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◆女性に捕食されるされるスレ◆ 二口目

1 :名無しさん@ピンキー:2009/11/07(土) 21:29:33 ID:hpIh6unp
女性に捕食される・丸呑みされる・消化される内容のスレです。
食い千切りや丸呑み、同化など内容はそれぞれ。
食べる側も人間の女性、モンスターの女性、雌妖怪雌魔物さまざま。
仲良くやっていきましょう。

2 :名無しさん@ピンキー:2009/11/07(土) 21:30:44 ID:hpIh6unp
ここは女性に捕食される。丸呑みされる、消化されるスレです。
食べる側は人間の女性、モンスターの女性、雌妖怪雌魔物さまざま。
食い千切りや丸呑み、同化など対応ジャンルは広いです 仲良くやっていきましょう。
なおUB(女性器で呑み込み)、AV(尻で呑み込み)、BV(胸で呑み込み)なども対象内です

(暫定)創作物用ろだttp://eat-me.monster-girl.homelinux.net/
※グロスカ猟奇的など極端に人を選ぶ内容を投下するときは、 頭に注意文を付けることを推奨いたします。

関連、過去スレは>>4参照

3 :名無しさん@ピンキー:2009/11/07(土) 21:31:09 ID:hpIh6unp
男性が女性に捕食される・丸呑みされる・消化される内容のスレです。
食い千切りや丸呑み、同化など内容はそれぞれ。
食べる側も人間の女性、モンスターの女性、雌妖怪雌魔物など、
女性別であれば自由です。 女性が捕食される展開も許容ですが、
別に専用スレがあるので、あくまで男性メインでお願いします。
ニッチなジャンルなのでお互いを許容し仲良くやっていきましょう。
画像支援等も歓迎です。

4 :名無しさん@ピンキー:2009/11/07(土) 21:33:07 ID:hpIh6unp
関連スレ

少女・女性が化け物に捕食されちゃうスレ その4
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1217963873/l50

過去スレ

◆女性に捕食されるスレ◆
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1213114446/

5 :名無しさん@ピンキー:2009/11/07(土) 21:40:39 ID:hpIh6unp
(確定)創作物用ロダ
http://girlfriend.is-a-chef.org/


アドレス張り間違えたorz

前スレがdat落ちしたので建てた
テンプレは出た順番で載せた
折衷案の一文は>>3を張ったのでとりあえず抜いた

6 :名無しさん@ピンキー:2009/11/07(土) 21:47:57 ID:hpIh6unp
関連スレ

夢魔・淫魔・サキュバスのエロ画像part3
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1198656185/
精液を搾り取られたい方はこちら

フェチ板
たとえ胃の中水の中−被食系妄想・15(苺)溶解
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/feti/1256624650/
こちらは消化系と探索系のみの語らいとなっております

オリキャラ板
捕食されたい
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/erochara2/1160149790/l50
なりきりをされたい方はこちら

7 :名無しさん@ピンキー:2009/11/07(土) 21:50:07 ID:hpIh6unp
※猟奇的な表現のある内容を投下するときは、
頭に注意文を付けることを推奨いたします。


最初の方のテンプレ忘れてたorz
食べられちゃうおにゃのこスレはdat落ち、次スレも見つからなかったです
いきなりグデグデで申し訳ありません

8 :名無しさん@ピンキー:2009/11/07(土) 23:50:58 ID:lGJZfTkf
テンプレくどいなと思ったら暫定的に全部乗せしたのね。
スレタイ……それだけ捕食されたいんだよな。うん。乙。

9 :名無しさん@ピンキー:2009/11/08(日) 00:05:20 ID:BVZMAQ31
>>1 乙です!

一応前スレのdat置いときました。
ttp://girlfriend.is-a-chef.org/up/No_0013.zip


10 :名無しさん@ピンキー:2009/11/08(日) 01:13:59 ID:GWlVgOsE
スレ名まで間違えてたとかorz
本当に申し訳ない

11 :名無しさん@ピンキー:2009/11/08(日) 01:25:00 ID:BVZMAQ31
スレ名、今気付いた(笑

12 :名無しさん@ピンキー:2009/11/08(日) 02:34:54 ID:GWlVgOsE
今更ですが、関連スレに

淫魔・サキュバスとHなことをする小説 3体目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1241353765/

エロ画像との交換or追加忘れてました
ほんと、出来立てのスレのテンプレ張りは地獄だぜフゥハッハー

13 :名無しさん@ピンキー:2009/11/08(日) 08:56:24 ID:cz/7of98
新スレ乙!これはこれで面白いんじゃないかな

14 :名無しさん@ピンキー:2009/11/08(日) 16:26:38 ID:/z2SzAYR
おぉ新スレできてたのか>>1乙です!

15 :名無しさん@ピンキー:2009/11/08(日) 21:26:37 ID:GWlVgOsE
これでテンプレに必要なのは全部乗せたはず・・・
折角の2スレ目なのにいきなり細切れ、題名ミスで申し訳ありませんでした
次回からは関連スレをまとめ、スレタイも間違えないように注意します

16 :腐肉(P.N.):2009/11/08(日) 22:32:01 ID:VJAhPpN9
>>1 新スレ乙です!スレタイ可愛いので好きです。早速投稿させていただきます。
ピクシヴのextinct_canisさんの素晴らしいイラスト(http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=6994038)にインスパイアされて書きました。
知らなかった… 佳奈ってこんなに可愛かったんですね…
そしてごめんなさい、これ血肉的な意味での捕食が出てきません。新スレ一発目なのに…
次回から『夏休み編』みたいな感じでまたどんどん殺して喰わせていきたいと思います。

-------------------------

[幕間]

その晩、遅い夕食の後、2人で入浴する事にした。
「修学旅行以来だね。」
佳奈は嬉しそうである。千絵は少し恥ずかしかった。この身体になってから、明るいところで姿を晒すのは初めてだからだ。
だが2人で入浴するのには大事な目的がある。「歯磨き」だった。小山内家に2人以外誰もいない今くらいしか、その機会が無いからだ。
「これ着てくね。」
なぜか佳奈は中学までの教泳水着を着用した。
確かに、佳奈とは小学校から一緒だがすくすくと成長した千絵に対し佳奈はあまり背も伸びていないが、
「スク水ってどうなのよ」と突っ込みを入れると、「汚れると嫌だもん…。」と冷静に返された。
失礼である。

「口、開けて。」
佳奈が歯ブラシで千絵の腹をちょんとつつく。
千絵の「口」は、今や下顎から陰唇までつながっていた。
その巨大な亀裂の奥で大蛇のような舌がのたうつと、熱を持った血の匂いがこみ上げてくる。
「おぉ、また進化してる!」
佳奈が目を輝かせた。
「進化って言うな!」
千絵がもごもご言った。口を全開にすると、喋り難いのが難点だ。
「すごい… どこから磨こうか?」
鮫のようにびっしりと並んだ歯を畏怖と感嘆の面持ちで見渡しながら、佳奈は歯磨きペーストをとぐろのように塗りたくった。
「すーすーする…」
千絵が情けない声を出す。さながら動物園か水族館の獣と飼育員だ。
佳奈は金束子でも擦るかのように力を込めて鋭い牙を一本一本磨いた。血の匂いが薄くなった。
何度か千絵は胃まで直接流れ込んでくる歯磨きペーストの味に吐きそうになったが。
シャワーで流すころには、2人とも汗びっしょりになっていた。予想以上の重労働だ。
口をゆすぐ間(大きいので、水をいっぱいに含むまで相当時間がかかる。)、千絵は医療番組で見た胃の洗浄と、歴史の授業で見た戦争中の
強制収容所の映像を思い出した。どうも、まだその部分の人間の感情が消えていないのか恥ずかしい。
それとも、これは獣が持つ劣等感なのだろうか…。千絵のような他に類を見ない史上最強の生物でも。
だがシャワーは気持ちよかった。
思えば長い一日だった。疲れが溜まっていたのだろう。
「いたっ。」
佳奈の声に、千絵は我に返った。見ると、佳奈の指に血が滲んでいる。歯を触って切ったようだ。前にも同じ事があったな、と千絵は呆れる。
「またか、もう…学習しないなぁ…。」
「へへ… だって、すごい綺麗なんだもん。」
佳奈は頬を赤く染め照れ笑いを浮かべた。その笑顔に、思わず千絵も頬を赤らめる。
「見せてご覧。」
千絵が佳奈の手を取ると、水で薄まった朱色の血がぽたぽたと垂れ落ち、佳奈の白い脚に線を描いた。
千絵は舌を出し指の血をぺろりと舐めた。
「おぉ!!」
千絵の舌の異様な長さに、佳奈が感嘆の声を上げる。千絵は指を舐め続けた。すると、見る見る傷が消えていく。
千絵の舌は、命を奪う一方で癒しを与える事も出来る。だが本来獣は自らが傷ついたときにしかその力は使わない。
「すごい!千絵すごい!」
佳奈が遠くの方でそう叫んでいる気がした。千絵は佳奈の血の味に恍惚として、我を忘れた。


17 :腐肉(P.N.):2009/11/08(日) 22:47:51 ID:VJAhPpN9
やはり女の子は好きだ。男の子よりも甘くて濃い…。
千絵はもう一本舌を出し、佳奈の脚に垂れた血を舐め取った。その味に身体が震えるのを感じた。
気がつくと千絵は致死の酸を吐く舌以外の全ての舌を出し、佳奈の身体中を舐め回していた。スクール水着の下に潜り込み、滑り気のある唾液で素肌を濡らしながら這い回った。
「ちぃちゃん… 恥ずかしいよ。」
佳奈が懇願する。千絵の舌が下半身にも侵犯する。
「ち、ちえ…やだ…私、まだ…。」
処女なのだ。千絵には「味」で分かる。
その時、唐突に水着が裂けた。その瞬間千絵は我に返った。
目の前に、見るも無残な水着の残骸を腰の辺りにひっかけ、十本程のべとべとの肉厚な舌に巻かれたあられもない親友の姿があった。目に涙を浮かべて。
「か、かなっ…ごめん。」
千絵は慌てて全ての舌を引っ込めた。あまりに勢い良く仕舞い込んだせいで思わず咳き込む。
「ご、ごめん…。」
佳奈は千絵をきっと睨むと、ぐいとぶっきらぼうにシャワーを突き出した。
「…流して。」
「へっ…?」
戸惑う千絵に、佳奈はシャワーを押し付け背を向けた。
許してくれるという事なのだろうか?千絵は困惑しながら、膝を付いて佳奈の背中に歩み寄った。
「ちゃんと、綺麗にして…よね。」
佳奈が小さな声で呟いた。蒸気で曇った正面鏡に、のぼせたように赤くなった佳奈の顔がぼんやりと映っていた。
千絵の冷たい手が背中に触れると、その顔が少し微笑むのが、千絵には見えた。
福沢刑事を撒いた時よりも、無事に岡田家の面々を始末した時よりも、千絵の心に安堵が満ちた。
石鹸の泡で塗れた手の下に、佳奈の皮膚と筋肉と、細い骨を感じる。
諦めかけていた、人としての生を今でも謳歌できるのは全てこの小さな少女のお陰なのだ。千絵は今、17年の人生で一番幸せだった。だがそれを思うにつけ、この幸せが怖くなる。
人としての理性はもう殆ど残っていないから、その恐れは彼女らがこれまで犯して来た行為についてではない。
人としての感情が、いつまで経っても消えない事に対してだった。
最初、彼女は徐々に身も心も怪物に変化して、最後には「蓮杖千絵」という人間は消えてしまうのだと思っていた。
だが身体が変貌を遂げた今になっても、感情だけは変わらない新鮮さを以って彼女の中に息衝いていた。
このまま年月が過ぎたら、彼女はどうなるのだろう。佳奈や周囲の人々が年を取ったとき、もしかしたら千絵だけは年を取らないかもしれない。実際、生理は止まっていた。
そうしていつか、佳奈が死ぬときが来る。その時千絵は…?
未来が見えない不安。人間でいた時は、そんな事思いもしなかった。
一寸先は闇… おかしな話だ、闇に生きるべき獣が、闇を恐れるなんて。
佳奈だけが彼女の光。
佳奈が傍に居て笑っていてくれる時だけ、千絵はそんな不安も、自分が怪物であるという事自体を忘れられた。佳奈となら、千絵は何でも出来る気がした。

風呂から上がった2人は、2時間近くが経過していることに驚愕した。
だが2人だけの夜を無駄にすまいと、その後2人は、日付が変わっても菓子の袋を開けて深夜映画を見た。
航海中の豪華客船が突如深海から現れたモンスターに襲われるというB級ホラーで、牙のある緑の蛸のようなモンスターが画面に登場すると
佳奈は悲鳴を上げて両手で目を覆い、千絵はからからと笑った。

翌日、佳奈が風邪を引いた。2時間も風呂にいたせいだ。千絵は責任を感じた。
夕方まで佳奈の母が帰らないのを良い事に、千絵は生まれて初めてずる休みをした。千絵が母親の振りをして学校に電話をかけた。(千絵は声真似がうまい。)
千絵は佳奈が眠ってしまうと、こっそりベッドに潜り込み、彼女のちょっと高めの体温を感じながら、佳奈の隣りで丸くなった。


[つづく]


18 :名無しさん@ピンキー:2009/11/08(日) 22:52:18 ID:8Bri2p2A
乙wwww

19 :名無しさん@ピンキー:2009/11/08(日) 23:35:48 ID:GWlVgOsE
千絵がどんどん可愛く思えてくるw
猫や犬みたい

20 :名無しさん@ピンキー:2009/11/09(月) 15:54:59 ID:oB3LdruH
>>1新スレ乙!新スレ移行という事でこれまでのあらすじをまとめてみた。

ある夜、高校三年生の蓮杖千絵は、付き合っている同級生の末永雅人と人生初の
ラブホテルを訪れ、そこで怪物に襲われた。みた目は幼さの残る少女だが、下顎
から腹まで縦に裂けた巨大な「第二の口」を持ち、すさまじい食欲で人を食らう
化物少女。ホテル中のカップルを食いつくした少女は、千絵の目の前で雅人を無
惨に丸呑みにし、千絵をはらませた。
腹を突き破って誕生した幼女は千絵を食い、千絵の容姿・人格・記憶を持った怪
物へと成長した。

それから新生千絵は事件の記憶をなくして、普通の女子高生の日常生活に戻ろう
としていたのだが、彼女の中の怪物は人肉に対する欲望をこらえきれず、告って
きた同級生男子と実の父親を食う。
千絵は親友である佳奈に助けを求め、それから二人の少女の凶行が始まった。佳
奈の助けをかり、千絵は食欲を満たすために次々と人間を襲いだすのだった!

21 :名無しさん@ピンキー:2009/11/09(月) 16:50:51 ID:gXJU49/7
>>20
GJ
そういや初代化物少女は今何してるんだろう

22 :名無しさん@ピンキー:2009/11/09(月) 23:20:15 ID:wdQAp6bc
>>1スレ立て乙
まさかテンプレ全部載せが採用されてるなんて・・・・

23 :名無しさん@ピンキー:2009/11/10(火) 01:35:34 ID:Vv9rjRAP
>>21
今オマエのうしろにいるよ

24 :名無しさん@ピンキー:2009/11/10(火) 02:28:44 ID:epoU6CEM
足じたばた丸呑みが好き

バイオは時代を先取りしちょったんだな

25 :名無しさん@ピンキー:2009/11/10(火) 12:13:54 ID:XyUzmULB
こういう映画って出ないのかな
ジョーズとかアナコンダとか動物型モンスターに食われる話はよくあるけど、
人型モンスターに食われる話ってあまりないよね
前スレにあったイールガールくらいか

千絵タンには是非映画デビューしてもらいたいものだ

26 :名無しさん@ピンキー:2009/11/10(火) 20:18:12 ID:qvkEsPkd
>>25
ちょっとしか出ないけどMIB2の女エイリアンとか

27 :名無しさん@ピンキー:2009/11/11(水) 23:50:55 ID:7TFcYdJd
完全に食われる訳じゃないが、吸血鬼映画ならたまに見るな
スプラッタばかりだから、人を選ぶのが問題か
ちなみに俺は無理だった

28 :名無しさん@ピンキー:2009/11/12(木) 19:04:33 ID:UAcwweXo
そこはMP(妄想力)でカバーだな!!

「アナコンダ」も

「アンタなんか一呑みにしてやるんだからー!!」

とかいいながら一生懸命追いかけてきてると思えば・・・

(*゚∀゚)=3ハァハァ

29 :腐肉(P.N.):2009/11/13(金) 02:41:12 ID:8j+lGaIL
>>25 >>27
吸血ものだったら、『リビングデッド・ガール』というのがありました。
80年くらいのフランス映画で、地下墓地で甦った美少女に見えなくもない女の子が 次々に素手で人を殺していく
という素晴らしい内容でしたが、ものすごく地味です。

『グール』という映画も、美女(という設定)が男を殺して血を啜ります。
文字通り血を吸うんです。「すぅー」ってやると床に零れた血とかも口に吸い込まれていって、そのシーンはなかなかエロティックだったんですが
他は絶望的なくらい見るところが無い、90年代とは思えない映画です。

スタン・ウィンストンがクリーチャーデザインと製作を担当した『Creature Features』というビデオシリーズ(?)の一編に
『She Creature』というのがあって、直接的な描写はあまり無かったような気がしますが人を喰う人魚の話で、話もそこそこ面白く人魚も妖艶で
結構良かったように記憶してます。邦題は忘れましたが(『人食い人魚伝説』とかそんな感じ?)日本でもDVDが出ています。

↓夏休み編 投下します。
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夏休みに入ると、佳奈もようやく部活から解放され、2人は一日中行動を共にした。
受験生の身の彼女らは、休み中も補習授業でしょっちゅう登校しなければならなかったが、2人ならそれも楽しかった。
千絵は佳奈に英語を教え、佳奈が細かい字で補足した歴史のノートは千絵の役に立った。一日だけ、唯香や恵と電車に揺られて海まで出かけた事があった。
その約束を取り付けた時点で、佳奈が先日駄目になったスクール水着以外に水着を持っていなかった事実が発覚し、2人は買い物に出かけた。
ついでに千絵も新しい水着を買ったが、内心、これを着る機会はもう無いかも知れない、と思った。
だが、今までそんな事は一度も無かったのに、どう言う訳か、千絵は電車に乗った瞬間にひどく酔ってしまい、到着まで数時間苦難を味わった。
帰りの電車の事を思うと、海に着いてからも皆程楽しめず、友人たちの水着の間の露出した肌を見て、その味を想像して気を紛らわせた。
気がつけばあっと言う間に盆になっており、補習授業も一旦終了となり、小山内家には単身赴任中だった佳奈の父と、大学生の兄が帰ってきた。
佳奈の父を前に、千絵はまるで初めて恋人の父親に対面する青年のように緊張した。
粗相が無いように細心の注意を払ったが、夕食で一度しかお代わりしなかった時、佳奈の母に「いつもより小食ね」と逆に心配された。
佳奈の父も、佳奈やその母同様温かい人物だった。兄は、妹の友達との突然の同居に少々戸惑っていたが、千絵を家族に受け入れてくれた。
だが何日もしない内に、小山内家の面々は親族の墓参りに旅立つ予定だった。毎年恒例なのだそうだ。佳奈だけは受験生だからと言う理由で今年は家に残る。
つまり、また千絵と佳奈2人だけの日々が何日か続くという事だ。
「ご飯、しっかり食べてね。佳奈もね。」
最後まで娘たちを心配し尽くしてから、一家は出発していった。
玄関ドアを閉めると、他には誰も居ない、2人だけの城が待っていた。千絵と佳奈は顔を見合わせてにやりと笑った。
この時のために、2人は勉強の合間に綿密に計画を立ててきた。いよいよ大詰めである。
夜、千絵はベッドに寝そべり、建物の見取り図を広げて印を付けていた。佳奈が袋ごと広げたポテトチップを一枚摘み上げながら、手にしたメモを読み上げる。
「次は、えっと… “搬入口”。」
「はんにゅうぐち…っと。」
千絵がペンで図面上に丸をつける。
「何か、修学旅行の自由行動決める時みたいだね。」
「次は?」
「えーっと…電源装置。搬入口から正面玄関まで。どのくらいかかるのかな…。」
「私の足なら…1分はかからないと思うにゃ。」
佳奈もベッドの上によじ登ってきて、千絵の隣りに転がった。
「本当は明日ちょっと早めに出て下見したいよね。」
「心配性だなぁ佳奈は。」
千絵は仰向けに寝返りを打った。その顔を佳奈が覗き込む。
「ちぃちゃんが暢気過ぎるの。」
千絵はシャツが引っ張られて顕わになった臍の辺りを摩って言った。
「私、前より強くなったもん。」


30 :腐肉(P.N.):2009/11/13(金) 02:44:14 ID:8j+lGaIL
翌日、昼過ぎに2人は家を出た。
2人は自転車で一つ先のインターまで行くと、高速バスの切符を買った。
身元がばれる可能性を考慮し、学生証は使わず一般料金だったが、電車より遥かに安いし、千絵にもその方が有難かった。
後ろの方の2人掛けの座席を確保すると、バスが高速道路を走る間、千絵は眠った。
頭半分ほど低い佳奈の肩に頭をもたせていたお陰で、起きたときには少し首が痛かった。
彼女は、眠っている間佳奈が小さな手でそっと頭を撫でていた事を知らない。
何も無いドライブインの停留所でバスを降りると、2人はトイレの個室で用意してきた帽子やサングラスを付け合った。
お互いのサングラス姿を見て笑い、鏡に映った自分の姿を見てまた笑った。まるで出来損ないの銀行強盗だったが、少なくとも素性は分からない。
そこから2人は更に地元の交通バスを乗り継ぎ、遥か山奥のとある建物の前に降り立った。
ずっと一本道で、あたり一面森しか見えない。バスも一日に指を折るほどしか無い。2人の計画にとって完璧な場所だった。
2人は、一緒にバスを降りた他の人々と同じ入り口からではなく、建物の裏に回って搬入口から中へと入った。
すぐ突き当たりの鉄の扉には鍵がかかっていたが、千絵がちょっと力を込めてノブを捻ると、ガキンという金属音と共に封鎖はいとも簡単に突破できた。
2人はボイラーの轟音が響く、暗い地下室へやって来た。かなり間隔を空けて設置された裸の蛍光灯の弱弱しい光の下、夏の暑さ以上の熱気でくらくらする。
「大丈夫?」
千絵が佳奈に尋ねる。
「うん…何とか。」
噴出す汗を袖で拭いながら佳奈は弱弱しい笑みを浮かべた。
入り組んだ配管のジャングルを奥へ進んでいくと、表面をオレンジや緑の蛍光色のボタンで埋め尽くされた自動販売機ほどの大きさの機械を発見した。
「これだ。」
2人はその機械に駆け寄ると、側面に貼り付けられたシールの注意書きを読んだ。
その時、ボイラーの稼動音の向こうから人の声が聞こえた。
「誰かいるのか?」
男の声。パイプと微かな蒸気の向こうに、懐中電灯の光も見える。
「やばっ…。」
佳奈が呟く。
「思ったより早かったね。」
千絵はうろたえる様子も無く、静かに言った。足音と共に、懐中電灯の光が近づいてくる。
「先生ですか…?」
懐中電灯を持った警備員が、2人の視界に現れた。

31 :腐肉(P.N.):2009/11/13(金) 02:45:31 ID:8j+lGaIL
「佳奈、目を瞑ってて。」
千絵はそう言うと、一歩前に歩み出た。向こうにもその姿が見えたらしく、足音が止まった。
「誰だ…?」
千絵は徐に上着を脱ぐ。
「ここの人間じゃ…」
男がそう言いかけた瞬間、千絵は目にも止まらぬ速さで身体を一回転させて勢いを付けると、男の胸にすらりと長い脚を食い込ませ、その太った身体を近くの丸太ほどの鋼鉄のパイプに叩き付けた。
金属の裂ける音と、突如鳴り出した機器の破損を告げる警報が、男の悲鳴をかき消した。大きく凹んだパイプから噴出した熱い蒸気は、その身を包んでいる警備員服だけをそのままに、男の身体を焼いた。
全身赤く爛れ、湯気を上げながら男はもがいた。もがく度に爛れた皮膚がぼろぼろと剥がれたが、重度の火傷で痛覚が麻痺しているようだ。
だが次の瞬間、どこからとも無く現れた巨大な口が、鉄の配管ごと男の身体に被り付いた。悲鳴を上げる間もなく、男の身体は飲み込まれ、ずたずたに裂け蒸気を漏らすパイプだけが残った。
千絵は腹の中でぐしゃぐしゃと男の身体を噛み砕くと、一緒に飲み込んだ鉄パイプをペッと吐き出した。怪力で紙くずのように丸められた鉄の塊は、大きな音を立ててコンクリートの床を滑った。
気がつくと、すぐ後ろに佳奈が立っていた。震えながら。
「…見てた?」
少しの沈黙の後、千絵は口を拭いながら尋ねた。胸の奥で、何かがきゅうと縮こまるのを感じた。
「ん… うん。」
佳奈の膝は音がするのではないかという程がくがく震えており、立っているのがやっとという様子だ。
「いいの… これからすること、ちゃんと分かっていなくちゃ、と思って。」
佳奈は恐る恐る、千絵の方へ歩み寄った。
「私、怖くない。千絵は千絵だもん。」
佳奈の震える口元が微かに、愛らしく、そして冷たい笑みを讃えた。
「共犯だね、私たち。」
その時、階段を駆け下りてくる足音が聞こえた。2人は急いで物陰に身を隠す。
「どうしよう… 殺っちゃう?」
佳奈がひそひそ声で言う。
「今はまずいよ…何人居るかも分からない。」
千絵は慎重派に回る。
「でも、警備員室の鍵を手に入れないとどっちにしろ…」
「ちょっと待って。」
千絵はそう言うと、口の中に手を突っ込んで中をまさぐった。やがてべとべとの体液に塗れた警備員室のIDカードと鍵束を掴み出した。
「うぇ…。」
佳奈が呟く。
「手間が省けたでしょ?これ持って。」
千絵はそう言って、粘液の滴る遺品を佳奈の手に押し付けた。
「ちょっと…!」
佳奈は声を殺して悲鳴を上げる。
「さて、早いとこ脱出するにゃ。」
千絵はそう言って、佳奈の腕を引っ張った。
「言っとくけど、早く洗わないと指が溶けるかもよ、それ…。」
その一言で佳奈は黙って千絵について来た。調度階段を降りてくる他の警備員たちと入れ違いになる形で、けたたましい警報の鳴り響く地下室を後にした。
後は夜を待つだけだ…。

[続]

32 :名無しさん@ピンキー:2009/11/13(金) 07:32:33 ID:xDhsLgBl
>>29
映画の評価がどれも映画としては絶望的に面白くないと分かってしまうw
でも実際、女性型のモンスターが中心として出てるのなのは総じて微妙なんだよな

33 :名無しさん@ピンキー:2009/11/13(金) 23:38:37 ID:C2soInwr
>>32
みんな願望が先走ってしまうぐらい

「イートミー!!」な監督達なのさ

34 :名無しさん@ピンキー:2009/11/14(土) 13:02:37 ID:gPv7u0ZS
>>腐肉さん
GJ!!
続きに期待

35 :腐肉(P.N.):2009/11/15(日) 03:26:37 ID:5SZZSiSG
その日朝から緊張が続いていた常舞病院も、昼になる頃にはもういつもの平静を取り戻していた。
ただ一人、医師柳沢を除いては。深夜3時過ぎに、彼の患者である冠木正和が自殺未遂を計ったせいだった。
夜中に腹が痛いと部屋の鍵を開けさせた冠木は、脱走して薬品庫に忍び込み、強化ガラスになっていない窓を割って手に入れたガラスで手首を切ったのだ。
7月の頭に冠木がここへ入院してから、自殺未遂は2度目だ。主治医である柳沢にとっては頭痛の種である。同時に、自分の無力さを思い知らされているような気分で、
いつしか彼はこの自殺念慮の若者に対して苦手意識を持つようになっていた。
対面する度に、自分は医師だ、患者を選り好みなどすべきでない、と言い聞かせる。医師としての威厳を保つ事、それが彼の拠り所である。
常舞病院は、いわゆる精神病院だ。
鬱病から過食・拒食、統合失調症に至るまで、ありとあらゆる精神疾患をケアする目的でつい最近に建てられた。都市から隔絶され豊かな自然に囲まれた、真っ白でモダンな病棟で、
カウンセリングも行っているのだが、主に入院施設だ。
ナースステーションは正面玄関を入ってすぐ、その奥には待合室と、デイルームと呼ばれる、テレビやゲームを備えたレクリエーション施設がある。
そこを左に行くと個室に分かれた4階建ての病棟、右には診察室や浴室、薬品庫がある。こちらの右棟の一部の部屋を除いて、窓ガラスは全て強化、脱走防止のために10センチ程度しか開かないようになっている。
出入り口もオートロックで、夜でも2人以上の警備員が常駐しており、セキュリティは全て警備センターから管理できるようになっていた。
現在、入院患者数は20名以上、常駐スタッフを入れると30名近くの人間がここで生活していた。

柳沢はその日最後の回診のために、部屋を出た。デイルームの前で、昨日鬱病で任意入院した東京のサラリーマン江古田と短い会話を交わした。
彼の担当では無かったが、これはもうすぐに退院だろうな、と思った。(いるんだよな、最近ちょっと塞ぎ込んでるだけで精神科に駆け込む患者と、面倒な患者にとりあえず「鬱病」診断する医者が…。)
実際、精神病棟の入院患者は多くの人々の想像と違い、対面して診察してみないと、ちょっと話しただけではどこが悪いのか分からない程、「普通の人」なのだ。
だが、常舞病院で一番若いせいもあって、たまたま現在柳沢の抱える患者には、冠木を始め、一筋縄ではいかない者が多い。
柳沢が部屋の前まで来たとき、田口翔子はドアの後ろの陰で何かを呟いていた。気分はどうかと尋ねると、ぶつぶつ声にまじって「いいよ。」と答えた。
破瓜型統合失調症、少々変わったタイプで、常に何か喋っていて、全ての会話の返答がその一連の文字列に挟まって帰ってくるものだから、聞き逃さないようにするのが大変だ。会話が成り立つだけまだましだ。
柳沢はカルテに変化無しと書き込むと、看護師に夜の分の薬の処方箋を渡して次へ向かった。
その後何人かのカルテに「変化無し」を記入し、桂朱美がまた部屋で喫煙した以外特に問題も起きず、最後に冠木正和の部屋を覗いた。
ドアの上方に空いた小さなガラス窓(もちろん強化ガラスだ)の向こうで、向精神薬がまだ効いているようで、冠木は眠っていた。
自然に目が覚めるまで起こさない方が良いだろう、と柳沢は判断し、カルテをはさんだファイルを閉じた。
その瞬間、けたたましい警報が静かな廊下に鳴り響いた。
柳沢は思わずファイルを取り落とし、反射的にもう一度冠木の部屋を覗いた。冠木が確かにちゃんとそこに居ることを確認すると、柳沢は小走りにナースステーションへ向かった。
途中、数名の患者たちに何があったのだと不安げに尋ねられたが、いま聞いてくるからね、と答えるしかなかった。
どうやら、警報の元は地下のボイラー室らしい。火災ではないらしく、今警備員が様子を観に降りて行ったと看護師に教えられ、柳沢は自分も行ってみる事にした。
引き返す途中、またしても患者たちに何があったのだと聞かれた。
柳沢は何だか嫌な予感がした。患者絡みで無いと良いが… だが柳沢の勘はよく当たるのだ。


36 :腐肉(P.N.):2009/11/15(日) 03:29:06 ID:5SZZSiSG
ボイラー室の階段を降り切って少し奥へ踏み入った時、柳沢は奇妙な体験をした。たった今閉めて来たはずの、地上へ続く鉄の扉が、再び閉まる音がしたのだ。
柳沢はすぐさま振り返って確認したが、扉は閉まったままだし、人の姿はおろか鼠一匹見当たらない。
何を馬鹿な事を考えているんだ、人が居るわけが無い。きっと幻聴だ。第一、患者はここまでは来れないじゃないか。
今朝の一件がまだ自身の心理に悪い影響を及ぼしているのかと思うと、柳沢は苛立ちを感じた。
地下の熱気に顔をしかめながら、薄暗いパイプのジャングルを進むと、2人の警備員が困った顔で立ち尽くしていた。
「何があったんですか?」
柳沢はその背中に声をかける。
「ああ、先生…。」
一人の警備員が振り向き様に答える。
「配管の故障です。多分、機能自体に問題は無いですが、修理呼ぶのは明日以降になりますね…。」
柳沢が首を伸ばして2人の向こうの様子を見ると、丸太ほどの巨大な鉄パイプがひしゃげて、湯気を吐き出している。
これは患者とは関係無さそうだな。というか、人間の仕業じゃない。圧力の問題かなにかでこうなったのだろう、と彼はほっと胸を撫で下ろした。
「ではアラームを止めてもらえませんか?患者さんたちが怖がって…。」
「ああ。ええ…。」
「…まだ何かあるのですか?」
「さっき見回りをしていたもう一人の警備員が… その、見当たりませんで…。」
「ここに来たんですか?」
柳沢は訝しげに尋ねた。
「いえ、わかりません。でもルート上はここが最後のはずなんですが…。」
「だったら、もう上に戻っているのではないですか?見ての通りここには居ないんだから。」
「ええ…ええ、多分そうでしょう。すみません。」
彼は何だか納得していない様子だったが、柳沢に促されて渋々無線機を取り出し、辺りをぶらぶらと歩き回りながら警備センターの仲間に連絡を入れ始めた。
「うわっ!何だこれ…。」
ふいに彼は足を止めて叫んだ。
「どうしました?」
見ると、彼の足の下のコンクリートが、何かで溶かされたようにぶよぶよに歪んでいる。彼が足を上げると、粘性のある透明の液体が糸を引いた。
「硫酸…か?」
「まさか、こんなところに…」
柳沢はそう呟き、ふと映画の『エイリアン』を思い出し天上を見上げるが何も無い。
「ボイラーのせいでしょうか…」
「そんな馬鹿な。今朝の騒動で薬品庫から消えたものが無いか、確認してみるよ…。」
柳沢はそう言うと、ポケットから採尿用のガラス瓶を取り出し、粘液を少し採りふたをした。
「では、地上へ戻るとしようか…。」


37 :腐肉(P.N.):2009/11/15(日) 03:30:00 ID:5SZZSiSG

柳沢は患者たちに、ボイラーが故障したが大したことは無くお湯も普段どおり使えると言い聞かせて回り、部屋へ戻った。
ドアを閉めるなり、いつもは患者の座るソファにどっと腰を下ろした。
疲れた。ここへ来てからそう感じたのは久しぶりの事だった。冠木の最初の自殺未遂の時だってこんなに疲弊しきっては居なかった。
時計を見ると、5時半を回ったところだった。外来の受付は終了したが、バスまでまだ時間がある。
彼は今日で3日間の宿直勤務を終え、次の交代まで2日間病院を離れて家へ帰る予定だった。
職業柄呼び出される事はしょっちゅうなので、家と言っても山のふもとの町だが、病院に寝泊りする生活に比べれば遥かにリラックスできる。
バスまで後1時間ちょっと。その間に薬品庫のチェックをしなくては。時間があれば、先ほどの液体も調べてみて… そう考えているうちに、柳沢は眠りに落ちた。

彼が眠っている間に、病院では少しずつ異変が起き始めていた。
まだ定時前だと言うのに、突如、出入り口のオートロックが作動したのだ。
ナースステーションでは、まだ残っていた看護師たちが警備センターと連絡を取ろうとしたが、応答が無い。
全ては、2人の少女の計画通りに。
患者たちに気付かれパニックになるのを防ぐために、看護師達は宿直の先生を呼びに行った。柳沢と交代で今日から泊り込む予定だった医師の若林は、事態を把握すると
警備センターに直接人を向かわせるよう指示を出した。
若い男性看護師がナースステーションを出ようとしたその時、どこからとも無く一人の少女が現れた。
10代半ばか後半と言った感じだが、身体つきは随分大人っぽい。彼女は裸だった。黒く長い髪を揺らしながら、廊下をまっすぐこちらへ歩いてくる。
「君、そんな格好で歩いてちゃ駄目だよ。早く部屋に戻りなさい。磯谷さん、この子に何か着るもの…。」
男性看護師がそう言いかけた時、若林医師が困惑した顔で呟いた。
「患者じゃないぞ…。」
「え?」
看護師が再び少女の方に向き直ったときにはもう、少女の下顎が蜘蛛の口のようにぱっくりと2つに割れ、その下が腹まで裂け、
大蛇ほどもある厚い舌がイソギンチャクの触手の様に束になってうねり打ちながら飛び出して来る所だった。

少女があっと言う間に5人の人間を飲み込む一部始終を、少し離れたデイルームから見ていた者が居た。江古田哲也は身を潜めて震え上がりながら、ガラス戸の向こうに目を凝らした。
不意に、人間5人分の質量を腹に抱えナースステーションの前に仁王立ちする少女が、黒く美しい髪を靡かせながらこちらを向いた。彼女は江古田と目が合うと、彼に向かってその可愛らしい口を開いた。
江古田はその様から、ペニスをねだっている痴女を連想した。
だが次の瞬間、建物全体が震えるような凄まじいげっぷが轟き、ナースステーションとデイルームの強化ガラスが砕け散った。
江古田は慌てて逃げ出した。高校生の時以来の全力疾走で病棟の廊下を駆けているとき、ズボンが股間の部分に変に擦れる事に気づきふと見ると、勃起していた。
生命の危機を感じたためか、あの恐ろしくも美しい化け物の姿に欲情しているのか、自分でも分からなかった。
廊下を通過していく江古田の悲鳴を、桂朱美はベッドに横になりながら聞いていた。
「うるせぇな…」
彼女はそう呟いただけで、特に外に出て様子を見ようとはしなかった。この病院ではたまにある事だ。朱美は隠していた煙草に火をつけた。
だがそれほど冷静でない患者もいた。愚かにも野次馬精神を発揮して部屋から出た患者たちは、悲鳴を上げる間もなく巨大なピンク色の肉に捕らえられた。
千絵の舌はもはや触手と呼ぶにふさわしい姿をしていて、患者の身体に巻きつくと、大きく開いた「第二の口」の中に引きずり込む。10本近い触手が廊下をのた打ち回り、6人が犠牲になった。
冷たいリノリウムの床を引きずられていく間に、触手の凄まじい力で締め付けられ、全身の骨を砕かれた。抵抗しようと、床に爪の跡が残るほどもがいても、怪物の力には逆らえなかった。
彼らの身体はあっけなく千絵の腹に吸い込まれるように消えた。
患者たちの身体は丸呑みにされ、生きたまま胃の中で消化されるのだ。
強靭な筋肉の壁に挟まれて、自分の身体が次第に溶けて怪物と同化していくのは、大きくて温かいものに包み込まれるような安心感をもたらした。それはもはや苦痛を超えて言い様の無い快感だった。


[続]

38 :名無しさん@ピンキー:2009/11/15(日) 04:27:05 ID:WkOmITj6

なんかバイオ2のGみたいにどんどん千絵が凶悪に進化していくなw

39 :名無しさん@ピンキー:2009/11/15(日) 06:57:52 ID:5anm+PY/
GJ
一度に5人って新記録だなwww

40 :名無しさん@ピンキー:2009/11/15(日) 08:28:00 ID:X5zH/AtP
今日の仮面ライダーW(第10話)で
女が変身した怪人(スイーツ・ドーパント)が
女2人を丸呑みにして膨腹していたよ。
その後吐き出したけどね。

41 :名無しさん@ピンキー:2009/11/15(日) 12:04:24 ID:EkjFr4ib
Gj!!

>>40
                   ,'⌒,ー、           _ ,,..  X
                 〈∨⌒ /\__,,..  -‐ '' " _,,. ‐''´
          〈\   _,,r'" 〉 // //     . ‐''"
           ,ゝ `く/ /  〉 /  ∧_,. r ''"
- - - -_,,.. ‐''" _,.〉 / /  . {'⌒) ∠二二> -  - - - - - -
  _,.. ‐''"  _,,,.. -{(⌒)、  r'`ー''‐‐^‐'ヾ{} +
 '-‐ '' "  _,,. ‐''"`ー‐ヘj^‐'   ;;    ‐ -‐   _- ちょっと見に行ってくる
 - ‐_+      ;'"  ,;'' ,''   ,;゙ ‐-  ー_- ‐
______,''___,;;"_;;__,,___________
///////////////////////


42 :名無しさん@ピンキー:2009/11/15(日) 19:00:29 ID:bFLhIuWs
腐肉氏の作品は連作?前のはどこかでよめますか?

43 :名無しさん@ピンキー:2009/11/15(日) 19:19:56 ID:MjNTHusk
>>42
テンプレ読め。
もし、テンプレ読んだうえで質問してるなら、こう答える。

日本語が理解できないなら前作探しても無駄じゃね?

44 :名無しさん@ピンキー:2009/11/15(日) 19:28:59 ID:DZVdY6/w
>>42
前スレ行けば読めるよ
最初PN無いから見つけづらいと思うが頑張れ

45 :名無しさん@ピンキー:2009/11/15(日) 22:58:37 ID:EkjFr4ib
>>43
さすがにキツすぎるだろwww

>>40
見てきたけどなんかペリカンがくわえた感じで
個人的には微妙だった
よく考えてみたら女じゃないからスレチだしな

46 :腐肉(P.N.):2009/11/16(月) 00:26:54 ID:Bw+WT0V5
たった一人だけ、触手の追跡を免れた患者が居た。統合失調症の田口翔子である。
彼女だけ病室が離れていたため、身を隠す時間があった。そして他の6人が肉の渦の中に吸い込まれていくのを見た。
翔子は表情一つ変えず、自らの取り留めの無い思考を全て言葉に出してぶつぶつと呟いた。
これでも彼女はパニック状態だった。何が起きているか分からない。自分の今までの二十数年間の人生で起きた事の無い事が起きている。
次から次へ溢れ出る思考の濁流の中で、ふと何気なく翔子は「神様」と呟いた。
その言葉を口にした瞬間、もうどういう文脈で使ったものだったのかも忘れてしまったが、彼女はその言葉をもう一度口に出してみたい衝動に駆られた。
「かみさま…」
翔子はそう呟くと、この病院に来てからの2年間で初めて笑った。
「かみさま…」
これ以降、彼女がそれ以外の言葉を口に出す事は無かった。
「神様」
田口翔子はその他多くの日本人同様、信仰を持っていなかったために考えたことも無かった。日々の生活の上で、一度たりとも思考の舞台に上がったことの無かった概念。
「かみさま」
翔子は、それはまさしくあの怪物のことなのだと思った。

千絵はドラム缶ほどの大きさに膨れ上がった腹を抱えるようにして、ガラスの破片に覆われたデイルームへやって来た。
調子に乗って喰いすぎたかな…。今彼女の胃の中には、総勢11名の成人した人間の肉体が詰まっている。
いや、早くしないと逃げられるのだ。向こうだって好きで喰われるんじゃ無いんだし、待ってはくれない。そう思い直して千絵は自分を正当化した。
だがこの腹はさすがにまずい。さすがの千絵もちょっと重くて動きづらかった。
少し休憩することにしよう。そう思って千絵はデイルームに設置されたソファに腰を下ろした。
途端に、ソファの底面やら側面やらを突き破ってスプリングが飛び出し、空気の抜けた風船のようにソファ全体が潰れてしまった。
無理も無い。この身体になってから千絵の体重は成人男子並みになっていたし、そこに更に11人分の質量が加算されているのだ。
「痛っ…」
尻餅をついた千絵は腰を摩りながら身体を起こした。腹が重い。
仕方ない、何も全て消化するまで待つ必要は無いんだ。どうせもう骨しか残っていないのだから、と千絵は諦めると、徐に第二の口を開いた。

廊下の騒音が止んでどれくらいになる?
桂朱美はベッドから起き上がり耳を済ませた。静か過ぎる…。
それにそろそろ夕食の時間だ。誰か呼びに来ないのか?
朱美は立ち上がると、ドアのガラス窓から廊下を覗いた。誰も居ない。
「飢え死にさせる気かよ…。」
朱美はそう呟くと、ドアを開けた。
朱美はこの病院に来て以来、ずっと機嫌が悪い。確かに、体重は一時の半分になったし、見た目も別人のように痩せた。
だが過食症が落ち着いた代わりに、今度はヘビースモーカーになってしまった。この病院では煙草は週に2箱しか買えない。
ニコチン中毒は朱美にとっては豚みたいに食べ続ける事よりもたちが悪い。そもそも彼女は心理学やサイコロピーというものに対して懐疑的だ。
男も仕事も失ったのは、病気そのもののせいでなくこの病院に入ったせいなのではないかと思うこともしばしばであった。
ふと、朱美はデイルームのガラスが粉々になって床に散らばっているのに気付いた。
「何だ…?」
朱美はそう声に出すと、食堂ではなくそちらの方に向かって歩いて行った。
廊下の突き当りまで来たとき、彼女はナースステーションに誰も居ないことにも気付いた。そちらもガラスが砕け散っている。
「おいおい…。」
朱美はロビーへ出た。
「ったく、どうなって…」
その瞬間、大量のどろりとした液体がリノリウムの床に落下するべちゃべちゃという不快な音がロビーに響いた。
驚いて音のした方を振り向いた朱美は、デイルームの真ん中で一人の巨大な少女が口や腹から大量の吐瀉物を床に垂れ流しているのを見た。
良く見ると、顔にある口から腹まで亀裂が走っており、その淵をびっしりと鋭い歯が縁取っていた。
床に落ちた嘔吐物に目をやると、どろどろの濁った液体の中にちらほらと白い固形物が見える。しかもまだまだ出てくる。
床に広がったそれが人間の骨であると分かった瞬間、朱美は激しく嘔吐した。過食だった頃にも、これほどの不快感と嫌悪感を覚えたことは無かった。
千絵は朱美の存在に気付くと、口を閉じて顔を上げた。
朱美は逃げようとしたが、自分の反吐に滑って床に尻餅をついた。水っぽい下呂がズボンに染み込んでいく。
「あ…あ…」
朱美は声を出そうとした。この怪物に向かって何を言うつもりだったのか自分でも分からないが、何にせよ声は出なかった。


47 :腐肉(P.N.):2009/11/16(月) 00:33:25 ID:Bw+WT0V5
少女はガラスの破片を踏みしめながらデイルームを出て朱美の方に向かってきた。
もう腹周りも細り、モデルのような体型に戻っていた。彼女は朱美の嘔吐物の上に足をついても見向きもせず、朱美の目の前に立ちはだかった。
朱美の目の位置からは少女の陰部が丸見えだったが、少女は臆面も無く彼女を見下ろしている。少女の身体に、朱美はコンプレックスを抱かずには居られなかった。
筋肉のついた脚、滑らかそうな太もも、美しい腰のくびれ、腹筋に浮き出た腹、引き締まった二の腕。痩せたとは言え、自分の身体とは比べ物にもならない。勝っているのは胸の大きさくらいだ。
朱美は少女の姿を直視する事に耐えかね、一瞬目を背けた。その瞬間、少女の足が朱美の腹を踏みつけた。
「ぐあぁっ!」
朱美は自分の下呂の上に仰向けに倒れた。少女は腹の上に足をついたまま屈み込むと、朱美の服を剥ぎ取った。少女のどこにそんな力があるのか、服は一瞬でずたずたに裂けた。
少女は鋭い歯をむき出しにして彼女の乳房に噛み付いた。朱美は痛みのあまり悲鳴を上げた。
少女は朱美の下顎に手をかけると、そのまま顎の骨を押し潰した。砕けた骨が喉に刺さり、勢い良く血が噴出す。行き場をなくした朱美の舌がぱたぱたとのたうち、煙草と反吐の臭いを撒き散らした。
少女は一口で乳房を食い千切ると、むしゃむしゃと咀嚼した。それから少女は朱美の胸に空いた穴から手を突っ込むと、手当たり次第に臓器を引っ張り出しては口へ運んだ。
千絵は楽しんでいた。命乞いするような目を見るとぞくぞくする。
最近は足がつく証拠が残らないようにと慎重に食事をして来たので、久しぶりに思う存分餌をいたぶって喰えるのが嬉しいのだ。

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その様子を、佳奈は病棟の一番端にある警備センターのモニター越しに眺めていた。
佳奈の足元には、所々肉のこびりついた白骨死体が3体と、汚らしい色の粘液にまみれた警備員の制服が転がっている。
悪臭を放っていたが、鼻が麻痺しているのか佳奈にはあまり気にならなかった。
警備センターは4畳半ほどのセキュリティスペースに、6畳ほどの宿直室が付属した小さなもので、壁一面をびっしりと覆うモニターには病院の至る所に設置された監視カメラの映像が映し出されていた。
佳奈が座るパネルが、オートロックから外部警備会社や警察への通報まで、病院のセキュリティ全てを掌握している。
先ほどまで佳奈は根気強くマニュアルを眺めていたが、いい加減に飽きたのかマニュアルを放り出し、画面の向こうに展開される殺戮ショーに夢中になっていた。
ちぃちゃん嬉しそうだな。
佳奈は次第に赤く染まっていく画面を見つめてそう思った。
親友のあまりの残虐さを改めて目の当たりにして、佳奈は数週間前、一学期の終わりに千絵と一緒にお風呂に入ったあの時のことを思い出していた。恐怖とは違う。畏怖や、羨望とも違う。
何だろう…この感じ。
人生で今まで味わったことのない、恍惚。ほんの少しの苦痛を伴いながらも、それは中毒性のある麻薬のように佳奈の意識を支配した。
もう一度味わいたい。今度は最後まで。
だってあの時、千絵、途中で止めちゃって…。
無意識のうちに佳奈はその手で自らの恥部をまさぐっていた。パンティがじっとりと湿っている。自分の手の温もりと力を感じて、その下の柔らかい襞がひくんと震えた。
もう我慢できなかった。
佳奈は下着を脱ぐ事などは考えもせず、薄い布越しに生まれて初めての自慰をした。

48 :腐肉(P.N.):2009/11/16(月) 00:34:30 ID:Bw+WT0V5
-----------------------------------------------------------------
その頃、病棟3階では患者たちも異変に気付き始めていた。
最初に気付いたのは、最も階段に近い部屋だった水戸愛莉。まだ高校生だが、極度の潔癖で、それが原因で学校で問題を起こし2週間の入院中。
江古田の悲鳴で彼女が個室から顔を出すと、はす向かいの仁科栄子も続いて部屋から出てきた。いつものように、灰色の猫を腕に抱いている。
「何?」
「さぁ…。」
その時、怪物の噯気が病棟中に轟いた。水戸愛莉は背筋を冷たいものが這い抜け、身体がぶるっと震えるのを感じた。何と汚らわしい音だろう。
仁科は猫に向かって「よしよし」と声をかける。水戸は目を背けた。仁科はいつも、あの汚らわしい動物を抱いている。
彼女も同じ潔癖だが、猫だけは触れるらしい。というか、猫に触っていないと落ち着かないらしい。
水戸からすればナンセンスだ。けだものほど不潔なものがこの世に存在するだろうか。
それ故に彼女は仁科に対し嫌悪感を抱き、いつも担当医の若林に病棟を離して欲しいと頼んでいたのだが。
「ナース呼ぶ?」
仁科が言った。
「ええ、その方が…。」
水戸はそこまで言いかけ、仁科が自分にではなく猫に向かって言っているのだと気付き、言葉を切る。
仁科はそんな水戸の様子に気付かず、部屋へ入って行った。だがすぐに出てくると、今度は水戸の顔を見て「出ないわ」と言った。
「何かあったのよ。」
「そのようね。」
水戸は冷ややかに言う。
その時、階下から何かを吐き出すびちゃびちゃという汚い音が響いてきた。大量の汚物を床にぶちまけたような音だ。
水戸と仁科は一瞬顔を見合わせ、悲鳴を上げた。だがすぐにその悲鳴は、二度目のげっぷの音にかき消された。もはやげっぷというより、雷の音だ。
水戸は吐き気をもよおし、その場にうずくまった。
「大丈夫?」
仁科が近寄り、背中に手を置こうとする。
「触らないで!!」
水戸は気分が悪いのも忘れ金切り声で叫んだ。
「そのけだものを近づけないで!!」
仁科の腕の中で丸まった灰色の毛玉を指差し、後ずさりする。仁科は猫に向かって「失礼でしゅねぇ」などと呟きながら離れていった。
「と、とにかく、逃げなきゃ…。」
水戸は恐る恐る階段の下を覗き込んだ。何か巨大なものが、廊下を移動していく音がする。ふと、搬入用エレベーターの存在を思い出す。
狭いが、医療機器も運ぶものだからある程度は清潔だろう。猫女と一緒でも仕方ない。一人ずつ乗れば…。
「こっちよ。」
水戸は仁科に声をかけると、廊下の奥の赤い鉄扉に向かって駆け出した。
「待って!」
ふいに仁科が足を止める。
「何よ!?」
水戸が苛立ちながら仁科の元へ引き返すと、310号室にまだ誰かが居るのが分かった。
水戸は少し迷ったが、やがて溜息を吐き、袖で手を覆うと310の戸をコンコンと軽く叩いた。


[続]

49 :名無しさん@ピンキー:2009/11/16(月) 08:07:51 ID:TBFPS7cS
GJ!!
あなたと(食事的に)合体したい・・・

50 :名無しさん@ピンキー:2009/11/16(月) 23:36:37 ID:AgNy0NRD
>>47
佳奈さん!!?

