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◆女性に捕食されるされるスレ◆ 二口目

1 :名無しさん@ピンキー:2009/11/07(土) 21:29:33 ID:hpIh6unp
女性に捕食される・丸呑みされる・消化される内容のスレです。
食い千切りや丸呑み、同化など内容はそれぞれ。
食べる側も人間の女性、モンスターの女性、雌妖怪雌魔物さまざま。
仲良くやっていきましょう。

2 :名無しさん@ピンキー:2009/11/07(土) 21:30:44 ID:hpIh6unp
ここは女性に捕食される。丸呑みされる、消化されるスレです。
食べる側は人間の女性、モンスターの女性、雌妖怪雌魔物さまざま。
食い千切りや丸呑み、同化など対応ジャンルは広いです 仲良くやっていきましょう。
なおUB(女性器で呑み込み)、AV(尻で呑み込み)、BV(胸で呑み込み)なども対象内です

(暫定)創作物用ろだttp://eat-me.monster-girl.homelinux.net/
※グロスカ猟奇的など極端に人を選ぶ内容を投下するときは、 頭に注意文を付けることを推奨いたします。

関連、過去スレは>>4参照

3 :名無しさん@ピンキー:2009/11/07(土) 21:31:09 ID:hpIh6unp
男性が女性に捕食される・丸呑みされる・消化される内容のスレです。
食い千切りや丸呑み、同化など内容はそれぞれ。
食べる側も人間の女性、モンスターの女性、雌妖怪雌魔物など、
女性別であれば自由です。 女性が捕食される展開も許容ですが、
別に専用スレがあるので、あくまで男性メインでお願いします。
ニッチなジャンルなのでお互いを許容し仲良くやっていきましょう。
画像支援等も歓迎です。

4 :名無しさん@ピンキー:2009/11/07(土) 21:33:07 ID:hpIh6unp
関連スレ

少女・女性が化け物に捕食されちゃうスレ その4
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1217963873/l50

過去スレ

◆女性に捕食されるスレ◆
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1213114446/

5 :名無しさん@ピンキー:2009/11/07(土) 21:40:39 ID:hpIh6unp
(確定)創作物用ロダ
http://girlfriend.is-a-chef.org/


アドレス張り間違えたorz

前スレがdat落ちしたので建てた
テンプレは出た順番で載せた
折衷案の一文は>>3を張ったのでとりあえず抜いた

6 :名無しさん@ピンキー:2009/11/07(土) 21:47:57 ID:hpIh6unp
関連スレ

夢魔・淫魔・サキュバスのエロ画像part3
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1198656185/
精液を搾り取られたい方はこちら

フェチ板
たとえ胃の中水の中−被食系妄想・15(苺)溶解
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/feti/1256624650/
こちらは消化系と探索系のみの語らいとなっております

オリキャラ板
捕食されたい
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/erochara2/1160149790/l50
なりきりをされたい方はこちら

7 :名無しさん@ピンキー:2009/11/07(土) 21:50:07 ID:hpIh6unp
※猟奇的な表現のある内容を投下するときは、
頭に注意文を付けることを推奨いたします。


最初の方のテンプレ忘れてたorz
食べられちゃうおにゃのこスレはdat落ち、次スレも見つからなかったです
いきなりグデグデで申し訳ありません

8 :名無しさん@ピンキー:2009/11/07(土) 23:50:58 ID:lGJZfTkf
テンプレくどいなと思ったら暫定的に全部乗せしたのね。
スレタイ……それだけ捕食されたいんだよな。うん。乙。

9 :名無しさん@ピンキー:2009/11/08(日) 00:05:20 ID:BVZMAQ31
>>1 乙です!

一応前スレのdat置いときました。
ttp://girlfriend.is-a-chef.org/up/No_0013.zip


10 :名無しさん@ピンキー:2009/11/08(日) 01:13:59 ID:GWlVgOsE
スレ名まで間違えてたとかorz
本当に申し訳ない

11 :名無しさん@ピンキー:2009/11/08(日) 01:25:00 ID:BVZMAQ31
スレ名、今気付いた(笑

12 :名無しさん@ピンキー:2009/11/08(日) 02:34:54 ID:GWlVgOsE
今更ですが、関連スレに

淫魔・サキュバスとHなことをする小説 3体目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1241353765/

エロ画像との交換or追加忘れてました
ほんと、出来立てのスレのテンプレ張りは地獄だぜフゥハッハー

13 :名無しさん@ピンキー:2009/11/08(日) 08:56:24 ID:cz/7of98
新スレ乙!これはこれで面白いんじゃないかな

14 :名無しさん@ピンキー:2009/11/08(日) 16:26:38 ID:/z2SzAYR
おぉ新スレできてたのか>>1乙です!

15 :名無しさん@ピンキー:2009/11/08(日) 21:26:37 ID:GWlVgOsE
これでテンプレに必要なのは全部乗せたはず・・・
折角の2スレ目なのにいきなり細切れ、題名ミスで申し訳ありませんでした
次回からは関連スレをまとめ、スレタイも間違えないように注意します

16 :腐肉(P.N.):2009/11/08(日) 22:32:01 ID:VJAhPpN9
>>1 新スレ乙です!スレタイ可愛いので好きです。早速投稿させていただきます。
ピクシヴのextinct_canisさんの素晴らしいイラスト(http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=6994038)にインスパイアされて書きました。
知らなかった… 佳奈ってこんなに可愛かったんですね…
そしてごめんなさい、これ血肉的な意味での捕食が出てきません。新スレ一発目なのに…
次回から『夏休み編』みたいな感じでまたどんどん殺して喰わせていきたいと思います。

-------------------------

[幕間]

その晩、遅い夕食の後、2人で入浴する事にした。
「修学旅行以来だね。」
佳奈は嬉しそうである。千絵は少し恥ずかしかった。この身体になってから、明るいところで姿を晒すのは初めてだからだ。
だが2人で入浴するのには大事な目的がある。「歯磨き」だった。小山内家に2人以外誰もいない今くらいしか、その機会が無いからだ。
「これ着てくね。」
なぜか佳奈は中学までの教泳水着を着用した。
確かに、佳奈とは小学校から一緒だがすくすくと成長した千絵に対し佳奈はあまり背も伸びていないが、
「スク水ってどうなのよ」と突っ込みを入れると、「汚れると嫌だもん…。」と冷静に返された。
失礼である。

「口、開けて。」
佳奈が歯ブラシで千絵の腹をちょんとつつく。
千絵の「口」は、今や下顎から陰唇までつながっていた。
その巨大な亀裂の奥で大蛇のような舌がのたうつと、熱を持った血の匂いがこみ上げてくる。
「おぉ、また進化してる!」
佳奈が目を輝かせた。
「進化って言うな!」
千絵がもごもご言った。口を全開にすると、喋り難いのが難点だ。
「すごい… どこから磨こうか?」
鮫のようにびっしりと並んだ歯を畏怖と感嘆の面持ちで見渡しながら、佳奈は歯磨きペーストをとぐろのように塗りたくった。
「すーすーする…」
千絵が情けない声を出す。さながら動物園か水族館の獣と飼育員だ。
佳奈は金束子でも擦るかのように力を込めて鋭い牙を一本一本磨いた。血の匂いが薄くなった。
何度か千絵は胃まで直接流れ込んでくる歯磨きペーストの味に吐きそうになったが。
シャワーで流すころには、2人とも汗びっしょりになっていた。予想以上の重労働だ。
口をゆすぐ間(大きいので、水をいっぱいに含むまで相当時間がかかる。)、千絵は医療番組で見た胃の洗浄と、歴史の授業で見た戦争中の
強制収容所の映像を思い出した。どうも、まだその部分の人間の感情が消えていないのか恥ずかしい。
それとも、これは獣が持つ劣等感なのだろうか…。千絵のような他に類を見ない史上最強の生物でも。
だがシャワーは気持ちよかった。
思えば長い一日だった。疲れが溜まっていたのだろう。
「いたっ。」
佳奈の声に、千絵は我に返った。見ると、佳奈の指に血が滲んでいる。歯を触って切ったようだ。前にも同じ事があったな、と千絵は呆れる。
「またか、もう…学習しないなぁ…。」
「へへ… だって、すごい綺麗なんだもん。」
佳奈は頬を赤く染め照れ笑いを浮かべた。その笑顔に、思わず千絵も頬を赤らめる。
「見せてご覧。」
千絵が佳奈の手を取ると、水で薄まった朱色の血がぽたぽたと垂れ落ち、佳奈の白い脚に線を描いた。
千絵は舌を出し指の血をぺろりと舐めた。
「おぉ!!」
千絵の舌の異様な長さに、佳奈が感嘆の声を上げる。千絵は指を舐め続けた。すると、見る見る傷が消えていく。
千絵の舌は、命を奪う一方で癒しを与える事も出来る。だが本来獣は自らが傷ついたときにしかその力は使わない。
「すごい!千絵すごい!」
佳奈が遠くの方でそう叫んでいる気がした。千絵は佳奈の血の味に恍惚として、我を忘れた。


17 :腐肉(P.N.):2009/11/08(日) 22:47:51 ID:VJAhPpN9
やはり女の子は好きだ。男の子よりも甘くて濃い…。
千絵はもう一本舌を出し、佳奈の脚に垂れた血を舐め取った。その味に身体が震えるのを感じた。
気がつくと千絵は致死の酸を吐く舌以外の全ての舌を出し、佳奈の身体中を舐め回していた。スクール水着の下に潜り込み、滑り気のある唾液で素肌を濡らしながら這い回った。
「ちぃちゃん… 恥ずかしいよ。」
佳奈が懇願する。千絵の舌が下半身にも侵犯する。
「ち、ちえ…やだ…私、まだ…。」
処女なのだ。千絵には「味」で分かる。
その時、唐突に水着が裂けた。その瞬間千絵は我に返った。
目の前に、見るも無残な水着の残骸を腰の辺りにひっかけ、十本程のべとべとの肉厚な舌に巻かれたあられもない親友の姿があった。目に涙を浮かべて。
「か、かなっ…ごめん。」
千絵は慌てて全ての舌を引っ込めた。あまりに勢い良く仕舞い込んだせいで思わず咳き込む。
「ご、ごめん…。」
佳奈は千絵をきっと睨むと、ぐいとぶっきらぼうにシャワーを突き出した。
「…流して。」
「へっ…?」
戸惑う千絵に、佳奈はシャワーを押し付け背を向けた。
許してくれるという事なのだろうか?千絵は困惑しながら、膝を付いて佳奈の背中に歩み寄った。
「ちゃんと、綺麗にして…よね。」
佳奈が小さな声で呟いた。蒸気で曇った正面鏡に、のぼせたように赤くなった佳奈の顔がぼんやりと映っていた。
千絵の冷たい手が背中に触れると、その顔が少し微笑むのが、千絵には見えた。
福沢刑事を撒いた時よりも、無事に岡田家の面々を始末した時よりも、千絵の心に安堵が満ちた。
石鹸の泡で塗れた手の下に、佳奈の皮膚と筋肉と、細い骨を感じる。
諦めかけていた、人としての生を今でも謳歌できるのは全てこの小さな少女のお陰なのだ。千絵は今、17年の人生で一番幸せだった。だがそれを思うにつけ、この幸せが怖くなる。
人としての理性はもう殆ど残っていないから、その恐れは彼女らがこれまで犯して来た行為についてではない。
人としての感情が、いつまで経っても消えない事に対してだった。
最初、彼女は徐々に身も心も怪物に変化して、最後には「蓮杖千絵」という人間は消えてしまうのだと思っていた。
だが身体が変貌を遂げた今になっても、感情だけは変わらない新鮮さを以って彼女の中に息衝いていた。
このまま年月が過ぎたら、彼女はどうなるのだろう。佳奈や周囲の人々が年を取ったとき、もしかしたら千絵だけは年を取らないかもしれない。実際、生理は止まっていた。
そうしていつか、佳奈が死ぬときが来る。その時千絵は…?
未来が見えない不安。人間でいた時は、そんな事思いもしなかった。
一寸先は闇… おかしな話だ、闇に生きるべき獣が、闇を恐れるなんて。
佳奈だけが彼女の光。
佳奈が傍に居て笑っていてくれる時だけ、千絵はそんな不安も、自分が怪物であるという事自体を忘れられた。佳奈となら、千絵は何でも出来る気がした。

風呂から上がった2人は、2時間近くが経過していることに驚愕した。
だが2人だけの夜を無駄にすまいと、その後2人は、日付が変わっても菓子の袋を開けて深夜映画を見た。
航海中の豪華客船が突如深海から現れたモンスターに襲われるというB級ホラーで、牙のある緑の蛸のようなモンスターが画面に登場すると
佳奈は悲鳴を上げて両手で目を覆い、千絵はからからと笑った。

翌日、佳奈が風邪を引いた。2時間も風呂にいたせいだ。千絵は責任を感じた。
夕方まで佳奈の母が帰らないのを良い事に、千絵は生まれて初めてずる休みをした。千絵が母親の振りをして学校に電話をかけた。(千絵は声真似がうまい。)
千絵は佳奈が眠ってしまうと、こっそりベッドに潜り込み、彼女のちょっと高めの体温を感じながら、佳奈の隣りで丸くなった。


[つづく]


18 :名無しさん@ピンキー:2009/11/08(日) 22:52:18 ID:8Bri2p2A
乙wwww

19 :名無しさん@ピンキー:2009/11/08(日) 23:35:48 ID:GWlVgOsE
千絵がどんどん可愛く思えてくるw
猫や犬みたい

20 :名無しさん@ピンキー:2009/11/09(月) 15:54:59 ID:oB3LdruH
>>1新スレ乙!新スレ移行という事でこれまでのあらすじをまとめてみた。

ある夜、高校三年生の蓮杖千絵は、付き合っている同級生の末永雅人と人生初の
ラブホテルを訪れ、そこで怪物に襲われた。みた目は幼さの残る少女だが、下顎
から腹まで縦に裂けた巨大な「第二の口」を持ち、すさまじい食欲で人を食らう
化物少女。ホテル中のカップルを食いつくした少女は、千絵の目の前で雅人を無
惨に丸呑みにし、千絵をはらませた。
腹を突き破って誕生した幼女は千絵を食い、千絵の容姿・人格・記憶を持った怪
物へと成長した。

それから新生千絵は事件の記憶をなくして、普通の女子高生の日常生活に戻ろう
としていたのだが、彼女の中の怪物は人肉に対する欲望をこらえきれず、告って
きた同級生男子と実の父親を食う。
千絵は親友である佳奈に助けを求め、それから二人の少女の凶行が始まった。佳
奈の助けをかり、千絵は食欲を満たすために次々と人間を襲いだすのだった!

