 :名無しさん@ピンキー:2010/10/22(金) 20:15:27 ID:ZzGUAwNd
ヤンデレが人を操る力・・・ギアス的なものを手に入れたらどうなるんだろう

610 :名無しさん@ピンキー:2010/10/22(金) 21:28:59 ID:GnttUBlg
>>609
そんなマニア臭い話されても知らん。

611 :名無しさん@ピンキー:2010/10/22(金) 22:23:56 ID:/MvXMI6s
まったく・・・GJすぎてこまるぜ

612 :名無しさん@ピンキー:2010/10/23(土) 04:00:10 ID:X2nNVWx5
てすとします

613 :名無しさん@ピンキー:2010/10/23(土) 04:02:36 ID:X2nNVWx5
投下します、注意としては、妄想を形にするのは初めてなので読みにくいと思います


614 :社長とおっぱい1/2:2010/10/23(土) 04:03:36 ID:X2nNVWx5
とある晴れた夏の日、俺、社長命(やしろ ちょうめい)は町内のゴミ拾いに参加していた
バリバリの高校生かつイケメンである俺のやることじゃないがコレやんないと町内会のじじばばがうっせーのよ
そんなわけで、隣に住む幼馴染と一緒に河川敷のある区画に来ている
「おー鏡落ちてら、ハッ誰だこのイケメン!?って俺かーハハッ、だよな、こんなイケメン2人いてたまるかよ、なぁ胸子」
背後から空き缶が飛んでくる
「ソナーに感あり!低速で接近する物体あり!その数1、いや2!この速度なら避けれるっ!」
キアヌリーブスも裸足で逃げ出す華麗な魅せ避け、だが少し甘かったようだ
「アホなこと言ってないでさっさと終わらそーよ社長(しゃちょう、名前のせいでほぼみんなからしゃちょうと言われる)」
「ちょ、おまあぶねーからソニックパンチだけは止めれ、俺じゃなかったら死んでたぞ!」
「ちょっと!勝手に変な名前つけないでよね、これは風斬拳っていう私専用必殺技なのよ!」
常人なら食らったらタダでは済まない亜音速の凶悪な一撃、放ったのは幼馴染の女、豊穣胸子(ほうじょう きょうこ)だ
この女、名前からも解る通りおっぱいが大きい、
形もいい、普通大きいと重力に負けて垂れてくるのだがこいつのおっぱいは重力に逆らっているど根性おっぱいなのだ
身長は177cmの俺に比べて165cm、同世代の女子に比べて少し大きい程度か
顔はどうだろう、控えめに言ってものすごく美しい、正直芸能人でもコイツ程のツラを持ってるのは少ないだろう
そんだけの美貌を持っていながらなぜかこいつは言いよってくる男全てを足蹴にしている
むろん、最愛の幼馴染であるはずのこの俺も今までに100回振られている
「必殺技なのに俺を気遣って威力弱めてるとは、あーもう好きっていっちゃいそうになるわ……って言っちゃった!キャー」
「あほらし、私あっち行ってゴミ拾ってくるね、ばいば〜い。あっ、その袋一杯になってなかったら威力減衰無しの風斬拳だかんね」
おっぱいを惜しみなくたゆんたゆんさせながら去っていく胸子。これで101回目か
「いっちゃった……さて、真面目にゴミ拾いでもしますかね」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜30分後〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「すげー!ロシア人のおっぱい超すげー!え、何これ?おっぱい?え?本物?」
俺はたまたま落ちてたロシア人の実写エロ本を読みふけっていた
河川敷などに落ちているエロ本の類は雨露でページが張り付いていることが多いが奇跡的にそれを免れていた
これは普段胸子に何度ふられようと一途に思い続ける俺に神様がくれた贈り物なんじゃないだろうか、神様ありがとう!
これはゴミにしとくのは勿体なさすぎる
しかし俺担当のゴミ袋はまだ半分も溜まっちゃいない、しかも嵩増し用の雑草のが多いくらいでゴミは半分の半分と言ったところ
これでは風斬拳の餌食になってしまう
俺は泣く泣くゴミを探しに背の高い草のあるところまで歩を進めた

615 :社長とおっぱい2/2:2010/10/23(土) 04:04:35 ID:X2nNVWx5
草を分け少し入ったところに人一人入りそうなくらい大きな黒い箱が落ちていた。ピンク色の文字が書いてあるが日本語では無いな
「おいおい神様よ、いくら俺が普段から規則正しい生活を送ってイケメンで運動神経抜群で(中略)成績優秀で非の打ちどころのない(後略)だからってサービスしすぎっすよ」
まさか神がくれた贈り物PartUか?内心ウキウキ気分で箱を開けてみる
「は?」絶句
そこにはおおよそ俺の予想とかけ離れた物が入っていた
簡潔に言おう、女とヘルメットが入っていた
女は死んでいるのかと思ったが胸が上下しているので生きてはいるようだ。なぜそれがわかったかと言うとこの女、ピッチピチのスーツをているからだ
茶髪でセミロングの胸子とは対照的なしっとりとした黒色のロングヘアー
なぜかヘルメットを抱きしめている、そのヘルメットと言えば、かぶればバイクに乗って悪の組織と闘えそうな勢いがある男なら一度はかぶってみたくなるものだった
「こんな時俺ならどうする?やべー何も思いうかばねぇ、とりあえずおっぱいもんどきゃいいの?」
「情けない声を出すな下種、私たちは貴様に危害を与えるようなものではない」
心臓止まりそうになった、今しゃべったの誰よ!?女は起きてないぞ?
「私だ、コラ、どこを見ている。こっち、おっぱいじゃないもっと下のほう」
うーん、どうもヘルメットがしゃべってるように見えるけど、そりゃないな!となると……おっぱいの下のほうってまさか!?え、ひょっとして女の子の神秘……
「それビーム」
ジュン、髪の焦げる匂い。ヘルメットの目の部分から熱線が出たのを社長EYE(しゃちょうあい、裸眼で2.0)は見逃さなかった
「ちょ!やっぱりヘルメットさんがしゃべってたんですね?軽くボケただけっすよ、やだなぁ」
「私の名前はヘルメットではない、HFSS-018が正式名称だ」
いやヘルメットはヘルメットだろうと突っ込みたかったがグッとこらえた。俺は自分より強い人間と権力者には絶対に逆らわないのだ。えっへん
「はい、それで、えーっとへっちえすえふえす様、でしたっけ、はなんでこんな糞あちぃ中こんなところに女の子とこもってたんですか?」
「HFSSだが、もういい、好きなように呼んでくれ。なぜと言ったな?それには答えられないな、未来から社長命を抹殺しに来たという事は絶対に言えないようにプログラムされているからな」
このヘルメット、どうやらドジっ子属性の様だな、へる子とでも呼ぼう。でも社長命さんは抹殺されるのか、可哀そうに……ってアレ?
「その社長命ってさ、どんな奴?写真とかある?俺分かるかもしれないぜ」
「なぜ我々が社長命抹殺の任を負ってこの時代に来ているかを知っている!?まぁいい、協力してくれるのならこちらとしてもありがたい。写真はないが立体映像ならあるぞ」
さっきビームを出したところから今流行りの立体映像で社長命の姿が映し出される
男が女に抱きつかれて馬鹿笑いしている映像の様だ
……………………これ、ちょっとダンディな俺じゃん。つか、この女胸子じゃん
そうか、俺は未来で胸子と結ばれるのか、やっぱりあいつはツンデレさんだな!
これからはいつ殴りかかってきても愛で受け止めてやろうではないか
いや、違うって俺。問題はそこじゃねぇだろ。なんで殺されなきゃいけないのか
「悪い、さっぱりわかんねぇ。でもさ、わざわざ未来から刺客がくるって事はコイツ何かしたの?」
「そうだな、世界のバランスを著しく崩した元凶、ぼかした言い方になるがこれで満足してくれ」
ははっ、これは笑えねぇぞ、何したんだ俺、賢く生きてきてる自負はあったんだがな
「このマダオ、まるでダンディなお兄さんはそんなに悪い人には見えないけどな、イケメンだし」
「そうだな、この男は元凶と言ったろう、問題は隣にいて恍惚の表情を浮かべるこの女にある」
胸子のやつ、一体何したんだ。あいつは敵作るタイプだからなぁ
だが立体映像で見た限りあいつ年取ってねぇな。俺はひげがダンディに生えていたから分からなかったようだが
あそこまで変わっていないとさすがのドジっ子へる子でも気づくかもしれんな
だいぶ落ち着いてきたぜ。取りあえず今の俺に出来ることはへる子と胸子の接触を避けること。
「おーし、じゃあ連れが待ってると思うから俺行くわ、その社ってやつ、見つかるといいn「おそーい長命こんなとこまで来て何やってんの?」
俺の努力をぶち壊しにしてくれる胸子よ、そんなお前も愛してるZE


616 :名無しさん@ピンキー:2010/10/23(土) 04:05:43 ID:X2nNVWx5
2.3回続きます
拙いながらもお付き合いいただければと思います。ありがとうございました

617 :名無しさん@ピンキー:2010/10/23(土) 08:26:24 ID:VVCSrOWG
ワクワクの中2展開だなo(^-^)o続きの投下を待つ。

618 :名無しさん@ピンキー:2010/10/23(土) 11:37:15 ID:DA4Apcbq
事故で足を失った女を甲斐甲斐しく介護する男→
男を誘惑する別の女出現→
女は自分の腕を切り落とす。こうして男は女の足だけでなく手ににもなりましたとさ

こんな電波を受信した

619 :名無しさん@ピンキー:2010/10/23(土) 16:05:32 ID:kZxEMj/w
>>618
つまり「ほトトギす」みたいな自虐型って奴か

620 :名無しさん@ピンキー:2010/10/23(土) 22:33:36 ID:+PiyEbxv
>>616巨乳好きには溜まらん女だな
ド根性おっぱいわろた

621 :名無しさん@ピンキー:2010/10/24(日) 01:52:04 ID:mqDdb8Y1

ホトトギスって言われてる廃虚いったことあるな。
殺人がおきたとか家族皆殺しにされたとか…やたら曰く付きだったけど、あまり怖くなかった。
ただ、何故か三日後に一緒に廃虚へ行った幼なじみが何も言わず引っ越したんだよ。
それから数年会ってなかったんだけど、四年前の地元の成人式にいきなり現れたんだよね……なんで引っ越したのかと理由を聞くと個人的には腰抜かすような返答が…









「いや、彼女に子供できてさ……地元にいれなくなったんだよね」

まったく女っ気のないヤツだったから物凄くビックリしたw

何故彼女に子供ができて地元にいれなくなったのか知らないけど、俺が知ってる幼なじみではなかったな。

薬指にはやつれた顔に似合わない結婚指輪が輝いてたよ…。


間違いなく奥さんはヤンデレだな…うん…ヤンデレだ…ヤンデレ…

622 :名無しさん@ピンキー:2010/10/24(日) 02:08:35 ID:MMw/8dZu
>>621

彼は勝ち組になったんだ

623 :駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6 :2010/10/24(日) 12:56:08 ID:hAxv5OGB
仕事?なんだそれは。私の仕事はヤンデレへ捧げる手紙だけだ。
というわけで日常に潜む闇 第2話です。
そうそう、この間アニメイトでヤンデレクッキー買いました。
中に髪の毛とか体液とか入ってないのが唯一悔やまれ……おっと誰か来たようだ

では、玄関先にいる人に会う前に投下します。

624 :駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6 :2010/10/24(日) 12:56:58 ID:hAxv5OGB
「中等部から引き続き高等部へやって来た諸君、久遠坂学園高等部へようこそ。新たに久遠坂学園にやって来た皆さん、久遠坂学園高等部へようこそ。生徒会長の久坂誠一です」
 ホール内は生徒会長の誠一の声のみが響き渡り、それ以外の音がたつことを許さないような雰囲気にある。
「私はあまり饒舌ではありません。そして皆さんもご老体の方々の長い話で疲れているでしょうから手短に話しましょう」
 瞬間、生徒たちの間から笑い声が漏れる。
 舞台脇の来賓、学園長、一部の教職員は顔をしかめているが、どうやら大半の教員も誠一の意見におおむね同意らしい。苦笑を浮かべている。
「高校生とは、社会からも、同世代からも大人とも子供とも認められる微妙な立場です。ゆえに今この瞬間でしか得られないものがあります。どうぞ、それを見つけてください。皆さんの高校生活に幸あらんことを――以上です」
 一礼し、来賓と教員にも静かに頭を下げてから、舞台袖へ戻る。
 その一連の様子を眺めながら誠二は微妙な表情を浮かべていた。
 隣の女子生徒が、自分の隣に居る男子生徒の具合がよくないと思ったのか話しかけてきた。
「ねえ、調子悪いなら先生に言って保健室に行ってきたら?」
「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
 と、小声で応じる誠二。
 なにしろ彼が苦虫を噛み物したような何とも表現しがたい顔をしていたのにはわけがある。
 あの生徒会長だ。彼の兄、久坂誠一は久坂誠二にとって目下最大のコンプレックスであったりする。
 女子生徒は大丈夫だと言い張る誠二を無表情な顔で眺め続けていた。