51 :名無しさん@ピンキー:2009/11/16(月) 23:55:57 ID:XWE1ZdR8
てっきり餌場にでもするかと思ったら、食い溜め出来るっぽいな
俺も千絵の体に呑み込まれたい・・・

52 :腐肉(P.N.):2009/11/17(火) 03:02:21 ID:II5jLTFP
柳沢は、誰かがドアを激しく叩く音で目覚めた。自分が眠っていたという事実に気付くと、ソファから飛び起き時計に目をやる。
しまった、バスの時間が…!
再び、ドアがバンバンとやかましい音を立てて小刻みに震えた。患者の誰かだな、と柳沢には検討がついた。
「はいはい、今開けるよ。ドアを破られちゃかなわんから…」
ロックを外した瞬間、柳沢ごとドアを吹き飛ばさん勢いで江古田哲也が飛び込んできた。
「な、何だ!?」
柳沢は倒れそうになりながら江古田の肩を押さえて落ち着かせようとした。
「ばけ…!ばけ…!」
江古田は息を切らせながら必死に口を動かす。まるで瀕死の魚だ。
「どうした?ほら、落ち着いて。今ナースを呼ぶから…」
「みんな死んだあああ!!!!!!」
江古田の舌は突然潤滑さを取り戻し、びっくりするような大声で叫んだ。柳沢は呆気に取られて、この引きつった顔の若者を見つめた。
「は…?」
素直な疑問を表す言葉が思わず口をついて出てしまった。
「みんな、みんな…みんな喰われた…。」
江古田は縋るような目を柳沢に向け、今度は今泣き出しそうなほど小さな声で呟いた。
「落ち着いて、あなたは錯乱している。錯乱の意味は分かるね?」
柳沢は冷静を取り戻し言った。
2,3日ここに居れば鬱は治るかと思っていたが、彼は思ったより重症のようだ。
「錯乱じゃない!見たんだ!」
江古田は怒鳴った。
「怪物がいるの。」
その時、2人の後ろで声がした。驚いた江古田が仰け反るように振り向くと、そこに田口翔子の姿があった。
「江古田さん、見たんでしょ?」
江古田は一瞬柳沢の表情を伺うと、ゆっくりと頷いた。
「あれは神様よ。」
田口翔子はにきび跡の残る顔に薄ら笑みを浮かべた。柳沢は信じられないという面持ちで田口翔子を見つめた。
彼が彼女の担当医になってからというもの、彼女の笑顔は勿論、こんなにはっきりと喋る彼女を見たことが無かった。
「先生、本当なんです、信じてください…!」
江古田が柳沢の襟首を掴んだ。
「あの娘は電波だけど、今言ってるのは本当なんだ。怪物がやって来て、ナースと若林先生を喰った。」
柳沢はしばらく呆然としていたが、ふいに我に返ると江古田の手を振り解き誤記を強めて言った。
「いい加減にしなさい!江古田さん、ナースに連絡して注射を持ってきてもらいますよ。
それから田口さん、あなたはダイナーへ戻って皆さんと食事…。」
「かわいそう先生。分からないのね、私たちが“おしょくじ”なの。」
田口翔子は呟いた。


53 :腐肉(P.N.):2009/11/17(火) 03:04:34 ID:II5jLTFP
柳沢は頭に血が上るのを感じた。
この状況は何だ!?
本当なら今頃自宅に帰ってゆっくりと風呂に入れた筈だというのに、錯乱状態の患者が2人、夕食時に私の部屋へ押しかけている。こんな事は初めてだ!
柳沢は田口に返答せず、黙ってデスクの端に置かれた内線の受話器を乱暴に掴んだ。
「どうして…どうして、ああ、どうして聞いてくれない…!」
その間に江古田は頭をかきむしりながら、戸口に立つ田口翔子を押しのけて部屋を出た。
「待って江古田さん、ここにいるんだ!」
柳沢が怒鳴った。そして苛立ち紛れにデスクを指でトントンと叩いた。
「ナースは何をしている。どうして誰も出ない…?」
柳沢は呟いた。
「ああ、神様…!」
江古田は廊下をうろうろしながら呟いた。田口が「そう、神様よ」と相槌を打つ。
「私は帰る!帰らせてもらう!ここから脱出して…」
その瞬間、巨大な桃色の肉の塊が廊下を押し寄せてきて、江古田哲也の身体を押し流した。少なくとも、部屋の中に居た柳沢からはそう見えた。
肉の雪崩は江古田の身体を捕らえると、廊下を逆流して戻って行った。江古田の悲鳴が物凄い速さで遠のき、唐突に消えた。
「な、ななな…!」
柳沢はたった今目の前で起きた現象が何であるのか理解できず、思考を遮断した脳は彼の喉にこんな言葉を発することしか許さなかった。
「かみさま!!!!」
田口翔子が狂ったように叫びながら部屋を飛び出していった。柳沢は我に返りあわてて彼女の後を追う。
「待て、田口!!」
部屋から飛び出すと、柳沢は綺麗に磨かれた廊下で滑って転びそうになった。
顔を上げたとき、彼は田口が駆けて行く向こうに、一人の少女が立っているのが見えた。
腹部、調度胃の辺りが妊婦のように膨れている以外は、モデルのようなスタイルの美しい少女だという事が、遠くからでも分かった。
「かみさま、あたしも連れてって!」
田口翔子は、その美少女に手を延ばす。次の瞬間、美少女の腹が裂け、イソギンチャクの触手のように、異様に長い舌が無数に飛び出してきた。
「田口!!!」
柳沢は立ち上がりきらないうちに廊下を駆けると、大事な患者を護るために、そのか細い腕を掴んだ。
と同時に、悪魔の触手が田口翔子のもう一方の腕に絡みついた。
「あうっ…!」
田口は首を仰け反らせて声を上げる。舌に巻きつかれた方の腕から蒸気が上がる。
「いた… 痛いっ…」
田口は喘いだ。柳沢は懸命に腕を引っ張るが、田口の身体は見る間に残りの触手に包まれて行った。
柳沢が少女の方に目をやると、少女は性的興奮を味わっているかのような恍惚の表情を浮かべ柳沢の目を見つめ返した。
その瞳に宿る悪魔のように残忍な光に、ぞくっと身を震わせた一瞬の隙に、田口翔子の手は彼の手を離れ怪物の方へ引きずられて行った。
舌が緩められると、怪物の体液で無残にも生きながら溶かされた身体が顕わになった。
ばらばらにされた骨格模型の上に、ピンク色のスライムをぶちまけたような姿だった。
千絵の舌がまだ細い息を吐く田口翔子の顔をぺろりと舐めると、一瞬で顔の皮膚が剥がれた。ところどころにきびの跡から膿が垂れる。
田口翔子はその顔をちらりと柳沢の方へ向けると、そのまま千絵の腹の肉壁の中へと消えていった。千絵は背筋を熱いものが駆けるのを感じた。
やっぱり女の子、好き。
千絵は地べたに転がったまま動けなくなった柳沢の前に立つと、彼に向かって第二の口から特大のげっぷを放った。
怪獣の咆哮のような轟音は狭い廊下に反響して一瞬で彼の鼓膜を破壊し、この世のものとは思えぬ悪臭が辺りに充満した。


54 :腐肉(P.N.):2009/11/17(火) 03:07:51 ID:II5jLTFP
柳沢の身体はそれを感じる間もなく、溶け出した。胃から込上げたガスに粒子状になって混じった胃液が、スプレーのように高圧で噴射されたためである。
柳沢は悲鳴を上げるが、すぐに喉が溶けて声が出なくなる。
悪臭に刺激されてこみ上げてきた胃の内容物は、口まで達する前に胸や喉に空いた穴から膿のようにどろどろと垂れた。
身を捩ってもがいても、全身に付着した強酸が、清潔な白衣や彼の肉と反応して生じた化学変化はもう止められなかった。
瞬く間に泥状の液体となった柳沢医師の身体は、彼自身の下呂と混ざり合った。
彼の医師としての威厳はおろか、人としての、いや知的生命体としての尊厳は、その肉体と一緒に消し飛び、無様な染みのように床に広がった。
「んー… ちと、やり過ぎたかな…。」
その様子を見た千絵はそう呟くと、廊下の真ん中にちょこんと腰を下ろし、這い蹲るようにしてその液体をぴちゃぴちゃと舐めた。
彼女の胃袋は限界を知らない。彼女を支配する貪欲な食欲は、まだ次の獲物を欲していた。

-------------------------------------------------

その少し前、千絵が桂朱美をバラバラに引き裂いて食い荒らしていた頃、206の病室で一人の男が目を覚ました。
彼の名前は冠木正和。
左手首に包帯を巻かれ、革のベルトでベッドに固定されていた。
また失敗したのか…。今度はうまく逃げ果せると思ったのだが。
計画は完璧だった。間抜け面の看護師は彼の仮病を信じたし、彼はうまく隙をついて脱走した。ガラスも綺麗に割れた。
あの白衣姿の木偶の坊共が慌てふためいてやって来ても遅いんだ。
俺は奴らの消毒臭い手をするりと逃れて、この世からおさらばできる筈だった。
だが目覚めたらまだここに居る。
彼は拘束具を振り解こうと、身体をもぞもぞ動かした。ひどく腹が減っていた。
そう言えば、窓の外はもう真っ暗だ。この世界に復讐しようとした俺なんかには、まずい晩飯も与えられないと言うのか。
その時、彼の残り短い人生を変える瞬間が訪れた。獣の咆哮のような恐ろしい音が、建物の壁を振動させながら階下から上がってきた。
冠木は動くのを止めた。怪物の吠え声はもう止んだが、窓ガラスはまだガタガタと震えていた。
よくよく耳を澄ますと、階下の方から、何か巨大なものが動き回る音が聞こえた。それから、人の叫び声。
それらがしばらく続いた後、再び怪物が吠えた。先ほどより遠いが、より大きく、よりおぞましく。
彼がこの世界から逃れられない内に、世界が崩壊を始めたのだ。
冠木正和は子供の頃、狂った母親が読み聞かせてくれた物語のドラゴンを思い出した。
「ドラゴン…」
彼は呟く。そう、ドラゴンだ。巨大で、恐ろしい姿をした、残忍なモンスター。誰もドラゴンからは逃れられない。
そんな事があってたまるか!
彼は恐怖に震え上がった。
冗談じゃない。彼はこの世界の誰よりも早く、この世界を脱出するのだ。そしてその先には、彼だけの世界が待っている。
ドラゴンなんかに、やられてたまるか!彼の世界を侵されてたまるものか!
その時彼の心の中に奇妙な感情が芽生えた。
ドラゴンを退治してやる。
そう思い立つと、冠木は再び拘束具から逃れようと身体を揺り動かし始めた。すると、包帯の巻かれた左腕のベルトがカタリと外れた。
しめた!看護師が手首を傷つけないよう緩く締めていたのだろう。
彼は傷の痛みも忘れ、自由になったその手で残りのベルトを外しにかかった。


55 :腐肉(P.N.):2009/11/17(火) 03:12:28 ID:II5jLTFP
------------------------------------------------------------
佳奈は、ノイズの多い画面に映った、たった今3人の人間を死に至らしめた親友が、這い蹲って腰を左右に艶かしげに動かしながら床を舐める姿を見ながら果てた。
息は荒く、動悸がした。膣の周りの筋肉が小刻みに震え、そこから分泌された粘っこい液体が指を滴り落ちた。
経験した事の無い陶酔と、幸福がしばらく続いた。体中の熱が覚めやらぬ内に、突然パネルの脇に引っ掛けられた無線機が擦れた音を発した。
「佳奈、応答せよ。」
佳奈は驚いて椅子から転げ落ちそうになった。
「佳奈?」
無線機が再び、千絵の声で喋った。
「こ、こちら佳奈!き、聞こえてるよ!」
佳奈は慌てて無線機に向かって言った。思いの外自分の声が枯れて、息切れが激しい事に驚き、少し恥ずかしくなった。
「今ね、ナースステーションなんだけど、まだ生き残ってるの、居る?」
見ると、ナースステーションに設置された監視カメラの前で千絵が手を振っていた。当然裸のままだ。
「ちょっと待って…。」
佳奈は床に転がった警備員の死体が着ている制服で指を拭うと、カメラ映像を切り替えるためのダイヤルを回した。
「えと、202に一人、男の人。それから…206。あとは… あ、病棟3階の廊下に何人か固まって居るよ。3人… 4人かな?ごめんね、ここからじゃよく分かんない。」
「それで全部?」
「多分…」
「さんきゅ。一応、ここからは無線は持って行くから。」
そう言うと、無線機はザザっという音と共に静かになった。
佳奈は座り直そうと、回転する椅子の上でしばらくもぞもぞと動いていたが、やがて溜息を吐くと立ち上がり、びちょびちょに濡れた履き心地の悪いパンティを脱ぎ捨てた。


[続]
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56 :名無しさん@ピンキー:2009/11/17(火) 06:21:24 ID:aE4WknBA
グッジョブ。
相変わらず上手いな。
酸で溶かされていく被害者の様子がCUBEを思い出した。

57 :名無しさん@ピンキー:2009/11/17(火) 07:44:02 ID:dCCsMpFi
GJ!!
毎回違うバリエーションが出てくるのはすごいと思う

58 :名無しさん@ピンキー:2009/11/17(火) 14:47:12 ID:LQEm81O4
豪快な捕食シーンで最初気がつかなかったが
江古田さりげなく死亡フラグ建ててたのか

59 :名無しさん@ピンキー:2009/11/17(火) 20:55:18 ID:Cs4FVg8I
すげぇな
一人一人の人物の描写がちゃんとしてる
続きが楽しみ

60 :名無しさん@ピンキー:2009/11/17(火) 23:31:05 ID:laD6QXb6
中だるみ無しとかたまんねぇ

61 :名無しさん@ピンキー:2009/11/19(木) 11:59:44 ID:GsM1EuBC
lov2のロックブーケのカードに
吸収の対象:美女という美女すべてと書いてあった。
吸収ってどういうふうにやるんだろう。

62 :名無しさん@ピンキー:2009/11/19(木) 14:34:58 ID:GsM1EuBC
補足
多分lov2のゲーム中に吸収できるわけじゃなく
(lov2やったこと無いので詳しく知らないけど)
ロックブーケ属する七英雄はモンスターなどを吸収してパワーアップする
という設定があるのでそれについて詳しく書かれているだけだと思う。

63 :名無しさん@ピンキー:2009/11/20(金) 22:17:07 ID:iz5ULIiH
ロックブーケは霊とか精霊系のモンスター吸収しているのかと思ってたが人間吸収してたのかw
あのまとわりついてる幽霊は吸収された女の霊か・・・
そういえばスービエはゲームが進んでいくと海の主の娘を吸収してたな
ワグナスも男なのに女のモンスター吸収したのか女の姿になってた
第二形態は顔だけ男に戻ってたけど
ロマサガ2は中々このスレの住人にはおいしいネタが多いな

ヴァルキリープロファイルのJ・D・ウォルスって女魔導師も美しくなるために
大量の人間の命を吸収したらしい
あの設定も好きだった

64 :名無しさん@ピンキー:2009/11/21(土) 00:46:11 ID:2xx7F91X
そういえば、ロマサガ2のラスボスは
アストラルゲートという、
プレイヤーキャラを巨大な顔みたいな物体の口に吸い込んで
混乱させる技を使う



65 :名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 15:25:27 ID:H2gSVpVV
俺は今が食べ頃

66 :腐肉(P.N.):2009/11/23(月) 00:31:02 ID:A2we5den
3階廊下の奥、搬入用エレベーターの鉄扉の中で、3人の患者は十分に距離をとって隠れていた。
お互い、近づきたくないのだ。
潔癖症の少女2人は、310号室の患者前島を連れ出すのに一苦労した(この初老の男は「大佐」と呼ばれないと振り向きもしない。)後、
エレベータールームの赤い扉を開けるのにもう一苦労した挙句、電源が落ちているのか、動かないエレベーターを前に絶望を味わっていた。
おまけにエレベータールームの扉は締りが悪く、閉めようとしたら10センチほど隙間を残してびくともしなくなってしまった。
前島大佐は一言も喋らず、禿げ上がった頭を壁に付けぼぅっと床を見つめていた。
とその時、廊下の向こうで何かの音がした。巨大なものが動いている。それが一歩踏み出す度に、廊下に足音が響き渡った。
仁科栄子は悲鳴を上げそうになるのを堪えようと、口に手を当てる。その隙に、彼女の猫が彼女の腕から滑り落ちた。
「ベッキー!」
飼い主の呼び声を無視し、灰色猫のベッキーは扉の隙間から廊下に駆け出していった。仁科栄子は悲鳴を上げる。
「しっ!ちょっと、静かにしてよ!!」
水戸愛莉が声を殺して叫ぶ。次の瞬間、廊下の向こうからギニャン!という猫の悲鳴が聞こえた。仁科は泣き出した。
「静かにしてってば!」
水戸は仁科に駆け寄った。手で口を塞いでしまおうかと考えるが、そんな事は出来なかった。素手で他人に触れるなど。まして口など!
近くへ来たものの、水戸には何も出来ず、仁科は悲鳴を上げ続ける。怪物に見つかるのは時間の問題だった。
足音はどんどん近づいてくる。近づけば近づくほど、音は重量感を増して行く。やがて鉄の扉がぎぎっと軋みを上げたかと思うと、次の瞬間凄い勢いで壁から引き剥がされた。
水戸愛莉も思わず悲鳴を上げる。驚いた事に、それまで、もしかしたら喋れないのではないかとさえ思っていた大佐が一番大きな声で叫んだ。
だがその声は、びちゃっという液体の飛び散る音と共に一瞬で途絶えた。車ほどある巨大な蛸の脚のような巨大な触手が、大佐の身体を持ち上げたのだ。
その衝撃だけで、前島の胸は押しつぶされ、凄まじい量の血が辺りに撒き散らされた。
触手はぬらぬらと光る液体を滴らせながら、大佐の身体をもてあそび、捻り上げた。湯気の立つどす黒い血が絞り出された。
触手の向こうで、怪物がそれを浴びて歓喜に震えるのが分かる。
水戸愛莉はあまりのおぞましさに悲鳴を上げる。やがて固く絞った雑巾のようになった大佐の肉は、ぽいと捨てられ、エレベーターの扉にぶつかってびしゃりと飛び散った。
その肉片と汚物を全身に浴び、水戸はもう声も出なくなった。糸の切れた人形のように、床にへたり込んだ。
触手がするすると怪物の口の中に仕舞われていった。そのピンクの肉塊が消えると、鮮血を浴びた少女が現れた。
これが怪物なのか?彼女と大して年も変わらないではないか。
「にゃん?」
怪物が、その残忍な本性に似つかわしくない子猫のような声で鳴いた。
「これ、君のかにゃ?」
怪物が喋った。水戸愛莉は怪物の視線の先を追って、その時久しぶりに仁科栄子の存在を思い出した。仁科は彼女よりも引きつった顔で、怪物を凝視している。
「毛玉が痞えるから返すにゃ。」
そう言って怪物は、べとべとの塊を2人の前に吐き出した。それはところどころ灰色の毛に覆われたスライムのようなものだった。


67 :腐肉(P.N.):2009/11/23(月) 00:31:52 ID:A2we5den
そのヘドロのような汚物が頭と思しき部位をもたげ、苦しげに「ぎにゃあ」と鳴いた。2人の少女は悲鳴を上げた。
「ベッキー!!!!!」
仁科栄子は、顔を涙や鼻水や唾液など、本来彼女が我慢できない筈の液体でぐしゃぐしゃにして、その汚い塊に縋りついた。
次の瞬間、怪物の腹の辺りから再び触手が伸びてきて、仁科に襲い掛かった。
細長い触手は仁科の胴体に巻き付くと、肉の壁のように変形し彼女の身体全体を包み込んだ。中で仁科が悲鳴を上げてもがくのが分かる。
怪物はこくりと首をかしげ、もう一つの触手を水戸愛莉に向ける。
「いや、来ないで!!!」
この期に及んでも、命の心配よりも、その触手に対する嫌悪感の方が勝っていた。彼女は愚かにも、怪物の方へ駆け出していた。千絵の腕が彼女を捉える。
「君の悲鳴、好き。」
怪物はその可愛らしい顔を彼女に向けて言った。
「もっと鳴いて。」
首の辺りをがっしりと手で捕まれ動けなくなった水戸の脚に、怪物の触手が絡みついた。熱く、ぬるぬるとした粘液で彼女の肌を湿らせながら、力強く締め付けてくる。
水戸は泣き叫んだ。怪物はまるでその声に欲情しているかのように身を震わせて言った。
「もっと戦慄け。」
別の触手が彼女の腕を捉えた。振り解こうともがいたら、ゴキンという嫌な音と共に肩の関節を外された。その痛みに、彼女はまた悲鳴を上げる。
「君、可愛いね。顔は最後にしてあげる。」
怪物の口がそう言っている下で、仁科栄子を包み込んだ舌が、彼女の身体ごと怪物の腹に収められて行った。
べとべとの舌で乳房を蹂躙され、水戸愛莉は激しく嘔吐した。すると、怪物少女はその小さな唇を、下呂で汚れた水戸の口に宛がうと、激しい接吻を交わした。
「交わした」というより、「押し付けた」。長く湿った舌を喉の奥まで入れると、執拗に口内をまさぐった。
自分の唾液と怪物の唾液が混ざり合うのを感じ、彼女はまた吐き気を覚えるが、込上げてきた胃の中身は触手に押し戻された。
彼女はパニックに陥り、呼吸が出来なくなった。咳き込もうにも口を塞がれ叶わない。
股間から溢れ出た尿が腿を伝って滴るのを感じる。その間も怪物は可愛い顔で彼女を陵辱し続けた。
ふと、水戸は怪物の口から別の液体が流れ込んでくるのが分かった。
すっぱい…。
そう思った瞬間、激しい痛みと猛烈な熱さが口の中に広がった。彼女はうめき声を上げる。
溶けている!
焼けるような熱さは喉に流れ込むと、食道を焼きながら身体の奥深くへ侵食した。
水戸愛莉の身体は触手に包まれ身動き一つ取れず、怪物の胃液を口移しで流し込まれる容れ物と化した。
自分の顔から煙が立ち上るのが見えた。だが、すぐに視界が白濁して見えなくなる。眼球が沸騰を始めたのだ。
鼻や耳から酸が溢れ出て肌や髪を焼き、顔中の皮膚が泡を立てて弾けた。
「ぷはっ。」
千絵は背徳感に頬を紅潮させ、哀れに溶解した少女から唇を離した。
口からとろりとこぼれる胃液の残りを手の甲で拭うと、少女の肉の残った部分が舌の中で溶け行くのを存分に味わった。
苦痛と嫌悪の中で、水戸愛莉は息絶えた。怪物の舌は彼女の亡骸をくるむと、筋肉にぎゅっと力を込めその骨を押し潰し自らの胃袋に納めた。
千絵は第二の口を閉じると、猫のように、手についた胃酸や水戸愛莉の唾液や嘔吐物をぺろぺろと舐めて綺麗にした。
腹がずしりと重い。手で支えてやらないと床へ擦ってしまいそうだ。


68 :腐肉(P.N.):2009/11/23(月) 00:34:41 ID:A2we5den
「千絵、聞こえる?」
無線機が鳴った。
「聞こえるよ、オーバー?」
「ごめんちぃちゃん、ちょっと目を離してる間に206の患者さんが居なくなっちゃった…。」
佳奈が申し訳無さそうな声で言う。
「建物からは出れないはずだから、逃げたとしてもこの中だよ。」
「そか… 今ちょっと、追っかけたりはきついから後回しにする。」
千絵は片手で腹をさすりながら、もう片方の手で持った無線機に言った。
「もう一人いるよね?」
「うん、202。」
無線機から返事が返ってきた。
「じゃあそっちが先にゃ。もし206さん見つけたらマークしといてね。」
千絵はそう言って通信を切った。

------------------------------------------------------------------------------

近くの踊り場の陰から、冠木正和はその様子を伺っていた。見つからないよう必死で息を殺したが、それでも彼は興奮を隠しきれなかった。
どでかい腹を抱えた少女が、裸で廊下を歩いているのだ。
彼女はドラゴンだ。たった今3人の人間を食ったのを、彼は見た。だがあっさりと対峙してしまうにはあまりに惜しい。
長い間忘れていた欲望が、冠木正和の下半身を疼かせた。
彼は身を潜めながら、千絵の整った顔やプロポーション、細いが筋肉のついた腕と脚、
軽自動車ほどの大きさに膨張した真っ白な腹をじっくりと観察し、密かに身を震わせた。
ドラゴンは無線機を使っている。という事は、その先に話している相手がいる筈だ。
冠木の脳裏に、素晴らしい作戦が浮かんだ。
うまくすれば、彼は彼女をものにすることが出来る。
ドラゴンを己が手に入れることが出来るのだ。


[続]

69 :名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 01:04:46 ID:40CDo3qp
GJ!!

そして、佳奈がアブナーイ!!

70 :名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 01:46:19 ID:iMVmKXf2
GJ!

71 :名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 04:21:25 ID:FZrL4ZdH
GJ!
続きが気になるなぁ

72 :名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 10:58:06 ID:02iainIl
続き凄い気になる

73 :名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 22:04:32 ID:wEE1mwz0
猫の声マネをする千絵に不覚にも萌えた

74 :腐肉(P.N.):2009/11/24(火) 01:58:46 ID:1E+D6t1U
202号室の戸を開けた千絵は、少し驚いた。
そこに横たわっていたのは、点滴に繋がれた、千絵よりも幼い少年だった。
千絵の中に、忘れていた感情が再びぼんやりと形をとるのが分かった。
何だっただろう、この想いは…。
3年生になったばかりの頃、受験などはまだ遠い先の事で、千絵は残り僅かとなった部活に学校生活の大半を費やしていた。
そんなある日、部活の後のグラウンドで声をかけられた。千絵は汗をかいていて、恥ずかしかった。
ひどい顔になってないかな、とか、汗臭くないかな、とかそんな事ばかり考えて、顔から火が噴出す思いだった。
だが彼はそんな私に好きだと言ってくれた。あんまり喋ったことも無いのに、私に興味を持ってくれた。
それが嬉しかった。私も彼に興味を持った。彼の感じることを全て一緒に感じたいと思った。
…何だっただろう、彼の名前…。
初めてのデートや、手をつないだ時、キスをした時の事は覚えていないが、あの日の事は覚えている。
彼が死んだ日の事。彼の身体の温もりを、初めて全身で感じたあの日、私が…。
千絵は、つっと涙が頬を伝うのを感じた。
どうしよう… 私、処女だったんだ。
あの日、彼とホテルへ行った。私は緊張していた。ちょっぴり怖くもあった。でも嬉しかった。それが、何もしないうちに、人生最悪の悪夢になった。
私は処女だった。怪物になるまでは。
この身体になってから、何人かの男と、彼らを喰う前の前戯として徒に交わった。
もちろん彼女はもう人間のペニスに対しては何も感じないし、妊娠したりもしない。だが大切にしていたものを、気付かずに失くしてしまったのだ。
千絵は泣いた。名前も顔も思い出せない彼の事を想って泣いた。
今になって後悔しても遅いのだ。運命は、どうしてこんなにも残酷なのだろうか。彼女は、この世で最強の生き物なんかではない。
一匹の、ただの哀れなけものだった。
千絵は涙で濡れた手で、少年の身体に触れた。その時千絵ははっとした。少年の身体は氷のように冷たかったのだ。
見ると、点滴は空になり、濃いワインのような色の血がチューブを逆流して点滴袋に溜まっていた。どのくらいこのまま放置されていたのだろう。
どうしてもっと早く気付かなかった!
「うそ…。」
千絵は慌てて少年の首筋に手を当てた。
脈が無い。本来なら手首に当たる筈の、生暖かい吐息も無い。少年の身体は千絵の冷たい手よりも、さらに冷たかった。
いつからこの状態なのだろう?ナースは来なかった。当たり前のことだ、彼女が食べてしまったのだから。
遠くの方で、雷鳴が低くうなりを上げ、窓の外では風が吹き始めていた。
千絵は、少年の口に自らの口を宛がい、息を吹き込んだ。
たくさんの命を奪ってきたその口で、少年に再び命が吹き込まれる事を願って。そんな事は無駄で、もう遅いと分かっていながら。
息を吹き込めば、あばらの浮き出た少年の薄い胸が上下するが、それでも、彼の命は返って来なかった。
千絵は床にへたり込んだ。涙はもう流れてこなかった。
こんな時だけ、獣の冷静さを取り戻して簡単に死を受容してしまう。ならいっそ、感情なんて消えてしまえ。
千絵は少年の、異様に軽いその身体を抱き上げた。
千絵には彼がどうして死んだのか分からない。点滴が空になったからと言って、多少の空気が血液に混入したくらいで人は死なない事を彼女は知っていた。
ただ、彼は死んだのだ。彼女にとってはそれだけだった。
彼がどんな人物だったか、どこで生まれ、どんな人に育てられ、どんなものが好きでどんな友人がいたか、もう彼女には、そんな事を想像する能力が無かった。
それなのに、なぜこんなに気分が悪くなるのだろう。他に何十人もの人間を、喰うだけでは飽き足らず嬲り辱めて殺してきたと言うのに。


75 :腐肉(P.N.):2009/11/24(火) 02:03:00 ID:1E+D6t1U
千絵は少年の顔を、自分の柔らかく獰猛な胸に押し当てた。
するりと口が開き、まるで母親が赤子を乳母車へ戻すように優しくそっと、彼の死体は千絵の中に包み込まれた。
いつの間にか、食欲はどこかへ失せていた。だが彼女は、少年をこのまま冷たい場所に置いて行きたくなかったのだ。
「かな…。」
千絵はかすれた声で、無線機に向かって言った。この部屋での出来事も、見られたのだろうか。千絵は少し恥ずかしくなった。
だが、返事は無い。
「…佳奈?」
無線機は無言で、千絵を冷たく見つめ返すばかりだ。千絵の中の獣が、悪い予感を告げていた。佳奈の身に何かあったのだ。
千絵の胸の奥の人の心が、きゅっと縮み上がった。

--------------------------------------------------------------------------

警備センターに近づくにつれて、千絵は次第に鼓動が早まっていくのを感じた。久々の感覚だった。
「佳奈。」
千絵はまだ胃袋が重く垂れ下がっているにも関わらず、国体選手並みの速さで病棟を駆け抜けた。
彼女の重みで、床のリノリウムにひびが走り、微かな破片が舞った。
千絵は半ば蹴り飛ばすように警備センターの扉を開けると、勢い余って中へ転がり込んだ。
千絵を出迎えたのは、ざらざらした光を放つ無数のモニターと、床に転がった警備員の死体だけだった。
「佳奈…。」
千絵はモニターに駆け寄ると、画面の隅々に目を凝らした。アングル切り替えのダイヤルを回しながら、どこかに消えた親友の姿が無いか必死に探した。
階段の映像に切り替わった一瞬、彼女の獣の動体視力はある異変を捉えた。
襲撃の前にこの部屋から施設中の出入り口を完全にロックした筈なのに、屋上へと通じる扉が半開きになっていた。
佳奈は何をしに屋上へ行ったのだ?
佳奈に限って、千絵に黙って作戦を危険に晒しかねない行為に及ぶとは思えない。
ふと、行方不明になっている206号室の患者の存在が脳裏を過ぎる。そう言えば、たった今施設中の監視カメラをチェックしたのにどこにも映らなかった。
カメラに写らない場所に隠れているのか、あるいは… 佳奈と一緒にいるのか?
千絵は胸騒ぎを覚えた。無意識に拳に力が籠もる。
彼女は苛立ち紛れに壁一面に並んだブラウン管テレビの画面に向かってその拳を突き出した。モニターガラスが砕け散り、小さく爆発しながら火花を散らした。
「殺す…。」
千絵は呟くと、壁の穴から拳を引き抜き、屋上へ向かうために警備センターを後にした。


[続]
--------------------------------------------------------------------------
いつも感想や励ましの言葉を書いてくださってありがとうございます。とても嬉しいです。

76 :名無しさん@ピンキー:2009/11/24(火) 23:41:03 ID:TFWl2mCK
>>腐肉さん
アナタ(作品も)がチュキダカラー!!

クライマックスの予感・・・ゴクリ

77 :腐肉(P.N.):2009/11/25(水) 00:39:35 ID:5FRvZfTN
吹き付ける風が、屋上へ続く扉をゆらゆらと揺らし、時々バタンと音を立てて枠に叩きつけていた。
ひたひたと階段に足音を響かせながら、千絵は冷たい素足でその扉に近づいた。扉を開けた瞬間、雷光が迸りコンクリートの屋上に彼女の影を大きく落とした。
そこには、脅えきった目の親友と、彼女の首に注射器を突きつける男の姿があった。
痩せた男は拘束具のような服に身を包み、血走った目で千絵を睨むと、汚い歯を見せにやりと笑った。
「千絵…!」
佳奈が少し安心したような声を漏らす。千絵は佳奈を優しく見つめなだめるように言う。
「大丈夫だよ、佳奈。もう大丈夫だから…」
「こっち見ろぉ!!!」
突然男が叫んだ。佳奈は男に首を掴まれ短い悲鳴を上げる。
「俺を見くびるなよ、ドラゴン。」
ドラゴンって何だ? …あ、私の事か。
「この女放して欲しかったら言うとおりにするんだ。」
千絵は黙って男を睨みつけた。それをイエスと受け取った冠木正和は、勝利を確信した。
場所を広いところに選んだのは正解だったようだ。狭い廊下と違ってここではドラゴンが「舌」を出して来ても、こっちにはかわす余裕がある。
さて、どうしてやろうか?
「そこにうつ伏せになれ。」
冠木は千絵に指示した。千絵は黙って冷たいコンクリートの上に腹ばいになった。押し付けられた乳房にざらざらした感触が広がる。
その姿を見ただけで、冠木は自分の体が疼くのを感じた。這い蹲って彼を見上げる千絵の攻撃的な目が、彼を勃起させた。これで全て彼の思い通りだ。
だがドラゴンを犯す前に、こっちのガキを先に犯るのも悪くない。冠木は佳奈の濡れた瞳を見つめ、唾を飲んだ。雷鳴が轟く。
「服を脱げ。」
「えっ…」
佳奈はびくりと身体を硬直させ、目に涙を浮かべ、懇願するように冠木を見た。その表情がかえって彼を興奮させた。
「ぬ、脱ぐんだ。全部。」
「やめろ…。」
千絵が言った。そのあまりに威圧的な声に、冠木は一瞬怯んだ。
「う、動くな。こいつを殺すぞ!!?」
「佳奈は私んだ!!!!!!」
千絵は声の限り叫んだ。突風に吹かれたような感覚が冠木を襲い、思わず佳奈から手を離した。その瞬間、佳奈のひじが冠木のぺたんこの腹に突き刺さる。
「ごふぅっ…!!」
冠木は咳き込む。
しまった!!
そう思い、慌てて体勢を立て直した瞬間、彼は物凄い力で地面に叩きつけられた。
驚いた事に、背中の下でコンクリートが割れてその破片がいくつか彼の肉に突き刺さった。彼は絶叫しながら、ぎゅっと握った注射器を当てずっぽうに振り回した。
針の先に手ごたえを感じ、ふと見ると針の先がドラゴンの腕に深々と刺さっていた。
やった!
冠木はピストンを押す。だが、びくともしない。次の瞬間、怪物の細い腕に筋肉の筋が浮き上がり、鋼鉄の針はパキンと折れた。
怪物が更に力を込めると、細かった腕に筋肉が隆起し、折れた針がぽろりと抜け落ちた。怒りと憎しみに握り固められた少女の拳が、唖然とする冠木の顔面を貫いた。
顔のパーツの大半を押しつぶした拳は、脳漿と血液をぶちまけて後頭部から外へ突き出すと、ひびの入ったコンクリートの地面を更に砕いた。
冠木の身体は力を失い、腕をだらりと横たえて動かなくなった。だが千絵は手を止めなかった。
拳を引き抜くと、床に崩れ落ちた冠木の身体に馬乗りになると、再び拳を振り下ろした。頭蓋骨が粉々になり、中の脳や顔の肉片が飛散した。
この時点で冠木の頭部は、まるで高所から地面に勢い良く叩きつけられたトマトのように形象を失い血肉と骨の飛沫と化した。
だが千絵は止め処なく拳を繰り出し、その度に一人の男の肉体は人の形を失って行き、代わりに
床の染みとコンクリートの亀裂がどんどん広がって行った。建物自体が軋みを上げている。


78 :腐肉(P.N.):2009/11/25(水) 00:44:51 ID:5FRvZfTN
「千絵!!」
千絵が再び腕を振り上げた瞬間、佳奈が両腕で千絵の腕を押さえようとした。千絵は勢い余って、しがみついた佳奈ごとその手を振り下ろす。
佳奈の身体は軽々と宙を舞い、床に広がった血溜りの上にぐしゃりと叩きつけられた。
「い、いた…っ。」
「佳奈…。」
千絵は我に返り、仰向けに倒れた佳奈を覗き込む。口から血が流れている。
「佳奈!!」
「だ、だいじょうぶこれくらい…。」
佳奈は苦しそうに呟くが、口の中に血が溜まっているのか噎せ返った。
「こう見えても結構頑丈なんだよ…?」
無理やり起き上がって「へへ」と笑う佳奈を見て、千絵は泣き出した。
「どうしたの、ちぃちゃん…?」
千絵は佳奈の小さな胸に頭をもたせかけた。
「佳奈、佳奈、私… 私…!」
千絵は想いを言い表そうとしたが、言葉にならなかった。硬くなった筋肉が、嗚咽に合わせて上下に震える。
「決めたんだ、何があったって… 佳奈だけは護るって…。」
佳奈は濡れた犬のように震える千絵をそっと抱いた。
「私は大丈夫だよ… ありがとう、千絵。」
ぽつり、と空から落ちてきた冷たい雫が千絵の髪を濡らした。やがて降り出した雨は、少女たちの涙と混ざり合い、地面に広がった血の染みを薄めて広がる。
少女たちは、しばらくそのままぎゅっと抱き合って泣いた。雨はどんどん強くなり、時折稲妻の閃光が辺りをかっと照らしては夏の夜空に向かって吠えた。
しばらくして、千絵が顔を上げた。潤んだ真っ赤な目を佳奈に向け、「いたくない?」と尋ねる。その顔はどうしようもなく可愛かった。
千絵は無理に起き上がろうとする佳奈の、肩と腿の辺りに手を回して抱き上げようとした。
佳奈がやたらと拒否するのでなぜかと思ったら、どうやら下着を履いていないようだ。
千絵は笑い出した。真っ赤な顔の佳奈をお姫様のように抱き上げると、浴室に連れて行く事にした。ノーパンの理由は聞かなかった。
冠木正和の肉片は、片付けずにそのまま残した。まだ胃袋に空きはあったが、千絵はこの男を、例の少年と同じ場所に入れたくなかったのだ。
雨が止む頃には綺麗に洗い流されているだろう。
ふと、浴室の入り口の大鏡に自分たちの姿が映っているのを見て、佳奈が呟く。
「血まみれだね、私たち。」
「美女と野獣だね。」
長い髪から血を滴らせながら、千絵は腕の中の佳奈に弱弱しく笑いかける。
「ううん。」
佳奈は首を振る。
「野獣は居ないよ。」
2人は身体をシャワーで洗い流すと、ゆっくりと湯に浸かった。佳奈はちょっとした打撲だけで骨折は無かった。
佳奈は痛む背中を千絵に舐めてもらい、彼女の膨れ上がった腹を撫で回しては嬉しそうな顔で笑った。
千絵はほっとしたのと満腹感から、風呂を出るとすぐに眠くなってしまった。
2人は無傷の個室を見つけると堅いベッドで裸のまま寄り添い、佳奈は千絵の大きな腹を枕代わりにして、お互いの身体を感じながら眠った。
夜の時間はゆっくりと流れた。

-----------------------------------------

翌朝、千絵は日の出と共に目を覚ました。雨はもう上がっていた。
昨夜の晩餐は完全に消化され、腹は元の細さに戻っていた。徐々に枕が低く硬くなってしまったため、佳奈は千絵の胸の上に頭を乗せて眠っていた。
佳奈の頭をちゃんと枕に乗せると、千絵は起きて服を着、佳奈のためにコーヒーか何か無いか施設を散策した。
窓の向こうには朝もやが立ち込めており、その向こうから鳥のさえずりが聞こえていた。
6時過ぎて佳奈が起き出すと、2人は森に突き出したラウンジに出て、木々の向こうに上がる朝日を眺めながら熱いコーヒーを飲んだ。
8月半ばだというのに、山の上だと朝は随分冷え込む。
佳奈の服は昨日汚れて駄目になってしまったため、千絵が予備に持ってきた服を貸した。
ぶかぶかの服に身を包んだ佳奈は、父親の服を着た娘か、予期せず恋人の家に泊まった翌日の少女のようで、千絵はそんな姿の佳奈をからかいながら
次なる獲物がのこのこと怪物の棲む病棟へとやって来るのを待った。


79 :名無しさん@ピンキー:2009/11/25(水) 08:56:14 ID:awKjEGB1
乙!
あんたのために毎日スレ見に来てるぜ!

80 :名無しさん@ピンキー:2009/11/25(水) 15:55:51 ID:8b+KIeAK
バッドエンドを覚悟してたから

ほっとしたよ

少年・・・・パルスィ

81 :名無しさん@ピンキー:2009/11/25(水) 18:02:49 ID:TlnOQOwU
投稿頻度高くて毎日wktkですなぁ

82 :腐肉(P.N.):2009/11/26(木) 04:06:48 ID:zT3VkIzH
7時半を回った頃、一台の乗用車が常舞病院の駐車場に停車した。中から降りてきたのは、30代後半か40代くらいの女性で、もう白衣に身を包んでいた。
彼女は正面玄関までやって来ると、まだ鍵が開いていない事に疑問を覚え、ガラス越しに中を覗いた。
ナースステーションのガラスが割れている。ひっそりと静まり返ったロビーには人っ子一人見当たらない。女医が目を凝らす。
ふと、デイルームの床に何かが転がっているのが見えた。さらに目を細めて見た時、彼女はその正体に気づき悲鳴を上げた。
何かの粘液に塗れた複数の人間の白骨。それがガラス一枚隔てた、彼女の職場の床に、無造作に打ち捨てられていた。
その時、病院の奥で何かが動いた。人影が玄関に向かって近づいてくる。
真っ白な肌の美しいパワフルな身体を見せつけながら、一人の少女が一糸纏わぬ姿で現れた。
女医は一瞬戸惑うが、その少女に明らかな異様さを感じて後ずさった。
あれは患者ではない。
少女は正面ドアの強化ガラスの前まで来ると、ぴたりと止まった。一瞬女医の脅えた目と怪物の目が合う。
次の瞬間、少女の拳が、斧を叩きつけてもひび一つ入らない強化ガラスを一発で粉々に砕け散らせた。
女医は声の限り悲鳴を上げると、すぐさま駐車場に止めた車に向かって、朝靄の中を走り出した。
あともう数歩で到達するという時、金属が裂ける耳を劈くような音を立てて目の前の愛車が突然ぺちゃんこに潰された。
まるでブリキか何かで出来ていたかのようにぐにゃりと変形した車体の上に、少女が立っていた。
まるで鮫の口を縦にして人体に移植したような腹の亀裂の中で、毒々しい桃色の大蛇のような触手が、彼女を手招きするかのようにうねうねと蠢いている。
少女が車から降りようとボンネットに脚を乗せると、その重みでカバーが凹み、一緒に押しつぶされた中のエンジンが煙を上げた。
女医は病院の方へ後ずさりしようとして尻餅をついた。次の瞬間、彼女の身体は5名の職員を乗せてやって来た始発バスに撥ねられた。
洗濯された純白の白衣をどす黒い赤に染め、彼女の身体は10メートルほど飛ばされて硬いコンクリートの地面にぐしゃりと落下し血飛沫を撒いた。
バスの扉が開き、中年の運転手が血相抱えて外へ出てきた。途端に、何があったのか見ようと窓にへばり付いていた乗客たちが悲鳴を上げる。
たった今自分が跳ねた、地面に転がった人間の死体しか眼中になかった運転手は、その悲鳴で「何だろう」と初めて顔を上げた。
彼の目に信じられない光景が飛び込んでくる。
彼の娘くらいの年の少女が、ぺしゃんこに潰れた乗用車を細い腕で持ち上げると、その巨大な鉄塊を彼めがけて軽々と放った。
運転手は悲鳴を上げる間もなく、車体の下敷きになって死んだ。
車は彼の身体を磨り潰しながらスリップすると、バスにぶつかって止まった。車体が大きく揺れ、バスの中から乗客たちの悲鳴が聞こえた。
千絵はラウンジでコーヒーを飲みながらこちらを見ている佳奈に向かって、親指をぐっと立てるとウィンクした。
佳奈は、目の前で見せ付けられた千絵の怪力に圧倒されながらも、弱弱しく笑いながらブイサインを返した。
千絵はゆっくりと跳ね飛ばされた女医の死体に歩み寄ると、血の滴る亡骸を片手で持ち上げ、口の中にぽいっと放り込んだ。
再びバスの中から悲鳴が聞こえる。乗客たちは脱出を試みているようだが、潰れた女医の車が扉を塞いでいて開けられない。
患者も利用するバスなので、窓も5センチほどしか開かないようになっているのだが、その僅かな隙間から突き出して蠢く
何本もの指が、乗客たちの恐怖と必死さを物語っていた。
千絵は、磨り潰されてバラバラになった運転手の身体の一部のいくらかを拾い食いすると、バスに寄りかかった
スクラップ同然の乗用車をぐいと引っ張ってどけ、バスのドアに手を掛けた。
扉は変形していて開け辛かったので、そのまま車体から引き剥がした。日に日に増して行くその力を奮うのが楽しくて仕方ないようだった。
彼女の身体は怪物として完成しつつあった。

83 :腐肉(P.N.):2009/11/26(木) 04:08:48 ID:zT3VkIzH
車内に乗り込むと、千絵は手当たり次第に乗客たちを捕食した。
女は味を損なわないよう丸呑みにしたが、昨夜の拳の感覚が忘れられず、男は狭い車両内を逃げ惑わせた後、嬲り殺しにしてから喰った。
その間佳奈はラウンジのベンチに座り、2杯目のコーヒーに砂糖をたっぷり入れながら、まるで中で熊か何かの巨大な獣が交尾でもしているように左右に激しく揺れるバスを見物した。
佳奈は中で行われている虐殺を想像しては一人頬を染めた。
やがて拳にべっとりと付いた血をぺろぺろと舐めながら千絵が降りて来た。千絵は一跳びで佳奈の居る2階のラウンジまで飛び上がると、佳奈の隣りに腰を下ろした。
ぼてぼてに膨張した腹は、まだ小刻みに震えている。佳奈は熱を帯びた手でその腹をそっと撫でた。
「コーヒー、要る?」
「欲しい。」
佳奈は持ってきたポットからカップに湯を注いだ。
「砂糖は?」
「要らない。」
佳奈は千絵にカップを渡すと自分用にもう一杯注ぎ、そちらにはスティックシュガーを2本空けた。
「よくそんなの飲めるね。」
千絵が胸糞悪そうに言う。
「いいじゃん、好き好きなんだから。ていうか、ちぃちゃんに言われたくないなぁ…。」
そんな会話を交わした後、千絵はシャワーへ、佳奈は監視カメラの記録テープを持ち出すために警備センターへ向かった。
準備を済ませて施設を出た2人は、森の奥でテープを燃やした。時刻は午前9時。2人は急いで山を下りて高速バス乗り場へ向かわねばならない。
途中、面倒くさくなった千絵は佳奈を抱きかかえ、山道を物凄い速さで駆け下りた。走る、というよりはカンガルーのように跳ねて、と言ったところか。
ただしその跳躍力はカンガルーどころではなく、腹の中に6人分の重量を乗せたまま100メートル近い距離を一跳びした。
だがバスステーションに着く頃には千絵は汗びっしょりで、息も絶え絶えになっていた。この技は緊急時以外使わない方が良さそうだ。
バスの中で再び千絵は眠りに落ちた。
-----------------------------------------------------------------------

84 :腐肉(P.N.):2009/11/26(木) 04:12:29 ID:zT3VkIzH
翌日、珍しく早起きした千絵と佳奈は、居間のテレビが伝えていたニュースに釘付けになった。
2人は階段を降りて来る間、きっと常舞病院の事件がその日のトップニュースだろうと思っていた。
実際、常舞病院での患者職員全員が死亡もしくは行方不明になった事件は、新聞でも一面を飾り大きな衝撃を持って世間に伝えられた。
だがそれだけでは無かったのだ。
同じ日、同じ夜、もう一件、ある場所で居合わせた全員が消える事件が発生していたのだ。
場所は東京郊外の市営団地。30人あまりの住民が一夜にして、忽然と姿を消したのだ。現場からはおびただしい量の血液や体組織の一部、骨の一部などが見つかっている。
千絵は背筋が凍りつく思いがした。こんな事件を起こせる生き物を、千絵は一つしか知らない。
「あいつだ…。」
最初はあの時の恐怖が甦って、千絵は彼女の姿を必死に脳裏から追い出そうとしていた。やがてそれは憎しみに変わった。
あの日、彼と、そして彼女を殺して喰ったあの少女。彼女の人生を変えた女。彼女の… おかあさん。
いつしか、彼女に対するその想いは、もっと具体的な形を取るようになっていった。
あの少女を、食べたい。

----------------------------------------------------------------------

その後、佳奈の家で唯香と恵を招いての勉強会(という名のお泊り会)が催されるなどのイベントはあったものの、基本的に平穏な日々が流れた。
だがある日、佳奈と2人で少し離れた書店まで参考書を買いに出かけた時の事、千絵はたまたま例のラブホテルの前を通りかかった。
さすがにもう人も寄り付かなくなって廃墟のようになっているのかと思っていたが、そこはまだ「立ち入り禁止」のテープで封鎖されていた。
それどころか、入り口には銃と思しき武器を持った制服の男が立っており、駐車場には自衛隊の車だろうか、大型のジープや真っ黒に塗装されたバンなど、
警察のものではない車両が何台も停まっており、ホテル内にも人の気配がした。
千絵は何だかすぐにその場から立ち去りたくなって、佳奈を急かして家へと逃げ帰った。それからというもの、あの場所には近づかないことにした。

----------------------------------------------------------------------

こうしてその年の夏休みは過ぎて行った。
ただ、ごくごく近い未来を脅かすかも知れない暗雲の存在を、千絵も佳奈も感じ取っていた。
そしてこれが、2人が共に過ごした最後の夏になった。


[続]

85 :名無しさん@ピンキー:2009/11/26(木) 13:42:50 ID:V1i8RHzI
オリジナルとの戦いか・・・

どうなるか想像もつかん・・・

wktkがとまらねぇwww

86 :名無しさん@ピンキー:2009/11/26(木) 14:10:19 ID:jlFTqsD8
前スレの尻尾の漫画描いてた人はどうしたんだろう
続きを待っているのだが・・

87 :名無しさん@ピンキー:2009/11/26(木) 20:12:06 ID:HDysSCx7
>>86
最近pixivに一枚絵をアップしてた

88 :名無しさん@ピンキー:2009/11/26(木) 20:32:23 ID:znrG0Flq
何故か読んでて某ディクロニウスを連想した

捕食じゃないけど、あれも似たような何かを感じてすごく好きだった

89 :名無しさん@ピンキー:2009/11/26(木) 21:38:46 ID:Vxq8iE6l
俺は某クトゥルフの唄かな

90 :名無しさん@ピンキー:2009/11/26(木) 22:13:50 ID:6ysrD0NF
お母さん食べたら物理的な意味で腹壊しそうだw

91 :名無しさん@ピンキー:2009/11/26(木) 23:37:59 ID:XcLAKvNd
>>86
どうもです
対決相手のキョウコを適当に描いていたのでキャラをもう少しちゃんと作り込む為に練習中です
ネームからペン入れまでやるとそれだけで何ヶ月もかかってしまうので完成時期は未定ですが尻尾〜の続きは必ず描きます
なのであまり期待せずお待ち下さい


練習の一枚絵は腐肉さんの作品が一段落して過疎ってきたら繋ぎで貼ろうと思ってたんですけど
せっかくの良い流れですからブッた切るのは勿体無い気がして・・・

92 :腐肉(P.N.):2009/11/27(金) 00:37:13 ID:89Y2xYO/
こんばんは、いつもありがとうございます。
某ディクロニウスは、私も大好きです。「うおー乳首ピンクだ!」は俺史に残る不朽の名台詞です。影響されているかも知れません。
すみません、クトゥルーは好きなので名前だけは知ってますが某沙耶は見たことが無いです(あれってゲームなのですか?ラノベ…?

そして>>91本当に申し訳無いです!ご迷惑をおかけして…
私はだらだらと思いついたものを垂れ流しているだけなので、お気になさらないでください。私も続き楽しみです。


93 :名無しさん@ピンキー:2009/11/28(土) 02:10:08 ID:EmNJnvd0
ここで空気読まずにCM
「魔物娘との性活 ラミアの場合」に
イートミーエンドを確認
このときの音声もさることながら
イートミーエンド後のコメントに愛を感じた
是非ともお試しあれ

94 :名無しさん@ピンキー:2009/11/28(土) 16:20:55 ID:zFfwf6dK
>>93
kwsk
丸呑み画像あり?

95 :名無しさん@ピンキー:2009/11/28(土) 16:44:44 ID:9AgSZTXN
画像無し、文章のみ
イートミー狙いなら買わない方が良いな
ボイス有りだけど「んあ」って声の後画面が暗くなり男の台詞の後GAMEOVER
食べたあげるとか永遠に一緒にとか個人的には中々たっだが

96 :名無しさん@ピンキー:2009/11/28(土) 16:45:45 ID:BIttaFmt
>>93
まじか、まさか無いだろうと思ってたのに…チャレンジャーだなぁw
kwsk便乗

97 :名無しさん@ピンキー:2009/11/28(土) 17:12:38 ID:EmNJnvd0
イートミーに関しては
>>95の解説以上のものは無いな
ある意味ヤンデレエンドとも言えるかも

98 :名無しさん@ピンキー:2009/11/28(土) 18:14:59 ID:zFfwf6dK
前向きに考えれば自分の好きなように想像できるということだな。
まあそれ以前にイートミーが駄目だったら他のエロの部分で楽しめばいいし。

つーわけで買ってくるノシ

99 :名無しさん@ピンキー:2009/11/28(土) 19:52:03 ID:EmNJnvd0
>>98
いってらノシ


100 :名無しさん@ピンキー:2009/11/28(土) 20:38:56 ID:G9V6uN2W
このスレのフインキって仲良くて好き

101 :96:2009/11/28(土) 21:44:05 ID:BIttaFmt
リロードしてなかったから気がつかんかったorz
>>95
なるほど、つまりレイミアは人間くらいなら丸呑みできるよ、という事は示されている訳ですな…
画像はまぁあったらよかったけど、無いなら無いでMPで補完できる

エロゲって興味魅かれるものがなくて買ったこと無かったんだが、買ってみるかなw


102 :名無しさん@ピンキー:2009/11/28(土) 21:56:35 ID:9AgSZTXN
>>100
こういう言葉遣いを見ると千絵を連想してしまう
そういえば腐肉さんの小説ってあのペースなのに誤字がほとんど無くてすげぇ

>>101
エロゲ初心者の俺でも楽しめたから、魔物娘大丈夫ならオススメ
女性主導が多いから苦手な人は・・・ってこのスレにM以外は居ないかw

103 :名無しさん@ピンキー:2009/11/28(土) 22:20:39 ID:EmNJnvd0
>>101
値段も比較的お手頃だから良いよな

>>102
逆にSなイートミーってどんなだろうなww
「食えよ・・・」みたいな?ww

104 :名無しさん@ピンキー:2009/11/29(日) 02:01:35 ID:0/ClduRa
>>100
他のスレが結構殺伐としてるからな・・・
俺も食い系スレの中では一番好きかも

105 :名無しさん@ピンキー:2009/11/29(日) 02:47:19 ID:jIe0bQu8
>>100
雰囲気(ふんいき)

106 :名無しさん@ピンキー:2009/11/29(日) 03:20:03 ID:/yRFSvE2
>>105
釣り針がでかすぎるぞw
折角いい流れなんだから汚すなw

107 :名無しさん@ピンキー:2009/11/29(日) 07:27:43 ID:S54Ubsx7
今日はメン・イン・ブラック2が放送されるね。

108 :名無しさん@ピンキー:2009/11/29(日) 13:02:12 ID:ZSaOKZ+6
>>102
内容的にココかどうか微妙だけど一寸法師的なシチュがいいわ
M性質とはちょっと違うし立場として逆だから書きにくいだろうし見る側は探すのに困るんだよね

他にも男だけど女視点で見てる俺なんてのもいるんだぜ

109 :名無しさん@ピンキー:2009/11/29(日) 21:33:25 ID:/cD96ZkF
>>107
MIB2よく知らなかったけど、開始早々おっきしたwww
おまえさんのおかげだ、ありがとう

110 :名無しさん@ピンキー:2009/11/29(日) 23:53:08 ID:6JaHhao2
脳に触手を入れるシーンだけ見れたんだけど
他にもいいシーンはありましたか?

111 :名無しさん@ピンキー:2009/11/30(月) 00:22:52 ID:jhjRiX9y
>>110
もし、しょっぱなの丸呑みシーンを見逃したんなら
レンタルビデオ屋に走るといいよ

112 :名無しさん@ピンキー:2009/11/30(月) 19:48:22 ID:RGS0tSsu
3次はちょっと…

113 :名無しさん@ピンキー:2009/11/30(月) 20:22:43 ID:Hx+35b/J
>>112
あらゆるモノを二次に変換してこそ変態紳士

114 :名無しさん@ピンキー:2009/12/01(火) 00:20:59 ID:fOe5ljqg
>>112
大事なのはきっかけだあとは応用にすぎない

115 :腐肉(P.N.):2009/12/01(火) 02:51:44 ID:3A0GTD/U
新学期が始まると、学校は文化祭ムード一色になった。特に3年生は部活も終わり、高校生活最後のイベントとあって張り切っているようだ。
千絵はと言うと、まだぼんやりと、あの少女の事を考えていた。
あれからニュースや新聞の隅々に目を凝らして見たが、あれ以降目立った手掛かりは見つかっていない。
だが何となくだが、千絵は、彼女がまだ東京近辺にいるような気がしていた。
かつて彼女の目の前で、大切な人を喰い彼女を犯し、貪欲な食欲を満たすためにさらに大勢の人間を呑み込んだあの怪物は、どんな味がするのだろう。
あいつを呑み込むのは、どんな感じなのだろう…。気付けば千絵は、そんな事を考えていた。
一方、目立たないが実はクラス委員という顔を持つ佳奈は、文化祭準備に追われ忙しそうにしていた。
最近、彼女に急接近してきた人物がいる。真面目なタイプの堀切英次は、もう一人のクラス委員で、クラス展の準備で佳奈とは毎日のように顔を突き合わせていた。
千絵にはすぐに、彼が佳奈に対し少なからぬ好意を抱いているのが分かった。
佳奈に接する態度、口調、佳奈が近くに居るときの表情、少し離れているときの視線、その全てがそれを物語っていた。
佳奈の方はどう思っているのだろう?
ある放課後、2人が重そうな段ボール箱を抱え、笑いながら並んで歩いているのを見た千絵は、突如感じたことの無い不安に襲われた。
あの男、喰ってやろうか…。そんな考えが浮かばなかったと言えば、嘘になる。
だが千絵は、そこまで佳奈を束縛したくなかった。だがら、佳奈に直接、さり気無く尋ねてみるなどという事もしなかった。
私は大人だからな!
それが余計に千絵を無気力にした。変わらないのは食欲だけだ。

文化祭まで一週間となったある日の授業中、突然教頭が教室にやって来た。
生え際の後退した額を落ち着きなく撫でながら、教頭は担任とクラス委員の佳奈や堀切らに指示を出すと、クラス全員を教室から連れ出した。
連れて来られたのは、生徒指導室前の廊下だった。そこには何人かの警官が立ち、ごった返す生徒たちを整理していた。
どうやら、他のクラスからも何人か呼び出されたようだ。人ごみを掻き分け、千絵はようやく佳奈と話をすることが出来た。
「何事?」
佳奈は青ざめた顔で千絵を見た。
「行方不明の人たちの事で…聴取、取り直すって…。」
その時、警官に肩を捕まれ、千絵は自分の列に戻された。佳奈の動揺した顔が、生徒たちの肩の向こうに消えた。
千絵も佳奈ほど動揺はしていないものの、気がかりではあった。
今になって、どうしたと言うのだろう。新しい証拠でも出たのだろうか?
千絵が頭を悩ませていると、見覚えのある顔が目の前を横切った。
「福沢さん。」
一瞬名前が出てこなかったが、千絵は福沢刑事がまだ近くに居るうちに、彼を呼び止めた。
「ああ、蓮杖さんか。」
福沢は振り向くと、挨拶をした。その顔は、どうやらここで千絵に声をかけられるのを予想していたようだった。
「何事です?」
千絵はそれとなく探りを入れてみる事にした。
「うん… 実は、また君に迷惑をかけてしまう事になりそうだ。」
福沢は顔を強張らせて小声で言った。その時、職員用玄関の方から黒服に身を固めた男たちが現れた。
数名の警官に先導されながら、生徒たちの間を縫って通ると、生徒指導室へ入っていった。
「どういう…どういう事です?あの人たち、警察の人じゃないんですか?」
「環境庁の連中です。」
福沢は、彼らが消えた生徒指導室の戸を渋い顔で見つめながらそう言うと、「他の子に言うなよ。」と付け加えた。
「私たち地元警察が事件を解決できないものだからと…。」
「事件?」
福沢は悲痛そうに千絵の顔を見つめた。
「例の…ホテルの事件。」
千絵は混乱した。疑問はたくさんある。
「何で…4ヶ月も経ってるんですよ?ていうか、何で環境庁なんですか?」
「連中は我々にも何も言わずに…。」
「蓮杖千絵さん。3年C組の蓮杖千絵さん、居ますか?」
生徒指導室から再び姿を現した黒服の一人が、廊下のざわめきの中に呼びかけた。
「…という訳だ。」
福沢は千絵に向かって肩をすくめた。
「はい、ここです…。」
千絵は手を上げると、前へ歩み出た。
「入ってください。」
黒服の男が、生徒指導室の戸を開けて中へ促した。
千絵はちらちらと男の顔を見ながら、言われるがままおずおずと入室した。後ろから福沢も付いて入った。


116 :腐肉(P.N.):2009/12/01(火) 02:52:58 ID:3A0GTD/U
教室の中は、いつもとまるで違っていた。
中央に長机が置かれ、黒服が3人、何かの面接のように座っており、その前にパイプ椅子がちょこんと1脚置かれていた。
「蓮杖千絵さんですね、かけてください。」
中央の黒服が言った。千絵は黙って腰掛ける。
「村雨です。」
黒服は簡潔に自己紹介した。
「どうも…。」
「福沢君とは、もうお知り合いですか?」
「ええ、以前にも…。」
「結構。」
村雨は千絵が言い終わらないうちにぴしゃりとそう言って、隣の男から分厚いファイルを受け取りぱらぱらとめくった。
「その後、お加減はどうですか?」
村雨はファイルに目を落としたまま唐突に尋ねた。
「体調は良いです。」
千絵は言葉にありったけの不審感を込めて返答した。
「どこか変わったところは?」
「いいえ。」
「結構。では、思い出していただきたい。」
村雨は顔を上げた。分厚い眼鏡のせいで分からなかったが、まだ若いようだ。
「事件の夜の事。君が、あー… 例の宿泊兼休憩施設で出くわした、出来事の事。」
「全部警察の人に話しました。4ヶ月前に…。」
「本当にそれで全部ですか。」
村雨の彼女を見る目つきに、千絵は胸騒ぎを覚えた。
「君は当時、覚えていないと答えていますが… まぁ、ショックというのもあるでしょう… だが今なら思い出せるかな?
最後に君の彼氏、末永雅人君を見たとき、彼に何が起こりましたか?」
「ちょっと、いい加減にしてください。」
福沢が口を挟んだ。
「彼女は事件の被害者なんです。まだ時間が…」
「時間をかければかけるほど、彼女が思い出せない内に脳の中で記憶は薄れていき、事件は広がって行くのですよ。」
村雨は福沢を遮った。
「ついでに、予め言っておきますが私は行方不明者は全員すでに死亡していると考えています。これからはそのつもりで話を進めますが、よろしいですか?」
千絵は身構えた。背後に福沢刑事の哀れみと同情のこもった視線を感じる。無言で座ったままの残りの黒服共が、余計に部屋の空気を悪くする。村雨は続けた。
「では別の切り口で。あの夜、君は何か変わったものを見ませんでしたか?例えば獣とか、人間でない何か。」
千絵は、巨大な胃の中に大量の氷水が注ぎ込まれたような感覚に襲われた。
この男は、怪物の存在を知っている…。


[続]

117 :名無しさん@ピンキー:2009/12/01(火) 03:47:04 ID:DyIT8ga+
わくわく

118 :名無しさん@ピンキー:2009/12/01(火) 08:14:17 ID:fOe5ljqg
続きキター!!(゚∀゚)
シリアスな展開に・・・

119 :腐肉(P.N.):2009/12/02(水) 23:49:36 ID:psKtlOeX
「何の話です?」
凍りつく千絵の後ろで、困惑した福沢刑事が再び声を上げた。
「君はあの事件が本当に、あー… 人間に犯行が可能だと思いますか?」
「熊か何かがラブホテルに侵入し客を襲って、何人かはその場で食い白骨を残し、残りの被害者を運び出して森へさらったとでも?」
普段冷静な福沢の言葉に、侮蔑と嘲りが籠もる。
「熊…とは私は言ってませんがね。」
村雨は小声で呟くと、再び千絵に目を向けた。
「例えば先月の半ば、東京で起きた市営団地住民全員失踪事件。それから同日隣りの県で起きた精神病院の患者及び職員皆殺し事件。これが人間の仕業かね!」
村雨が机の上のファイルをトンと叩いた。
「それと私と、どういう関係が…。」
言いかけた瞬間、千絵はしまった!と思った。
千絵は失言に気付き口をつぐんだ。心臓が早鐘のように響き、自らの思考の愚鈍さを呪った。
「関係?それは君が生き残った少女だからですよ、蓮杖さん。」
間髪入れずに村雨は返答する。
「が、学校の皆は?なぜ全員取調べを受けるんです?」
「あー…。」
村雨はちらりと福沢の顔を見て、やれやれというように溜息混じりに話を始めた。
「例の事件以降、この辺りで妙な行方不明事件が多発しているんですよ。何件かは君もご存知でしょう?
ああ、君のお父さんもそうです。予兆も無く、突然消える。中には小学生なんてのも居ます、それも複数ね。
消えた人々に関連も無い。だが最も初期に、最も集中していた場所が… どこだと思います?」
村雨は無表情のまま、左の人差し指をぴんと立てると、床を指差した。
「ここ、県立第一南高等学校なんです。びっくりしました?」
村雨の吊り上がった眉が千絵を威嚇している。
「例の宿泊兼休憩施設の事件で、この学校の前校長を含む3人が犠牲になった。
そして半月後、末永雅人と同じ部活だった菅原啓一、続いて虐めに遭っていた岡田旬が消えた。私はそこの福沢君と違って、一連の失踪事件が無関係とは思わない。
ですから、これからは”新しい目”を以って調査せねば。すなわち、地元警察が別個に調査していた一連の事件に関連性を見出す目でね。」
村雨は切れ長の目を見開いて見せた。
「だがその前に、気になることがある。蓮杖さん、生き残った少女、あなたの存在だ。あなたは菅原、岡田とも…同じクラスですね。」
千絵は背筋を強張らせた。
「待ってくれ、あんたまさかこの娘が何か…」
福沢が狼狽して呟いた。今度は制止された訳では無かったが、言葉は最後まで口に出されない内に部屋の中のどんよりと重い空気の中に消えてしまった。
今、福沢はどんな目で千絵を見ているだろう。
村雨捜査官の言葉によって、少女を信じる心に何らかの疑念を植え付けられただろうか、それともまだ彼女を哀れな被害者だと思っているだろうか。
千絵には分からなかった。
村雨は向き直ると、千絵に向かって微笑んで見せた。場を和ませようとする彼なりの努力だったのかも知れないが、千絵はその笑顔にぞっとした。
「蓮杖千絵さん、もう一度尋ねます。あなたは、4ヶ月前の事件について、本当にもう何も覚えていませんか?
そして一連の失踪事件に関して、何か知っていることはありませんか?」


120 :腐肉(P.N.):2009/12/02(水) 23:53:17 ID:psKtlOeX
蓮杖千絵への聴取が終わり、青ざめた顔の少女が部屋から出て行ってしまうと、村雨は「ふぅ」と大きく息を吐き出し、椅子の背もたれに寄りかかった。
「あなたの言う通り、美しい少女ですね。」
村雨はくっくっと不気味に笑う。
「それに強い。あれだけ揺さぶりをかけても、動揺したのは一度きり。私はそう思いましたが、どうでした?二度かな?」
村雨は隣の黒服にいたずらっぽく尋ねた。
「言ったでしょう、彼女は被害者ですと。残念でしたな、何も得るものが無くて。」
福沢が村雨を睨み付けて勝ち誇ったように言った。
「いえいえ、大きな収穫ですよ。」
村雨が笑った。福沢の表情が変わる。
「やはりあなた方は、我々の知らない事情をご存知のようですね。」
「この世にはあなた方の知らない事情がたくさんありますよ。」
「差し支えなければ、我々無知な地元警察にも開示願いたいですな… あんたら何を隠してる?」
福沢は村雨に詰め寄った。村雨は困ったように笑うと、少しして口を開いた。
「こう申しておきましょう。我々の敵は、我々が今まで知らなかった相手だ。あなた方警察はおろか、この世界さえも。
それがいつからこの世にいるのか、はたまたこの世のものなのか、それさえも我々は知らない。」
「あんた何を言って…。」
福沢の言葉は遮られた。
「そして私は、先の少女が十中八九、何か知っていると思います。我々の知らない事情をね。」
福沢は顔を強張らせた。目の前にいるいかにもエリートタイプのこの男が、自分をからかっているのだろうかと考えて。
「福沢刑事、次の生徒を呼んでもらえますか?」
村雨はそう言いながら眼鏡を押し上げると、隣の黒服に向かって呟いた。
「蓮杖千絵… 予想以上だ。もしかすると、彼女自身が…。」
福沢は黙って戸を開け、廊下に並んだ不安げな子供たちの顔を見渡した。蓮杖千絵の姿はもうそこには無かった。
福沢は今や、足場の悪い建設現場に一人取り残されたような気分だった。つい先月までは、厄介だがまだ「人知の範囲内」の事件の担当として、
いつも通りの内容の職務をこなしていた。厄介ではあったが。
それが黒服共の突然の登場によって、一変だ。彼は警察内での立場などは気にもしなかったが、それどころか事件は、彼のこれまで
生きて来た中で培われてきた価値観や信念そのものを揺るがすような方向へ進んでいるような気がする。
無論、あの理屈っぽい眼鏡の言う事を鵜呑みにするつもりはないが、事態が尋常ではない事は確かなようだ。おまけに彼は蚊帳の外。
こういう時、ただ見守る事しか出来ないのが福沢は何よりも嫌だった。
彼を警官にしたその正義感は、一人の少女が苦むのを見過ごすなどという事は許さなかった。
黒服共は信用できない。ならもう一度、私に出来る範囲で、一から事件を洗いなおしてみよう。
蓮杖千絵が何か知っていようといまいと、彼女の助けになるには、それしかない。
彼はそう決意した。


[続]


121 :名無しさん@ピンキー:2009/12/03(木) 00:24:15 ID:I/jt39AR
福沢刑事優しいなぁ。
フラグビンビンだけどw
しかし話が面白い。
エロパロとかそういうヤマしいこと関係なしに、
純粋に小説読むの楽しんでいる俺がいる。

122 :名無しさん@ピンキー:2009/12/03(木) 01:15:36 ID:sz2g+ZUj
こうなってくるとやっぱり漫画化、映像化に期待だな。

123 :名無しさん@ピンキー:2009/12/03(木) 07:15:45 ID:3yZo89Ab
>>122
その前に書籍化が抜けてるぜ


124 :名無しさん@ピンキー:2009/12/03(木) 20:28:50 ID:3SDFwWwx
てか前から思ってたんだけど腐肉さんて物書きの仕事してたりするのかなぁ?
誤字もたまにしかないし文章が普通のSS職人っぽくない

125 :名無しさん@ピンキー:2009/12/03(木) 21:36:19 ID:3yZo89Ab
文章も面白いし誤字も少ないってことは
最強だな!!