21 :名無しさん@ピンキー:2009/11/09(月) 16:50:51 ID:gXJU49/7
>>20
GJ
そういや初代化物少女は今何してるんだろう

22 :名無しさん@ピンキー:2009/11/09(月) 23:20:15 ID:wdQAp6bc
>>1スレ立て乙
まさかテンプレ全部載せが採用されてるなんて・・・・

23 :名無しさん@ピンキー:2009/11/10(火) 01:35:34 ID:Vv9rjRAP
>>21
今オマエのうしろにいるよ

24 :名無しさん@ピンキー:2009/11/10(火) 02:28:44 ID:epoU6CEM
足じたばた丸呑みが好き

バイオは時代を先取りしちょったんだな

25 :名無しさん@ピンキー:2009/11/10(火) 12:13:54 ID:XyUzmULB
こういう映画って出ないのかな
ジョーズとかアナコンダとか動物型モンスターに食われる話はよくあるけど、
人型モンスターに食われる話ってあまりないよね
前スレにあったイールガールくらいか

千絵タンには是非映画デビューしてもらいたいものだ

26 :名無しさん@ピンキー:2009/11/10(火) 20:18:12 ID:qvkEsPkd
>>25
ちょっとしか出ないけどMIB2の女エイリアンとか

27 :名無しさん@ピンキー:2009/11/11(水) 23:50:55 ID:7TFcYdJd
完全に食われる訳じゃないが、吸血鬼映画ならたまに見るな
スプラッタばかりだから、人を選ぶのが問題か
ちなみに俺は無理だった

28 :名無しさん@ピンキー:2009/11/12(木) 19:04:33 ID:UAcwweXo
そこはMP(妄想力)でカバーだな!!

「アナコンダ」も

「アンタなんか一呑みにしてやるんだからー!!」

とかいいながら一生懸命追いかけてきてると思えば・・・

(*゚∀゚)=3ハァハァ

29 :腐肉(P.N.):2009/11/13(金) 02:41:12 ID:8j+lGaIL
>>25 >>27
吸血ものだったら、『リビングデッド・ガール』というのがありました。
80年くらいのフランス映画で、地下墓地で甦った美少女に見えなくもない女の子が 次々に素手で人を殺していく
という素晴らしい内容でしたが、ものすごく地味です。

『グール』という映画も、美女(という設定)が男を殺して血を啜ります。
文字通り血を吸うんです。「すぅー」ってやると床に零れた血とかも口に吸い込まれていって、そのシーンはなかなかエロティックだったんですが
他は絶望的なくらい見るところが無い、90年代とは思えない映画です。

スタン・ウィンストンがクリーチャーデザインと製作を担当した『Creature Features』というビデオシリーズ(?)の一編に
『She Creature』というのがあって、直接的な描写はあまり無かったような気がしますが人を喰う人魚の話で、話もそこそこ面白く人魚も妖艶で
結構良かったように記憶してます。邦題は忘れましたが(『人食い人魚伝説』とかそんな感じ?)日本でもDVDが出ています。

↓夏休み編 投下します。
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夏休みに入ると、佳奈もようやく部活から解放され、2人は一日中行動を共にした。
受験生の身の彼女らは、休み中も補習授業でしょっちゅう登校しなければならなかったが、2人ならそれも楽しかった。
千絵は佳奈に英語を教え、佳奈が細かい字で補足した歴史のノートは千絵の役に立った。一日だけ、唯香や恵と電車に揺られて海まで出かけた事があった。
その約束を取り付けた時点で、佳奈が先日駄目になったスクール水着以外に水着を持っていなかった事実が発覚し、2人は買い物に出かけた。
ついでに千絵も新しい水着を買ったが、内心、これを着る機会はもう無いかも知れない、と思った。
だが、今までそんな事は一度も無かったのに、どう言う訳か、千絵は電車に乗った瞬間にひどく酔ってしまい、到着まで数時間苦難を味わった。
帰りの電車の事を思うと、海に着いてからも皆程楽しめず、友人たちの水着の間の露出した肌を見て、その味を想像して気を紛らわせた。
気がつけばあっと言う間に盆になっており、補習授業も一旦終了となり、小山内家には単身赴任中だった佳奈の父と、大学生の兄が帰ってきた。
佳奈の父を前に、千絵はまるで初めて恋人の父親に対面する青年のように緊張した。
粗相が無いように細心の注意を払ったが、夕食で一度しかお代わりしなかった時、佳奈の母に「いつもより小食ね」と逆に心配された。
佳奈の父も、佳奈やその母同様温かい人物だった。兄は、妹の友達との突然の同居に少々戸惑っていたが、千絵を家族に受け入れてくれた。
だが何日もしない内に、小山内家の面々は親族の墓参りに旅立つ予定だった。毎年恒例なのだそうだ。佳奈だけは受験生だからと言う理由で今年は家に残る。
つまり、また千絵と佳奈2人だけの日々が何日か続くという事だ。
「ご飯、しっかり食べてね。佳奈もね。」
最後まで娘たちを心配し尽くしてから、一家は出発していった。
玄関ドアを閉めると、他には誰も居ない、2人だけの城が待っていた。千絵と佳奈は顔を見合わせてにやりと笑った。
この時のために、2人は勉強の合間に綿密に計画を立ててきた。いよいよ大詰めである。
夜、千絵はベッドに寝そべり、建物の見取り図を広げて印を付けていた。佳奈が袋ごと広げたポテトチップを一枚摘み上げながら、手にしたメモを読み上げる。
「次は、えっと… “搬入口”。」
「はんにゅうぐち…っと。」
千絵がペンで図面上に丸をつける。
「何か、修学旅行の自由行動決める時みたいだね。」
「次は?」
「えーっと…電源装置。搬入口から正面玄関まで。どのくらいかかるのかな…。」
「私の足なら…1分はかからないと思うにゃ。」
佳奈もベッドの上によじ登ってきて、千絵の隣りに転がった。
「本当は明日ちょっと早めに出て下見したいよね。」
「心配性だなぁ佳奈は。」
千絵は仰向けに寝返りを打った。その顔を佳奈が覗き込む。
「ちぃちゃんが暢気過ぎるの。」
千絵はシャツが引っ張られて顕わになった臍の辺りを摩って言った。
「私、前より強くなったもん。」


30 :腐肉(P.N.):2009/11/13(金) 02:44:14 ID:8j+lGaIL
翌日、昼過ぎに2人は家を出た。
2人は自転車で一つ先のインターまで行くと、高速バスの切符を買った。
身元がばれる可能性を考慮し、学生証は使わず一般料金だったが、電車より遥かに安いし、千絵にもその方が有難かった。
後ろの方の2人掛けの座席を確保すると、バスが高速道路を走る間、千絵は眠った。
頭半分ほど低い佳奈の肩に頭をもたせていたお陰で、起きたときには少し首が痛かった。
彼女は、眠っている間佳奈が小さな手でそっと頭を撫でていた事を知らない。
何も無いドライブインの停留所でバスを降りると、2人はトイレの個室で用意してきた帽子やサングラスを付け合った。
お互いのサングラス姿を見て笑い、鏡に映った自分の姿を見てまた笑った。まるで出来損ないの銀行強盗だったが、少なくとも素性は分からない。
そこから2人は更に地元の交通バスを乗り継ぎ、遥か山奥のとある建物の前に降り立った。
ずっと一本道で、あたり一面森しか見えない。バスも一日に指を折るほどしか無い。2人の計画にとって完璧な場所だった。
2人は、一緒にバスを降りた他の人々と同じ入り口からではなく、建物の裏に回って搬入口から中へと入った。
すぐ突き当たりの鉄の扉には鍵がかかっていたが、千絵がちょっと力を込めてノブを捻ると、ガキンという金属音と共に封鎖はいとも簡単に突破できた。
2人はボイラーの轟音が響く、暗い地下室へやって来た。かなり間隔を空けて設置された裸の蛍光灯の弱弱しい光の下、夏の暑さ以上の熱気でくらくらする。
「大丈夫?」
千絵が佳奈に尋ねる。
「うん…何とか。」
噴出す汗を袖で拭いながら佳奈は弱弱しい笑みを浮かべた。
入り組んだ配管のジャングルを奥へ進んでいくと、表面をオレンジや緑の蛍光色のボタンで埋め尽くされた自動販売機ほどの大きさの機械を発見した。
「これだ。」
2人はその機械に駆け寄ると、側面に貼り付けられたシールの注意書きを読んだ。
その時、ボイラーの稼動音の向こうから人の声が聞こえた。
「誰かいるのか?」
男の声。パイプと微かな蒸気の向こうに、懐中電灯の光も見える。
「やばっ…。」
佳奈が呟く。
「思ったより早かったね。」
千絵はうろたえる様子も無く、静かに言った。足音と共に、懐中電灯の光が近づいてくる。
「先生ですか…?」
懐中電灯を持った警備員が、2人の視界に現れた。

31 :腐肉(P.N.):2009/11/13(金) 02:45:31 ID:8j+lGaIL
「佳奈、目を瞑ってて。」
千絵はそう言うと、一歩前に歩み出た。向こうにもその姿が見えたらしく、足音が止まった。
「誰だ…?」
千絵は徐に上着を脱ぐ。
「ここの人間じゃ…」
男がそう言いかけた瞬間、千絵は目にも止まらぬ速さで身体を一回転させて勢いを付けると、男の胸にすらりと長い脚を食い込ませ、その太った身体を近くの丸太ほどの鋼鉄のパイプに叩き付けた。
金属の裂ける音と、突如鳴り出した機器の破損を告げる警報が、男の悲鳴をかき消した。大きく凹んだパイプから噴出した熱い蒸気は、その身を包んでいる警備員服だけをそのままに、男の身体を焼いた。
全身赤く爛れ、湯気を上げながら男はもがいた。もがく度に爛れた皮膚がぼろぼろと剥がれたが、重度の火傷で痛覚が麻痺しているようだ。
だが次の瞬間、どこからとも無く現れた巨大な口が、鉄の配管ごと男の身体に被り付いた。悲鳴を上げる間もなく、男の身体は飲み込まれ、ずたずたに裂け蒸気を漏らすパイプだけが残った。
千絵は腹の中でぐしゃぐしゃと男の身体を噛み砕くと、一緒に飲み込んだ鉄パイプをペッと吐き出した。怪力で紙くずのように丸められた鉄の塊は、大きな音を立ててコンクリートの床を滑った。
気がつくと、すぐ後ろに佳奈が立っていた。震えながら。
「…見てた?」
少しの沈黙の後、千絵は口を拭いながら尋ねた。胸の奥で、何かがきゅうと縮こまるのを感じた。
「ん… うん。」
佳奈の膝は音がするのではないかという程がくがく震えており、立っているのがやっとという様子だ。
「いいの… これからすること、ちゃんと分かっていなくちゃ、と思って。」
佳奈は恐る恐る、千絵の方へ歩み寄った。
「私、怖くない。千絵は千絵だもん。」
佳奈の震える口元が微かに、愛らしく、そして冷たい笑みを讃えた。
「共犯だね、私たち。」
その時、階段を駆け下りてくる足音が聞こえた。2人は急いで物陰に身を隠す。
「どうしよう… 殺っちゃう?」
佳奈がひそひそ声で言う。
「今はまずいよ…何人居るかも分からない。」
千絵は慎重派に回る。
「でも、警備員室の鍵を手に入れないとどっちにしろ…」
「ちょっと待って。」
千絵はそう言うと、口の中に手を突っ込んで中をまさぐった。やがてべとべとの体液に塗れた警備員室のIDカードと鍵束を掴み出した。
「うぇ…。」
佳奈が呟く。
「手間が省けたでしょ?これ持って。」
千絵はそう言って、粘液の滴る遺品を佳奈の手に押し付けた。
「ちょっと…!」
佳奈は声を殺して悲鳴を上げる。
「さて、早いとこ脱出するにゃ。」
千絵はそう言って、佳奈の腕を引っ張った。
「言っとくけど、早く洗わないと指が溶けるかもよ、それ…。」
その一言で佳奈は黙って千絵について来た。調度階段を降りてくる他の警備員たちと入れ違いになる形で、けたたましい警報の鳴り響く地下室を後にした。
後は夜を待つだけだ…。

[続]

32 :名無しさん@ピンキー:2009/11/13(金) 07:32:33 ID:xDhsLgBl
>>29
映画の評価がどれも映画としては絶望的に面白くないと分かってしまうw
でも実際、女性型のモンスターが中心として出てるのなのは総じて微妙なんだよな