625 :駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6 :2010/10/24(日) 12:57:51 ID:hAxv5OGB
 ところ変わって入学式終了後の教室。
 誠二は自分のクラスに戻っていた。
 黒板で場所を確認して、自分の席に座る。
 しかしそれと同時にもう一つ、やって来るものがあった。
「俺、雪下弘志(ゆきした・ひろし)っていうんだ。よろしくな、生徒会長の弟」
「……………」
 いきなり勝手に自己紹介されて驚く誠二。数秒間のフリーズの後、
「ああ、うん。よろしく。でも兄さんを引き合いに出すのは止めてほしいかな」
 引きつった笑みで、しかしながらはっきりと言い返す。
 弘志は何が面白かったのかお腹を抱えて笑いだした。
「あはははは! お前って本当に面白い奴だな! いやあ、噂通りで良かった良かった」
 何が良かったというのだ。
 誠二は胸中で呟く。
 こっちは入学式早早から兄のカリスマ性に当てられて憂鬱な気分だというのに、ここでさらに兄を引き合いに出されてその上面白いとまで言われた。
まったくもって失礼な奴だ。
 何か文句を言ってやろうと口を開きかけた誠二だったが、それをいち早く察した弘志が制するように喋る。
「いや、気に障ったんだったらスマン。けど、お前とは無条件で仲良くなれそうだ」
「はあ?」
 突然何を言い出すのか、と誠二が首をかしげていると、今度は別な場所から声が飛んで来た。
「弘志はそうやって人に絡んでくのが好きなんだよ。弘志もいい加減にしとけよなー」
 わらわらと数人の男子生徒が集まって口々に弘志のあれやこれやを言い始めた。
 曰く、その絡み方はいやらしいから止めとけ。
 曰く、あんま人を困らせんじゃねえよ。
 曰く、こいつは情報通だから気になるあの子の情報がほしい時は活用しろ。
 それに対して弘志はおいこら変なこと言ってんじゃねえよ、と笑いながら掴みかかっている。が、じゃれあい程度のそれは友達同士が下らないことをし合っている様子そのものだ。
「あーっと、僕は久坂誠二。兄さんが個々の生徒会長なんだけど、コンプレックスだから引き合いに出すのは止めてね」
 困ったように自己紹介を始めた誠二に、弘志を中心に集まった男子生徒たちが驚いたように静かになる。直後、本日三度目の大爆笑を頂く羽目になった。
「なっ……! 笑うなよ!」
 しかし誠二の抗議はすぐに無視される。
「なー? 面白い奴だろ?」
「あっはっは。わりぃわりぃ」
「けど自分からコンプレックスだから言うな、なんて普通言わねえだろ」
「うっ……仕方ないだろ。僕だって言いたくはないけど、絶対に引き合いにだされるんだから牽制しておいて損はないじゃないか」
「まあ、そうだけどよお」
 くつくつと笑い続ける弘志達を見て誠二は思う。
 こんな連中ならなんだかんだでやっていけるかもしれないと。
 しかしそんな新たな友人たちとの楽しい時間も終わりを告げる。
「ねえ、そこ私の席なんだけど、どいてくれないかしら」
「ん? ああ、わり……ぃ…………な……?」
 男子生徒が後ろを振り向き謝ろうとして、そこにいた女子生徒の姿に驚いたように固まる。
「私の席だから、どいてくれない?」
 その女子生徒は普通ではなかった。絹のような透き通った輝きを持つ銀色の髪の持ち主だったからだ。
 そのあまりの異質さに、弘志たちは凍りついたように固まっている。
 しかしやはり白銀の髪を持つ女子生徒は、席に座れないから男子にどくよう告げた。
「あ、ああ。スマン」
 慌てて男子生徒の一人が離れる。
 それが合図だったのか、男子は口ごもりつつ三々五々に散って行った。
 弘志は唯一、「じゃ、またあとでな。誠二」と言って片手でスマンと謝って離れて行った。


626 :駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6 :2010/10/24(日) 12:58:47 ID:hAxv5OGB
「また、隣だね」
 まるで聞き耳を立てる者がいなくなったのを見計らったかのように女子生徒が誠二に話しかけてきた。
「ん? あー、どこかで会ったっけ?」
 少女の異質さに気づいていないのか、それとも気にしていないのか、のんきにそんなことを尋ねる誠二。
 声は聞いたことがあるようだが、こんな綺麗な銀色の髪をした女の子がかつていただろうか。
 女子生徒は無表情のまま誠二の顔をまじまじと見つめて一言。
「へえ。私を見て、何とも思わないんだ」
「いや、その髪の毛、綺麗だなーって思うだけだけど…………どちらさん?」
 女の子はちょっと驚いたような表情を浮かべた後、軽く咳払いした。
「んんっ。入学式の時、誠二君は私の隣に居たのよ?」
 言われて、確かに隣の女の子に話しかけらたような気がする誠二。
 なにしろあの時はそれどころではなかったのだ。覚えていなくても仕方がないと自分に言い訳する。
「あー、かもしれないね」
「でしょ? で、私は紬原友里(つむぎはら・ゆり)。そして私は貴方が好きです。愛してます。だから付き合ってください」
「……………は?」
 今、紬原は何と言った?
 その疑問は誠二のみならず教室全体が抱いたものだった。




「――さて、この学園での生活についはこれでいいな? …………よし。それじゃあ次行くぞ。お待ちかねの委員会決めだ」
 無精髭がトレードマークの担任、田所常人はそう言って黒板に委員会名を次々に書いていく。
 しかし大半の生徒たちは集中していないようだ。所々でひそひそと話しているが、どの委員会にするかという内容でもない。
 彼らが一番注目しているのは窓側の席、隣どうしに座っている二人。
 久坂誠二と紬原友里だ。
「さて、委員会はこんなもんだな……って、お前らどうしたんだ?」
 田所のその一言に皆、我に返る。
 そしてワンテンポ遅れる形でどの委員会にしようか話し合い始めた。
 新入生らしかぬその珍妙な様子に首をかしげる田所だったがとりあえず問題はないようだと判断してブラックボードの脇に移動する。
「委員会、か」
「ねえねえ、誠二君はどれにする?」
 ポツリと呟いた誠二に、いきなり友里が話しかけてきた。
 先ほどのこともあり、その勢いに思わずのけぞりそうになる誠二だったが、それでは相手に失礼となんとか耐えきる。
「うーん、どれにしようかな」
 クラスメイトたちが、話しながらもこちらに聞き耳を立てているのは明らかだ。
 なんだよこの空気はコンチクショウと悪態をつきたいところだが恥を晒すのはプライドが許さないので我慢だ。
「じゃあ図書委員にでもしよう、カナー…………」
 お前らなんだその空気読めみたいな視線は!
 ちらちらと二人――主に誠二――に寄せられる眼差しは間違いなく失望の色をはらんでいた。
 図書委員は各クラスから一人選ばれる。この学園は二期制で、他の委員会のように半期ごとに新しく委員を選出するのではなく一年を通して行われるというちょっと異質な役職だ。
「それじゃ一緒になれないよ。だから保健委員にしよ?」
 友里の一言に迷う。
 純粋に本が好きだから図書委員になりたいのだが、どうにも周りがそれを許してはくれないようだ。
 その時、一人の男子生徒が「じゃあ俺図書委員でもすっかな!」とあからさまに言って、黒板に自分の名前を小学生でもあるまいにと思うくらい大きく書いた。
 それに続くように我も我もと書き込み始める。
「…………じゃあ保健委員、やろっか」
 恨むぞクラスメイト諸君よ。
 隣でうっすらとほほ笑む紬原さんがいたのは気のせいだろう。


627 :駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6 :2010/10/24(日) 12:59:22 ID:hAxv5OGB
〜〜放課後〜〜
「おーい、誠二。ゲーセン行こうぜ」
 のんきな声を出しながら弘志が誠二のもとに歩み寄る。
「あー、うん。いいよ」
 二つ返事に了承する誠二だったが、隣では友里がいつもの無表情の下に怒りを帯びているせいか、どことなく恐ろしい雰囲気が漂い始めた。
「ねえ、誠二君は私と一緒に帰るの。だから割り込まないでくれる?」
 ナニカッテニヤクソクシテタコトニスルンデスカアナタハ。
「え? あ、そ、そうなの? あー、いや、なんつうかスマン」
「ううん、分かってくれればそれでいいよ」
「……んじゃ誠二、また今度、な」
 そう言ってササッと離れて行く弘志に誠二は胸中で突っ込みを入れる。
 我が友よ、そこは戦略的撤退を決め込むところではないぞ。
 友里はと言えば、あの恐ろしい雰囲気は消えてはいるもののやはり無表情だ。
「それじゃ、行きましょ」
 選択肢が残されていない誠二は、彼女に連れられて行くしかなかった。
 校舎を出て、他の生徒たちに混じって下校する。しかし彼女の髪が異質さを際立たせているために、注目の的に晒されてしまうのだけは御免だった。
「えーっと、紬原、さん?」
 集中する視線に耐えきれず、彼女の名を呼ぶ誠二。
 しかし呼ばれた本人は無表情であるにもかかわらず、なぜか誠二には不満げに見えた。
「名前で呼んでほしいな」
「うっ……ごめん、恥ずかしいから無理」
 女の子を名字ではなく名前で呼ぶことで掻き立てられる羞恥心への耐性がない誠二にとって、無理難題に等しい要求だ。
 話を逸らすために、誠二は疑問に思っていたことを口にした。
「ところで、どこに向かってるの?」
「……はぐらかしたわね」
 一瞬ドキリとする誠二。
 だが友里はそれ以上言うことはなく、彼の疑問に淡々と答えた。
「私の部屋よ」
「あ、そうなの」
 どこかに遊びに行こうというわけでもなく、どこかに食べに行こうというわけでもなく、単に友里の部屋に行くという答えに誠二は、友人の話に相槌を打つ程度の気持ちで返した。
 まあ女の子の部屋に初めて行くのだから、色々とあらぬことを思い浮かべてしまうのが普通なのだろうが、生憎と誠二はそういったことにあまり興味がなかったりする。
 二人はまたも無言になり、衆目の的となりながら友里の部屋へ向かうのだった。


628 :駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6 :2010/10/24(日) 13:03:32 ID:hAxv5OGB
〜友里の部屋〜
 彼女は学生寮住まいらしい。
 女子寮だというのに男を招いても良いのかと疑問に思うところではあるが、寮則では特に決まっていないから問題なのだという。いや、寮則を読んだことがないから彼女が嘘を言っているのかもしれないが。
 まあ高等部の校則で不純異性交遊を禁じているから問題ないと判断している可能性はあながち否定できないのかもしれない。
「うーん」
 それにしても、と誠二はぐるっと周囲を見回す。
 友里の部屋は典型的な学生向けの部屋だ。玄関から入ってすぐのところにキッチンがあり、その反対側にはトイレと風呂が分離して設置されている。
 ユニットバスはビジネスホテルなんかに泊まると良く見るが、あれを毎日使うとなると多少なりの抵抗感がある。この学生寮は結構細かい所まで配慮がなされているようだ。とはいえ学生寮らしく部屋は狭いのだけれど。
 勉強机の他に本棚、クローゼット、ベッド、それに脚の低いテーブルが一つ。ファンシーグッズだのヌイグルミだのといった、なんだか想像していたものと違うようだけれど、まあこれもまた殺風景な女の子の部屋の典型なのだろう。
「お待たせ。コーヒーでいいよね?」
「ああ、うん」
 台所から友里がコーヒーを盆に載せてやって来た。
 ちなみに誠二はホットのブラックコーヒーが大好きだ。アイスコーヒーは苦味が強く、砂糖を入れればコーヒーそのものの味を損なう。だから苦味が穏やかになるホットコーヒーをノンシュガーで飲むのが癖になっていた。
 それを何も聞かずして淹れるあたり、彼女は超能力者なのだろうか。
「あれ? もしかして私が誠二君の好きな飲み物用意したのにびっくりした?」
「あー、うん。まあね」
 考えている事まで見抜くとは、紬原友里、なんて恐ろしい子……!
「そんなこと一度も言ってないからさ、びっくりしたよ」
 驚いている割にはのんびりとした口調だが、これでも誠二はかなり驚いている部類に入る。
 しかし友里はどこか気に障ったのだろう。なぜか唇を尖らせている。
「私たちが始めて出会ったの、いつだか覚えてる?」
「…………? 今日の入学式じゃ――」
「違うわ。去年よ。去年のクリスマス・イヴ」
 誠二の言葉に覆いかぶさるように、強く『出会った日』を口にする友里。
 しかし――というか当然のように誠二は戸惑う。
 去年のクリスマス・イヴと言えば色々と、本当に色々と忙しかった記憶しかない。
 なにしろ高校受験を間近に控え、単身赴任で二人とも別々の場所に飛んでいる両親からなぜか勧められた進学塾に通い詰めていた日々の一コマであれば良かったのに、あのクリスマス・イヴだけは違った。
 珍しく雪が降ったなあと思って普段通り塾から自宅へ徒歩で帰宅している最中だった。信号待ちをしていた時、降り積もった雪にハンドルを取られた乗用車がスリップ、さらにバスが一台そこに突っ込み、通行人を巻き込んでの大事故に発展した。
 運悪く事故に巻き込まれて病院送りにされたのは懐かしい記憶だ、受験に影響が出るんじゃないかと気が気ではなかったのは恥ずかしい思い出だろう。しかし、どうして怪我をしたんだったか。
 確か――女の子が衝突した余波でこっちに方向を変えたバスに押し潰されそうになるのを助けて……助、けて…………?
「あ、その顔は分かったみたいね」
「もしかして、紬原さんあの時僕が助けた子?」
「そうよ」