126 :名無しさん@ピンキー:2009/12/03(木) 23:10:21 ID:f7FEb7ap
腐肉氏はIMEは何を使ってるんだろう?ATOKかな?

ところで、これ↓見て試してみたけどMS-IMEよりは断然良いね。

「Google 日本語入力」はATOKやMS-IMEを超えることはできるのか、実際に使って実用に耐えるかどうか試してみた
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20091203_google_japanese_input/

127 :腐肉(P.N.):2009/12/04(金) 05:17:53 ID:Icf4nKa4
千絵は指導室を出た後、まだ何事か把握できないまま困惑した表情で待つ生徒たちの好奇の目(もう慣れっこだ)をすり抜けると、まっすぐ教室へ戻った。
佳奈に声をかけようかと思ったが、隣に堀切英次が居るのに気づくと、黙って横を通り抜けた。
不安げな顔の佳奈を無視するのは心苦しかったが、今はそれよりも胸の中のもやもやした不安と緊張の残骸を表に出すまいと必死だった。
その日の授業は丸々潰れ、3年の担任たちは「受験生の大切な時期に生徒たちの時間を奪うな」と新任校長に抗議した。
千絵が佳奈と話したのは、放課後になってからだった。開口一番はいつものように、「大丈夫?」だった。
千絵はいかに大丈夫じゃなかったかを説明した。青ざめた佳奈は、いくつか質問して補足を促した後、黙りこくってうつむいてしまった。
「それより、いいの?文化祭準備。」
千絵は平静を装って尋ねた。急に、この不安が自分の正体がばれそうだという危機感から来るものなのか、佳奈が自分のもとを去って
しまうのではないかという心配から来るものだったか分からなくなった。
「いいの、家の都合って言ってあるから…。」
それを聞いて、千絵は少し安心した。少なくとも今日これからは一緒に居られる。だがすぐに別の不安が首をもたげた。
何を考えているんだ、私は。
以前なら自分の正体に関してこんなに動揺することは無かった。獣が自己防衛に移るのは、もっと目前に危機が迫ってからだからだ。
それなのに、今はあの黒服の男の事を考えただけで胃が縮み上がる。
「身体検査とかされたらどうしよう…。」
佳奈が唐突に言った。

「レントゲン、どんな風に写るのかな…。」
「多分、胸に歯が付いてるだろうね。」
千絵が言う。
「その村雨って人、殺しちゃえば?」
「意味無いよ、あいつはただの手先だもん。あいつが消えたところで、環境庁から別の役人が来るだけだと思う。
それに、このタイミングであいつが死ねば私への疑惑が強まるだけだ…。」
2人は下校途中、何度も対策を考えては堂々巡りを繰り返した。少女たちに出来る事は、ただ嵐が過ぎ去るのを待つのみだった。初めからその解答は出ていたのだ。
そしてこの見慣れた道を2人で帰る事が、この先そう何度も無いであろう事も、少女たちは薄々気づいていたのかも知れない。


それから数日、福沢や村雨からの接触は無く、気配を感じる事も無かったのだが、千絵は大人しく過ごした。
無論、人は食べていない。夜になるとどうしても食欲が抑え切れず、閉店間際のスーパーに出かけては大量の生肉を買い込んできて飢えを凌いだ。
精神的な落ち着きを少し取り戻すと、またしてもあの少女の事を考えるようになっていた。今頃どこにいるのだろう。人知れず、また誰かを喰っているのだろうか。
そう考えただけで、千絵の中で獣が疼いた。
学校では環境庁による集団聴取の日以降、聴取された生徒は他の生徒たちから質問攻めにされ、武勇伝のようにその時の様子を語って聞かせていた。
学校中で4ヶ月前の事件の噂が再燃した。未知の生物説を初め、伝染病説などが取り沙汰されたが、どれも現実味は無く子供たちが面白おかしく
話をする話題というだけのものだった。
誰一人そんなもの信じては居なかったが、この茶番を楽しまない手は無いとばかりに、千絵のクラスでも毎日その話題で持ちきりだった。
デリカシーの無い生徒たちは千絵の周りにも取り巻いてあれこれと尋ねたり、自分なりの推理を披露したりで、千絵が特に拒まなかったせいもあり、
いつの間にか休み時間になると千絵の机の周りに人が集まるようになっていた。


128 :腐肉(P.N.):2009/12/04(金) 05:24:26 ID:Icf4nKa4
佳奈は少し離れた自分の席から、ちらちらと心配そうに千絵の様子を伺っていた。たまに堀切英次がやって来ると、笑顔でなにやら話し込んでいるようだった。
その光景を目にする度に、千絵は心が痛んだ。最近、千絵と二人で居るときの佳奈はいつも不安げで、あまり笑わない。
「ねぇ、蓮杖さんは進路どうするの?」
不意に、それまで数えるほどしか話した事の無い女子生徒が千絵に話しかけた。千絵の周りに固まった連中の話題は、いつしか事件とは全く関係ないものに変わっていたようだ。
「えっ?」
話の流れを聞いていなかった千絵が戸惑っていると、別の生徒が尋ねた。
「大学、どこ受けるとかもう決めてる?」
「わ、私は…。」
千絵は口をつぐんだ。これまで、佳奈も周りの皆もそうしているから、何となく受験勉強の真似事をしてはいたが、考えてみれば進学など可能だろうか?
彼女にはもう両親が居ない。今は小山内家の世話になっているし、父の口座から下ろした家族の「遺産」も生活に困らない程度は残っているが、
大学の学費にはとうてい及ばない。かと言って、就職、だろうか…。
「分からない…。」
千絵は思った通りを素直に口に出した。
「ええ、嘘!?」
「千絵、成績優秀なのに。」
「陸部も、途中で辞めなきゃ私大とか専門ならスポーツ推薦取れたかも知れないのにな。」
周囲の生徒たちが口々に言う。将来の事を思うと不安に押し潰されそうになる。自分が何をしたいのか、千絵には分からなかった。
「千絵、ちょっと良いかな。」
その声に振り向くと、佳奈が神妙な面持ちで立っていた。
「どうしたの?」
「来て。」
佳奈は千絵の手を引くと、すたすたと教室を出た。
普段生徒の来ない、屋上へ通じる階段の踊り場まで来ると、佳奈はくるりと千絵に向き直って言った。
「もう少し目立たないようにした方がいいよ。」
「目立ってる?」
「目立ってる。」
佳奈はぴしゃりと言った。
「私だって、好きで目立ってるんじゃない。」
「そう?」
棘のある言い方だ。
「佳奈、言いたいことがあるなら…。」
「千絵は疑われてるんだよ、あの人たちに!」
佳奈はふいに大声で言った。
「わかってるよ…。」
「大人しくやり過ごすしか無いって決めたのに、クラスで目立って…。」
「好きで目立ってるんじゃないってば。」
「私は心配してるだけだよ…。」
千絵は段々腹が立ってきた。
「私だって怖いよ、なのに一番傍に居て欲しいときに佳奈は…」
「私のせい!?」
佳奈は涙を溜めた目で千絵を睨みつけた。それを見た瞬間、千絵は自分の愚かしさを反省した。この数日の佳奈に対する感情は、全て自分のわがままではないか。
甘えるなよ、獣のくせに…。
千絵が謝る言葉を探していると、始業のチャイムが鳴った。
「あのさっ…」
だが千絵がそう言いかけた時には、佳奈はすでに千絵に背を向け、教室へ戻るために階段を降りて行くところだった。千絵は言葉を続けられず、とぼとぼと数歩後ろに付いて教室まで戻った。

-----------------------------------------------------------------

完全に機を逃してしまった。千絵は、あの時無理にでも引き止めて謝ってしまえば良かったと後悔した。
休み時間になると佳奈は机にうつ伏したままで、眠っているのか泣いているのかも分からず近寄りがたい。堀切でさえ、その日はもう佳奈に近づかなかった。
放課後になると、佳奈はすぐに生徒会室へ行ってしまい、一人ぼっちで取り残された千絵は野球部の男子たちに引っ張られて、校門に立てる文化祭用のアーチを体育倉庫から出す力仕事を手伝わされた。
それが終わると千絵は学校をうろついて佳奈の姿を探したが、文化祭まで後2日とあって庶務に追われてあちこち駆け回っているらしく、中々見つからなかった。
家に帰れば話す機会はあるからと、千絵は諦めて先に帰宅した。
佳奈の部屋で1人、千絵は空腹紛れにベッドに蹲った。毛布や枕から佳奈の匂いがする。
千絵は毛布にぎゅっと顔を埋めると、夕食まで眠る事にした。


[続]

129 :腐肉(P.N.):2009/12/04(金) 05:25:57 ID:Icf4nKa4
>>124 ものかき… なれたら良いんですけどね…でも職業になったらきっとここにこうやって書くの程楽しく無いのだろうな、とも思います。
>>126 普通の、MS-IMEを使っていますよ。

130 :名無しさん@ピンキー:2009/12/04(金) 07:32:39 ID:oDn1zPyB
うまく仲直りできると良いな・・・

131 :名無しさん@ピンキー:2009/12/04(金) 14:48:46 ID:HqvmGfWH
アニメ「SAMURAI DEEPER KYO」第22話「機械仕掛けのドールズ」(DVD巻之八)で
ヒロインが歳世という敵の女に取り込まれるシーンがあった。
相手の体にズブズブとはまっていく感じ。
↓この動画の最初の方にある。
ttp://www.youtube.com/watch?v=sTQoS3hqj2s&NR=1
歳世、体内から攻撃されて殺されてたけど。

流れぶった切ってスマソ。

132 :名無しさん@ピンキー:2009/12/04(金) 20:26:55 ID:D+WQkB8P
原作もアニメも難ありきなあのGENNKAI TOPPA作品か
懐かしい

133 :名無しさん@ピンキー:2009/12/04(金) 22:06:12 ID:oDn1zPyB
>>131
あの光り輝く境界部分には
肉々しいわれらのアヴァロンがきっとあるのだ

134 :名無しさん@ピンキー:2009/12/04(金) 22:27:41 ID:4EiBDHye
狂の漫画は人食い女性が多かったから妄想材料としては中々
直接食ってる描写がほとんど無かったのが残念だった

135 :名無し@ピンキー:2009/12/05(土) 05:32:52 ID:gY1VWpqD
しばらく見ない間に続きが…しかも千絵が乙女だー!!!

136 :名無しさん@ピンキー:2009/12/05(土) 10:55:23 ID:dzu+RnqA
良スレを発見したww
マニアックな割に勢いあるな

137 :名無し@ピンキー:2009/12/05(土) 15:44:03 ID:QeLAKH3y
腐肉氏のおかげだな。俺も正直2スレ目行くと思ってなかった。
最近捕食展開から離れてるがこれはこれでハラハラさせられて良い。

138 :名無しさん@ピンキー:2009/12/05(土) 16:53:40 ID:JnulAqj6
前スレで絵を提供してくれてた方々も忘れちゃならないな
ラミア絵描いた人とかのおかげで多少なりとも加速したし
腐肉氏の小説が一段落したらまた絵張ってくれるらしいし期待

139 :名無しさん@ピンキー:2009/12/05(土) 22:00:29 ID:v5RSZYpl
毎回楽しみで
すぐに足を運びたくなるんだ

140 :名無しさん@ピンキー:2009/12/06(日) 01:36:55 ID:enHxkNoX
パワプロクンポケット12に食べる所はあったよ
色々と違う気もするが

141 :名無しさん@ピンキー:2009/12/06(日) 03:18:53 ID:8MwNv+sp
女の子の方を食べるってことか。
嫌いじゃないけどスレ違いだな。

142 :腐肉(P.N.):2009/12/06(日) 06:18:16 ID:Ae17CU8W
千絵が目覚めた時、隣りで佳奈が眠っていた。
しまった、どれくらい眠っていたんだろう?
時計を見ると、9時半を回ったところだった。疲れて帰ってきて、眠ってしまったのだろう。
夕食、食べたのだろうか?
千絵は佳奈の顔を覗き込んだ。だが、閉じた目の下に涙の流れた跡があるのに気付き、どうしても起こせなくなってしまった。
仕方なく千絵が1人で階下へ降りて行くと、佳奈の母が居間から顔を出した。
「あら、起きたの?」
「はい、すみません、眠っちゃって…。」
千絵が照れて笑うと、佳奈の母が台所へ連れて行ってくれた。
「ご飯、取ってあるから。起こそうとしたんだけど、佳奈がね、千絵ちゃん今日運動部の手伝いで重い荷物運んで疲れてるだろうって言うから、
起きるまで待ってたの。佳奈ももう寝ちゃったかしら?」
「そうみたいです…。」
佳奈の母がラップに包まれた皿を電子レンジで温めている間、千絵は涙が出そうになるのを必死で堪えた。佳奈は、どこから見ていたのだろうか。
どんな気持ちで、千絵を見ていたのだろうか。
食事が終わると、千絵は部屋に戻り、眠ったままの佳奈をぎゅっと抱きしめた。折れてしまいそうな小さな身体で、佳奈は今どんな夢を見ているのだろう。
そう言えば事件以来、夢を見たという記憶が無い事に、千絵はその時初めて気づいた。
千絵の中に残った僅かな感情が、それはとても寂しい事なのだと告げていた。

-----------------------------------------------------------------------

「あのさっ、佳奈…。」
登校途中に、千絵は勇気を振り絞って声をかけた。獲物に忍び寄る獣でも、これほど緊張はしないだろうという程、千絵は緊張していた。
少し前を歩いていた佳奈は、立ち止まって振り向いた。
「佳奈、ごめんね。私…。」
そう言い切らないうちに、佳奈はぴんと立てた人差し指を千絵の唇に押し付けた。
「もういいんだよ。」
佳奈は微笑んだ。
「私は、千絵の傍に居る。何があっても。この先どうなっても、それは変わらないから。ごめんね、くだらないことで苛々して。」
千絵は涙が出そうになるのを堪えた。
「ほーら、もう泣かないの。」
「泣いて…ない。」
佳奈は自分より一回り背の高い千絵の頭をそっと撫でた。千絵は鼻水を啜り上げながら「ありがとう」と呟いた。
「行こ、遅刻するよ。」
「ん…。」
千絵は佳奈に見つからないように、ぽろりと一筋だけ流れた涙をそっと手で拭った。それが2人の間を通う、共犯以上の絆の証だった。

143 :腐肉(P.N.):2009/12/06(日) 06:20:29 ID:Ae17CU8W
----------------------------------------------------------------------
その日は午前で授業は終わり、午後からは翌日開催される文化祭の準備に当てられる予定だった。
生徒たちは昼が近づくにつれそわそわし出し、授業中にも拘らず心ここにあらずといった風にぼうっと遠くを見るような目で空を見つめていた。
千絵もその1人だったが、理由は違った。彼女は今後の身の振り方について、少しばかり考えを巡らせていた。
実は昨日まで、街を出ることも考えていたのだ。佳奈と喧嘩してしまった以上、小山内家に留まる理由も無いと、その場の自棄で考えてしまった。
今や状況が変わったわけだが、佳奈との仲直りは千絵にとって負の側面も持っていると気付いたのだ。
なぜなら、千絵が街を出ると言ったら、佳奈は確実に一緒に来るからだ。これ以上佳奈に迷惑はかけたくなかった。佳奈は普通の人間だ。
人間は人間として一生を送るべきだ。怪物は怪物として。自然界の摂理だ。
それにもしもの事が起こった時、佳奈は千絵と違って自分の身を護れない。夏休みの出来事が教訓だ。
もしまたそうなったら、あの時のように千絵が彼女を救うことが出来る保障など無いのだ。
「もしもの事」…。
何だ、もしもの事って?
警察に追われるとか?もしくは環境庁の連中か?
いや、違う。
千絵が考えていたのは、「もしも、“お母さん”と出くわした場合」だ。
千絵は怪物少女の色素の薄い冷たい目と、鋭い牙を思い出し、ぶるっと身震いした。
その時、誰かが彼女の名前を呼んだ。
千絵がはっとして顔を上げると、担任の白石が教室の戸口に立って手招きしていた。
気付けば授業はもう終わって昼休みになっており、教室はざわざわと騒がしかった。
千絵が一緒に弁当を食べようと机を寄せ合う生徒たちの間を縫って戸口までたどり着くと、白石は不安げな目を彼女に向けた。
「こないだの警察の人がまた来ててね、話したいって言うんだけど…。」
警察?環境庁では無いのか?
千絵はふと疑問に思った。
「蓮杖さんが話したく無いって言えば、帰ってもらうことも出来るのよ?」
「あ、いえ… 大丈夫です。話せます。」
白石の目が不安から哀れみモードへ切り替わった。大方、辛いのに気丈に振舞う健気な少女とでも思っているのだろう。
千絵は白石について階段を降りると、購買に群がる生徒たちを通り過ぎ、しんと静まり返った1階廊下までやって来た。
そこには「応接室」がある。他の教室から離れていて、千絵を含め多くの生徒たちは卒業するまで縁の無さそうな場所だ。
白石は2度ノックしてドアを開けた。千絵が入室すると背後でドアが閉まり、廊下を足音が遠ざかっていった。千絵は、応接室に2人きりになった。
待っていたのは福沢刑事だった。
千絵は大して驚きはしなかった。ただ、少し残念ではあった。千絵は彼に対して「人間的」な意味で好意を抱いていたからだ。
彼が今日わざわざここまで来たという事は、今日でお別れという事になるかも知れないと千絵は思った。


[続]

144 :名無しさん@ピンキー:2009/12/06(日) 16:20:14 ID:tG+7ZIoN
うまく仲直りできてほんによかった
また、別れの予感が・・
GJ!!

145 :腐肉(P.N.):2009/12/07(月) 05:18:28 ID:bgb+4O+6
「座って。」
福沢は会議テーブルを指して重々しげに言った。千絵は言われるがままふかふかした椅子に腰を下ろす。
蓮杖千絵と対面して、福沢刑事はまだ迷いを捨てきれずに居た。
彼女に、自分の調べた事実を伝えるつもりで、覚悟をしてここへ来たはずだった。
だが彼女に何と言って尋ねれば良い?もし自分の勘違いだったら?彼は深く息を吸って目の前に座る可憐な少女に向き合い、口を開いた。
「正直に話して欲しい。」
福沢刑事は慎重に言葉を選び言った。
だがやはり動揺しているのか、あるいは千絵に親近感を持たせる作戦か、いつもの丁寧な口調ではなくなっていた。
「君は何か知っているね。」
「何か、というのは?」
千絵は落ち着き払って尋ね返した。
「ホテルの事件に関して。行方不明の同級生に関して。それから、君がアルバイトで配達担当をしていた地区の不明者について。」
そこまで調べたのか、と千絵は感心した。
「調べさせてもらった。」
千絵の心の声が聞こえたように、福沢はそう付け加えた。
「それから、もしかしたら先月の精神病棟の一件に関しても。」
千絵は少し驚いた。当推量で言っているのだろうか?緻密に計画を立てたつもりだし、証拠になるようなものは残していないはずだ。
「出来れば、このような結果になって欲しくなかった。」
福沢は本心からそう言った。心の中では、まだ彼女が無関係であって欲しいと望んでいる。
「だが調べれば調べるほど、全ての事件と君に何らかの接点が見えてくる。」
「常舞病院の事件も、というのは?」
千絵は好奇心から尋ねた。
「病院の名前を知っているんだね…。」
福沢刑事が残念そうに呟いた。いや、だがあれ程報道されていたのだし、日本中の話題になった。
近くだし、病院の名前をいちいち覚えている女子高生が居ても不思議は無い。
福沢の脳は瞬時にそんな事を考えた。
「一見関連性の無かった、一人暮らしの老人や青年が消えた事件やなんかでも、もう一度調べてみたら多くの場合、
生存が確認できる最後の消息は書留郵便の受け取りサインだった。
問い合わせれば、誰が担当だったかすぐに分かる。証拠は何も無い。どの事件も。
村雨という男がああ言ったが、あくまで行方不明事件で被害者すら見つかっていないんだ。
病院の事件に関しても、目撃証言も、有力な証拠は何一つ。
だが、もしも君が関係しているという前提で調べるなら、バスの運転手にこう聞けばいい。
『あの日、高校生くらいの女の子が乗らなかったか』と。精神病棟行きのバスなんて、君
くらいの年の女の子が普段そんなに利用するものじゃない。」
「そう…ですか。」
あまりに完璧な推理に千絵はそれしか言えず、居心地の悪さを紛らわせようと脚を組んだ。
やはり佳奈の考えた変装がまずかったか。だから私は、夏にあんな格好じゃあ余計に目立つって言ったのに。
それはさておき、福沢刑事は自身の推理を披露して、これからどう運ぶつもりだろう?
千絵は何も言わずに福沢の出方を見守る事にした。
「何も私は、君が犯人などと荒唐無稽な事を言うつもりは無いよ。」
福沢は力無げに笑った。
やはり、そうなるか、と千絵は思った。福沢はまだこれが「行方不明事件」だと思っている。
総勢100人を超える人間を、「普通の」女子高生である私が短時間でどこかへ連れ去るなりして消すことは、普通に考えれば不可能だと
結論付けるだろう。だがこのまま白を切り通せるとも思えない。
「…犯人に、喋るなと脅されているのかな?」
千絵が黙っているので、福沢はそんな事を尋ねた。
「ここは安全だよ。先生方にもしばらくこちらには来ないようにと言ってあります。」
相変わらず千絵はだんまりを決め込んだまま、長い脚を組みなおして会議テーブルの木目をぼんやりと眺めた。


146 :腐肉(P.N.):2009/12/07(月) 05:19:46 ID:bgb+4O+6
「…お友達と一緒の方が、話しやすいですか?」
福沢のその言葉に、千絵は顔を上げる。
「友達?」
「小山内佳奈さん。」
千絵はどきりとして身体を強張らせた。なぜ佳奈の名前が出てくる?それは、私たちが友達で私が今小山内家に厄介になっているのは周知だが、
少なくとも事件に関して今まで佳奈の名前が出たことなど…。
「なんで…佳奈が…?」
千絵は呟くように尋ねた。
「さっき言ったように、私がバスの運転手を訪ねた時、彼は『2人いた』と答えました。あの日ちょうど小山内家の面々は家を留守にしていた事も、調べれば…。」
その続きはもう耳に入らなかった。福沢刑事は危険だ。私だけでなく、佳奈の存在にも気付いた。放っておくわけにはいかない。
福沢刑事の目の前で、蓮杖千絵は椅子から勢い良く立ち上がった。来客用の重そうな椅子が絨毯に覆われた床に倒れるまでの一瞬のうちに、少女の制服の前が開き、
真っ白く柔らかそうな肌が顕わになったかと思うと、その真ん中に亀裂が走った。
ブラジャーが乳房の間でプツリと切れたかと思うと、蓮杖千絵の可愛らしい口元から腹の辺りまでが一気に裂けて、巨大な口が現れた。
「何だこれは…!!」
その間抜けな一言が、福沢刑事の最期の言葉となった。
一瞬の出来事だった。巨大な口は福沢に頭からかぶりつき、彼の身体は少女の腹の中に消えた。
「千絵!?」
その時、応接室の扉が勢い良く開いた。千絵が振り向くと、息を切らした佳奈が戸口に立っていた。
「千絵、だいじょ…。」
千絵の肌蹴たブラウスと膨れた腹が目に入ると、佳奈はそこまで言って言葉を切った。
「警察の人、食べたの?」
「うん。」
千絵は軽くげっぷして答えた。
「慌ててたから…あーあ。」
絨毯の上に落ちた薄橙色のブラジャーを拾い上げると、カップの真ん中で切断され2つになっていた。
「午後はノーブラかなぁ。」
その時、どこか遠くの方で、重い金属が落ちるような鈍い音が響いた。
千絵は違和感を感じてふと見下ろすと、大きく歪に膨れた腹にコインより一回り小さいくらいの穴が空き、血が流れ出していた。
「あれ…?」
そう言って、黒っぽい血に指で触れた瞬間、千絵はめまいを感じてその場に倒れた。
「千絵!!」
悲鳴を上げて駆け寄る佳奈の脚が見えた。
警察って、本当に銃持ってるんだ…。
一瞬そんな事を考えたが、腹の中でまた福沢が震えるように身動きするのを感じると、千絵は腹筋に力を入れた。
腹の中で福沢の骨が砕け、握りしめた金属の武器が拉げるのが分かった。
次の瞬間、傷口から水鉄砲が発射されたように、血がビュっと噴出して絨毯を湿らせた。


[続]

147 :名無しさん@ピンキー:2009/12/07(月) 20:54:12 ID:GLGUWjQL
福沢さぁああああん…

148 :名無しさん@ピンキー:2009/12/07(月) 21:29:57 ID:YPLt/Etp
千絵ちゃんに食われたい

149 :名無しさん@ピンキー:2009/12/07(月) 23:16:40 ID:Fxg6C0ia
福沢さんがついに・・・

150 :名無しさん@ピンキー:2009/12/08(火) 03:15:40 ID:xj9btg3k
千絵ちゃんのげっぷを嗅ぎたい

151 :名無しさん@ピンキー:2009/12/08(火) 15:36:01 ID:UtnQuKeT
http://www34.atwiki.jp/huguri/
フェチ板の某スレのまとめwikiなんですけど、
女が人食う作品の情報も少し載っています。
イエロードラゴンがあらわれた!の第2話はトラックを丸呑みにすると
書かれていますが、そのトラックに人間乗っています。

152 :名無しさん@ピンキー:2009/12/08(火) 18:24:34 ID:fvTY3OPf
つか、ここもいい加減保管庫作るべきかね

153 :名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 00:17:14 ID:+7bbZsTu
前の専ロはもう機能してないんかね?
最近めっきり更新してないみたいだけど
http://girlfriend.is-a-chef.org/

154 :名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 00:23:10 ID:8J/zNpfe
線路に完成したSSとか保管しようよ
腐肉さんの完結したら保存しようよ
ピクシブに上げてた千絵、佳奈絵も本人の許可とれるなら保存しようよ

155 :名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 00:54:41 ID:9BbvVPpB
俺は千絵タンの胃袋に保存されたいです

156 :名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 08:44:29 ID:1Z3Osza7
すぐに消化されるよ

157 :名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 22:14:27 ID:+7bbZsTu
>>156
うまいww

158 :名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 00:43:05 ID:K8zRT8Tw
>>155
無茶しやがって・・・

159 :名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 05:38:25 ID:URayF09A
>>156
それでも構わん!

160 :名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 05:44:43 ID:pp8ddQHQ
消化されるのもいいがずっと保存されるのもいいな
ヤンデレみたいに

161 :名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 07:52:57 ID:h/aLH8E7
>>160
おや?
新ジャンルじゃないか?
そのシチュは好きかも

162 :名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 17:49:05 ID:TxfpBkRa
>>161
キョウコの人のはあれ違うのか?

163 :名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 19:35:42 ID:LtMXxsC5
ずっと保存されたい派って異端か?
俺がそうなんだが

164 :名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 19:42:52 ID:PEP7+EG/
キョウコは保存してなかったっけ?

165 :名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 22:15:56 ID:h/aLH8E7
>>162,164
確かにされてたな
嗚呼、保存されたい

>>163
キミとはうまい酒が飲めそうだ

166 :腐肉(P.N.):2009/12/10(木) 23:03:13 ID:EWocQ0dp
「佳奈、ドア…。」
千絵の絞るような声を聞くと、佳奈は慌てて応接室のドアを閉め、再び千絵に駆け寄った。
「千絵、待ってて。」
そう言うと、佳奈は垂れてくる髪を指でかき上げ、徐に傷口に唇を当てた。
「佳奈、何…してんの…?」
千絵が喘ぎながら言う。
「前に千絵がやってくれたみたいに、する。」
馬鹿だなあ、佳奈がそんな事をしても… そう言いかけたが、千絵は何も言わなかった。口の周りを真っ赤にしながら懸命に傷口を舐める佳奈を見たら、何も言えなくなった。
その様子は妙に艶かしく、淫靡だった。気付くと千絵は自分の舌で傷口を舐めていた。時折佳奈の舌と触れ合う度に、千絵は喜びと血の味を感じた。
やがて血は止まった。しかし傷はまだ生々しく口を開けて疼いている。
「痛い…?」
「ちょこっとだけ…。」
千絵は笑って見せたが、その無理な作り笑顔が余計に佳奈を心配させた。
念のためしばらく保健室で休ませて貰おうと、佳奈に付き添われて千絵はよたよたと歩いて行った。
本当はもうそこまで痛くなかったが、膨れた腹を見られないように前屈みになって歩いた。さながら逮捕された容疑者だ。
保健室へ行ってみると、保健教諭の柿原は不在だった。あれこれ聞かれるよりは都合が良い。佳奈はガーゼと包帯を失敬して来て、千絵の腹に丁寧に巻きつけた。
「応接室、片付けてくる。絨毯もともと赤だから、そんなに目立たないと思う。」
「ありがとう…。」
千絵はベッドに横たわり弱弱しく礼を言った。
「もし先生に刑事はどうしたか聞かれたら、『帰った』って…。」
「『知らない』の方が良いんじゃないかな、また今度みたいな事になった時のために。」
「そうだね…。」
千絵はそう答えたが、一抹の不安が心に残った。福沢がここへ来ることを、他の警察の人間は知っているだろう。
もしかしたら福沢が単独で動いていたのかも知れないが、いずれにせよ彼が千絵に会った直後に消えたことはすぐにばれる。
そうなれば、村雨だけでなく他の人間も千絵を怪しむだろう。もう誤魔化しきれない。
その時は…。
「午後の準備も、無理しなくて良いからね。」
佳奈はベッド脇から千絵の顔を覗き込んだ。
「大丈夫。佳奈は、行って。」
佳奈はこのまま彼女を1人で残して行きたくなかったが、しばし考えあぐねた挙句、渋々頷いた。
「じゃあ…また後でね。」
そう言って佳奈は、千絵の頬にチュっと口付けた。千絵はぽっと顔が赤くなるのを感じた。腹の傷が疼いた。
「クラス展の準備に区切りが付いたら、出来るだけ早く戻るからね。」
佳奈は可愛らしく微笑むと、頬を少し桃色に染めながら保健室を出て行った。
キスされた…。
1人になった保健室で、天上を見つめながら千絵はしばらくぼうっとしていた。
佳奈の唇の感触、こめかみに当たる温かく甘い香りの吐息、髪の毛が当たってちょっとくすぐったい感じを思い出しながら。
千絵は込上げてきたよだれをじゅるりと飲み込むと、煩悩を追い払おうと目を瞑った。そのまま意識が遠のいていき、千絵は眠りに落ちた。

167 :腐肉(P.N.):2009/12/10(木) 23:09:13 ID:EWocQ0dp
「千絵、起きて。」
重い瞼をゆっくりと上げると、目の前に佳奈の顔があった。
「ん…」
どのくらい時間が経ったのか、辺りは少し薄暗くなり始めており、保健室の電気は佳奈が出て行ったとき同様消えたままだったので、千絵は周りの状況を見ようと
少し身体を起こそうとして、無意識に声を漏らした。見ると、佳奈はつい今までどこかの展示の手伝いをしていたらしく、腰からガムテープやらカッターナイフ
やらが顔を出したポーチを下げている。佳奈の後ろには唯香や恵や、クラスの女子が他にも何人か立っていた。
「何時…」
千絵はまだぼんやりとしたままの頭で思考するのに必要な情報を得ようと尋ねた。
「4時過ぎだよ。これから合唱練習。」
「具合どう?」
佳奈の肩越しに恵が尋ねた。
「起きれそうだったら、合唱練習だけでも来れるかな、と思って。」
千絵は皆に見えないように布団の下で手を延ばし、腹の傷の辺りを恐る恐る触ってみた。傷はもう大分良くなっているようだった。
「無理しなくて良いからね?」
佳奈は横目でちらりとクラスメイトたちの様子を伺いながら言った。
「んにゃ、大丈夫…。」
そう言って千絵は起き上がろうとした。
「あぁ、待って!」
佳奈が慌てて制止する。千絵は、どうしたのだろう?というように佳奈の顔を見上げ、次の瞬間、ブラウスの腹部に血がついている事を思い出した。
「ああ!え、えっと… あ、汗かいちゃったな。悪いけど、ジャージ取ってきてもらっても良いかな…。」
千絵は慌てて布団を肩の所まで引っ張り上げながら、咄嗟にそう言った。
「私行って来る!皆は先に体育館に行ってて。」
そう言って佳奈は保健室を飛び出して行った。他のクラスメイトたちも見舞いの言葉を口にしつつ、ぞろぞろと保健室を出て行き、千絵は再び1人になった。
クラスの人からこんなに心配されたのは初めてだ。普通の友達。思えば、今が一番普通の高校生らしい時を過ごしているのかも知れない。さて、羊の皮を被った
狼は、果たして羊たちの群れをいつまで欺き続ける事が出来るのか…。そんな事を考えているうちに、佳奈が体操着を持って戻ってきた。千絵はベッドから起き
上がると、佳奈の目の前でブラウスを脱ぎ捨てた。
「んん…。」
佳奈が恥ずかしそうに目を背けた。
「ん?」
そう言えばブラジャーをしていなかった。
「な、何よ今更…!」
正直千絵も少し恥ずかしかったが、ここで胸を隠したりしたら何か負けな気がして、強がった。その時、ふと眩暈を感じ千絵はふらりとベッドに腰をついた。
「大丈夫…?」
「ん…ちょっとふらっと…。」
「着せたげる。」
佳奈はそう言うとジャージの上を手に千絵の隣りに腰を下ろした。
「ひ、1人で着れる…。」
千絵がそう言いかけているうちに、佳奈は千絵に抱きつくように手を回し着がえさせていた。千絵は黙って従った。
「はい、できた。」
「お母さんみたいだよ。」
「うるさいな。」
2人はそう言い合いながら保健室を後にした。廊下に出た途端、千絵は再び眩暈を感じた。と同時に、胃の中で濁流が物凄い速さで渦を撒くような感覚に襲われた。
「ちぃちゃん本当に大丈夫?」
「うん…。」
千絵は腹の辺りに手を当てながら、佳奈に付いて歩いて行った。
「お腹、出てないかな…?」
千絵が不安げに言う。
「ジャージだし、ちょっと屈んでれば気にならないけど…」
「いつもならとっくに消化されてるのに…。」
千絵は恥ずかしそうに呟くと、忌々しげに腹を摩った。
「撃たれたんだもん、仕方ないよ。」
その時遠くの方で雷が鳴り、ぽつぽつと落ちてきた雨が窓を伝って歪な線を描き始めた。
「降ってきたね。」
「帰る頃には止むといいなぁ…。」
千絵は胸騒ぎを禁じ得なかった。悪天候や胃のむかつきだけではない、何か嫌な予感が全身の全ての感覚に警告していた。だが、この時が後戻りできる最後の
チャンスだなどと知る由も無く、千絵は体育館に足を踏み入れた。

[続]

168 :名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 23:45:25 ID:yxW2upga
惨劇の予感!

169 :名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 00:10:21 ID:XVxu2+r8
やべー続きが気になるw

170 :名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 00:49:45 ID:86z1cw6U
活気があるのはいいが、わざわざ他スレ出向いてまで自慢するなと言いたい。

171 :名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 01:00:13 ID:XVxu2+r8
え?

172 :名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 01:45:50 ID:pCdFIpN+
>>162
キョウコって誰?つーか、どの作品か教えてちょ

173 :名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 07:32:03 ID:Nt6lOLJy
>>170
向こうで出た煽りをこっちの犯行と言われても・・・

>>172
スレに投稿された漫画の一つ目二つ目の主人公

174 :名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 07:54:38 ID:gVobeHo8
>>172
あれはいいものだ・・・

175 :名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 08:00:55 ID:IXoKLA39
ちょっとー
かじられ派っていないの?
女の子の小さいお口に噛み付かれたい俺希少種?

ケンタッキーとかかじってる子をみるとキュンとなる。

176 :名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 14:03:21 ID:sjskieUp
ぱないの

177 :名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 19:38:17 ID:IhBVoTTj
>>175
仲間

178 :名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 01:58:13 ID:d7Us3GR9
ロマサガ3のいけにえの穴思い出した

179 :名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 07:35:12 ID:MFbJefte
>>178
それは女がかじられるじゃなかったっけ?
(実際は女が持ってきた肉)

180 :名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 19:04:58 ID:yAKdcvdn
>>178
つ「ねこいらず」

181 :名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 09:03:21 ID:Fa5NT1cM
ちょっとスレチかもしれないが、
今週の少年ジャンプに載ってる読み切りで
頭から蛇生えてる女がその蛇でネズミ丸呑みにするシーンあった。

182 :名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 20:19:55 ID:tV3ZMjNd
>>181
ねずみだけといわず
オレモクッテクレー

183 :名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 23:25:38 ID:HKCEzWAQ
ビジターという海外SFドラマで
エイリアンの女が人間の姿でハムスターを丸呑みしていた。
喉の膨らみが胃の方に下がっていく表現がされていた。 
そのエイリアンは人間も食料にするので、
小さくされたら・・・・

184 :名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 05:11:58 ID:DoTPnlWi
ハムスターぐらいだったら人間の女も頑張れば丸呑みできそう
まあ誰もやりたがらないと思うがw

185 :腐肉(P.N.):2009/12/15(火) 06:21:03 ID:0jb3+RpV
体育館に到着する頃には豪雨になっており、激しい雨が屋根を叩く音が、生徒たちの歌声に混じって広く冷たい体育館に反響していた。
2人が体育館に入ってきたのを見ると、ステージの前に立ち指揮棒を振っていた堀切英次は、手にしたタクトをぴたりと止めた。
「蓮杖さん、もう大丈夫なの?」
堀切が尋ねた。口を利くのは初めてだ。
「うん、大丈夫…。」
千絵はそう言ったものの、まだ熱がある時のように頭がぼんやりしていた。
佳奈に手を引かれて他の生徒たちの間に入りステージ上に立つと、照りつけるライトが目を刺す様だった。そのあまりの眩しさに、千絵は目を細める。
「千絵、ほんとに大丈夫…?」
隣りに立っていた唯香が心配そうに尋ねた。
「へ、平気…。」
千絵は目を細めたまま、正面を向いて、腹の出っ張りがばれない程度に直立しようと努めた。だが先ほど感じた胃の中の不快感は、今や吐き気に変わっていた。
そんな千絵の苦しみを他所に、堀切英次は再びタクトを上げた。ピアノの伴奏が始まり、最初のパートが歌い始める。
「ひとはただ、かぜのなかを」
千絵は自分がどのパートだったかも思い出せず、突然襲ってきた頭痛に顔をしかめた。
「まよいながら、あるきつづける」
再び眩暈がして、スポットライトの光が目の前で大きくなったかと思うと、視界が真っ白にぼやけた。
「そのむねに、はるかそらで」
耳鳴りがする。
「よびかける、とおいひのうた…」
周りの音が聞こえなくなった。と同時に、聞こえてきたのは自分の鼓動と、傷口で疼く血の流れる音。
千絵はふらりとよろけ、ステージ上に並んだ段上から脚を踏み外した。
まずい!
そう思った瞬間、ジャージがはじけた。千絵の意識が働くよりも早く、第二の口が勝手に開き、胃の中の異物を体外へ吐き出した。
黄ばんだ胃液や、粘液に混じったどろどろに溶けた肉や、消化しきれず明らかに人骨の形を保ったままの白い塊がステージ上にぶち撒かれた。
次の瞬間、音が戻ってきた。千絵の耳に飛び込んできたのは、何重にも重なり合った悲鳴の不協和音だった。もうピアノの音も聞こえない。
千絵の前に居た恵や数名は胃液をもろに浴びて体中から湯気を上げてのた打ち回っていた。
パニックに陥った生徒たちは、千絵や溶け行く級友達から離れようと、ステージ上でもつれ合った。
押し合いへし合いしていた生徒たちは、やがて塊のようになっていっせいにステージからフロアへ転落した。
誰もが少なからず落下の打撃を受けたために、一瞬悲鳴は途絶えてパニックは収まった。
替わりにうめき声が広い体育館にこだまする中、千絵は口から涎を垂らしながら、息を荒げてステージ上で屈み込んだ。吐いてしまったお陰で随分と気分は楽になった。
ステージから落下した生徒たちは、自分たちがまだ無事な事に気づくと、何か動きが無いかと息を殺してステージを見上げた。一瞬、水を打ったような静けさが体育館を包んだ。
次の瞬間、級友達の見守る中、壇上で一際高い指揮台の上に怪物が現れた。
同級生の蓮杖千絵の姿をしているが、その目は獰猛に光り、下顎から腹まで裂けた巨大な口の奥で、鋭い歯と巨大な触手のような舌が獲物を狙っている。
今自分の目にしているものが現実かどうかを考える余裕もなく、再びパニック状態となった生徒たちは一目散に逃げ出した。


186 :腐肉(P.N.):2009/12/15(火) 06:24:44 ID:0jb3+RpV
何人かは不幸にも踏みつけにされてその場で命を落とした。だがステージから離れる事に成功した生徒らも、体育館から脱出する事は叶わなかった。
なぜなら、体育館の出入り口の戸は、咄嗟に気転を利かせた小山内佳奈の手で外から鍵がかけられていたからだった。
真っ先に戸口に押し寄せたのは男子たちだった。ロックされている事に気づくと、彼らは死に物狂いで滅茶苦茶に戸を叩いた。
だがそんな事で簡単に壊れる筈は無く、やがて彼らは後から押し寄せてきた生徒たちに押し潰された。
千絵の友人であった椎名唯香も、戸口に押しかけた生徒の1人だった。彼女には何が起こっているのかも分からず、とにかく悲鳴を上げ続けていた。
きっと多くの生徒がそうだったろう。
ふと何かの気配を感じて振り向くと、次の瞬間には彼女の身体はピンク色の肉の塊のようなものに絡め取られて、物凄いスピードで体育館の床を引きずられていった。
千絵はごきゅんと下品な音を立てて椎名唯香の身体を呑み込むと、腹の中でその肉を咀嚼した。
呑み込まれても唯香は悲鳴を上げ続けていたが、その甲高い声はやがてぐちゃぐちゃという有機体の潰れる音にかき消された。
その様を見せ付けられた生徒たちはますますパニックに陥った。だが何の行動も取れないうちに、次々に巨大な触手に捕らえられていった。
窓から逃げようとした生徒たちも触手の犠牲となった。辛くもそこから逃げ延びた生徒も、延々と体育館の中を触手と鬼ごっこするうちに力尽き、
立ち止まったところで命運尽きることとなった。

ただ1人、堀切英次は多くの生徒が餌食とされてからも生き残っていた。
いち早く体育倉庫に隠れた彼は、倉庫の窓から脱出を試みようとしていた。やっとのことで、窓の前に立ちはだかっていた巨大な跳び箱
をどかした彼は、窓ガラスを叩き割らん勢いで窓を開けた。
力ずくで跳び箱を動かしたせいで、指がじんじんと痛む。
彼はその指を窓枠にかけると、力いっぱい身体を引っ張った。外の空気と、降りしきる雨雫が顔に触れた。生き延びた。
助かった!
そう思った瞬間、何かが首元を掠めた。堀切は窓枠にしがみついたまま、ぴたりと動きを止めた。
何だろう?外から何かが、彼の首に向かって飛んできた。
堀切英次は体中の血の気が引いていくのを感じた。ふと、人影が目に入った。
窓の前、降りしきる雨の中に、ずぶ濡れの小山内佳奈が、髪の毛やスカートの裾から雨を滴らせて立っていた。
いち早く体育館の出口を封鎖した佳奈は、窓から逃げようとする者を止めるために、ずっと外で待っていたのだった。
その手には、クラス展準備で使うために腰のポーチに入れていたカッターナイフが握られている。
むき出された刃から、雨に混じって薄くなった血がしとしとと滴っていた。
「こふぁっ…。」
堀切英次は、噎せ返るような咳をした。すると、自分の口から真っ赤な血が霧吹きのように噴出し、小山内佳奈の可愛い顔を汚した。
「ごめんね、英次君。」
佳奈は冷たく言い放ち、カッターナイフを持っていない方の手でトンと堀切英次の額を軽く押した。
首から大量の血が溢れ出て、堀切英次の身体は急速に力を失っていき、剥がれたシールのように窓枠から離れると、体育倉庫の中にぐしゃりと落ちた。
その時、体育倉庫の扉が吹き飛び、触手が進入してきた。触手は床にくず折れた堀切英次の死体を見つけると、その身体を乱暴に引きずって行った。
途中で倉庫の戸枠に何度もぶつけられ、その度に堀切の首からどくどくと流れる血がひとしきり撒き散らされると、やがて級友の死体は視界から消えた。

[続]

187 :名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 08:06:46 ID:vOVmjcWZ
クラス全員分か・・・
すごい量だろうね
GJ!!


188 :名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 11:28:37 ID:B4n7IEBi
バイオハザード2のG第5形態みたいになりそうだな

189 :名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 15:46:19 ID:LXdqDao+
なぜ俺のクラスには千絵がいなかったんだろう・・・

190 :名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 00:25:19 ID:3wMkVarh
>>184
昔、鼠を丸呑みするサイトがあってだな。

191 :名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 12:08:37 ID:ZmtDl5wS
肉食女性に喰われたい

192 :名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 20:04:31 ID:vAdSk/C3
完全体キスショットにバリバリ食べられたい

193 :名無しさん@ピンキー:2009/12/19(土) 22:16:29 ID:SyhlOA6G
丸呑み派の私はラミアさんだな

しかし、最近かじられるシチュにもときめくものが・・・・

これが恋か・・・

194 :名無しさん@ピンキー:2009/12/19(土) 23:12:19 ID:ScqcvuDi
>>193
ナカーマ

195 :名無しさん@ピンキー:2009/12/20(日) 00:30:17 ID:ka0C5Mpm
ラミアと恋人になって呑んだり吐かれたり

196 :名無しさん@ピンキー:2009/12/20(日) 01:49:38 ID:kkvGCzZ2
キングコングのピラニアドンを見てみなさい

197 : ◆PpGNqLuSAo :2009/12/20(日) 08:00:40 ID:iPBBLjQW
陣亥大輔シリーズ 第二話 森のラミアさん
ニア 始める

あらすじしか無い為始められませんでした
作者の気まぐれをゆっくりお待ちください

話の構成だけ出来て文章が出来ないのはよくある事
腐肉さんの作品が完結したら本気出そう・・・うんきっと出るよね
予告で少しでも自分で鞭打っとかないと永遠に完成しない気がするから困る

>>193-195
予告でスマンね


198 :名無しさん@ピンキー:2009/12/20(日) 08:44:09 ID:yZ/VmApq
巨大マンコ
http://xhamster.com/movies/120867/marina.html

199 :名無しさん@ピンキー:2009/12/20(日) 12:04:31 ID:kbAWbvnG
>>197
おお、ハーピィの人か!!

いい子にしてまってるよ

200 :名無しさん@ピンキー:2009/12/20(日) 14:25:54 ID:ka0C5Mpm
wktk

201 :名無しさん@ピンキー:2009/12/21(月) 19:53:53 ID:L93gWCUb
>>195
それいいな

ラミアさん「またなのぉ? しょうがないわねぇ」

みたいな感じで何回も呑んでほしい

202 :名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 20:31:52 ID:dfzA6Usl
食べてくれそうな娘を見つけたけど貼ってもいいんだろうか…

203 :名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 22:34:01 ID:y2Uer3i8
貼ってくれないと判断できん

204 :名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 22:56:41 ID:LdFaY4sR
h抜いて貼ればおk

205 :名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 23:34:34 ID:dfzA6Usl
ttp://mrank.tv/u/rank.php?id=girlsbaby&guid=on&crf=
ここのオリジナルにいる「なんとかからの物体くろこ」ってところにいる娘

206 :名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 08:42:10 ID:BWWKU+xq
なんていうか非常にがっかりした
j e n

207 :名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 12:30:22 ID:GCixeA0Q
>>205
16位の子か

ケータイの画像掲示板?

画像がケータイ向けでクリックすると広告が出てくるって

注意を書いたほうがいいかも

208 :名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 18:06:09 ID:g8l7k0sH
いろいろ酷いな

209 :名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 23:17:11 ID:GCixeA0Q
FF13なかなか面白いんだけど

FF4みたいにラミアさんやアラクネさんが出てコナインダヨ

人食い美女モンスターを出してクレー

210 :名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 12:47:48 ID:q7OOFyv7
INHUMAN!! , INHUMAN!!

こ、この、
ジャ、ジャンルの、
ス、スレは、
非人間的なんだな。。。

だ、だから、
こ、これで、
か、完結して、
つ、潰れなきゃ、
な、ならないんだな。。。

さ、さようなら。。。



211 :名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 19:18:07 ID:gEjkRv2k
>>210
もう星へ帰るんだね、バイバイ

212 :名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 19:30:35 ID:8+iVmKrx
ベッキー・クルーエルに喰われたい

213 :腐肉(P.N.):2009/12/27(日) 06:11:08 ID:WNw7SqMx
佳奈はカッターナイフをその場にぽとりと落とした。急に膝ががくがくと震えだし、思わず濡れた地面に尻餅をつくように腰を下ろした。
深く息を吸い込むと、水溜りの水をばしゃばしゃと掬い、顔にかかった血を流した。
「…鉄臭い。」
そんな言葉が口を突いて出た。
これまで千絵と行動を共にし、人の死は散々見てきたが、今、佳奈は初めて自らの手で人を殺めたのだ。
それなのに、随分とつまらない感想しか出てこないんだな。
「はは…。」
佳奈は力なく笑い、しばらくその場にへたり込んでいた。雨はますます強くなるし、水溜りも広がっていて冷たいはずだったが、
今の佳奈は不思議とその冷たさを感じなかった。
そうだ…千絵…。
やがて佳奈は自分の悪魔的所業の動機を思い出した。クラスメイト全員を死に追いやった理由。
千絵…。
肉体的にも精神的にも佳奈は疲れ切っていたが、その名前を心の中で呟くたびに、不思議と力が沸いて来るような気がした。
佳奈は、壁の向こうに居る千絵の鼓動を感じるような気がした。まるで千絵の心臓が、自分の心臓のすぐ隣にあるかのようなに。
佳奈は体育倉庫の窓枠に手を掛け、陸上部で鍛えた跳躍を生かして自分の身長よりも高い窓枠をひょいと飛び越えると、再び体育館内に侵入した。
念のため窓の鍵を閉めると、佳奈は恐る恐る倉庫を出た。途端に、吐き気をもよおす悪臭が鼻を突く。
そこに広がっていたのは、地獄のような光景だった。
ガラス窓やステージの暗幕、バスケットボールのリングにいたるまで、ありとあらゆる箇所に血や肉片やどろどろした液体が塗りたくられており、
床の面積の半分が血溜りに覆われていた。
肉を削がれて骨が剥き出しになった死体がいくつも、食い荒らされた臓物を散乱させて血の池に浮かんでいる。
中央には、バスケットボールコート半分を埋め尽くすほどに触手を広げた触手の群れが巨大なピンクのイソギンチャクのように鎮座していた。
その一本一本に生徒たちが捕らえられており、中には四肢をばらばらに千切られ弄ばれている者、口や肛門から触手に侵入され内側から肉体を破壊され
赤いぼろ雑巾のようになった者もいた。
だが人の形をしていなくとも、彼らはまだ幸せだろう。
多くの生徒はまだ生きたままだった。
裂けるまでペニスを嬲られ、それでも尚も射精し続けている男子が居た。
尻の穴から口までを触手に貫通された状態で自慰をしている男子も居る。
女子の殆どは犯されていた。千絵の舌によって膣口を裂かれ、丸太が入るほどの大きさに広げられながら、
それが至高の快楽であるかのように喘ぎ声を上げ続けている者もいる。
佳奈は口に手を当てた。そうでもしないと、胃の中の物が込上げてきそうだったからだ。
それら残酷絵巻の中心に、肉の玉座に座るように、どこでものを感じているのか分からないような虚ろな目をした千絵の姿があった。
陵辱されるクラスメイトたちを恍惚の表情で見下ろしながら、口から延びた舌で自らの性器を一定のリズムで弄っている。
千絵にとって、もはや食欲と性欲との間に差は無くなっていた。血の匂いは彼女の股間と乳首を疼かせ、肉の味は彼女をエクスタシーに導いた。
千絵は、自分の舌に絡みつく感触を全て味わった。
最初に呑み込んだ唯香が、次第に抵抗する力を弱めながら胃の中で溶けて行く感覚。
壊れてぐちゃぐちゃになってもなお硬くなるペニスを握り潰す感触、そこから垂れ流される血の混じった精液。
女子生徒の膣口を押し広げ子宮をずたずたに裂く快感も、臓器を絡め取り体内から引きずり出す時の手応えも、
その全てを絶頂へ至るための糧とした。


214 :腐肉(P.N.):2009/12/27(日) 06:12:46 ID:WNw7SqMx
「千絵…。」
佳奈は、今しがた息絶えた女子生徒を跨いで千絵に近寄った。
足元に転がる遺体は、まるで腹を裂いて皮膚を裏返したように、一見したところ人だと分からない程に見るもおぞましく変形させられている。
「ち…え。」
佳奈は吐き気を堪えながら親友を呼ぶ。千絵はぼんやりとした目のまま、ゆっくりと佳奈の方を顧みた。
「あぁ… 佳奈かぁ。」
千絵はにやりと笑みを浮かべた。その微笑みは佳奈の背筋を凍りつかせた。恐怖に顔を引きつらせる佳奈に、千絵はそっと手を延ばして言った。
「だいじょうぶ、佳奈はたべない。」
それから延ばした手で優しく佳奈の頬を撫でた。千絵の手にべっとりと付いていた血が、佳奈の頬に線を描いた。
「んっ…!」
千絵は喘ぎ声を上げ、佳奈から手を離した。どうやら今の千絵は感覚器官の全てが性感帯となっているようだ。
佳奈の皮膚の“味”が触覚から伝わり、千絵を絶頂に至らしめたのだった。
「くっ… はぁっ、はぁ…。」
千絵は喘ぎながら身を捩った。長く白い四肢が、膨らんだ胴体に巻き付くのを見て、佳奈は頬を赤らめた。性器が疼く。
千絵と交わりたい、と思った。今の千絵の身体なら、叶わぬ事では無い様に思えた。
だが佳奈がそんな事を考えて居る間に、千絵はするすると舌を腹に開いた第二の口へ収めてしまった。
まるで巨大な蛸を呑み込んでいるようだ。触手に絡み付いていたクラスメイトたちの残骸は血の池の上にぼとぼとと無残な音を立てて落下した。
触手を全て仕舞っても千絵は巨大に見えた。大きく膨れた腹のせいで、身長もいつもの倍ほどに見える。
「みんな、食べちゃった…。」
それでも、生徒の殆どは虐殺して肉だけ食い荒らしたから、丸呑みしたのはほんの数人だったのだが、
千絵は腹の重みで、立っているのがやっとというように肩を落とした。
しばらく、体育館に沈黙が流れる。屋根を叩く雨の音が大きくなった。
「逃げようか…。」
やがて佳奈が言う。
「逃げ切れるかな…。」
千絵はいつもの、人事の様な口調で呟いた。
「この世界のどこにも、怪物の居場所なんて無いんだよ。」
そう、最初から分かっていた事だ。千絵は諦めたように笑った。
「でも、一緒に居るもん。」
佳奈が言う。千絵はその言葉がとても嬉しかった。
「家に帰って、荷物取って来る。その間、どこかに隠れて居られる?」
「本気?家出するつもり?」
千絵は戸惑った。恐れていた通りだ。
「あのね、」
佳奈は千絵の目を真直ぐ見て、諭すように言った。
「環境庁もいるんだよ?この状況で私だけ無事に済む訳無いでしょ。共犯なんだよ?」
佳奈の目は揺ぎ無い。
「千絵が怪物なら、私ももう怪物の仲間入りなの、分かった?」
千絵は唖然としていたが、やがて諦めたように笑った。

2人は体育館の惨状をそのままにして、誰にも気付かれずに学校を後にした。
佳奈が小山内家に荷物を取りに戻っている間、千絵は裏の森の中に隠れていた。
裸だったが、今や福沢に撃たれた腹の傷も例の吐き気も消え、満腹感で身体は温かく気持ちが良かった。
木々の合間を縫って落ちてくる雨の雫でさえ、心地よく感じた。
重たい身体を巨木の間に寝かせ、千絵は横になった。日が暮れ始めており、ただでさえ悪天候で暗い空は刻々と闇へと変わりつつあった。
こうしていると、まさに獣だな、と千絵は思った。いつかこんな暮らしをする日が来るかも知れない。森の中で、裸で… 佳奈と一緒に。
その妄想に、千絵は恥ずかしくなって顔を赤らめた。そんな羞恥も秋の夜は無言で包み込み、やがて千絵は眠りに落ちた。


[続]

215 :名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 02:02:40 ID:bs3AZ7bb
続きキター!!