33 :名無しさん@ピンキー:2009/11/13(金) 23:38:37 ID:C2soInwr
>>32
みんな願望が先走ってしまうぐらい

「イートミー!!」な監督達なのさ

34 :名無しさん@ピンキー:2009/11/14(土) 13:02:37 ID:gPv7u0ZS
>>腐肉さん
GJ!!
続きに期待

35 :腐肉(P.N.):2009/11/15(日) 03:26:37 ID:5SZZSiSG
その日朝から緊張が続いていた常舞病院も、昼になる頃にはもういつもの平静を取り戻していた。
ただ一人、医師柳沢を除いては。深夜3時過ぎに、彼の患者である冠木正和が自殺未遂を計ったせいだった。
夜中に腹が痛いと部屋の鍵を開けさせた冠木は、脱走して薬品庫に忍び込み、強化ガラスになっていない窓を割って手に入れたガラスで手首を切ったのだ。
7月の頭に冠木がここへ入院してから、自殺未遂は2度目だ。主治医である柳沢にとっては頭痛の種である。同時に、自分の無力さを思い知らされているような気分で、
いつしか彼はこの自殺念慮の若者に対して苦手意識を持つようになっていた。
対面する度に、自分は医師だ、患者を選り好みなどすべきでない、と言い聞かせる。医師としての威厳を保つ事、それが彼の拠り所である。
常舞病院は、いわゆる精神病院だ。
鬱病から過食・拒食、統合失調症に至るまで、ありとあらゆる精神疾患をケアする目的でつい最近に建てられた。都市から隔絶され豊かな自然に囲まれた、真っ白でモダンな病棟で、
カウンセリングも行っているのだが、主に入院施設だ。
ナースステーションは正面玄関を入ってすぐ、その奥には待合室と、デイルームと呼ばれる、テレビやゲームを備えたレクリエーション施設がある。
そこを左に行くと個室に分かれた4階建ての病棟、右には診察室や浴室、薬品庫がある。こちらの右棟の一部の部屋を除いて、窓ガラスは全て強化、脱走防止のために10センチ程度しか開かないようになっている。
出入り口もオートロックで、夜でも2人以上の警備員が常駐しており、セキュリティは全て警備センターから管理できるようになっていた。
現在、入院患者数は20名以上、常駐スタッフを入れると30名近くの人間がここで生活していた。

柳沢はその日最後の回診のために、部屋を出た。デイルームの前で、昨日鬱病で任意入院した東京のサラリーマン江古田と短い会話を交わした。
彼の担当では無かったが、これはもうすぐに退院だろうな、と思った。(いるんだよな、最近ちょっと塞ぎ込んでるだけで精神科に駆け込む患者と、面倒な患者にとりあえず「鬱病」診断する医者が…。)
実際、精神病棟の入院患者は多くの人々の想像と違い、対面して診察してみないと、ちょっと話しただけではどこが悪いのか分からない程、「普通の人」なのだ。
だが、常舞病院で一番若いせいもあって、たまたま現在柳沢の抱える患者には、冠木を始め、一筋縄ではいかない者が多い。
柳沢が部屋の前まで来たとき、田口翔子はドアの後ろの陰で何かを呟いていた。気分はどうかと尋ねると、ぶつぶつ声にまじって「いいよ。」と答えた。
破瓜型統合失調症、少々変わったタイプで、常に何か喋っていて、全ての会話の返答がその一連の文字列に挟まって帰ってくるものだから、聞き逃さないようにするのが大変だ。会話が成り立つだけまだましだ。
柳沢はカルテに変化無しと書き込むと、看護師に夜の分の薬の処方箋を渡して次へ向かった。
その後何人かのカルテに「変化無し」を記入し、桂朱美がまた部屋で喫煙した以外特に問題も起きず、最後に冠木正和の部屋を覗いた。
ドアの上方に空いた小さなガラス窓(もちろん強化ガラスだ)の向こうで、向精神薬がまだ効いているようで、冠木は眠っていた。
自然に目が覚めるまで起こさない方が良いだろう、と柳沢は判断し、カルテをはさんだファイルを閉じた。
その瞬間、けたたましい警報が静かな廊下に鳴り響いた。
柳沢は思わずファイルを取り落とし、反射的にもう一度冠木の部屋を覗いた。冠木が確かにちゃんとそこに居ることを確認すると、柳沢は小走りにナースステーションへ向かった。
途中、数名の患者たちに何があったのだと不安げに尋ねられたが、いま聞いてくるからね、と答えるしかなかった。
どうやら、警報の元は地下のボイラー室らしい。火災ではないらしく、今警備員が様子を観に降りて行ったと看護師に教えられ、柳沢は自分も行ってみる事にした。
引き返す途中、またしても患者たちに何があったのだと聞かれた。
柳沢は何だか嫌な予感がした。患者絡みで無いと良いが… だが柳沢の勘はよく当たるのだ。


36 :腐肉(P.N.):2009/11/15(日) 03:29:06 ID:5SZZSiSG
ボイラー室の階段を降り切って少し奥へ踏み入った時、柳沢は奇妙な体験をした。たった今閉めて来たはずの、地上へ続く鉄の扉が、再び閉まる音がしたのだ。
柳沢はすぐさま振り返って確認したが、扉は閉まったままだし、人の姿はおろか鼠一匹見当たらない。
何を馬鹿な事を考えているんだ、人が居るわけが無い。きっと幻聴だ。第一、患者はここまでは来れないじゃないか。
今朝の一件がまだ自身の心理に悪い影響を及ぼしているのかと思うと、柳沢は苛立ちを感じた。
地下の熱気に顔をしかめながら、薄暗いパイプのジャングルを進むと、2人の警備員が困った顔で立ち尽くしていた。
「何があったんですか?」
柳沢はその背中に声をかける。
「ああ、先生…。」
一人の警備員が振り向き様に答える。
「配管の故障です。多分、機能自体に問題は無いですが、修理呼ぶのは明日以降になりますね…。」
柳沢が首を伸ばして2人の向こうの様子を見ると、丸太ほどの巨大な鉄パイプがひしゃげて、湯気を吐き出している。
これは患者とは関係無さそうだな。というか、人間の仕業じゃない。圧力の問題かなにかでこうなったのだろう、と彼はほっと胸を撫で下ろした。
「ではアラームを止めてもらえませんか?患者さんたちが怖がって…。」
「ああ。ええ…。」
「…まだ何かあるのですか?」
「さっき見回りをしていたもう一人の警備員が… その、見当たりませんで…。」
「ここに来たんですか?」
柳沢は訝しげに尋ねた。
「いえ、わかりません。でもルート上はここが最後のはずなんですが…。」
「だったら、もう上に戻っているのではないですか?見ての通りここには居ないんだから。」
「ええ…ええ、多分そうでしょう。すみません。」
彼は何だか納得していない様子だったが、柳沢に促されて渋々無線機を取り出し、辺りをぶらぶらと歩き回りながら警備センターの仲間に連絡を入れ始めた。
「うわっ!何だこれ…。」
ふいに彼は足を止めて叫んだ。
「どうしました?」
見ると、彼の足の下のコンクリートが、何かで溶かされたようにぶよぶよに歪んでいる。彼が足を上げると、粘性のある透明の液体が糸を引いた。
「硫酸…か?」
「まさか、こんなところに…」
柳沢はそう呟き、ふと映画の『エイリアン』を思い出し天上を見上げるが何も無い。
「ボイラーのせいでしょうか…」
「そんな馬鹿な。今朝の騒動で薬品庫から消えたものが無いか、確認してみるよ…。」
柳沢はそう言うと、ポケットから採尿用のガラス瓶を取り出し、粘液を少し採りふたをした。
「では、地上へ戻るとしようか…。」


37 :腐肉(P.N.):2009/11/15(日) 03:30:00 ID:5SZZSiSG

柳沢は患者たちに、ボイラーが故障したが大したことは無くお湯も普段どおり使えると言い聞かせて回り、部屋へ戻った。
ドアを閉めるなり、いつもは患者の座るソファにどっと腰を下ろした。
疲れた。ここへ来てからそう感じたのは久しぶりの事だった。冠木の最初の自殺未遂の時だってこんなに疲弊しきっては居なかった。
時計を見ると、5時半を回ったところだった。外来の受付は終了したが、バスまでまだ時間がある。
彼は今日で3日間の宿直勤務を終え、次の交代まで2日間病院を離れて家へ帰る予定だった。
職業柄呼び出される事はしょっちゅうなので、家と言っても山のふもとの町だが、病院に寝泊りする生活に比べれば遥かにリラックスできる。
バスまで後1時間ちょっと。その間に薬品庫のチェックをしなくては。時間があれば、先ほどの液体も調べてみて… そう考えているうちに、柳沢は眠りに落ちた。

彼が眠っている間に、病院では少しずつ異変が起き始めていた。
まだ定時前だと言うのに、突如、出入り口のオートロックが作動したのだ。
ナースステーションでは、まだ残っていた看護師たちが警備センターと連絡を取ろうとしたが、応答が無い。
全ては、2人の少女の計画通りに。
患者たちに気付かれパニックになるのを防ぐために、看護師達は宿直の先生を呼びに行った。柳沢と交代で今日から泊り込む予定だった医師の若林は、事態を把握すると
警備センターに直接人を向かわせるよう指示を出した。
若い男性看護師がナースステーションを出ようとしたその時、どこからとも無く一人の少女が現れた。
10代半ばか後半と言った感じだが、身体つきは随分大人っぽい。彼女は裸だった。黒く長い髪を揺らしながら、廊下をまっすぐこちらへ歩いてくる。
「君、そんな格好で歩いてちゃ駄目だよ。早く部屋に戻りなさい。磯谷さん、この子に何か着るもの…。」
男性看護師がそう言いかけた時、若林医師が困惑した顔で呟いた。
「患者じゃないぞ…。」
「え?」
看護師が再び少女の方に向き直ったときにはもう、少女の下顎が蜘蛛の口のようにぱっくりと2つに割れ、その下が腹まで裂け、
大蛇ほどもある厚い舌がイソギンチャクの触手の様に束になってうねり打ちながら飛び出して来る所だった。

少女があっと言う間に5人の人間を飲み込む一部始終を、少し離れたデイルームから見ていた者が居た。江古田哲也は身を潜めて震え上がりながら、ガラス戸の向こうに目を凝らした。
不意に、人間5人分の質量を腹に抱えナースステーションの前に仁王立ちする少女が、黒く美しい髪を靡かせながらこちらを向いた。彼女は江古田と目が合うと、彼に向かってその可愛らしい口を開いた。
江古田はその様から、ペニスをねだっている痴女を連想した。
だが次の瞬間、建物全体が震えるような凄まじいげっぷが轟き、ナースステーションとデイルームの強化ガラスが砕け散った。
江古田は慌てて逃げ出した。高校生の時以来の全力疾走で病棟の廊下を駆けているとき、ズボンが股間の部分に変に擦れる事に気づきふと見ると、勃起していた。
生命の危機を感じたためか、あの恐ろしくも美しい化け物の姿に欲情しているのか、自分でも分からなかった。
廊下を通過していく江古田の悲鳴を、桂朱美はベッドに横になりながら聞いていた。
「うるせぇな…」
彼女はそう呟いただけで、特に外に出て様子を見ようとはしなかった。この病院ではたまにある事だ。朱美は隠していた煙草に火をつけた。
だがそれほど冷静でない患者もいた。愚かにも野次馬精神を発揮して部屋から出た患者たちは、悲鳴を上げる間もなく巨大なピンク色の肉に捕らえられた。
千絵の舌はもはや触手と呼ぶにふさわしい姿をしていて、患者の身体に巻きつくと、大きく開いた「第二の口」の中に引きずり込む。10本近い触手が廊下をのた打ち回り、6人が犠牲になった。
冷たいリノリウムの床を引きずられていく間に、触手の凄まじい力で締め付けられ、全身の骨を砕かれた。抵抗しようと、床に爪の跡が残るほどもがいても、怪物の力には逆らえなかった。
彼らの身体はあっけなく千絵の腹に吸い込まれるように消えた。
患者たちの身体は丸呑みにされ、生きたまま胃の中で消化されるのだ。
強靭な筋肉の壁に挟まれて、自分の身体が次第に溶けて怪物と同化していくのは、大きくて温かいものに包み込まれるような安心感をもたらした。それはもはや苦痛を超えて言い様の無い快感だった。


[続]

38 :名無しさん@ピンキー:2009/11/15(日) 04:27:05 ID:WkOmITj6

なんかバイオ2のGみたいにどんどん千絵が凶悪に進化していくなw

39 :名無しさん@ピンキー:2009/11/15(日) 06:57:52 ID:5anm+PY/
GJ
一度に5人って新記録だなwww

40 :名無しさん@ピンキー:2009/11/15(日) 08:28:00 ID:X5zH/AtP
今日の仮面ライダーW(第10話)で
女が変身した怪人(スイーツ・ドーパント)が
女2人を丸呑みにして膨腹していたよ。
その後吐き出したけどね。

41 :名無しさん@ピンキー:2009/11/15(日) 12:04:24 ID:EkjFr4ib
Gj!!

>>40
                   ,'⌒,ー、           _ ,,..  X
                 〈∨⌒ /\__,,..  -‐ '' " _,,. ‐''´
          〈\   _,,r'" 〉 // //     . ‐''"
           ,ゝ `く/ /  〉 /  ∧_,. r ''"
- - - -_,,.. ‐''" _,.〉 / /  . {'⌒) ∠二二> -  - - - - - -
  _,.. ‐''"  _,,,.. -{(⌒)、  r'`ー''‐‐^‐'ヾ{} +
 '-‐ '' "  _,,. ‐''"`ー‐ヘj^‐'   ;;    ‐ -‐   _- ちょっと見に行ってくる
 - ‐_+      ;'"  ,;'' ,''   ,;゙ ‐-  ー_- ‐
______,''___,;;"_;;__,,___________
///////////////////////


42 :名無しさん@ピンキー:2009/11/15(日) 19:00:29 ID:bFLhIuWs
腐肉氏の作品は連作?前のはどこかでよめますか?