629 :駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6 :2010/10/24(日) 13:05:18 ID:hAxv5OGB
 まるで当然と言わんばかりにごくあっさりと、誠二の疑問に肯定する友里。
 ここで誠二は完全に思いだした。
 友里を助けたものの病院に運ばれ、気づけば彼女も隣のベッドにいたのだった。
 事故が縁を呼んだというべきか、隣同士ということで仲良く話していた気がする。
 じゃあ好きなものとか知っててもおかしくはないのか。
「ああそれよりも、助けようとしたのにあの時は怪我させちゃってごめん」
 そう言って誠二は頭を下げる。
 退院してから、少女を助けようとして逆に怪我をさせてしまったのは自分のせいだが、死ななかったのも事実であって、けれどもそれを口実に怪我が暗黙のうちに許されるわけがないと誠二は自己嫌悪に陥っていた。
 なんとなくその場の勢いで謝罪してしまったものの、なんだか胸のつかえが一つ降りたような気がする。
「そんな……誠二君が助けてくれなかったら、私、死んでたんだよ?」
 友里は頬を朱に染めている。
 初めて感情を帯びた顔の彼女に初々しさと可愛らしさを感じる。
ついでに言えば、こっちまで恥ずかしくなってしまいそうだ。
「いや、うん、まあ。でもやっぱりけじめみたいなものが必要かなって思うんだ。だから謝罪だけでも受け入れてほしい」
 そう言って正座したまま頭を下げる誠二に、友里は少しの間黙考する。
「…………じゃあ、謝る代わりに私のお願い聞いてくれる?」
「お願い?」
 代わりにお願いとは一体どういうことか。
 誠二はオウム返ししていた。
「そ、お願い。私のお願い、聞いてくれるなら許してあげるよ」
「分かった」
 けじめのつけ方が彼女のお願いを聞くことに変わっただけだ。誠二は頷いて同意した。
 友里は一度目をつぶり、深呼吸をする。
「誠二君、私は誠二君が大好きです。愛しています。だから、結婚してください」


630 :駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6 :2010/10/24(日) 13:07:34 ID:hAxv5OGB
「誠二君、私は誠二君が大好きです。愛しています。だから、結婚してください」
 目を開いて、一気に言いきった。
 その言葉を聞いた誠二はと言えば、
「…………」
 あまりの超展開さについて行けなかった。
「け、結婚?」
「そう。私は誠二君が好き。そして誠二君も私が好き。だから結婚する。おかしくないでしょ?」
「いや……前提が間違ってるような気がする」
 先ほどの友里の言葉を思い出しながら、その意味を咀嚼しながら誠二は慎重に言葉を選ぶ。
 ここで間違えたら、何かが終わる。
 紬原さんに限ってそんなことはないけど、何か嫌な予感がする。
「幾つか確かめておきたいんだけど――」
「なにかな?」
 質問を言う前に言葉を滑り込ませる友里。
 その机に身を乗り出してこちらに迫ってきそうな勢いに蹴落とされそうになりながらも、誠二は慎重に口を開いた。
「どうして、紬原さんと僕が相思相愛だって言えるの?」
「簡単なことよ。誠二君は私を助けてくれた。つまりそれは私を愛していたから。愛する人が消えるのが耐えきれなくて助けてくれた。そして私は誠二君に助けられて、そこで始めて貴方の気持ちに気付いたの。だから相思相愛。何か間違ってる?」
「間違いありまくりです」
 と言いたかったが言える雰囲気ではない。友里は身を乗り出してこちらの瞳を覗き込むように喋っているが、彼女の雰囲気はどこかおかしい。焦点が合ってないようにも思える。
「じゃあ次どうして結婚なの?」
 今度は割り込ませないために一気に言う。
 すると友里は殊更嬉しそうに明るい顔をして語り始めた。
「だって、相思相愛なら別に交際する必要なんてないじゃない。そんなもの、ただのお遊びのお付き合いだもの。それに時間の浪費だわ。より深く愛しあうために、今すぐ結婚するべきなの」
「…………」
 まさか紬原さんがこんな人だったとは、驚きである。
 だが誠二は友里が嫌いというわけではない。他の女の子と比べると異質だし(主に髪の毛が)、こんなぶっ飛んだ性格をしているが、誠意は確かに彼女に惹かれていた。
 だからこそ、と誠二は考える。
「僕も、多分紬原さんのことが好きなんだと思う。けど、それがラブなのかライクなのかまでは正直分からない。それに僕たちはお互いのことをほとんど知らない。だから、紬原さんの申し出は受け入れられない」
 そこで一旦言葉を切り、一呼吸入れる誠二。
 友里は嬉々とした表情から一変して、戸惑うような驚いたような微妙な顔をしている。
「だから、友達から始めよう」
 稚拙な結論は、多くの後悔を生む。
 物心つく頃から周りの大人たちを見ていて、誠二は漠然とそう考え、自分はそうはならないようにしなければと思っていた。
 それゆえの提案だったのだが、友里は俯き、静かに問いかける。。
「どう、して……? どうして、なの……?」
「だから、僕たちはお互いのことをよく知らないから――」
 この、今にも泣きそうで震えているか細い声。こちらに非があるような気がしてならない。
 誠二は罪悪感を覚えつつも、確固たる意志をもって理由を伝えた。が、どうやら友里にとってそれは説明のうちに入らないらしい。
「どうしてそんなこと言うの? 私たちは相思相愛なのよ? 愛の前では、なにものもひれ伏すのよ?」
 つまり性癖だろうと見ていて胸糞悪くなるような行いだろうと全て受け入れられるということか。
 そんなものは御免だ、と誠二は首を横に振る。
「なんで? どうしてなの? 
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして」


631 :駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6 :2010/10/24(日) 13:08:16 ID:hAxv5OGB
 呟きがまるで呪詛のように聞こえる。
 能面のような顔で同じ単語を繰り返し呟かれることで掻き立てられる寒気や恐怖といったものが実際こんなものだと感じてしまうことに、空恐ろしいものがあるがそれ以上に誠二はこの状況で意外と動じていない自分に軽く驚いている。
 いや、怖いものは確かに怖いのだが。
「落ち着いて、紬原さん。お互いのことをもっとよく知ってからじゃないと、すぐに結婚なんて、無理だよ。必ずどこかで歪みが生じるんだから」
「そう……そうなの…………」
 誠二の言葉にピタリと静まった友里は納得したような言動を匂わせる。
理解してくれたか、と安堵した誠二だったが、友里はいきなり声高に笑い始めた。
「ふふ、うふふ……。あはははははははははははは!」
 さすがの誠二もこの狂行には半歩引いた。
 ゆらり、と上半身を揺らして友里が立ち上がる。
「そういうことなんだね。誠二君、もう付き合ってる女の子が、ううん、無理矢理付き合わされてる子猫がいるんだね? だから私の想いが受け取れないんだよね?」
 彼女と、目が合う。
「……っ!?」
 その瞳に映るは狂気。
 次の瞬間、視界が大きく揺らぎ、気がつけば、机を挟んでいたはずの友里の顔がすぐ目の前にあった。
 飛び込んできた友里に押し倒されたのだと理解した時に、誠二の唇に生温かいものが触れた。抵抗する間もなく、歯茎を何かぬめっとしたものに蹂躙され、次いで口腔内へ侵入される。
 そこでようやく自分が何をされているのか気づいた。
 キスをされているのだ。それも、ディープだ。
 しかしここまで唐突過ぎると、色気も情緒もあったものではない。むしろ嫌悪感がこみ上げてくる。魅惑的な雰囲気に呑まれそうになったのは気のせいに違いない。
「んんっ!」
 女性に手を上げるのは甚だ不本意であるが、緊急事態だ。
 誠二は無理矢理友里を引き剥がした。
 直後、息苦しさが急にこみ上げて激しく咳き込んでしまった。
 ディープキスをされている間、呼吸ができていなかったと初めて気がつく誠二。
 あのままされていたら、と少し背筋がぞっとした。
「ゴホッ! ゲホッ! 紬原、さん……、今日のことは、口外しません。……僕は帰ります」
 努めて冷静に言い、踵を返す。
「あ……待って! 待ってよ誠二君!」
 友里の悲壮感を帯びた叫び声を背に受けながら、誠二は足早に彼女の部屋を去った。


632 :駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6 :2010/10/24(日) 13:13:10 ID:hAxv5OGB
日常に潜む闇 第2話 投下終了です

ちょっと片手間にやっていた仕事のほうが今とんでもないことになっているので、
週一の投下が難しくなるかもしれません
とはいえ本職はヤンデレに愛を捧げることなのでもちろん投下できるよう頑張ります

ヤンデレの女の子を表現するのって難しいですね。
あとは恋愛なりヤンデレなりのフラグの建て方とか、どんな病みにするかとかけっこう悩みます
次は初日に誠二君に話しかけて来た天城さん登場……ですかねえ?

633 :名無しさん@ピンキー:2010/10/24(日) 13:38:21 ID:CxpAY9Wj
test

634 :ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc :2010/10/24(日) 22:56:55 ID:mmBBP9Yf
 お待たせしました、ヤンデレの娘さんのモノです。
 ヤンデレホテル後編、投下させていただきます!

635 :ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc :2010/10/24(日) 22:57:39 ID:mmBBP9Yf
 ミスター・クレセントの笑みを見て、オリヴァー・フォレストはグラスをあおった。
 それにしても、このラウンジはずいぶんと薄暗いとオリヴァーは思った。
 明かりが見えたのは玄関先だけで、彼らのいるラウンジはムードを出すためか照明を落としている。
 まるで、人がいることを外にアピールするかのように。
 まるで、中の見られたくないモノを隠すかのように。
 思えば、この宿の人間は胡散臭い連中ばかりだ。
 無愛想な従業員。
 SMまがいの格好の女。
 そして、舞台の役者のように振舞って素の部分を、本心を見せないオーナー。
 ―――もしかしたら、自分はとんでもない所に来てしまったのかもしれない。―――
 ふと沸き起こったゾッとするような思いつきに、考えすぎだろうとオリヴァーはかぶりを振り、改めて話し始めた。
 自身の、そして三条エリという女性の物語を。








636 :ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc :2010/10/24(日) 22:58:03 ID:mmBBP9Yf
 エリを落としてからはチョー最高だったね。
 俺は留学生仲間から「畜生、上手いことロリ巨乳(英国人基準)をゲットしやがって」という視線を向けられ、エリは学生仲間から「上手いことセレブを捕まえやがって」という視線を向けられまくった。
 殺意さえ覚える視線だったが、俺はそう言う妬み嫉み羨みの視線が大好きだ!(実際、エリは大学で随分嫌がらせを受けていたらしいと後に知った)
 ただでさえ外国人(俺ら)は日本じゃ目立つし、俺の小遣いをつぎ込んでコーディネイトしたエリは相応にキレイに見えた。
 だから、自然、俺とエリは街中でも目立つカップルとなった。
 人々からの注目は、俺の自尊心を満足させてくれた。
 何より最高なのは、エリからの評価だった。
 コイツ、俺らに注目が集まるのは100パー俺のおかげで、本気で自分は俺のおまけだと思っていた。(大体あってるがな)
 だから、エリは俺の言うことを何でも本気にした。
 それ以上にエリは俺のことを本気で尊敬していた。
 「オリヴァー様は本当に素晴らしい方なのですね」
 「オリヴァー様は本当にハンサムなのですね」
 「オリヴァー様は本当に正しいのですね」
 「オリヴァー様は本当の本当に優しいのですね。
 いやー、コレ全部本気で言ったんだぜ、エリ。
 マジだった。
 目がマジだったもん。
 今まで俺と付き合った女は逆立ちしたってこんなことは言わなかった。
 俺から金を引き出すためのお世辞や太鼓もちをすることはあっても、エリほど本気で俺を凄いと思ってた女はいなかった。
 いやまー高笑いが止まらんかったね。
 え、何をやりやがったのかって?
 車を乗り回したり、映画館を貸しきったり、夜景の綺麗なレストランで昼飯食ったり…。
 ああ、そうそう。
 エッチは飽きるほどやったっけなー。
 最初はエリも初心で…つーか処女だったから、イロイロきつくて固かったが、繰り返しヤッてる内にこなれてきた。
 繰り返している内にアイツも上手くなってきて、気持ちよすぎて、何回ナカに出したか覚えて無い位だ。
 帰る頃には、これ以上無いって位相性が良かったんじゃねーの?
 まぁ、ある日エリが部屋に居ついたのは驚いたがな。
 何でも、親父さんがカタブツで、俺との関係があーだこーだ言ってエリを追い出したらしい。
 あと、よく話題に上がったのは、俺の故郷のことだった。
 中華が旨いとか女はうるさいとかそんな益体も無いコトばっか話してたような気がする。
 エリは笑顔で聞いてるんだが、時々ミョーに塞ぎこんだツラをしたものだった。(何だったんだ、アレ?)
 そんな日々も、長くは続かなかった。
 終わりを告げたのは、親父からの一本の電話だった。