216 :名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 23:28:29 ID:kRxLpbRp
貫通された状態でオナニーする男子パネェ
俺もペニス潰れるまで嬲られた後食べられたい

217 :腐肉(P.N.):2009/12/30(水) 05:00:57 ID:e8o9RbMz
小山内小枝子は調理場に立ち、夕飯の支度をしていた。
明日は、娘たちの学校の文化祭がある。今日は準備で帰りは遅くなるだろう。
お腹を空かせて帰ってくる娘たちのために、小枝子は切りそろえた野菜を、まな板から鍋の中に注ぎ込むように入れた。
“娘たち”。
小山内小枝子は微笑んだ。
この4月に長男が大学へ進学し家を出てからというもの、1人で家に居る時に一抹の寂しさが心を過ぎるようになった。
おかしなものだ。佳奈は学校に行っているし、それは圭介が高校生だった頃も同じだと言うのに。
母親とはそういうものだ。
だが千絵が来てからのこの数ヶ月、小枝子はそんな寂しさを感じなくなった。娘が2人になったようだ。
尤も、千絵がいつまで小山内家の娘で居られるのかは分からないし、遅かれ早かれ来年には2人も進学やら就職やら、それぞれの道を歩み出す。
今までとは別の道を。母親が添って歩くことの出来ない道を。
だがそんな事は考えなかった。佳奈は、千絵が一緒だととても楽しそうだ。
年頃になるにつれて減って行った口数と笑顔が、最近は毎日見ることが出来る。今はそれで十分だった。
ある意味、母小枝子も、娘同様、将来への不安から目を背けていたのである。
スープの味見をしようと、湯気の立つ黄金色の液体を御玉で掬い上げた時、ふと2階から物音が聞こえた。
小枝子はびくりとして、思わず御玉を取り落とした。その様は娘そっくりだった。
何だろう?掃除の時に、窓を閉め忘れたのだろうか…?
小枝子は、まるでそうすれば天上が透けて2階の様子が見えるかのように、天上を凝視した。
再び物音がする。風ではない。誰かが、何かを探しているようだ。母の脳裏に、この所頻発している猟奇事件の報道が過ぎる。
小枝子は、まな板の上の、野菜の汁が付いた三徳包丁を手に取ると、ゆっくりと台所を出た。

-----------------------------------------------------------------------

佳奈は薄暗い自分の部屋で、部活の合宿用のスポーツバッグに手当たり次第に下着を詰めていた。
千絵の荷物も、彼女が最初に小山内家にやって来たときに持ち込んだ、父親の旅行用トランクから、持ち運びが便利なバックパックに詰め替えた。
修学旅行用に買った物だ。その時、階段の軋む音が聞こえた。佳奈はびくりとして、ショーツを握ったまま手を止めた。
何者かが、足音を殺して2階の廊下を近づいてくる。
今の佳奈は五感が研ぎ澄まされているらしく、スリッパがフローリングを擦るほんの微かな音が聞こえた。
母に見つかってしまった…。どうしよう?隠れようか?でも今からでは間に合うまい。
それに佳奈の部屋には、不信感を抱いた母親をやり過ごせるようなスペースは無い。
佳奈は、手の平が不気味に硬くなったように感じた。この感覚は初めてではない。そう、つい一時間ほど前に、カッターナイフを握った感触。
それを肉に突き刺したときの手応え…。
娘は決意していた。新たな道を歩み出す事を。新たな世界に飛び込む事を。怪物の世界に、親友と2人で。その世界に母親の居場所は無かった。
その時ゆっくりと扉が開いた。部屋に廊下の光が挿し込み、娘は母親と対面した。
小枝子は状況が飲み込めずきょとんとした顔で、手から包丁をぶら下げて戸口に立っていた。
なぜ娘が部屋に居るのだ?いつ帰った?なぜ下着が部屋中に散乱している?小枝子はそれらの疑問を総括する質問をした。
「ど、どうしたの… 佳奈?」
暗がりの中で、娘はすっくと立ち上がった。その時母は何かがおかしいと気付いた。
娘の顔からは、いつもの困ったような笑みや、可愛らしい瞳に滲み出る優しさが消えていた。


218 :腐肉(P.N.):2009/12/30(水) 05:07:21 ID:e8o9RbMz
「ちょっと、佳奈… どうしたの?」
母はうろたえ、繰り返した。娘は黙ったまま母の方へ歩み寄る。小枝子は思わず後じさった。
暗がりの中で、娘の輪郭が幽霊のようにゆらゆらと揺らいで見えた。それは、恐怖だった。
佳奈の顔が廊下を照らす電灯の光の下に現れた。小枝子ははっと息を呑んだ。一瞬、確かに娘の目の中に別の生き物が宿っているのを見たのだ。
「誰…?」
母は無意識にそんな言葉を口に出した。手が勝手に動き、小山内小枝子は、実の娘に向かって、包丁を突き出した。
考える余裕など無かった。冷たい包丁の柄を握り締めた手が、がたがたと震えている。
その時、佳奈の目から一筋の涙が零れ落ちた。その目は優しい少女の目に戻り、突きつけられた刃を透かして母親の目を真直ぐ見据えた。
「おかあさん…」
佳奈は呟く。
「ごめんなさい。」
次の瞬間、佳奈は母親の手を掴むと物凄い力で捻り挙げた。手首の骨がへし折れる音に続き、ステンレスの刃が肉を貫く不気味な音が廊下に響いた。
小山内小枝子は何が起こったのか分からなかった。瞳を涙で濡らした娘の愛しい顔が視界から消え、フローリングの床しか見えなくなった。
小山内小枝子は、廊下に倒れた。腹から突き出た包丁から、関節が一つ増えた腕が離れ、倒れた時の衝撃で刃が更に深く子宮を抉った。
おびただしい量の血が溢れ、静かに床を濡らしていく。遠のく意識の中、小枝子のぼやける視界に、自分を置き去りにして遠のいていく娘の足が映った。
娘は道を歩み出した。そうか。
そう思うと、小枝子は何故か、この結末を納得した。まあ、母親とはそういうものだ、と。
次の瞬間、彼女の人生で最大の哀しみと寂しさ、孤独と恐怖が押し寄せてきた。小枝子は声を上げて泣きたかった。
だがそうしようと息を吸い上げたのを最後に、彼女は動かなくなった。量の瞳から毀れた涙が、静かに頬を伝い、冷たくなっていく血の海にひたと落ちた。

--------------------------------------------------------------------

雨上がりの森の中は、日が暮れると同時に急に寒くなった。
千絵は少し前に目を覚まし、巨木の根元に腰掛け佳奈が戻ってくるのを待っていた。
そろそろ帰ってきても良い頃だ。何か、あったのだろうか…。途中で捕まったりしていなければ良いが。
千絵はやきもきしながら、木々の間の暗闇を眺めていた。生き物の気配がしない。当然だろう。本能に従う獣なら、千絵のような怪物には近寄らない筈だ。
千絵はむき出した白い腹を撫でた。夜露で少し濡れて、どこからか射す僅かな光を受けててらてらと艶かしく光っている。
「げふぅっ。」
辺りに誰も居ないのを良い事に、千絵は臆面も無くげっぷをした。級友たちを消化する音が、遠くの雷鳴のように森の静寂を破った。
「ん… 良い音。」
千絵は満足そうに呟いた。
本当なら体育館に留まってクラスメイト全員を存分に味わいたかったのだが、泣く泣くいくつかの死体は齧っただけで残して来てしまった。
これからどんな生活が待ち受けているのか…
しばらく人の肉は食べれない、どという事にもなりかねないのだから、無理してでも食い溜めしておけば良かったと、千絵は後悔した。
「もう2,3人なら入ったのにな…。」
その時、人の気配を感じた。そう遠くない。
佳奈だろうか?
目を凝らすと、藪の向こうにちらちらと何か光るものが見える。続いて、男の声。
「こっちの方だ。」
「本当に何か聞こえたのか?」
もう一人居る。千絵は藪の中に身を隠した。次の瞬間、懐中電灯の光が彼女の頭上を掠めた。


[続]

219 :名無しさん@ピンキー:2009/12/30(水) 11:10:04 ID:OtKIyWgU
GJ!!

220 :名無しさん@ピンキー:2009/12/31(木) 01:37:12 ID:U0rlwkAk
GJ!

221 :腐肉(P.N.):2009/12/31(木) 05:46:33 ID:lr8o2dW7
「熊じゃないだろうな…。」
片方の男が脅え声で言う。
「この辺にゃ犬よりでかい動物は居ないよ。」
千絵は少し首を伸ばして男たちの姿を見ようとした。その時、目の前がぱっと明るくなったかと思うと、男の叫び声が響き渡った。
「誰だ!?」
見つかってしまったようだ。千絵が目を瞬かせ、ライトの向こうの様子を見ようとしていると、男は相棒を呼んだ。
「おい、坂本!ちょっと来てくれ!」
もういいや。
千絵はやけっぱちになってすくと茂みから立ち上がった。
「あー… 何か、羽織るもの持ってきてくれないか?」
懐中電灯の男が困惑したように相棒に叫んだ。
「何だよ羽織るものって?そんなもん… おおっと…。」
相棒がやって来て千絵の姿を見るなり、足を止めて目を背けた。その隙に千絵は2人の男を観察した。
闇に溶け込む黒い制服は、一目瞭然、警官だった。
銃を持っていないだろうか?
千絵は男たちの手元に目をやったが、手にしたのは懐中電灯だけのようだ。
「えぇっと… こ、こんな時間に何してる?その… こんな所で?」
最初の男がどもりながら尋ねた。藪の中に裸の男が隠れて居やしないかと、懐中電灯を下に向ける。どうやら、この2人は高校で何が起こったかまだ知らないようだ。
しめた、と千絵は思った。腹の隙間を埋めるチャンスだ。
「君、1人か?」
「服を着ろ。」
坂本と呼ばれた相棒が横から口を挟んだ。
「あ、あの、道に迷ってしまって…。」
千絵は徐に藪を掻き分け、警官たちの方へ歩み寄った。
以前の千絵は演劇部などにはまるで興味は無かったが、演技力はこの身体になってから身に付いたものの一つだった。
「おっと…。」
「ちょっと、君…!」
うろたえる間抜けな警官たちを他所に、千絵はその身体を単三電池で点灯する光の下へ現した。
「良かったら、案内してくれませんか…?」
千絵は息がかかるほど坂本に近づいた。近くで見るとまだ若く小柄で、千絵と同じくらいの背丈だ。
「こらこら、君ね、」
最初の警官がそう言いながら千絵の肩に手をかけた瞬間、千絵は牙をむき出し、警官の顔面に被り付いた。警官の悲鳴が闇を劈く。
遠くの方で、その音に驚いた鳥たちが木々から飛び立つ音が聞こえた。
千絵が警官から離れると、男の顔は鋭利な刃物でまるまるそぎ落とされたように綺麗になくなっており、骨や脳の断面をむき出し、
血を噴出しながら枯葉の中にどさりと倒れた。
「う、嘘だろ…。」
坂本は唖然とした顔で、無様に倒れた相棒と、口の周りに飛び散った血をぺろりと舐める千絵の顔を交互に凝視した。
「確かめてみたい?」
千絵は満面の笑みで坂本に語りかけると、目にも留まらぬ速さで彼の身体を押し倒した。あまりに一瞬の事で、坂本は地面に打ち付け
られた痛みも感じず、軽い脳震盪に似た症状を起こした。頭がくらくらし、ピントを調節している最中のように時々視界がぼやける。
そこへ千絵が現れた。坂本の腰の辺りに、むき出しの恥部を押し付け、のしかかる。少女とは思えない異様な重さに、坂本はうめき声を漏らした。
「どこから齧って欲しい?」
千絵は白く美しい手で坂本の顔を撫でた。
「ここかな?」
坂本は涙を流し、哀願するような目で首を横に振った。
「一番好きな処にしなよ?だって、多分最初の一口で死んじゃうから。」
千絵は嬉しそうな目で坂本の身体を、首から腹にかけて指でなぞる。するとその鋭利な爪で、漆黒の制服にすっと切れ目が入った。
「やっぱりここかな?」
千絵の指が、股間のふくらみで止まった。
坂本は首をぶんぶんと横に振った。恐怖と、声が出ない苛立ちから顔をくしゃくしゃに歪めて、金魚のように口をぱくぱくさせている。
そうしている間に少女は凄まじい力で、ズボンを毟り取るようにしてあっと言う間に脱がせてしまった。縮み上がったペニスがむき出しになる。
千絵はぺろりと舌を出し、悪戯っぽくにやりと笑うと、その可愛らしい顔を恐怖に戦く一物へ近づけた。
「ひゃぁうっ!!」
坂本は情けない悲鳴を上げる。
その時千絵の小さな口が、かぷりと彼の小さな陰茎を優しく挟んだ。
「あっ… あうっ…。」
坂本は安堵で身体中の力がみるみる抜けていくのを感じた。ただ一箇所、少女の口に含まれたペニスを除いて。
千絵はあっと言う間にいきり立った坂本から口を離した。唾液が糸を引く。少女は坂本の上に覆いかぶさるようになると、顔を覗き込んだ。


222 :腐肉(P.N.):2009/12/31(木) 05:47:55 ID:lr8o2dW7
次の瞬間、彼女の下顎から恥部にかけての腹ががばっと縦に裂け、ずらりと並んだ鋭く残忍に光る無数の歯が現れた。
「きゃああああああああ!!!!!!!!!」
坂本は声の限り叫んだ。巨大な第二の口は糸を引く唾液を散らし、坂本の身体を包み込んだ。
「ギャあああああああああああ!!!!!!!!!!!」
坂本はまだ悲鳴を上げている。千絵はけたけたと笑い声を上げながら、その身体を銜えたまま持ち上げ一気に呑み下した。
それから彼女は落葉に埋もれた顔の無い男の身体の首根っこを掴み、片手で軽々と持ち上げた。
「ちょっと、何してんの!?」
その時、甲高い声が木々の間に響いた。
「信じらんない、あんなに食べたのに…。」
巨大なバッグを抱えた佳奈が、ぷりぷりしながら木々の間をこちらへやって来る。
「夜食だよ。」
千絵はそう言うと、顔無し死体をぱくりと口に放り込んだ。
佳奈は茂みの前にどさりと荷物を降ろすと、打ち捨てられたままの坂本のズボンを拾い上げた。
「警察…?」
「そうみたい。でも学校の事はまだ知らないみたいだった。」
佳奈は顔をしかめた。どうやらズボンに付いたべとべとの唾液に触れてしまったようだ。
「でも、そんな訳無いよ。学校の横通ってきたけど、グラウンドがパトカーとか消防車みたいなので一杯だったよ。」
千絵は返事の代わりにげっぷをした。
「もう、汚いな!」
「だって出ちゃうんだもん!」
千絵は早速自分のバッグを漁って着るものを引っ張り出していた。
「でも、もしかしたら気付いてないのかもしんないよ?」
ふと思いついたように千絵が言う。
「何に?」
「私が犯人だって。だって、死体の半分は呑んじゃったし、誰が犠牲者か識別するのも時間がかかる。」
「そうか… じゃあ案外、しばらく自由に行動できるかも!」
「でも何にせよ、まだ村雨が居るから、今夜中に街を出た方が良いかも。」
「そうだね。」
膨らんだ腹の前で、きつくなったジーンズのボタンを留めようともがいている千絵に向かって、佳奈が楽しげに尋ねる。
「で、どこに行く?北?南? 王道なのは北だよね! あ、でもメキシコって南か…。どっちが良い?」
「どこでも良いの?」
千絵はジーンズを諦めてワンピースに着替えたようだ。夏用なので少し肌寒そうだ。
「ちぃちゃんの好きなところ、どこでもっ。」
「じゃあ私、東京行きたい。」
千絵は興奮気味に言う。頭の中にあったのは、例の少女の事だった。
何故かまだ、東京近辺に潜伏しているような気がしていた。例え違っても、近くへ行けば、また何か消息が分かるかも知れない。
そうしたら…。
「東京かぁ。」
佳奈はスポーツバッグを肩に掛けると、千絵に先立って歩き出した。
「修学旅行以来だね。」
「良い?」
「うん、良いよ!人も多そうだし、食べるのにも困らないしね。」
佳奈はにやりと千絵を振り返った。その時千絵は、親友のその笑みにどことなく違和感を覚えた。
何となくだが、今までとは違うものを。
だが2人で並んで歩きながら、東京へ行ったら何をしたい等と話して居る内に、そんな考えは脳裏の奥へと鳴りを潜めた。


[続]

223 :名無しさん@ピンキー:2009/12/31(木) 14:32:45 ID:LwC0TjjD
gj

224 :名無しさん@ピンキー:2009/12/31(木) 14:56:24 ID:WxVuo0FG
来年就活迫る実家暮らしの俺からしてみると、母親殺しはエグかったぜ。
幸せな家庭が一瞬で奪われる、親子関係の話になると胸がキュンとなる。

225 :名無しさん@ピンキー:2009/12/31(木) 18:44:30 ID:gBAZ7cLV
しかも千絵はそれ知らないんだよな・・・

226 :腐肉(P.N.):2010/01/02(土) 13:59:17 ID:pu/Xsm+A
[幕間]
第一南高校の校庭及びグラウンドはお祭りのような騒ぎだった。
無論、本番を翌日に控えた文化祭の前夜祭などではない。企画されていた前夜祭は中止され、生徒は文化祭実行委員も含め全員、速やかに帰宅を命ぜられた。
代わりに櫓の周りに詰め掛けたのは、警察、消防、いち早く情報をキャッチした日本中のマスコミと、近所の野次馬連中だった。
遅れて到着した村雨定夫は、悲痛な面持ちでカメラに向かい事件の惨状を述べるレポーターを尻目に、ビニルシートで一面覆われた体育館へと向かった。
さながら巨大なビニルハウスのような建物に近づいたその時、透明のカーテンの向こうから鑑識の制服を纏った男が駆け出して来たかと思うと、その場にへたり込んで激しく嘔吐した。
村雨は彼を無視し、カーテンの脇に立つレインコート姿の捜査官からゴム手袋を受け取ると、張り付いたゴムを引っぺがしながらカーテンをくぐった。
「これはまた派手にやらかしたな…。」
体育館内の様子を一目見るなり、村雨は思わず口に出して言った。
装着したゴム手袋をパチンとはじきながら、彼は血塗れのバスケットコートの下で指揮を執っている、しわくちゃのコートを着た男に近づいた。
足元で3年C組の哀れな生徒たちの固まりかけた黒い血がひたひたと撥ねて革の靴に付いたが、村雨は気に留めなかった。
「環境庁です。状況は?」
村雨はコートの男に話しかけた。
「吉祥警部です。状況は…まぁ見ての通りです。」
コートの男は自己紹介し、辺りを見渡した。
「ええ、さながら血池肉林と言ったところですかね。」
村雨のジョークは、吉祥警部を不快にさせたようだったが、彼はこの痩せた黒縁眼鏡の男を睨んだだけで、すぐに仕事にかかった。
「損傷が激しく、個人の特定はおろか人数すら定かではありません。確認できる遺体は計16体。内男性7、女性9。ですが… 3年C組の生徒が全員、行方不明になっており、恐らくは…」
「ええ、血の量からして、全員ここで死んだのでしょう。」
そう、恐らく、1人を除いて…。
村雨は赤一色に染まった体育館を見渡した。あちこちで、ビニル製の滅菌服のようなものを着た男たちが、肉や骨の破片を拾い、本来なら遺体を乗せる筈の担架の上に集めている。
先ほどの若い鑑識同様、口を手で押さえては外へ飛び出していく者もちらほら見えた。
「ご苦労様。後は我々が引き継ぎます。とりあえずこの場を片付けてください。」
村雨は吉祥警部に指示を出した。
「ちょっと待ってください。まだ鑑識が…。」
吉祥は抗議する。
「この場合、重要なのは“喰われた側”ではないんです。食べ粕に用はありません。」
村雨は冷たく言い放った。
「あんたら…何を隠している?」
吉祥は村雨を睨み付ける。
「…あなた方警察は、誰も彼も同じ事を言うんですね。そう言えば彼、福沢刑事、でしたか?彼はどこです?見当たりませんね。」
吉祥の顔色が変わった。
「…福沢も行方不明だ。昼にこの学校を訪問していた事が分かっているが…目的は不明だ。」
「ではお悔やみを申し上げます。」

227 :腐肉(P.N.):2010/01/02(土) 14:02:19 ID:pu/Xsm+A
村雨の冷酷な言葉に、再び吉祥は怒りで顔を歪ませた。
「我々には何も話せない、と?」
「話せないのではなく、話しても無駄だから話さないのですよ。」
「…では、パトロール中の警官には何と伝えれば?」
「何も伝える必要はありません。“ここでは何も起きなかった”。分かりますか?今宵この場所で40人もの哀れな学童が、有望な前渡を絶たれ
無残にも肉の破片にされてしまったという事実を、抹消するのですよ。では、さっさとこの反吐を片付けてください。」
村雨はそう言い残すと、再び血の池の中、肉片を踏みしだきながら去って行った。
建物から出ると、上空をヘリが飛んでいた。サーチライトの光が眩しく辺りを照らし出す。
「あれはどこのヘリです?」
村雨はカーテンの外で待機していた黒服に尋ねた。
「民間です。恐らくテレビ局かと。」
黒服は答えた。
「今すぐ飛行禁止命令を出してください。それから、あちらの方々にもお引取り願うよう。」
村雨は遠巻きに校舎を取り囲みカメラのフラッシュを瞬かせている集団に目を遣り言った。
「本部に通達、対象は蓮杖千絵で確定。すぐに捜索を開始してください。尤も、もう遅いかも知れませんが…。」
村雨は遠ざかっていくヘリに一瞥くれると、車に乗り込んだ。
「発見しても手出しはせずに追尾するんだ。」
「しかし民間の犠牲は…。」
「この際、多少の犠牲は目を瞑りましょう。更に大勢を護るためだと思えば良い。」
車が動き出し、マスコミを押し出すように正門を突破した。
カメラのフラッシュが黒塗りの車体を光らせたが、ガラスには遮光がしてあるので外からは中が見えない。
フラッシュライトに照らされながら、村雨は興奮を禁じえなかった。待ち侘びた瞬間がついに訪れるのだと思うと、ぞくぞくする。
「うまくすれば、彼女がオリジナルの元へと導いてくれるかも知れない…。」

---------------------------------------------------------

その頃、千絵と佳奈は県境に達そうとしていた。
検問が敷かれている場合等を考慮した結果、歩いて行くのがやはり最も安全だという結論に至ったのだ。
かなりの距離だったが、スタミナを補給したばかりの千絵には何ら苦で無かった。佳奈も不平一つ言わずに付いて来る。
意外とタフなのだ、この子は、と千絵は何故か鼻が高い。
高速道路沿いに歩いて数時間すると、何も無いドライブインに辿り着いた。夏休みに、常舞病院へ行く2人がバスを降りた所だ。
時計を見るともう深夜3時を回っており、セルフの給油所も閉まっていた。その殺風景さは、2人に急激に疲労感を思い出させた。
自動販売機の他にはトイレしか無く、2人は仕方なくトイレの個室で身を寄せ合って朝まで眠る事にした。


[続]
----------------------------------------------------------
あけましておめでとうございます。
新年初の投稿が中途半端なところになってしまってすみません。

228 :名無しさん@ピンキー:2010/01/02(土) 14:59:12 ID:HWaoWsG/
最初は普通?の捕食系SSだと思ってたのにここからどこまで大きくなるんだろうか

しかし、どんどん書き方が上手くなってきて読んでて読みやすいし面白いな

229 :名無しさん@ピンキー:2010/01/02(土) 16:30:43 ID:O9dLQ3Io
GJ!!
今年もwktkさせていただきます。

230 :名無しさん@ピンキー:2010/01/02(土) 19:38:16 ID:wszWXsS7
GJ!
楽しませて貰いました

231 :名無しさん@ピンキー:2010/01/03(日) 22:00:59 ID:JSnwJq/i
久々に見にきたら腐肉さん復活!GJ!
今年もよろしくおねがいしやすぜ

232 :腐肉(P.N.):2010/01/04(月) 05:11:27 ID:28XebKjS
じりじりと焼け付くような日差しが、フロントガラスを付き抜け、運転席の大蔵慎太郎の目を眩ませる。9月も半ばだと言うのに、夏が再来したように暑い日だった。
彼はダッシュボードから古臭いデザインの汚れたサングラスを取り出してかけた。
「パパ、クーラー上げて。」
後部座席から生意気な声が飛んできた。コンソールボックスの上に裸足の足をどんと乗せ、シートにだらりともたれた娘の輝子。
慎太郎は黙ってクーラーのスイッチを強に合わせた。娘の脚がちらりと目に入る。まだ小学生だと言うのに全く、いつの間に毛を剃る事など覚えたのだ。
「ママおっそい!」
輝子は苛立った。暑さのせいもあるが、恐らく今回の紀美子の急な帰省の巻き添えで、学芸会に出られなかった事をまだ根に持っているのだ。
それは慎太郎も同じだった。こんな半端な時期に有給まで使って妻の実家へ行くなんて。それについては妻紀美子とも散々口論になったが、結局彼が折れた。
だと言うのに、病院に駆け付けたら看護士に「峠は越えました」とあっさり言われ、翌朝には目を覚まして姪夫婦にいつもの嫌味と愚痴をぶちまけていた。
叔父の無事への安心と嫌気から、一家はこの週末妻の実家に滞在する予定をキャンセルして早々に引き上げてきたのだ。
全くあの調子では、あの爺は当分死なないだろう。
「パパ、ラジオ下げて。」
再び、後部座席からの指令。
慎太郎は相変わらず黙ったまま、昨日この近くの高校で1クラス丸まる全員が“行方不明”になった事件を伝えるアナウンサーの声を、車内から追い出した。
その時、殺風景なドライブインにぽつんと佇むトイレから誰か出てくるのが見えた。
紀美子の奴、やっと出てきたか。大方、功が愚図ったのだろう。功は4歳になるが、まだおむつが外れない。
慎太郎は時計に目をやった。もう30分以上も経っていたのか。
だが次に顔を上げた時、そこに居るのが妻と息子ではないと気付いた。女子高生くらいの少女が2人、大きな荷物を抱えてこちらに向かって歩いてくる。
ふと見ると、背の高い方の少女の腹が異様に膨張している。
妊婦だろうか?もしかして産気付いたとか…。
面倒事は御免だと念じる慎太郎の思いを他所に、少女の1人がこんこんと助手席の窓を叩いた。慎太郎は溜息を吐きながら窓を開ける。
後部座席で娘が「あれ誰?」と不満そうに尋ねている。
「すみません、乗せてもらえませんか?」
背の低い方の少女がにこやかに言った。慎太郎は内心苛立ちながら尋ねる。
「どうかしたのか?」
その時、突然後部ドアが開き、背の高い美少女が乗り込んできた。
「ちょっと、君…!」
慎太郎がそう言いかけた時、信じられない事が起きた。少女の服が、手も触れないのにはらりとはだけ、大きく膨らんだ腹がぱっくりと2つに裂けた。
後部座席に座っていた輝子は甲高い悲鳴を上げ逃げようとドアに手を延ばしたが、すぐに少女の細い腕にがちりと捕まってしまった。
だが何より慎太郎を恐怖させたのは、少女の腹の中にあったものだった。そこにはぐちゃぐちゃの死体が2つ。それぞれに、妻紀美子と息子功の頭が付いていた。
「う、うわぁっ…!!」
慎太郎は娘の前なのを忘れ、思わず悲鳴を上げた。その時、功がぴくりと動き、ゆっくりと頭をもたげた。
「パ…ぱ…。」
功は搾り出すような声で父を呼んだ。耐え難い苦痛から救い出して欲しくて、父に乞うた。その顔は解けたバターを被ったようにどろどろだ。
慎太郎は、それが骨だと気付くまでに時間がかかった。息子の目から、どろりとした赤い液体が流れ出た。
それが涙なのか血なのか判る前に、彼の目の前で肉の壁がバクリと閉じ、瀕死の息子を押し潰した。
「げぇ゙うっ!」
千絵は堅く閉じた第二の口の裂け目を満足げに撫でながら、耳を劈くような大音量のゲップをした。千絵の腕に捕らえられた輝子は悲鳴を上げた。
それに釣られて慎太郎も悲鳴を上げ、逃げ出そうと運転席のドアに手を掛けた。

233 :腐肉(P.N.):2010/01/04(月) 05:13:37 ID:28XebKjS
「ちょっと、逃げないでよ、おとうさん。」
助手席から声がした。いつの間にか、背の低い方の少女が乗り込んで来ていた。こちらもかなりの美少女で、まだにこやかに微笑んでいる。
「逃げたら娘さんを餌にする。」
佳奈は凄んだ。先ほどまでの可愛らしさはどこへやらだ。
「大丈夫だよ、そんな大変なお願いじゃない。東京まで乗せて。でなければ、出来るだけ近くまででいい、次の拾うから。」
後部座席の怪物が、少女の声で言った。慎太郎は取っ手に手を置いたまま、ごくりと唾を飲み込んだ。
「い、言う事を聞いたら…。」
「そしたら食べないであげる。」
助手席の佳奈が続けた。
「パパ…。」
怪物に首を締め上げられた輝子が涙を流した。慎一郎は、久々に娘の顔を真直ぐ見た気がした。
「大丈夫だ、必ずパパが助けてやる。」
慎一郎は掠れる声で娘に言った。
「じゃぁ、出発進行!」
佳奈が前を指差し、高らかに宣言した。慎太郎は震える手でエンジンを掛けると、車を発進させた。
かくして、焼けるような暑い日の昼下がり、2人の少女の逃走劇が幕を開けた。
車内は恐ろしく静かだった。実際には佳奈が勝手にラジオを入れていたし、時々流れる曲に合わせて鼻歌を歌っていたし、
運転手の妻子を消化中の千絵は時折小さくゲップをした。
その度に彼女の腕の中で、大蔵輝子は恐怖しすすり泣いた。だが、慎太郎にとっては無音も同然だった。
目の前で潰された、愛する息子の無残な姿が脳裏を過ぎる。初めての風呂、ハイハイ、歩行、初めてパパと呼んだ時の事を思い出した。
大きくなったらキャッチボールをしよう、山へキャンプへ行こう、やがて大人になったら息子と杯を交わす… そんな夢は、もう叶わない。
泣きたかった。だが涙が出ないのは、後ろで娘を人質にしている怪物への恐怖心のためだろう。
そして妻紀美子の死に対しては何の感情も起こらない自分に対する嫌悪のためだった。
だから慎太郎は、検問に気付かずに危うく前の車両に追突する所だった。大型のパジェロの尻が迫ってくるのを見て、慌てて急ブレーキをかけた。
「何?」
後ろから千絵が顔を出した。慎太郎は思わず身を引く。
「検問。」
「マジ?結構離れてるのに…。」
「ていうか、何の検問だろ?昨日の…まだバレてない筈だよね…。」
慎太郎は恐る恐る、助手席と運転席の間から覗いた怪物の顔を横目で見た。顔だけ見れば、先ほどのおぞましい光景を忘れるくらいの美少女だ。
慎太郎の心から一瞬恐怖が薄れ、彼は少女の横顔に見とれた。
「さて、作戦その一。」
その時突然少女がくるりと振り向いた。慎太郎はどきりとして身を縮めた。
「あんたがパパ、全員娘。作戦その二、あんたが先生で私たち生徒。」
「その子どうするの?」
佳奈が後ろの輝子を指差して尋ねる。
「…妹?」
千絵がそう言うと、輝子はひくりと身を震わせて泣き出した。
「さ、作戦、一で…。」
慎太郎は呟いた。
「だよねっ。じゃあよろしく、パパ。」
千絵は運転手に笑いかけ、顔を引っ込めた。慎太郎の顔に息がかかる。甘い、むかつくほど甘い香り。
それが息子と妻の肉の匂いだと分かっていたが、慎太郎は胸が高鳴るのを感じた。
それは、これから警官を騙そうとしているからなのか、それとも、あの少女に「パパ」と呼ばれたからだろうか。
「ね。」
慎太郎ははっと我に返る。助手席の少女が話しかけてきた。
「妙な事したら、殺すよ? …パパ。」
その残忍に輝く目に心底脅えながら、慎太郎は震えるように頷いた。


[続]

234 :名無しさん@ピンキー:2010/01/04(月) 13:09:56 ID:M9YurgLO
GJ

235 :名無しさん@ピンキー:2010/01/06(水) 03:12:06 ID:Tnv8MZYT
これまた面白い展開だな

236 :腐肉(P.N.):2010/01/07(木) 00:54:48 ID:kRJVL5GE
休日とは言え9月のこんな半端な時期の昼間に、片田舎の高速を走る車などそう居ない。すぐに前の車が動き、千絵たちの車の番が来た。
警官が2人歩み寄り、慎太郎は運転席の窓を開けた。外からもわっとした熱気が車内に流れ込む。
「どうも、この近くで失踪事件がありまして…。」
警官の1人が額の汗を拭いながら言った。
「ご苦労様です。」
「高校生、なのですが… 失礼ですが、娘さんですか?」
警官は車内を覗き込んで尋ねた。
「そうです。」
千絵と佳奈は声を合わせて答えた。少し遅れて輝子が「…です」と呟く。
「どちらから?」
「盛岡にある妻の実家です。これから埼玉に戻ります。」
「そうですか…。」
警官は後ろに立つもう一人と顔を見合わせ、軽く合図すると再び向き直った。
「結構です。どうぞ。」
「あ、あのっ。」
慎太郎は警官に声をかけた。何を言うつもりか、自分でも分からなかった。だが、娘を救えるチャンスかも知れないと、必死だった。
助手席の少女の視線を感じる。後部座席から「ひっ」という短い悲鳴が聞こえる。
慎太郎が振り向くと、怪物が警官からは見えないように、娘の耳たぶに唇を這わせかぷりと噛み付いた。
「どうしました?」
「そ、その高校生、何かしたんですか?」
警官の声に、慎太郎は咄嗟にそう尋ねた。
「いいえ、そういうのではないです。ただ奇妙な事件がありまして、高校の一クラス全員が、突然行方不明になったらしいです。」
その時、後部座席から千絵が顔を出した。
「パパ、この子トイレ行きたいって。」
警官はどうぞ、というように進行方向へ向かって手を差し出した。
「すみません…。」
慎太郎は何に対して謝っているのか分からなかったがとりあえずそう言って車を発進させた。
「お気をつけて。」
警官たちの姿が遠のくと、助手席の少女が運転席に身を乗り出した。
「さっきのどういう事かなぁ、パパ?」
「い、いや…」
佳奈は言い訳しようとする慎太郎を遮った。
「その行方不明のクラスってね、私たちのクラスなの。」
再びひょっこりと顔を出した千絵が、にこりと微笑み言った。
「皆、喰った。」
それから2人の少女はくすくす笑いだした。
「あ、そこで停めて。」
ふと千絵がドライブインの看板を指差し言う。
「えっ?」
「言ったじゃない、この子トイレだって。」
「あ、ああ…。」
見ると輝子は本当にトイレに行きたそうに、千絵の膝の上でもじもじしている。慎太郎は急いで斜線を出てドライブインに入った。

237 :腐肉(P.N.):2010/01/07(木) 00:59:26 ID:kRJVL5GE
佳奈が輝子をトイレに連れて行っている間、千絵と慎太郎は車内で2人取り残された。ラジオは消え、クーラーが冷気を吐き出す音だけが響いている。
慎太郎はバックミラー越しにちらちらと後ろの少女を覗き見た。もう腹は少ししか膨れていない。慎太郎は再び息子の最期を思い出し、目を背けた。
「気になる?」
その時後ろから声がし、慎太郎はびくりと震えた。シートの間から千絵がひょっこりと顔を出す。
「安心しなよ、食べないから。運転手居なくなると困るもん。」
「あ、ああ…。」
慎太郎は恐る恐る振り向くと、可愛らしい少女の顔が彼の脅えた目を覗き込んでいた。
「喉渇いたんじゃない?」
千絵は尋ねた。
「さっきから凄い汗だもんね?」
そう言うと、千絵はドアを開けて外へ出、運転席のドアを開けた。じめじめした空気の壁が押し寄せ、少女が背にした太陽の眩しさに慎太郎は目を瞬いた。
「売店、行こ?」
千絵が慎太郎の手を引いた。
「ちょっ…君、いいのか?君の友達が…。」
慎太郎は、助手席から向けられる殺意の籠もった視線を思い出し、背筋を振るわせた。
「千絵、っていうんだよ。あの子は佳奈。売店行こうよ、私も喉渇いた。」
千絵は慎太郎の手を引いてずんずん歩き出した。慎太郎は慌てて後ろ手にドアを閉めた。
慎太郎は売店で缶ジュースを2本買い、1本を少女に与えた。少女はものの数秒でそれを飲み干すと、下品なゲップをした。慎太郎は怪物に、もう1本買い与えた。
車に戻ると、千絵は2本目もさっさと飲み干し、手持ち無沙汰に缶をぺしゃんこに潰して遊び出した。
「き、聞いても良いかな…。」
何度も何度も潰されては引き伸ばされてぐしゃぐしゃにされたスチール缶をバックミラー越しに見つめながら、慎太郎が口を開いた。
「何?」
「君は…」
「千絵。」
「ち、千絵…さんは、何者なんだ?」
「随分ストレートに聞くんだね。」
慎太郎の顔から血の気がさっと引くのをバックミラー越しに見た千絵は、からからと笑った。
「だから、大丈夫だってば。 私自身よく分からないけど、とりあえず人間じゃ無いよ。人間の記憶はあるけど、生まれたときから人間じゃない。
まあ、まだ生まれて半年も経って無いんだけどね…。」
慎太郎は、余計分からなくなったがそれ以上突っ込んで聞くのは止めた。
「と、東京へ行きたいと言ったね。」
「ん。」
「どうしてだ…?」
千絵は少し考えるように鏡を見つめ、もごもごと呟いた。
「運命の人を探しに、とか…。」
「えっ?」
その時、後部と助手席のドアが同時に開き、佳奈と運転手の娘が戻ってきた。
「あちぃー…。」
佳奈がクーラーの前に顔を突き出して項垂れた。
「お姉ちゃん、あたしも…。」
後部座席から輝子が顔を出した。
「おぉ、じゃあおいで。」
佳奈は輝子の身体を後ろから引っ張りだし、自分の膝に座らせた。とりあえずこの佳奈という子がトイレの間娘を優しく扱ってくれたようで、慎太郎は安心した。
「おじさん、埼玉まで行くんだよね?」
佳奈が尋ねた。
「あ、ああ…。」
「後どれくらい?」
「一時間もかからない。夕方には着く筈だ。」
---------------------------------------------------------------------
その頃、時速270kmで山間を駆け抜ける新幹線の中で、村雨の部下、岡崎は一本の電話を受けた。通話後、岡崎はデッキから座席に戻った。
隣の座席で、村雨が数日振りの仮眠を取っていた。岡崎が村雨を起こそうと肩に手を延ばした瞬間、眼鏡の向こうの切れ長の目がぱちりと開いた。
「見つけました。」
岡崎は報告する。村雨の寝ぼけ眼は一瞬でいつもの鋭い眼光を取り戻した。
「よし。」
車内アナウンスが流れ、新幹線は一時間後に東京駅に到着すると告げた。

238 :名無しさん@ピンキー:2010/01/07(木) 19:10:55 ID:3DX4f+e8
GJ!!

239 :名無しさん@ピンキー:2010/01/07(木) 19:19:17 ID:Pzzs/8ZJ
[続]がないから続きを20時間待機してたがそんなことはなかったぜ

240 :名無しさん@ピンキー:2010/01/07(木) 21:53:30 ID:UVb5D1wd
>>239
ムチャしやがって・・・・

241 :腐肉(P.N.):2010/01/10(日) 06:02:13 ID:wjDMwITd
>>239
本当にごめんなさい!お詫び(?)にいつもより多めに書きました。
---------------------------------------------------------------------
空が桃色へ移り行く頃、千絵と佳奈を乗せた大蔵家の自家用車は埼玉県郊外のインターチェンジ手前の待避するスペースで停車した。
「ありがと、ここからなら歩ける。」
千絵はそう言って、後部座席の下に置いてあった荷物を引っ張り出した。外は日中に比べれば幾分か涼しくなっていたが、湿度は相変わらずでべたべたと肌に纏わり付く様だ。
「東京まで歩かなくても、降りてしばらく行ったところに駅がある。大宮まで出て乗り換えれば良い。」
慎太郎が言った。
奇妙な感じだ。この数時間の間に、この怪物のせいで家族が半分になったと言うのに、なぜここまでしてやるのか自分でも分からなかった。
なぜ愛着を持つのか…。
その時、何か液体の飛び散る音がした。ふと見ると、フロントガラスに黒っぽい液体が飛び散っている。
血だ…!
慎太郎は急いで愛娘の方を振り返ろうとした。だがその時、ぐらりと首が揺らいだ。下を見ると、どす黒い血がシャツを染め、革のシートの縫い目に溜まっている。
「えっ…。」
これは俺の血なのか…?
なぜだ?
首から血の前掛けを垂らしたような姿の大蔵慎太郎は、その疑問に答えが見出せないまま、ハンドルの上に覆いかぶさるように倒れた。
力の抜けた身体の重みでクラクションが鳴り響いた。佳奈は急いで運転手の遺体を蹴ってハンドルから落とすと、後部座席の幼女の方を向いた。
大蔵輝子は何が起こったのか分からないという顔で佳奈を見上げた。その顔には、父親の血の飛沫が付着している。
輝子は顔についたそれを掌で拭うと、真っ赤に汚れた自分の手を見つめた。
「ふぇ…。」
喉からそんな音を漏らし、泣き声を上げかけたその時、佳奈の手にしたカッターナイフがびゅっと音を立てて幼女の視界を横切った。
次の瞬間、フェルト張りの車の天上に鮮血を吹き上げた。佳奈は返り血を防ぐために助手席の陰に身を隠した。幼女の身体は前のめりに倒れ運転席に支えて動かなくなった。
「佳奈…?」
開け放した後部ドアの向こうで、千絵がきょとんとして首をかしげた。薄暗い車内で、佳奈の目が異様な光を帯びているのが見える。
その向こうの車道を、ヘッドライトで前だけ照らした様々な車たちが、こちらで起こっている事には見向きもせずに過ぎ去っていく。佳奈はもぞもぞと助手席に戻ると、外へ出てきた。
「行こう。」
車を回って千絵の方へやって来た佳奈は、荷物を掴むともう片方の手で千絵の手を引いた。
「殺した?」
千絵は車の方を振り返りながら尋ねた。
「うん。“食べない”として言ってないし。行こう、気付かれるとやばい。」
佳奈はガードレールをひょいと乗り越え、茂みの中に着地した。
「佳奈。」
千絵は佳奈の肩を両手で掴んで振り向かせた。力を込めすぎて、佳奈の華奢な身体は持ち上がりそうだった。佳奈はびっくりしたような、脅えたような顔で千絵を見た。
「食べないものは殺しちゃいけないんだよ?」
千絵は諭すように言った。
無論大蔵親子に“人間的”同情を覚えたためなどではなく、単純にもったいないからだった。千絵は体育館に残してきた級友達の肉の事を口惜しく想った。
佳奈は黙って千絵を見つめていたが、次の瞬間、堰を切ったようにその目から涙が溢れ出した。
「だって… だって…。」

242 :腐肉(P.N.):2010/01/10(日) 06:03:17 ID:wjDMwITd
千絵は佳奈の肩を放した。佳奈はスポーツバッグを叢の中にどさりと落としてガードレール越しに千絵に抱きついた。
「怖かったよぅ…。」
佳奈はしゃくり上げながら、罪を告白した。
「あっ、あっ… あたしねっ… ママ…ママをこ、こ…」
佳奈が何を言おうとしているのかが分かると、千絵はぎゅっと彼女の頭を抱きしめた。
服が涙と鼻水で湿り、佳奈の髪はくしゃくしゃになったが、2人ともそんな事は気にしなかった。
しゃくり上げるのが少し収まると、佳奈はやや落ち着いた声で小さく呟いた。
「殺したの…。」
千絵は佳奈の頭を撫でた。
「ごめんね佳奈。私のせいだ。」
千絵は呟いた。佳奈はすぐに千絵から離れると、落としたバッグを拾い上げ、千絵に手を差し伸べた。
佳奈の助けが無くとも、この位のガードレールは超えられるのにと、千絵は何だかおかしくて微笑んだ。
「私が、千絵をま… 護るもん。」
まだ少ししゃくり上げながら、佳奈が言う。
私も、全力でこの子を護ろう。もう夏の時のような思いをするのは嫌だ。今度こそ… 口にこそ出さなかったが、千絵はそう誓った。
もう後戻りは出来ないのだ。だから今は、残してきたもの全てから目を背けて逃げても良い時だと、少女たちは思う事にした。過去は消せないと分かっていながら。
2人は荷物を持って人が来る前にその場を離れた。酷く疲れていた。
東京の電車の事も分からないので、その日は駅の場所だけ確認して、近くのホテルに泊まる事にした。ついでに駅で路線図を一部貰ってきた。
ホテルの部屋は嫌いだった。
末永雅人と一緒に“死んだ”あの時の事を思い出すからだ。だが今回は、隣りに佳奈が居る。その分、少しは気が安らいだ。
これからこういう暮らしが続くかも知れないのだから、慣れなくては、と千絵は思った。未知の世界に脚を踏み入れたのだ。
だがそんな戸惑いも、夜のニュースに吹き飛ばされ一気に興奮へと変わった。
千絵がシャワーから出ると、佳奈はベッドに腰掛けてテレビを見つめていた。千絵が横に腰を下ろしても、振り向きもしない。
「シャワー良いよ。」
千絵は念のために宣言した。
「ニュース、やってない。」
佳奈が呟いた。
「んー?」
千絵はバスタオルで煩わしそうに長い髪をぐしゃぐしゃに乾かしながら尋ねた。
「高校の事も… 私の家の事も。」
佳奈はチャンネルをかちかちと変えながら苛立たしげに言った。
「どういう事だろう…。」
「環境庁が規制してるんだ。」
「でも警察は本当の事を知らないみたいだったよ?」
佳奈はザッピングを止めるとベッドの上に胡坐をかき、考え込むように唸った。
「んー… 怪物の存在は知ってるけど、それがちぃちゃんだとは気付いて無い?」
「うにゃ、村雨の口調だと、十中八九私は関係者って確信してた。」
佳奈は溜息を吐いて、胡坐のまま上半身をベッドの上に倒した。
「はぁーあ、大人の考える事は分からん!」
ふと、佳奈は千絵が裸なのに気付いて凄い勢いで目を背けた。
「ふ…服、着なよ…。」
「なぁにー?赤くなってんの?」
千絵は意地悪くにやにやと笑った。


243 :腐肉(P.N.):2010/01/10(日) 06:10:31 ID:wjDMwITd
「…変かな。」
佳奈がぼそりと言う。
「ん?」
「昨日から何か変なの。身体が熱くて…ずっと。熱があるのかな?それで、自分の鼓動が凄く大きいの。」
「恋かにゃ?」
そう言って千絵は佳奈をベッドに引き倒した。佳奈は悲鳴を上げながらのた打ち回り、千絵はそれがくすぐったくて笑った。
その時、そのニュースが飛び込んできた。
「佳奈…」
千絵は呼びかけるが、復讐に燃える佳奈はくすぐるのを止めない。
「佳奈、しぃっ。」
「何だよ、ちぃちゃんから先に…」
そう言いかけて佳奈も、ブラウン管の中の眼鏡をかけたキャスターが何を言っているのか気付いた。千絵は勢い良くベッドから起き上がると、音量を上げる。
屈んだ時に恥部が露わになり、佳奈はまた目を背けた。
「警察では8月に起きた八王子市の事件との関連を調査しています。繰り返しお伝えしておりますのは、本日午後、地下鉄丸の内線で起きた事件の続報です…」
テレビ画面がキャスターの顔から、立ち入り禁止のテープの貼られた駅の映像に切り替わった。奥の方に、ホームに乗り上げて拉げた電車の車両が見える。
「本日午後、方南町駅で電車が停止せずにホームへ衝突する事故がありました。また、中野富士見町、方南町区間で走行中に車掌及び乗客が全員行方不明になったと見られ、
警察ではその人数の確認と個人の特定を急ぐと同時に、地下鉄丸の内線を前線運行停止し…」
「丸の内線!」
千絵は小さく叫ぶと、鞄から駅で貰って来た都内の路線図を引っ張り出してチェックした。新宿のそば。
「やっぱり、やっぱり居たんだ…。」
千絵の全身を興奮が駆け巡る。
「明日、近くに行ってみよう。」
千絵は目を輝かせて佳奈の方を向いた。佳奈はと惑うような視線をちらりとテレビに向けてから徐に口を開いた。
「もし… もしまた…出会ったら?」
「えっ…」
千絵は口ごもった。そう言えば、彼女がなぜオリジナルを探したいのか、佳奈にまだ話していなかった。
「もしかして千絵…そのために東京…」
「ごめん。」
千絵は殴られるのを避ける犬のように頭を下げその上で手を合わせた。
「どうしても、私はあいつを見つけ出したい。」
「見つけ出してどうするの…?」
千絵がどう答えようかと迷って佳奈の顔をちらりと見ると、その様子から佳奈は悟ったらしく、何故かぱあっと顔を輝かせて、
「食べるの!?」
と声を殺して叫んだ。
「すごい!」
何がすごいのか千絵には分からなかったが、怒られずに済みそうだと分かってほっとした。
「出来れば、ここはチェックアウトしたい。もっと近いところ、新宿の辺りに新しい“ねぐら”を見つけたい。」
「でも、もう近くに居ないかも知れないよ。」
「あいつが近くに居れば、私には分かる。だから佳奈も護れる。」
その時佳奈の中で先ほど感じた不安が再び首を擡げた。
あれ以来聞こえてくるのは、自分の鼓動だけではなかった。千絵の心臓の音も聞こえていた。まるで自分の心臓の隣りで鼓動しているように、凄く近くに…。
“あれ”というのは何の事か?佳奈には大体予想がついていた。大分時間が経ったように感じるが、まだ昨日の事なのだ。
佳奈は、福沢に撃たれて傷ついた千絵の傷口から、血を飲んだのだ。もしかすると…。
佳奈の懸念を他所に、千絵は明日の予定について喋り続けている。楽しげに(しかも全裸で)話す千絵を眺めているうちに、佳奈の不安は少し安らいだ。
ふと思い出したように千絵が言う。
「そう言えばシャワーは?」
「あぁ、うん…。」
テレビはもう別のニュースに変わっている。大都会では、毎日こうなのだろうか。佳奈は一瞬ぼぅっと画面に映る火事の映像を眺めてから、立ち上がってバスルームへ向かった。
千絵と一緒に入りたい… などと思う自分は、おかしいだろうか?
シャワーを浴びる間、千絵の事ばかり考えていた。身体が、湯の温度以上に熱く感じた。風呂から出ると、千絵は裸のまま布団の上で眠っていた。
佳奈は使っていないタオルを持ってきて上からかけてやった。それから気付かれないようにそっと、獣にしては静かな寝息を立てる親友の頬に口付けた。


244 :腐肉(P.N.):2010/01/10(日) 06:14:46 ID:wjDMwITd
[続]
--------------------------------------------------------------------
という訳で東京にやって来ます。
何かリクエストがございましたら可能な範囲で(前回あった魔人ブゥ式は、千絵の身体の構造上どうやって良いのか分からずお応え出来ませんでした、すみません!)
応えますのでお聞かせください。

245 :名無しさん@ピンキー:2010/01/10(日) 07:25:52 ID:s7/x1YXu
くぱぁ

246 :名無しさん@ピンキー:2010/01/10(日) 11:07:08 ID:qa9ty9Ra
腐肉さんGJ!!
リクはある意味王道「セル式」キボン

千絵の触手でずるずる呑まれて腹まで逝きたい・・・

「和姦」ならぬ「和喰?」も好きなので病院の少年の話は好きです

>>245
どストレートワロタwwww

247 :名無しさん@ピンキー:2010/01/10(日) 12:11:20 ID:Hl3FmiBV
おちんちんを食べる系リクですー
あとはいつもばくばく食べちゃってるので「味わう」描写も

248 :名無しさん@ピンキー:2010/01/10(日) 15:38:42 ID:vsVVyxyb
ショタが嬲られた挙句食べられるのを希望

小学生や奏、謎の患者や巧って結構出てるけど、何気に描写は少ないという

249 :名無しさん@ピンキー:2010/01/10(日) 15:53:31 ID:LHJ65gSb
美味しそうな女の子を
腹の中で飴玉のようにじっくり舐め味わうとか……
その様子を見た佳奈たんが
中の様子を妄想して秘所まさぐりはじめちゃったら、もう!

あと、今度は食い残ししないよう
もっと多くの人間が喰えるように
触手(舌)でも丸呑み可能になる→セル式丸呑みとか
銃弾でも致命傷にならないように
不定形化可能になる→ブウ式丸呑みとか
そんな僕らの夢にむっちゃ都合の良い
獣の適応力が発動するといいなぁ。

そして佳奈たんまでフラグか……ほんと面白いです。

250 :名無しさん@ピンキー:2010/01/11(月) 20:00:09 ID:XgQHLBh0
中野富士見町〜方南町ってめっちゃ近所やわ

251 :名無しさん@ピンキー:2010/01/12(火) 00:26:28 ID:5w4S8tPh
>>249と同じ意見だけど、腹の中でじっくり味わうのをやって欲しいな。
あと、腹の中の様子を呑まれた人視点で描いて欲しいかも。

252 :名無しさん@ピンキー:2010/01/12(火) 23:36:24 ID:zp2QfQpR
頑丈なドアを閉めて立てこもったら大丈夫ですよ

253 :腐肉(P.N.):2010/01/13(水) 04:35:32 ID:A7WfDhgS
翌朝、2人は駅の表示を頼りに電車を乗り継ぎ首都東京へ向かった。
東京駅に着くと、2人は件の地下鉄丸の内線を探して、丸の内出口から外へ出てしまった。目の前には大都会が広がっていた。
千絵は眩暈を感じた。ぶつぶつ文句を言う佳奈に抗議して(「だって、丸の内って書いてあったんだもん!」)短い議論の末に少し歩いてみる事に決まった。
巨大なビルの間を右も左も分からないまま進むと、すぐに皇居が見えてきた。
2人は皇居をぐるりと周る様にして歩いたが、外苑の予想以上の広大さに、結局四ツ谷の辺りまで到着したのは午後になってからだった。
2人はファストフードのチェーン店で軽い昼食を取って少し腰を落ち着ける事にした。
佳奈に「目立たないように」と念を押された千絵は、ハンバーガーは10個で抑えておく事にした。それでも周囲からじろじろ見られたが、佳奈は何も言わなかった。
それよりも彼女は、どうして日曜日の昼に制服を着た女子高生がこんなにたくさんファストフードの店に居るのだろうという事を気にしていた。
腹が“少し”満ち足りると、2人は丸の内線の駅を見つけ、電車に乗り込んだ。
「完璧な閉鎖空間、しかも隣りの駅まで5分弱。乗客は年齢も性別も各種取り揃えております、か。理想の餌場だね。」
千絵は車両を見渡して感心したように言った。
「5分で済むの?」
佳奈が興味ありげに尋ねる。
「“あいつ”なら… 6両だし、午後の多分人の少ない時間帯なら。」
千絵は路線図を眺めながら、中野坂上で枝分かれした赤い線を辿った。路線が変わるのだろうか?なのに同じ丸の内線?
千絵と佳奈はあれこれ推測しあったが(「車両が分かれるのかな?東京の地下鉄はすごいね!」)中野坂上に到着すると乗換えが必要だと判明した。
「短い区間に駅が3つ…理想的な餌場だ。」
と千絵は再び感心した。当然ながら中野坂上から方南町間はまだ運休しており、ホームの半分は柵で仕切られ、その向こうは警察だらけで
暗い穴のような路線の向こうからは懐中電灯の光がちらちらと見える。
「本当に行方不明になった人たちが暗い地下でうろうろしてると思ってるのかな。」
佳奈は、新たに参入してきた捜索隊が、両脇のホームから、3つ並んだ線路のうち真ん中の方南町方面の線路に降りるのを眺めながら蔑む様に言った。
「“あいつ”が地下に潜んでるかも。」
「だとしても、この辺りにはもう居ない…。」
「分かるの?」
「何となく。同族が近くに来ると、分かる気がする。」
佳奈は首をかしげた。
「どうして?今までお仲間に出会ったことなんて無いでしょ?」
改札階へ向かう階段は東京駅以上の混雑ぶりだった。一段一段のろのろと上がって行く塊のような人間の集団について行きながら、千絵はどう説明して良いのか迷うように答える。
「何となくだよ。捕食動物は“縄張り”を侵しちゃいけないから、分かるように出来てるんだ、きっと。」
「どういう感じがするの?」
佳奈はわくわくしながら尋ねた。
「んー… その時が来れば分かるかな。」
佳奈は、やたらと大きく聞こえる千絵の鼓動に耳を傾けながら、その感覚を想像した。周囲の人間たちの匂いを強く感じた。佳奈には分かっていた。
自身の肉体が、人ならざる者へと確実に変成を始めているのだと。
中野坂上駅には改札が一箇所しか無いのがこの混雑の原因だった。その唯一の改札の半分は警察の出入り用に閉鎖されていたからだ。
地上出口へ続く階段も、片方は警察用に閉鎖されこちらも柵で仕切られており、地下鉄利用者らは改札を出ても、地上までぞろぞろと列になって階段を上らねばならなかった。
地下鉄と駅自体を閉鎖する、即ち東京都民の足を奪う事が、行方不明者らの命と秤にかけられた結果、通勤する学生やサラリーマンらの交通手段の確保が優先されたのだ。
千絵はますます、“理想の餌場”だと感心した。
地上出口付近にはマスコミが殺到しており、丸の内線の池袋-荻窪間での運行再開を報道するテレビクルーらがこぞって地下から脱出して来た乗客らにマイクを向けていた。
2人はそれらを避けようとしたが、結局怒涛のような人の波に押されるまま駅から離れるのが一番有効だった。

254 :腐肉(P.N.):2010/01/13(水) 04:36:46 ID:A7WfDhgS
人ごみが減ると、2人は地図を見ながら目的地方南町を目指し神田川に沿って歩き出した。
「わーかーかーった、あのーころー、なーにーもーこわーくー、なかーった…」
方南通りに行き着き川から離れるまで千絵はずっとうろ覚えの歌詞を調子外れの音で口ずさんでいた。
「たーだー、あなたのーやさしさーがー、こーわーかーったー…」
--------------------------------------------------------------------
2人は方南町駅から少し離れた安ホテルを今日のアジトに定めた。
荷物を下ろすと、千絵はすぐに出かけたがった。時刻は4時を回っておりお腹がぺこぺこだった。
疲れたと言ってベッドにうつ伏したきりうめき声しか出さなくなった佳奈を残して、千絵は“食事”に出かける事にした。
9月だと言うのに、東京はまだべたべたと張り付くような暑さが残っている。
千絵はショートパンツとキャミソールというラフな服装に着替えながら、だるそうに布団の上に広がる佳奈に尋ねた。
「帰りに何か買って来ようか?食べ物とか。」
「うー…。」
千絵はキャミソールを脱ぎ捨て薄手のパーカーに着替えながら溜息を吐いた。“食事”の時、前の開く服でないと口を開けた時に駄目にしてしまうからだ。
「…適当に買ってくるよ。」
「うー…。」
しばらくはこの辺りを根城にするつもりだったので、千絵はホテルの周辺を一通り散策すると、少し離れた所まで出る事にした。
そうだ、私は今東京に居るのだ。ぱっと思いついたのが、渋谷だった。
地下鉄では乗継が面倒くさい事を知り、近くのタバコ屋で教えてもらったバス停からバスで行く事にした。
所要時間は30分強と言ったところで、意外と近かったという事実に驚いた千絵は、もう少し離れた場所にしようかと思ったが、東急前に降り立った瞬間あまりの人の多さに不安は消し飛んだ。
これでは、どこで誰が消えても分からない筈だ。だからオリジナルはこの街を選んだのだろう、とまた感心してしまった。
人の波に流されるままぶらぶらと歩いていると、109が見えてきた。思っていたより小さかった。千絵は階段の端に腰掛け人々を観察した。
道玄坂交差点の辺りには若い女の子が多く目移りする。だがこんな往来で襲うわけにも行かず、どうやって人気の無い場所へ連れ込もうかと考えていた。
そもそも、この辺りに人気の無い場所などあるのだろうかという気さえする。付けて行く?いやいや、行ったは良いが、こんな見ず知らずの街で帰れなくなったら嫌だ。
そんな時、通りの向こうからこちらを見ている男たちが居るのに気付いた。毛髪を明るい色に染めた3,4人の若者集団。千絵が顔を上げると、1人と目が合った。
目が合った彼は有頂天の様子で仲間たちにしきりに何かを訴えている。信号が変わると、若者たちは洪水のような往来を掻き分けこちらに向かってスキップするように歩いてきた。
「や、やぁ。」
目が合った1人が声をかけた。後ろで他の仲間が「おいなんだよその声のかけ方はよぉ」と冷やかす。
「君、今から暇?予定ある?」
唇に空いた穴から鎖の付いたピアスをぶらさげた男がずいと前に身を乗り出し尋ねた。口から甘ったるい人口香料の臭いがする。
「俺たちさ、これからクレアヴォーヤンスってクラブのイベント行くんだけど、どう?」
千絵が何も言わないうちに男たちはむかつく香りを撒き散らしながらこれだけの情報をまくし立てた。
「んー…」
「ああ、お金要らない、おごるよ、なっ?」
「おう。」
「良いけど、女の子私だけじゃないよね?」
千絵は男たちを見上げて尋ねた。自分を“女の子”と呼んだことで笑い出しそうになるのを堪えねばならなかった。
付いていけば女の子に出会えるかも。もし駄目なら、今日は我慢してこいつらを…。
「ないない、ないよ、なっ?女の子も居るよ?」
「い、いや、俺たちそんな、あれだから、別に変な事考えてないっつーか…ちょっと一緒に踊ったり楽しくしたいだけだから。」
最初に目の合った一番気弱そうな男がチンパンジーのように垂れ下がった鼻の下を指先で掻きながら言った。
千絵はこの集団に付いて行く事にした。立ち上がると、男たちは意外と小さく、千絵と大して変わらなかった。
先導はチェーンピアス男で、彼は千絵を隣りに並ばせあれやこれやと彼女の事を尋ねた。(「へぇ18なんだー高校生?えーまずくない?マジっすか、大胆っすねぇー」)
後ろで他の仲間たちが、千絵の露出した脚を凝視してでれでれと顔を弛緩している。千絵は何だか腹が立った。
機会があれば、こいつらも喰ってやる。

[続]

255 :名無しさん@ピンキー:2010/01/13(水) 18:28:29 ID:bbBkT7yM
千絵って味や対象の好みとかあるのだろうか

256 :名無しさん@ピンキー:2010/01/13(水) 19:25:05 ID:h6w0F3Nh
女の子ウマぁー

257 :名無しさん@ピンキー:2010/01/14(木) 20:03:15 ID:6DBlD7YY
久々にアク禁解除
たまには絵をうpしちゃうよ
年明け用に描いたやつだけど見てやってくださいな


ttp://girlfriend.is-a-chef.org/up/No_0014.jpg

258 :名無しさん@ピンキー:2010/01/14(木) 23:34:51 ID:Dt29XLg8
>>257

おお、GJ!!