43 :名無しさん@ピンキー:2009/11/15(日) 19:19:56 ID:MjNTHusk
>>42
テンプレ読め。
もし、テンプレ読んだうえで質問してるなら、こう答える。

日本語が理解できないなら前作探しても無駄じゃね?

44 :名無しさん@ピンキー:2009/11/15(日) 19:28:59 ID:DZVdY6/w
>>42
前スレ行けば読めるよ
最初PN無いから見つけづらいと思うが頑張れ

45 :名無しさん@ピンキー:2009/11/15(日) 22:58:37 ID:EkjFr4ib
>>43
さすがにキツすぎるだろwww

>>40
見てきたけどなんかペリカンがくわえた感じで
個人的には微妙だった
よく考えてみたら女じゃないからスレチだしな

46 :腐肉(P.N.):2009/11/16(月) 00:26:54 ID:Bw+WT0V5
たった一人だけ、触手の追跡を免れた患者が居た。統合失調症の田口翔子である。
彼女だけ病室が離れていたため、身を隠す時間があった。そして他の6人が肉の渦の中に吸い込まれていくのを見た。
翔子は表情一つ変えず、自らの取り留めの無い思考を全て言葉に出してぶつぶつと呟いた。
これでも彼女はパニック状態だった。何が起きているか分からない。自分の今までの二十数年間の人生で起きた事の無い事が起きている。
次から次へ溢れ出る思考の濁流の中で、ふと何気なく翔子は「神様」と呟いた。
その言葉を口にした瞬間、もうどういう文脈で使ったものだったのかも忘れてしまったが、彼女はその言葉をもう一度口に出してみたい衝動に駆られた。
「かみさま…」
翔子はそう呟くと、この病院に来てからの2年間で初めて笑った。
「かみさま…」
これ以降、彼女がそれ以外の言葉を口に出す事は無かった。
「神様」
田口翔子はその他多くの日本人同様、信仰を持っていなかったために考えたことも無かった。日々の生活の上で、一度たりとも思考の舞台に上がったことの無かった概念。
「かみさま」
翔子は、それはまさしくあの怪物のことなのだと思った。

千絵はドラム缶ほどの大きさに膨れ上がった腹を抱えるようにして、ガラスの破片に覆われたデイルームへやって来た。
調子に乗って喰いすぎたかな…。今彼女の胃の中には、総勢11名の成人した人間の肉体が詰まっている。
いや、早くしないと逃げられるのだ。向こうだって好きで喰われるんじゃ無いんだし、待ってはくれない。そう思い直して千絵は自分を正当化した。
だがこの腹はさすがにまずい。さすがの千絵もちょっと重くて動きづらかった。
少し休憩することにしよう。そう思って千絵はデイルームに設置されたソファに腰を下ろした。
途端に、ソファの底面やら側面やらを突き破ってスプリングが飛び出し、空気の抜けた風船のようにソファ全体が潰れてしまった。
無理も無い。この身体になってから千絵の体重は成人男子並みになっていたし、そこに更に11人分の質量が加算されているのだ。
「痛っ…」
尻餅をついた千絵は腰を摩りながら身体を起こした。腹が重い。
仕方ない、何も全て消化するまで待つ必要は無いんだ。どうせもう骨しか残っていないのだから、と千絵は諦めると、徐に第二の口を開いた。

廊下の騒音が止んでどれくらいになる?
桂朱美はベッドから起き上がり耳を済ませた。静か過ぎる…。
それにそろそろ夕食の時間だ。誰か呼びに来ないのか?
朱美は立ち上がると、ドアのガラス窓から廊下を覗いた。誰も居ない。
「飢え死にさせる気かよ…。」
朱美はそう呟くと、ドアを開けた。
朱美はこの病院に来て以来、ずっと機嫌が悪い。確かに、体重は一時の半分になったし、見た目も別人のように痩せた。
だが過食症が落ち着いた代わりに、今度はヘビースモーカーになってしまった。この病院では煙草は週に2箱しか買えない。
ニコチン中毒は朱美にとっては豚みたいに食べ続ける事よりもたちが悪い。そもそも彼女は心理学やサイコロピーというものに対して懐疑的だ。
男も仕事も失ったのは、病気そのもののせいでなくこの病院に入ったせいなのではないかと思うこともしばしばであった。
ふと、朱美はデイルームのガラスが粉々になって床に散らばっているのに気付いた。
「何だ…?」
朱美はそう声に出すと、食堂ではなくそちらの方に向かって歩いて行った。
廊下の突き当りまで来たとき、彼女はナースステーションに誰も居ないことにも気付いた。そちらもガラスが砕け散っている。
「おいおい…。」
朱美はロビーへ出た。
「ったく、どうなって…」
その瞬間、大量のどろりとした液体がリノリウムの床に落下するべちゃべちゃという不快な音がロビーに響いた。
驚いて音のした方を振り向いた朱美は、デイルームの真ん中で一人の巨大な少女が口や腹から大量の吐瀉物を床に垂れ流しているのを見た。
良く見ると、顔にある口から腹まで亀裂が走っており、その淵をびっしりと鋭い歯が縁取っていた。
床に落ちた嘔吐物に目をやると、どろどろの濁った液体の中にちらほらと白い固形物が見える。しかもまだまだ出てくる。
床に広がったそれが人間の骨であると分かった瞬間、朱美は激しく嘔吐した。過食だった頃にも、これほどの不快感と嫌悪感を覚えたことは無かった。
千絵は朱美の存在に気付くと、口を閉じて顔を上げた。
朱美は逃げようとしたが、自分の反吐に滑って床に尻餅をついた。水っぽい下呂がズボンに染み込んでいく。
「あ…あ…」
朱美は声を出そうとした。この怪物に向かって何を言うつもりだったのか自分でも分からないが、何にせよ声は出なかった。


47 :腐肉(P.N.):2009/11/16(月) 00:33:25 ID:Bw+WT0V5
少女はガラスの破片を踏みしめながらデイルームを出て朱美の方に向かってきた。
もう腹周りも細り、モデルのような体型に戻っていた。彼女は朱美の嘔吐物の上に足をついても見向きもせず、朱美の目の前に立ちはだかった。
朱美の目の位置からは少女の陰部が丸見えだったが、少女は臆面も無く彼女を見下ろしている。少女の身体に、朱美はコンプレックスを抱かずには居られなかった。
筋肉のついた脚、滑らかそうな太もも、美しい腰のくびれ、腹筋に浮き出た腹、引き締まった二の腕。痩せたとは言え、自分の身体とは比べ物にもならない。勝っているのは胸の大きさくらいだ。
朱美は少女の姿を直視する事に耐えかね、一瞬目を背けた。その瞬間、少女の足が朱美の腹を踏みつけた。
「ぐあぁっ!」
朱美は自分の下呂の上に仰向けに倒れた。少女は腹の上に足をついたまま屈み込むと、朱美の服を剥ぎ取った。少女のどこにそんな力があるのか、服は一瞬でずたずたに裂けた。
少女は鋭い歯をむき出しにして彼女の乳房に噛み付いた。朱美は痛みのあまり悲鳴を上げた。
少女は朱美の下顎に手をかけると、そのまま顎の骨を押し潰した。砕けた骨が喉に刺さり、勢い良く血が噴出す。行き場をなくした朱美の舌がぱたぱたとのたうち、煙草と反吐の臭いを撒き散らした。
少女は一口で乳房を食い千切ると、むしゃむしゃと咀嚼した。それから少女は朱美の胸に空いた穴から手を突っ込むと、手当たり次第に臓器を引っ張り出しては口へ運んだ。
千絵は楽しんでいた。命乞いするような目を見るとぞくぞくする。
最近は足がつく証拠が残らないようにと慎重に食事をして来たので、久しぶりに思う存分餌をいたぶって喰えるのが嬉しいのだ。

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その様子を、佳奈は病棟の一番端にある警備センターのモニター越しに眺めていた。
佳奈の足元には、所々肉のこびりついた白骨死体が3体と、汚らしい色の粘液にまみれた警備員の制服が転がっている。
悪臭を放っていたが、鼻が麻痺しているのか佳奈にはあまり気にならなかった。
警備センターは4畳半ほどのセキュリティスペースに、6畳ほどの宿直室が付属した小さなもので、壁一面をびっしりと覆うモニターには病院の至る所に設置された監視カメラの映像が映し出されていた。
佳奈が座るパネルが、オートロックから外部警備会社や警察への通報まで、病院のセキュリティ全てを掌握している。
先ほどまで佳奈は根気強くマニュアルを眺めていたが、いい加減に飽きたのかマニュアルを放り出し、画面の向こうに展開される殺戮ショーに夢中になっていた。
ちぃちゃん嬉しそうだな。
佳奈は次第に赤く染まっていく画面を見つめてそう思った。
親友のあまりの残虐さを改めて目の当たりにして、佳奈は数週間前、一学期の終わりに千絵と一緒にお風呂に入ったあの時のことを思い出していた。恐怖とは違う。畏怖や、羨望とも違う。
何だろう…この感じ。
人生で今まで味わったことのない、恍惚。ほんの少しの苦痛を伴いながらも、それは中毒性のある麻薬のように佳奈の意識を支配した。
もう一度味わいたい。今度は最後まで。
だってあの時、千絵、途中で止めちゃって…。
無意識のうちに佳奈はその手で自らの恥部をまさぐっていた。パンティがじっとりと湿っている。自分の手の温もりと力を感じて、その下の柔らかい襞がひくんと震えた。
もう我慢できなかった。
佳奈は下着を脱ぐ事などは考えもせず、薄い布越しに生まれて初めての自慰をした。

48 :腐肉(P.N.):2009/11/16(月) 00:34:30 ID:Bw+WT0V5
-----------------------------------------------------------------
その頃、病棟3階では患者たちも異変に気付き始めていた。
最初に気付いたのは、最も階段に近い部屋だった水戸愛莉。まだ高校生だが、極度の潔癖で、それが原因で学校で問題を起こし2週間の入院中。
江古田の悲鳴で彼女が個室から顔を出すと、はす向かいの仁科栄子も続いて部屋から出てきた。いつものように、灰色の猫を腕に抱いている。
「何?」
「さぁ…。」
その時、怪物の噯気が病棟中に轟いた。水戸愛莉は背筋を冷たいものが這い抜け、身体がぶるっと震えるのを感じた。何と汚らわしい音だろう。
仁科は猫に向かって「よしよし」と声をかける。水戸は目を背けた。仁科はいつも、あの汚らわしい動物を抱いている。
彼女も同じ潔癖だが、猫だけは触れるらしい。というか、猫に触っていないと落ち着かないらしい。
水戸からすればナンセンスだ。けだものほど不潔なものがこの世に存在するだろうか。
それ故に彼女は仁科に対し嫌悪感を抱き、いつも担当医の若林に病棟を離して欲しいと頼んでいたのだが。
「ナース呼ぶ?」
仁科が言った。
「ええ、その方が…。」
水戸はそこまで言いかけ、仁科が自分にではなく猫に向かって言っているのだと気付き、言葉を切る。
仁科はそんな水戸の様子に気付かず、部屋へ入って行った。だがすぐに出てくると、今度は水戸の顔を見て「出ないわ」と言った。
「何かあったのよ。」
「そのようね。」
水戸は冷ややかに言う。
その時、階下から何かを吐き出すびちゃびちゃという汚い音が響いてきた。大量の汚物を床にぶちまけたような音だ。
水戸と仁科は一瞬顔を見合わせ、悲鳴を上げた。だがすぐにその悲鳴は、二度目のげっぷの音にかき消された。もはやげっぷというより、雷の音だ。
水戸は吐き気をもよおし、その場にうずくまった。
「大丈夫?」
仁科が近寄り、背中に手を置こうとする。
「触らないで!!」
水戸は気分が悪いのも忘れ金切り声で叫んだ。
「そのけだものを近づけないで!!」
仁科の腕の中で丸まった灰色の毛玉を指差し、後ずさりする。仁科は猫に向かって「失礼でしゅねぇ」などと呟きながら離れていった。
「と、とにかく、逃げなきゃ…。」
水戸は恐る恐る階段の下を覗き込んだ。何か巨大なものが、廊下を移動していく音がする。ふと、搬入用エレベーターの存在を思い出す。
狭いが、医療機器も運ぶものだからある程度は清潔だろう。猫女と一緒でも仕方ない。一人ずつ乗れば…。
「こっちよ。」
水戸は仁科に声をかけると、廊下の奥の赤い鉄扉に向かって駆け出した。
「待って!」
ふいに仁科が足を止める。
「何よ!?」
水戸が苛立ちながら仁科の元へ引き返すと、310号室にまだ誰かが居るのが分かった。
水戸は少し迷ったが、やがて溜息を吐き、袖で手を覆うと310の戸をコンコンと軽く叩いた。


[続]

49 :名無しさん@ピンキー:2009/11/16(月) 08:07:51 ID:TBFPS7cS
GJ!!
あなたと(食事的に)合体したい・・・

50 :名無しさん@ピンキー:2009/11/16(月) 23:36:37 ID:AgNy0NRD
>>47
佳奈さん!!?