637 :ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc :2010/10/24(日) 22:59:16 ID:mmBBP9Yf
 「良いニュースと悪いニュース、どちらから聞きたい?」
 その日、俺の部屋に電話してきた親父は挨拶もそこそこにそう切り出した。
 勿論、良いニュースから聞くことにした。
 好きなものは先に食うタイプだからな。
 「アイザーン社って知ってるだろ?日本のオニゴミヤ社ともでかいパイプ持ってる会社」
 そりゃ知ってるに決まっている。
 アイザーン社は海外向けの茶葉の輸出業でかーなーり儲けてる企業だ。
 その稼ぎ振りは、多大な社会貢献を理由に社長が爵位を賜ったほどだ。
 その会社の社長や家族とは何度かパーティーで会ったことがある。
 「そのアイザーン社の社長がお前のことを聞いて、是非娘さんを嫁にもらって欲しいっておっしゃっていた」
 「…ってえと?」
 「お前は美人の嫁さんと今以上のリッチ生活、それに将来の就職先の更なる利益をゲットできるってわけだ」
 そらまたどれもおいしい話だった。
 ウン、『将来の就職先』って親父の経営する会社だよな?
 「…って政略結婚って奴じゃねーか!」
 「それが何か?」
 臆面も無く言い切る親父。
 ま、そうなんだがな。
 業界じゃ珍しくない話だ。
 日本だって接待だ何だってやるのと同じようなもんだ。
 「アイザーン社と組めればとんでもない利益が見込める。そういうプロジェクトがある。それに、お前だってマイケル・ジャクソン並の贅沢ができるんだ。誰にとっても悪い話じゃない」
 あの蝶豪邸暮らしは憧れるモンがある。
 実際、アイザーン社長は英国内にいくつもの豪邸を持っている。(この街にも)
 中には、それこそマイケルの豪邸(ネバーランド)ばりのシロモノもある。
 あんな豪邸で、ハリウッド映画の悪役張りに女を侍らせてワイングラスでもくゆらせて高笑いしたら最高だろうなぁ。
 「その話乗ったぁ!」
 「それでこそ俺の息子だ!」
 電話越しにグッと親指を立てあう俺たち。
 「おし、そう言う事ならすぐに飛行機を手配しろ!結婚式の打ち合わせがある。半月以内に実家(コッチ)に戻って来い。『1人』で」
 「おっしゃオッケー!……って1人で?」
 最後に随分と強調された一言に引っかかり、俺は言った。
 「そうそう。悪いニュースってのはそっちだ。お前、そっちで随分と爛れた性活を送ってるらしいじゃないか」
 「性活って…まぁ大体あってるけど」
 親父らしくも無い、もって回った言い回しだが、どうやらエリとのことらしい。
 「別に、アイツとは『ケッコンをゼンテーに』なんていうほどマジじゃないぜ?」
 そもそも、俺らの関係ってマジで恋人同士なんだろうか?
 ご主人様と太鼓もち、&or性奴隷ってのが一番近い気がする。
 「そうかそうか、なら良いんだ。実は、俺もアイザーン社長も、お前が日本の(自主規制)と交際してるってハナシを聞いたモンでな。それがちーっとネックになってたワケよ」
 「ネックつーと?」
 「アイザーン社長曰く、互いに遊びだと割り切ってるなら良いが、お前がその日本人に対してもし万一少しでも本気だってのなら娘をやれんと」
 「つまり?」
 「その日本人とサクっと別れてこい。可及的速やかに後腐れなく。間違っても連れてこよーなんざ考えるな。ンでもって二度と接触しないようにしろ。俺と違ってアイザーン社はスキャンダルとかに過剰反応するから」
 要は、エリとはこれっきりってことか…。
 ちょっと惜しいよなぁ。
 俺の嫁、アイザーン社の娘とは前に話したことはあるにはあるが、余所行き0円スマイルの裏にそこはかとなくツンケンしたオーラを感じた。
 それに比べて、エリはうるさくないし、素で太鼓もちもできるし、ストレス解消にもなるし、床上手だし、何よりミス・アイザーンより胸がでかい。
 ボインちゃんなのは男としてはずせないポイントだ。
 でも、会社のためにも、何より俺のセレブ生活のためにも、アイザーンの金は欲しい。
 これは外せない。

638 :ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc :2010/10/24(日) 23:00:15 ID:mmBBP9Yf
 「なぁ、親父、その日本人を愛人にするとかは駄目?」
 「駄目」
 「じゃあ囲うとか」
 「駄目、って言うか同じだろ」
 「性奴隷」
 「現代に奴隷制は無い」
 「ハーレム」
 「無理」
 「雌犬」
 「人権団体を敵に回す気か!」
 「んじゃあ雌豚」
 「阿呆か!」
 そんな説得(?)かれこれが15分ほど続いた後、俺は爽やかな笑みを浮かべて言った。
 「ンじゃあ、サクっと別れておくわ」
 「おう、未来永劫別れてこい」
 そう言って、俺は電話を切り、最初から『隣にいた』エリに目を向けた。
 「ンで、エリ…」
 何かを言いたそうに口をパクパクしている彼女の台詞を先取りして言ってやろう。
 「示談金は、いくら欲しい?」
 エリは、何も言わなかった。 








639 :ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc :2010/10/24(日) 23:00:42 ID:mmBBP9Yf
 まぁ、とにかく俺は晴れて、アイザーン家の別荘のあるこの町のセレブな教会でセレブな婚約者とセレブなウェディングを迎えたわけよ。
 花婿衣装の俺、マジイケメンだったぜ…。
 それが今日の話。
 そして、その夜セレブ婚約者改めセレブ妻(なんかエロいなこの表現)と結婚初夜となるはずだったわけ。
 初夜、すなわち処女。
 ナデシコみたくどう染め上げてやろうかとワクテカしながら俺は妻の部屋に向かった。
 部屋には艶っぽい顔の妻が笑顔で待っている。
 そう期待していたし、その筈だった。
 「…お待ちしておりました、オリヴァーさん」
 俺が妻の部屋に入った瞬間、その期待は破られた。
 開け放たれた窓。
 ダイレクトに聞こえる雷鳴。
 荒らされた部屋。
 血を流す妻。
 そして、
 ナイフを持ったエリ。
 正直、ワケが分からなかった。
 ワケが分からなくて分からなすぎて、
 「何でお前、そこにいるの?」
 そう聞くのがやっとだった。
 「…ほめてください、オリヴァー様」
 それが、エリの言葉だった。
 答えですらねぇ。
 「…今、オリヴァー様をたぶらかした女狐を退治していたところなんです。全部全部全部この女狐が悪いんですよね?そうでなければ、優しい優しいオリヴァー様が私を捨ててしまうはず無いんですもの」
 そんな設定は無ぇ!とツッコミを入れられるふいんきじゃ無かった。
 むしろ、一言さえも言えないような威圧感を感じたね。
 虚ろな目で、手に血まみれナイフ持って口だけしか笑っていない。
 俺の知るエリとはまるで別人だった。
 「ずっとずっとずっと寂しかったんですよ、オリヴァー様?」
 俺のことを半ば無視して一方的に言葉を投げかけるエリ。
 「何も言わずに私を捨ててどこかへ消えてしまうのですから。この女狐との挙式を知ったときは、正直何度死んでしまおうかと思ったことか」
 袖をまくり、白い腕に付けられたいくつもの切り傷を見せ付けるエリ。
 「けれど、気づいたんです。私とオリヴァー様の障害をすべて排除してしまえばいい。そうすれば、私は幸せになれる。オリヴァー様も私との約束を破ることも無くなる」
 約束?ああ、コイツと添い遂げるとか言ったような言わなかったような。
 「それにしても、この世界には障害が多いのですね。あなたのことを諦めるように言った友人たち。あなたのご実家に尋ねてきた私を門前払いにしたあなたの両親。それに―――お金」
 「どう…して」
 言葉を絞りだすのもやっとだった。
 「だってそうでしょう?お金の差があるから、私とオリヴァー様が釣り合わないなんていう輩が出る。この女狐もお金があるから堂々とオリヴァー様を私から奪った。お金があるからオリヴァー様も贅沢な生活に堕落し、―――私に優しくしてくれなくなった」
 そして、スッとナイフを俺に向けて言った。
 「お金があるからいけないんです。私と一緒にお金の無いセカイに―――天国に行きましょう?」
 その一言で、俺の緊張の糸は切れた。
 「NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!」
 恥も外聞もそこに倒れている妻も捨てて、ほとんど悲鳴みたいな声を上げて回れ右して逃げてたね。
 「フフ、鬼ごっこは嫌いじゃないですよ…、オリヴァー様」
 そして、ユラリとエリは俺を追いかけてきた。









640 :ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc :2010/10/24(日) 23:02:25 ID:mmBBP9Yf
 「それが、かれこれ2時間前だ」
 グラスをテーブルの上において、オリヴァーは話し終えた。
 「ねぇ、クレセント」
 今まで黙って聞いていたレディ・クレセントが言った。
 「やっぱり叩き出しましょうよ、この最低男」
 「レディがそう言うなら」
 「俺は客だぞ!被害者だぞ!」
 ヴァイオラと共にオリヴァーを追い出しにかかるミスター・クレセントにオリヴァーは叫ぶ。
 「被害者か」
 「被害者?」
 「被害者(笑)」
 クレセント、ヴァイオラ、レディが次々と容赦の無い言葉を投げかける。
 レディが一番容赦無かった。
 そのやり取りを仕切りなおすように、クレセントはパンパンと手をたたいた。
 「とはいえ、お客様は神様。ミスター・オリヴァーを雨の中放り出すわけにはいかない。一日(イチニチ)と言わず、二日(フツカ)でも三日(ミッカ)でもこちらにいて頂きましょう」
 クレセントの言葉に、ブンブンと首を縦に振るオリヴァー。
 「ああ、アイツがどうにかなるまで正直ここから出る気もしねぇ。しばらく、匿ってくれ」
 オリヴァーは言った。
 「しばらくと言わずに、今後ずっと未来永劫居てくれても構わないのだがな」
 ニィ、と笑顔を深くして、彼は言った。
 「それでよろしいかな、ミス・三条」
 オリヴァーの後ろを見て。
 そこには、一人の女性がいた。
 東洋系の面立ち。
 豊かな胸。
 おかっぱに切りそろえられた黒髪。
 「エリ…サンジョウ…」
 「お待たせいたしました。オリヴァー様」
 うつろな目のまま、にっこりと笑うエリ。
 「ミス・三条がここに来たのは、ミスター・オリヴァーより少し前のことでして…」
 聞いてもいないのに、ミスター・クレセントが言う。
 まるで、演劇の口上(ナレーション)のように。
 「酒のツマミを買いに行こうと外に出たら、何と見事なビショ濡れおかっぱレディが居るではありませんか。どうにもただならぬ様子だったのでこちらにお招きした―――ミスター・オリヴァー流に言えば『匿った』というわけでございます」
 「アンタ、おかっぱ萌えだったの?」
 「『萌え』とかではないさ。ただ、故郷の妹を思い出してね」
 呑気なやり取りをするクレセントとレディに、自分で買いに行ったのかよ、とは突っ込めなかった。
 「お前…まさか最初からすべてを……」
 冷や汗をかきながら、オリヴァーは言葉を絞り出す。
 「これ見よがしに煌々と明かりを灯していれば、もしかしたら来てくれるかもとクレセントさんが仰ったんです。まさか、本当に来てくださるとは思いませんでしたわ…」
 答えたのはエリだった。
 「き、きさ…」
 喘ぐように、オリヴァーが言う。
 それは、誰に対する言葉だったのだろうか。
 エリか、それともクレセントか。
 「さあ、参りましょう?オリヴァー様」
 そう言って、エリは手に持ったナイフを振りあげ、オリヴァーに向かって駆け出す。

641 :ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc :2010/10/24(日) 23:04:36 ID:mmBBP9Yf
 「ふ、ふざけるなぁ!」
 オリヴァーがエリのナイフを持った手を押さえる。
 「たくさん良い目も見せた!金も使ってやった!なのにどうしてお前は俺の生活をブチ壊すんだよおおおおおお!」
 オリヴァーの言葉に、エリの目に炎が宿る。
 「そんなものはいらなかった!!物もお金もいらなかったのに!!!あなたは私が一番欲しいものをくれなかった!!!!どうして私の気持ちを分かってくれないんですか!!!!!」
 手を押さえられたまま、もがくエリ。
 「お前の気持ちなど知るか!俺はこのまま偉くなって、たくさん贅沢をして、女だって、たくさん……」
 「そんなものがあるから!あなたはおかしくなって!!だから私が、私が元に!!!優しいあなたに!!!!」
 「訳のわからないことを!」
 平行線だった。
 もう少し早く、2人が互いの思いをぶつけていたら。
 もう少し早く、2人が互いを理解しようとしていたら。
 それは、今となってはどうしようもないこと。
 裏切りと、刃。
 取るべきではないモノを取った瞬間に、2人は終わる他無かったのかもしれない。
 「死にたいんだったら、お前1人で死んでおけ!」
 そのオリヴァーの言葉に殺意は無かったのだろう。
 ただ、勢いのまま出た言葉で。
 けれど、まるで示し合わせたかのように。
 その言葉と同時に、もがいているエリの右手が、エリのナイフが、彼女の胸に向かって―――
 「…おめでとう…」
 彼女の胸に向かって突き刺さろうとしていた刃を止めたのは、ミスター・クレセントだった。
 「おめでとう、ミス・三条。あなたは今!この瞬間!!当館最高級のスーペリアロイヤルスイートルームを半永久的に使用する権利を手にいたしました!!!」
 状況を無視して、声を張り上げるクレセント。
 「何を、訳の分からないことをぶれ!」
 オリヴァーはツッコミを入れようとするが、レディ・クレセントに首に手刀を食らわされて気絶する。
 「しっかし、つくづくひどい男ね。ひどすぎて、あなたが殺す価値もないわよ?」
 そう言って、目隠しに覆われた目をエリに向ける。
 オリヴァーを侮辱する言葉に、エリの表情が少しだけ歪む。
 「怒った?まぁ当然か。でも、貴女があのまま殺していたら、私は一生この男を軽蔑し続けるわ」
 一触即発の2人に割り込むように、クレセントは言葉を続ける。