259 :腐肉(P.N.):2010/01/15(金) 05:41:09 ID:TH02qTDN
ホールは頭をガンガンと殴られるような爆音と、不規則に動く目を刺すような色とりどりの無数の光線に満ちていた。
千絵はダンスフロアの端のバールラウンジの小さな丸椅子に腰掛け、呆然とホールを眺めていた。
たくさんの若者たちが、この暴力的な音に脳みそを揺さぶられるかのように狂人さながら激しく揺れ動いている。
これではうまそうな餌を判別できたもんじゃない。皆同じ臭い…汗と、人口香料と、アルコールの臭いを放って狂って居る。だがそれ以前に千絵はまずその場の空気に圧倒されていた。
クラブって実在したんだ…都市伝説かと思ってた。
怪物はそんな事を思っていると、チンパンジー面の彼が何か飲み物を持ってやって来た。一口飲んで吹き出した。
「お酒、飲めないの?」
「いや飲んだ事無いんだけど…」
千絵は口からたらりと垂れた唾液を手の甲で拭いながらげっそりとして答えた。これは駄目そうだ。好き嫌いの問題ではない、この液体は私のとって毒だ、と悟った。
「へーえ、意外…。」
「何が?」
千絵はチンパンジーを睨みつけた。彼はおどおどしながら言い訳する。
「いや、君みたいな子だったら、一度くらい経験あるかと…」
「セックスの話?」
千絵は嫌がらせのつもりでにやりと笑って見せた。案の定チンパンジーはうろたえる。
「いや、だからお酒…」
この男はきっと童貞だなと千絵は確信した。臭いで分かる。
「べ、別の貰ってくる。ジュースが良いかそれとも…」
千絵は童貞を睨む。
「な、何でもいいよねっ、ソフトドリンク…」
チンパンジーが消えると、すぐ後ろで控えていた別の男がずいと歩み出て、勝手に千絵の向かいに座った。
「彼氏?ひでえよな、こんな可愛い娘放っておいてよ。」
「…誰だっけ?」
千絵は首をかしげる。
「おぉっと…。」
革のジャケットに身を包んだ男は、やられた、というように大袈裟に手を上げてみせる。
「自己紹介まだだったよね、俺、佐野河って言うんだけど。これでも一応、役者やってんのよ。」
「へぇ…映画ですか?」
千絵は少し興味を持った。
「まぁね。映画好き?」
「まぁね。」
千絵は男の言い方を真似て言った。
「どんなの好きなの?」
自称俳優佐野河は会話の糸口を見つけたとばかりに食いついた。
「ホラー映画とか。」
「へーえ、『リング』とか?」
「それまだ見てない。『死霊のえじき』が好き。クライマックスでゾンビたちが寄って集って人間の内臓を食い千切るの。映画史に残る名シーンだと思うな。」
佐野河はまるで悪い事でも聞いたように話題を反らそうとした。挙句、勝手に千絵の手を取り「踊ろう」とホールに引きずり込んだ。
バールから数メートルしか離れていないのに、たちまち音楽が肋骨を叩くような衝撃に変わる。千絵は振り回されまいとバランスを保ちつつ適当に腰をくねらせた。
だが怪物の筋力を以ってすれば普通のダンスになどなるはずも無く、いつの間にか千絵はアクロバティックな動きで自分より背の高い男をリードしている形となり、周囲からどよめきと歓声が上がった。
「ひょぅ、タフだね。」
佐野河が声を上げる。
千絵は焼けるようなむかつきを覚え、思わず胸に手を当てた。さっきのアルコールがまだ残っている。
佐野河は千絵の様子に気付かず今度は自分がリードしようと肩に手を延ばした。途端に、胃液が込上げてきた。
ここではまずい!
「ごめん無理!!」
随分省略したが、一応謝罪を述べ千絵は半ば佐野河を突き飛ばすようにして人ごみから駆け出した。
「千絵ちゃん!オレンジジュース!」
後ろからチンパンジーの間抜けな声がしたが、千絵は無視してトイレに駆け込んだ。

260 :腐肉(P.N.):2010/01/15(金) 05:43:06 ID:TH02qTDN
ドアを吹き飛ばさん勢いで個室に飛び込むと、冷たい光を放つ金属製の便器に激しく嘔吐した。
「おぇ…」
千絵はトイレットペーパーで口を拭おうとして、便器から煙が立ち上っているのに気付いた。見ると、千絵の下呂と胃液を浴びた便器がどろどろに溶けていた。
「はぁ…」
千絵は溜息を吐くと、洗面台に立ち口を洗った。僅かに残っていた嘔吐物と唾液で、同じく金属製の洗面台も少し溶けた。散々だ、ここへ来たのが間違いかも知れない。
少なくともアルコールはもう止めよう。
その時、2人の若い女性がきゃっきゃと笑いながらトイレに入ってきた。2人とも化粧が濃いがアルコールの臭いがあまりしない。
これは良い所に…。
千絵は、後ろを2人が通り過ぎていくのを鏡越しに眺めると、鏡面に写った自分に向かって邪悪に微笑みかけた。
「うわっ、ちょっと何これ…!」
奥の個室の方で1人の女性が声を上げた。恐らく溶解した便器を見つけたのだろう。千絵はそっと、入り口のドアに鍵をかけると、そのまま力を込めてドアノブをへし折った。
怪力に負けた鉄のノブは思いの外大きな音をタイル張りの密室に響かせ、2人は戸口に立つ千絵を振り向いた。
この時初めてこの少女の存在に気づいたように、目を丸くする。
「あの、何か…」
1人が口を開きかけた時、千絵は徐にパーカーのファスナーを下ろし、その下で待ち構えていた怪物を解き放った。
艶かしくうねりながら飛び出した触手が、一瞬で1人の女性を捕らえる。悲鳴を上げる前に、口の中に入り込む。
もう1人は濡れたトイレの床に尻餅を付き、口を金魚のようにパクパクさせながら、引きつった顔を千絵と、ぴんと張ったピンク色の巨大な舌に交互に向けた。
「しぃっ…。」
千絵は指をそっと唇に当てた。
「そこから動かないで居られたら、君は食べないであげる。」
“食べる”という単語に、触手に囚われた方の女性の顔が恐怖に歪み激しく身悶える。千絵は意地悪く笑うと、しゃがみ込み、ゆっくりと舌を引き戻し始めた。
まるで金魚すくいでもする子供のように。
囚われた女性は必死に抵抗しようともがいたが、強靭な触手はますます彼女の身体を締め付け、みるみる戸口に居る怪物の方へ近づいていく。
彼女はつるした床にすがり付こうと手を延ばした。爪がタイルの隙間に引っかかったが、あっけなくぽっきりと折れた。
その痛みに身悶えるも、彼女は諦めずに死に物狂いで床を引っ掻いた。爪の破片が飛び散り、ぼろぼろになった指先が真っ白なタイルに10本の血の線を描いた。
千絵の手が女性の脚を掴んだ。
「んー!!!」
彼女は叫び(声はくぐもったうめきにしかならなかったが)、怪物が可愛らしい目を細めて彼女を見下ろすのを見た。
「いただきまぁす。」
千絵の唇から唾液が滴り落ち、腹の亀裂が喉元まで延び、やがて口とつながると、少女の身体が真っ二つに割れたかのような巨大な口が開いた。
鋭い牙が並んだそれは、ただの口ではない。いわば千絵の身体は、手足の生えた、知能のある巨大な胃袋なのだ。
千絵は女性の身体をひょいと持ち上げると、綿菓子を口に放るように、ぽいと口の中へ放り込んだ。
「いやっ…!」
その時、「動くな」と命じられていた残りの女性が掠れた声で小さな悲鳴を上げ、後ずさった。千絵は腹の中の肉を咀嚼しながら、彼女の方に目を遣ると、にぃっと笑って言う。
「君の負け。」
千絵は立ち上がった。女性は目に涙を溜め怪物を見上げる。人一人分、腹が膨れ上がっていて、蛍光灯の光を逆行にしたそのシルエットは異様に巨大に見えた。
膨れた腹はびくんびくんと痙攣するように不気味に動いており、時折くぐもった喘ぎ声が聞こえる。女性の前まで来ると、千絵は屈み込み彼女の顔を覗いた。
「お仕置き、だ。」


[続]

261 :名無しさん@ピンキー:2010/01/15(金) 13:40:41 ID:aSeODsuS
あいかわらずGJ

262 :名無しさん@ピンキー:2010/01/15(金) 20:35:40 ID:lpLu2D21
チンパン良い奴っぽくて好感だ
すぐ死ぬんだろうけど

263 :名無しさん@ピンキー:2010/01/15(金) 22:31:21 ID:Sy3PSycE
スプラッター系映画大好きな18歳女とか常人じゃまともに返せないわなw
元からそういう趣味があったのか、今からかが気になるところ

>>257
ヒャッハー!捕食絵だー!
俺も飛び込んで飲み込まれたい

264 :名無しさん@ピンキー:2010/01/15(金) 23:36:14 ID:eObAaeF7
死霊のえじきは泣ける

265 :腐肉(P.N.):2010/01/16(土) 00:55:31 ID:bU4xMy5J
怪物は彼女の喉下から顎の下にすっと指を這わせると、彼女の耳に顔を寄せ、凄まじく大きなゲップをした。密室に反響したその不快な轟で、女性の鼓膜は一瞬で弾けた。
彼女は悲鳴を上げた。だが何も聞こえない。どちらにちろ、騒がしいホールには届くはずも無かった。だが千絵は悲鳴を上げる女性の顔を口元に持ってくると、黙らせるためにキスをした。
文字通り、死のキス。死と腐敗のキスを。
千絵は口から女性の中に強酸性の唾液を流し込んだ。女性の口内、舌や歯茎、頬の肉が煙を上げてどろどろのゼラチン質に変質した。礎を失った白い歯が、ぽろりと口から零れ落ちる。
唾液は喉へ下って声帯を焼いた。だが、それくらいで人は死なない。声を失ってぼろぼろになった女性は、床にどさりと倒れて後尚、逃げようとタイルを這った。
千絵の腹から再び触手がにゅるりと顔を出した。今度は、10本程の触手が絡み合い一本の巨大なチューブを形作った。
禍々しい肉で出来た掃除機のようなそれは、這い蹲る女性の脚を捕らえると、膝の辺りまで一気にすっぽりと呑み込んだ。
「んっ…」
千絵は舌の筒が感じる彼女の皮膚の感触を味わった。触手は女性の身体を持ち上げると、逆さ吊りにしてずるずると呑み込み始めた。スカートがめくれ、下着が露わになる。
千絵はその薄い布に爪を立ていとも簡単にびりっと引き裂き、秘所を露出させると、顔を近づけべろりと舐めた。独特の塩気が怪物の食欲を掻き立てる。
彼女は処女だ。人間は見かけによらないものだな。
千絵の中に邪な欲望が生まれた。チューブの奥から一本の細い触手が現れ、女性の膣にずるずると押し入った。抵抗を止めていた彼女はこの時ばかりは足掻こうとした。
だがすぐに訪れた絶頂が、彼女からその気力を奪ってしまった。初めてだった。触手は尚も彼女を嬲り続ける。やがて彼女の下半身が全てすっぽりとチューブに飲み込まれても、
肉の壁の中でまだ彼女を甚振った。
「気持ちーい?」
千絵が尋ねた。千絵の、食欲と性欲の融合した肉体もまた、絶頂を迎えて身悶えた。紅潮した頬、緩んだ唇、潤んだ目。
顔だけ見れば、人並みに性的快楽を感じるごく普通の少女のようだが、彼女の腹からは巨大な触手が伸び、成人女性を丸々1人呑み込んでいるのだ。
やがて、彼女の頭まですっぽりと触手に包み込まれると、彼女は窒息して死んだ。それまで、触手に秘所を犯され肉の壁に乳房を蹂躙され、彼女は普通の女性の一生分以上の
快楽を味わったことだろう。触手は、小動物を飲み込んだ蛇のように、肉の塊を奥へと押し込んだ。やがて千絵の中に達すると、触手は集合形態を解き、再びばらばらになって
彼女の中へと引っ込んでいった。千絵はゲップをすると、巨大な腹をぽんぽんと叩いた。
「さて…」
千絵はパーカーを羽織って呟いた。(当然、ファスナーは閉まらない。)
「どうやって出よう…。」
その時、奥の方でカタンと物音がした。千絵は初めて、6つある個室のうち1つのドアが閉まっている事に気づいた。誰かが入っている。
千絵はぺろりと舌なめずりすると、沈黙する木戸へ向かってのっしのっしと歩み寄った。
「出といでよ。」
千絵は優しく声をかけ、そっとドアに手を延ばした。当然、鍵はかかっている。返事は無いが、かたかたと震えるような音がする。
「ね、ちょっと話、しない?」
千絵は、ドアの向こうで脅えている生き物に話しかけた。相変わらず、返事は無い。
「出て来ないなら、今からこのドアぶち破る。危ないよ。」
次の瞬間、千絵の引き締った脚が宙を舞い、ドアに叩きつけられた。金属の蝶番はひとたまりも無く弾け飛び、砕けたドアの木片と一緒に飛び散った。
木の裂ける音と金属がタイルにぶつかる甲高い音が、便器の脇に蹲った女性の悲鳴をかき消す。勢い余った千絵の脚は壁の一部を抉り、大きく弧を描きタイルの床に着地した。
脅えた女性は目に涙を浮かべて、消えたドアの前に立つ怪物を見上げた。千絵は胸の奥がきゅっと反応するのを感じた。同い年くらい可愛らしい少女だ。
千絵には劣るもののスタイルは良さそう(しゃがんでいるので定かではないが)で、引き締った身体つき、それでいて胸や腿はふっくらと柔らかそうだ。口の中が唾液で満ちる。

266 :腐肉(P.N.):2010/01/16(土) 01:00:27 ID:bU4xMy5J
「い、いや…」
少女は震えながら首を振った。
「た、食べちゃいやぁ…」
少女は泣き出した。千絵は今すぐその儚げな肉体をぐちゃぐちゃにして呑み込みたい衝動に駆られ、少女の首を掴み上げると口元に引き寄せた。
べろりと舌を出し、少女の滑らかな肌に這わせる。全感覚から彼女の“味”が千絵の中に入ってきた。その甘美さに千絵は身悶えた。
「かあいいね。」
舌をだらりと垂れ締まりの無い口で呟く。千絵の熱い息が、少女の肌を焼いた。
少女は喘ぎ声を上げて悶えたが、金属製の便座の上に押し付けられ身動きを奪われた。便座の縁が背中に食い込み、背骨に激痛が走る。
千絵は少女の首筋にかぷりと噛み付いた。細い首に宛がわれた千絵の口元から熱い唾液が毀れ少女の胸元を伝う。少女は短い悲鳴を上げびくんと震える。
千絵は少女の股間が徐々に濡れて行くのを感じた。怪物に陵辱されて、感じているらしい。ぞくぞくする。
臍の下の辺りから、ぬるぬると光る一際太い触手がぬちゃりと音を立てて現れた。触手は少女の下着の中に強引に押し入り、陰門に突き刺さった。
「ひあうっ!」
少女が悶え叫ぶ。涙が流れ、口の端から滴る唾液と一緒に千絵の頬にかかった。千絵はそれをぺろりと舐め取ると、触手を少女の中へぐりぐりとねじ込む。
少女は力尽きた犬のように舌をだらりと出してはぁはぁと息を荒げながらも、千絵に抗うような目を向けてくる。叫んでしまわないように、怪物に快感を
与えないように自分を抑えつけようとしている。それを見て、千絵の目が意地悪く細くなる。千絵は、呼吸と共に震える少女の舌に噛み付いた。
「ん゙ん゙―っ!!!」
少女は痛みに悲鳴を上げるが、千絵の唇に口を塞がれ声はかき消された。息が出来ない。その間にも更にもう一本の触手が少女の蛤をこじ開け、
少女の内部をめちゃくちゃにしながら彼女を犯した。血の混じった塩辛い粘液が怒涛のように溢れ出る。
やがて少女の反抗的な目が乞う様な眼差しに変わると、彼女の身体に密着された千絵の第二の口がゆっくりと開く。
口で言うなら唇に当たる淵の部分がもぞもぞと動き、ずらりと並んだ歯が少女の肉に食い込む。
「くぅっ… あっ…」
亀裂の淵がもそもそと少女の身体を千絵の体内へと引きずり込み始めた。ぽたぽたと数滴、真っ赤な血が滴ったが、少女は生きたまま千絵の胃袋に納められた。
胃の中には先客が居たが、彼女たちは大方消化されていた。どろどろになった悪臭を放つ肉に包まれ、しゅわしゅわと泡を上げて溶けている最中の
骨が時折少女の身体に当たる。すぐに、彼女の肉体も溶解し始めた。初めは皮膚が、まるで身体から煙が立ち上るようにして消えていった。
すると怪物の胃の中で、何かが蠢き少女の剥き出しになった筋肉に触れた。触手だ。無数の筋肉の束が、少女の身体を揉みくちゃにする。
たまねぎの皮を剥ぐように、少女の肉は少しずつ層に分けられるかのように溶かされ、その都度巨大な舌に舐め取られた。
物凄い苦痛を伴うはずだが、怪物の胃に入った瞬間から、強烈な酸の中に身を浸しており、痛覚は一瞬で消し飛んだ。性的な快感を除いて。
母親の胎内での成長を逆行するかのような分解は、心地よい快感だった。それは少女をオーガズムに近い状態に持ち上げ、それ以外のあらゆる感覚を麻痺させた。
押し広げられたヴァギナから体内に酸が入り込み、内部からも彼女を溶かした。脂肪の詰まった薄い膜のようになった乳房を、舌が蹂躙する。
膜のような皮膚は一瞬で弾け、白っぽい脂肪がクリームのようにどろりと流れ出たかと思うと、あっと言う間に蒸発したかのように消化された。
鍛えられた腹筋も、ものの数分でゼラチン質の塊に変えられ、内側から溢れてきた半分溶けた臓器と一緒に舌に弄ばれた。
一部、早くむき出しになった骨の消化が始まると、立ち上った気体はガスと一緒に巨大な胃に充満し、
やがて通常の人間のゲップより数倍濃縮されたガスとなって口から排出された。
千絵は腹の中で、キャンディのように転がりながらじわじわと溶け出していく少女の肉の味に酔いしれていた。
気付くと、先ほどドアを蹴破ったときの少女とまるで同じ格好で、便器の脇に蹲り1人身悶えていた。
彼女の膣は今や“第二の口”の一部と化しており、もはや性的快楽を得るために陰梃に刺激を与える必要は無かった。
彼女にとっては、いわば胃と舌が性感帯であり、味こそが最大の性的興奮をもたらすものだった。


[続]

267 :名無しさん@ピンキー:2010/01/16(土) 01:38:29 ID:oELFbvm6
捕食してる描写もエログロで素晴らしいけど、本当によく食べ方思いつきますね
まさかセル式をこんな形で実行するとはw
GJ

268 :腐肉(P.N.):2010/01/18(月) 00:48:40 ID:r/YYm9j2
佳奈はベッドに仰向けに横たわり、首を思い切り反らしてテレビの画面(逆さまに見える)を眺めていた。
丁度番組が終わり、つなぎのニュースが始まったところだった。
「先ほど渋谷区道玄坂の雑居ビルで、爆発事故がありました。現場となったのはクラブ“クレアヴォヤンス”の3階のトイレですが、
原因は現在のところ不明とされています。幸いフロアにいた客に負傷者はありませんでしたが、ビルの壁が一部崩壊するなど…」
「クラブって実在したんだ…。」
佳奈はそう呟くと、腹筋に力を入れてよいしょと起き上がった。そろそろ頭に血が下りてきてぼんやりし始めたからだ。
その時、佳奈はトクンという鼓動の音を聞いた。自分のものではない。心臓の音はトクントクンとどんどん大きくなって行く。
その意味を理解した佳奈の顔が、嬉しさに明るくなる。佳奈はベッドから飛び起きると、ドアへ向かった。調度その時、チャイムが鳴る。
佳奈は覗き穴から来訪者の正体を確認もせずにチェーンを外しドアを勢い良く開けた。
「ただいま。」
そこには千絵が立っていた。
「おかえり。」
「買い物してきた。」
千絵は巨大な白いビニール袋を掲げ、部屋に入ると後ろ手にドアを閉めた。
袋の中身は主にお菓子だったが、佳奈の夕食用に色々な惣菜が詰め合わさったパックが一つ入っていた。
腹を空かせた佳奈がベッドの上に胡坐をかいてそれを食べている間、千絵は着替えながらあれやこれやと喋り続けた。
「109の筒の中って、実はただの階段なんだよ。あ、そうそう、クラブって実在するんだよ!」(「それは知ってる」と佳奈。)
千絵が、明らかに千絵のものではないゆったりとしたワンピースを脱ぎ捨てると、大きく膨れた腹が露わになった。
といっても、今は大分消化されて普通の妊婦ほどだ。
「こうしてると、電車に乗るとき皆、席譲ってくれるのね。」
千絵はぽんぽんと腹を叩いて佳奈の隣りにどさりと腰を下ろした。ベッドが軋みを上げて大きく沈み込む。
佳奈はぼうっと千絵の白い腹を眺めた。
「女の子でしょ。」
佳奈は不機嫌そうに呟く。
「よく分かるね。」
「…他の女の臭いがする。」
「んー?」
千絵は猫のように伸びをしながら間延びした声で尋ねた。
「あのね、千絵。」
佳奈は箸を置き、千絵に向き直る。
「一昨日の事、覚えてる?千絵が、撃たれた時の事。」
「ああ、あれ…まだ一昨日なんだっけ。」
千絵は寝転がったまま佳奈を見上げて呟いた。
「先月くらい前な気がしてた。でも、もう大丈夫だよ。」
「そうじゃなくて。」
千絵はきょとんとした顔で佳奈を見つめる。その真直ぐな視線に佳奈は思わず頬を染めて。
「あの時、私が千絵の傷の手当をして…その、しようと思って… その…」
千絵は佳奈が言おうとしている事を、一昨日から佳奈に現れた異常と結びつけて察し、はっと息を呑んだ。
「まさか…」
「もう始まってるの。」
千絵はがばっと起き上がると、佳奈の顔を覗き込む。佳奈は見つめられて思わず目が泳ぐ。
「だ、大丈夫。多分千絵と違って、完全なかたちにはならない。でも私ももう、人間じゃないんだ。」
「そんな…」

269 :腐肉(P.N.):2010/01/18(月) 00:50:15 ID:r/YYm9j2
千絵は泣き出しそうなのを見て、佳奈は慌てて付け加える。
「わたしのせいだ…」
「わ、私嬉しいんだよっ?少しでも…」
言葉を切る。
「少しでも、ちぃちゃんに近づけるんだもん。」
そう言うと、佳奈は千絵の唇を奪った。その唇は柔らかく、とても冷たく、ほんのりと血の味が残っている。
千絵が抵抗しないので、佳奈は舌で唇をこじ開け、千絵の中に入り込んだ。千絵がびくんと震えるが、佳奈は止めない。
千絵の中に在るものを全部吸い取らん勢いで、佳奈の舌は彼女の口の中をまさぐった。千絵は次第に身体の力が抜けて行き、佳奈に迫られるに任せベッドの上に仰向けに倒れた。
その歳の割りに成熟した身体に覆いかぶさる佳奈は、まるで寝台の上に包帯を巻かれて横たわるクリーチャーとフランケンシュタイン博士のようだ。
佳奈はちゅっという音を立てゆっくり唇を離した。千絵の唾液が糸を引く。
千絵を見下ろすと、どれだけハードに肉体を酷使しても汗一つかかない怪物の額が薄っすら汗ばみ、頬を紅潮させて彼女を見返し、微笑んだ。
「…嬉しい。」
「私も。」
千絵の陰唇(今では歯が生えている)がもぞもぞと蠢き、くぱっと開くと中から、トイレで少女を犯したのと同じ舌が現れた。
佳奈が気付かないうちにその舌は背後に回りこむと、佳奈のショートパンツの裾から中に侵入した。
「あっ…」
熱く湿った舌の感触に佳奈は声を上げ、思わず飛び退く。陰部からまるでペニスのように舌をだらりと垂らした千絵は、置き去られた犬のような寂しげな顔を向けた。
「千絵、怖い…」
子供のような声で訴える。
「だいじょうぶ、やさしくする。」
千絵が佳奈の頬を優しく撫でると、千絵の下腹部で触手がいきり立つ。
「まって…まって…。今脱ぐから。」
佳奈はそう言うとベッドから起き上がり、あわただしくパンツのボタンを外しにかかった。
文字通りショーツを脱ぎ捨てると、子供のようにベッドに飛び乗り千絵に抱きついた。
その晩、2人は初めて行為に及んだ。ハードな捕食の後だったが千絵の体力は無尽蔵で、佳奈の肉体を壊さないようにする事だけに気を付けた。
だが佳奈は見かけによらずタフで、一本では飽き足らず千絵の腹の中から自らぬらぬらと光る触手を引き出すと、喘ぎ声を上げながら膣の中に挿入した。
佳奈は唾液と千絵の粘液で湿ったその小さな唇で、千絵の身体を貪るように愛撫した。千絵が、食べる事以外で絶頂に達したのは久しぶりだった。
千絵は佳奈に応えようと、その小さいが締まった肉体を食い尽くすほどの勢いで犯した。
佳奈の身体を撫で回す触手の数が9本になった時とうとう佳奈は根を上げ、息も絶え絶えに、よだれでべとべとになった身体をシーツの上に横たえた。
最後に千絵は、佳奈の腹筋にちゅっとキスをした。
千絵は佳奈をユニットバス付きのバスルームへ連れて行き(佳奈はもう自分の力で立つのが精一杯だった。)シャワーで身体を流してやった。
熱い湯を浴びると、佳奈は少し体力を取り戻した。
片方のベッドはよだれでぐしょぐしょになってしまったので、風呂から上がると2人は同じベッドの上で、千絵の買ってきたスナック菓子を開けた。
が、佳奈はぐったりしているので殆ど千絵が食べた。深夜映画を見ている時、千絵が先に眠りに落ちた。
「無理するから…」
佳奈は、自分の膝の上で眠る親友の顔を眺めながらそう呟くと、しばらく彼女の生乾きの髪を撫でながら映画の続きを見ていた。
だがすぐに佳奈も力尽き、くず折れるように倒れると千絵と重なり合う様にして眠った。


[続]

270 :名無しさん@ピンキー:2010/01/18(月) 20:13:18 ID:8QMl6NtF
GJ過ぎる
昨日初めてこの板来てこのスレ見つけて一気読みしたら夢に見たよ

271 :名無しさん@ピンキー:2010/01/18(月) 22:40:45 ID:5Fit4OZ1
GJ!!

>>270
ウラヤマシス

272 :名無しさん@ピンキー:2010/01/18(月) 22:55:12 ID:G7zbVAqd
セルとキャンディーきてたー!
こう実行するとは……なんというかもう凄いとしか。
あと胃と舌が性感帯って……まさに喰うために存在する生物だなぁ。

273 :名無しさん@ピンキー:2010/01/18(月) 23:50:08 ID:8QMl6NtF
>>271
母親を殺して警察から逃げるという、エロ無し悲しさ超大盛りの精神的にきつい夢だった…
でもそれはそれとして腐肉さんGJ!

274 :名無しさん@ピンキー:2010/01/18(月) 23:59:33 ID:5cMvIVvb
>>273
ハードすぎワロタ

俺は千絵に嬲って喰われる夢が見たいものだ
殺される夢は見たことあるのに、喰われる夢って見れないものだな・・・

275 :名無しさん@ピンキー:2010/01/19(火) 00:33:00 ID:FUjc0YTn
夢の終わりに朝が来る

276 :名無しさん@ピンキー:2010/01/19(火) 12:23:23 ID:schtNafN
ひぎぃ!

277 :腐肉(P.N.):2010/01/19(火) 14:42:30 ID:DZKsd8Ev
目が覚めたのは正午を回ってからだった。
佳奈は全身がひどい筋肉痛で、疲れもきれいさっぱりとはいかなかったようで虚ろな顔をしている。
その日は遠出は止す事にして、千絵は近所で図書館を探した。無理しなくて良いから休んでいればと言ったのだが、佳奈も付いてきた。
タバコ屋で尋ねると、すぐ近くに区立の小さな図書館が見つかった。千絵の目的は8月に起きた団地の事件の新聞記事だった。
平日の日中なので図書館は空いており、目当ての新聞記事はコンピュータで管理されていたのですぐに見つけることが出来た。
基本的には、すでに知っている内容がほとんどだったが、千絵たちの住む地方で事件についての報道が減り出した頃の記事に驚くべき
内容が掲載されていた。
なんとあの事件には1人生存者が居たのだ。記事によると14歳の少女で、家族で団地に住んでいたらしい。無論家族は、全員消えている。
だが記事ではその後の消息までは載っておらず、少女の身元を知るには至らなかった。
「千絵、これって…」
「うん、“お仲間”…かも。」
千絵は舌なめずりする。興奮を隠し切れなかった。
8月の事件が例の怪物少女の仕業なら(千絵は十中八九そうだと確信しているが)、今度の現場にも千絵と同じ境遇、
即ち怪物にされた犠牲者が居ても不思議は無い。
「筋肉痛が治ったら、ここに行ってみよう。」
帰り道に、一歩遅れて付いてくる佳奈に向かって千絵が言った。
「うぅ…」
佳奈がうめく。
「中学から6年陸上やってて、こんな酷いの初めて…何でだろ、歯も痛い。」
とほほ、というように呟く佳奈の周りを、体力を持て余したようにうろうろしながら千絵が言う。
「でもびっくりだ。今まであんなハードなのに耐えた人、居なかったよ。」
ぽんぽん、と佳奈の頭を撫でて言う。
「おぬしやるなぁ、人間にしては。」
「もう違うって…」
佳奈が力無げに笑って言いかけた時、背後から大きな声がした。
「千絵ちゃん!?」
2人はびっくりして振り向く。この街に千絵の事を知っている人間がいる筈が無い。
「あ…。」
振り向いた途端、目の前にいる人物を見て千絵が気まずそうな声を漏らした。すかさず佳奈が千絵を睨む。
「あ、って事は知り合いなのね。」
佳奈は横断歩道を小走りにこちらへ向かって来るチンパンジーのような顔の男を顎で指し、殺した声で言った。

278 :腐肉(P.N.):2010/01/19(火) 14:45:37 ID:DZKsd8Ev
「東京にも猿って居るのね。」
氷のような視線を男に向けた佳奈が言う。
「佳奈、その声怖い…」
チンパンジーが2人の目の前にやって来たので、佳奈の返事は聞けなかったが、まだ千絵とチンパンジーを交互に睨んでいた。
「や、やぁ千絵ちゃん…。」
チンパンジーは鼻の下をぽりぽり掻きながら愛想笑いを浮かべて言った。
「き、昨日無事だったんだね。」
「う、うん!ご、ごめんなさい、気分が悪くなって先に帰ったの。」
まるでカルタを読み上げるようにぎこちない会話が続く。
「い、いやぁび、びっくりしたよ。いきなりドーンてすっげぇ音がして、トイレから土煙みたいなのが溢れてきて。
しかも、後で警察が調べたら客が3人、行方不明だって言うからもしかしたら千絵ちゃんじゃないかと…」
その時佳奈がこれ見よがしに咳払いしたので、チンパンジーは喋るのを止め初めて佳奈の存在に気付いたかのような顔をした。
「ご、ごめんお友達…の居るところで。」
「あら、千絵さん、彼氏かしら?」
佳奈が変な声で言う。
「い、いいえ佳奈さん、違くてよ?」
千絵は強張った笑顔で答える。
「も、もし良かったらお茶でも、どう?」
チンパンジーが気を遣う。
「いいえ、家路を急ぐものですから。」
と佳奈(変な声)。
「この辺に住んでるの?」
「う、うん。ごめんね、今この子体調悪くて。」
「もし良かったら、後ででも、そ、その…2人で。」
「あー…」
千絵が言いかけた時、佳奈が小突いて言った(変な声で)。
「大丈夫です、私1人で帰れますゆえ。」
「でも…」
佳奈は千絵の肩に手を回すと、耳元でひそひそと何か囁いた。それを聞いて千絵は納得したように頷き、チンパンジーに向き直る。
「そうだね、そうしようか。」
「オ、オッケーって事!?」
チンパンジーの鼻息の音が大きくなる。
「うん、おっけ。ごめんね佳奈。」
「じゃあね千絵、また後で。」
佳奈はそう言うと手を振って別れた。2人きりになると、しばし沈黙が訪れ、やがてチンパンジーの方から口を開いた。
「どこ、行こうか。」
「んー、あんまり人が居ない所が良いなぁ。」
「お、俺ん家すぐそこなんだけどもし良かったらその… や、ヤだよね、そんな、2人きりで」
チンパンジーは早口言葉のようにそこまで言うと、甲高い声で猿のように笑う。
「あたしと2人じゃ、いや?」
千絵のその言葉で、哀れな猿は完全に虜にされてしまった。そこから自宅へ行くまでの間、彼はずっと喋り続けていたが、
話の内容を思い出せないし、話しているその瞬間にも理解していなかった。
だがその美少女は熱心に彼のへたくそな話に耳を傾け、相槌を打ち、笑った。
…疲れる。これが本音だったが。

279 :腐肉(P.N.):2010/01/19(火) 14:47:11 ID:DZKsd8Ev

「片付けるからちょっと待ってて」と言われたきり悠に五分は経過するというのに、千絵はまだ、とあるアパートの3階の踊り場で待たされたままだ。
吹き抜ける風は生暖かく、建物と平行して並ぶ木々からは蝉の耳障りなわめきが聞こえる。9月にもなって鳴いている蝉は、よほどモテないのだろう。
あるいは他の蝉より長く土の中に居て、出てくるタイミングを誤ったか。
千絵も、ここへ来た事を若干後悔し始めていた。ひどく暑く、普段は氷のような千絵の身体もほんのりと汗ばんできた。
東京にも蝉、居るんだ…。
そんな事を考えながら、廊下の手すりに持たれて外を眺めていると、アパートの駐輪場の陰に佳奈が見えた。
隠れてこちらの様子を覗っている。計画通りに。千絵は「やれやれ」というように肩を竦めて見せた。
すると背後でドアが開く音がし、振り向くと汗びっしょりのチンパンジーが息を弾ませ立っていた。
「お、お待たせっ。」
「そんなに隠さなきゃいけないもの多いの?」
千絵は腰に手を当て、これ見よがしに不満を露わにした。
「ごごごめん。」
チンパンジーのうろたえ顔にほくそ笑みながら、千絵はサンダルをぽいと脱ぎ捨て部屋に上がった。
エアコンはつけたてらしく、独特の埃の臭いともわっとした淀んだ熱気が満ちている。風がある分外の方が涼しいのではないかと思うほどだ。
「お、お茶、飲む?」
「ほしーい。」
千絵はベッドにどさりと腰を下ろしながら、饐えた臭いのする台所へ向かって言った。ふと、足元に何かあるのに気付きベッドの下を覗き込むと、
アダルト雑誌が山のように乱雑に重なっていた。
「芸が無いなぁ…。」
千絵はその一冊を手に取り、ぱらぱらとめくった。途端に唾液が込上げてくる。美味そうな女性が誘うような目で紙面から見返してくる。
彼女にとってはグルメ本も同然だった。
そこへ麦茶を注いだコップを二つ持ったチンパンジーが現れ、千絵が手にしているものに気付くとコップを取り落とした。
「ちょ、ちょっとち、千絵ちゃんそれは…」
「なぁに?」
千絵は雑誌の女のような上目遣いで猿を見上げた。チンパンジーは顔を真っ赤にして「新たしいお茶持ってくる」と再び台所へ引っ込んだ。
酷く暑かった。千絵はパーカーを脱ぐとベッドの上に立ち上がり、丁度彼女の顔の位置くらいにあるエアコンの前でキャミソールの前を
はらはらと揺らして風を取り入れようとした。
チンパンジーが戻ってくる。キャミソールがめくれ、千絵の鍛え上げた腹筋とへそが丸見えになっていたが、
今度は平静を保ってコップを卓袱台に置く事ができた。(少し毀れたが。)
「大学生なの?」
千絵は尋ねた。
「あ、ああ。」
「へぇ。どこの?」
「い、一応、慶応…」
「え!?慶応って、慶応大学?」
「そ、そうだよ。」
「…頭良いんだ。」
「一浪だけどね。」
千絵は再びベッドに腰を下ろす。
「頭の良い人の脳を食べるとその人の頭脳がそっくり私のものになる、とかあればいいのに…。」
チンパンジーは冗談と取ったらしく、笑った。千絵は「大学って何してるの?」「出身どこ?」「彼女いるの?」「109の筒の中が階段て知ってた?」など矢継ぎ早に質問した。
彼はいちいち丁寧に答えた。それから千絵は尋ねた。
「巨乳好きなの?」
チンパンジーは飲みかけた麦茶を思わず零した。


[続]

280 :名無しさん@ピンキー:2010/01/19(火) 18:50:35 ID:FUjc0YTn
チンパン逃げてー

281 :名無しさん@ピンキー:2010/01/19(火) 19:08:06 ID:F1oIucST
チンパンキター
楽しみ

282 :腐肉(P.N.):2010/01/20(水) 02:10:30 ID:AGNjBxH7
「何か悪い事言ったっけ?」
千絵はきょとんとして首を傾げる。
「だ、だってそんな…」
「しかも年下好みだよね。」
彼が向き直ると、千絵は先ほどの雑誌をひらひらと翳して見せた。
「これとか犯罪じゃないのかな。」
「やめっ…」
千絵は立ち上がろうとする男の股間にぴんと延ばした足を押し付け静止させた。
足の下で陰茎がひくんと振るえ、見る見る硬くなっていくのが分かる。
「そりゃぁさ、巨乳じゃ…ないけどっ。」
千絵は体躯の割りに控えめな自分の胸をちらっと見て言った。
「私、結構好みじゃないかな。」
足の下で猿のペニスがびくんびくんと唸る。千絵はその上に足を乗せたまま、前屈みになって手を延ばし彼のズボンに指を這わせた。
「ち、千絵ちゃ…」
千絵はチンパンジーの声を無視し、ズボンと下着を脱がせた。姿を現したぬらっと黒光りする一物に、千絵は直に足をぐりぐりと押し付けた。
チンパンジーは喘ぎ声を上げ、空虚に向かって腰を突き上げた。もうじき射精するという時に、千絵は足扱きを止めた。
「あっ…」
チンパンジーは無念そうな顔を彼女に向ける。
「答えてくれないから嫌―。」
千絵はぷいと顔を背けて見せる。
「私、好みかな? 答えてくれたら、続き、したげる。」
千絵は自分の脚を持ち上げて、先ほどまで男のペニスに宛がわれていた足の裏をぺろりと舐めた。
「ち、千絵さん…」
チンパンジーは起き上がった。その悶々とした様子は、今にも空気に向かって腰を振り出しそうなほどだ。
「す、好きっす、千絵さん…。」
千絵はチンパンジーの肩に手を掛けると、ベッドに引き寄せ、押し倒した。
素早く自分は上へ回り、練り上げた自慢の肉体を見せ付けるように男の上に馬乗りになる。そのまま寝そべると、千絵は猿の唇を奪った。
一方、パンツの下では陰門が口を開き、中から太い触手がにゅるりと這い出る。触手はパンツを押しのけ外へ出ると、男を襲った。
「うっ!」
チンパンジーは思わず声を上げる。更に数本の触手が現れ、寄り集まってチューブを形成した。肉の筒は、いきり立つ陰茎を虜にすると、
ぬるぬると這うナメクジのように肉棒を上下に貪った。
チンパンジーからは下半身の様子が見えないが、何かがおかしいことは気付いていた。
今自分を犯している肉の穴はどう考えてもヴァギナでは無く、まるで自分より大きなペニスに包み込まれているような心地だった。
だがそんな事はどうでも良かった。
「んぐっ!!」
男はチューブ状の触手の中に射精した。触手はその乳のように白い粘液をごくごくと飲み下した。
そして更に欲するように、彼の陽物をきゅっと締め付けた。
「ひぁあうっ!!!」
チンパンジーは甲高い悲鳴を上げ、再び果てた。チューブはまだ彼から精を搾り取ろうと吸い付いている。
千絵はじれったくなって、猿のようにひいひいと喘ぐ男の腿の辺りに腕を回すと、逆さまに持ち上げた。
チンパンジーは一瞬何が起こったのか分からなかった。気が付くと、頭を床に着け自分の臍を眺めていた。
頭に血が上り始めてやっと、自分が逆立ちさせられているのだと理解した。いや、理解したとは言い難かった。
高校生の少女が、腕の力だけでいとも簡単に成人男性の身体をひっくり返してみせたのだ。
そして彼は今やレイプされる女のように、少女に犯されている。そう考えただけで、彼はまた射精した。
千絵の腰の動きが、チンパンジーの身体をがくがくと揺さぶった。だが、動いているのは腰では無かった。
臍よりも上(つまり下半身)に視線を移した時、男の目にとんでもない光景が飛び込んできた。
少女の下半身から、彼のペニスの数倍はある巨大で妖艶なピンク色をした肉棒(のように彼には見えた)が延び、彼の倅を飲み込んでしゃぶっている!
千絵の目がちらりと下を向き、地べたの彼の顔を見下ろした。その目はもはや、彼の惚れた美少女の目ではなく、怪物。
彼を粉々に打ち砕き、その欠片を一つ残らず一呑みにしてしまうような、圧倒的な存在。

283 :腐肉(P.N.):2010/01/20(水) 02:14:22 ID:AGNjBxH7
「ひ…あああっ…!!!」
チンパンジーは暴れた。男がバランスを崩した拍子にすっぽりとペニスがチューブから抜け落ちた。その瞬間、彼は空中に精を放った。
飛び散った精液は千絵の顔から腹にかけて線を描いた。
「きゃっ!」
千絵は短く悲鳴を上げ、思わず掴んでいた男の脚から手を離した。チンパンジーの身体はどざりと床に落下し、彼は背中に走る激痛に声を上げた。
「ちょっとぉ…いい度胸じゃん…。」
少女は異様に長い舌でぺろりと精液を舐め取るとごくんと飲み込み、チンパンジーに見せ付けるように拳を握るとボキンと骨を鳴らした。
その時、玄関のドアが凄まじい勢いで開いた。2人が顔を上げると、そこには階段を駆け上がってきたと思しき息を切らした佳奈が立っていた。
「…鍵、かけなかったの?」
千絵は、でんぐり返しに失敗したような体勢のチンパンジーを見下ろし文句を言った。
「ご、ごめん…。」
こんな状況なのに、彼は謝る。
「何やってんの…」
佳奈はショックを受けたような顔で立ち尽くし小さく呟く。ドアを開けたら、肌蹴た格好で精液に塗れた親友と、性器を露出した男が居たのだ。
「と、とりあえず、ドア閉めない?」
千絵が提案すると、佳奈は無言で前を見据えたまま玄関ドアを蹴って閉めた。それからサンダルを脱ぎ捨て、千絵に駆け寄って泣いた。
「ひどいよぅ、昨日あたしと…あたしと…!したばっかりなのに!!」
佳奈はぼろぼろと涙を流しながら千絵の薄い胸をばんばん拳で叩く。痛くは無かったが、佳奈を慰めようと千絵はおろおろとうろたえた。
「これは…違っ、ちょっと、佳奈、これが楽しそうに見える?」
状況から完全に置いてけぼりにされたチンパンジーは、ペニス(だと彼は思っている)の付いた美少女と泣きじゃくる新たな少女を交互に見つめながらぽかんと口を開けた。
「うぅ…嫉妬してやる。」
佳奈が呟く。その様が可愛くて何だか笑い出しそうになるのを堪えて、千絵はよしよしと頭を撫でようとしたが、その手を払いのけられた。
「私にもやって。」
佳奈は不貞腐れた顔で千絵を睨んで言った。
「はぁ!?」
「こいつにしたのを同じ事、私にもして。」
「それは…無理、じゃないかな。」
千絵はちらっと床に這い蹲る猿と、萎縮してしまった彼の陰茎に目を遣って答えた。
「いいからしなさい。」
佳奈はまだ詰め寄る。
「佳奈には…その、ほら、」
「何よ!」
佳奈は叫んだ。
「だって佳奈ちんちん無いじゃん!!」
千絵は叫んだ。
沈黙が訪れた。
だが何も動きが無かったわけではなく、千絵は言ってしまってからもっと別の言い方があったのではと後悔して目を背けたし、佳奈は千絵をまっすぐ見据えたまま
だったが、その顔はみるみる赤くなって、終いには佳奈も目を反らした。
沈黙を破ったのはチンパンジーだった。あわあわと喘ぎながら、玄関ドアに向かって這い出したのだ。
立ち上がろうとしながら同時にズボンとパンツを上げようとして、すっ転ぶ。千絵と佳奈は顔を見合わせ、こくりと頷いた。
それは「先ずはあいつを始末してから」という合意だった。
「折角好みの女の子が見つかったのに、置いて逃げちゃうなんてあんまりじゃない?」
千絵はそう言いながら男の脚首を掴んだ。男は悲鳴を上げる。
「私も好みかも…君の悲鳴。」
千絵は力いっぱい足首を捻り上げる。ぼぎん、と嫌な音が響き、ふくらはぎの辺りに関節が一つ増えた。血が噴出し、皮膚を貫いて骨が露わになる。
男の悲鳴が泣き声に変わる。
「ちょっと千絵掃除するの私なんだから…」
後ろで佳奈がぼやく。
「じゃあお風呂場でやるよ。」
千絵はそう言うと、折れた脚をぐいと持ち上げた。男の身体がぶらりと宙に浮き、今にも千切れそうな脹脛の苦痛に絶句する。
千絵は魚市場の魚のように男を逆さに持ち上げたままバスルームの電気を点けた。
「おっ、見て佳奈、シャワーと湯船が分かれてるよ。後で一緒に入ろっか。」
佳奈は顔を赤くしながらこくりと頷き、千絵の後ろでドアを閉めた。“食事”は見ない事にしていたからだ。


[続]

284 :腐肉(P.N.):2010/01/20(水) 02:19:07 ID:AGNjBxH7
まだ応えられていない分にはこれから対応していきますが、引き続きご要望ありましたら聞かせてくださいね。

285 :名無しさん@ピンキー:2010/01/20(水) 08:27:17 ID:jbko6jst
GJ!!
内側からチェストバスター食いなんてどうでしょう?

286 :名無しさん@ピンキー:2010/01/20(水) 09:34:06 ID:3xwhqscO
嗚呼…チンパン…(合掌

287 :腐肉(P.N.):2010/01/21(木) 04:10:10 ID:AFUOPLud
千絵は脚の折れた男の腰と首の辺りに腕を回し、姫を抱く勇者のように哀れな男を抱かかえた。男はひゅうひゅうと隙間風が漏れるようなかすかな息をする。
「今まで色んな人とエッチしたけど、顔にかけられたの、初めて。」
チンパンジーにその声が届いたかは定かではなかった。目は虚ろで、顔中に脂汗が浮いていた。
「光栄な事だと思うと良いよ。」
千絵は楽しそうに言うと、男をお姫様抱っこしたままその陰茎に齧り付いた。千絵の柔らかい舌に包まれると、これだけぼろぼろになり意識が朦朧と
していても、下半身は正直に勃起した。
「たっぷり仕返ししてあげる。」
千絵はそのまま勢い良くペニスに吸い付いた。どくんどくんと震え、すぐに射精する。まだ残っていたとは驚きだ。だがすぐに精液は血の味に変わった。
「あ… あ…ああ…」
チンパンジーは掠れた喘ぎ声を上げる。どうやら、苦痛と恐怖への悲鳴のようだ。千絵の口の中で、ペニスが弾けた。彼女があまりに強く吸うので、表皮が破れたのだ。
血が滲み出る。毛細血管で出来たスポンジはあっと言う間に弾け、海綿体が崩壊した彼のペニスは枝からぶら下がる枯葉のようなみすぼらしい萎びた残骸と成り果てた。
「げふぅっ」
千絵はペニスから口を離すと、哀れな猿にゲップを吹きかけ、彼を風呂場のタイルの上に横たえた。
もはやチンパンジーというよりミイラのような顔だが、まだ息はしていた。
「まだ死なないでね?これからなんだから…。」
千絵は両手の甲を合わせると、男の胸に指先を立てた。それをずぶりと胸に付き立てる。チンパンジーのミイラは悲鳴を上げた。
もう声も出ないと思っていたが、どこにそんな体力が残っていたのかと千絵も若干驚いた。だが彼女は滞りなく仕事を始めた。“解体”だ。
胸に両の手を突き刺すと、肋骨の間にうまく指を入れてガバッと左右に押し広げる。肋骨が砕け、貧弱な胸板もろとも押し潰され、彼の胸は両開きの扉のように開かれた。
丁度、千絵の“第二の口”の亀裂のようだ。ただし断面はぐちゃぐちゃに引きちぎられた繊維や骨がむき出しで、中に在るのは触手ではなく
てらてらと光り悪臭を放つ臓器だが。千絵は男の胃を掴み取ると、それをぽいと口に放り込んだ。
食道がぶちっと音を立てて千切れ、男の首ががくんと下がる。反対側につながっていた胆嚢や小腸がずるずると本来あるべき場所から引きずられて出てきた。
千絵はそれをスパゲティのようにちゅるちゅると吸い込んだ。あっと言う間に男の体にはぽっかりと空洞が現れた。
千絵は折れた脚をぶちっと引きちぎり、脹脛の筋肉にむしゃぶりついて肉を毟り取った。口に収まる大きさになると骨ごとばりばりと噛み砕く。
当然ながら、男はいつの間にか死んでいた。千絵は男の頭を抱かかえると、腕に力を込める。上腕筋が盛り上がり、次の瞬間ぺきょっという音と共に頭蓋骨が砕けた。
卵を握り潰した時の様に、中から脳漿と脳味噌がどろりと溢れた。千絵はそれを手一杯に掬い取ると、ぺろりと舐め取った。
これでIQ上がるかな…。そんな事を考えながら。
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佳奈は廊下にぺたりと腰を下ろし、慰みにバスルームのドアを眺めていた。乳歯を引き抜かれた時のような不快感を伴う歯の痛みは頂点に達していた。
スモークがかかった半透明のドア越しに、千絵の罪作りな肢体が男の肉体をばらばらに引き裂く様が見える。
鮮血が飛び散り、次第に視界は赤く染まっていく。千絵の身体も真っ赤になる。
佳奈はもう我慢できなくなり、ぐしょぐしょに濡れた下着の中に指を這わせ、包皮を捲るとそっと陰核に触れる。
「ひくっ…」
思わず小さく声が漏れ、しびれるような感覚がつま先から背中まで駆け抜けた。ついでに歯に激痛が走る。

288 :腐肉(P.N.):2010/01/21(木) 04:12:10 ID:AFUOPLud
佳奈はリズムを刻むように身体を動かし続けた。溢れ出る粘液が下着に染み込み、床に擦れてねちねちと音を立てる。再び彼女を快楽が包み込む。
だが歯の痛みを忘れるには至らなかった。
千絵の身体をもっとよく見たい、と思った。佳奈は這うようにバスルームのドアに近寄ると、徐に取っ手を引いた。乾いた軋みを上げて血塗られた扉が開く。
途端に、佳奈の顔にぴしゃっと血しぶきが飛んだ。丁度千絵が男の身体を股から真っ二つに引き千切ったところだった。
「あっ、ごめん…」
ドアが開いておりそこに佳奈が居る事に気づくと、千絵は口をもごもごさせながら謝った。それからぶらんとぶら下がった背骨を肉の塊から引き抜くと、ぼりぼりと
音を立てて噛み砕いた。背骨はあっと言う間に千絵の口の中に消え、頭蓋骨の破片だけが残った。千絵はまだ肉のこびりついたそれをぺろぺろと舐める。
佳奈はふらふらと、蜜に惹かれる蜂のようにバスルームの中へ這い入る。タイルの上に溜まった血が膝に撥ねるが、佳奈は気にしない。
気が付くと、千絵の手の中の、虚ろに白目を剥いた男の頭部と向き合っていた。怪力で粉々に砕かれた頭蓋骨が、一見しただけではそれが顔だという事すら分からない程
男の顔を醜く変形させ、額から上は脳と一緒に無くなっていた。
佳奈は思考が停止していた。唇を震わせながらゆっくりと歯を剥き出すと、躊躇いなく頬肉に噛み付いた。いつの間にか、歯の痛みは消えていた。
「佳奈?」
ぐしゅっという音と共に、佳奈は肉を噛み千切る。血に塗れたその口には、千絵ほど鋭くは無いが、人間にしては明らかに先端の細くなった歯が並んでいた。
千絵は一瞬ぞっとしたような表情を見せたが、すぐに興味ありげに、肉を咀嚼する千絵の唇に徐に手を延ばし、捲ってみる。
どうやら牙は元の歯の上から生えてきたらしく、比較的丸い人間の歯と二層になって並んでいた。
変成の方法が違う分、千絵とは微妙に形態が違うものになろうとしているようだ。
「うわぁ…歯みがき大変そう。」
千絵は感嘆する。佳奈の喉から犬のような低い唸りが漏れ、千絵は慌てて唇から手を離した。
「おいしい?」
「うにゅ…」
佳奈はまだくちゃくちゃと噛みながら、物欲しげに千絵の手にある肉塊の方に目を遣る。変わり果てた臓器のようで、一際赤が濃い。
「心臓だよ。」
千絵は佳奈の視線を追って答えた。
「食べてみる?」
「ん…。」
千絵は心臓をぎゅっと掴み引っ張った。血管がぶちぶちと千切れ、中に残っていた血がぽたぽたと垂れた。
千絵は赤子にミルクを与えるようにそれを佳奈の口に差し出す。佳奈はかぷりと食いついた。
口の端から血を零しながら心臓に貪りつく親友の姿は、千絵を欲情させた。
「すごく…硬い…。」
佳奈が食い千切るのに苦労して呟く。千絵はそっと佳奈の頬に擦り寄ると、彼女の獲物に鋭い牙を付き立て、食い千切った。
「おぉ、すごい…。」
佳奈が頬を染めて言った。
「私も千絵みたいになれるかな。」
千絵は黙って、佳奈の口に唇を押し当てた。親鳥が雛に餌をやるように、噛み千切った心臓を少しずつ口移す。
佳奈は怪物の唾液の混じった肉をごくりと飲み下した。
「もっと…。」
佳奈はせがむ様に千絵の唇に吸い付いた。いつの間にか筋肉痛も大分和らいでおり、佳奈は力一杯千絵に迫った。そのまま、血の池の中に押し倒す。
一瞬、唇が離れ2人は見つめ合う。千絵の長い舌が、佳奈の顔についた血をぺろりと舐める。それが合図であったかのように、2人は再び接吻を交わした。
熱く激しく互いの奥深くまで入り込んだ。


[続]

289 :名無しさん@ピンキー:2010/01/21(木) 17:23:20 ID:e2+X8+cE
tes

290 :名無しさん@ピンキー:2010/01/21(木) 17:46:05 ID:e2+X8+cE
解除ktkr

佳奈と千絵の交わりを楽しみにしてた自分にとって最近の展開は素敵過ぎる
捕食じゃないけどもう少し交わる描写を増やして欲しい

291 :名無しさん@ピンキー:2010/01/22(金) 20:52:46 ID:RW7LESBT
GJ!
獣っぽい食い方ももえるけど解剖するようにさばいて食うのをやって欲しい

292 :名無しさん@ピンキー:2010/01/23(土) 12:36:30 ID:GQPxGqwv
ピクシヴの漫画の人が千絵の一枚絵上げてる!
GJ!