51 :名無しさん@ピンキー:2009/11/16(月) 23:55:57 ID:XWE1ZdR8
てっきり餌場にでもするかと思ったら、食い溜め出来るっぽいな
俺も千絵の体に呑み込まれたい・・・

52 :腐肉(P.N.):2009/11/17(火) 03:02:21 ID:II5jLTFP
柳沢は、誰かがドアを激しく叩く音で目覚めた。自分が眠っていたという事実に気付くと、ソファから飛び起き時計に目をやる。
しまった、バスの時間が…!
再び、ドアがバンバンとやかましい音を立てて小刻みに震えた。患者の誰かだな、と柳沢には検討がついた。
「はいはい、今開けるよ。ドアを破られちゃかなわんから…」
ロックを外した瞬間、柳沢ごとドアを吹き飛ばさん勢いで江古田哲也が飛び込んできた。
「な、何だ!?」
柳沢は倒れそうになりながら江古田の肩を押さえて落ち着かせようとした。
「ばけ…!ばけ…!」
江古田は息を切らせながら必死に口を動かす。まるで瀕死の魚だ。
「どうした?ほら、落ち着いて。今ナースを呼ぶから…」
「みんな死んだあああ!!!!!!」
江古田の舌は突然潤滑さを取り戻し、びっくりするような大声で叫んだ。柳沢は呆気に取られて、この引きつった顔の若者を見つめた。
「は…?」
素直な疑問を表す言葉が思わず口をついて出てしまった。
「みんな、みんな…みんな喰われた…。」
江古田は縋るような目を柳沢に向け、今度は今泣き出しそうなほど小さな声で呟いた。
「落ち着いて、あなたは錯乱している。錯乱の意味は分かるね?」
柳沢は冷静を取り戻し言った。
2,3日ここに居れば鬱は治るかと思っていたが、彼は思ったより重症のようだ。
「錯乱じゃない!見たんだ!」
江古田は怒鳴った。
「怪物がいるの。」
その時、2人の後ろで声がした。驚いた江古田が仰け反るように振り向くと、そこに田口翔子の姿があった。
「江古田さん、見たんでしょ?」
江古田は一瞬柳沢の表情を伺うと、ゆっくりと頷いた。
「あれは神様よ。」
田口翔子はにきび跡の残る顔に薄ら笑みを浮かべた。柳沢は信じられないという面持ちで田口翔子を見つめた。
彼が彼女の担当医になってからというもの、彼女の笑顔は勿論、こんなにはっきりと喋る彼女を見たことが無かった。
「先生、本当なんです、信じてください…!」
江古田が柳沢の襟首を掴んだ。
「あの娘は電波だけど、今言ってるのは本当なんだ。怪物がやって来て、ナースと若林先生を喰った。」
柳沢はしばらく呆然としていたが、ふいに我に返ると江古田の手を振り解き誤記を強めて言った。
「いい加減にしなさい!江古田さん、ナースに連絡して注射を持ってきてもらいますよ。
それから田口さん、あなたはダイナーへ戻って皆さんと食事…。」
「かわいそう先生。分からないのね、私たちが“おしょくじ”なの。」
田口翔子は呟いた。


53 :腐肉(P.N.):2009/11/17(火) 03:04:34 ID:II5jLTFP
柳沢は頭に血が上るのを感じた。
この状況は何だ!?
本当なら今頃自宅に帰ってゆっくりと風呂に入れた筈だというのに、錯乱状態の患者が2人、夕食時に私の部屋へ押しかけている。こんな事は初めてだ!
柳沢は田口に返答せず、黙ってデスクの端に置かれた内線の受話器を乱暴に掴んだ。
「どうして…どうして、ああ、どうして聞いてくれない…!」
その間に江古田は頭をかきむしりながら、戸口に立つ田口翔子を押しのけて部屋を出た。
「待って江古田さん、ここにいるんだ!」
柳沢が怒鳴った。そして苛立ち紛れにデスクを指でトントンと叩いた。
「ナースは何をしている。どうして誰も出ない…?」
柳沢は呟いた。
「ああ、神様…!」
江古田は廊下をうろうろしながら呟いた。田口が「そう、神様よ」と相槌を打つ。
「私は帰る!帰らせてもらう!ここから脱出して…」
その瞬間、巨大な桃色の肉の塊が廊下を押し寄せてきて、江古田哲也の身体を押し流した。少なくとも、部屋の中に居た柳沢からはそう見えた。
肉の雪崩は江古田の身体を捕らえると、廊下を逆流して戻って行った。江古田の悲鳴が物凄い速さで遠のき、唐突に消えた。
「な、ななな…!」
柳沢はたった今目の前で起きた現象が何であるのか理解できず、思考を遮断した脳は彼の喉にこんな言葉を発することしか許さなかった。
「かみさま!!!!」
田口翔子が狂ったように叫びながら部屋を飛び出していった。柳沢は我に返りあわてて彼女の後を追う。
「待て、田口!!」
部屋から飛び出すと、柳沢は綺麗に磨かれた廊下で滑って転びそうになった。
顔を上げたとき、彼は田口が駆けて行く向こうに、一人の少女が立っているのが見えた。
腹部、調度胃の辺りが妊婦のように膨れている以外は、モデルのようなスタイルの美しい少女だという事が、遠くからでも分かった。
「かみさま、あたしも連れてって!」
田口翔子は、その美少女に手を延ばす。次の瞬間、美少女の腹が裂け、イソギンチャクの触手のように、異様に長い舌が無数に飛び出してきた。
「田口!!!」
柳沢は立ち上がりきらないうちに廊下を駆けると、大事な患者を護るために、そのか細い腕を掴んだ。
と同時に、悪魔の触手が田口翔子のもう一方の腕に絡みついた。
「あうっ…!」
田口は首を仰け反らせて声を上げる。舌に巻きつかれた方の腕から蒸気が上がる。
「いた… 痛いっ…」
田口は喘いだ。柳沢は懸命に腕を引っ張るが、田口の身体は見る間に残りの触手に包まれて行った。
柳沢が少女の方に目をやると、少女は性的興奮を味わっているかのような恍惚の表情を浮かべ柳沢の目を見つめ返した。
その瞳に宿る悪魔のように残忍な光に、ぞくっと身を震わせた一瞬の隙に、田口翔子の手は彼の手を離れ怪物の方へ引きずられて行った。
舌が緩められると、怪物の体液で無残にも生きながら溶かされた身体が顕わになった。
ばらばらにされた骨格模型の上に、ピンク色のスライムをぶちまけたような姿だった。
千絵の舌がまだ細い息を吐く田口翔子の顔をぺろりと舐めると、一瞬で顔の皮膚が剥がれた。ところどころにきびの跡から膿が垂れる。
田口翔子はその顔をちらりと柳沢の方へ向けると、そのまま千絵の腹の肉壁の中へと消えていった。千絵は背筋を熱いものが駆けるのを感じた。
やっぱり女の子、好き。
千絵は地べたに転がったまま動けなくなった柳沢の前に立つと、彼に向かって第二の口から特大のげっぷを放った。
怪獣の咆哮のような轟音は狭い廊下に反響して一瞬で彼の鼓膜を破壊し、この世のものとは思えぬ悪臭が辺りに充満した。


54 :腐肉(P.N.):2009/11/17(火) 03:07:51 ID:II5jLTFP
柳沢の身体はそれを感じる間もなく、溶け出した。胃から込上げたガスに粒子状になって混じった胃液が、スプレーのように高圧で噴射されたためである。
柳沢は悲鳴を上げるが、すぐに喉が溶けて声が出なくなる。
悪臭に刺激されてこみ上げてきた胃の内容物は、口まで達する前に胸や喉に空いた穴から膿のようにどろどろと垂れた。
身を捩ってもがいても、全身に付着した強酸が、清潔な白衣や彼の肉と反応して生じた化学変化はもう止められなかった。
瞬く間に泥状の液体となった柳沢医師の身体は、彼自身の下呂と混ざり合った。
彼の医師としての威厳はおろか、人としての、いや知的生命体としての尊厳は、その肉体と一緒に消し飛び、無様な染みのように床に広がった。
「んー… ちと、やり過ぎたかな…。」
その様子を見た千絵はそう呟くと、廊下の真ん中にちょこんと腰を下ろし、這い蹲るようにしてその液体をぴちゃぴちゃと舐めた。
彼女の胃袋は限界を知らない。彼女を支配する貪欲な食欲は、まだ次の獲物を欲していた。

-------------------------------------------------

その少し前、千絵が桂朱美をバラバラに引き裂いて食い荒らしていた頃、206の病室で一人の男が目を覚ました。
彼の名前は冠木正和。
左手首に包帯を巻かれ、革のベルトでベッドに固定されていた。
また失敗したのか…。今度はうまく逃げ果せると思ったのだが。
計画は完璧だった。間抜け面の看護師は彼の仮病を信じたし、彼はうまく隙をついて脱走した。ガラスも綺麗に割れた。
あの白衣姿の木偶の坊共が慌てふためいてやって来ても遅いんだ。
俺は奴らの消毒臭い手をするりと逃れて、この世からおさらばできる筈だった。
だが目覚めたらまだここに居る。
彼は拘束具を振り解こうと、身体をもぞもぞ動かした。ひどく腹が減っていた。
そう言えば、窓の外はもう真っ暗だ。この世界に復讐しようとした俺なんかには、まずい晩飯も与えられないと言うのか。
その時、彼の残り短い人生を変える瞬間が訪れた。獣の咆哮のような恐ろしい音が、建物の壁を振動させながら階下から上がってきた。
冠木は動くのを止めた。怪物の吠え声はもう止んだが、窓ガラスはまだガタガタと震えていた。
よくよく耳を澄ますと、階下の方から、何か巨大なものが動き回る音が聞こえた。それから、人の叫び声。
それらがしばらく続いた後、再び怪物が吠えた。先ほどより遠いが、より大きく、よりおぞましく。
彼がこの世界から逃れられない内に、世界が崩壊を始めたのだ。
冠木正和は子供の頃、狂った母親が読み聞かせてくれた物語のドラゴンを思い出した。
「ドラゴン…」
彼は呟く。そう、ドラゴンだ。巨大で、恐ろしい姿をした、残忍なモンスター。誰もドラゴンからは逃れられない。
そんな事があってたまるか!
彼は恐怖に震え上がった。
冗談じゃない。彼はこの世界の誰よりも早く、この世界を脱出するのだ。そしてその先には、彼だけの世界が待っている。
ドラゴンなんかに、やられてたまるか!彼の世界を侵されてたまるものか!
その時彼の心の中に奇妙な感情が芽生えた。
ドラゴンを退治してやる。
そう思い立つと、冠木は再び拘束具から逃れようと身体を揺り動かし始めた。すると、包帯の巻かれた左腕のベルトがカタリと外れた。
しめた!看護師が手首を傷つけないよう緩く締めていたのだろう。
彼は傷の痛みも忘れ、自由になったその手で残りのベルトを外しにかかった。


55 :腐肉(P.N.):2009/11/17(火) 03:12:28 ID:II5jLTFP
------------------------------------------------------------
佳奈は、ノイズの多い画面に映った、たった今3人の人間を死に至らしめた親友が、這い蹲って腰を左右に艶かしげに動かしながら床を舐める姿を見ながら果てた。
息は荒く、動悸がした。膣の周りの筋肉が小刻みに震え、そこから分泌された粘っこい液体が指を滴り落ちた。
経験した事の無い陶酔と、幸福がしばらく続いた。体中の熱が覚めやらぬ内に、突然パネルの脇に引っ掛けられた無線機が擦れた音を発した。
「佳奈、応答せよ。」
佳奈は驚いて椅子から転げ落ちそうになった。
「佳奈?」
無線機が再び、千絵の声で喋った。
「こ、こちら佳奈!き、聞こえてるよ!」
佳奈は慌てて無線機に向かって言った。思いの外自分の声が枯れて、息切れが激しい事に驚き、少し恥ずかしくなった。
「今ね、ナースステーションなんだけど、まだ生き残ってるの、居る?」
見ると、ナースステーションに設置された監視カメラの前で千絵が手を振っていた。当然裸のままだ。
「ちょっと待って…。」
佳奈は床に転がった警備員の死体が着ている制服で指を拭うと、カメラ映像を切り替えるためのダイヤルを回した。
「えと、202に一人、男の人。それから…206。あとは… あ、病棟3階の廊下に何人か固まって居るよ。3人… 4人かな?ごめんね、ここからじゃよく分かんない。」
「それで全部?」
「多分…」
「さんきゅ。一応、ここからは無線は持って行くから。」
そう言うと、無線機はザザっという音と共に静かになった。
佳奈は座り直そうと、回転する椅子の上でしばらくもぞもぞと動いていたが、やがて溜息を吐くと立ち上がり、びちょびちょに濡れた履き心地の悪いパンティを脱ぎ捨てた。


[続]
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56 :名無しさん@ピンキー:2009/11/17(火) 06:21:24 ID:aE4WknBA
グッジョブ。
相変わらず上手いな。
酸で溶かされていく被害者の様子がCUBEを思い出した。

57 :名無しさん@ピンキー:2009/11/17(火) 07:44:02 ID:dCCsMpFi
GJ!!
毎回違うバリエーションが出てくるのはすごいと思う

58 :名無しさん@ピンキー:2009/11/17(火) 14:47:12 ID:LQEm81O4
豪快な捕食シーンで最初気がつかなかったが
江古田さりげなく死亡フラグ建ててたのか

59 :名無しさん@ピンキー:2009/11/17(火) 20:55:18 ID:Cs4FVg8I
すげぇな
一人一人の人物の描写がちゃんとしてる
続きが楽しみ

60 :名無しさん@ピンキー:2009/11/17(火) 23:31:05 ID:laD6QXb6
中だるみ無しとかたまんねぇ

61 :名無しさん@ピンキー:2009/11/19(木) 11:59:44 ID:GsM1EuBC
lov2のロックブーケのカードに
吸収の対象:美女という美女すべてと書いてあった。
吸収ってどういうふうにやるんだろう。

62 :名無しさん@ピンキー:2009/11/19(木) 14:34:58 ID:GsM1EuBC
補足
多分lov2のゲーム中に吸収できるわけじゃなく
(lov2やったこと無いので詳しく知らないけど)
ロックブーケ属する七英雄はモンスターなどを吸収してパワーアップする
という設定があるのでそれについて詳しく書かれているだけだと思う。