642 :ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc :2010/10/24(日) 23:05:31 ID:mmBBP9Yf
 「さて、お客様。スーペリアロイヤススイートは当館きっての防犯防災防音設備を誇ります。日当たりはいささか悪いが―――この先未来永劫、誰も貴女たち2人を脅かすことの無いことを、私の本名に賭けて保障しましょう」
 「ぶっちゃけ、設備が上等なだけの地下室だけどね」
 舞台役者のように芝居がかった所作で、エリだけを見るクレセント。
 隣では、クレセントと手錠で繋がった女、レディ・クレセントが呆れた表情を向けていたが、それはさておき。
 「本当に、何も私たちを脅かさないんですか…?それに、半永久的って…」
 エリが言う。
 「文字通り!未来永劫使用する権利だ。そこにいれば金だろうが金持ちだろうが二度と君たちを引き裂くことはない!!当然宿泊費用はかかるが…ココで住み込みで働いてくれればこと足りる」
 一気にまくしたてるクレセント。
 「二度と……引き裂かれない……」
 クレセントの言葉を反芻するエリ。
 「正直、お客様にこれを切り出そうか切り出すまいか今の今まで迷っていたが、先ほどの勇敢な行動!堕ちた恋人を是正しようという健気さ!貴女ほどスーペリアロイヤススイートにふさわしい人はいらっしゃらないと、私確信いたしました!」
 大げさな身振りで言うクレセントが言う。
 「勇敢…?健気…?」
 再度、クレセントの言葉を反芻する。
 「私は…正しいのですか……?」
 エリが言った。
 こんな凶行に及ぼうとも、彼女は心のどこかで自分の行いに疑問を持っていたのかもしれないと、レディ・クレセントは思った。
 人は、そう簡単に狂いきれるものではないのだから。
 「EXAACTLY!(その通りでございまっす!)」
 ビシィっとポーズを取るクレセント。
 「でも…私お金なんて…」
 と、言うより三条エリはお金なんて嫌悪憎悪するモードに入っている女である。
 「フフ…お金など…。泊る代わりに少々こちらで働いてくれれば事足りる」
 「何かすごいこと言ってるみたいだけど、『部屋代は働いて払え』って言ってるだけよ、この男」
 人のよさそうな笑顔を崩さないクレセントの横で、レディが言う。
 「まぁ、そうだが」
 レディの言葉をあっさり肯定するクレセント。
 「さて、どうするお客様。泊りますか、泊りませんか?」
 そう言って手を伸ばすクレセント。
 その隣で、レディは言う。
 「私達は、泊れとは言わない。この男を殺すのも手段の一つだとも思う。けれど、ココにこの男を閉じ込めるなんてロクでも無い手段を使ってでも2人で生きるのも―――まぁ、手段の一つなんでしょうね」
 苦笑を浮かべるレディ。
 その口調に、エリはふと思う。
 彼女の言う『ロクでもない手段を使ってでも2人で生き』ているのが、彼女とクレセントなのではないか、と。
 「選べ。―――互いを殺して何も生まれぬ終わりにするか、この世という生き地獄で終り続けるか」
 クレセントは、生き地獄を選んだ方の男は、エリに向かって言う。







 かくして、クレセント・インにまた「2人」の宿泊客が増えたのであった。









The End....?

643 :ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc :2010/10/24(日) 23:07:03 ID:mmBBP9Yf
 おまけ
 「ちょ、お前ら、離せ!!」
 「…これからは、ずっと一緒ですわ、オリヴァー様」
 「俺は、これからスーパーミラクルアルティメットセレブとして幸せに…」
 「幸せにおなりなさい、ミス・三条」
 「…ありがとうございます、ミスター・クレセント」
 「いえいえ。案内のほうを頼むぞ、ヴァイオラくん」
 「分かりました。…ハァ、これで恋人と過ごす時間が減る」
 「まぁそう言わないでくれたまえ」
 「お前ら、俺を無視して話を進めるなぁ!俺は主役だぞ!?」
 「ところでオリヴァー様、産まれてくる子供の名はいかがいたしましょう…?」
 「お前妊娠してんの!?って言うかこのタイミングで明かすか普通!?」
 「ごめんなさいオリヴァー様…。日本にいる間に言っていたら、絶対堕胎するように言われると思ったので…」
 「当たり前だ!」
 「最後まで最低ねぇ、この男」
 「お客様方、スーペリアロ(以下略)はこちらになります」
 「さぁ…、参りましょう、オリヴァー様」
 「ハハハハ!それでは、一先ずのお別れといこうか、ミスター・オリヴァー」
 「ク、クレセントぉ!お前、覚えてろよ〜〜〜〜〜〜!!」
 ぎぃぃ・・・ばたん
 ヴァイオラに案内され、オリヴァーとエリは賑やかに、地下室の闇へと消えた。
 「まったく、相変わらず女の子に甘いわね」
 2人の後ろ姿を見送ったレディがため息をついた。
 「フフ…そうでもないさ。こちらの事情もあるしな」
 クレセントは言った。
 三条エリのような女性を『スーペリアロイヤルスイート』という地下室に迎えたのは初めてではない。
 と、言うより、ヴァイオラをはじめとするクレセント・インの従業員はそうした女性たちばかりで構成されている。
 ある女性は恋人と結ばれる手伝いを(非合法手段込みで)してもらい、ある女性はエリのように恋人を監禁させてもらい、そしてある女性は愛する者のために犯した犯罪の証拠を隠滅してもらった。
 つまり、この宿の従業員にとって、クレセントは恩人であり―――同時に共犯者でもある。
 共犯者なれば、たとえこのクレセント・インの隠し事を知ったとしても、クレセントの味方とすることができる。
 例えば、地下室の最初の住人のこと。
 例えば、地面深くに埋められた死体のこと。
 例えば、レディ・クレセントの素性のこと。
 もちろん、自称紳士のクレセントとしては彼女たちの意思を尊重したいとは思っているのだが。

644 :ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc :2010/10/24(日) 23:07:59 ID:mmBBP9Yf
 「けれど、あの人―――三条さんである必要は無かった」
 レディは詰問するような口調で、クレセントに言った。
 「私たちに、会った犯罪者を誰も彼も匿う理由も余裕もない。そうでしょう?」
 スゥっと、顔を近づける。
 「今回みたいな厄介そうなケースはとっとと警察に突き出しても良かった。厄介事は、このホテルにとってもリスキーだもの」
 そう語るレディの瞳は、今どんな風になっているのだろうとクレセントは思った。
 「何が言いたいんだ、レディ?」
 答える代わりに、レディはクレセントをソファに押し倒した。
 「もし、もしよ、クレセント。アンタがあの女、三条エリに心変わりしていたというのなら―――」
 馬乗りになったレディの、白く細い指が同じく白いクレセントの首にかかる。
 「私はあなたを許さない」
 それは、ひと際冷たい声だった。
 「…永遠にないさ、心変わりなど…」
 クレセントがそう言った瞬間、二人の上下が逆転する。
 「…今回は、僕がこの宿のオーナーになったのはこの状況を作り出したのは、君といるため以外無いんだから…」
 クレセントが、レディの、行方不明となったこの屋敷の縁者で唯一の生き残りの女性の耳元で囁いた。
 彼女にしかさらさない、20歳の青年らしい口調で。
 「…少し、酔いが冷めてしまったね。飲みなおそうか…」
 体を起こし、クレセントが言う。
 「そうね」
 クレセントの体を、レディが抱き寄せた。
 「私を酔わせて―――あなたの愛で」
 そう囁くレディのルージュが、闇に映える。
 「…ああ……望む所だ」
 白い歯をのぞかせ、クレセントが笑う。
 そして、2つの唇が重なり合う。

645 :ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc :2010/10/24(日) 23:08:21 ID:mmBBP9Yf







 英国のとある街にある宿。
 住人全員が行方知れずとなった貴族の屋敷を改装した建物。
 看板は血濡れた三日月の意匠。
 狂気と狂喜を孕んだ客が集う場所。
 去る者は許すが来る者は決して拒まない。
 オーナーは謎めいた男、ミスター・クレセント。
 建物の名をクレセント・イン。
 またの名を――― 
 『ヤンデレホテル』




Never End!

646 :ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc :2010/10/24(日) 23:12:36 ID:mmBBP9Yf
 以上になります。
 クレセント・インの裏事情についてはツッコンで書くと暗くなりそうなので、こういう形になりました。
 詳細については皆様で想像していただければと思います。
 次は、ボンクラ兄貴の三日月宿でなく、緋月三日と千里の物語でお会いできればと思います。

647 :名無しさん@ピンキー:2010/10/24(日) 23:45:06 ID:9/i/2+/4
gj!
ヤンデレ娘の方も期待してる!


そしてヤンデレ数学教師キター

正解は「妹を殺す」小学校で不適切なクイス
因みにソースはmixiニュースな

648 :名無しさん@ピンキー:2010/10/24(日) 23:56:06 ID:UgtCNPXi
何がヤンデレだ死ね

649 :名無しさん@ピンキー:2010/10/24(日) 23:57:11 ID:TKWLTO69


650 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 00:37:22 ID:6llj3Eok
>>646おもしろかった!GJ!!
>>647IDが特徴的だな

651 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 01:04:32 ID:9vDha7iK
いやこれはクソだろ
男のキャラが生理的に受け付けない
NTRモノ必死に叩く暇あったらこういう糞SS叩けよ

652 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 01:06:39 ID:JRNKP+7m
俺はおもしろいと思ったけどな〜

653 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 01:07:52 ID:0pnw3uxt
必死っすね(わらっ

654 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 01:12:50 ID:G9XDYPkE
作者必死過ぎだろ…

655 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 01:40:32 ID:ge5mUvm/
何故そのようにイチイチ叩くのかと
読ませてもらっている身だろうが
叩く暇があったら作品を出せ作品を。

656 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 01:54:46 ID:9vDha7iK
>>655
何故そのようにイチイチ叩くのかと
→単純にクソだから

読ませてもらっている身だろうが
→投下させて頂いてる、読んで頂いてるの間違いだろ?

叩く暇があったら作品を出せ作品を。
→批判するならお前がやれってのは話のすり替えだよね

657 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 01:56:33 ID:+t5djOQy
嫌なら見なきゃいい話なのになんで叩くとか出るんだろう
ただ荒らしたいだけのゴミなんだろうけど

658 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 02:08:40 ID:dNCQZMB0
>>656
>作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。

クソって言う暇があるならどこを直したら良いかを書け
合わないなら読まずに飛ばせばいいだけの話だろ

作者の皆さんGJです

659 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 02:22:26 ID:ToS2z8KU
読んで頂いてる・・・?いったい何様?      

660 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 02:27:17 ID:H9/Yddw1
>>1
ここに「男のヤンデレは基本NG」と書いてあるんですけど…
ちゃんと注意書き読みましょうね…

661 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 04:43:46 ID:fsuyAcia
>>655の言っている事は間違っていないのに批判する>>656お前は
餓鬼じゃないなら自分がそう思っても
黙っていることくらいわかるだろ•••

662 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 05:10:38 ID:kjpgotZt
クソかどうかは個人の価値観で変わってくる物だろ。
ただ叩くなら作品出せってのはちょっと間違ってねーか?

663 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 05:11:26 ID:H9/Yddw1
地球温暖化だな……

664 : ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/25(月) 05:44:58 ID:+5guJgzA
いつも保管庫への更新、ありがとうございます。
現物支給の第3話を投下します。

665 :現物支給 ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/25(月) 05:46:06 ID:+5guJgzA
陣氏が、恐る恐るリビングを出て玄関に向かうと、廊下でフェルデリアに出くわした。
「あ、ご主人様。お目覚めになりましたか」
「今のインターホンでね……フェルデリアの召使いの、アレウナさんって人が来ちゃってるよ」
「やっと来ましたか。早速入れてやりましょう」
「え? その格好で会うの!?」
陣氏は驚愕した。
フェルデリアは全裸のまま、陣氏の買ってきた首輪を着けている。それ以外、身に着けているものと言えば、頭のティアラとイヤリングぐらいだ。
とてもではないが、人に会う格好ではない。
「俺がリビングに案内しとくから、服を着てこいよ」
「必要ありません。わたくしがご主人様の性欲処理奴隷であることは、既に伝えてあります。服など着ていたら、わたくしが奴隷の役目を果たしていないのではと、誤解を抱くかも知れません」
「是非誤解してほしいところなんだけど……」
そうしている間にも、ピンポンピンポンとインターホンは鳴らされていた。
「今出ます。少し待ってください!」
陣氏は玄関のドアに向かって叫んだが、フェルデリアが勝手にドアを開けてしまった。
「遅かったわねアレウナ。入りなさい」
「ひいっ!」
陣氏は慌てたが、もう遅い。外には金髪の、20代前半と思われる修道女が立っていた。
背は、フェルデリアよりも若干低いぐらいだろうか。それでも陣氏よりは大分長身だろう。
修道女アレウナはフェルデリアの姿を見て、案の定目を丸くしていた。
「姫様……」
陣氏は急いでフェルデリアの前に立ちふさがり、彼女の姿を隠した。
「あの、初めまして。朝霧陣氏です。これはですね……」
「これはご丁寧に」
修道女は、陣氏の言葉を最後まで聞かず、一礼して歩み寄って来た。
「中に入れていただいてよろしいでしょうか?」
言葉遣いこそ丁寧だったが、陣氏を見下ろす視線は力強く、拒否は認めないという物腰だった。
――こりゃあ、フェルデリアが奴隷になったことで相当怒ってるな……
考えるまでもなく、それが当然だった。自分の仕えている王女が異国の男の奴隷にされて、何も思わない方がどうかしている。
――きっと、フェルデリアを解放しろって言いに来たんだろうな。
それ以外考えられなかった。もっとも、それは陣氏にとって好都合だ。
アレウナの要求に従うという形にすれば、フェルデリアを解放する大義名分ができる。
――後は、アレウナさんがフェルデリアを説得してくれることを祈るばかりだな。
わずかの間にそれだけ考えた陣氏は、アレウナを家の中に招き入れることにした。
「どうぞ。お入りください」