293 :腐肉(P.N.):2010/01/23(土) 21:29:06 ID:LfAVnJFU
2人は男の残骸をあっと言う間に平らげてしまった。2人は血だらけになった服を脱いでチンパンジーの部屋の洗濯機にかけた。
しばらくして佳奈は腹痛を訴えトイレに籠もった。
「慣れてないから…」
バスルームのドアの外で千絵が慰める。
「…あいつの肉が悪い。」
佳奈は不満げに呟いた。
その日の内に今のホテルをチェックアウトし、根城をそのアパートへ移すことになった。宿泊費という出費を抑える最も簡単な方法がこれだった。
ここの住人が一人暮らしの学生で恋人もおらず家族も離れている事は、千絵が確認済みだ。ほいほいとここへ付いて来たのは最初からそれが目的だったのだ。
千絵は洗濯が終わらない内に男の箪笥を漁って服を拝借し、まだ下痢をしている佳奈を部屋に残して外出した。
太陽はとうに沈んでいたが、空はまだ明るく藤と薄桃色の混じった幻想的なスクリーンが広がっていた。
2人分の荷物を抱えてアパートへ戻ると、佳奈はもう元気になって、洗濯物を物干しに掛けていた。
佳奈も男のシャツを羽織っているが、随分とぶかぶかなので下には何も履いていないようだった。
「ちぃちゃんはさ…」
佳奈が躊躇いながら尋ねた。
「その…どうするの?その…お、お通じ。」
「しないよ。」
千絵はコンビニに寄って買ってきたアイスを丸ごとばくりと飲み込みながらけろっと答えた。
「そうなの!?」
「多分、もう肛門無い…」
「…まじで…?」
「まじで。」
千絵は口の中からアイスの棒を引っ張り出しながら真顔で言う。
「おしっこは出るよ。」
「へえ…。」
佳奈は呆気に取られてぽかんと口を開けたままベランダに立ち尽くす。
「おいでよ、アイス溶けちゃう。」
「あ、うん。」
佳奈は我に返ったように部屋に入ると千絵の隣りに腰を下ろし、部屋を見回して言った。
「思ったより良いとこだね。ベッドの下のエロ雑誌は捨てたいけど。」
佳奈はアイスを頬張り、新しく生えた歯に染みるのか顔をしかめる。
「人が尋ねて来る心配も当分無いし。万が一誰か来たら、いただきます。」
「しばらくはここに居るんだから、目立つ事しちゃだめだよ。」
佳奈がたしなめる。
「えー…」
千絵は不満そうだ。


294 :腐肉(P.N.):2010/01/23(土) 21:31:19 ID:LfAVnJFU
「じゃあ晩御飯は?」
「ばんご…えっ、だって、今食べた…」
佳奈がうろたえる。千絵は、そんな事は分かっているとでも言いたげにゲップした。
「足りない。」
「どんだけ食べるの…。」
佳奈は途方に暮れたように呆然と親友を見つめた。
結局その晩は捕食には出かけず、千絵の「質より量」という基準によって選ばれた近所のラーメン店で済ませる事にした。
何だかんだ言っていた佳奈も結局2杯平らげたのだが、その間に千絵は大盛り8杯を胃袋に納めた。
帰りに2人はレンタルビデオ店に立ち寄り、千絵のお勧めという『死霊のえじき』をレンタルした。
帰ってから例の如く千絵が大量に購入したスナック菓子を広げ見始めたが、佳奈は始まって5分も経たないうちに悲鳴を上げた。
「グロくないって、私たちとしてる事大して違わないじゃん!」
千絵の説得も空しく、佳奈は怖い場面になると顔を背けようとするので、クライマックスシーンはチャイルドシートに固定するように千絵が
佳奈を羽交い絞めにして画面から目を背けられないようにした。そうして夜は更けていった。

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翌日は、肉体の変容に伴い佳奈が腹痛を訴えたために、2人は家から一歩も出ずに過ごした。
千絵は昨日レンタルして来たお気に入りのホラー映画を佳奈に勧めたが、殆どがスプラッタ映画で、見終わる頃には佳奈はげっそりしていた。
その日は外見に目立った変化は無かったが内臓が大きく変容したようで、佳奈も次第に食事の量が増加してきて、普通の人間とは比べ物にならない量を平らげる。
2人で冷蔵庫の中の食材を貪り、文字通りバターの一欠けらも残さず空っぽにしてしまった。
深夜になると2人は空腹を紛らわすためにセックス(これをそう呼ぶのなら)をした。
無論千絵は大好きな佳奈の肉体を全身で味わうことが出来たし、千絵の強靭な肉体は佳奈の味覚を満足させた。
次の日からは、極力家から離れた人の多い場所へ出かけ獲物を漁った。路地裏のような場所に連れ込んで食い散らす事もあれば、家まで連れ帰る事もあった。
可愛い女子高生が2人揃った時のパワーは絶大で、大抵の男がさそえばほいほいついて来るのだ。
だが佳奈の掲げた“目立たないように”というスローガンのために、どうしてもヒトの肉が食べたいという時以外は、ここでの生活を危険に晒す
可能性のある行為はせずに人間と同じ食料で済ませるようにした。
食費は馬鹿にならなかったが、喰った人間から奪った財布などの収入もありそれほど困りはしなかった。
それでも気が向くと普通の人間の女の子のように、安くておいしい料理のある店を探して歩いたりした。

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東京での生活が落ち着き、周囲に環境庁の気配や怪しい動きが無い事を確認すると、2人は8月に集団失踪事件の起きた団地を訪れる事にした。
電車とバスを乗り継ぎ、ようやくたどり着いたそこは、2人の故郷にもあるような何の変哲も無いごく普通の団地で、周りもごく普通の住宅地だった。
だが建物の入り口に渡された真新しい鎖が、静かに異変の痕を物語っていた。
辺りは不気味なほど静かだ。人の足音も、子供の声も、犬の吠える音さえしない。被害に遭わなかった棟の住人も今では粗方引っ越していってしまったようだ。
生き残った人々も、当然あんな事件があった団地からは離れたいと思うだろう。残されたコンクリートの塊が、廃墟のように佇んでいた。
「入れるかな…。」
千絵が辺りを見回して言った。誰も居ないのを確かめ、佳奈が頷く。
「…行こう。」


[続]

295 :名無しさん@ピンキー:2010/01/23(土) 21:33:35 ID:FVYOlhOI
規制解除の一瞬に乙を叫ぶ
佳奈がどう変性していくのか今からワクテカ

296 :腐肉(P.N.):2010/01/24(日) 02:11:28 ID:57EbvFB8
2人は鎖をまたぐと、コンクリートの死骸の中に踏み入った。足音が響かないようにゆっくりと廊下を進む。当然のことながら、エレベーターは止まっていた。
エレベータードアの前に立った千絵は、ガラス窓の向こうの漆黒の空虚から微かに血の臭いを感じた。もしかしたら、ここも惨劇の現場となったのかも知れない。
2人は階段を上がり、2階の部屋を覗いて回った。所々、まだ黒ずんだ染みが残っているが、千絵の言う“同族の気配”というものはあまり感じられなかった。
屋上まで出ると、2人は給水タンクの日陰で風を感じながら少し休んだ。空は嫌らしいほど真っ青で、輪郭のぼけた雲が暢気にふわふわと流れている。
「何にも無いね…。」
「んー…。」
千絵は風に吹かれて散った長い髪を指で鋤きながら残念そうに呻く。
「まっ、元々、ここへ来たからってそんなに大した情報が得られると思ってた訳じゃないし。」
と佳奈。千絵も、そのつもりだった。だがいざ何の手掛かりも無いとなると、他にどこを探せばよいのか、手が思いつかない。振り出しに戻ってしまった。
強行手段に出るしかないのか?例えば警察署を襲撃するとか…。千絵は、体内に潜り込んだ銃弾のしこりのような嫌な感覚を思い出した。
警察署で無かったとしても、下手に動いて環境庁の目に留まれば、佳奈を危険に晒す事になる。この街ではもう暮らせなくなる可能性もある。
都会に出た獣は、先の事も見通して行動せねば…。
この件に関しては…というか千絵は最初からそうだが、彼女は自らの命に関して全く意に介していなかった。
最悪東京に居れなくなれば、彼女一人なら別の街に移っても暮らせる。
だが佳奈は…。
変成が始まった今、これまで以上に千絵が傍に居る必要があるはずだ。人間としての生き方という点において、佳奈の不器用さは千絵のよく知るところだった。
ましてやそれが別の生き物として生きるとなったら…。せめて成獣になるまで、佳奈を1人にしてはいけない。佳奈は危なっかしいのだ、色々な点で。
それほどまでに、千絵は佳奈の事が愛おしかった。佳奈も同じ気持ちだったし、千絵がどう思っているかも分かっていた。
元気無くうな垂れた千絵の頭に向かって、佳奈は励まそうとして言葉をかける。
「帰る前に、もう一回見て行こうか。」
「うん…。」
2人はもう一度4階から順に各部屋を覗いて回った。だがどれも先ほどと同じく、時が止まったように沈黙したまま。
淀んだ空気が、舞う埃さえも空中に留めてしまったかのようだ。
2階の一番隅の部屋まで来た時、千絵はその部屋が他と違っている事に気づいた。
「前にも誰か来てる…?」
「え?」
千絵はサンダルを脱ぎ捨てると、ずかずかと部屋へ入った。佳奈が戸口から中を覗きこむ。
「何があるの?」


297 :腐肉(P.N.):2010/01/24(日) 02:12:27 ID:57EbvFB8
「ゴミ袋。荷造りの後…?」
佳奈も部屋へ入ってきた。すぐに何かを見つけ千絵を呼ぶ。
「箪笥が一段分、中身が消えてる。」
「引っ越したんだ…。」
千絵は興奮を隠しきれず佳奈の肩を掴んだ。佳奈は訳が分からず一瞬身じろぐ。
「ここだよ、その生き残った女の子の部屋!だって、この棟はその子以外全員消えたんだ。服を持ち出して荷造りする人が他に居る?」
「でも荷造りの途中で襲われた人が居たかも…。」
「でもこの部屋には荷物が無い。」
佳奈がはっとする。
「配送業者は死人の部屋から荷物を持って行ったりしない。」
2人は、何か身元の分かるものが無いか、部屋の中を探した。すぐに名前が分かった。周防美里。どうやら弟が居たらしく、家族4人で住んでいたようだ。
奥の部屋から、佳奈が写真を見つけてきた。それを見た瞬間、千絵は身体が震えるのを感じた。
写真の中で笑いかけているのは紛れも無く、あの日、あのホテルの廊下で千絵の恋人を飲み込み、千絵を犯し怪物へと変えたあの少女だった。
「見つけた…。」
千絵の顔に不気味な笑みが浮かぶ。その形相に佳奈は思わずぶるっと身震いした。
2人は更に家捜しを続け、引越し先の手掛かりになるような親戚の住所などを探した。
いくつか見つけた住所録を手に2人は廃墟を後にした。一番目立たずに動けて効率の良い方法は、そのリストにある近い親類を順に尋ねる事だった。
何件か当たれば、少女の行方に関する新たな手掛かりも見つかる筈だ。ついでにうまい飯にもありつけるかも知れない。
生き残った少女が、まさか本人だったとは思わぬ収穫だった。千絵の野望は、これで一気に前進だ。だが不可解な謎がまだ残っていた。
生き残ったのがあの化物なら、なぜ家族も全員喰ってしまった今になってもまだ東京に身を潜めているのだろう。
そもそも、あいつに家族があった事自体が驚きだった。
もしかしたらあの少女はオリジナルではなく、千絵と同じような境遇の下怪物へと変成したのだろうか。
だが今は、あいつを見つける事が先決だった。話はそれからだ。


[続]
-------------------------------------------------------

298 :名無しさん@ピンキー:2010/01/24(日) 10:45:35 ID:3A+IcfZB
おおお乙です。急展開で続きが楽しみですわー。

299 :名無しさん@ピンキー:2010/01/24(日) 18:51:30 ID:YdspwKT9
これは・・・とうとうクライマックスか・・・
どんな展開になるか予想つかんね

300 :名無しさん@ピンキー:2010/01/25(月) 00:38:32 ID:e7g4Bbn8

腐肉さんGJです
続き期待してます!

301 :腐肉(P.N.):2010/01/25(月) 03:23:51 ID:UD3icjpW
その夜、佳奈は早くに眠りに落ちた。千絵も最初の頃は、変成に伴う体力の消耗のためにしばしば強烈な眠気に襲われることがあったのだが、今では寧ろ夜が長く感じる。
すやすやと寝息を立てる佳奈の隣で、千絵は1人で映画を観ていた。映画に飽きると、チンパンジーこと輪下貴史がベッドの下に隠し持っていたアダルトビデオを観た。
千絵は巨乳は嫌いだったが(殆ど脂肪で美味しくない)、ぶつかり合い絡まり合い、交わり合う肉体を眺めていると唾液が込上げてきた。彼女にとってはグルメ番組のようなものだ。
気が付くとカーテンの向こうが明るくなっていた。どこからか鳥のさえずる声がする。時計を見ると7時になるところだった。
「うわ…」
千絵は思わず呟き、頭を抱えた。
徹夜でAVを観るって、私…。
千絵は落ち込んだ。部活をやっていたころ、ほんの数ヶ月前には考えられない事だ。だが今の千絵には有り余るほどの体力と時間がある。
それを惜しむ必要など全く無いというのに、習慣とは恐ろしいものだな、と千絵は思った。彼女は溜息を吐くと、ベッドに横になった。
「寝よ…。」
千絵は長い脚を延ばし、天上からぶら下がった電灯の紐を足の指で引っ張って消すと、蹲って眠る佳奈の方へ這って行き背中からぎゅっと抱きついた。
佳奈は「ん…」と小さく幸せそうな声を漏らすと、また元通り心地よいリズムの寝息に戻った。千絵は佳奈の背中に頬を押し付け、目を閉じた。
だが2時間もしない内に、チャイムの音で起こされた。郵便か集金なら、いつもは居留守を使ってやり過ごすのだが、今回の訪問者は執拗にチャイムを鳴らし続けた。
「んー…うるさいなぁ…喰い殺すぞ?」
千絵は寝ぼけて呟いた。だがチャイムは止まず、佳奈がもぞもぞと目を覚ましそうになっているのを見兼ねて、ついに千絵は諦めて起き上がった。
呻きながら玄関に向かっている時、彼女は自分が全裸だと気付き、慌てて下着を履いた。上からパーカーを羽織ると、彼女は苛立ちを隠そうともせず乱暴にドアを開けた。
そこに立っていたのは美しい女性だった。千絵の姿を見て、若干驚いているようだ。
「あら…」
彼女は呟く。
「えっと…どちらさまで…」
女性の美しさに千絵はすっかり毒気を抜かれ、呆然と尋ねた。
「あら、聞いてない?」
女性はにやにやしながら、千絵の剥き出した脚から寝起きであることが一目瞭然の乱れた髪までじろじろと見つめて言った。
「なるほどねぇ、急に連絡寄越さなくなったって言うのは、こういう事だったのねぇ。」
「あの…?」
千絵はその何故か得意顔の女性を観察した。見ると腹部が不自然に膨らんでいる。中から別の鼓動が聞こえた。どうやら、妊娠しているらしい。
「ごめんね、意地悪のつもりじゃないんだ。私は大野貴子、貴史の姉です。」
怪訝そうな顔の少女に気を遣って、姉は言った。それから千絵の目線の先を追って付け加えた。
「ご覧の通り、ママになります。」
「え、えぇ、えっと、おめでとうございます。」
千絵はどう対処して良いのか分からず度盛りながら言った。大野貴子は微笑んで言う。
「ありがとう。あなたは、将来この子の叔母さんになるかも知れないのね?えっと…」
「蓮杖、千絵です。」
「可愛い名前ね。貴史、いる?今朝寄るってメールしたんだけど…」
貴子は千絵の脇をすり抜けると、勝手に弟の部屋に上がり込もうと靴を脱ぎだした。千絵は焦った。こういう事態のために、チンパンジーの携帯をチェックしておくべきだった。
「え、ぇっと、その、ですね…」
うろたえる千絵をさも可笑しそうに見ながら貴子は言った。
「でもびっくりだな、貴史にこんな可愛い彼女が居るなんて。どこが良いの?猿みたいじゃん。」
同感だった。だが、千絵にとってはその猿と血の繋がった姉が目の前に居る美女だと言う事の方が驚きだった。
「何この部屋、酷い臭いね… どうせあの子ごみ出しもろくにしてないんじゃない?」
貴子がそう言って電気を付けようとした時、奥の部屋から寝ぼけ眼の佳奈が現れた。事態が把握できておらず、しかも全裸である。
家主の姉は凍りつき、千絵は絶望的な表情で頭を抱えた。

302 :腐肉(P.N.):2010/01/25(月) 03:31:02 ID:UD3icjpW
「なぁに?朝から…喰い殺すよぉ?」
佳奈が目を擦りながら、寝惚けた声で呟く。千絵は、佳奈の背後のテレビ画面に卑猥な映像が映し出されているのに気付いた。
ビデオの設定がリピートになっており寝る直前まで観ていたビデオが延々連続再生されていたらしい。
無論、佳奈と真正面に向き合っている姉貴子には、弟の部屋の惨状もとっくに目に入っていた。
「…どういう事…!?」
今度は、この突然の訪問者がうろたえる番であった。貴子は千絵と新たに登場した全裸の少女を交互に見つめながら、引きつった顔で回答を求めた。
「…誰?」
目が覚めた佳奈が、目の前に居る妊婦を指差し千絵に尋ねた。
貴子が千絵を顧みようとしたその瞬間、何か巨大な肉の塊のようなものに凄まじい力で押し倒され、気を失った。

303 :腐肉(P.N.):2010/01/25(月) 03:35:45 ID:UD3icjpW
------------------------------------------------------------------------
気が付くと貴子は冷たい場所に横たえられていた。風呂場らしい。スモークのかかったガラス戸の向こうから何やら言い合う声が聞こえてくる。
最終的に、言い合う2人はジャンケンを始めた。何かを決めようとしているらしかった。貴子はぼんやりとその声を聞き流しながら、何が起こったのか思い出そうとした。
今朝、夫富雄に送ってもらった。一週間ほど実家に連絡が無いというので、心配した母から弟の様子を見て来いと言われたのだ。そして…2人の少女に会った。
そうだ、そして彼女は殴られたか何かして気を失ったのだ。どれくらい経つのだろう?あの少女は何者なのだろう?
貴史はきっと悪い事に手を出したに違いない。悪い仲間と付き合い、ドラッグだの、援交だの…あの少女はどちらもまだ未成年ではないか。
とにかく、起きなくては。ここから出なくては。そう思って立ち上がろうと床に手を着いた途端、濡れたタイルにつるっと滑って頭を打った。
「っつぅ…」
貴子は呻きながら頭に手を遣った。その手を見た貴子は青ざめた。血が付いている!頭をまさぐると、更に大量の血が付いた。
「うそ…」
だがどうやら血が付いているのは髪の毛だけで、傷が見当たらない。貴子は上半身を起こすと、自分の倒れていた床を見た。途端に、彼女は悲鳴を上げた。
真っ白いはずのタイルが、赤く染まっていた。それどころか、血の池のようだった。
電気が点いておらずそれまで気付かなかったが、壁にも一面に血が飛び散っており、天上にまで及んでいた。
貴子は自分の身体に外傷は無いかと、シャッツの上から血が付くのも構わずボディチェックした。ふと、浴槽にもたれかかると、背後から強烈な腐臭がした。
振り向くと、浴槽の中にまだ血肉のこびり付いた人間の骨や、反吐に塗れた衣服が折り重なっていた。
しかもどう見ても一体だけではない。まさか、これが貴史だと言うのか。
貴子は悲鳴を上げる気力も失せ、ふっと力が抜けたように血の池の中にへたり込んだ。その時浴室の扉が開き、千絵が戸口に現れた。
「起きた?」
「あ…あぁ…」
千絵は後ろ手に扉を閉めた。ガラス戸の向こうから、もう一人の少女がにやにやと邪な笑みを讃えてこちらを見ていた。
「ごめんね、汚くて。昨日ご飯の後で掃除し忘れてて…」
全く、エロビデオなど見ずに夜の内に掃除して置けば良かった、と千絵は思ったが、床から立ち上る饐えた血の臭いが既に彼女を興奮させていた。
「あ、あなたたち、何なの!?」
貴子が叫んだ。だが身体は正直に、血の池の中をこの怪物のような少女から後ずさる。
「た、貴史をどうしたの!?まさか…」
「喰った。」
千絵は姉を見下ろし、ぽんぽんと腹を叩いて見せた。大野貴子の顔に明らかなショックと絶望が浮かび上がり、瞳が見る見るうちに涙で潤んで行く。
「あいつ愛されてたんだねぇ。」
千絵はくっくと笑い、弟の残酷すぎる死を突きつけられた姉に顔を寄せる。
貴子は「ひっ」と悲鳴を上げて飛び退こうとしたが、背中がもう壁に着いてしまった。逃げ場は無い。
「大丈夫、君もすぐに“入れて”あげる。弟よりもっといっぱい愛してあげるよ。」
千絵は血の池に膝と手を付くと、貴子の膨らんだ腹にぴたりと自分の肉体を密着させ、キスをした。初めての時に比べると随分上手くなった、と千絵は自分で思った。
「あっ…んっ…!!」
貴子は拒むように顔を背けるが、千絵の血塗れの手に頬をぎゅっと押さえつけられ、無理矢理に奪われた。
「や、やめ…」
言い終わらないうちに、少女の柔らかい唇が再び彼女から声を奪う。のたうつ舌が、口の中を隅々まで走査するように撫で回した。
貴子は、いけないと自分に言い聞かせた。だが少女のキスは今までのどの男よりも強く激しく、感じずに居られなかった。富雄さんよりも。
それが何よりも悔しく、貴子は泣き出した。
その間に千絵の股間の辺りから下着を捲り上げてチューブ状に集合した、勃起したペニスのような太い触手がするすると姿を現した。


[続]

304 :名無しさん@ピンキー:2010/01/25(月) 15:46:58 ID:ki4B4i3R
突っ込んだ触手で胎児を引っ張りだし、母親の前で食するのを希望

って、何考えてんだ俺……orz

305 :腐肉(P.N.):2010/01/26(火) 00:32:20 ID:UvjJxNti
巨大な一物は貴子の秘所を、パンティの上からつんと突いた。
「んんぐっ…!!」
貴子は叫ぼうとするが、口を塞がれて声が出ない。貴子は脚をばたつかせ、千絵の身体を押し戻そうと手を掛ける。だが少女の身体はびくともしない。
触手がパンティを貫き、膣内に侵入した。そのままずるずると信じられない程奥まで押し入る。
一体自分の身体に何を入れられているのかも分からないまま、彼女は「だめ、やめて」と言いたげに首をふるふると振りながら、乞う様な目を少女に向ける。
中に赤ん坊が居るのだ…。
少女の目が、彼女の目の前で意地悪く笑いきゅうっと細くなる。貴子は叫んだ。だがその声は外へは出してもらえず、代わりに涙と鼻水が流れ出ただけだった。
触手が、彼女の中のもう一つの命に触れる。身体の中で異変が起こった。触手が、彼女の中から胎児を引きずり出そうとしているのだ!
正確には千絵は、チューブを使って母親の胎内で直接胎児を飲み込むつもりだった。中絶に使う吸引器のように。
触手はあっと言う間に、世にもおぞましい肉で出来た掃除機さながら、胎児を飲み込んだ。
胎児はチューブの中をずるずると子宮から引きずり出され、膣の壁をぶち破ると、母体を離れた。貴子の腹が見る見るしぼんで行く。
貴子の肉体を出産時以上の激痛が苛む。だが胎児を失った彼女の絶望にとっては、そんな苦しみは気を紛らわしてもくれない。
大野貴子と夫富雄にとって希望となる筈だった生命は、一度も外気に触れる事無く千絵の胃に収まり、妊婦の代わりに彼女の腹がぽっこりと膨れた。
貴子は抵抗を止め、涙をひた流しにしたまま呆然と空虚を見つめた。千絵は彼女の身体から離れると、彼女から自分の身体がよく見えるように立ち上がった。
「あ… あ…あ…」
貴子は口に手を当て、わなわなと震えた。
次の瞬間千絵の腹に綺麗に割れた腹筋が浮かび上がったかと思うと、中でぐしゅっという何かが潰れる音がした。続いて、少女は満足げにゲップを放つ。
「いやあああああああああ!!!!!!!!」
貴子は声の限り叫んだ。だがすぐに、身体の中で激痛が走り、声が出せなくなった。呼吸すら難しくなり、げほっと咳き込む。口から唾液が糸を引いて毀れた。
見ると、怪物の股間から延びた直径20cm以上もある巨大なペニスのようなピンク色の物体が、自分のヴァギナに突き刺さっている。
貴子はまだ呼吸を取り戻せずに、咳と共に肺の中の空気を徒に吐き出し続けた。先ほどの痛みは、触手が子宮の壁を突き抜けた時のものであった。
触手はそのままぐりぐりとドリルのように彼女の体の中を抉りながら突き進む。
一旦凹んだ腹が再び、中から押し上げられるように膨れ上がると、次の瞬間ミイラの身体のようにぺしゃんこになった。
周囲の臓器がチューブに汲み上げられて千絵の胃の中に吸い込まれたのだ。
呼吸も出来ず声も上げられない貴子は、この世のものとは思えない痛みに身悶えた。
いっその事、一思いに殺して欲しいと思った。だが怪物は、彼女の内臓を飲み込み、恍惚に打ち震えるように身体をくねらせるばかり。
彼女の目に、もう貴子の姿は“肉”としか映っていなかった。

306 :腐肉(P.N.):2010/01/26(火) 00:32:58 ID:UvjJxNti
次の瞬間貴子の胸が炸裂した。肋骨を砕き、身体の中から血肉に塗れた触手が外へ飛び出してきたのだ。
豊かな乳房は潰れたボールのようにべしゃりと側に垂れ、毀れた母乳が血と交じり合い桃色の流れとなって血の池に注いだ。
大野貴子はしばらくびくびくと痙攣していたが、やがて震えのリズムが緩やかになって行き、そのままの姿勢で息絶えた。
その間も胸から突き出た触手は、身体の真ん中にぽっかりと空いた穴の周りでべちゃべちゃと肉をついばんでは、千絵の胃に送り続けた。

-----------------------------------------------------------------------

ジャンケンに負けた佳奈は、千絵が家主の姉を始末している間、浴室のガラス戸にもたれ、中の声を聞きながら自分を慰めていた。
口を塞がれた大野貴子が呻き声を上げる度に、彼女の恥部から大量のぬるぬるした液体が毀れ出た。
彼女は泣き叫ぶ獲物の顔と、それを見下ろす親友の残忍な眼差し、その暴虐を想像しては何度も果てた。
その時、凭れていた扉が不意に開き、佳奈は悲鳴を上げ後ろへ倒れた。すぐに背中に千絵の脚が当たる。
「び、びっくりする…じゃんか…」
佳奈は後ろ向きに千絵を見上げ、講義しようとするが、すぐにはしたない行為を見られた事に対する羞恥が起こり、頬を染めて目を伏した。
「また1人でしてたの?」
千絵は佳奈の背中に凭れかかると、優しく言った。
「エロい子だな。」
「ちぃちゃんだって… ちぃちゃんがそんないやらしい事する子だなんて思わなかったもん。」
「嫌い?」
千絵は佳奈の背中にちゅっと口付けた。頬を寄せると、躍動する筋肉とその向こうで力強く脈打つ心臓を感じる。
「ううん… 好き。」
佳奈は千絵に向き直ると、唇にキスをした。千絵の下半身は血だらけだったが、顔には返り血が少ない。
「もう済んだの?」
佳奈が尋ねる。
「うん、満足。」
ドアの向こうを見ると、大野貴子の肉体は跡形も無く消えていた。変わりに千絵の腹が妊婦のように膨れている。
「次は佳奈にやらせてあげる。」
「私も早く千絵みたいな身体になりたいな。」
佳奈は呟き、千絵よりも少し細いが長い舌でぺろりと親友の顔に付いた僅かな返り血を舐めた。


[続]

307 :名無しさん@ピンキー:2010/01/26(火) 18:18:26 ID:IVJoCgBq
乙です。今回は胃というか子宮のあたりがヒュッとする話だったなぁ

308 :名無しさん@ピンキー:2010/01/26(火) 18:57:20 ID:alAM8bV6
うわっ>>304よりエグイ・・・GJ!

309 :名無しさん@ピンキー:2010/01/27(水) 00:44:24 ID:m7uylIiz
チェストバスター食いGJ!!

310 :名無しさん@ピンキー:2010/01/27(水) 17:42:18 ID:/B7TfXcH
佳奈がモンスター化したら、膣で無理矢理人間を丸呑みにするなんてシーンが見たいのう

311 :名無しさん@ピンキー:2010/01/28(木) 11:24:20 ID:E+Ha7C3e
膣丸呑みして一時的に保存してほしいな
中で苦しめる感じで

312 :腐肉(P.N.):2010/01/28(木) 22:47:44 ID:4GM2wFaf
八手康久はコンビニの袋を持って車に戻ると、エアコンのスイッチを入れた。もうすぐ10月だと言うのに、この所まだ蒸し暑い夜が続いていた。
今夜も同じコンビニ弁当だが、その早めの夕食は彼にとってほんの一時の憩いを与えてくれる貴重なイベントだ。
この一週間と少し、彼は本署にも妻子の待つ家にも帰らず、ずっとこのミニバンの中から偏光シートの貼られたガラス越しにその部屋を見張っていた。
それが彼に与えられた任務である。
その部屋に居るのは、2人の女子高生。名前は蓮杖千絵と、小山内佳奈。小山内佳奈の家からは母親の刺殺体が発見されており、殺人容疑がかけられている。
蓮杖千絵は、6月に宮城で起きた宿泊施設の利用客全員失踪事件の生き残り。直後に父親や旧友が何人も失踪し、環境庁が捜査対象に加えた謎の少女。
彼女の正体に関しては、警視庁は一切の情報を与えられていなかった。当然、八手も知らない。それが後に彼の運命を左右する事となる。
2人は2週間程前にヒッチハイクで上京(車を運転していた親子は遺体で発見)し、ここ方南町のアパートに居候中だ。実のところ、尾行はその時既に始まっていた。
現在彼女らが潜伏中の部屋の契約者は輪下貴史という名の学生である。だが最初に蓮杖千絵と連れ立って部屋へ入り、続いて小山内佳奈が来訪して以降、姿が見えない。
監禁されているか、最悪の場合既に殺されているかも知れないと考えると、八手は気が気ではなかった。
2人が泳がされているのは、6月の宮城、そして8月の西東京、9月の地下鉄丸の内線事件の犯人の捜索のためである。
環境庁の調査本部責任者である村雨は、そのためならば市民の犠牲さえ多少であれば厭わないつもりだ。あれはそういう男だ。信念の男。
そのためには他人の命、そして場合によっては自らの命さえ犠牲にする男。だが、八手は正直乗り気ではなかった。
というか、彼は何一つ納得できなかったし、理解もできなかった。
宮城の女子高生と、この国の犯罪史上希に見る凶悪大量殺人の犯人との間に何の関係があると言うのだ?そもそも、なぜ調査本部が環境庁に置かれているのだ?
彼は環境庁の連中が蓮杖千絵をこんな風に呼ぶのを聞いたことがある。
「オブジェクトD」。彼は苦笑するしかなかった。しかし八手はそんな村雨の命令で動いている。
現に彼が尾行を引き継いでからも既に無実の人間が何人も犠牲になっているかも知れないと思うと、彼には耐え難いことだった。
これはもはや正義の問題ではないという事は、頭では分かっている。より多くの犠牲を防ぐため。村雨がどんなに冷酷な男であれ彼の論理も、結局はその一点に根ざしているのだ。
虫唾が走るが、彼は耐えるしかない。
だが時々、ふと覚めた目で自分を見下ろすもう一人の自分がいる事に気づく。俺は何をやっているんだ?端から見れば、車で暮らして女子高生をつけて回っている変質者だ。
実際に彼が監視している2人の少女は一向に殺人者らしき人物と接触する様子も見せず、たまに家に入ったきり出てこない者がいるという事実にも関わらず、
彼は次第にあの2人が殺人者であるとは思えなくなってきていた。奇妙な点が多い事は認める。村雨は彼女が犯人(の1人)であると断定したような口調であったが、
考えて見れば彼の知る限り証拠は何一つ無いのだ。彼女らは東京での暮らしを目一杯謳歌しているようにしか見えない。
割り切っていた思いも冷め、この仕事に対するただの嫌悪と怠惰だけが心を占めるようになりつつあった。
しかしその日の朝、異変が起こった。1人の女性が、例の部屋を訪ねて行ったのだ。応対したのは確かに「オブジェクトD」で、女性は部屋へ入ったきり出てきていない。
恐らく女性は妊娠していた筈だ。彼女が部屋へ上がり込んだとき、八手はよっぽど止めに入ろうかと思った。
向こうは彼の顔を知らないし、我々をうまく捲いたと思い込んでいるのだから、適当な芝居を打って彼女を救い出す手はあったはずだ。彼は今になってその事を後悔した。
あの少女が、身篭った母親に対しても残酷に手を下すなどという事が考えられようか?八手は、可憐な美少女が妊婦の腹を裂く場面を思い浮かべた。
ズボンの下で、ペニスがむくむくと膨張した。この所、一日中車に閉じ込められている彼のストレス発散法はマスターベーションであった。
少女たちが寝静まったのを確認すると、彼は車内で1人、蓮杖千絵のファイルを広げて手淫する。そこに印刷された彼女の美しい顔を見ながら射精する。
それが彼にとっての最大の娯楽だった。だがその日は朝まで部屋の電気が消えず、彼は機会を失ったままだった。
今夜こそは…。

313 :腐肉(P.N.):2010/01/28(木) 22:50:18 ID:4GM2wFaf
彼はふと、身を乗り出して周囲を見回した。
この辺りは都心から少しは離れているが、それでも昼夜人が居なくなる時間というのがあまり無い。偏光版のお陰で、外から車内を覗き見ることは不可能だが、
彼はその秘かな娯楽のために、ターゲットである2人の少女以外にも周囲の目を気にするようになっていた。
その時、一台の車がすぅっとミニバンの横を通り過ぎ、アパートの真ん前で停車した。その車に、八手は見覚えがあった。今朝例の妊婦を送って来た車だ。
車から男が1人出てきた。酷く慌てた様子で、アパートの中へ駆け込んで行った。しばらくして、3階の踊り場に再び男の姿が現れた。
彼は真直ぐ、少女たちの潜伏している部屋へ向かうと、チャイムを押した。中から出てきたのは、小山内佳奈の方だ。八手は不安になってきた。
蓮杖千絵はどこだ?もしかして、彼がコンビニに入った隙に外出してしまったのだろうか。
佳奈は戸口で何やら男と話をしているようだ。それから、2人して部屋を出ると廊下を歩き出した。アパートを出るようだ。
何のために?
八手は身を乗り出し窓に張り付くようにして見ていた。恐らくあの男は妊婦の夫だろう。
妻が帰って来ないので無事を確かめに来たのか?それにしてもあの慌てようは何故だ。
男は、車のエンジンが駆けっぱなしであるにも関わらず、建物を出ると佳奈についてあらぬ方向へ歩いて行く。
八手は2人が十分に離れると、徐にバンのエンジンを切り、車を降りた。


「貴史と一緒ですから心配要りませんよ。」
佳奈は後ろをついて来ながらそわそわしている大野富雄に向かって朗らかに声をかけた。
「あ、ああ…貴史君ね…ちょっと不安だなぁ。」
富雄は余裕を見せようと冗談のつもりで言って見せた。だが自分でも声が上ずっているのが分かる。兎に角、落ち着こう。
「貴史君から連絡貰った時はびっくりしたよ…だって予定じゃまだ1ヶ月も… 本当に、大丈夫かな?」
「お医者さんは母子共に問題無いって言ってらっしゃいましたよ。」
佳奈のその一言で、富雄は崩れ落ちるほど安心した。佳奈の事に気を配る余裕も出てきたようだ。
「ところで、君は…貴史君と同じ大学?」
「えぇっと…まだ高校生。」
「高校生…貴史君も隅に置けないな!」
「貴子さんにも言われました。」
佳奈は照れ臭そうに言う。
「まぁ恋愛は自由だけど…まだ高校生なんだから、程ほどに…というか。」
富雄は自信なさげにアドバイスする。
「富雄さんきっと素敵なパパになりますよ。」
佳奈がそう言うと、富雄は何やらもごもご呟いて小さく笑った。2人の後ろを八手康久刑事が尾行していることを、佳奈は知らない。
大野貴子の携帯電話からの「破水した」というメールで呼び出した“獲物”も勿論同じだ。
彼は佳奈の本当の目的も、妻と生まれてくるはずだった子がとっくに化物の胃袋の中で溶けてしまった事など知る由も無い。
佳奈は細い路地に入った。
「近道します。大丈夫ですか?」
「ああ。」
2人は路地の奥へ消えた。八手は足を止めた。厄介だ。こういう路地では、尾行に気づかれてしまう確率が非常に高い。
彼はポケットからGPSを引っ張り出すと、地図を呼び出し、路地がどこへ抜けるのかを調べ始めた。あわよくば先回りできるかも知れない。


[続]

314 :名無しさん@ピンキー:2010/01/29(金) 03:21:19 ID:smqCUo3M
乙です!これまた急展開で続きが楽しみです

315 :名無しさん@ピンキー:2010/01/29(金) 10:58:28 ID:ns3iT2OU
くぱぁ!

316 :腐肉(P.N.):2010/01/29(金) 23:56:01 ID:TfGSDK+5
「随分、狭いね?」
大野富雄は壁を走る配水管を眺めながら、ブーンと唸りを上げ生ぬるい風を噴き出すエアコンのファンに負けないよう叫んだ。
路地は相当入り組んでおり、先ほどから何度もくねくねと曲がっている。
「病院の名前、もう一度教えてもらえるかな。」
大野富雄は佳奈に尋ねた。こんな所を通っていく病院なんて、ちゃんとした所なんだろうな?という不安が、彼の心を支配した。
だから彼は、佳奈がジーンズの腰から、布に包んだ刀のように長いスライサーを取り出した事にも気付かなかった。
佳奈は刃物から布をはらはらと剥がしながら、その冷たい金属の感触に惚れ惚れとした。数日前、新宿へ出た際に大型生活雑貨店で購入したもので、まだ新品だ。
切れ味が楽しみである。
「佳奈ちゃん?」
富雄が不安げに尋ねる。佳奈はぴたりと足を止めた。
「どうした?かな…」
富雄がそう言って佳奈の肩に手を延ばした瞬間、人差し指から小指までが消えた。富雄は何が起こったのか分からず、すっぱりと切断された断面を呆然と眺めた。
スーパーに並んでいるような綺麗な赤身に、少しだけじわっと血が滲む。足元でカランと金属の破片が落ちる音がした。
見ると、子供用ウィンナーのような切断された指と、そこから抜け落ちた銀色の結婚指輪が転がっていた。次の瞬間、手の断面から血がどくどくと溢れ出てくる。
「うわあぁっ…!!!」
富雄は必死に手を押さえて悲鳴を上げかけた。だがそれより早く、刃渡り40cmはあろうかというナイフが彼の顔から喉にかけてを縦にスパッと滑った。
口の中に血の味が広がり、喉からすーすーと空気が抜けていくのが分かる。思わず口を閉じようとすると、上下の唇が真っ二つに割れているのが分かった。
途端に凄まじい痛みが走る。だが声が出ない。富雄は地面に膝を付いて蹲ろうとした。だがそれを待たずに、佳奈のナイフが腹を裁いた。
切断されたスーツとシャツがだらりと垂れ下がり、露わになった腹に横一直線に赤い線が入り、くぷんという奇妙な音を立てて、何かが毀れ出た。
肥満気味の芋虫のようにぶくぶくと膨れ上がった腸だ。更にその腸も、丁度半分のところでぱっくりと別れ、切断された方がぼとりと埃っぽい地面に落ちた。
佳奈はスライサーを手に、踊るように激しく舞った。手当たり次第に刃物を突き出しては、肉に触れた手応えを感じると、思い切り引いた。
そしてすぐにまた次の一撃を繰り出す。大野富雄は最後の力を振り絞り、凶器を手に死の舞を踏む少女に向って手を延ばした。
運良くその手が、佳奈のスライサーを持った方の腕を掴む。一瞬、佳奈の動きが止まる。
だが次の瞬間、佳奈はもう片方の手で富雄の手首を掴むと、身体ごと回転して彼の腕を捻り上げた。今の佳奈の腕力は、成人男性を優に凌駕する。
富雄の喉からひゅうひゅうと荒い息が漏れる。恐らく悲鳴を上げようとしているのだろう。痛みのあまり、彼は掴んだ佳奈の手を離す。
その隙に佳奈は自由になった凶器を、捻って固定した男の肩に向って振り下ろした。スバッという、時代劇でしか聞いた事の無いような不気味な音が路地に響いた。
富雄の腕は根こそぎ胴体から切断され、バランスを失った彼は前のめりにどさりと汚い地面に倒れた。肩を含む無数の切断面から血が流れ出て、見る見る路地を赤く染めた。
佳奈は足元が血に浸るのも構わず、掴んだままの切断した腕に齧り付いた。牙を立てて肉を挟むと、力任せに噛み千切った。筋肉の繊維がバラバラにほつれる。
佳奈は生えたばかりの凶悪な歯でそれをくちゃくちゃと咀嚼した。初めて1人で成功させた“狩り”の戦利品を、充足感と共に味わった。

317 :腐肉(P.N.):2010/01/29(金) 23:58:18 ID:TfGSDK+5
一方、路地の出口から少し離れた所で待ち伏せていた八手は、2人があまりにも遅いので焦り出していた。もう先に抜けて行ってしまったのだろうか?
今標的を見逃してしまうという事態は何としても避けたかった。彼自身の手で証拠を掴む事が出来るかも知れない。車もそのまま置いてきている。
八手は意を決して、路地へ入ってみる事にした。もし鉢合わせても、向こうは彼の顔を知らない。やり過ごせるだろう。
路地はエアコンのファンやビルの間を吹きぬける風の音に満ちており、足音を隠す必要は無かったが、八手は慎重に進んだ。
やがて曲がり角まで来ると、八手は壁に背を付けそっと向こうを覗いて見た。目を覆いたくなるような光景だった。
月明りと、ビルの上方に灯った電灯の光に照らされて浮かび上がったのは、どす黒い血溜りの中で、刺身用に裁かれた魚のように赤い肉をむき出して倒れた男の肉体と、
一糸纏わぬ姿でその上に覆いかぶさるようにして肉に齧り付く美少女の変わり果てた姿だった。
何という事だ!
八手は恐怖のあまり叫び声を出しそうになった口を片手で押さえた。目の前の光景が信じられない。
これはもう殺人などと言うレベルの事件ではない。こんな事、外国の猟奇事件の資料か恐怖映画の中でしか目の当たりにした事は無かった。
八手は心臓が早鐘のように高鳴るのを抑え、もう片方の手でジャケットの下のホルスターの止め具を外す。
心の中では、本能が今すぐにその場から逃げるべきだと告げていた。だが彼は、犯人逮捕のために無実の人間の命を犠牲にしかねない
この任務に参加すると決めた時と同じように、理性でそれを押さえつけゆっくりと銃を引き抜いた。その時、声がした。
「びっくりした?」
八手は背筋をゆっくりと冷たいものが這い上がるのを感じた。それは途方もなく絶望的な恐怖だった。彼はごくりと唾を飲み込み、真直ぐ前を見据えた。
胸から股間の辺りにかけてを血に濡らした小山内佳奈がそこに居た。先ほど彼が覗き見た時は、5メートル以上離れていた筈だ。一体いつの間に移動したというのか。
「あなた誰…?」
佳奈はじりじりと八手に歩み寄る。
「おかしいと思ったんだ、昨日出掛けた時、追けられてるような気がして…。千絵を追ってるの?」
次の瞬間、答える前に彼は少女が延ばした腕に物凄い力で投げ飛ばされ、路地の反対側の油っぽい土の上にどさりと落ちた。
脚の骨が折れたらしく、身動きしようとすると激痛が走る。八手は仰向けに寝転んだまま、怪物がやって来るのをただ見ているしかなかった。
彼は柔道と空手の有段者である。その彼が18歳の少女に片手で投げ飛ばされた。たった今彼の身に起こった出来事が現実であると認められず、思考が停止していた。
「あの子を護る為なら、私はどんな事でもする。」
佳奈は土の付いた裸足の足で八手の股間を踏み拉いた。あっと言う間に勃起する。だが次の瞬間、彼のペニスはその可愛らしい少女の足に身体ごと踏み抜かれた。
「ぎあああああああ!!!!!!!」
八手の絶叫がビルの谷間に木霊する。だがこの街では、そんな事では誰も不審がったりしない。
佳奈は八手の身体に馬乗りになるように跨ると、若い捜査官の顔面の辺りに来る様に股間を押し付けた。
「や、やめっ…」
もはや性欲を感じる部分を失った八手は、恐怖に駆られて叫んだ。佳奈は、千絵がやるようにきょとんとして首を傾げた。
「…もう一度。あなた、誰?」
怪物が尋ねる。
「警察?」
「そ、そう…だ…」
理性の消し飛んだ八手は、呆然と問われた事に正直に答えた。
「そう…。」
佳奈は意外そうな顔で男をまっすぐ見つめた。こんな状況にも関わらず、八手の一物は欲情していきり立った。
「それは残念だね。」


[続]

318 :名無しさん@ピンキー:2010/01/30(土) 00:16:26 ID:H/Eis+Dn
しかしこの世界、変態が多すぎである

膣丸呑み期待
潰さないでゆっくり溶かして欲しい

319 :名無しさん@ピンキー:2010/01/30(土) 09:35:37 ID:ahZC31Xg
GJ!

しかしながら、いつも思うんだが○○期待とか言うのはどうなんだ
作家さんが描きたい様に描かせてやれよ

320 :名無しさん@ピンキー:2010/01/30(土) 11:36:49 ID:zKYRWnoJ
GJです!
最近このスレを知って前スレにも遡って読んでもう目が離せない

321 :名無しさん@ピンキー:2010/01/30(土) 15:33:22 ID:iIslpOgI
生まれたてのウミガメや魚の稚魚のほとんどが、
大きい生物に丸呑みされるのと同じだな。
自然の世界では変態でもない。

322 :名無しさん@ピンキー:2010/01/30(土) 16:50:39 ID:tkjsoOFR
だがウミガメや稚魚はリョナニーなどしない…!

323 :名無しさん@ピンキー:2010/01/30(土) 17:06:45 ID:7XyqDsIX
まあ自然界では、求愛のためだけに一年間をついやす動物もいるんだから、本能に正直なんだよ。
とフォローしてみる。

324 :名無しさん@ピンキー:2010/01/30(土) 19:12:22 ID:odCuNodu
顔面騎乗キターっ!

325 :名無しさん@ピンキー:2010/01/30(土) 21:01:39 ID:aZJGg3e4
足じたばた足じたばた

326 :腐肉(P.N.):2010/01/30(土) 21:16:49 ID:QH2eGkvw
佳奈のその言葉を合図に、彼の顔に押し付けられた恥部が開口した。ぬるっとした陰唇が彼の頬に擦りつけられる。
「うっ…ぐ…」
八手は呻き声を上げた。ズボンに擦れたペニスからとくとくと精液が流れ出てパンツを濡らした。
佳奈の膣から夥しい粘液が溢れ出て八手の顔面を広がった。それは唾液だった。
ゆっくりと膣を形成する肉の壁が伸縮し、胃まで一直線に通じる真っ暗な穴と化した。
その穴から漂う腐臭に八手は吐き気を催した。だが口を開けた瞬間、唾液が入り込み甘ったるい粘液に軌道をふさがれ咳き込んだ。
呼吸を取り戻す前に、彼の頭は膣の中に呑み込まれた。筋肉の壁がうねり、彼の頭部を締め付けると、ゆっくりと胃袋の奥へと運び始めた。
外側では、少女の膣に頭を挿入した男の肉体が、ぐぷんという下品な音を立ててながら徐々に彼女の体内へと引きずり込まれていく。

腰の辺りまで入った時、不意に何かに閊え、佳奈は呑みこむのをやめた。はてな、と思って見下ろすと、勃起した陰茎が膣口に閊えていた。
佳奈がそっと手を延ばして触れると、自らの存在を主張する陽物はびくんと震え射精した。流れ出る精液はパンツを通してズボンにも染みを広げた。
佳奈はそのまま彼の一物をぎゅっと握ると、力いっぱい握り潰した。硬くなったペニスはあっと言う間にバナナの皮のように張り裂けた。
体内で何かが振動する。恐らく、男が悲鳴を上げたのだろう。佳奈が手を退けると、朱色の混じった白っぽい粘液が指の間でつっと糸を引いた。
佳奈はその手を口元に寄せると、指に付いた丁寧に一本一本血の混じった精液を舐め取った。
「ん…おいし…。」
八手がこの光景を見られないのが残念である。
尤も、見られたとしても彼の性欲を感じる部分はもう萎びた野菜のようになって、彼女の体内に呑みこまれていた。
骨盤が膣の筋肉に締め付けられベキベキと音を立てて砕けた。
手を綺麗にすると佳奈は、だらりとぶら下がった八手の足から靴を脱がせ、指でちょっと押してやりながら彼の全身を胃袋に納めた。
佳奈は、傍にあった比較的汚れの少ないエアコンのファンの上に腰掛けた。重みでスチールの箱が軋みを上げる。
自分の身体と同じくらいに膨らんだ腹を見て、佳奈は初めて、自分は人間ではなくなったのだと実感した。
中の男はどうやら悲鳴を上げる気力までは尽きたらしいが、彼の肺から搾り出されるか弱い呼吸や鼓動から苦痛を感じ、佳奈は悶えた。
彼女は何十倍にも膨れ上がった腹を優しくさすると、膣の穴から「げふっ」とゲップのような音がした。ふと気付くと、背後に千絵が立っていた。
「落ちてた。」
千絵は手にした血だらけのスライサーをぺろぺろと長い舌で舐めると、それを佳奈に差し出した。
「済んだ?」
佳奈は返事の代わりにゲップをした。

327 :腐肉(P.N.):2010/01/30(土) 21:18:06 ID:QH2eGkvw
「もう一人いたみたいだね?」
千絵が佳奈の膨張した腹を見つめて尋ねた。
「追っ手、みたい…。」
佳奈は悲しげに言う。
「そろそろ潮時みたいだね…また移動しなきゃ。」
千絵が歩み寄り、佳奈の腹を撫でながら、身体に付いた血を舐め言う。
「一緒に行こう?」
「もちろん。」
そう言って佳奈は、千絵の肩に腕を回して抱き寄せた。千絵の口からするすると舌が伸び、佳奈の口元を探る。
佳奈が口を開けると、2匹の蛇のように、2人の舌が縺れ合う。絡み合う舌に引き寄せられるように、2人は接吻を交わした。
「愛してる。」
千絵が囁く。
「私も…」
そう言い終らない内に、佳奈の舌は千絵を求めて迫った。千絵はそれを優しく受け入れた。
佳奈の消化器系はまだ変成しきっておらず、千絵に比べて胃酸の濃度は薄く消化に時間がかかる。
だが、追っ手の存在を知った今、この路地でそれを待つ時間は許されていない。
それを知っている千絵は、自らの体内から強酸を逆流させ、口付けながら佳奈の体内に流し込んだ。
「んぐっ…」
佳奈の口からしゅうと細く煙が上がった。口の中に焼けるような痛みを感じる。唐辛子をそのまま食べたときのように、舌がひりひりする。
熱い液体は喉を流れ、胃袋に到達した。
すぐに化学反応が置き、胃の中の男がびくんと動いたきり、歪に変形していくのが分かった。
男は痙攣し、しばらく佳奈の腹は洗濯機のドラムのようにぼこぼこと揺れていた。
千絵は口を離す。唇から毀れた酸がぽたりと、佳奈の座っている潰れかけたエアコンのファンに垂れてじゅっという音を上げた。
「ん… もっと…」
佳奈は目を瞑り、ひりひりする口を、親鳥から餌をねだる雛のようにくぱっと開けた。
一瞬ひんやりとした夜の空気が口の中に入り込み、火傷を癒した。
だがすぐに千絵の口が夜風を遮り、更に大量の胃液を流し込む。佳奈は喘いだ。
熱い飲み物を覚まさずに飲んだときのような感覚が口の中を襲うが、それが千絵にされている事だと思うと苦痛よりも喜びの方が勝った。
服が着れる程になると、佳奈は少し離れたビニルシートの上にきちんと畳んで置いてあった服を羽織り
(脱ぎ捨てるか畳んであるかは性格が出るな、と千絵は思った。)、
2人は恋人同士のように腕を組んでアパートで戻った。30分後、荷物を纏めた2人は新たな根城を求めて夜の街へと旅立った。


[続]

328 :名無しさん@ピンキー:2010/01/30(土) 22:26:46 ID:cu7rEER5
GJすぎる!

329 :名無しさん@ピンキー:2010/01/30(土) 23:14:22 ID:H/Eis+Dn
GJ!!

330 :名無しさん@ピンキー:2010/01/31(日) 01:01:15 ID:ank3bUcH
描写はエロいが絵面が想像できねぇ・・・w

331 :名無しさん@ピンキー:2010/01/31(日) 10:41:08 ID:6v47NxB0
膣丸呑みGJ!!

>>330
早くMP(妄想ポイント)を強化するんだ!!

332 :名無しさん@ピンキー:2010/01/31(日) 11:16:59 ID:MNjiermX
>>331
MPワロタ

333 :名無しさん@ピンキー:2010/01/31(日) 12:37:40 ID:41XG+hrw
HP(変態ポイント)なら余るくらいあるんだがな…

334 :名無しさん@ピンキー:2010/01/31(日) 14:06:07 ID:PrJxzVbF
MPマックスの俺は村雨の顔まで想像できるぜ・・・

335 :名無しさん@ピンキー:2010/01/31(日) 17:56:37 ID:6v47NxB0
>>333
その発想は無かったわwww
みんな高そうだwww

>>334
スゲェΣΣ(゚Д゚;)
53万のMPと二回の変身を残してそうだ・・・

336 :名無しさん@ピンキー:2010/01/31(日) 18:42:13 ID:9YoWTn9R
>>335
53万の時点なら残り3回だろw

337 :名無しさん@ピンキー:2010/01/31(日) 19:07:14 ID:6v47NxB0
>>336
そうだったorz

しかしあと3回も変身を残している334・・・ゴクリ・・

338 :名無しさん@ピンキー:2010/01/31(日) 19:12:49 ID:BOCLsz2Y
村雨、及川光博のイメージだったわ

339 :名無しさん@ピンキー:2010/01/31(日) 21:28:09 ID:wvI7Gyxo
このスレとしてはHPは(被食ポイント)っぽい気もする

340 :名無しさん@ピンキー:2010/01/31(日) 22:11:54 ID:6v47NxB0
>>339
変態成分が十分含まれているからどっちもへn(ry

341 :腐肉(P.N.):2010/02/01(月) 01:24:41 ID:WjTgJwQp
[最終幕間]
伊豆波辰朗は靴音をリノリウムの床に響かせ、中央庁舎ビルの廊下を歩いていた。目的の部屋の前で一瞬立ち止まると、中から何やら話し声が聞こえた。
伊豆波は2度ノックし、入室した。部屋はブラインドが下りており、遮られた陽光の名残が薄暗い部屋全体を黄色く染めている。
中央にある巨大なデクスで、村雨は不機嫌そうにファイルをとんとんと叩きながら受話器に向かって話していた。
「とんだ不祥事ですよ。分かっています。八手刑事が消されたせいで、例のアパートに警官がやってきた時、フォローする者が居なかったんです。
いえ、通報したのはアパートの契約者だった青年の母親です。音沙汰無いのを不審に思ったそうです。だが警察よりも性質が悪いのはマスコミですよ。
せめて警視庁内で情報の伝達が的確に行われていれば、パトカーを5台も引き連れて来るなんて事は無かったはずですし、マスコミも止められました。」
電話の相手は「お互いに不出来な部下を持つと苦労するね」と嫌味を言う。なぜなら、彼が村雨の上司、環境庁のトップだからだ。
環境庁内に“オブジェクト”対策本部が設置されてから実質的に何の成果も上げられていない村雨に対して、彼は業を煮やしていた。村雨は閉口する。
「今や毎日ニュースで見るよ。犯人の正体を知っているという点を除けば、彼らの方が私より詳しいのではないかね。
まだある。“地下鉄の怪物”という噂が子供たちの間で流行しているそうだ。これは単なる都市伝説の類だが、既にFSBとFBIが何か嗅ぎ付けている。
連中が動き出すのも時間の問題だ。何としてもそれまでに決着したいところだと言うのに、折角手中にするチャンスがあったはずの“D”をこのタイミングで逃すとは。」
電話の相手が詰問する。村雨は相変わらず機嫌の悪そうな調子で応対する。
「ええ、そうです。今変わりの探索者が警視庁から派遣されてきたところです。」
村雨は戸口で硬直している伊豆波にちらりと目を向けて言う。
「行方に関して、八手康久の報告に手掛かりになるかと思われる情報があります。“オブジェクトD”及び小山内奈々は、例の西東京の事件現場を訪れています。
“オブジェクトC”との接触を図ろうとしている証拠です。つきましては、8月の事件の再調査を要請したい。私の予想が正しく、そして作戦通りに行けば…」
「だが君の作戦とやらのために泳がせていた魚は水槽を飛び出し海原へ逃げたぞ。」
長官はぴしゃりと言いつけた。村雨は苦虫を噛み潰したような顔で声を低く言う。
「…具体的に申します。周防美里です。」
「周防美里?」
長官はその名前にぴんと来ない。
「生き残った少女。」
「彼女は変成していなかった。オブジェクトではない。」
「当時、現場ではセンサーを使った検査を行ったのみです。再調査を。」
「否、だ。ようやく世間が忘れ始めた頃だと言うのに、また蒸し返して悲劇のヒロインを引っ張り出し、スカートでも捲れというのかね?
“オブジェクトD”を辿って“C”に行き着けるというのなら、8月の事件は忘れて先ずは“D”を捕らえる事だ。」
そう言うと、プツッという音と共に電話は切れた。村雨は受話器を乱暴に戻すと、ファイルをパタリと閉じてデスクの脇に放り投げた。
だがすぐに伊豆波に向き直り、いくらか落ち着きを取り戻した声で言う。
「待たせて申し訳ないですね、お掛けください。」
村雨は腰掛けたまま、デスクの前のソファを示して言った。引き出しの中から別のファイルを取り出すと、ぱらぱらとめくる。伊豆波辰朗の個人データだ。
それによると八手と違い、任務に人間性を持ち込まない軍人のようなタイプの男のようだ。なるほど、見た目通りの人物、という事か。その点は八手よりも安心だ。
村雨は背筋を伸ばしてソファに浅く腰掛けた若者を眺めた。
「八手刑事の後任に決まりました。」
村雨は言った。伊豆波は徐に敬礼すると、一言「はい」とだけ答えた。
「着任前にこうして呼び出したのは… あー、あなたに一つ、教えておかねばならない事があるからです。」
村雨は回転椅子を窓のほうに向け、伊豆波に背を向けるとブラインド越しに広がる摩天楼を眺めながら呟いた。
「この事を知っていれば、八手康久も死なずに済んだかも知れない。」
「お言葉ですが、八手刑事はまだ死んだと決まったわけではありません。」
背後で、伊豆波が原稿でも読むようにきびきびと言った。村雨はふんと鼻を鳴らし、背を向けたまま言う。
「我々が相手にしているものの正体を鑑みれば、彼は死んでいます。ほぼ、間違いなくね。」
背後で彼が席を立つ音がした。足音が近づき、やがて伊豆波辰朗の姿が視界に現れ、回転椅子に身を埋めた村雨の隣に立つ。

342 :腐肉(P.N.):2010/02/01(月) 01:25:36 ID:WjTgJwQp
「我々に何を隠しているのですか。」
伊豆波はチェアの男と同じように窓の外を見ながら棒のように言う。村雨は椅子を半回転させ、隣に立つ伊豆波に向き直った。
「これら一連の事件は、人が人を殺すという意味において、単なる猟奇的な殺人事件ではない。生半可な正義感で事に当たろうとしているのなら、今すぐに逃げるべきです。
逃げて、見て見なかった振りをするのです。世界が終わるその日まで。これは文字通り、人類という種の存亡を掛けた戦いです。」
伊豆波は訳が分からないといった顔で村雨を見下ろした。村雨は顔色一つ変えず、話し始めた。彼らが“オブジェクト”と呼称している怪物、蓮杖千絵の正体について。

-----------------------------------------------------------------------------

「美里―!」
周防美里は、自分の名前が呼ばれている事にやっと気づいた。顔を上げると、同じクラスの女の子が2,3人、教室の戸口から声をかけている。
「大丈夫―?」
「あ、うん… ごめん、考え事してて。」
彼女はおずおずと答えた。休み時間で、教室の中はがやがやと騒がしい。彼女の席まで届くように女の子達は声を張り上げる。
「次の時間、体育だぞ!」
「早く行こうよ!」
周防美里はうろたえ、ちらっと壁に張られた時間割表に目を遣り慌てて叫ぶ。
「さ、先、行って着替えてて!わ、私ちょっと…トイレ、行きたいから。」
友人たちは納得したように何やら叫ぶと、固まって教室を出て行った。早くも周囲で男子が着替え始める。残っていた女子たちはきゃあきゃあと
「ちょっと、まだ女子いるんだからね!」などと叫びながら遽しく教室を離れて行く。美里は体操着を引っつかむと、こそこそとトイレへ向かい、個室の中で一人で着替えた。

その日も何事も無く一日の授業が終わり、美里はほっと胸を撫で下ろした。何人かの友人に一緒に帰ろうと誘われたが、「ごめん、用事があるから」と断り、一人で学校を後にした。
転校して来て早くも3ヶ月が経とうとしていた。即ち、夏休みの終わりに、彼女の家族が、団地の他の住民と一緒に死に、彼女が親戚夫婦の家に越してから3ヶ月。
親戚とはしょっちゅう会う仲でも無かったので家庭ではまだ少しぎくしゃくしているが、学校では友達は出来たしし特に問題も無い。
彼女の名前は公表されていなかったし、この学校では叔母夫婦の苗字である日下部で通していたから、彼女を奇異の目で見る者は少なかった。
しかし、まだこの生活に馴れた、とは言い難い。実際、あの女子連中も、心の中ではどう思っているのか、もしかしたら知っているのではないか、などと思う事が無くも無い。
だがそんな事は、彼女の抱える最大の問題に比べれば些細な事だった。彼女は周囲に誰も居ないのを確認しながら、家とは反対の方角へ向かった。
級友と出くわさないよう、学校から離れたバス停からバスに乗ると、最寄の地下鉄駅に向かう。
9月に例の丸の内線の事件があってから、地下鉄の利用者数が激減したとニュースで見た。“地下鉄の怪物”の噂は、美里の学校でも今や誰もが知っているし、
結局のところ、20世紀のこの現代においても人は「科学的な証拠が無いから」などと簡単に割り切れず、迷信を信じる傾向にあるのだ。
あるいは、暗闇に対する恐怖か。
美里も、暗闇が怖かった。彼女は改札を抜けると、人気の無いホームを改札から一番離れた反対端まで歩いて行った。
しばらくそこで周囲を伺い、誰も彼女の方を見ていないのを確認すると、彼女は素早く線路に飛び降り、闇の中へと駆け込んだ。
駅から十分に離れると、鞄から懐中電灯を取り出し、線路に沿って進んだ。電車が来ないかとびくびくしたが、そういう時は身を隠す場所を教わっている。
10分ほど歩いただろうか。線路が2つに別れている地点までやって来た。この先は今は使われていない、車両の緊急待避駅がある。
目的地はすぐそこだ。美里は足を早めた。そちらには、これまでの普通線路と違い、一定間隔に灯った電灯は無い。正真正銘の闇だ。
ふと、懐中電灯の光が線路の向こうに何か捕らえた。青白い光を浴びて真っ白に輝くそれは、眩しさに目を細め一瞬警戒するように身を屈める。
美里は安堵したような表情で、線路の向こうの生き物に向かって言う。
「お待たせ… お姉ちゃん。」
“お姉ちゃん”と呼ばれたそれは、美里の姿を確認するとゆっくりと顔を上げた。


[続]

343 :名無しさん@ピンキー:2010/02/01(月) 04:26:37 ID:5QElTWnq
こんなんありましたけどぉ・・
ttp://gelbooru.com/index.php?page=post&s=view&id=150541

344 :名無しさん@ピンキー:2010/02/01(月) 04:54:35 ID:Xj2hrgK2
>>343
それなら、これらも貼れよw
http://gelbooru.com/index.php?page=post&s=view&id=12667
http://gelbooru.com/index.php?page=post&s=view&id=12712
http://gelbooru.com/index.php?page=post&s=view&id=94847
http://gelbooru.com/index.php?page=post&s=view&id=278224
http://gelbooru.com/index.php?page=post&s=view&id=12665
http://gelbooru.com/index.php?page=post&s=view&id=12666
http://gelbooru.com/index.php?page=post&s=view&id=12664
http://gelbooru.com/index.php?page=post&s=view&id=12663

345 :名無しさん@ピンキー:2010/02/01(月) 06:04:23 ID:VQB/t6aP
腐肉さんGJ!!
最終決戦楽しみです

>>343
>>344
マニアックなタグがたくさんあっていいサイトだね

346 :名無しさん@ピンキー:2010/02/01(月) 23:04:29 ID:Jx9fAE1q
捕食スキーとサイズフェチにはやはり相関性があるな

ふぅ・・・

347 :名無しさん@ピンキー:2010/02/01(月) 23:55:08 ID:MYw/Icoj
昔からGTSには被食関連でお世話になってたわ・・・w

348 :名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 00:53:03 ID:KfUXAk3L
最終幕間、ということは…いよいよか

349 :腐肉(P.N.):2010/02/02(火) 18:06:30 ID:/6rw+FnN
美里はバスを降りると家まで走った。辺りは既に暗くなっている。随分と時間がかかってしまった。
線路伝いに歩いて最寄り駅に出ようとしたら、調度帰宅ラッシュの始まった頃で、ホームが人でごった返していたのだ。
線路から駅のホームに女子中学生がよじ登ってきたら、人目を引くどころの騒ぎではない。すぐに鉄道管理用の出入り口を見つけられたのは幸運だった。
美里は玄関前までたどり着くと、入る前に息を整えた。叔母には変に勘繰られたくないのだ。最後に深く息を吸い込むと、そっと戸を開けた。
明かりの灯った廊下の奥から、すぐに叔母が顔を出す。
「遅かったじゃないの。」
「うん…図書館、行ってて。」
美里は靴を脱ぎながら小さな声で呟く。
「ご飯、出来てるわよ。」
叔母はそう言うと、台所に引っ込んだ。美里は長い廊下をとぼとぼ歩く。未だに、ここが自分の家だという気がしない。
居間へ入ると、虚ろな顔の木彫りの像がずらりと並んで出迎える。しょっちゅう出張で留守にしている叔父の趣味だ。
居間の天井中央にシャンデリア型の電灯がぶら下がり、その下の食卓を照らしていた。インテリアの趣味の割には、夕食の献立は質素で健康的である。
だが美里は、たった今地下鉄の構内で見た光景、人間の肉を咀嚼する“姉”の姿を思い出し、料理を前に込上げる吐き気を抑えようと思わず口に手を当てた。
「食事の前に手を洗いなさい。」
何も知らない叔母が居間とつながったダイニングカウンターの向こうから声をかけた。

--------------------------------------------------------------------------

夕食後、美里は自分用に宛がわれた広すぎる部屋に閉じこもって過ごした。テレビも、本さえ殆ど無いが、居間に叔母と2人で居てもどうすれば良いのか分からない。
叔母は良い人で、美里のことを好いてくれているようだが、まだ馴れない。ぎくしゃくしているのは主に、自分に責任があるのだろう、と美里も分かっていた。
彼女は重大な“秘密”を抱えている。こうして家でも学校でも、ぼろを出さないように注意して神経をすり減らしていても、いつまでも隠し通せるものではない。それも分かっていた。
彼女は大きすぎるベッドに横になり、斑模様の壁紙で覆われた天上を見上げた。斑点の一つ一つが、自分を見下ろす目のようで気味が悪い。
ふと、“姉”の目を思い出した。殆ど真っ暗闇の中でも光って見える、恐ろしい目。彼女は事件の直後から、逃亡し地下に身を隠した“姉”に定期的に会いに行っているが、
会う度にその目は怪物の目に近づいて行っていた。それでも、彼女は“姉”が好きだった。“姉”を守るためなら何でもするつもりだった。
だが最近、このままではやがては“姉”の方が美里を識別できなくなり、彼女も、両親や団地に住んでいた他の人々、地下を根城にしていたホームレスたちのように、
喰われてしまうのではないかという恐怖が芽生え始めていた。
美里は眠りに落ちた。夢の中で、“姉”の姿を見た。体温を無くした真っ白な肌、裂けた口と、胸にぽっかりと空いた巨大な穴。鋭い歯に縁取られた、胃袋の入り口。
誰かが悲鳴を上げたような気がして、美里は目を覚ました。枕元の時計の、蛍光塗料付きの文字盤は深夜を回っていた。
ふと、部屋の中に何かの気配を感じ、美里は顔を上げた。ベッドの傍らに、誰かが立っていた。叔母ではない。
真っ暗闇の中でも光って見える恐ろしい目が、彼女をじっと見下ろしている。
「…おねえちゃん…?」
美里は恐る恐る呟いた。次の瞬間、人影の手が物凄い力で彼女の口元を押さえつけた。

350 :腐肉(P.N.):2010/02/02(火) 18:08:56 ID:/6rw+FnN
美里はパニックに襲われてもがきながらその人物の手を引き剥がそうとし、
それが手ではない事に気づいた。“舌”だ。ぬるぬるとした唾液が顔や手にべったりとまとわり付く。
違う、“姉”ではない…!
近づくにつれ、その人影が姉よりもはるかに背の高い人物であることが一目瞭然になった。だが彼女は直感的に悟った。これは、“姉”と同じ生き物である、と。
その時、襲撃者ははっとして手(正確には舌)を止めた。その人物は何か慌てたように勢い良く屈み込むと、ベッド脇の小机を乱暴に手で探った。
次の瞬間、眩い光が美里の顔を照らした。襲撃者がシェードランプを点けたようだ。美里は目を細めた。閃光の向こうに、襲撃者の姿が露わになった。
少女である。“姉”よりも少し年上のようだが、振り乱された長い髪に半分隠れたその顔にはまだあどけなさが残っている。
少女は驚いたような表情でじっと美里の顔を覗き込んだ。
「お前… 何者?」
千絵が言った。美里はよだれでべとべとになった顔を恐怖に引きつらせ尋ねる。
「…僕を食べるの?」
千絵には訳が分からない。今目の前にいるその少女は、確かに彼女を怪物にしたあの忌まわしい化物の顔をしている。それが千絵を前に目に涙を浮かべて恐怖に脅えている。
こいつはどう見ても人間だ。
ふと、千絵はある事に気づき、脅える少女の布団を乱暴に引き剥がした。美里が短く悲鳴を上げるが、今度は手で口を塞いで黙らせる。
怪物の目から身を隠していた布団が取り去られると、美里は本能的にベッドの上で無防備に丸くなる。だが千絵は容赦なく彼女の体を掴み、勢い良くパジャマを引き裂いた。
美里が呻き、抵抗しようと手足をばたつかせるが、怪物の力の前にはなす術もなく、あっと言う間に丸裸にされてしまった。
千絵は呆然と美里を見下ろしていたが、すぐにその顔に邪悪な笑みを湛えて呟いた。
「やってくれるじゃん…この変態。」
その時、背後で扉の軋む音が聞こえ、千絵はさっと振り返り身構えた。だがそこに居たのは佳奈だった。
肩に引っ掛けたパーカーのファスナーの隙間から、ぱんぱんに膨れ上がった腹がでんと突き出している。肥大した太鼓のような腹の中で、
何かがびくびくと不規則に痙攣している。それが叔母である事くらい、“姉”の正体を知っている美里にも分かった。
「どうしたの?」
佳奈は、泣き叫ぶ中学生女子を引ん剥いてベッドに押さえつけている親友に尋ねた。待ちに待った瞬間が訪れたにしては、何か様子がおかしい。
「殺らないの? …まさかここまで来て人違い、とか…」
佳奈がそう言いかけるのを制止し、千絵が言う。
「こいつ、“雄”だ。」
「へっ?」
佳奈は頓狂な声を上げる。
「変だと思った。今日一日尾行してても、何の気配もしない筈だよ。普通の人間なんだから。」
千絵はそう言って、全裸のまま枕に縋って泣いている“周防美里”をベッドから引き摺り下ろした。
「いやっ…!」
“美里”は悲鳴を上げ、すぐさま手で下半身の辺りを覆い隠そうとした。だがすかさず千絵の足が股間の辺りに踏み下ろされ、
“美里”は呻き声を上げたきり動かなくなった。目は天上を仰いだきり、額に玉の様な汗が浮かび、ひゅうひゅうと喉から空気の漏れるような音を立てている。
「こいつ、喰われたって言われていた“弟”だ。」
千絵が“彼女”の股座から足をどけると、睾丸と縮み上がったペニスが露わになった。


[続]

351 :名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 18:38:31 ID:MfEPOI++
こんな可愛い子が女の子なわけがなかった

352 :名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 22:27:24 ID:lgK7mPIL
>>351
ナンテコッタイ

353 :名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 23:47:59 ID:Gkpd8hiF
ショタ嬲り殺し食いフラグ!!