63 :名無しさん@ピンキー:2009/11/20(金) 22:17:07 ID:iz5ULIiH
ロックブーケは霊とか精霊系のモンスター吸収しているのかと思ってたが人間吸収してたのかw
あのまとわりついてる幽霊は吸収された女の霊か・・・
そういえばスービエはゲームが進んでいくと海の主の娘を吸収してたな
ワグナスも男なのに女のモンスター吸収したのか女の姿になってた
第二形態は顔だけ男に戻ってたけど
ロマサガ2は中々このスレの住人にはおいしいネタが多いな

ヴァルキリープロファイルのJ・D・ウォルスって女魔導師も美しくなるために
大量の人間の命を吸収したらしい
あの設定も好きだった

64 :名無しさん@ピンキー:2009/11/21(土) 00:46:11 ID:2xx7F91X
そういえば、ロマサガ2のラスボスは
アストラルゲートという、
プレイヤーキャラを巨大な顔みたいな物体の口に吸い込んで
混乱させる技を使う



65 :名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 15:25:27 ID:H2gSVpVV
俺は今が食べ頃

66 :腐肉(P.N.):2009/11/23(月) 00:31:02 ID:A2we5den
3階廊下の奥、搬入用エレベーターの鉄扉の中で、3人の患者は十分に距離をとって隠れていた。
お互い、近づきたくないのだ。
潔癖症の少女2人は、310号室の患者前島を連れ出すのに一苦労した(この初老の男は「大佐」と呼ばれないと振り向きもしない。)後、
エレベータールームの赤い扉を開けるのにもう一苦労した挙句、電源が落ちているのか、動かないエレベーターを前に絶望を味わっていた。
おまけにエレベータールームの扉は締りが悪く、閉めようとしたら10センチほど隙間を残してびくともしなくなってしまった。
前島大佐は一言も喋らず、禿げ上がった頭を壁に付けぼぅっと床を見つめていた。
とその時、廊下の向こうで何かの音がした。巨大なものが動いている。それが一歩踏み出す度に、廊下に足音が響き渡った。
仁科栄子は悲鳴を上げそうになるのを堪えようと、口に手を当てる。その隙に、彼女の猫が彼女の腕から滑り落ちた。
「ベッキー!」
飼い主の呼び声を無視し、灰色猫のベッキーは扉の隙間から廊下に駆け出していった。仁科栄子は悲鳴を上げる。
「しっ!ちょっと、静かにしてよ!!」
水戸愛莉が声を殺して叫ぶ。次の瞬間、廊下の向こうからギニャン!という猫の悲鳴が聞こえた。仁科は泣き出した。
「静かにしてってば!」
水戸は仁科に駆け寄った。手で口を塞いでしまおうかと考えるが、そんな事は出来なかった。素手で他人に触れるなど。まして口など!
近くへ来たものの、水戸には何も出来ず、仁科は悲鳴を上げ続ける。怪物に見つかるのは時間の問題だった。
足音はどんどん近づいてくる。近づけば近づくほど、音は重量感を増して行く。やがて鉄の扉がぎぎっと軋みを上げたかと思うと、次の瞬間凄い勢いで壁から引き剥がされた。
水戸愛莉も思わず悲鳴を上げる。驚いた事に、それまで、もしかしたら喋れないのではないかとさえ思っていた大佐が一番大きな声で叫んだ。
だがその声は、びちゃっという液体の飛び散る音と共に一瞬で途絶えた。車ほどある巨大な蛸の脚のような巨大な触手が、大佐の身体を持ち上げたのだ。
その衝撃だけで、前島の胸は押しつぶされ、凄まじい量の血が辺りに撒き散らされた。
触手はぬらぬらと光る液体を滴らせながら、大佐の身体をもてあそび、捻り上げた。湯気の立つどす黒い血が絞り出された。
触手の向こうで、怪物がそれを浴びて歓喜に震えるのが分かる。
水戸愛莉はあまりのおぞましさに悲鳴を上げる。やがて固く絞った雑巾のようになった大佐の肉は、ぽいと捨てられ、エレベーターの扉にぶつかってびしゃりと飛び散った。
その肉片と汚物を全身に浴び、水戸はもう声も出なくなった。糸の切れた人形のように、床にへたり込んだ。
触手がするすると怪物の口の中に仕舞われていった。そのピンクの肉塊が消えると、鮮血を浴びた少女が現れた。
これが怪物なのか?彼女と大して年も変わらないではないか。
「にゃん?」
怪物が、その残忍な本性に似つかわしくない子猫のような声で鳴いた。
「これ、君のかにゃ?」
怪物が喋った。水戸愛莉は怪物の視線の先を追って、その時久しぶりに仁科栄子の存在を思い出した。仁科は彼女よりも引きつった顔で、怪物を凝視している。
「毛玉が痞えるから返すにゃ。」
そう言って怪物は、べとべとの塊を2人の前に吐き出した。それはところどころ灰色の毛に覆われたスライムのようなものだった。


67 :腐肉(P.N.):2009/11/23(月) 00:31:52 ID:A2we5den
そのヘドロのような汚物が頭と思しき部位をもたげ、苦しげに「ぎにゃあ」と鳴いた。2人の少女は悲鳴を上げた。
「ベッキー!!!!!」
仁科栄子は、顔を涙や鼻水や唾液など、本来彼女が我慢できない筈の液体でぐしゃぐしゃにして、その汚い塊に縋りついた。
次の瞬間、怪物の腹の辺りから再び触手が伸びてきて、仁科に襲い掛かった。
細長い触手は仁科の胴体に巻き付くと、肉の壁のように変形し彼女の身体全体を包み込んだ。中で仁科が悲鳴を上げてもがくのが分かる。
怪物はこくりと首をかしげ、もう一つの触手を水戸愛莉に向ける。
「いや、来ないで!!!」
この期に及んでも、命の心配よりも、その触手に対する嫌悪感の方が勝っていた。彼女は愚かにも、怪物の方へ駆け出していた。千絵の腕が彼女を捉える。
「君の悲鳴、好き。」
怪物はその可愛らしい顔を彼女に向けて言った。
「もっと鳴いて。」
首の辺りをがっしりと手で捕まれ動けなくなった水戸の脚に、怪物の触手が絡みついた。熱く、ぬるぬるとした粘液で彼女の肌を湿らせながら、力強く締め付けてくる。
水戸は泣き叫んだ。怪物はまるでその声に欲情しているかのように身を震わせて言った。
「もっと戦慄け。」
別の触手が彼女の腕を捉えた。振り解こうともがいたら、ゴキンという嫌な音と共に肩の関節を外された。その痛みに、彼女はまた悲鳴を上げる。
「君、可愛いね。顔は最後にしてあげる。」
怪物の口がそう言っている下で、仁科栄子を包み込んだ舌が、彼女の身体ごと怪物の腹に収められて行った。
べとべとの舌で乳房を蹂躙され、水戸愛莉は激しく嘔吐した。すると、怪物少女はその小さな唇を、下呂で汚れた水戸の口に宛がうと、激しい接吻を交わした。
「交わした」というより、「押し付けた」。長く湿った舌を喉の奥まで入れると、執拗に口内をまさぐった。
自分の唾液と怪物の唾液が混ざり合うのを感じ、彼女はまた吐き気を覚えるが、込上げてきた胃の中身は触手に押し戻された。
彼女はパニックに陥り、呼吸が出来なくなった。咳き込もうにも口を塞がれ叶わない。
股間から溢れ出た尿が腿を伝って滴るのを感じる。その間も怪物は可愛い顔で彼女を陵辱し続けた。
ふと、水戸は怪物の口から別の液体が流れ込んでくるのが分かった。
すっぱい…。
そう思った瞬間、激しい痛みと猛烈な熱さが口の中に広がった。彼女はうめき声を上げる。
溶けている!
焼けるような熱さは喉に流れ込むと、食道を焼きながら身体の奥深くへ侵食した。
水戸愛莉の身体は触手に包まれ身動き一つ取れず、怪物の胃液を口移しで流し込まれる容れ物と化した。
自分の顔から煙が立ち上るのが見えた。だが、すぐに視界が白濁して見えなくなる。眼球が沸騰を始めたのだ。
鼻や耳から酸が溢れ出て肌や髪を焼き、顔中の皮膚が泡を立てて弾けた。
「ぷはっ。」
千絵は背徳感に頬を紅潮させ、哀れに溶解した少女から唇を離した。
口からとろりとこぼれる胃液の残りを手の甲で拭うと、少女の肉の残った部分が舌の中で溶け行くのを存分に味わった。
苦痛と嫌悪の中で、水戸愛莉は息絶えた。怪物の舌は彼女の亡骸をくるむと、筋肉にぎゅっと力を込めその骨を押し潰し自らの胃袋に納めた。
千絵は第二の口を閉じると、猫のように、手についた胃酸や水戸愛莉の唾液や嘔吐物をぺろぺろと舐めて綺麗にした。
腹がずしりと重い。手で支えてやらないと床へ擦ってしまいそうだ。


68 :腐肉(P.N.):2009/11/23(月) 00:34:41 ID:A2we5den
「千絵、聞こえる?」
無線機が鳴った。
「聞こえるよ、オーバー?」
「ごめんちぃちゃん、ちょっと目を離してる間に206の患者さんが居なくなっちゃった…。」
佳奈が申し訳無さそうな声で言う。
「建物からは出れないはずだから、逃げたとしてもこの中だよ。」
「そか… 今ちょっと、追っかけたりはきついから後回しにする。」
千絵は片手で腹をさすりながら、もう片方の手で持った無線機に言った。
「もう一人いるよね?」
「うん、202。」
無線機から返事が返ってきた。
「じゃあそっちが先にゃ。もし206さん見つけたらマークしといてね。」
千絵はそう言って通信を切った。

------------------------------------------------------------------------------

近くの踊り場の陰から、冠木正和はその様子を伺っていた。見つからないよう必死で息を殺したが、それでも彼は興奮を隠しきれなかった。
どでかい腹を抱えた少女が、裸で廊下を歩いているのだ。
彼女はドラゴンだ。たった今3人の人間を食ったのを、彼は見た。だがあっさりと対峙してしまうにはあまりに惜しい。
長い間忘れていた欲望が、冠木正和の下半身を疼かせた。
彼は身を潜めながら、千絵の整った顔やプロポーション、細いが筋肉のついた腕と脚、
軽自動車ほどの大きさに膨張した真っ白な腹をじっくりと観察し、密かに身を震わせた。
ドラゴンは無線機を使っている。という事は、その先に話している相手がいる筈だ。
冠木の脳裏に、素晴らしい作戦が浮かんだ。
うまくすれば、彼は彼女をものにすることが出来る。
ドラゴンを己が手に入れることが出来るのだ。


[続]

69 :名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 01:04:46 ID:40CDo3qp
GJ!!

そして、佳奈がアブナーイ!!

70 :名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 01:46:19 ID:iMVmKXf2
GJ!

71 :名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 04:21:25 ID:FZrL4ZdH
GJ!
続きが気になるなぁ

72 :名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 10:58:06 ID:02iainIl
続き凄い気になる

73 :名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 22:04:32 ID:wEE1mwz0
猫の声マネをする千絵に不覚にも萌えた

74 :腐肉(P.N.):2009/11/24(火) 01:58:46 ID:1E+D6t1U
202号室の戸を開けた千絵は、少し驚いた。
そこに横たわっていたのは、点滴に繋がれた、千絵よりも幼い少年だった。
千絵の中に、忘れていた感情が再びぼんやりと形をとるのが分かった。
何だっただろう、この想いは…。
3年生になったばかりの頃、受験などはまだ遠い先の事で、千絵は残り僅かとなった部活に学校生活の大半を費やしていた。
そんなある日、部活の後のグラウンドで声をかけられた。千絵は汗をかいていて、恥ずかしかった。
ひどい顔になってないかな、とか、汗臭くないかな、とかそんな事ばかり考えて、顔から火が噴出す思いだった。
だが彼はそんな私に好きだと言ってくれた。あんまり喋ったことも無いのに、私に興味を持ってくれた。
それが嬉しかった。私も彼に興味を持った。彼の感じることを全て一緒に感じたいと思った。
…何だっただろう、彼の名前…。
初めてのデートや、手をつないだ時、キスをした時の事は覚えていないが、あの日の事は覚えている。
彼が死んだ日の事。彼の身体の温もりを、初めて全身で感じたあの日、私が…。
千絵は、つっと涙が頬を伝うのを感じた。
どうしよう… 私、処女だったんだ。
あの日、彼とホテルへ行った。私は緊張していた。ちょっぴり怖くもあった。でも嬉しかった。それが、何もしないうちに、人生最悪の悪夢になった。
私は処女だった。怪物になるまでは。
この身体になってから、何人かの男と、彼らを喰う前の前戯として徒に交わった。
もちろん彼女はもう人間のペニスに対しては何も感じないし、妊娠したりもしない。だが大切にしていたものを、気付かずに失くしてしまったのだ。
千絵は泣いた。名前も顔も思い出せない彼の事を想って泣いた。
今になって後悔しても遅いのだ。運命は、どうしてこんなにも残酷なのだろうか。彼女は、この世で最強の生き物なんかではない。
一匹の、ただの哀れなけものだった。
千絵は涙で濡れた手で、少年の身体に触れた。その時千絵ははっとした。少年の身体は氷のように冷たかったのだ。
見ると、点滴は空になり、濃いワインのような色の血がチューブを逆流して点滴袋に溜まっていた。どのくらいこのまま放置されていたのだろう。
どうしてもっと早く気付かなかった!
「うそ…。」
千絵は慌てて少年の首筋に手を当てた。
脈が無い。本来なら手首に当たる筈の、生暖かい吐息も無い。少年の身体は千絵の冷たい手よりも、さらに冷たかった。
いつからこの状態なのだろう?ナースは来なかった。当たり前のことだ、彼女が食べてしまったのだから。
遠くの方で、雷鳴が低くうなりを上げ、窓の外では風が吹き始めていた。
千絵は、少年の口に自らの口を宛がい、息を吹き込んだ。
たくさんの命を奪ってきたその口で、少年に再び命が吹き込まれる事を願って。そんな事は無駄で、もう遅いと分かっていながら。
息を吹き込めば、あばらの浮き出た少年の薄い胸が上下するが、それでも、彼の命は返って来なかった。
千絵は床にへたり込んだ。涙はもう流れてこなかった。
こんな時だけ、獣の冷静さを取り戻して簡単に死を受容してしまう。ならいっそ、感情なんて消えてしまえ。
千絵は少年の、異様に軽いその身体を抱き上げた。
千絵には彼がどうして死んだのか分からない。点滴が空になったからと言って、多少の空気が血液に混入したくらいで人は死なない事を彼女は知っていた。
ただ、彼は死んだのだ。彼女にとってはそれだけだった。
彼がどんな人物だったか、どこで生まれ、どんな人に育てられ、どんなものが好きでどんな友人がいたか、もう彼女には、そんな事を想像する能力が無かった。
それなのに、なぜこんなに気分が悪くなるのだろう。他に何十人もの人間を、喰うだけでは飽き足らず嬲り辱めて殺してきたと言うのに。