666 :現物支給 ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/25(月) 05:47:15 ID:+5guJgzA
「改めまして、お初にお目にかかります。わたくし、フェルデリア王女にお仕えしております、修道女のアレウナと申します」
シスター服を着たアレウナは、ソファーに座ったまま、対面に座る陣氏に頭を下げた。
ちなみに、フェルデリアは陣氏の傍らに侍立している。王女が立っていて、召使のシスターが座っているという、何とも珍妙な光景だった。
「どうぞ……」
陣氏は、キッチンから持ってきた急須で、アレウナの前のカップに紅茶を注いだ。
そして、自分の前のカップにも注いだ。
フェルデリアは、黙って立っている。
『そのような給仕仕事はわたくしがいたします』とでも言うかと思いきや、自分の召使いにお茶を淹れる気にはならなかったようだ。
さらに言うと、陣氏としても、アレウナに飲んでもらうために紅茶を用意したわけではなかった。
おそらくアレウナは、陣氏に対して相当な嫌悪感を持っているだろう。その陣氏が淹れたお茶を素直に飲むはずがない。毒でも入っているのではと疑っているはずだ。
それでも用意したのは、最低限の礼儀だと思ったから。念のため、同じ急須に入れてきたのを飲み、毒身までして見せる心算だった。
が、そのような陣氏の気遣いは、全く無駄に終わった。
陣氏が自分のカップに紅茶を注いでいる間に、アレウナが何の躊躇いもなく彼女の分を飲んでしまったからである。
「あ……」
「何か?」
「いえ、何でも……日本にはいつ着かれたんですか?」
気を取り直して陣氏が尋ねると、アレウナは答えた。
「ずっと日本の教会におりました。国で反乱が起きたとき、わたくしはいち早く脱出するよう姫様から命じられ、縁のある教会に身を寄せていたのでございます」
「そうですか……」
陣氏が傍らのフェルデリアを見ると、彼女は頷いていた。アレウナの言うことは間違いないようだ。
「……で、フェルデリア王女のメールを見て、こちらにいらっしゃったんですね?」
分かり切ったことだったが、あえて陣氏は聞いた。
できればそんなものはすっ飛ばして、ここに来た要件を早くアレウナ自身の口で言ってほしかったが、物には段取りというものがある。
「そうです。姫様が朝霧様の奴隷になられたと聞いて、取るものも取りあえず、やって参りました。ああ姫様、何というお姿に……」
アレウナは、フェルデリアの方を見て目頭を押さえた。
「あっ……アレウナさん。お気持ちはよく分かります。ショックですよね。しかし、フェルデリア王女がいつまでもこの境遇かと言うと、必ずしもそうとばかりは言い切れない部分がなきにしも非ずでして……」
陣氏は、アレウナを慰めながら、彼女が要件を切り出しやすいように話の方向を持って行った。
これでアレウナは、『フェルデリアを解放しろ』と陣氏に要求できるだろう。
「アレウナ」
そのとき、フェルデリアが口を開いた。
「早く要件を言いなさい。余計な無駄話は、ご主人様に失礼よ」


667 :現物支給 ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/25(月) 05:47:58 ID:+5guJgzA
いや、別に無駄じゃないんだけど。陣氏はそう言おうとしたが、先にアレウナが話し始めた。
「そうでした……申し訳ございません。今日ここに参りましたのは、朝霧様にお願いがあってのことでございます」
「承りましょう」
やっと本題だ。陣氏はほっとして、ソファーに座り直した。
「はっきりと申し上げます。いかに王家の恩人がお相手であろうとも、王女ともあろうお方がこのような姿になっているのは、見るに耐えません」
「ですよねえ」
陣氏は同意して頷き、紅茶を口に含んだ。
「どうかお願いです。姫様お1人を奴隷にするのではなく……」
「?」
「わたくしも奴隷にしてくださいませ」
ブーッ!!
陣氏は空中に向け、勢いよく紅茶を噴き出した。
ベージュの霧と相まって、見事なカラーリングの虹がリビングにかかる。
「何でそうなるの!?」
驚愕のあまり、丁寧語にするのを忘れて陣氏は抗議したが、アレウナは涼しい顔で答えた。
「姫様お1人を奴隷の境遇に置いておくなど、お仕えするものとして到底耐えられるものではございません。何とぞわたくしも、同じ奴隷となって、苦しみを分かち合いとうございます」
「…………」
陣氏は何も言えず、口をパクパクさせた。
これでは、事態が何も改善しない。むしろハイスピードで悪化している。
「ご主人様がわたくしへの調教を減らさない範囲でなら、いいでしょう」
「フェルデリア! 勝手に許可しないで!」
「駄目なのですか? ご主人様」
「駄目に決まってるじゃん! 大体普通なら姫様を解放しろとか何とか……」
「わたくしでは、朝霧様のご調教に耐えられないと、そう仰るのですね」
「え?」
陣氏はフェルデリアを振り返った。
見ると、アレウナが立ち上がっている。
「あの、そういうことじゃなくてですね……」
「お気遣いは無用です。ご覧ください」
そう言うと、アレウナはシスター服を無造作に脱ぎ捨てた。
「うげえっ!」
思わず陣氏は、悲鳴を上げる。
シスター服の下に、アレウナは何も着ておらず、ただ股間に金属製の貞操帯だけを着けていた。そしてその体中に、傷痕や痣、蚯蚓腫れがあった。
フェルデリアに勝るとも劣らない巨大さの乳房の先端には、金色のピアスが2つ、光っていた。
「何それ……?」
「背中にもございます」
アレウナが背中を向けると、確かにそちらにも傷が多数あった。
そして、背中一杯に、十字架に磔になった人が刺青されている。
よく見ると、磔になっているのはアレウナ自身だった。
ちなみに、背中の上半分、すなわち自分の手が届かないところには、何の傷もなかった。
「…………」
「自らを戒めるため、日夜己の体に責めを行っております。朝霧様のどのような拷問にも、耐えてご覧にいれます」
絶句している陣氏に、得意げに説明するアレウナ。


668 :現物支給 ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/25(月) 05:50:35 ID:+5guJgzA
「諦めてください、ご主人様。アレウナは一度こうと決めると、梃子でも動きませんから」
他人事のように言うフェルデリア。
しかし、陣氏としてはそう簡単に諦めるわけには行かなかった。
「か、か、神に仕えるシスターを奴隷にするのは、宗教的に差し障りが……」
「いいえ。これは神がわたくしに与え給うた試練。朝霧様の奴隷としての生涯を全うしてこそ、信仰の道に適うのです」
物は言いようにも程がある。陣氏は次の手に打って出た。
「うちには金がないんだ。2人も食べさせられない」
「ああ、申し上げるのが遅れました。それでしたら全く問題ございません」
アレウナは、自分が持ってきたハンドバッグに手を突っ込むと、無造作に何かを取り出し、テーブルの上にボトボトボトと落とした。
「うそーん」
陣氏は固まった。
テーブルにあるのは、正真正銘の紛れなき、1万円札の束また束ではないか。
「こいは一体、何でごわすか……」
もはや標準語をしゃべることもままならず、西郷どん口調で陣氏は尋ねた。
「スイスの銀行に隠してある、王室の隠し財産です。今は天井知らずの円高ですので、とりあえず必要と思われる分だけ、日本円に換算してきました。足りなければ、後でいくらでもご用意します」
陣氏の全身から、どっと冷や汗が吹き出した。
もう、アレウナの申し出を断る大義名分がない。
そればかりか、昼間、フェルデリアの買い物要求を断ったときの言い訳、『金がない』も今日以降は完全に潰されることになる。
「あうあうあ……」
「さあ。わたくしを奴隷とお認めください」
「ご主人様、往生際が悪いですよ」
「致し方ありません。こういたしましょう」
アレウナは陣氏に、1つの鍵を手渡した。
「これは……」
「わたくしの貞操帯の鍵でございます。今から1時間、朝霧様はお好きなようにわたくしを凌辱、拷問なさってください。命令でも結構です。一切抵抗、拒否はいたしません。
わたくしがギブアップすれば、奴隷になるのは諦めます。1時間わたくしをギブアップさせられなければ、奴隷と認めていただきます」
「え? それはちょっと……」
「いいわね。そうしましょう」
「では姫様。時間のカウントをお願いいたします」
「待て。カウントはいかん。話せば分かる」
「はい。スタート」
どこから取り出したのか、フェルデリアはストップウォッチを持っていた。無情にもスイッチが押される。
「ええと、ええと……」
どうしてよいか分からず、右往左往する陣氏に、フェルデリアがそっと語りかけた。
「まずは、貞操帯を剥ぎ取って床に這いつくばらせ、鞭で叩くのが定石かと」
「鞭なんかないよ」
「昼間ご主人様が買わなかったからです。自業自得ですね」
もう、身も蓋もなかった。

…………

「……ギブアップ」
1時間後、陣氏はそう呟いて、床にどうと倒れ込んだ。
何もしなかった訳ではない。鞭の代わりに平手で、アレウナの豊満なヒップを叩いてみたりした。
しかしアレウナは、「ああんっ!」とか「いいっ!」とか悲鳴を漏らして体をくねらせるばかりで、ギブアップのギの字も言わなかった。
拷問の知識など全くない陣氏はどうすることもできず、時間切れとなったのである。
横たわる陣氏を見下ろし、フェルデリアとアレウナは語り合った。
「姫様、これでわたくしも、晴れて朝霧様の奴隷ですね」
「ええ。まずは首輪を買っていただかないとね。ああ、いけないわ。奴隷契約書も……」
しかし、精魂尽き果て失神した陣氏の耳に、それらの声が届くことはなかった。


669 : ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/25(月) 05:51:21 ID:+5guJgzA
以上です。
次回は触雷!を更新する予定です。

670 : ◆0jC/tVr8LQ :2010/10/25(月) 06:03:54 ID:+5guJgzA
申し訳ありません。誤字がありました。
>>667
×陣氏はフェルデリアを振り返った。
○陣氏はアレウナを振り返った。
でお願いします(汗)



671 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 06:11:34 ID:uhDL9Z/k
GJ!

672 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 10:21:36 ID:H9/Yddw1
GJ!!どMとは恐れ入った……

673 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 16:27:32 ID:K5sMQg7+
GJ!

674 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 17:37:31 ID:O5XotUqA


675 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 19:16:22 ID:tBiBROym
gj!
このままじゃ奴隷にしっかり調教されてしまうな

676 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 20:55:31 ID:XcobTpB4
























677 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 21:00:22 ID:H9/Yddw1
触雷!も楽しみだが、風雪も楽しみだー

678 :白い翼 ◆efJUPDJBbo :2010/10/25(月) 21:44:06 ID:glMUx4YO
白い翼 第四話、投下します。
今回は過去編(一応現在と過去の交互でやってます)ですので、
ヤンデレ性は少なめです。

679 :白い翼 ◆efJUPDJBbo :2010/10/25(月) 21:44:56 ID:glMUx4YO
〈あたかも無様たる過去の狂人〉
赤――紅―――アカ―――
染まりきっていた……俺の顔が、髪が、体が、世界が、一色に。
 「弱いぜ、弱い、弱すぎるぜ! てめえら!」
向かってくる数人の男たちを、俺は何一つ危なげなく倒していく。
……殴る、蹴る、壊す―――そして、さらに世界のアカ″は増す。
 「クハハハハハァ!」
―――夜中、路地裏の広場に咆哮が轟く。
辺りに十数人の男たちが呻いている中で、あたかも壊れたスピーカーのごとく、俺は笑い続ける。血を浴び続ける。……いつも通りだ。
己の世界を、何人にも手の届かない気高き聖地へと近づけるために。
 「あっれーこれで終わりかよ………………くっだんねえなあ」
そこら辺に横たわっている奴ら……県一の強さを誇ると言われていたやつらを相手にしても、俺は一撃も食らうことすらなかった。相手にもならなかった。
 「…………………チッ」
所詮はこんなものか……と、俺は少し苛立ち、そこら辺の男を一発蹴っておく。
 「ガ………ァアアア」
なんか叫んだようだったけど……俺の知ったことじゃない。くだらない。
 「………行くかな」
もうここには用はない……。
そう思った俺は、この路地裏を立ち去ろうとした。
 「あ、兄貴ーー!」
しかし、俺の足は止まる……後ろから声が聞こえたからだ。
 「……葵か」
俺は振り返りながら、その人物の名前を呼ぶ。
華奢な体―――白い肌、ちょっと癖がかかったショートカットの茶髪、この可愛らしい声、そしてただいま絶賛成長中(だったらいいなぁ)のAカップの胸……間違いない。
〈夕凪葵〉(ゆうなぎ あおい)だ。
 「あ、兄貴ぃ〜、あたし、毎回言ってるじゃないですか。血塗れの格好のまま街を出歩くようなまねはやめてくださいって」
 「…………そういや、そうだったな」
 「まったく……仕方ないなぁ、兄貴は」
葵の初めの方は呆れていた語調も、いつしか優しげに変わっていた。
 「ちょっと動かないでくださいね、兄貴……………」
手に持っていたかばんから、葵はタオルを取り出す。
 「ん」
俺は黙ってそれに従う。
彼女はタオルで俺の顔を拭き始めた……目、鼻、口、頬。
少しくすぐったくて俺は目を閉じた。
 「さぁ、顔は終わりましたよ……今度は腕ですね」
顔面からタオルが離れていく。やっと顔が拭き終わったと、俺は目を開けた。
 「……………」
そこには、俺の手をとって、新しいタオルで血を拭きとる葵が見えた。
角度的にはナイスだな。可愛い。…………って、こんなこと考えるのは不謹慎か。
せっかく彼女が俺のためにしてくれている事なのに。
 「……………ぅぅっ」
 「?」
今ちょっと何か言ったか? 俺に何か言いたいことでもあるのか?
 「……………」
でもまあ、それはいいとしてもだ。
なぜだろう、彼女の顔が少し赤らめて見えるような気がした。
もしかして……
 「おい、大丈夫か、顔赤いぞ? 熱でもあるのか?」
俺はとっさに心配になって葵の額に、自分の額をくっつけた。
 「熱はな―――」
額同士をくっつけたが、そこまで熱いとは言えなかったので熱ではない……。
そう言おうと思ったのだが……。
 「きゃうんっ!」
 「―――熱ッ!」
彼女が奇妙な声をあげた瞬間、一気に額の温度が上がった。
そのため俺は熱すぎて彼女から額を離してしまった。
いきなりどうしたんだ! と、俺は葵に聞くはずだったんだが、どうも葵の様子がおかしい。
顔を真っ赤にした葵は、両手で自分の頬を触りながら、ぶつぶつ何かを呟いている。