354 :名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 23:53:25 ID:HyYJ5LZ3
まさかの女装ショタ
お姉さんの為だっては分かるが、もう少し何かやりようがあっただろうにw

355 :名無しさん@ピンキー:2010/02/03(水) 00:48:24 ID:l83jH+Sl
だからこの世界、変態が多すg(ry

356 :名無しさん@ピンキー:2010/02/03(水) 21:43:43 ID:sziUALlP
>>355
呼ばれたきがした・・・・

357 :名無しさん@ピンキー:2010/02/03(水) 23:26:12 ID:ykAwai5F
女装少年のタマタマ責め(*´Д`)

358 :名無しさん@ピンキー:2010/02/05(金) 03:02:35 ID:AviBTtdl
と、ショタ少年の登場に沸き立つ住人たちであった・・・

359 :腐肉(P.N.):2010/02/05(金) 22:35:12 ID:7mMRNkpK
周防美里は、優しく物静かな少女だった。元々病弱で、学校も休みがちだったのだが、その歳の春休みに、中学校へ入って初めて出来た友人らから小旅行に誘われた。
子供たちだけでの外泊は不安だったが、仕事の都合で普段あまり家に居られない美里の両親は喜んで娘を送り出した。
だが旅行中、彼女らは事故に巻き込まれ、美里以外の3人の女子児童が死亡した。3日後に病院で目を覚ました美里も、事故の前後の記憶を失っていた。
ともあれ、美里の両親と弟は、幸運だったと喜んだ。それが全ての惨劇の始まりであるとも知らずに。
美里の身体に異変が起こり始めたのは半月程経ち、新学期が始まった頃だった。
最初は、近頃は体調が良くなってきたと喜んでいたのだが、次第に何かがおかしいと気付き始めた。
元々少食だったにも関わらず食事の量は増え続け、生肉に対する渇望が生まれた。やがて近所の野良猫を手にかけた時、彼女は「自分が人間ではなくなっている」と確信した。
だが生来の引っ込み思案が災いし、誰にもその事を打ち明けられずに居た。ただ1人、弟を除いては。
歳が2つ離れているものの、2人の兄妹は瓜二つの顔立ちで、幼い頃からとても仲が良かった。だから弟美和が、姉の異変に気付かない訳が無かったのである。
しかし気づいたからと言って、何が出来る訳でも無い。弟には、姉が初めて人を殺して食した時、かばってやる事しか出来なかった。
2ヶ月程経つと、美里は一日家を空けて遠くへ出かけるようになった。目的は人間の捕食である。元々両親は留守が多く、病弱だったために学校の欠席も珍しくなかった。
蓮杖千絵の住んでいた街へやって来たのも、この頃である。それは、自分の身近な人間を巻き込みたくないという精一杯の優しさからだった。
だが8月の半ば、猛暑の続いていたある夜、ついに彼女の中の獣が暴発した。あまりに突然の事で、弟には為す術も無かった。
不運にも珍しく早く帰宅した両親をあっと言う間に呑み込むと、美里は家を飛び出した。悲鳴も聞こえなかった。1時間もしない内に団地は全滅した。
周防美里は姿を消した。美和は、姉を探して血反吐に塗れた団地をふらふらと彷徨っている所を警察に保護された。
名前を尋ねられたとき、彼は咄嗟に「美里」と名乗った。全ては、姉の存在を世間の目から隠すため。姉を護るためだった。
彼は環境庁の手で拘留された。だが事件があまりに突然で規模が大きかったために、すぐにマスコミが嗅ぎ付け、生存者の少女の存在が取り沙汰された。
事件直後のどさくさの中で、環境庁は彼が“オブジェクト”ではなくただの人間であると分かると、非難を浴びる前にすぐに解放した。性別すら調べずに。
こうして彼は“周防美里”として、親戚に引き取られた。それから“姉”を探し出すのに1ヵ月掛かった。
再開も束の間、今や彼は、突如現れた別の怪物少女によって、身寄りの無い自分を引き取ってくれた親切な叔母を喰われた挙句に捕らえられている。

-------------------------------------------------------------------------

深夜の最終バスは、居酒屋やコンビニエンスのネオンで明るい大通りから、人気の無い暗い住宅街へ差し掛かった。
こんな時間だから当然と言えば当然だが、バスには運転手以外、泥酔し窓にもたれて鼾を
かいているサラリーマン風の男と、こんな時間にどこへ出かけるのかという杖をついた老婆だけしか乗っていない。
千絵は最後部座席に、膝の上に美和を乗せて座っていた。千絵の腹の辺りから延びた触手が、端からはそうと分からないよう背中から美和のスカート
(“美里”として引き取られたために、男物の服は持っていなかった。)の中に延びており、触手はパンツの中で美和の小さな陰茎をしゃぶっている。
ペニス走る快感と、このまま喰われてしまうのではないかという恐怖に、美和は今にも悶絶しそうな表情である。
これが謂わば、黙らせるための武器であった。弟の存在がまだ“餌”として使えると判断した千絵と佳奈は、ひとまず日下部家を離れ少年をアジトへ連れ帰る事にした。
念のために、千絵と佳奈は別々に家を出た。日下部家も監視されている可能性があるからだ。佳奈は今別行動を取っている。
今頃佳奈はどこかで妊婦と間違われて手を差し伸べたり席を譲られたりでおろおろしている事だろうと思うと、千絵は笑いが込上げるのを堪え切れなかった。

360 :腐肉(P.N.):2010/02/05(金) 22:36:31 ID:7mMRNkpK
その時、膝の上の少年が耐えかねてもぞもぞと動いた。
「ひゃぅ…!」
千絵は小さく悲鳴を漏らす。くすぐったい!運転手がちらりとバックミラー越しにこちらを見たが、すぐに正面に視線を戻した。
「ちょっと、動かないでよ…。」
千絵は美和の耳元で囁いた。美和のペニスがびくんと震えるのを感じた。
「ご、ごめん…なさい…。」
美和は泣きそうな声で謝る。
「名前は?」
千絵が尋ねる。
「よ、よし…かず…。」
「どう書くの?」
「美しい、に…平和の和。」
「みわ?」
「本当は…女の子が生まれるって言われてて、それで付けたんだけど…」
美和は小さく呟いた。
「男だったから、読み方を変えて、よしかず…。」
「案外適当だね。」
千絵は素っ気無く感想を述べた。
一方、そう言えば自分の名前の由来を知らない事に思い当たった。両親共に別に絵が好きでもないし、千絵、なんていかにも適当につけられたっぽい。
「私、千絵。みわ、だったら似てるね。」
二文字である以外どこが似ているかはともかく、千絵は気を取り直して自己紹介した。
「これからしばらく一緒に行動してもらうから…」
全く、顔だけ見ていれば女の子みたいに可愛いのに、余計なものが付いているのが癪に障る。
千絵はペニスに齧り付いた舌を動かし、ぐりぐりと少年の一物を嬲った。
「覚悟しなよ?」
その時彼は射精した。初めてだった。前代未聞の快感が全身を貫き、美和は思わず身を屈めて呻き声を上げた。すぐさま千絵の手がかっちりと少年の口を塞ぐ。
少年は尚も喘ぎ、千絵の指の間を唾液が伝った。有頂天になった陽物からはまだどくどくと熱い液が流れ出ている。
チューブ状の触手が、ごくごくとそれを飲み下した。
「気持ち良いの…?」
千絵は少年の口から手を離す。唾液が糸を引いた。少年ははあはあと荒い息の間に呟く。
「い、いや…」
「嫌?」
千絵は唇が触れるほど耳元で尋ねた。
「じゃあ、もっとやったげる。」
再び陰茎の上で触手が力強く蠢いた。途端に美和は勢い良く二度目の射精をする。彼の解き放った精液は、触手を通って千絵の胃の中に吸い込まれて行った。
「終点、杉並車庫前。お降りの際はお手持ちのお荷物ご確認の上、足元にご注意してお降り下さい。」
運転手のアナウンスが告げ、バスが停車した。老婆はすぐに立ち上がったが、杖をつく足取りは蝸牛のように遅い。
サラリーマンは眠ったままだ。運転手は立ち上がると溜息を吐きながら後部へ歩いて来る。
「お客さん、着きましたよ。」
サラリーマンは呻きながら顔を上げた。運転手は次に最後部にいる千絵と美和の方に目を遣り、声をかけた。
「大丈夫ですか?」


[続]

361 :名無しさん@ピンキー:2010/02/05(金) 23:12:39 ID:A47Cc8WM
tes

362 :名無しさん@ピンキー:2010/02/06(土) 19:02:22 ID:AEnDoxKQ
ちょっと美和そこ代われ

363 :名無しさん@ピンキー:2010/02/07(日) 01:57:07 ID:htAbp8DP
うらやましすぎる

364 :腐肉(P.N.):2010/02/07(日) 23:09:58 ID:sz329SO2
「ええ。」
千絵が答えた。その時、顔中から汗を噴き出し目に涙を浮かべた美和が小さな声で呟いた。
「たすけて…」
「えっ?」
運転手はびっくりしたように少年(彼には少女に見えるだろう)と千絵の顔を交互に見つめる。千絵はすかさず触手を引っ込めた。
行き場を失った精液がパンツに染み込み、千絵の膝を塗らした。
「酔っちゃったみたいで。」
千絵は気遣わしげに言う。だが運転手は不審に思ったらしく尚も追求した。
「失礼ですが、あなたお姉さんかな?」
「違います、助けて…!」
触手の枷から解放された美和が掠れた声で叫んだ。運転手は今度こそ不信感を露わにし千絵を睨みつけた。
「ちょっと、君、どういう…」
「はぁ… めんどくさいなぁ。」
千絵は呟きジャケットの前を徐に開くと、“第二の口”を勢い良くぐぱっと開いた。弾丸のような速さで触手が延び、運転手の身体を捉えるとそのまま千絵の方に引き寄せた。
運転手は半身を千絵の口に飲まれたまま悲鳴を上げ、脚をじたばたさせる。
だがその声はすぐにボキっという骨が砕ける嫌な音と共に途絶え、彼の身体はひくひくと痙攣しながら少女の胃袋に消えた。
酔っ払いのサラリーマンは、たった今自分の目の前で起こったことがアルコールの見せた幻影なのではないかと疑るような惚けた顔で千絵を見つめた。
千絵はサラリーマンの頭を片手でがっしりと掴み、そのまま持ち上げるように立ち上がらせた。男は頭を締め上げられる激痛でこれが錯覚ではないと認識したらしく、悲鳴を上げた。
だが次の瞬間には、少女の胸の亀裂に並んだ無数の牙に噛み砕かれていた。
鮮血が飛び散りバスの窓を赤く染めた。幸い、歩道側の席だったため、脇をすり抜けていく車両からは見えない位置だ。
「感想は?」
千絵は血の付いた顔を、硬直したまま殺戮を凝視している少年に向けた。
「ああああああああ…」
美和は弱弱しい悲鳴を上げて後ずさった。千絵は少年に抱きつくように身を寄せると、彼の耳元で囁いた。
「お前なんかいつでもこう出来るの。」
千絵は少年の耳たぶをすぅっと舌でなぞる。彼女は気付かなかったが、少年は三度目の射精をしたところだった。
さて、急いでバスを降りねば。人通りは今のところ無いが、ここは交通量が多いようだ。千絵は美和の手を引き、乗降口に向かった。
改札の所で、まだ老婆が杖をついていたが、どうやら彼女は耳も遠いらしく、後ろで起こった出来事に気付いていないようだ。
水気が無く不味そうでもあるので、千絵は彼女を素通りしてさっさと下車し、住宅街へ延びる路地へ入った。
人目の無い所へやって来るなり、千絵は少年の襟首を掴みぐいと持ち上げた。
「もしまた逃げようとしたら、まずその締まりの無いちんちん引き裂いて、殺さない程度にいたぶって…」
「何してる!」
キキッという自転車のブレーキ音がして、背後から声が飛んできた。振り返ってみると、悪い事に巡回中の警官が、自転車に跨ったままこちらを見ている。
「ああ、もう今日災難… 君のせいだぞ。」
千絵は美和に言った。
「その子を下ろしなさい。」
警官が路傍に自転車を停め、懐中電灯に手をかけこちらに向かってこようとしたその時、突然警官の腕が消えた。
「っ…!」
警官が声を上げる間もなく、切断され宙を舞った腕が夜露で湿ったアスファルトの上にぐしゃりと落ち、血を撒き散らす。
と同時に、二度目の攻撃が警官の肩からわき腹にかけての肉を、肋骨ごとそぎ落とした。断面からこぷんと音を立て内臓が溢れ、腰の辺りにだらりとぶら下がる。


365 :腐肉(P.N.):2010/02/07(日) 23:11:59 ID:sz329SO2
警官はあまりの事に悲鳴を上げる余裕も無く、何が何だか分からぬ間に解体されていく自分の身体を見つめた。
色々な部位を一瞬で切り落とされたために、身体のバランスを取るのが難しくなっているようで、警官はサーカスの熊のように滑稽なステップを踏む。
踊る警官の背後に、2刀のスライサーを手にした佳奈が現れた。正確にはさっきから居たのだが、この時初めて見えた。
佳奈は血に塗れたぎらつく刃物を高らかに翳すと、止めの一撃を加えた。
警官の身体は3枚卸しになった刺身用の魚のように、背骨を軸に両脇にぼとりと肉の塊を落として倒れた。
「無用心。」
佳奈はスライサーの刃先で肉の塊を突き刺して言った。それを大きく開けた口元へ運ぶと、血の滴るそれをぱくりと頬張った。
その光景に美和は吐き気を催しその場に蹲った。
「食べる?」
佳奈は別の破片を千絵に向かって放る。千絵はぱくりと口を開けて血飛沫を上げながらそれをキャッチすると、ごくりと呑み下した。
「げふっ」
佳奈がゲップをする。
「うぅ、これ癖になるかも。」
「人が来る前に、帰ろう。」
千絵が美和を無理やり立たせながら言う。
「これ、持って帰っても良い?」
佳奈は足元に散らばった警官の残骸を指差して尋ねる。
「良いよ。余ったら、今度の家には冷凍庫もある。」
佳奈は嬉しそうに、スライサーを入れて持ち歩いているトートバッグに肉片をかき集め始めた。それを見て再び込上げる反吐を堪えている美和に、千絵はそっと囁いた。
「血生臭いの、好きなんだ、私よりも。良かったね、君をここまで連れて来たのが私の方で。」
千絵は少年の周りを一周してくっくと笑う。
「佳奈だったら、君もう死んでたよ。」
---------------------------------------------------------------------------
環境庁の対策本部へ連絡が入ったのは、それから1時間後の事であった。翌朝、環境庁長官は辞意を表明した。
当然表向きには公表されていないが、事前に村雨管理官によって西東京団地事件の生存者、周防美里の再検査を進言されていたにも関わらずそれを却下した事で、
周防美里と保護先である日下部家が襲撃された責任を取るためである。
その間、村雨管理官は秘かに日下部家を張っていた伊豆波辰朗より、周防美里がまだ生きており、“オブジェクトD”と行動を共にしているとの報告を受けた。
「辻褄が合いませんね。」
村雨は電話の向こうの伊豆波に向かって言った。
「これまで私は、“D”が何らかの理由があって“オブジェクトC”を殺すために行動していると考えていました。ですが“連れ去った”となると話が変わってきます。」
「周防美里は、本当に普通の人間である可能性があります。保護しますか?」
村雨は少し躊躇したが、すぐに答えを出した。
「いいえ。これまでの経緯からして、“D”は明らかに何かの意図を持って行動しています。しばらくこのまま様子を見ます。引き続き、報告を。」
そう言って彼は電話を切った。
現在“オブジェクトD”が周防美里を人質に潜伏中の「劔持」と表札の掛かった民家から少し離れた公衆電話ボックスの中で、伊豆波はチッと舌打ちして呟く。
「どこまで冷血なんだ、あの男は…。」
村雨はオフィスのブラインドを上げた。ビルの向こうの空はもう白み始めている。彼は、今にも眠りから覚めようとしているその街を見渡した。
このどこかに、怪物が潜んでいるのだ。だがじきに一つの終局が訪れる、彼はそう確信していた。
蓮杖千絵の行動は少々予想外だが、彼にとっては目的はその行動の理解ではなく、彼女が彼らを“C”の元へ導いてくれさえすれば良いのだ。
彼女は間違いなく村雨の知らない情報を独自に得て行動している。その直感の鋭さ、行動力、大胆さは獣の本性によるものなのか。敵ながら天晴。
部下にしたいくらいだ、と村雨は思った。

[続]

366 :名無しさん@ピンキー:2010/02/08(月) 00:32:30 ID:+EfXSD+E
GJ!
クライマックスに近づいてるんだよな……
こんなに「終わって欲しくない」と思った作品も久しぶりだ

367 :名無しさん@ピンキー:2010/02/08(月) 19:35:52 ID:lAFVyekY
男には流石に容赦の無い、そこに痺れる憧れる
描写が素敵だ

9月末に始まって、四ヶ月以上ハイペースで投稿とか本当あんたすげぇよ・・・

368 :腐肉(P.N.):2010/02/09(火) 04:20:28 ID:dup49A4w
周防美和は恐る恐る目を開けた。辺りは真っ暗だった。家へ着くなり、彼はどこか暗くて冷たい場所へ放り込まれた。
千絵に持ち上げられていたので定かではないが、階段を下るような感じがしたので、恐らく地下室だろう。かび臭くて、どこかでひたひたと水滴の垂れる音がした。
窓は無く一筋の光も挿さないが、何かの気配を感じた。鼠かも知れない。あるいは、ただ彼が極度に緊張しているために、落ち着き無くそう感じただけかも知れない。
美和は恐る恐る手を延ばし、冷たいコンクリートの床を手探りで壁まで這った。壁に着くと立ち上がり、壁に沿って歩いた。
特に目的は考えていなかった。出口を見つけたところで、恐らく脱出した途端にまた捕まってしまうだろう。だがじっとしていると気が狂いそうだった。
暗闇は地下鉄の線路内を歩き回って馴れていたが、その時はもしいざという時は姉が護ってくれるという安心があった。今彼を捕らえているのは、姉と同じ強大な力を持ち、
しかも彼に悪意を抱いている正真正銘の怪物たちだ。それは比べ物にならない恐怖だった。その時、美和は何か湿ったものに躓き、コンクリートの床にもろに頭を打った。
「痛っ…」
激痛が走り、美和は仰向けに倒れたまましばらく動けなくなった。その間に、足元にある濡れた何かから毀れた液体が背中を浸す。
ふと気付くと、股間の辺りがひりひりと痛んだ。いつからだろう?美和は無理に身体を起こすと、手探りでパンツの下のペニスを触ってみた。
触れると鈍い痛みを感じるが、どうやらまだそこにあるらしく、一安心だ。初めての精通の直後に何度も嬲られて参ってしまったのだろうか。
美和は、千絵の舌の感触を思い出した。柔らかく温かで、それでいて彼を人呑みにしてしまうような強い筋肉。それから、囁く度に耳元をくすぐる彼女の吐息。
酷い痛みにも関わらず、美和の一物は勃起した。
「痛っ…」
美和はまたそう呟くと、彼の上で蠢くあの舌の感触を忘れられず、腫れ上がったペニスに手をかけ、徐に扱き始めた。

------------------------------------------------------------------------------

「さて、まず先決なのは、あいつの居場所を吐かせる事だ。」
千絵は警官の肉にナイフを走らせながら言った。哀れな巡査の肉は佳奈の手で調理され、食卓に並んだ白い陶器の皿の上に部位毎に分けて盛り付けられている。
「腿、取って。」
佳奈が自分の皿を千絵に渡して言った。千絵は焼き色の付いた塊から肉を削げ取った。所々体毛が残っているが、それも愛嬌だ。
「ありがと。」
佳奈は皿を受け取ると、肉汁の滴る塊を頬張った。
「多分脅しじゃ吐かない。“姉”のためにあそこまでする奴だもん。」
千絵が深刻そうに言う。
「よくバレなかったよね。友達居ないのかな…?」
と佳奈。
「顔だけなら可愛いのに…。」
千絵は無念そうに呟き、ロースを頬張る。
「肩、美味しいよ。」
千絵はそう言うと佳奈の皿にも切り分けてやった。佳奈は礼を言ってぱくりと口に放り込む。
「拷問なら、私がやる。」
佳奈が言った。

369 :腐肉(P.N.):2010/02/09(火) 04:21:26 ID:dup49A4w
「…殺しちゃ駄目だからね?」
「大丈夫だよ。」
佳奈は心外だというように口を尖らせる。
「だって… このままじゃ、ちぃちゃんエロキャラになっちゃう…」
「エロキャラ言うな。」
千絵は顔を赤くしてフォークを振り回した。
「でも、ちぃちゃんよりも私の方が良い。理科の実験の時、千絵すっごい下手だった。」
「何の話?」
きょとんとする千絵に、佳奈は意地悪く微笑んだ。
「カエルの解剖、ちぃちゃん怖がって全然出来なくて、すぐに潰しちゃったじゃない。」
「う、うるさいな…中学校の時じゃん。あの時は血とか…内臓とか、気持ち悪かったんだもん…。」
そう言って千絵は、卵の殻を割るようにパキッと音を立てて頭蓋骨を真っ二つにすると、中の脳漿を啜りだした。

-------------------------------------------------------------------------

錆びた鉄が軋みを上げる音で、美和は目を覚ました。いつの間にか眠ってしまっていたらしい。真っ暗な部屋に射し込む薄っすらとした光に気付き振り返ると、
開け放された扉の前に誰かが立っている。だがそれが誰であるか判る前に、パチンと電気のスイッチを入れる音と共に眩い光が部屋を満たした。
暗闇に慣れていた美和の目は一瞬視界を失う。その間に再び錆びた蝶番が軋み、扉が閉まる。ひたひたという足音と共に、誰かが地下室へ降りてくるのが分かった。
天上からぶら下がる裸電球から目を反らそうと、まだ慣れない目を床に遣ると、自分の周りにどす黒い血溜りが広がっているのが見えた。
「うわっ…!」
美和が声を上げ、尻餅をついた状態で後ずさろうとして背後に手を延ばすと、その手が何かぬるっとした不気味な感触のものに触れた。
恐る恐る目を遣ると、先ほど躓いたものの正体が判明した。所々肉のこびり付いたまま毒々しい色に変色した人間の頭蓋骨だった。
周囲にはそれ以外の部位も、それも恐らく複数の人間の骨が散乱していた。地下室の冷気に紛れて今まで気付かなかったが、もう何日かこのまま放置されているらしく、
肉は所々紫色に変色し、酷い臭いを放っている。肋骨と思しき塊の陰から、突然光に曝されて驚いた鼠が数匹、大慌てで物陰を目指してよちよちと駆けて行った。
美和が悲鳴も上げる気力も無くし血溜りの中で凍り付いていると、階段の方から声がした。
「あらあら、随分楽しんでたみたいじゃん、1人で。」
カンッという甲高い乾いた音と共に、巨大な刃物が美和の両足の間のコンクリートに突き立てられ、美和はびくっとして正面に向き直った。
裸電球を逆光に、警官をバラバラにした方の少女が立っていた。少女は、床に飛び散った美和の自慰の痕跡を裸足の親指で床に擦り込む様にぐりぐりともみ消した。
「まずはそこから潰してあげよっか。」
そう言って佳奈は、両脚を広げてへたり込んでいる美和の股間を蹴り上げた。
心臓が止まるかと思うほどの衝撃が走り、例えようの無い鈍い痛みがじわじわと美和の全身に広がる。
美和は大事な部分を押さえて前のめりに蹲った。あまりの痛みに呼吸が出来ない。その痛みは、徐々に吐き気へと変わる。
美和は無理矢理息を吸おうとして、その場に嘔吐した。


[続]

370 :名無しさん@ピンキー:2010/02/09(火) 12:30:44 ID:awodHXPO
GJ!!

371 :腐肉(P.N.):2010/02/09(火) 22:00:02 ID:AQs7dEmq
「あれ…ちょっとハードすぎたかな…。」
佳奈は気まずそうに呟くと、屈んで美和の顔を覗き込み、罰の悪そうに笑った。
「ごめんね、男の子の身体って良く分かんなくて。」
そういい終わらないうちに、佳奈は蹲る少年の頭を、精液の付いた足でぐりぐりと踏みにじった。美和はコンクリートに顔面を押し付けられ、悲鳴を上げた。
ようやく声が出た。刺す様に強烈な血の臭いが込上げる。恐らく鼻の骨が折れているのだろう。
「さーて…」
佳奈は片手で美和を立ち上がらせると、もう片方の手で地下室の隅に立てかけてあったぼろぼろの椅子を引っ張ってきて、彼をそこに座らせた。
崩壊しそうな木の椅子に崩れ落ちた少年の目線に合う様に、美和の前にしゃがみ込むと、佳奈は楽しそうに話し始めた。
「君はどうしてここに連れて来られたのか、分かる?君が女装趣味の変態だからでも、真っ暗な地下室に閉じ込められて一人でしちゃうような変態だからでも、
蹴られて立っちゃう変態だからでもないよ。分かる?」
美和は思わず自分の股間に目を遣った。スカートを履いているので、その下の一物がいきり立っているのが一目で分かった。
その時、佳奈の指が、折れて血を流している美和の鼻をぴんとはねた。激痛が走り、美和は悲鳴を上げた。涙が溢れ、視界が滲む。
俯く美和のショートに切りそろえた髪を引っつかみ無理矢理顔を上げさせると、佳奈は額がぶつかるほど顔を近づけて凄んで見せた。
「君のお姉さんの事が知りたいの。」
少女が喋る度、彼女の唇の下に鋭く尖った歯が見え隠れする。
「これ、君のお姉さんで間違いないよね?」
佳奈は西東京の団地で見つけた写真を美和に見せた。美和は少し躊躇うが、徐に頷く。
「似てるねー、君たち。まー今はちょっと君の方が酷い事になってるけど。」
そう言って佳奈は再び美和の鼻を指ではねた。今度は悲鳴も、顔をしかめる間もなく、髪の毛をぐいと掴まれ否応無く前を向かされた。
「私たちが知りたいのは、今お姉さんがどこにいるか、なの。」
佳奈は床に突き刺さったままのスライサーを、ガキンという恐ろしい音を立てて引き抜き、片手でくるくる回しながら言う。
「どこにいるの?」
「…知らない。」
美和は断固として答えた。だが次の瞬間、右肩に激痛が走り彼は悲鳴を上げた。腕を動かそうとしたが、右腕が上がらない。見ると、刃渡り40cmはあろう太刀が、
肉を貫き肩の関節の間に入り込んでいた。身動きする度に激痛が身体中を駆け巡り、骨に金属の不快な摩擦を感じた。
じわじわと血が滲み出てシャツを濡らし、スライサーを伝った。
佳奈は椅子の前に跪くと、美和の身体に寄り添うようにして、肩に突き立てられたままのスライサーに口を寄せて、滴る血をぺろりと舐めた。
「嘘ついたらだーめっ。」
佳奈の柔らかそうな舌が、スライサーの歯の部分を撫でる。が、皮膚には傷一つ付いていない。彼女も化物なのだ。
「も一回聞こう?」
肩で息をすることも叶わず顔中に脂汗を浮かべている美和に、佳奈は哀れむような顔を向ける。
「し…しらない…」
美和が答え終わる前に、もう1本のナイフが左肩を貫いた。今度はバキンという音と共に、肩の関節を砕かれたようだ。
「いやああああああああああ!!!!!!!!」
美和は髪を振り乱して絶叫した。汗と血が飛び散り、佳奈の顔を塗らした。
「可愛い悲鳴。でも君、男でしょ?」
佳奈は千絵が良くそうするように、喉の奥でくっくと笑った。
「男らしくしてなきゃぁ。」
そう言って佳奈は、すっかり萎えて小さくなった美和の一物にそっと手を添えた。
12歳の少年がこれだけの痛みに耐えられる事にも驚きだが、これだけ肉体を苛まれて尚、まだ皮も剥けていない彼がひくんと震え
次第に血が通い出した事に佳奈はさらに驚いた。と同時に、その事実は彼女の邪な悪戯心を擽った。

372 :腐肉(P.N.):2010/02/09(火) 22:00:51 ID:AQs7dEmq
「すごいね、男の子って。こんな時もえっちな事考えてるんだ。」
佳奈は、先ほど自分が蹴り潰した睾丸にすっと指を這わせる。痛みで敏感になっていた陰嚢はその優しい感触に耐えられなかった。
快感と痛みが同時に美和の中を込上げた。彼は再び声を上げる力を奪われ、短く細い息を立てるだけで必死に苦痛と抵抗と、それから快楽を表現しようとした。
「1人でするの、好き?」
佳奈が尋ねた。彼女の視線は熱心に少年の勃起したペニスに向けられていた。
「あたしは好き。」
彼女は頬を染めて呟いた。
「よく、ちぃちゃんの事考えてするの。」
少年の一物がひくんと震え、精巣の片隅に残っていた僅かな精液が小さな穴からとろりと流れ出た。
「んくっ、かわいい。」
佳奈は徐にそれに顔を近づけ目を瞑ると、そっと舌を出して白い粘液を舐め取った。少年はじわじわと込上げる快感に身体を震わせ、途端に両肩の痛みに悲鳴を上げた。
「君は何を考えてするの?」
執拗に美和のものを舐めながら、佳奈が尋ねた。
「お…ねえ…ちゃん…」
美和は涙を流して喘ぎながらか細い声で答えた。
「それは素直に答えるんだね… 変態。」
佳奈は彼の性器から舌を離すと顔を上げた。見捨てられたと思った美和は思わず「あっ…」と無念の声を上げる。佳奈が意地悪く微笑んだ。
「ね、2人でした事、ある?」
美和は頬を紅潮させて、一瞬佳奈の真直ぐな目から顔を背けて言う。
「な…ないです…」
今度は、優しく頬に手を添えられて顔を前へ向けられた。佳奈は椅子の脇に脚を延ばすと、少年の膝に跨った。
「して、みよっか。」
スライサーを避けるように腕を回して、少女は、少年と向き合うようにして抱き付いた。
少年はペニスの先に当たる少女の感触で、初めて彼女が何も履いていない事に気付いた。
「教えてくれたら、優しく、したげる。」
佳奈は熱く濡れた陰をいきり立つ肉棒に押し付け、リズムを刻むように腰を前後に動かし出した。
「あ…んっ…」
美和は声を上げた。
「ほらほらぁ、入りたがってるよ?」
佳奈が意地悪く笑う。
「可哀相…。」
そう言って股の下で彼女の虜になっている小さなペニスに触れると、腰を動かす度に膣から毀れる涎で覆われていた。
佳奈はねっとりとした唾液のついた指を美和の口元まで持っていくと、赤子に離乳食を与えるように唇に塗りたくった。
美和は口元を震わせながら舌を延ばしてそれを舐め取る。
「んふ。変態。」
佳奈はにっこりと笑い蔑むような目で少年を見下ろす。
「お姉ちゃんと私、どっちがすき?」
「あっ…あなたがすき…」
佳奈が少年の唇から指を離すと、彼は快楽に肩の痛みを忘れ、佳奈の方に身を乗り出そうとした。途端に、その身体を貫く二刀の刃物に阻まれる。
「うぅっ…」
「じゃあ、私のお願い、聞いて。教えて。」
少年は舌を延ばし、乞うような目を佳奈に向けて、はあはあと吐き出す荒い息の合間に精一杯の力を振り絞って答えた。
「はい…。」


[続]

373 :名無しさん@ピンキー:2010/02/09(火) 22:45:22 ID:Wp9kCLm2
佳奈もめでたくエロキャラに
というかもうスライサー抜いてやれよw

374 :名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 00:42:37 ID:NY+cf0XF
前半がSAWの拷問シーン並みにエグくて悶えたぜ
GJ

375 :名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 13:18:31 ID:dz10SGsk
ながれぶったぎってすまないが、
今週の週刊少年マガジン11号の「ぷあぷあ?」って漫画で
女の子が、葛藤を表す天使と悪魔を食べちゃう話があった。

376 :名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 21:32:54 ID:WLzPT5C6
千絵、SAWとか好きそうだな

377 :名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 22:04:03 ID:STDLr5ME
SAWは噂で痛いだけって話を聞いて、パッケージも微妙だから避けてるが
面白いのか?ストーリーとか

378 :名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 23:30:38 ID:cyqxPzqN
1はまぁまぁ楽しんで見たけど、結末ありきかなー。結末分かってしまうともう見る気しない。
2は『ブレアウィッチ2』よりはマシ。3は冒頭のヘルレイザーみたいなシーンは良かったけどそんだけ。
4以降見てない。
そして捕食シーンはない

379 :腐肉(P.N.):2010/02/11(木) 02:01:21 ID:ovoCBzyw
千絵はテレビの前のソファに凭れて、時が過ぎるのをただ待っていた。
テレビでは映画番組をやっていたが、ブラウン管に向けられた彼女の目にはその内容は映っていなかった。
時折階段下の地下室の扉に目をやってはそわそわと時計を見る。階下から甲高い子供の悲鳴が聞こえるたびに、千絵はやはり様子を見に行こうかどうしようかと迷った。
佳奈は、やばい。気心の知れた親友の彼女でさえ、素直にそう思った。
いや、恐らく変成が始まったばかりの、怪物になりたての頃は、佳奈も千絵に対して同じ感覚を持ったに違いない。
だが、佳奈が千絵の事を好いていると確信していなかったら(そして千絵も佳奈の事が好きでなかったら)、時々千絵でさえ彼女の所業が怖くなる。
5回目の悲鳴が聞こえたら、流石に様子を見に行こう。そう決め手から随分と時間が経った。まさかもう殺してしまったのではなかろうか。
そう心配しかけたとき、再び少年の悲鳴が聞こえた。幸い庭の広い家であるし、地下の音が近所にはっきり聞こえることはないだろうが、そろそろ不安だ。
千絵はソファから跳ねる様に起き上がると、地下室へ向かった。
陰嚢を含む陰部を丸ごと食い千切られ、だらだらと黒っぽい血を垂れ流し椅子の上に枝垂れた少年を見つけるなり、千絵は佳奈を咎めるように睨みつけた。
下半身を少年の血で塗らした佳奈は、ぐったりしている少年を横目で見つつ、粗相をしでかした犬のような目で段上の親友を見つめた。
「ごめんね、ちょっと、やり過ぎちった。」
かわいい!と、思ったが、すぐに千絵は溜息を吐いて階段を降りた。「ぶたないで!」と言わんばかりに身を縮めて佳奈が慌てて繕う。
「ま、まだ生きてるよ。かろうじて…だけど。」
「普通の人間は、私とするのとは違うんだから。」
千絵は頬に血が上らないように努めて冷たく言うと、少年の前に跪き、傷口を舐め始めた。股間の傷を舐めながら、肩の刃物を両手で引き抜く。
僅かに血が噴き出し、少年が呻き声を上げた。千絵の胸の辺りから別の舌が2本這い出し、それぞれ傷口を舐めた。
周防美和は遠のく意識の中で、バスの中で味わったあの感触を再び感じた。彼の全身を包み込む、温かく、圧倒的に強い存在。
だがその心地良さを感じる部分がもう自分に残されていない事に気づくと、彼は少女たちに気付かれないよう一人涙した。

--------------------------------------------------------------------------

美和を地下室に眠らせると、佳奈は千絵の待つ居間へ上がって、千絵の隣りのソファに腰を下ろして切り出した。
「東京に来て、初めて地下鉄に乗った時に話した事、覚えてる?」
「ん?何だっけ。」
「“あいつ”が地下に潜んでいるかも、って話。」
「ああ…そうだっけ。」
「“あいつ”は地下に居る。地下鉄の路線に沿って、移動してる。だから警察には見つからない。」
佳奈は、美和の供述を千絵に伝えた。千絵は唖然として口をぽかんと開けたまま、佳奈を見つめた。
「あの子にだけ分かるように目印を残してる。あの子、前にも地下に潜って“あいつ”に会いに行ったんだって。」
千絵の脳裏を様々な疑問が渦巻いた。あまりにも単純すぎやしないか?周防美和は嘘を吐いているのか?それとも何かの罠なのだろうか?

380 :腐肉(P.N.):2010/02/11(木) 02:02:26 ID:ovoCBzyw
「…どうして、地下鉄の事件から一月近く経つのに、まだ地下に居るんだろう…?東京なら他に隠れる場所はあるだろうし、地上の方が餌にも困らないでしょ?」
千絵は最大の疑問を口に出して言った。
「知らないよそんなの…。」
佳奈は、待ちに待った答えに対する千絵の反応が案外と小さい事に不満げに口を尖らせる。
「あの子が嘘吐いてると思うの?」
「お姉さんを護るために女装までしてた奴だよ?しかもあんなにズタズタにされたんじゃ、自棄になったかも。」
千絵は咎めるような目を佳奈に向ける。
「ううん、あの子は嘘吐いてないよ。」
佳奈はむっとして断言した。それからちょっと頬を赤らめて呟くように付け足す。
「それにちんちん食べたのは喋った後だもん…。」
「かーわいそー。ひどいやつだな。」
「ちぃちゃんに言われたくないなっ。」
千絵がからかう様に言うと、佳奈はぷいとそっぽ向いてしまった。千絵はくっくと笑うと、再び目の前の問題について考え始めた。
いずれにせよ、確かめる方法は一つしか無いのだ。幸いまだ周防美和は生きている。
「終電が終わる頃、地下に入ろう。あの子も連れて。」
千絵はすっかり拗ねてしまった佳奈の背中に話しかけた。佳奈はちょっと千絵の方を振り返って呟く。
「…いいけど。」
佳奈が、まだ何か言いたげなのを感じ取り、千絵は首を傾げて親友の背を見つめた。やがて佳奈が徐に向き直り、伏目がちに口を開いた。
「もし、本当だったら…最後の戦いになるかもしれない。そうでしょ?」
「…ん。」
千絵は頷く。それから佳奈はしばらく迷うような目で何事かを考え始め、沈黙が流れる。
だがやがて決意したような顔で千絵に向き直ると、まっすぐ彼女の目を見つめて言った。
「私も、同じにして。」
「え?」
千絵は佳奈が何の事を言っているのか分からずに戸惑った。
「“あいつ”が…6月にちぃちゃんにしたのと同じ事、私にもして。」
佳奈が何を言いたいのかをやおら理解すると、千絵は拒むように首を振った。佳奈は、千絵に自分を殺せと言っている。自分の中に“卵”を産み付けて。
やがて腹の中でそれが孵り、臓器を喰って身体を突き破って生まれてくる。そうして佳奈は怪物になるのだ。
「駄目だよそんなの…佳奈、分かってない。それってつまり…」
「分かってるよ。死ぬんでしょ?それでいい。千絵と同じになりたい。」
佳奈は真剣な眼差しを彼女に向ける。千絵は自分の顔が引きつるのが分かったが、取り繕う余裕は無かった。
「“あいつ”は私を犯して、殺したんだ。怪物を産むために。目が覚めた私がどんな気持ちだったか、佳奈には分からない!
自分が自分だって意識はあるのに、もう違う、怪物なんだ!そんな、私なんかへの憧れのために、佳奈にそんな想いはさせたくない。
ただでさえ、佳奈はもう人間じゃない。」
千絵は声を張り上げた。だが佳奈は引かない。
「こんな中途半端な状態じゃ嫌。私の変成はもう止まってるの。千絵の血を飲んだだけじゃ、完全には変成しないんだよ。」
「それが救いだ!」
千絵は顔を真っ赤にして叫んだ。
「私は佳奈を巻き込みたくない!」
「もう遅いんだよ!“あいつ”と戦うなら、私は今のまま足手まといになりたくない。完全な怪物になって、一緒に戦う。」
千絵は耐えかねて佳奈から目を背けた。
「出来ないの…。」
千絵は泣き声で言う。親友の望みを叶えてやれない。これほど泣きたい気分なのに、涙は出なかった。
「私には、産卵能力が無いの。」
千絵は悲しげに呟いた。佳奈は言葉を失って、ただうな垂れる親友を見つめた。
「何度か、やってみようとした事がある。もちろん、佳奈にじゃないけど。でも私には、“卵”作る器官が、無いみたい。普通のセックスも、もう出来ない。
私のあそこには歯が生えてるし…」
千絵は顔を上げた。佳奈がこちらにゆっくりと歩み寄ってきて、徐に肩に手を置いた。その手には引力があるかのように、千絵の火照った頭を引き寄せた。
千絵は佳奈の肩に頭をもたせ、少し離れたところで光っているテレビ画面をピントの合わない目でぼんやりと眺めながら呟いた。
「ごめんね、佳奈。」
千絵は佳奈が泣いているのが分かった。冷たい涙が、千絵の首筋にぽたぽたと落ちる。
佳奈はなぜ泣いているのだろう?千絵のようになれなくて、泣いているのだろうか?
それとも、一人ぼっちの怪物を哀れんで泣いているのだろうか?あるいは、運命を狂わされた少女、2人のためだろうか。千絵には分からなかった。
夜が明けるまで、2人はその話題には一切触れず、慰めあうように交わった。怪物がこの世で唯一、温もりを感じ合うことを許される相手と。


[続]

381 :名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 07:34:51 ID:ZhRkMOe+
なんでこんなに投下速いの?


382 :名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 11:03:15 ID:lp/JOuOo
神様だからさ…

383 :名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 13:39:08 ID:3Otf8rpO
いったいどんな風にチンコ食いちぎったんだろうな…

384 :名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 14:05:31 ID:lp/JOuOo
>>383
佳奈は下から食えるからなあ
普通にそうしたのかねえ

385 :名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 15:24:28 ID:CQHY0MAW
せめて舌で嬲っていればまだ結果は違ったろうが・・・
少年はどんな結末を迎えるのだろうかね

>>383
チンコ膣にはめて、少年が興奮した瞬間食いちぎったと思う

386 :腐肉(P.N.):2010/02/11(木) 17:19:55 ID:FN9yKcNn
千絵→肋骨が無くなってて代わりに触手が基礎を成す第二の口がある
佳奈→骨盤が変形していて膣が口になっている

みたいな感じです。わかりにくくて、というか描写すっとばしてすみません。

387 :名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 18:08:12 ID:3Otf8rpO
腐肉さんご丁寧に解説ありがとうございます。
個人的に佳奈が良すぎる…!

388 :名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 20:39:58 ID:DDmEkpwP
それでも生きてる少年が凄いわw

389 :名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 20:42:41 ID:Hl7sSGha
でもちんこって切ってもちゃんと処置すれば死ぬもんじゃないんじゃね?宦官とか
問題は肩と合わせての出血多量か・・・

390 :名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 21:31:36 ID:CQHY0MAW
後はショック死とか
いろんな意味で凄い男だな美和

391 :名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 21:32:40 ID:0pkNoUzI
尿道癒着とかな

392 :腐肉(P.N.):2010/02/12(金) 01:03:01 ID:QeUAdY5a
“エコーズ”には数組の客が居るのみだった。このカラオケ店でアルバイトを始めてから一ヶ月、中西明はすでに仕事に飽き始めていた。
最初は、同い年くらいでちょっと綺麗な女性が来店すればときめいたりもしたが、そんな事で出会いにつながるはずもなく、同僚はと言えば加齢臭漂う中年親父か、
救いようの無いデブ女か、メイクがかえって醜さを引き立たせるような厚化粧女くらいのものだ。
中西明は、さもやる気無げに受付カウンターに頬杖を付いてあくびをした。奥の通路に並ぶボックスのいくつかから、音痴な熱唱が聞こえてくる。
窓の外は爽やかな小春日和だというのに、こんな午後にカラオケなどにやってくる人々に彼は同情した。
平日のこんな時間には大抵客は少ないので、その時シフトに入っているのは彼と例の“デブ女”だけだった。彼女は今ドリンクを作りに行っている。
中西は時計に目を遣った。シフトが終わるまで後2時間半、彼はこの退屈を生き延びられそうにない。その時、エレベーターランプが点灯し、客がやって来た。
鉄の扉から現れたのは2人の美少女だった。中学生か高校生くらいだろうか。どちらも、思わず目を奪われるほど可愛かった。
中西は慌てて頬杖を崩し背筋を伸ばした。本来なら、学生がこんな時間にカラオケ店に居る事を不審に思うべきだ。学生証を提示させ入店は断らねばならないのだが、
今の彼にとってはマニュアルなど糞食らえ、だ。
「いらっしゃいませ。」
中西は声を上ずらせて言った。「会員証はございますか?」「お時間は?」「ご希望の機種は?」など、決り通りの文句を機械のように並べながら、
彼はカウンターの前で何やら興奮気味にひそひそと相談している少女たちを観察した。背の高いロングの方が好みだと思ったが、近くで見るとショートの子も外せない。
「当店では先にドリンクをオーダーしていただいております。ご注文承ってもよろしいですか?」
彼はラミネートコートされたメニュー表をカウンターの上に広げて尋ねた。少女たちはまだ何か相談しながら、中西に向き直り言った。
「コーラと、アイスティー、ミルクとガムシロップは3つ。それから、新鮮な…」
ロングの少女がいきなり彼の腕をがしっと掴んだ。中西は何が起こっているのか分からず、動揺した。だが、少女の腕は筋張っていたが白く美しかったし、
その動揺は期待と興奮の入り混じった動揺であった。その時は。少女は唇にそっと指を当てると、彼の目をじっと見つめて言った。
「…お、に、く。」

--------------------------------------------------------------------------

“エコーズ”の個室の一つで、喜多崎茜は溜息を吐きながら、先ほど街で知り合ったばかりの男が熱唱するシャ乱Qを聞き流していた。
その朝、彼女は母と喧嘩をした。今となってはくだらない事だが、つい悪ぶりたくなって学校をサボったのだった。そのまま夜まで帰らないつもりだった。
あの分からず屋に心配をかけさせてやりたいと、その時は思っていた。
だから行きずりの軽そうな男を捕まえて時間を潰そうとカラオケ店に入ったのだが、ものの5分でその野望は挫けた。
自己紹介の時に「俳優」と名乗ったのが嘘である事くらいは初めから彼女にも分かっていたが、目の前で調子外れにまくし立てている男は恐らく地球上で最もくだらない
人物に違いない。彼女には残り1時間半、この空間を耐え抜く自身は無かった。こんな事なら強がらずに学校へ行っていれば良かった。
今頃、みんなは体育かなあ…。そんな事を思っていると歌が終わり、自称俳優が隣りにどさりと腰を下ろした。喜多崎茜は無意識に腰を浮かせて、男から少し離れた。
「じょ、じょうずですね…。」
喜多崎は愛想笑いを浮かべる。
「俺的には95点ってとこかな。」
男の鼻にかかった喋り方が、彼女を苛立たせる。

393 :腐肉(P.N.):2010/02/12(金) 01:04:30 ID:QeUAdY5a
「茜っち、何歌うの?」
誰だよ、それ。彼女ははらわたの煮えくり返るのを堪えながら、カタログに目をやる。
「一緒に歌っちゃう?」
男が尋ねる。
「それとも、もっと良い事する?」
男の手が、制服のスカートの下から延びた太腿に触れる。喜多崎茜は飛び退くように男から離れた。ありったけの嫌悪をこめて言う。
「や、やめてくださいっ。」
「ちょっとちょっとちょっとぉ。」
男は小馬鹿にしたように大袈裟に腕を広げて言う。
「誘ったのそっちよ?それってちょっと失礼ってもんじゃない?」
近づこうとする男に、こうなったら力ずくで抵抗する覚悟を決めて身構えたその時、ボックスのドアが開いた。
「あぁ!?ちょっと何よ…」
男はそう言いかけて振り向いた。どうやら店員だと思ったらしい。喜多崎の位置からは、戸口に立っている人物の顔は男の陰になって見えないが、店員ではない。
女性だ。男は彼女の姿を見るなり態度を一変させた。
「あれぇ!?君、渋谷にいた子だよね。」
女性は首を傾げ、ややあって言う。
「…えっと、ごめん、誰だっけ?」
「俺だよ俺、佐野河。俳優の!“クレアヴォヤンス”ってクラブで、一緒に踊ったじゃん?悲しいなぁ、忘れられちゃって、俺可哀そ…」
自称俳優が最後まで言い終わらない内に、彼女の脚が男の頭を一撃した。佐野河は人形のように吹き飛び、反対側の壁に激突して床に崩れ落ちた。
「世間は狭いにゃあ。」
戸口に立つ人影が少女の声で言った。助けに来てくれたのだろうか?何故?そもそも誰?
喜多崎が呆気に取られていると少女が彼女に駆け寄り、ぐいと肩を掴んだ。びくっとして震える彼女に、少女は息の掛かるほど顔を近づけ、黄色い声で叫んだ。
「うわぁあ、可愛っ!!」
「…へっ!?」
顔を輝かせる蓮杖千絵に抱かれ、喜多崎はぽかんと口を開けて頓狂な声を上げた。その時、倒れていた佐野河が蹴られた頭を労わりながら起き上がった。
「痛って… おいおいおいおい、いきなり何しやがんだこのっ…」
そして彼は再び最後まで言わない内に、千絵のすらっと長い脚に踏み抜かれ、壁に頭を打ち付けられた。隣りの個室から「うるせぇ!」という声が響く。
千絵は脚を上げて男の頭を壁に押さえつけたまま口を開けた。にゅるりとながい舌が数本現れた。
「きゃあああああ!!!!!!」
喜多崎は悲鳴を上げた。目の前で、突如現れヒーローのように彼女を救ってくれた少女の口から、触手が現れ彼女をナンパした男を呑み込もうとしている!
まるで飲み込まれかけの巨大な蛸のようなその触手は、悲鳴を上げる佐野河の身体に捲きついた。千絵が脚を壁から離すと、佐野河の身体は触手に持ち上げられ宙に浮いた。
男は言葉にならない叫びを上げ、ばたばたと手足を振り回して抵抗しようとしたが、テーブルの上のグラスやマイクが床に落ちて音を立てただけで、彼の身体は呆気無く、
千絵の口に収まった。顎が外れているのではないかと思うほど大きく開いた口から、タイトな皮のパンツを履いた佐野河の脚が突き出し、一瞬ばたばたともがいたかと思うと、
あっと言う間に少女の体内へと消えて行った。驚いた事に、男一人の身体を丸ごと呑み込んだと言うのに、少女の腹はバスケットボールほどしか膨らまない。
「五月蝿い男は嫌いだな。」
千絵は呟くと、これ見よがしにゲップを吐いた。血や汚物の臭いの混じった腐臭が、喜多崎茜の鼻を突いた。

394 :腐肉(P.N.):2010/02/12(金) 01:05:45 ID:QeUAdY5a
「い…いや…」
喜多崎は震えながら、がしりと彼女の肩を掴む怪物の手から逃れようともがいたが、物凄い力で締め付ける少女の腕はびくともしない。
「んくっ…かあいい。」
千絵は喜多崎茜の頬を伝う涙をぺろりと舐めた。
「でもごめんね、愉しんでる時間が無いんだ。」
怪物が残念そうに呟くと、彼女の下顎から腹にかけてがぱっくりと割れ、人体が縦に真っ二つに開いた。巨大な亀裂のような口を無数の鋭い歯がのこぎりのように縁取り、
その中でぬるぬるした太い触手が何本も蠢いている。
「ひっ…」
喜多崎は悲鳴を漏らす。神様、これがサボった罰ですか。ママと喧嘩した罰なんですか。
「痛くしないよ。」
千絵はそう呟くと、彼女の身体をそっと抱き上げ、胃の中に寝かせた。恐怖に抵抗する意志も挫かれただ震えて涙を流すことしか出来ない喜多崎茜の前で、
牙の生えた肉の扉が閉まった。怪物の腹は彼女の容積で膨張して、薄くなった皮膚からぼんやりと外の光が透け中はピンク色に見える。
彼女は脈動する胃袋の中で身を捩ろうとしたが、肉壁に圧迫されて身動きが取れない。ふと、自分の手が何か拳大の硬いものに触れた。
目だけを動かして腋の間から下を見遣ると、そこに佐野河の股間があった。彼の身体は腰の辺りで尻と背中がくっ付く様な形に真っ二つにへし折られており、
彼女の手はズボンの下で勃起したまま硬直した彼のペニスに触れていた。
「きゃっ…!」
喜多崎は悲鳴を上げて手を離そうとしたが、肉の壁の中では腕を動かす余裕すら無かった。その時ごぽごぽという音と共に、彼女の手の下、つまりぺしゃんこに潰れた
佐野河の身体の収まっている辺りから何やら液体が湧き出してきた。その液体は佐野河の肉体を浸すとしゅうと音を立て、鼻を突くような刺激臭のする湯気を上げた。
佐野河の身体が見る見る沈んで行き、喜多崎はやっと彼の汚らわしい一物から手を離す事に成功した。液体に触れた手の平に何か肌色のクリーム状のものが付着している。
彼女はそれを脇腹の辺りで拭おうとし、途端に手の平に激痛を覚えた。クリーム状のそれは、溶解した彼女の皮膚である。
見ると、クリームの中から血が滲み出し、剥がれた部分には筋繊維がむき出しになっている。
「いやぁあ…っ!!」
喜多崎茜は怪物の強い酸性の胃液に浸かろうとしている。佐野河の身体は沈んだのではなく、溶けて小さくなったのだ。
男の下半身という浮き島がなくなった今、彼女の身体はずるずると胃袋を降下し、甘酸っぱい臭いの毒液にどっぷりと浸かった。
彼女はもがくが、狭い胃の中で脱出の見込みは無く、もがけばもがくほどしぶきが上がり胃液は全身に付着し制服のブレザーが煙を上げた。
彼女は身に付けた衣類が消え、やがて水に入れたラムネのように自分の身体から皮膚が溶け出て行くのを感じた。だが酸の中で彼女の痛覚はいつの間にか一切麻痺し、
心地良ささえ感じた。腰の辺りに佐野河の骨がぶつかると、尻の周りの脂肪がふわっと一気に分解され、身体が軽くなる。
その時、上の方から眩しい光が挿した。すでに瞼を失い眼球も分解しかけていた彼女の目はかろうじて光だけを捉えたが、どうやら怪物が口を開けたらしい。
その光が翳ったかと思うと、上から大きな何かが落ちてきてばしゃんとしぶきを上げた。胃の中に飛び込んできたそれには、顔がついており、手足もあった。人だ。
哀れにもその酸の世界の仲間となった新たな犠牲者は、最初は喜多崎茜と同様消化されて行く手足を必死にばたつかせてもがいた。
肉のこびりついた骨格と化していた喜多崎の身体は、その新たな犠牲者に蹴られてばらばらになった。やがては彼も、彼女と同じ運命を辿るだろう。


[続]

395 :名無しさん@ピンキー:2010/02/12(金) 21:21:04 ID:D0Aqc6S+
体内の様子に萌えた
マジで文才ありすぎw

396 :名無しさん@ピンキー:2010/02/12(金) 23:24:52 ID:QNvYKbq3
CUBEゼロの初っぱな、酸性シャワー浴びせられてグズグズに溶けていく犠牲者思い出した。
最凶な怪物ながら、たまにネコアルクっぽい千絵がかわいいにゃあ。

397 :名無しさん@ピンキー:2010/02/12(金) 23:51:16 ID:i9GumL+i
やってる事は外道この上無いのになぜか千絵は憎めない

>>375
天使と悪魔ってだけで探したから手前の漫画で引っかかったぜ、同じシーンがあるとは
デフォルメだからか俺はそんなに興奮しなかったわ

398 :INHUMAN:2010/02/13(土) 15:52:03 ID:jNqgKuoF
ちょっと、あんたたち!
こんなスレッド立てて恥ずかしくないの!?
そのうち削除依頼を出して、
消してもらうつもりだから、
覚悟してなさいよね!!