75 :腐肉(P.N.):2009/11/24(火) 02:03:00 ID:1E+D6t1U
千絵は少年の顔を、自分の柔らかく獰猛な胸に押し当てた。
するりと口が開き、まるで母親が赤子を乳母車へ戻すように優しくそっと、彼の死体は千絵の中に包み込まれた。
いつの間にか、食欲はどこかへ失せていた。だが彼女は、少年をこのまま冷たい場所に置いて行きたくなかったのだ。
「かな…。」
千絵はかすれた声で、無線機に向かって言った。この部屋での出来事も、見られたのだろうか。千絵は少し恥ずかしくなった。
だが、返事は無い。
「…佳奈?」
無線機は無言で、千絵を冷たく見つめ返すばかりだ。千絵の中の獣が、悪い予感を告げていた。佳奈の身に何かあったのだ。
千絵の胸の奥の人の心が、きゅっと縮み上がった。

--------------------------------------------------------------------------

警備センターに近づくにつれて、千絵は次第に鼓動が早まっていくのを感じた。久々の感覚だった。
「佳奈。」
千絵はまだ胃袋が重く垂れ下がっているにも関わらず、国体選手並みの速さで病棟を駆け抜けた。
彼女の重みで、床のリノリウムにひびが走り、微かな破片が舞った。
千絵は半ば蹴り飛ばすように警備センターの扉を開けると、勢い余って中へ転がり込んだ。
千絵を出迎えたのは、ざらざらした光を放つ無数のモニターと、床に転がった警備員の死体だけだった。
「佳奈…。」
千絵はモニターに駆け寄ると、画面の隅々に目を凝らした。アングル切り替えのダイヤルを回しながら、どこかに消えた親友の姿が無いか必死に探した。
階段の映像に切り替わった一瞬、彼女の獣の動体視力はある異変を捉えた。
襲撃の前にこの部屋から施設中の出入り口を完全にロックした筈なのに、屋上へと通じる扉が半開きになっていた。
佳奈は何をしに屋上へ行ったのだ?
佳奈に限って、千絵に黙って作戦を危険に晒しかねない行為に及ぶとは思えない。
ふと、行方不明になっている206号室の患者の存在が脳裏を過ぎる。そう言えば、たった今施設中の監視カメラをチェックしたのにどこにも映らなかった。
カメラに写らない場所に隠れているのか、あるいは… 佳奈と一緒にいるのか?
千絵は胸騒ぎを覚えた。無意識に拳に力が籠もる。
彼女は苛立ち紛れに壁一面に並んだブラウン管テレビの画面に向かってその拳を突き出した。モニターガラスが砕け散り、小さく爆発しながら火花を散らした。
「殺す…。」
千絵は呟くと、壁の穴から拳を引き抜き、屋上へ向かうために警備センターを後にした。


[続]
--------------------------------------------------------------------------
いつも感想や励ましの言葉を書いてくださってありがとうございます。とても嬉しいです。

76 :名無しさん@ピンキー:2009/11/24(火) 23:41:03 ID:TFWl2mCK
>>腐肉さん
アナタ(作品も)がチュキダカラー!!

クライマックスの予感・・・ゴクリ

77 :腐肉(P.N.):2009/11/25(水) 00:39:35 ID:5FRvZfTN
吹き付ける風が、屋上へ続く扉をゆらゆらと揺らし、時々バタンと音を立てて枠に叩きつけていた。
ひたひたと階段に足音を響かせながら、千絵は冷たい素足でその扉に近づいた。扉を開けた瞬間、雷光が迸りコンクリートの屋上に彼女の影を大きく落とした。
そこには、脅えきった目の親友と、彼女の首に注射器を突きつける男の姿があった。
痩せた男は拘束具のような服に身を包み、血走った目で千絵を睨むと、汚い歯を見せにやりと笑った。
「千絵…!」
佳奈が少し安心したような声を漏らす。千絵は佳奈を優しく見つめなだめるように言う。
「大丈夫だよ、佳奈。もう大丈夫だから…」
「こっち見ろぉ!!!」
突然男が叫んだ。佳奈は男に首を掴まれ短い悲鳴を上げる。
「俺を見くびるなよ、ドラゴン。」
ドラゴンって何だ? …あ、私の事か。
「この女放して欲しかったら言うとおりにするんだ。」
千絵は黙って男を睨みつけた。それをイエスと受け取った冠木正和は、勝利を確信した。
場所を広いところに選んだのは正解だったようだ。狭い廊下と違ってここではドラゴンが「舌」を出して来ても、こっちにはかわす余裕がある。
さて、どうしてやろうか?
「そこにうつ伏せになれ。」
冠木は千絵に指示した。千絵は黙って冷たいコンクリートの上に腹ばいになった。押し付けられた乳房にざらざらした感触が広がる。
その姿を見ただけで、冠木は自分の体が疼くのを感じた。這い蹲って彼を見上げる千絵の攻撃的な目が、彼を勃起させた。これで全て彼の思い通りだ。
だがドラゴンを犯す前に、こっちのガキを先に犯るのも悪くない。冠木は佳奈の濡れた瞳を見つめ、唾を飲んだ。雷鳴が轟く。
「服を脱げ。」
「えっ…」
佳奈はびくりと身体を硬直させ、目に涙を浮かべ、懇願するように冠木を見た。その表情がかえって彼を興奮させた。
「ぬ、脱ぐんだ。全部。」
「やめろ…。」
千絵が言った。そのあまりに威圧的な声に、冠木は一瞬怯んだ。
「う、動くな。こいつを殺すぞ!!?」
「佳奈は私んだ!!!!!!」
千絵は声の限り叫んだ。突風に吹かれたような感覚が冠木を襲い、思わず佳奈から手を離した。その瞬間、佳奈のひじが冠木のぺたんこの腹に突き刺さる。
「ごふぅっ…!!」
冠木は咳き込む。
しまった!!
そう思い、慌てて体勢を立て直した瞬間、彼は物凄い力で地面に叩きつけられた。
驚いた事に、背中の下でコンクリートが割れてその破片がいくつか彼の肉に突き刺さった。彼は絶叫しながら、ぎゅっと握った注射器を当てずっぽうに振り回した。
針の先に手ごたえを感じ、ふと見ると針の先がドラゴンの腕に深々と刺さっていた。
やった!
冠木はピストンを押す。だが、びくともしない。次の瞬間、怪物の細い腕に筋肉の筋が浮き上がり、鋼鉄の針はパキンと折れた。
怪物が更に力を込めると、細かった腕に筋肉が隆起し、折れた針がぽろりと抜け落ちた。怒りと憎しみに握り固められた少女の拳が、唖然とする冠木の顔面を貫いた。
顔のパーツの大半を押しつぶした拳は、脳漿と血液をぶちまけて後頭部から外へ突き出すと、ひびの入ったコンクリートの地面を更に砕いた。
冠木の身体は力を失い、腕をだらりと横たえて動かなくなった。だが千絵は手を止めなかった。
拳を引き抜くと、床に崩れ落ちた冠木の身体に馬乗りになると、再び拳を振り下ろした。頭蓋骨が粉々になり、中の脳や顔の肉片が飛散した。
この時点で冠木の頭部は、まるで高所から地面に勢い良く叩きつけられたトマトのように形象を失い血肉と骨の飛沫と化した。
だが千絵は止め処なく拳を繰り出し、その度に一人の男の肉体は人の形を失って行き、代わりに
床の染みとコンクリートの亀裂がどんどん広がって行った。建物自体が軋みを上げている。


78 :腐肉(P.N.):2009/11/25(水) 00:44:51 ID:5FRvZfTN
「千絵!!」
千絵が再び腕を振り上げた瞬間、佳奈が両腕で千絵の腕を押さえようとした。千絵は勢い余って、しがみついた佳奈ごとその手を振り下ろす。
佳奈の身体は軽々と宙を舞い、床に広がった血溜りの上にぐしゃりと叩きつけられた。
「い、いた…っ。」
「佳奈…。」
千絵は我に返り、仰向けに倒れた佳奈を覗き込む。口から血が流れている。
「佳奈!!」
「だ、だいじょうぶこれくらい…。」
佳奈は苦しそうに呟くが、口の中に血が溜まっているのか噎せ返った。
「こう見えても結構頑丈なんだよ…?」
無理やり起き上がって「へへ」と笑う佳奈を見て、千絵は泣き出した。
「どうしたの、ちぃちゃん…?」
千絵は佳奈の小さな胸に頭をもたせかけた。
「佳奈、佳奈、私… 私…!」
千絵は想いを言い表そうとしたが、言葉にならなかった。硬くなった筋肉が、嗚咽に合わせて上下に震える。
「決めたんだ、何があったって… 佳奈だけは護るって…。」
佳奈は濡れた犬のように震える千絵をそっと抱いた。
「私は大丈夫だよ… ありがとう、千絵。」
ぽつり、と空から落ちてきた冷たい雫が千絵の髪を濡らした。やがて降り出した雨は、少女たちの涙と混ざり合い、地面に広がった血の染みを薄めて広がる。
少女たちは、しばらくそのままぎゅっと抱き合って泣いた。雨はどんどん強くなり、時折稲妻の閃光が辺りをかっと照らしては夏の夜空に向かって吠えた。
しばらくして、千絵が顔を上げた。潤んだ真っ赤な目を佳奈に向け、「いたくない?」と尋ねる。その顔はどうしようもなく可愛かった。
千絵は無理に起き上がろうとする佳奈の、肩と腿の辺りに手を回して抱き上げようとした。
佳奈がやたらと拒否するのでなぜかと思ったら、どうやら下着を履いていないようだ。
千絵は笑い出した。真っ赤な顔の佳奈をお姫様のように抱き上げると、浴室に連れて行く事にした。ノーパンの理由は聞かなかった。
冠木正和の肉片は、片付けずにそのまま残した。まだ胃袋に空きはあったが、千絵はこの男を、例の少年と同じ場所に入れたくなかったのだ。
雨が止む頃には綺麗に洗い流されているだろう。
ふと、浴室の入り口の大鏡に自分たちの姿が映っているのを見て、佳奈が呟く。
「血まみれだね、私たち。」
「美女と野獣だね。」
長い髪から血を滴らせながら、千絵は腕の中の佳奈に弱弱しく笑いかける。
「ううん。」
佳奈は首を振る。
「野獣は居ないよ。」
2人は身体をシャワーで洗い流すと、ゆっくりと湯に浸かった。佳奈はちょっとした打撲だけで骨折は無かった。
佳奈は痛む背中を千絵に舐めてもらい、彼女の膨れ上がった腹を撫で回しては嬉しそうな顔で笑った。
千絵はほっとしたのと満腹感から、風呂を出るとすぐに眠くなってしまった。
2人は無傷の個室を見つけると堅いベッドで裸のまま寄り添い、佳奈は千絵の大きな腹を枕代わりにして、お互いの身体を感じながら眠った。
夜の時間はゆっくりと流れた。

-----------------------------------------

翌朝、千絵は日の出と共に目を覚ました。雨はもう上がっていた。
昨夜の晩餐は完全に消化され、腹は元の細さに戻っていた。徐々に枕が低く硬くなってしまったため、佳奈は千絵の胸の上に頭を乗せて眠っていた。
佳奈の頭をちゃんと枕に乗せると、千絵は起きて服を着、佳奈のためにコーヒーか何か無いか施設を散策した。
窓の向こうには朝もやが立ち込めており、その向こうから鳥のさえずりが聞こえていた。
6時過ぎて佳奈が起き出すと、2人は森に突き出したラウンジに出て、木々の向こうに上がる朝日を眺めながら熱いコーヒーを飲んだ。
8月半ばだというのに、山の上だと朝は随分冷え込む。
佳奈の服は昨日汚れて駄目になってしまったため、千絵が予備に持ってきた服を貸した。
ぶかぶかの服に身を包んだ佳奈は、父親の服を着た娘か、予期せず恋人の家に泊まった翌日の少女のようで、千絵はそんな姿の佳奈をからかいながら
次なる獲物がのこのこと怪物の棲む病棟へとやって来るのを待った。


79 :名無しさん@ピンキー:2009/11/25(水) 08:56:14 ID:awKjEGB1
乙!
あんたのために毎日スレ見に来てるぜ!