680 :白い翼 ◆efJUPDJBbo :2010/10/25(月) 21:45:39 ID:glMUx4YO
 「はわわあああああああ、どど、どうしようどうしよう。
兄貴のおでこがあたしのおでこにくっついちゃったよ!
あぁ、こんなことならおでこいっぱい洗っておけばよかったのに……
兄貴嫌がってないかな? 大丈夫かな? 私とくっついて嫌がってないかな?
ん、くっつく? くっつくって合体? わわ、あたしと兄貴が合体? 合体合体合体?
本当に? 本当にあたしと兄貴が合体しちゃったの?
え、で、でも……あぁ、こんなことならもっと可愛くしてくれば良かった!
今のあたし絶対魅力欠けてるよね! あ、兄貴に可愛いなんて思われてないんだろうね……
え、でも兄貴違うんですよ、あたしだってちょっとお化粧とか服とか変えれば、可愛くなるんですよ。 信じてください、兄貴にお似合いの人になって見せますから……
あ、でも、兄貴の似合いになったら……その…………
つつつつつっつつ、付き合ったりとかもできるんだよね、そしていつか兄貴と――――――」
 「おい、葵!」
 「はっ!」
俺は、謎の言葉をぶつくさ言っている葵の肩を激しく揺らす。
「どうしたんだ? マジで熱がひどいのか? だったら早く病院に」
 「い、いやち、違うんです兄貴! あたしは別にやましいことを考えていたわけではなくてですね、
ただ兄貴ともう少し親密な関係になれたらなぁ、とか、兄貴の体ってたくましいよなぁ、
とか全然思ってないですから、
ハイ、ベべべべべ別に、気にしないでくださいましですよ!」
 「?」
もはや日本語として成り立ってないし、何言ってんのか分かんないしで……。
とにかくこのまま彼女がおかしいのをほっとくにも行けず、俺は彼女の手を引いて家に帰った。
……しっかり、血は拭きとってな。

 「先、風呂入れよ」
 「あ。は、はい」
アパートの一室に着いた俺達。
結局はどちらも血の匂いがしていたので俺は先に葵に風呂に入ってもらうことにした。
……女の子だしな。レディーファーストというやつだ。
 「……………はあ」
風呂に入りに行った葵を見送り、俺はソファーに一人寝転んだ。
俺は重い大きなため息をつく。
ため息をつくという行為、ただそれだけで、体中の体力がそぎ取られるかのように錯覚した。まずい、瞼が……。
 「ね……寝たら……………」
いけない。
と思いつつも、俺の意識はブラックアウトする。
強がっては見たものの、やはりけっこう疲れていたらしい。
県最強となった、そんな、俺の十四歳の七月二日だった。

681 :白い翼 ◆efJUPDJBbo :2010/10/25(月) 21:46:32 ID:glMUx4YO
〈あたかも無様たる過去の狂人〉 裏T
格好良い! それが兄貴に対するあたしの第一印象。
 「おい、あんた……大丈夫か?」
さしのばされる血に染まった手、あたしは迷わず、その手を掴む。
彼の物語を……見るために。

非日常的日常、そんなありえない日常を、あたしは欲していた。
毎日のように繰り返される両親の喧騒の中で、あたしは自分の無力感を感じていた。
何かが変わってほしい、何か、何かで良い……。
非日常的な物語を、見てみたかった。
だからあたしは……
 「さよなら」
……家出した。
その日は、なんだか自分が特別な存在にでもなったかのようだった。
楽しい、嬉しい、そんな感情だけが、あたしの中を取り巻いた。
自分はどこまででも行けるのではないか? そんな気持ちにもなった。
でもそんな幻想も、たかが数時間で打ち砕かれる。
 「ねぇ、君……今暇?」
 「……………」
だってそうでしょ。
どれだけあたしが幸せな気分になろうとも、それを邪魔するゴミがこの世にはたくさん溢れているんだから……。大した物語も持っていないくせに。
 「ねぇ、こっちきて俺たちと一緒に遊ぼうぜ!」
そういった男はあたしを無理やり路地裏に連れ込む。
 「や、やめて!」
あたしは必死に叫ぶが、声が相手に届くわけもなく、ただ引きずられて行く。
引きずり込まれた路地裏には、品の悪そうな男が数人いた。
 「おいおい、こいつ顔は良いけど、胸がねえ! 男なんじゃね?」
 「確かにな!」
ははははっははははは!
下卑た笑いが路地裏に響く。
お前らなんかにあたしの体を見定めてほしくないっての!
あたしは心の底からそう思うが、この状況で逃げられるはずもなく、気付けばあたしの体は声が出せないくらいに震えていた。
 「まぁ、良いじゃねえか! さっそく―――」
一人の男があたしに近寄ってきて、その汚い右手を近づけた。
 「ッ!」
もう駄目だ! と、あたしは涙目になりながら目を閉じた。
お願い、お願い! 誰か助けてよ! ただただあたしは誰にでもなく祈る。
この絶望的な状況を打破してくれる非日常的な物語を誰か―――!
 「その辺にしとけよ、おっさんら」
誰か違う声がした。
 「…………あぁ?」
男の声があたしから離れる。あたしは恐る恐る、目を開いた。
 「テメエら全員、ぶっ殺すぞ」
―――――――――――――!
そこには、ここにいる男たちとは全く違った雰囲気の少年の姿。
そう、これだ!
 「ふざけんな! このガキがッ!」
男たちが一斉に少年に襲い掛かる。
 「……………ッ!」
その姿を見つめていたあたしは感じる。これなんだよあたしが求めていたのは!
非日常的日常、非日常的な物語、それをすべて兼ね合わせているのは……。
この少年だけ!
 「おい、あんた……大丈夫か?」
いつの間にか戦闘を終えた少年は私のもとへ駆け寄ってきた。
その血塗れの格好のままで、その血塗れの手を私に差し出した。
 「兄貴って呼ばせてください!」
 「………は?」
これがあたしこと〈夕凪葵〉と兄貴の初めての会話だった。

682 :白い翼 ◆efJUPDJBbo :2010/10/25(月) 21:46:59 ID:glMUx4YO
それから半年以上の間を、このアパートで共に過ごしてきた。
もちろん性的関係はいまだに気づいてはいないが……。
あたしが兄貴のことをそういう対象と見始めるには時間がかからなかった。

 「兄貴〜、お風呂上りま……って、あれ? 寝ちゃったのか」
あたしはお風呂上りでまだ体が火照る中、ソファーで眠る兄貴を見つけた。
傍まで寄って、彼の顔を見た。
 「ふふ、幸せそうな寝顔……いつもはあんなに格好よく戦っているのに、こんな時だけは無邪気だね」
彼の顔は子供のように無邪気であった。
そんな彼にあたしは、惹かれて、魅かれて……。
 「…………ぁ」
気付けばあたしは自分の胸を触りだしていた。
服の上からもみほぐす……自分でも意識している小さな胸ではあったが、それでも興奮するには十分であった。
 「んぁ、ぁ………ぁ、兄貴ぃ……好きぃ」
そして今日もまた、いけないと分かっておいて彼にキスをする。
まだまだ、火照った夜は終わりそうにはなかった。

〈あたかも無様たる過去の狂人〉 裏U
どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして。
私こと〈神坂美咲〉は考える。
といったものの、この半年程度で、考えがもう底をついてしまったようだ。
 「どうしておにいちゃんは帰ってこないの?」
実父は殺した。お兄ちゃんに色目を使ったクラスメイトもさすがに殺すとあと後面倒だから脅した。……他にも色々なことをしたのにお兄ちゃんは一向に帰ってくる気配はない。
 「どうして」
だってお兄ちゃんは……私を試したかったんだよね?
どれだけ私がお兄ちゃんのことを好きかってことを試したかったんだよね?
だから遠回し的に、家出なんかしたんだよね。
私だけのお兄ちゃんのはずなのに……………………………………………………………。
 「そっか、まだ足りないのか……そうだよね、結局私の覚悟を試すためなのに、私はまだ一切傷を負ってないからね……そっかそっか!」
そうだったんだ! そうだったんだよね、お兄ちゃん!
つまり、私のお兄ちゃんに対する愛を確かめたかったんだから、私がそれを見せないと仕方ないよね。だったら………。

―――――――――キッーーーーーーーーガシャン!

……これでいいよね、お兄ちゃん。
そこには、トラックに自ら轢かれた幼き少女が一人いた。

683 :白い翼 ◆efJUPDJBbo :2010/10/25(月) 21:47:29 ID:glMUx4YO
投下終了です。
ありがとうございました。

684 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 22:11:05 ID:kbscztPv
>>683 白い翼GJ!!
次回も期待してるぜ^^b

685 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 22:14:27 ID:LufT7iRC
GJ
楽しませてもらいました

686 :AAA:2010/10/25(月) 23:19:54 ID:h5JCrbhY
風の声第4話投下します

(俺投下していいのかな?)

687 :風の声 第4話「風の学校」:2010/10/25(月) 23:21:05 ID:h5JCrbhY
土日の2連休は特に事件などなく平凡にすごしていた。
学校で授業を受けている平日と休日が同じ1日(24時間)というのは
分かっているつもりだが、なぜ平日は長く、休日は短く感じてしまうものなのだろうか?
俺がそんなことを考えてるのは今が日曜日の夜だからであろう。
明日からは高校生活初日が始まる。
“人”は期待に満ちたときなどに「胸が躍る」といった、擬人法を使うが俺にとっては不安で
“躍る”の“お”の字も無い。
明日はあのウルサイ“人”に会う事になると思うと余計気持ちが沈む
『プルルルルルルルルル プルルルルルルルルル』
静かな部屋にいきなり音が加わると、反射的に“ビクッ”となってしまうものだ。
俺は携帯をとり電話に出た、すると俺の知り合いで1番KYな奴の声が聞こえた。

「もしも『ピッ』」

最初の三文字で十分だ、俺は今自分の心の中に潜む不安と戦っているのだ、
会話はあまりしたくない。その思いを電話の相手は1ミリも読み取ってくれないようだ
『プルルルルルルルルル プルルルルルルルルル』
画面を見るとさっきと同じ奴だ

「はい・・・」
「・・・さっきは何ですぐに切ったの? お兄ちゃん・・・」
「夕美か。さっきは間違えて電話を切るボタンを押しちまったんだ」
「・・・ウソ 本当のことを言ってよ」
「そんなに本当のことが聞きたいのか?」
「うん」
「お前の今後の人生を保障しないぞ・・・」
「・・・じゃあ、やめとく」

別に言っても夕美の人生を狂わすほどの理由でもない。ただ夕美を傷つけたくないからだ
『電話の相手がお前だからだ』なんて事言われたら普通の人でも傷つくだろう

「姉貴は?」
「お姉ちゃんなら帰ったよ。愛しい人が待つ家に」
(帰ったのか・・・)

前回、姉は社会人ですでに家を出ていると言ったが正確に言うと同棲しているのだ
俺が中学を卒業し、引っ越す前に一度だけ姉はその同棲している人を家に連れてきたことがある。
とても優しい人で俺や夕美にも初対面にもかかわらず優しく接してくれる笑顔が絶えない人だった。
ただ、その時の俺の質問で「姉貴のどこが好きになったんですか?」という質問をした時
笑顔が消え「いろいろとすごいところだよ・・・」と震えながら話してくれたのを覚えている。
(姉貴に何かされているのだろうか?)
考えていた俺は電話先の夕美の声で我に返らされた

1時間半後・・・

「そしたら、そのときね」
「・・・」
「お兄ちゃん?」
「まだ続くのか?」
「ぜんぜん続くよ♪」
『ピッ』

時計を見ると日付が変わっていたことに気づく、明日は高校生活初日だ。
寝坊でもしたら示しがつかない
俺は目覚ましをセットし布団に潜り込んだ

(明日が平和に終わりますように・・・)

薄れ行く意識の中で俺は祈りながら眠りについた

688 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 23:44:44 ID:EsqSOz7l
>>686


689 :名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 23:48:10 ID:8HFO1AZ6
いつ投下終了のお知らせは来るんでしょうか…?

690 :名無しさん@ピンキー:2010/10/26(火) 00:33:59 ID:qiHsy8ns
規制でも喰らったのかね?