80 :名無しさん@ピンキー:2009/11/25(水) 15:55:51 ID:8b+KIeAK
バッドエンドを覚悟してたから

ほっとしたよ

少年・・・・パルスィ

81 :名無しさん@ピンキー:2009/11/25(水) 18:02:49 ID:TlnOQOwU
投稿頻度高くて毎日wktkですなぁ

82 :腐肉(P.N.):2009/11/26(木) 04:06:48 ID:zT3VkIzH
7時半を回った頃、一台の乗用車が常舞病院の駐車場に停車した。中から降りてきたのは、30代後半か40代くらいの女性で、もう白衣に身を包んでいた。
彼女は正面玄関までやって来ると、まだ鍵が開いていない事に疑問を覚え、ガラス越しに中を覗いた。
ナースステーションのガラスが割れている。ひっそりと静まり返ったロビーには人っ子一人見当たらない。女医が目を凝らす。
ふと、デイルームの床に何かが転がっているのが見えた。さらに目を細めて見た時、彼女はその正体に気づき悲鳴を上げた。
何かの粘液に塗れた複数の人間の白骨。それがガラス一枚隔てた、彼女の職場の床に、無造作に打ち捨てられていた。
その時、病院の奥で何かが動いた。人影が玄関に向かって近づいてくる。
真っ白な肌の美しいパワフルな身体を見せつけながら、一人の少女が一糸纏わぬ姿で現れた。
女医は一瞬戸惑うが、その少女に明らかな異様さを感じて後ずさった。
あれは患者ではない。
少女は正面ドアの強化ガラスの前まで来ると、ぴたりと止まった。一瞬女医の脅えた目と怪物の目が合う。
次の瞬間、少女の拳が、斧を叩きつけてもひび一つ入らない強化ガラスを一発で粉々に砕け散らせた。
女医は声の限り悲鳴を上げると、すぐさま駐車場に止めた車に向かって、朝靄の中を走り出した。
あともう数歩で到達するという時、金属が裂ける耳を劈くような音を立てて目の前の愛車が突然ぺちゃんこに潰された。
まるでブリキか何かで出来ていたかのようにぐにゃりと変形した車体の上に、少女が立っていた。
まるで鮫の口を縦にして人体に移植したような腹の亀裂の中で、毒々しい桃色の大蛇のような触手が、彼女を手招きするかのようにうねうねと蠢いている。
少女が車から降りようとボンネットに脚を乗せると、その重みでカバーが凹み、一緒に押しつぶされた中のエンジンが煙を上げた。
女医は病院の方へ後ずさりしようとして尻餅をついた。次の瞬間、彼女の身体は5名の職員を乗せてやって来た始発バスに撥ねられた。
洗濯された純白の白衣をどす黒い赤に染め、彼女の身体は10メートルほど飛ばされて硬いコンクリートの地面にぐしゃりと落下し血飛沫を撒いた。
バスの扉が開き、中年の運転手が血相抱えて外へ出てきた。途端に、何があったのか見ようと窓にへばり付いていた乗客たちが悲鳴を上げる。
たった今自分が跳ねた、地面に転がった人間の死体しか眼中になかった運転手は、その悲鳴で「何だろう」と初めて顔を上げた。
彼の目に信じられない光景が飛び込んでくる。
彼の娘くらいの年の少女が、ぺしゃんこに潰れた乗用車を細い腕で持ち上げると、その巨大な鉄塊を彼めがけて軽々と放った。
運転手は悲鳴を上げる間もなく、車体の下敷きになって死んだ。
車は彼の身体を磨り潰しながらスリップすると、バスにぶつかって止まった。車体が大きく揺れ、バスの中から乗客たちの悲鳴が聞こえた。
千絵はラウンジでコーヒーを飲みながらこちらを見ている佳奈に向かって、親指をぐっと立てるとウィンクした。
佳奈は、目の前で見せ付けられた千絵の怪力に圧倒されながらも、弱弱しく笑いながらブイサインを返した。
千絵はゆっくりと跳ね飛ばされた女医の死体に歩み寄ると、血の滴る亡骸を片手で持ち上げ、口の中にぽいっと放り込んだ。
再びバスの中から悲鳴が聞こえる。乗客たちは脱出を試みているようだが、潰れた女医の車が扉を塞いでいて開けられない。
患者も利用するバスなので、窓も5センチほどしか開かないようになっているのだが、その僅かな隙間から突き出して蠢く
何本もの指が、乗客たちの恐怖と必死さを物語っていた。
千絵は、磨り潰されてバラバラになった運転手の身体の一部のいくらかを拾い食いすると、バスに寄りかかった
スクラップ同然の乗用車をぐいと引っ張ってどけ、バスのドアに手を掛けた。
扉は変形していて開け辛かったので、そのまま車体から引き剥がした。日に日に増して行くその力を奮うのが楽しくて仕方ないようだった。
彼女の身体は怪物として完成しつつあった。

83 :腐肉(P.N.):2009/11/26(木) 04:08:48 ID:zT3VkIzH
車内に乗り込むと、千絵は手当たり次第に乗客たちを捕食した。
女は味を損なわないよう丸呑みにしたが、昨夜の拳の感覚が忘れられず、男は狭い車両内を逃げ惑わせた後、嬲り殺しにしてから喰った。
その間佳奈はラウンジのベンチに座り、2杯目のコーヒーに砂糖をたっぷり入れながら、まるで中で熊か何かの巨大な獣が交尾でもしているように左右に激しく揺れるバスを見物した。
佳奈は中で行われている虐殺を想像しては一人頬を染めた。
やがて拳にべっとりと付いた血をぺろぺろと舐めながら千絵が降りて来た。千絵は一跳びで佳奈の居る2階のラウンジまで飛び上がると、佳奈の隣りに腰を下ろした。
ぼてぼてに膨張した腹は、まだ小刻みに震えている。佳奈は熱を帯びた手でその腹をそっと撫でた。
「コーヒー、要る?」
「欲しい。」
佳奈は持ってきたポットからカップに湯を注いだ。
「砂糖は?」
「要らない。」
佳奈は千絵にカップを渡すと自分用にもう一杯注ぎ、そちらにはスティックシュガーを2本空けた。
「よくそんなの飲めるね。」
千絵が胸糞悪そうに言う。
「いいじゃん、好き好きなんだから。ていうか、ちぃちゃんに言われたくないなぁ…。」
そんな会話を交わした後、千絵はシャワーへ、佳奈は監視カメラの記録テープを持ち出すために警備センターへ向かった。
準備を済ませて施設を出た2人は、森の奥でテープを燃やした。時刻は午前9時。2人は急いで山を下りて高速バス乗り場へ向かわねばならない。
途中、面倒くさくなった千絵は佳奈を抱きかかえ、山道を物凄い速さで駆け下りた。走る、というよりはカンガルーのように跳ねて、と言ったところか。
ただしその跳躍力はカンガルーどころではなく、腹の中に6人分の重量を乗せたまま100メートル近い距離を一跳びした。
だがバスステーションに着く頃には千絵は汗びっしょりで、息も絶え絶えになっていた。この技は緊急時以外使わない方が良さそうだ。
バスの中で再び千絵は眠りに落ちた。
-----------------------------------------------------------------------

84 :腐肉(P.N.):2009/11/26(木) 04:12:29 ID:zT3VkIzH
翌日、珍しく早起きした千絵と佳奈は、居間のテレビが伝えていたニュースに釘付けになった。
2人は階段を降りて来る間、きっと常舞病院の事件がその日のトップニュースだろうと思っていた。
実際、常舞病院での患者職員全員が死亡もしくは行方不明になった事件は、新聞でも一面を飾り大きな衝撃を持って世間に伝えられた。
だがそれだけでは無かったのだ。
同じ日、同じ夜、もう一件、ある場所で居合わせた全員が消える事件が発生していたのだ。
場所は東京郊外の市営団地。30人あまりの住民が一夜にして、忽然と姿を消したのだ。現場からはおびただしい量の血液や体組織の一部、骨の一部などが見つかっている。
千絵は背筋が凍りつく思いがした。こんな事件を起こせる生き物を、千絵は一つしか知らない。
「あいつだ…。」
最初はあの時の恐怖が甦って、千絵は彼女の姿を必死に脳裏から追い出そうとしていた。やがてそれは憎しみに変わった。
あの日、彼と、そして彼女を殺して喰ったあの少女。彼女の人生を変えた女。彼女の… おかあさん。
いつしか、彼女に対するその想いは、もっと具体的な形を取るようになっていった。
あの少女を、食べたい。

----------------------------------------------------------------------

その後、佳奈の家で唯香と恵を招いての勉強会(という名のお泊り会)が催されるなどのイベントはあったものの、基本的に平穏な日々が流れた。
だがある日、佳奈と2人で少し離れた書店まで参考書を買いに出かけた時の事、千絵はたまたま例のラブホテルの前を通りかかった。
さすがにもう人も寄り付かなくなって廃墟のようになっているのかと思っていたが、そこはまだ「立ち入り禁止」のテープで封鎖されていた。
それどころか、入り口には銃と思しき武器を持った制服の男が立っており、駐車場には自衛隊の車だろうか、大型のジープや真っ黒に塗装されたバンなど、
警察のものではない車両が何台も停まっており、ホテル内にも人の気配がした。
千絵は何だかすぐにその場から立ち去りたくなって、佳奈を急かして家へと逃げ帰った。それからというもの、あの場所には近づかないことにした。

----------------------------------------------------------------------

こうしてその年の夏休みは過ぎて行った。
ただ、ごくごく近い未来を脅かすかも知れない暗雲の存在を、千絵も佳奈も感じ取っていた。
そしてこれが、2人が共に過ごした最後の夏になった。


[続]

85 :名無しさん@ピンキー:2009/11/26(木) 13:42:50 ID:V1i8RHzI
オリジナルとの戦いか・・・

どうなるか想像もつかん・・・

wktkがとまらねぇwww

86 :名無しさん@ピンキー:2009/11/26(木) 14:10:19 ID:jlFTqsD8
前スレの尻尾の漫画描いてた人はどうしたんだろう
続きを待っているのだが・・

87 :名無しさん@ピンキー:2009/11/26(木) 20:12:06 ID:HDysSCx7
>>86
最近pixivに一枚絵をアップしてた

88 :名無しさん@ピンキー:2009/11/26(木) 20:32:23 ID:znrG0Flq
何故か読んでて某ディクロニウスを連想した

捕食じゃないけど、あれも似たような何かを感じてすごく好きだった

89 :名無しさん@ピンキー:2009/11/26(木) 21:38:46 ID:Vxq8iE6l
俺は某クトゥルフの唄かな

90 :名無しさん@ピンキー:2009/11/26(木) 22:13:50 ID:6ysrD0NF
お母さん食べたら物理的な意味で腹壊しそうだw

91 :名無しさん@ピンキー:2009/11/26(木) 23:37:59 ID:XcLAKvNd
>>86
どうもです
対決相手のキョウコを適当に描いていたのでキャラをもう少しちゃんと作り込む為に練習中です
ネームからペン入れまでやるとそれだけで何ヶ月もかかってしまうので完成時期は未定ですが尻尾〜の続きは必ず描きます
なのであまり期待せずお待ち下さい


練習の一枚絵は腐肉さんの作品が一段落して過疎ってきたら繋ぎで貼ろうと思ってたんですけど
せっかくの良い流れですからブッた切るのは勿体無い気がして・・・

92 :腐肉(P.N.):2009/11/27(金) 00:37:13 ID:89Y2xYO/
こんばんは、いつもありがとうございます。
某ディクロニウスは、私も大好きです。「うおー乳首ピンクだ!」は俺史に残る不朽の名台詞です。影響されているかも知れません。
すみません、クトゥルーは好きなので名前だけは知ってますが某沙耶は見たことが無いです(あれってゲームなのですか?ラノベ…?

そして>>91本当に申し訳無いです!ご迷惑をおかけして…
私はだらだらと思いついたものを垂れ流しているだけなので、お気になさらないでください。私も続き楽しみです。


93 :名無しさん@ピンキー:2009/11/28(土) 02:10:08 ID:EmNJnvd0
ここで空気読まずにCM
「魔物娘との性活 ラミアの場合」に
イートミーエンドを確認
このときの音声もさることながら
イートミーエンド後のコメントに愛を感じた
是非ともお試しあれ

94 :名無しさん@ピンキー:2009/11/28(土) 16:20:55 ID:zFfwf6dK
>>93
kwsk
丸呑み画像あり?

95 :名無しさん@ピンキー:2009/11/28(土) 16:44:44 ID:9AgSZTXN
画像無し、文章のみ
イートミー狙いなら買わない方が良いな
ボイス有りだけど「んあ」って声の後画面が暗くなり男の台詞の後GAMEOVER
食べたあげるとか永遠に一緒にとか個人的には中々たっだが

96 :名無しさん@ピンキー:2009/11/28(土) 16:45:45 ID:BIttaFmt
>>93
まじか、まさか無いだろうと思ってたのに…チャレンジャーだなぁw
kwsk便乗

97 :名無しさん@ピンキー:2009/11/28(土) 17:12:38 ID:EmNJnvd0
イートミーに関しては
>>95の解説以上のものは無いな
ある意味ヤンデレエンドとも言えるかも

98 :名無しさん@ピンキー:2009/11/28(土) 18:14:59 ID:zFfwf6dK
前向きに考えれば自分の好きなように想像できるということだな。
まあそれ以前にイートミーが駄目だったら他のエロの部分で楽しめばいいし。

つーわけで買ってくるノシ

99 :名無しさん@ピンキー:2009/11/28(土) 19:52:03 ID:EmNJnvd0
>>98
いってらノシ


100 :名無しさん@ピンキー:2009/11/28(土) 20:38:56 ID:G9V6uN2W
このスレのフインキって仲良くて好き

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