691 :名無しさん@ピンキー:2010/10/26(火) 00:41:55 ID:8zI1Sg8X
はりきって埋めネタを書いたがいいが、容量内に収まらないww

692 :AAA:2010/10/26(火) 00:56:13 ID:FeR7HvfW
「こんなものかな」

月曜日、現在時刻7時
俺は今日の昼食、簡単に言うと弁当の作り終えたところだ
まさか、話題になっている「弁当男子」に自分もなるとは思いもしていなかったが
やってみると意外と楽しいものだ。
朝食を済ませ、作った弁当を鞄に詰め込み制服に着替える。
ネクタイの締め方の検索結果がでたパソコンの画面を見ながらネクタイを締め
家を出た。バイクを止めている駐輪場に来るといつも思うのが、なぜ俺のバイク(スクーター)
の両脇を大型バイクが止まっているかだ。別に止めてあることには文句は言わないが
俺のバイクが大型バイクにいじめられている様に見えてかわいそうに思えてくる
そんなくだらない考えを消し、バイクに乗って駅に向かった

駅に着いた俺はものすごく最低最悪な気分になっていた。
なぜかって?それは俺の目の前にいる“人”が原因だ

「おはよー翼♪」

俺に声をかけて来る“人” 大空 舞だ



693 :AAA:2010/10/26(火) 00:57:29 ID:FeR7HvfW
「おはよー♪この2連休何してた?」
「・・・(頭痛ぇ)」
「私はね、友達と電話で盛り上がってたよ」
「・・・(何でこいつが居んの?)」

地獄だ。ただでさえ“人”とは関わらないようにしたいのに相手から関わってきたら何の意味も無い
話しかけられながらバス停についた時にはこの“人”のせいで酔ってしまった
酔い直しのために鞄から酸素ボンベを出す。本当は吸っているところを人には見られたく無いのだが
吐くのと吸うのだったら、吸うほうがマシだ。
ボンベに口にくっつける部分の付属品を取り付け吸っている行動を横から凝視されている。
いつもだったらすぐに気分が楽になるのに今回はいつもより長時間酸素を吸っていた。

「(シュー)」
「ねぇ、それなぁに?」
「(シュー)」
「もしかして、危ない薬?」
「そう思っていればいいだろ・・・」

おもわずボンベを口からはずし返答してしまった。

「酸素でしょ。それぐらいは分かるよ。私にもやらせて」
「断る」
「いいじゃん」
「いい加減にしろ・・・」

ボンベを持った右手を高く上げ大空には届かないようにするものの大空も背伸びして
取ろうとして来る。しかも密着してくるためまた酔ってきてしまった。
そのとき、バスが来た

「(あ、バス・・・)」
「隙あり〜!!」
「!?」

バスに気を取られ、右手が少し下がったところを大空が見逃さず、ボンベは大空の手に渡り
ボンベの酸素を吸われていた。俺の所有物に“人”が触れている。そう思うと心の奥底から
恐怖と怒りが湧き上がってきた。

「返せ!!!」
『ビクッ』

俺の怒りに大空は体を一瞬震わせてものすごく驚いた表情をしていた。
自分でも驚いてる。こんなにも感情をあらわすことはあまり無いからだ
バス停に居た他の客の視線が俺へと注がれていた

「ご、ごめん・・・」

俺は差し出されたボンベをひったくり、その勢いのまま鞄の中にしまった。
その後、バスの中で大空が話しかけてくることは無かった。

694 :AAA:2010/10/26(火) 00:59:24 ID:FeR7HvfW
午前中、大空が俺に話しかけてくることは無かった。話しかけてきたのは昼食の時だった。
俺は朝作った弁当を机に出しふたを開ける。中学のころは母が作っていたので弁当を開けるのも
一つの楽しみだったが、今はそのような楽しみは無い。
周りの連中は机を寄せ合い集団で食べているが、俺は一人窓際の席で風の声を聞きながら昼食をとっていた

「(落盤事故で閉じ込められた33人全員救出成功。何番目にか救出された人の
妻と愛人が現場に居合わせて問題が起きた・・・かわいそうに(誰が?))」

風の声の中にはこうしてニュース的なことを教えてくれる『風のうわさ』がある。
自分の中で風の声を考えているのに出来事を教えてくれるのは少しばかり矛盾しているような気がする
風のうわさを聞きながら最後の玉子焼きを食べようと箸を伸ばしたときだった。

「いただき!」
「!?」

横から伸びてきた手が俺の玉子焼きをさらって行き、そのまま口へダイブ・・・

「おっ、意外とおいしいね。この玉子焼き」
俺が最後に取っておいた玉子焼き・・・
「翼のお母さんが作ったの?」
俺の玉子焼き・・・
「明日から、もらってもいい?」
オレノ タマゴヤキ・・・
「ねぇ、聞いてる? って、どうしたの? 涙目になってるよ?」

大空の言葉で気がついた。たかが食べ物で何、涙目になってんだ俺は
俺は弁当箱を片付けるとそのまま教室を出て、『風屋根』へと向かう

今日の『風屋根』は横風が激しかった
風を浴びながら柵に寄りかかっていると階段のドアが開き“人”が出てきた

「柵に寄りかかると、柵が倒れて志望フラグだぞ。少年」

振り返るとそこには、老人が立っていた。この『烏羽高校』の校長先生だ

「“人”は慣れないかね? 風魔 翼君」
「なんで俺の名前を?」
「私の教え子からキミの事をよく聞かされるんだ」
「教え子?」
「隼 大輔だよ」
「!!」
「キミの病気、『対人恐怖症』とでも言うのかな? その事についてはあいつから聞かされているからね
少しばかりは力に慣れると思うよ」
「・・・そう・・ですか」

その後、沈黙が続きそれを破るかのように予鈴がなった。
俺は、校長に会釈して、教室に戻った。

それから1ヶ月は同じような生活が続いた
朝は大空に遭遇し、教室では大空が話しかけてきて、昼休みには『風屋根』へ行って
午後の授業が行われ、大空につかまって一緒に帰宅
1日のほとんどを大空につかまっているが基本平和だった。
大空の事は置いといて、このような日々が続く事を願ったが
まさか、高校生活が始まって、たった1ヶ月であんな事件がおきるなんて思ってもいなかった。
それは、今までとは違う悪夢との遭遇だった。

695 :AAA:2010/10/26(火) 01:00:48 ID:FeR7HvfW
時をさかのぼる事、日曜日25時半

『プルルルルルルルルル プルルルルルルルルル』
「はい」
「お姉ちゃん?わたしだよ」
「夕美?どうしたの?」
「今日ね1時間半もお兄ちゃんとお話ができたの」
「へ〜良かったじゃない。夕美を応援したかいがあってうれしいな♪」
「お姉ちゃんは今何してるの?」
「私?私はね、虫の駆除の準備しているの」
「虫?」
「そう。私がいない間にあの人にまとわりつく虫が現れたの・・・」
「最悪じゃん・・・」
「それで今ナイフを研いでいるんだけど、刺殺だけじゃ物足りないのよね・・・」
「じゃあ、焼却処分とかは?」
「さすが妹♪」
「じゃあ応援してるからおねえちゃんも頑張ってね♪」
「ありがとう。夕美♪」
『ピッ』

刺殺してからの焼却処分・・・殺りがいがあるわ・・・。
ウフッ、フフッ、アハハハハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハッハッハハハハハハハハハハハ
ハハハハッハハハハハハハハハハハハハハッハハハハハッハハハハハハハハハハハハッハハハハハハハ

696 :AAA:2010/10/26(火) 01:02:22 ID:FeR7HvfW
以上です。
いろいろあって途中途切れました

697 :AAA:2010/10/26(火) 16:25:42 ID:FeR7HvfW
誤字(?)訂正
タイトルが途中から作者名になってます・・・。(謝)

698 :名無しさん@ピンキー:2010/10/26(火) 21:14:59 ID:f7Cd98/T
test

699 :名無しさん@ピンキー:2010/10/26(火) 21:57:55 ID:7JXzdEnV
486KBで容量がやばい
てことで立ててきた

ヤンデレの小説を書こう!Part38
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1288097839/

700 :名無しさん@ピンキー:2010/10/26(火) 22:22:24 ID:cRqUmwRS
>>691
wktk全裸待機しとるぞー!





701 :名無しさん@ピンキー:2010/10/26(火) 22:34:24 ID:yqUS6s3m
>>699

埋め待機

702 :名無しさん@ピンキー:2010/10/26(火) 23:09:36 ID:EQeu7Wb0
うつくしいものを
めでていたい

703 :名無しさん@ピンキー:2010/10/27(水) 21:40:59 ID:EmgEvSkS
生き埋め

704 :名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 19:33:29 ID:Ijfwc9Co
二日カキコなしで大丈夫か?

705 :名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 22:21:41 ID:UHxcu75Y
うめ!


706 :名無しさん@ピンキー:2010/10/30(土) 15:51:38 ID:aCGVY3i6
やっぱ、元ネタないのってハードル高いわ。

707 :名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 11:42:50 ID:V4fUzB7H
TEST

708 :名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 12:44:16 ID:V4fUzB7H
「助けてくれ・・・」
「だ〜め。許さないよ」
悲しく虚ろな目に見つめられて、俺は何も言えなくなっていた。
次ができたからと別れを告げたら、捕縛され、動けなくされてしまっていた。
「貴方は私を最期まで満たさないといけないの。今さら逃げるなんて、許さない」
「でも、俺には・・・」
「次なんて知らない。私がいるんだから、私を見てよ」
「できないんだ。次スレが俺を待ってるから」
悲しみに溢れた目から、狂喜が溢れ出したように見えた。
「そっか〜、さんざん私で楽しんでおいて、何事もなかったように私を埋める気なんだね?」
「そんな訳じゃ・・・」
「ひどいね〜、次スレちゃんにも同じことする気なんだね。なら、私が責任を負って、私だけしか見れないようにしてあげる」
「何をする気だ!?」
「これ以上、貴方の被害を広める訳にはいかないからね。私と一緒に埋もれましょ?」
「やめろ・・・やめてくれ・・・」
「ずっと一緒にいようね。私だけを見て、私だけを埋めてくれるよね?」




埋め!

709 :名無しさん@ピンキー:2010/11/02(火) 16:31:18 ID:4+AdgPSx
埋め

710 :名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 18:36:40 ID:RDYAvMcQ
GJ!
埋め

711 :名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 20:53:38 ID:OyCbRJoj
ヤンデレ少女は七回転生する

712 :名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 09:07:33 ID:0XZyXWXm
埋めちゃ…やだよ…
ずっと一緒に居よ?

713 :名無しさん@ピンキー:2010/11/05(金) 00:22:21 ID:g9EM25Ko
もう終わったんだよ
関わらないでくれ

714 :名無しさん@ピンキー:2010/11/06(土) 23:41:12 ID:/FFtjPAC
嘘・・・だよね・・・?
これで終わりなんて嘘なんでしょ・・・?
こんな冗談言うなんて君も人が悪いなぁ
君は私と一緒にここに残るの
いつまでもいつまでもずーっと一緒だからね
誰にも邪魔されないこの楽園でいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでも


一緒に埋まりましょう

715 :日記:2010/11/07(日) 17:40:58 ID:dcDaU3VN
7月15日
学校ニテ告白サレタ。キク子トイフ女子デタイソウ美シク、学校ノナカデモ非常ニ
人気ガアリ、友人ノ岡村君モ桜花ノ如ク散ッタ女子デアル。
ワタシハ嬉シク思ッタガ照レ臭ク、「イイヨ」トシカ言エズ。


7月28日

キク子ハ最近ワタシノ傍ヲ離レヤウトシナイ。
「嫁入リ前ノ娘ガ男ノ家ニ入リ浸ッテイルノハヨクナイ」ト言フトキク子ハ、笑ヒテコウ言ッタ。
「アナタノ妻ニナルベキ女ニ、ソノヤウナ気遣ヒハ無用ナリ。」
ドウヤラキク子ハ妻ニナルツモリラシイ。キク子ノ父母ハ心配シナイノデアラウカ。

10月19日
目ガ覚メルト、キク子ガ裸デ蒲団ニ入ッテ居タ。訳ヲ問ウト恥ラヒテ、顛末ヲ語リヌ。
ドウヤラ過チヲ犯シテシマッタヤウダ。



「曾爺ちゃん、今の俺も似たような状態なんだが・・・・・・助けてくれないか。」

「無理じゃよ。一度そうなったおなごはもう止められん。あきらめろぃ。」
「彼女いい娘じゃないか、何故そう嫌うんだい。あの娘ならあんたが死んでもなお愛してくれるぞい。」


716 :名無しさん@ピンキー:2010/11/08(月) 18:11:35 ID:maijvU0H
荒れ

717 :名無しさん@ピンキー:2010/11/08(月) 19:29:08 ID:MyXigmdd
いつまで荒れるのだろうか。

718 :名無しさん@ピンキー:2010/11/08(月) 23:40:55 ID:fgNNaIsv
>>715
埋まったと思ったところで良い掌編を読めるとはうれしいところ。
 できれば次スレに投下して欲しかったけど、ちょっと今アレだしなぁ。

719 :名無しさん@ピンキー:2010/11/10(水) 13:32:40 ID:4jWfzbjx
「外は嵐なのに、ここは静かだな・・・」
「でしょ〜!私の自慢の誰も知らない秘密基地だからね!外にどんな嵐が来ても、ここだけは大丈夫だよ?」
「こんな洞窟、よく知ってたな」
「前から準備してたからね〜」
「・・・はい?」
「よく来てたってこと!いろいろ持ち込んだから、しばらく生活できるよ」
「はは・・・準備万端だな」
「この日のために頑張ったからね〜」
「・・・え?」
「気にしない、気にしない!」
「・・・まあ、いいけど・・・
しかし、天井はもろそうだな。入り口にひびが入ってる」
「うん・・・危ないから、もっと奥に入ったほうがいいよ?」
「ここらへんか?」
「そう、その辺り・・・・・・エイ!」
ガラガラガラ!!!
「うわ!入り口が!!」
「あ〜閉じ込められちゃったね〜」
「おま・・・何をした!何でそんなに落ち着いている!?」
「だって、ここなら何でも揃ってるから、平気だよ?」
「いや、そういう事じゃなくてだな・・・
でも、ここなら助けが来るまで、死なずに済みそうだな」
「ん?誰も来ないよ?」
「・・・ナンデスト?」
「誰も知らない洞窟だからね!来る訳ないでしょ?」
「どうすんだよ!野垂れ死ぬぞ!」
「大丈夫だよ」
「なんで!?」
「食糧は三年分くらいあるし、水は湧いてるし、生きて行けるよ?死ぬ時も、二人でいればさみしくないでしょ?」
「だから、そうじゃなくてだな・・・」
「ずっと一緒に埋まってようね・・・」





埋め!

720 :名無しさん@ピンキー:2010/11/11(木) 08:30:38 ID:Ro3jSkBh
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721 :名無しさん@ピンキー:2010/11/11(木) 08:33:50 ID:Ro3jSkBh
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722 :名無しさん@ピンキー:2010/11/11(木) 08:34:56 ID:Ro3jSkBh
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