さあ、潰れるざます!
逝くでがんす!
フンガ〜!!
まともに潰れなさいよ〜!!


399 :名無しさん@ピンキー:2010/02/13(土) 18:23:15 ID:hB9Pqmt+
>>398
wwwwwwww

400 :名無しさん@ピンキー:2010/02/13(土) 19:04:46 ID:wTfcKqBp
>>398
ナイス!
GJ!

401 :名無しさん@ピンキー:2010/02/13(土) 21:51:54 ID:5KqRYiYk
いい年こいたオッサンが>>398書いてると思うと泣けるな・・・

402 :名無しさん@ピンキー:2010/02/13(土) 23:08:17 ID:wTfcKqBp
>>401はスルー。

403 :名無しさん@ピンキー:2010/02/14(日) 01:13:01 ID:7jQqbMIZ
INHUMAN
U
人間(の中に)に入る
U
丸呑み
U
 千絵

404 :名無しさん@ピンキー:2010/02/14(日) 18:20:20 ID:VjkYEO7V
>>403
ひとの なかに いる!

405 :名無しさん@ピンキー:2010/02/14(日) 18:51:38 ID:VwER58Jz
テセラックはQ方向にいる!

406 :名無しさん@ピンキー:2010/02/14(日) 19:04:05 ID:+U2M1HBy
良く分かったな
俺ぜんぜん分からんかったよ

407 :名無しさん@ピンキー:2010/02/14(日) 21:32:37 ID:IUaEbkVJ
三次元は四次元に丸呑みされているんだと考えると
なんかドキドキしてきた。

408 :名無しさん@ピンキー:2010/02/14(日) 23:44:40 ID:mhHZHKaz
なんつー酷いこじつけだ

409 :名無しさん@ピンキー:2010/02/15(月) 00:39:08 ID:+2SFiRfK
ピクシヴで丸呑みって検索

410 :名無しさん@ピンキー:2010/02/15(月) 00:50:09 ID:u2vyHmxg
っつーかみんなピクシブ見れるの?

411 :名無しさん@ピンキー:2010/02/15(月) 01:20:57 ID:DUoN+LyJ
登録制だが無料だし少なからず居るんじゃね

412 :名無しさん@ピンキー:2010/02/15(月) 02:24:22 ID:PBN6et1K
絵が描けないからなぁ。

413 :名無しさん@ピンキー:2010/02/15(月) 02:38:59 ID:UatyAKMb
ミルダケタダ、ミルダケタダネ、シャチョサン

414 :名無しさん@ピンキー:2010/02/15(月) 03:13:16 ID:idek24Z6
前に腐肉さんの漫画化した人もピクシブだったが…なんか最近あのサイト重い

415 :腐肉(P.N.):2010/02/15(月) 05:07:21 ID:CwOsGmA2
蓮杖千絵と小山内佳奈は、来るべき決戦に向けてエネルギーを蓄えておかねばならなかった。
カラオケボックスは理想的な餌場だ。獲物が悲鳴を上げても問題は無し、密室性が高く、平日の日中ともあれば邪魔が入る心配も無い。
佳奈は我ながら良い考えを思いついたものだと得意になっていた。千絵がカウンターの従業員を平らげると、佳奈は素早くシフト表をチェックした。
千絵が個室の方に向かうと、佳奈はもう一人の従業員を始末すべく、廊下の突き当たりのドリンクバーを目指した。
20代半ばと思われる太った女性が彼女に背を向けカクテルのグラスをマドラーでかき回していた。
佳奈は肩に掛けたスポーツバッグを徐に床に降ろすと、中から布で覆った例の凶器を取り出した。
太った従業員は彼女の存在に気付いていない。佳奈は残忍な笑みを浮かべて刀を振り下ろした。
スライサーは本来、人間の頭蓋骨を真っ二つに叩き割るほど強靭な刃物ではない。それを成し得たのは単に佳奈の文字通り怪物的な腕力によるものだった。
太った女性には何が起こったのかさっぱり分からなかった。急に視界が滲み、手にしたカクテルグラスにどこからか赤い液体が数滴ぽたぽたと落ちてきた。
それが自分の顎の辺りから突き出した鋼色に鈍く輝く刃物の切っ先から垂れている自らの血だと気付いた瞬間、彼女は絶命した。
佳奈は女性の下顎骨で閊えているスライサーを、そのまま力任せに下へ振り切った。飛び散った血しぶきは僅かだったが、
制服のスカートが調度真ん中の辺りでぱっくりと分かれてはらりと落ちるや否や、女性の身体は左右対称に真っ二つに割れ、床に崩れ落ちた。
「きゃああああああああああ!!!!!!!」
その時、佳奈の背後で悲鳴がした。振り向くと、一人の女性が廊下の向こうに立ちすくみわなわなと震えている。大方タイミング悪くトイレにでも立ったのだろう。
「何?」
悲鳴を聞きつけ、離れた個室の扉が開いた。
顔を覗かせた中年の男は、2本の長い刃物を手にした佳奈と、床に屑折れた血塗れの店員の亡骸を見るなり、野太い叫び声を上げて扉を閉めた。
佳奈は無言で踵を返し、中年男性は無視してつかつかと廊下を女性の方に向かって歩き出した。途中、スライサーをぶんと一振りして付着した血液を払った。
女性は脅えた目で彼女を凝視したまま数歩後ずさり、すぐに廊下を反対側へ駆け出した。
仕事が早く掃けて友人とちょっとこの店に立ち寄っただけであった彼女は、パニックに陥っていた。
あまりに混乱していたため、廊下の角で妊婦のように腹をぽっこりと膨らませた少女とすれ違った事にも気付かなかった。
少女はちょっと女性を振り向くと、すぐに廊下の向こうからやってくる佳奈を認め、逃げる女性を無視して廊下を進んだ。
千絵はすれ違い様に、佳奈に向かってハイタッチの姿勢で左手を上げた。
両手に刃物を握っていた佳奈はタッチする代わりにスライサーの研ぎ澄まされた刃を千絵の鋭い爪に当ててカンっと乾いた音を立てた。
佳奈が廊下の角を曲がって姿を消した途端、金属が有機体を切り裂く湿った音が木霊した。
廊下の向こうの壁に血が飛び散るのをちらりと見てから、千絵は先ほど中年男性が身を隠した個室のドアを蹴り開けた。蝶番が砕け、ドアは内側に吹き飛ぶ。
中から太い悲鳴が聞こえる部屋に、千絵は無言で踏み入った。次の瞬間、血しぶきが上がった。
血しぶきはドアの無くなった部屋から飛び出し、廊下の反対側の壁を赤く染める。
やがて巨大な口が肉を呑み込む下品な音だけが、店内を満たした。
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416 :腐肉(P.N.):2010/02/15(月) 05:10:18 ID:CwOsGmA2
「ねぇ、佳奈?」
ぼってりと膨れた腹を抱え、ドリンクバーの前の地べたに脚を広げて座ると、千絵は言った。佳奈は隣で、店員の裂けた頭から脳髄をすすり出しながら、千絵の方を向く。
「昨日の話…ごめんね、叶えてあげられなくて。」
ずびっと音を立てて、佳奈は柔らかい薄桃色の髄の最後の一欠片を吸い込む。
「何が言いたいかって言うと…その… 足手まといなんて、思ってないから。佳奈が居なかったら私、今頃死んでたかもしれない。
だから、佳奈がこうなってしまった事も、もう私のせいだとか思わない。佳奈はどっちにしろ、私と一緒に最後まで戦ってくれたと思う。怪物でなくても。」
佳奈はごきゅっと音を立てて頬張った脳を呑み込むと、微笑んだ。
「私にとって、千絵は千絵だよ。怪物なんて、思ったこと無い。これが私たちの、あるべき姿なの。」
そう言って佳奈は親友の腹にキスをした。その優しい唇の感触に千絵の腹は微かに震える。
「ごめんね、私こそ我がまま言って。」
「謝らなくていいよ。私が…」
その後は、口付けに遮られた。やがて千絵は立ち上がると、どこかの個室に置いて来た上着を探して持ってきた。
佳奈にそれを渡すと、自分も肩から引っ掛けて言う。
「さて、まだ日暮れまで時間があるけど、どっか行きたいところある?」
千絵は、立ち上がろうとして自分の腹の重みでよろけそうになっている佳奈に手を貸した。
「出来れば、腹ごしらえが出来る場所がいいなっ。まだ足りない…“あいつ”と戦うには。」
すでに消化が進み小さくなり始めている腹をさすって千絵が言う。
「あんまり食べ過ぎると、メインディッシュが入らなくなるよ?“あいつ”を食べるんだから。」
佳奈はそう言いながら少し考えるように俯くと、顔をぱっと輝かせて言う。
「動物園に行きたいなっ!」
「今から?もうすぐ閉園なんじゃないかな…。」
千絵は廊下に掛かった時計にちらりと目を遣り残念無念というように呟く。
「それでも良いよ。今なら、入れるでしょ?」
佳奈は無垢な笑顔を千絵に向ける。千絵は敵わないと知っている。
「ねっ?」
千絵は折れて仕方ないな、というように笑う。
「…それもそうか。修学旅行の時とは、違うもんね。」

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カラオケ店“エコーズ”から19人の人間が消滅した頃、“劔持”と表札の掛かっているとある民家の前に、一人の警官が現れた。
と言っても、伊豆波辰朗の姿を一目見て警官であると判別できる人間はそう居ないだろう。
ジャンパーにニット帽というカジュアルな服装に身を包んだ彼は、周囲の様子、特に家の中の様子を覗いながら玄関の前に立つと、2度チャイムを鳴らした。
返事は無い。それはそうだろう。
彼や村雨の推測が正しければ、この家の住人である劔持夫妻は、5日前に突如現れた蓮杖千絵と小山内佳奈、通称“オブジェクトD”及び“オブジェクトE”によって既に殺されている。
そして彼が監視している2体の怪物は、今日の昼過ぎに家を空けた。だが恐らく現在、家の中には拉致された西東京事件の生存者、周防美里が監禁されている筈である。
最悪の場合、殺されているかも知れない。
それだけでも確かめようと、伊豆波はこっそり裏口に回ると、勝手口の鍵を出来るだけ傷の残らないようにしてこじ開けた。
家の中に入ると、伊豆波の心臓は早鐘のように鳴った。家には誘拐された少女以外無人である筈なのは分かっている。
だがそこは何か、人が立ち入ってはならないような空気に満ちていた。まるで獣の檻である。いつでも銃を抜けるように右手を脇腹のホルスターに掛けると、
伊豆波は足音を立てぬよう抜き足差し足して台所を横切った。台所のゴミ箱から、恐らく人間の骨と思しき焼け焦げた塊が覗いていた。
あの日の午後、村雨オフィスで聞いたとおり、彼が相手にしているのは正真正銘の人を喰う怪物なのだ。
最初は信じられなかったが、今は、彼の30年余りの人生で培った価値観、この世界に対する見る目が全て覆されてしまっている。
だが今は、すでに死んだ人よりも、これから救える可能性のある人の事を考えるべき時だ。伊豆波は腐臭を放つ残骸を無視すると、廊下へ出た。
すぐに階段下の地下室へ通じる扉に目が行くが、その前に居間や浴室をチェックする。二階からも物音はしない。
完全に無人である事を確認すると、伊豆波は地下室へ通じる扉を開けた。中から強烈な腐臭と鉄の臭い…血の臭いが立ち込める。
もう手遅れかもしれない。そんな予感を胸に覚悟を決めると、伊豆波は軋む木の階段を降り始めた。


[続]

417 :名無しさん@ピンキー:2010/02/15(月) 13:32:51 ID:ratlpaL2
GJ!!投稿早いですね

418 :腐肉(P.N.):2010/02/15(月) 19:00:33 ID:slHcAvc5
窓の無い地下室は昼でも真っ暗で、一寸先も見えない。
ただ噎せ返るような悪臭が壁のように待ち構えるのみだ。伊豆波は打ち放しのコンクリート壁を手で探り、電灯のスイッチを見つけた。
天上からぶら下がった裸電球に光が灯る。照らし出された地下室は、悪夢のような光景だった。
糞のように茶色く変色した、肉の削がれた人骨が数体、汚らしい粘り気のありそうな液体を床に染み付かせて転がっている。
その周囲を蝿が舞い、数匹の鼠が慌てて逃げて行った。
地下室の中央に、古い木製の椅子に歪んだ金属でがんじがらめに縛り付けられた少女の姿があった。伊豆波は骸骨を避けながら彼女に駆け寄る。
「周防美里か?」
彼は声を殺して尋ねる。
「大丈夫か?」
「ん…」
少女は呻き声を上げた。服はずたずたに裂かれ殆ど裸で、血塗れだがその血は既に乾いており、襤褸のように身体に貼り付いている。
両肩に癒えかけた歪な深い傷がある。それから…。
伊豆波は視線を下に移して驚いた。少女の裂けたスカートの中に、ぐちゃぐちゃになった肉が見えた。
血は止まり皮膚も再生しかけて、もはや古傷のように見えるが、それは明らかに女子の肉体ではなかった。
そこにあったものが、引き千切られた痕跡である。そして縛られた“少女”は、自らの手で股座をまさぐっている。
本来性を感じる部分を奪われ、代わりに肛門を刺激して自慰をしている。
伊豆波はその光景にしばし呆然としたが、すぐに状況を飲み込み、辛抱強く話しかけた。
「君は弟の方か。」
“少女”は黙って頷こうとした。鉄の枷が首に巻き付いているので頭は動かせなかったが、伊豆波はそれをイエスと受け取った。
「やはり、姉が… 周防美里は、怪物なんだな?」
「うっ…」
周防美和は掠れる声で呻いた。歪な鉄のロープが喉を圧迫しているようだ。
「待ってろ、今外してやる。」
伊豆波は屈み込み、少年をがんじがらめにする金属の拘束具に手を掛けたが、びくともしない。恐らく、元は何かの柄か配管だったものだろう。
それをこんなにもぐにゃりと曲げてしまうとは、何と言う怪力だ。伊豆波は何度か首の部分だけでも外せはしないかと力の限り引っ張ったが無駄だった。
「すまんな…。」
彼は息を弾ませながら呟く。
「でも心配するな、今すぐここから連れ出してやるから。」
彼は椅子ごと少年を運び出そうと、ぼろぼろの椅子の背に手を掛けた。その時少年が呻いた。
「だめ…」
「何だって?」
「見つかる…」
「心配要らない、守ってやるから。」
「お姉ちゃんが…」
その言葉を聞いて、伊豆波は手を止めた。

419 :腐肉(P.N.):2010/02/15(月) 19:01:23 ID:slHcAvc5
「姉の居場所を知っているのか?」
「うぅ…」
少年は細目を開けて伊豆波を見つめた。
「千絵…おねえちゃんと、佳奈おねえちゃん…連れて行く。行かなきゃ…」
「あの2人を、お前の姉のところへ案内するんだな?」
伊豆波は興奮気味に少年の放す内容を纏めて繰り返す。少年は頷こうとして顎を動かした。
「お姉ちゃん… あいつらを殺す。」
「お前の姉が、蓮杖千絵と小山内佳奈を殺すのか?」
「うん…」
伊豆波は背筋を冷たいものが駆けるのを感じた。恐ろしい事だが、一方でそれはある種の喜びだった。
“オブジェクトD,E”を“C”に引き合わせる。相打ちにするために。
こんなにも物事が上手く進むとは思っても見なかった事だ。しかもこの少年は、自らその罠を仕掛けその役を買って出ようとしている。
「よし…」
伊豆波は呟いた。彼が嫌悪していた人間、村雨の思考が、今や彼の心を支配しようとしていた。
目的のため、目の前の囚われの少年を犠牲にしようとしていた。
「君は、私に会った事は絶対にあの2人には言っちゃだめだ。予定通り、あの2人を姉の元に案内するんだ。」
伊豆波は声を震わせ言った。
「そうすれば、我々もあの2人を殺すのに協力する。大丈夫、君の安全は守ってやる。もちろん、君のお姉さんも。」
伊豆波は少年に微笑んで見せた。空虚な、偽りの微笑を。
「やれるか?」
「うん…」
少年は言った。
「よし…。」
伊豆波はごそごそとポケットを探ると、警官が証拠品を入れる透明な密封袋を取り出した。中に小指の爪ほどの黒いチップが数個入っている。
伊豆波はその内の一つを取り出すと、美和に見えるように目の前に掲げて言う。
「これは発信機だ。これを身につけていれば、私たちには君の居場所が分かるからね。これを飲むんだ。飲めるか?」
伊豆波はチップを少年の口元に持っていった。
「大丈夫、身体に悪いものじゃない。薬のカプセルと同じくらいのものだ。」
少年は口を開けて舌を延ばすと、チップを受け取り口に含んだ。
首を締め付けられており飲み込むのに多少時間がかかったが、彼は無事に発信機を体内に納めた。
「よし…。」
伊豆波は立ち上がり言うと、少年の方を向いたまま階段の方へ一歩下がった。
「心配するな、ちゃんと離れたところから見張ってるからな。」
そう言って彼は地下室の明かりを消した。離れて行く刑事の足音を聞きながら、周防美和は心の中で呟いた。
姉は、あの男も殺すだろう。殺して喰い千切って、ばらばらにして、呑み込んで…。


[続]

420 :名無しさん@ピンキー:2010/02/15(月) 23:04:15 ID:DUoN+LyJ
美和の精神ぶっ壊れたか・・・南無

421 :名無しさん@ピンキー:2010/02/15(月) 23:45:52 ID:Ypj3kdg4
だれか美和くんにぶっといおちんちんつけてあげて!

422 :名無しさん@ピンキー:2010/02/15(月) 23:58:18 ID:99/qCd+I
>>421
うっかり佳奈さんの体液を口にして二重感染してたらどうする
なんかうじゅるうじゅると変なもの生えてきたらどうする

423 :名無しさん@ピンキー:2010/02/16(火) 00:37:42 ID:e2yuOryk
>>422
佳奈たんなら「でもこれってスレ違いよね」とか言いながら
生えてきたのを次々にばくばく食べてくれるはずだ!

というかそもそも美和くんのちんこ切れたのって
佳奈たんが絶頂したときにうっかり食い千切ったんであって
実は事故だよね?

C,D,Eと先に進むたび獣としての能力と本能が劣化していくというのは
つまりオブジェクトたちに未来がないことを示していて悲しすぎる。
そして何故千絵より上位であるはずのCは地下に閉じこもっているのか。
獣が身を隠すときは……と考えていくと今後の展開はヤバすぎる気がするぜ。

424 :腐肉(P.N.):2010/02/16(火) 22:29:50 ID:/rIO2ksi
太陽は桃色の残光を暗くなった空に残しビルの向こうへ消えた。木津三平は腰から懐中電灯を取り出すと、石畳の通路を照らしながら檻の間をゆっくりと歩き始めた。
夜の動物園は気味が悪いが、閉園直後のこの時間にはまだ飼育員もかなり残っていると思うと少し気が楽だ。
夜間も警備員の他に必ず3人は常駐しているのだが、それでも、一人で見回りというのは心細い。基本的に肉食獣は夜行性で、檻の向こうの闇や、
薄明かりの灯った小屋から唸り声や身じろぐ音がする度に、木津は肝を冷やす。早くこんな仕事を辞めて転職したかった。彼は溜息を吐き、再び檻の間を歩き始めた。
昼間は子供や家族連れで賑わう楽しげな通路も、夜にはただ閑散と寂しく、不吉な獣の臭いが立ち込める。だがどうだろう。その日は心なしか、臭いが薄く感じた。
檻の中から唸り声も、毛皮の擦れる音も聞こえない。動物が興奮するので、檻の方には懐中電灯を向けてはいけない事になっていた。
そこで木津は目を凝らして、鉄格子の中の暗闇を見た。その中にいる獣を確認しようとしたのだが、何も見えない。檻のプレートには“ジャコウネコ”とある。
つまり、夜行性だ。妙だな、山猫をどこかへ移したのだろうか?その時、ベルトから下げた無線機がザザっとノイズ音を吐き出し静寂を破った。
木津は驚き飛び上がりそうになりながら、無線機を引っ掴む。今夜のもう一人の警備員である韮澤の声が、機械からくぐもって聞こえた。
「木津さん、“ゴリラの森”ってもう通りました?」
「いや、まだだ。」
「センターから連絡で、飼育員2名がまだ戻らないそうです。」
木津が蛍光盤の付いた時計に目を遣ると、7時を回ったところだった。そろそろ清掃員や土産物店のスタッフ、夜勤ではない飼育員などは皆帰ってしまった頃だ。
「遅いな。」
彼は呟く。
「ええ、そうなんです。何かトラブルかも知れないんで、確認お願いできますか?」
韮澤が言う。
「了解。」
木津は答えると、園内の一番端にあるゴリラの区画へ向かった。ゴリラはとても敏感な動物で、閉園後は檻の脇にある飼育小屋の屋内へと入る事になっていた。
木津が“ゴリラの森”と呼ばれるゾーンに近づくにつれ、明らかな異常が判明してきた。
ガラスで仕切られた檻の明かりが点いている。閉園後は担当飼育員が消灯するはずだ。
という事は、閉園前か閉園直後から、担当飼育員はここへ来ていない。木津はごくりと唾を飲み込むと、意を決して飼育小屋の方へ向かった。
ステンレスの扉をノックすると、ゴンゴンという重い音が響いたきり、返事は無い。ノブを回してみると、カチャリと音を立てて扉はゆっくりと開いた。
木津は鼓動が早まるのを感じながら、懐中電灯を小屋の中へ向ける。だが中は電気が点いていた。入ってみると、そこに人の姿は無かった。
檻の戸は閉められ、掃除用具や餌やり用具は整然と並べられ何一つ乱れた所は無い。木津はほっと胸を撫で下ろし、懐中電灯を下げた。だがすぐに妙な事に気づいた。
ゴリラが居ない。外のケイジにも姿は見当たらなかったし、檻の鍵はしっかりと鎖で巻かれ錠がかけられている。
木津は檻を一周しようとしてふと、鉄格子の端が大きく歪んでいるのを発見し愕然とした。だがゴリラの腕力をもってしても、動物園の檻を捻じ曲げる事など不可能だ。
そんな事は重機でも持ち込まない限り不可能だ。ゴリラは逃げたのではない。まさか、盗まれたのだろうか?
木津は慌てて無線機のスイッチを入れ韮澤を呼んだ。
「韮澤、今ゴリラの檻だ。鉄格子がひん曲げられて、ゴリラが消えてる。」
すぐに韮澤のくぐもった声が応え、木津は少しほっとした。
「何ですって?何頭?」
「全部だ。一頭残らず消えてる。飼育員も居ない。」
ややあって韮澤が言う。
「すぐ、そっちへ行きます。」

425 :腐肉(P.N.):2010/02/16(火) 22:31:34 ID:/rIO2ksi
プツッという音と共に交信が終わると、木津はすぐに飼育小屋を離れた。
気味が悪くて中で待ちたくなかったのだ。外へ出て、韮澤の駆けて来る足音がしないかと耳を済ませる。
その時彼は気付いた。遠くを走るかすかな車の音や水の流れる音以外、園内は静まり返っている。全くの無音なのだ。
動物園には300種以上の生き物が飼育されている。そのうち彼の居る区画だけでも大型哺乳類が40頭は居る筈だ。
それが1匹たりとも物音一つ立てずにじっと静止しているなどという事がありえる筈が無い。
木津は背筋に走る悪寒と戦いながら駆け出した。シロクマの檻に近づくと、彼は規則に反し囲いの中に電灯の光を向けた。
途端に信じられない光景が飛び込んできた。ずたずたにされてところどころ血で汚れた毛皮と、折り重なる肉の削がれた骨の山だ。シロクマのものだけではない。
恐らくゴリラのものと思われる巨大な頭蓋も転がっていた。木津は元々動物好きという訳ではなかったが、そのあまりの惨たらしさに思わず口に手を当てて顔を背けた。
犯人は何の目的でこんな事をしたというのだ?以前外国の動物園で、毛皮を剥ぐ為に飼育動物が殺されるという事件があったと聞いた事があるが、これはまるで違う。
毛皮は残骸の中に打ち捨てられている。まるでより強い捕食動物が食い荒らした跡のようだ。その時足音が聞こえ、木津は素早く振り返った。
韮澤の懐中電灯が弾むように近づいて来るところだった。
「木津さん…!大変です!!」
若い声が叫ぶ。彼は木津に追いつくと息を整える間もなくまくし立てた。
「あっちでトラが死んでます。クマも1頭残らず消えてる!鳥と、猿とか小型動物だけ無事ですが、何かにひどく脅えて隠れています。」
「飼育センターに連絡したか?」
木津は韮澤の背中をなだめるようにさすって尋ねる。
「それが…繋がらないんです。」
「一人もか?」
その時また何かの足音が聞こえ、2人の警備員は顔を上げた。途端に、2人は胃袋に氷水を注ぎ込まれたかのようにその場に凍りついた。
巨大なライオンが2頭、彼らめがけて駆け寄ってくる!
「ああああああああっ!!!!!」
韮澤が情けない声を上げ、その場にくず折れる。彼の肩を掴んでいた木津も、全身の力を奪われ韮澤に釣られて地面にへたり込む。
あの猛獣どもが果たして、他の動物をこんなにした犯人なのか?そんな疑問が彼の脳裏を過ぎった。2頭の百獣の王は、何かから逃げているように見えたのだ。
次の瞬間、空から何かが降ってきて先頭の雄の上に着地した。雄ライオンは頭を踏み抜かれ、その場に倒れると動かなくなった。
ふさふさの美しい鬣はあっと言う間に血で汚れたモップのように変わり果てた。
2人の警備員がライオンの死骸から視線を上げると、美しい色白の少女が身体中を獣の血に染め立っていた。
腹が異様に大きく膨らみ、その重みで倒れそうになっている。
少女は警備員らを無視してライオンの上に覆いかぶさると、素手でバリバリと毛皮を剥ぎ取り、露わになった湯気を上げる真っ赤な肉を食い千切った。
もう一頭の雌ライオンは逃げようとして再び警備員の方へ駆けて来る。
「ひぇっ…!」
韮澤が声を上げたその時、彼らの背後のシロクマの囲いから何かが飛び出し、雌ライオンを捕らえた。
それは見たことも無いような巨大な蛸の足のような桃色の触手だった。
触手がライオンの体を締め上げると、お手拭を絞ったように猛獣の身体は捩れ、バツンと音を立てて毛皮がはち切れた。百獣の王の断末魔が夜の動物園に木霊する。
「あれっ、いつの間にか観客が居るよ、佳奈。」
背後で何者かの声がして、木津と韮澤は跳ねるようにして振り返った。そこにもう一人別の少女が長い髪を妖艶に夜風になびかせ立っていた。
少女の胸の辺りから巨大な触手が延び、ライオンを捕らえていた。彼女は深さ5メートルはあろうかというシロクマの囲いの堀の上に、浮いている。
いや、よく見ると、腹の辺りから出ている別の触手を梯子のようにして囲いの中に立っているのだ。
少女がにっと笑うと、触手はライオンの肉を絡めたまま物凄い速さで引っ込み、胸元の亀裂に消えた。少女の腹がびくんと震え、また少し大きくなる。
少女は天を仰ぐと、獣の咆哮のような、いやそれよりも大きく耳を劈くようなゲップをした。木々が震え、無数の鳥が危険を察知して飛び立った。


[続]

426 :名無しさん@ピンキー:2010/02/16(火) 23:10:41 ID:cTJGvGps
>>425
佳奈に触手実装きたー

427 :名無しさん@ピンキー:2010/02/17(水) 00:16:50 ID:RrOkMsot
もはや底無しの食欲ってレベルじゃねぇw
クラス全員食べたのがまだ少ない方だったとは・・・

>>426
触手を出したのは千絵で佳奈は普通にそのままいってるぞ
俺も一瞬勘違いしたけど

428 :名無しさん@ピンキー:2010/02/17(水) 01:48:23 ID:YgByKE8l
熊やゴリラより強い千絵タン・・

429 :INHUMAN:2010/02/17(水) 11:21:30 ID:N4adS/tA
ちょっと、あんたたち!!
こんなスレッド立てて恥ずかしくないの!?
そのうち削除依頼を出して、
消してもらうつもりだから、
覚悟してなさいよね!!

さあ、潰れるざます!
逝くでがんす!
フンガ〜!!
まともに潰れなさいよ〜!!


430 :名無しさん@ピンキー:2010/02/17(水) 17:52:15 ID:LYSdBwNd
これが昼間だったら、ジェノサイドモードに…

431 :腐肉(P.N.):2010/02/17(水) 20:41:37 ID:scEF7fpH
千絵はシロクマの囲いの淵に脚をかけると、するすると触手を“第二の口”に仕舞いこみ、地上に降り立った。
何十頭もの獣たちを呑み込んだ重みで、着地の際に地震のように地面が震えた。
それが引き金であったかのように、韮澤はがばっと起き上がると言葉にならない叫び声を上げ一目散に逃げ出した。
すぐに再び千絵の胸元ががばっと大きく裂け、触手が弾丸のように延びると逃げる青年の足を捕らえた。
韮澤は勢い余って地面につんのめり、石畳に顔面を酷く打ちつけた。
「いやだ…いやだ…!」
鼻からどくどくと血を流しながら、韮澤は石畳の間に指をかけて這い逃げようとする。
だが残酷無比な怪物はするすると触手を引き上げ、韮澤の身体は石畳の上を打たれながらずるずると引きずられた。
「いやだあああああ!!!!」
韮澤はがむしゃらに腕をばたつかせてもがくが、その指がもう石床を捉える事は無かった。
彼は怪物の足元まで引きずられると、そのまま触手にぐいと持ち上げられあっけなく怪物の胃袋に吸い込まれた。
「あっ…あああっ…!」
木津はわななきながら、無意味に怪物に向かって腕を延ばした。そんな事で身を守れるべくもないと知りながら。
彼が今目にしているそれこそ、まさしく百獣の王、最強の生物だった。彼は抵抗する気力も挫かれ、あっと言う間にばくりと呑み込まれた。
雄ライオンを食い尽くした佳奈が千絵の元へふらふらと歩いてきて、彼女の足元に跪いた。一瞬何かを期待する様な目を千絵に向けると、目を瞑ってあんと口を開ける。
太く巨大なチューブ状の触手が千絵の陰門を押し開けて現れ、佳奈の唇に触れた。佳奈は触手に手を添え、フェラチオするかのようにそれをぱくりと咥える。
千絵の胃袋から触手を伝い、噛み砕かれてどろどろのペースト状になった肉が佳奈の口に流れ込んだ。
「んっ…くっ…」
佳奈は気持ち良さそうにそれを飲み下し始めた。喉がごきゅんごきゅんと規則的な音を立てる。親鳥から餌付けされる雛のように。
佳奈の捕食能力では、千絵ほど効率的に獲物を狩る事が出来ないからだ。千絵は自分の呑み込んだ分を喜んで佳奈に分け与えた。
これから2人が向かう戦いを前に、佳奈も十分栄養を取っておかねばならない。千絵は股座から出た太い肉棒に夢中で吸い付く佳奈の髪を、指で鋤く様にして撫でた。
触手の感じる佳奈の小さな舌や唇、添えられた小さく冷たい手の感触が、全て千絵の性感を刺激し、親友にしゃぶられて千絵は何度も絶頂に達した。
やがて胃袋が満たされると、佳奈は触手から口を離し小さくゲップをした。
「もう…いいの?」
千絵は頬を赤らめて尋ねた。
「んっ…」
佳奈はこくんと頷き、触手の先端から垂れそうになっている最後の一滴を舌で掬い取った。
その際触れた舌先の温かくちょっとくすぐったい感覚で、千絵はもう一度果てた。
佳奈は千絵が触手を仕舞う前に、何度も何度もそのいきり立つ肉の管にキスをした。
生き残った動物たちは、圧倒的な力を持つその2匹の獣たちが去るまで身を潜め、地獄のような一時を味わっている。
人間で言うなら調度「生きた心地がしない」といった感じだろう。
お陰で辺りはしんと静まり返り、2人が口付け合うチュッという音だけが響いた。やがて千絵が言った。
「…行こうか。」
その口調は静かだが、確固たる決意がその小さな胸に秘められている事を佳奈は悟った。
「うん。」
彼女は答え、立ち上がった。
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432 :腐肉(P.N.):2010/02/17(水) 20:43:48 ID:scEF7fpH
11時過ぎに、2人は劔持家へ帰還した。その頃にはもう消化は粗方終わり、千絵は元の体型に戻っていた。佳奈はまだ少し胃が張っていたが、動く分には支障ない。
11時半を回った頃、2人は地下室に監禁していた周防美和を連れて家を後にした。すぐさま、待機していた伊豆波辰朗他数名の監視者が追尾を開始する。
美和の服は佳奈が切り裂いてしまったため、代わりに自分の、彼には少し大きめのワンピースにフード付きのパーカーを着せて顔を見えないようにしている。
千絵も捕食の時によく羽織っている愛用のパーカーに身を包んでおり、端から見ると千絵、佳奈、美和の順に大中小と背の違う姉妹のようにも見えた。
だが実際のところ、佳奈の背負ったナップザックには2本のスライサーが忍ばせてあったし、千絵は美和がまた逃げようとした時のために、常に彼の首筋に手を這わせていた。
その柔らかく冷たい強靭な指の感覚は周防美和をぞくぞくさせたが、千絵はそんな事を知る由も無い。
3人は最寄りの駅から地下鉄に乗ると、いつも美和が線路に降りる駅まで移動した。
到着したのは深夜過ぎで、ホームは最終電車をに間に合った飲み屋帰りのサラリーマンや芝居帰りの女性などで混み合っていた。
3人はホーム内にあるトイレに身を潜め、終電をやり過ごし、やがて最終電車が居なくなりホームに人が居なくなると、3人はトイレから抜け出した。
改札を潜ったは良いが終電には乗り遅れてしまった人々が、ホーム反対側の改札口の駅員に払い戻しを求めて殺到していた。
千絵たちは駅員がその対応に気を取られている隙を見て、ホームの端から線路へ飛び降りた。
「ここからは歩きますよ。」
美和が言った。千絵の指に、声帯の振動が伝わる。3人は闇の中へ足を踏み入れた。途端に、視界から暗黒以外のものが消える。
「どのくらいかかるの?」
千絵の隣りから佳奈の声が尋ねる。
「わかりません…移動してます。目印を辿って行かないと…」
返事を誤りその場で殺される場合を恐れ、美和の声が僅かに震えた。
「急ご。」
千絵はそう言うと、美和を先頭に立たせ歩き出した。千絵の目は瞬時に暗闇に慣れるが、佳奈はまだよく見えないらしく、咄嗟に千絵の腕に縋りつく。
「大丈夫、手、繋いで行こう。」
千絵はそう言うと、佳奈の小さな手をぎゅっと握り締めた。普通の人間である美和はまだちっとも慣れていなかったが千絵の手に首を掴まれているので離れずに済んだ。
「目印ってどれ?」
千絵が尋ねる。
「…骨です。」
「何の?」
「…地下鉄には、今は使われない線路とか待避用の駅がいくつもあって、ホームレスが住み着いてるんです。」
応えはそれで十分だった。千絵は、いつぞや故郷の橋の下で食い殺したホームレスの砂のような味を思い出して顔を顰めた。
彼女がまだ怪物になったばかりの頃の事だ。佳奈に自分の正体を打ち明けたあの夜。あれから半年も経っていないと言うのに、随分と懐かしく感じた。
10分足らずで、先回美和が訪れた時に踏み入った待避駅に繋がる線路の分かれ目に出た。美和は、壁に据えられた蛍光灯の僅かな光を頼りに、薄暗い線路を注意深く見渡す。
「あった。」
やがてそう言うと美和は、先日行ったのとは別の、もっと先へ伸びている線路の方を指差した。
なるほど気をつけていないと砂利と同じに見えるが、確かに人骨と思しき破片が線路の隅に転がっていた。
「やっぱり移動してます。どのくらい先に居るか…」
「行って見ないと分からない、ってこと?」
千絵が言うと、美和は「はい」と小さく頷く。その時、トンネルの真ん中に並ぶ柱の向こうを電車が轟音を上げて過ぎ去って行った。
地下鉄の乗客は滅多に窓の外など見ないが、もしその時たまたま延々と続くガラスの向こうの暗闇に目を遣っている者が居たなら、線路の真ん中で立ち尽くす3人の少女
(正確には1人は少年で、残りの2人も人間では無いが)を発見した事だろう。
だがそれでも、その人物は仕事帰りに飲んだ酒か、自分の目の錯覚のせいにしてやり過ごすだろう。この街では誰もがそうして生きているように。

433 :腐肉(P.N.):2010/02/17(水) 20:44:46 ID:scEF7fpH
電車が過ぎ去ると、千絵は車輪とレールが擦れる轟音の残響が残るトンネルの奥を見つめた。配線がむき出しになった裸の蛍光灯だけの粗末な照明が、埃っぽい壁面に沿って、
まるでヴァージンロードを縁取る白い薔薇の花のように並んでいる。トンネルは少し先でカーブして先が見えなくなっているが、奥から吹き付ける生ぬるい風と、
その空気の流れが歌う混声合唱のような音が、その闇の底知れなさを物語っていた。3人は骨の欠片を辿って歩いた。
電車に乗っている時は分からないが、地下鉄の線路は思ったよりもくねくねと曲がりくねり、1時間もすると自分たちが今どの辺りの地下を歩いているのかさえ分からなくなった。
途中、電車が終わり一日の仕事を終えもぬけの殻になった駅のホームをいくつか通過した。しまった後も地下鉄のホームには常に明かりが点いているし、
清掃員や見回りの駅員がまだうろついている可能性があるので、駅を通過するときは3人は身を屈め、ホーム下の待避スペースを通った。
「その電線に触れないように。感電します。」
美和が注意を促した。
また、線路の途中に駅がすっぽり納まるくらいの異様に広い空間が突如現れる事もあった。待避用の空間なのか、それとも駅が作られる予定だった場所かも知れない。
東京の地下には、普段人間たちの目に触れない未知の世界があった。
打ち捨てられた誇りっぽく汚れた空間、忘れ去られ錆び付いた存在、それはまるでこの街のほころびのようだった。そんなものが地下に巡らされている。
“あいつ”の墓場には打って付けの場所だな、と千絵は思った。歩き続けてかれこれ2時間近くが経過した。ただでさえ体力の衰えている美和は足を引きずり始め、
佳奈も埃っぽく重圧的な地下の空気に当てられ気分が悪くなってきていた。だが千絵は、その足で鉄のレールを踏みしめれば踏みしめるほど、
その先に待つ最大最強にして極上の“獲物”の事で頭がいっぱいになっていた。
守るべきものがある彼女にとって、それがどれだけ危険な事か、この時はまだ彼女は気付いていなかった。そしてその時、親友が彼女の想いの裏で、別の考えを巡らせている事も。

-------------------------------------------------------------------------------

3人が地下に潜ると、追尾していた伊豆波以下7人の捜査官たちは途方に暮れた。
彼女らが地下鉄の線路を辿って“C”を探そうとしているのだとしたら厄介だ。真っ暗なトンネル内で尾行など出来る筈が無い。
「少年に埋め込んだ発信機はせいぜい1kmが圏内だ。もたもたしていると見失うぞ。」
伊豆波は苛立ちを隠そうとせずに言った。
「だからと言って地上から追っても何の意味も無い。増援を要請するべきだ。」
別の捜査官が言う。伊豆波は焦っていた。あれからずっと彼の脳裏に、椅子に縛り付けられた少年の姿が焼きついてはなれない。
発信機は、地上と地下に隔てられれば通信できなくなる可能性がある。一刻も早く決断せねば。
「一人残って村雨に連絡して増援を要請。奴らは間違いなく、線路を辿る。半分は地上から、残りはぎりぎりの距離を保って地下を追尾する。
地上部隊は増援隊と合流したら、一つ先の駅から地下へ入れ。」
「もしそれまでに“D”が“C”と遭遇した場合は?」
「まず、それまでに何かあったら、地下部隊だけで何とかするしかない。」
「それがどうした、今にもシグナルが消えようとしているんだぞ!早く追わねば、あの少年まで犠牲にする事になるんだ!」
伊豆波は声を張り上げた。何としても、少年だけは助けねばならない。理性で考えれば、彼が少年に発信機を飲み込ませた時点で、あの少年は捨て駒だった。
人類を怪物から守るための尊い犠牲となっても、仕方ない。そう思っていた。だがここへ来て伊豆波は、あの日村雨のオフィスで捨て切れていなかった枷を思い出したのだ。
良心という名の。彼自身の、一児の父親としての感情を。彼の心はその枷と人類の未来との間で揺れ動いていた。
どうちらも同時に守ってみせる、などと、簡単に言える状況で無い事だけが唯一確かなことだった。


[続]

434 :名無しさん@ピンキー:2010/02/17(水) 22:09:50 ID:AiNurZen
いよいよか・・・

435 :名無しさん@ピンキー:2010/02/18(木) 07:42:15 ID:ycBOjajg
フェラ餌付けエロス!

436 :腐肉(P.N.):2010/02/18(木) 20:37:34 ID:YmYRBNWd
監視班からの連絡を受けた村雨はすぐに対策本部職員及び警視庁に非常事態宣言を発令した。何としても、この夜のうちにけりを付けるつもりだった。
伊豆波ら5名が地下鉄へ入って15分後、警視庁からの増援が到着した。地上班2名は渋谷付近で合流し、渋谷駅から地下鉄へ侵入した。
渋谷駅では2つの路線が終わる。そこから入れば、先回り出来る筈であった。
警視庁からの応援は、通常装備の機動隊の他に、地下での捜索のための探知機なども含まれた。
電波の届かない地下で最も有効なのは、動く物体を捕らえるソナーである。彼らはそれを頼りに、怪物たちを探した。
探知機を付けた少年を追跡中の伊豆波班からの連絡は、地上の班を経由して彼らにも伝えられた。だが土壇場で伊豆波が立てたプランには唯一誤算があった。
それは地上班からは伊豆波班の位置が分からない事である。渋谷駅から侵入した機動隊は、最新設備を有しており、常にその位置は上空のヘリから追跡されるが、
数時間前まで“オブジェクトD,E”監視任務に当たっていた伊豆波ら5名は、八手康久が行方不明になって以降義務付けられた無線発信機を身に付けていたが、
地下からは電波が届かない上、探知範囲は1kmだった。どこかで一つ間違えば、計画は破綻する。ビルの上を渡した綱を歩いて渡るような、危ない作戦である。
渋谷上空を飛ぶヘリの中で、村雨は舌打ちした。この任に就いて以来、初めて不安を感じた。
若い伊豆波捜査官が彼の助言を無視し感情に走ったせいであるのは分かっていたが、もうどうしようもなかった。賽は投げられてしまった。
そうかと言って、後は神のみぞ知る、などと何もせず暢気に構えている気は無かった。
「渋谷駅周辺を閉鎖。一般人と車両の立ち入りを禁じてください。」
村雨は眼下に広がる霞んだ街の明かりを見下ろしながら無線で指示を出した。それから身を乗り出し、パイロットに尋ねる。
「そこの交差点に着陸できますか?」
パイロットは足元まで広がっている曲面ガラスの窓からちらりと下を見遣り、頷く。村雨はその応えに満足したが、顔色一つ変えずに言う。
「では降りてください。」
この戦いが終わるまで、彼はその表情を変えるつもりは無かった。何が起ころうと。


437 :腐肉(P.N.):2010/02/18(木) 20:38:42 ID:YmYRBNWd
「しっ!」
暗闇の中で突然千絵は足を止め、唇に人差指を当てて言った。
そんな事をしても誰にも佳奈と美和には見えない事は分かっていたが、背後から人の声が聞こえた気がしたのだ。
「…何?」
しばらく待っても千絵が何も言わないので佳奈が尋ねる。
自分たちの歩いてきたトンネルの向こうから風と共に吹き抜けてくる音に耳を澄ませながら、千絵は呟く。
「人間…複数。来る。」
佳奈と美和の動揺が、淀んだ空気越しに千絵にも伝わった。足元のレールに微かに感じる振動から、どうやら鉄道の上を歩いているようだと分かった。
千絵には、夜中に地下鉄の線路を歩く人間が、彼女らの追っ手以外に居るとは考えられなかった。だとすれば、取るべき対処は一つであると、千絵はすぐに決断した。
「2人で歩ける?」
千絵は彼女の手をぎゅっと握り締めている親友に小声で尋ねた。
「うん…ちょっとは目が慣れたから…」
佳奈はそう応えたが、その目は不安げだ。だが千絵には、佳奈が心配しているのは自分の事ではなく、千絵の事であると分かっていた。
それは千絵が一人で追っ手に立ち向かおうとしているという事だった。
「もし…銃を持ってたら…?」
佳奈が言った。握った手に更に力が籠もる。千絵は安心させようともう片方の手でその小さな手を包み込むと、微笑んだ。
「喰い千切ってやるよ。」
それから、そっと親友の手を離した。佳奈の指は縋るように千絵の手の平を撫でたが、彼女の手に包まれると自然と力が抜けてしまった。
それから急に、佳奈の手を包むのは冷たい張り詰めた空気だけになった。千絵は佳奈と美和を残し元来た道を数歩戻ったところで振り返って言った。
「先、行ってて。すぐに追い付く。大丈夫、私、強いから。」
そして目にも留まらぬ速さで、その場から消えた。
佳奈は親友の消えた暗闇を見つめ耳を済ませたが、遠くの方で砂利の転がるような音が微かに聞こえたきり、何も聞こえなくなった。
千絵の察知した“追っ手”がどのくらい離れたところに居るのかすら分からない。
佳奈は溜息を吐くと進行方向に向き直り、彼女を待ち受ける、地の底へ続くぽっかりと開いた真っ暗な口とのようなトンネルと対峙した。


[続]

438 :名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 01:41:43 ID:CbFh/43D
展開にワクテカ

439 :INHUMAN:2010/02/20(土) 17:17:03 ID:Wan8Bflt
ちょっと、あんたたち!!
こんなスレッドを立てて非人間的だと思わないの!?
そのうち削除依頼を出して、
消してもらうつもりだから、
覚悟してなさいよね!!

さあ、潰れるざます!
逝くでがんす!
フンガ〜!!
まともに潰れなさいよ〜!!


440 :腐肉(P.N.):2010/02/20(土) 17:30:05 ID:XhDKocBx
伊豆波辰朗は5人の捜査官らと共に線路に沿って地下のトンネルを進んでいた。
所々蛍光灯の照明が設置されているものの、奥は肉眼では殆ど暗闇であるため、懐中電灯を装備していた。
先頭を行く伊豆波が手にした、モニタの付いた手鏡のような探知機は、劣悪な電波環境の中時折周防美和の発信するビーコンを受信し、
画面上に点滅する光点として表示していた。
当然尾行を悟られるのを恐れた彼らは、目標が電波圏外になるぎりぎりの距離を保っていた。
だがそれらの光は、怪物の目に彼らの居場所を知らせるには十分過ぎた。
かつてとある地方高校の陸上部のエースだったその少女が、人体を可能な限り速く前へと押し出す美しいフォームで走る音が、
あるいはその脚力でコンクリートの地面が砕ける音が彼らの耳に届く前に、怪物は彼らの内の一人を血祭りに上げた。
全力疾走していた千絵は勢い余って伊豆波の真横を通り過ぎ、しんがりを努めていた捜査官にもろに跳び蹴りを食らわせた。
地下鉄のトンネルの天上ぎりぎりまで飛び上がった少女の脚が、弾丸のような速さで哀れな警官の身体を粉砕した。
まず足の当たった腹の部分が拉げ、体内で臓器が破裂した。次の瞬間には受け止め切れなかった衝撃が全身に拡散し、肉が文字通り、弾けた。
脆い皮膚を突き破り、筋肉と分離した骨格が身体から弾き出され、がしゃんと音を立てて線路を打った。
その音で初めて、残りの4名は異変に気付いた。
それが何の音か仲間たちが把握するより先に、千絵は第二の口を大きく開くとしんがりの肉を触手で絡め取って胃袋に収めた。
呆然と見つめる4人の警官の頭から血糊が降り注いだ。彼らの手にしたライトが、返り血で赤くなった光で怪物の姿を照らし出した。
服を脱ぐ時間が無かったため、千絵のお気に入りのパーカーは前が破れた状態で彼女の肩から垂れ下がっている。
真っ白な肌を血が赤く染めていた。
「邪魔するな。」
怪物が口を開いた。18歳の少女の声だが、それは4人の内彼女を初めて目にする3人の闘志を砕くのに十分な凄みを帯びていた。
2人はその場にへたり込み、もう1人は線路の上をふらふらと後ずさった。伊豆波だけが微動だにせず、まっすぐ千絵を見つめていた。
彼は瞬時に、自分の愚かさと、そのせいで作戦が失敗した事を悟った。
それから、彼はこの惨めな闇の中で、誰にも見取られずに死ぬのだという事も。
千絵は跳び上がると、腰を抜かして埃っぽい地べたに尻餅を付いた状態で倒れている一番手前の捜査官の胸に着地した。
肋骨が音を立てて砕けたかと思うと、千絵は再び飛び上がる。
地面に打ちつけられた弾みで浮き上がった彼の身体を、触手が素早く締め付け、あっと言う間に腹の中へと引きずり込んだ。

441 :腐肉(P.N.):2010/02/20(土) 17:30:47 ID:XhDKocBx
すらりと締まった筋肉質な脚が、もう一人の捜査官を横殴りに蹴り上げる。埃を巻き上げながら宙を舞う彼の身体に、待ち受けていた第二の口が齧り付く。
捜査官の身体に深々と無数の牙が突き刺さり、そのすぐ後ろに立っていた伊豆波に血しぶきがかかる。
伊豆波が最後に見たのは、仲間の身体を半分咥えたまま彼に迫ってくる巨大な口だった。最後に彼の脳を過ぎったのは、自分の愚かさに対する後悔や無念や、
まして悲しみでも怒りでもなく、息子と一緒に見たアニメ映画に登場した巨大な肉食恐竜の姿だった。
千絵の下顎が蜘蛛の口のようにぱっくりと縦に2つに割れ、彼の顔面に横から齧り付いたかと思うと、ゴリンと音を立てて彼の頭部を半分、骨ごと喰いちぎった。
齧られた林檎のように凸凹と汚い断面を見せ、伊豆波の頭はこてんと後ろに仰け反り、小さな噴水のように血を吹き出した。
伊豆波の残りの部分が宙に浮かんで消えてしまうと、彼が手に持っていた探知機はレールの上に落ちてガチャンと音を立て、画面から一切の光が消え去った。
襲撃から仲間が皆殺しにされるまでの僅か10数秒ほどの間に、逃げ出した1人の警官は無線機で地上班と連絡を取ろうとしていた。
「…こ…こちら監視班溝口、“オブジェクト”と遭遇、襲撃を受けた…!」
だが地上班は既に渋谷駅から地下へ潜っており、無線機の向こうからはザーッという乾いたノイズしか聞こえなかった。その時何かが彼の身体に巻き付いた。
「ひぁあっ…!!!」
溝口という名のその男は悲鳴を上げた。見ると腹の辺りを巨大な蛸の脚のような、毒々しいピンク色の触手が締め付けている。
彼の身体は乱暴に捻られ後ろを向かされた。彼は怪物と対面する。
「誰に電話かな?」
千絵が言った。喋りながらも、腹の亀裂からは垂直に流れ出るように更にたくさんの触手が彼の身体めがけて延びて来る。
溝口は手足や首も触手に捕らわれ、地面から持ち上げられた。
エナメル革の靴先が地面から離れると腹の触手が一層強く彼を締め付け、夕食のホットドッグを戻しそうになる。
「まだ他にも居るのかな?」
千絵は触手を少しずつ腹の中に引き戻して溝口を手繰り寄せながら訪ねた。
溝口は触手に首を絞められているのとパニック状態に陥っている事から、口をぱくぱくさせるだけで声が出せない。
やがて少女の顔が目の前までやって来た時、その可愛らしい大きな瞳に世にも恐ろしい残酷な光が宿った。少女は小さな声で囁いた。
「喋らないと、喰い殺すぞ?」
その囁きはトンネル中に木霊し、近くで聞く太鼓の音のように、血管や筋肉、内臓に至るまで彼の全身を内側から震わせた。
彼女は俺を喰おうとしている。俺の命など何とも思っていないどころか、こいつは人間という存在自体をただの餌としか見ていないのだと理解した。
恐怖や畏怖などと言った言葉では言い表せない、これまで感じたことの無い感覚が彼の全身を麻痺させる。
「うあぁあああああああ!!!!!あああああああああ!!!!!」
それが彼の答えだった。
その情けない叫びで、彼の30余年間の人生は幕を降ろした。千絵は触手を使って溝口の身体を頭上に掲げ持つと、力いっぱい捻ってその脆い肉を絞り上げた。
あっと言う間に次々と骨が砕け内臓が破裂する。
悲鳴がごぼごぼという液体から泡の吹き出る音へと変わり、口からだらりと血反吐が流れ出たかと思うと、絞った雑巾のように全身から身体中の血液が流れ出た。
その血を頭から浴びた千絵が口を開けて天を仰ぐと、土砂降りの雨のような血飛沫が舌を伝って喉を潤した。
砕けた骨と擦り切れた皮だけになった溝口の残骸を線路の脇に打ち捨てると、千絵は元来た道を急いで逆戻りし始めた。
予想外の食事で容積が増えたために来た時ほどのスピードは出ないが、すぐに佳奈たちに追いつける筈だと思っていた。
後になって千絵は、あの時佳奈と美和を2人で残した事が最大の過ちであったと気付くのだが、その時にはもう全てが手遅れになっていた。


[続]

442 :名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 18:04:15 ID:8jFw97Jx
GJ。
はじめは軽く捕食もののSS読んでるような軽い気持ちだったんだけど、
もう今ととなっちゃぁ、このストーリーの次がみたくてみたくてしょうがない。
腐肉さん天才だ。

443 :名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 19:32:10 ID:joTovp2h
捕食描写も容赦ねぇww
ホントよくこんないろんなシチュ思い付くな
GJ

444 :名無しさん@ピンキー:2010/02/21(日) 02:20:02 ID:TJt2COZz
なんというタルカス

445 :名無しさん@ピンキー:2010/02/21(日) 02:48:03 ID:MsiHOf0g
こりゃゴリラも敵わんわな

446 :INHUMAN:2010/02/21(日) 15:47:32 ID:5gsrOuz3
>>439の修正

ちょっと、あんたたち!!
こんなスレッドを立てて非人間的だと思わないの!?
削除依頼を出して消してもらうかどうか、
分からないけど覚悟してなさいよね!!

さあ、潰れるざます!
逝くでがんす!
フンガ〜!!
まともに潰れなさいよ〜!!


447 :名無しさん@ピンキー:2010/02/21(日) 18:40:59 ID:K3IQ+dA/
>>446
何か萌える

448 :腐肉(P.N.):2010/02/21(日) 19:40:09 ID:nKHc0mhU
「おねえちゃんっ…痛っ…痛いよ…」
美和は耐えかねて声を上げた。佳奈は彼の腕を掴んだまま引き摺る様にトンネルを先へ進む。
彼の肩の関節が不穏な軋みを上げ、不快な振動が身体に伝わる。
様子がおかしい、と美和は思った。千絵のいないこの状況下で、合流する前に先に美里に遭遇したらどうするつもりなのだろうか。
その時、佳奈が彼の腕をぐいっと一際強く引っ張ったかと思うと、そのまま彼の身体を持ち上げ横抱きに抱え、急に駆け出した。
「ちょっ…おねえちゃん…!」
美和は怖くなって悲鳴を上げた。自分の身体を軽々と抱きかかえる佳奈の顔を見上げると、そのこに不気味な笑みが浮かんでいる。
叫んでも暴れても少年には目もくれず、その目は真直ぐに前を、2人を飲み込もうと待ち受けるトンネルの暗闇を見据えていた。
出来るだけ早く、千絵から遠ざかるんだ。
それが佳奈の思惑だった。千絵よりも先に、周防美里を見つけるために。怪物を見つけ、捕らえる。
親友がその怪物を食べてしまう前に、佳奈はあの怪物が必要だった。
佳奈は、千絵と同じになりたかった。千絵に生殖能力が無いのであれば、別の女と交わっても彼女は構わなかった。
全ては千絵と並んで歩くために。
身も心も、千絵と同じ生き物になる事を佳奈はまだ諦めていなかった。周防美里には、彼女の願いを叶える能力がある。
彼女の中に、ヒトとしての死、怪物としての新たな命を産み落とす能力がある。
千絵が食べてしまう前に、佳奈は周防美里から産卵を受けるつもりだった。千絵の居ない今、美和が彼女の手中にある今がチャンスだ。
千絵がすぐには追いつけない距離まで離れて、美和を殺す。
彼女ら怪物は、鋭い嗅覚を持っている。自分のテリトリー内で最愛の弟が殺されれば、周防美里はすぐに気付くはずだ。
後は向こうから、佳奈の元に出向いてくれる。尤も、千絵が先に佳奈を見つけてしまった場合、計画は頓挫する。
千絵が先か、怪物が先か、それだけは神のみぞ知る、といった所だ。佳奈は胸の高鳴りを感じた。
怪物たちにも神々が居るのだとしたら、彼女はその小さな胸の中でその神に祈っていた。

------------------------------------------------------------------------------

同じ頃、渋谷駅から侵入した機動隊も何やら異変を感じ取った。
村雨管理官本人の率いる別動隊が新たに渋谷駅周辺に集結しているという連絡を受けた直後だった。
最初に異変に気付いたのは、ソナーを持っていた1人の警官だった。
潜水艦の探知にも使用される海自開発のシステムを応用した携帯型探知機で、伊豆波が持っていたものよりも数段に精度が高い。
その薄暗い画面に、一つの光点が現れた。
「前方より未確認物体、接近中。」
警官が言った。途端に場の空気が凍りつく。先陣を切っていた、元“オブジェクトD”監視班だった2人の内1人が尋ねた。
「ヒトか?」
「…いえ、もっと巨大です。」
「電車じゃないのか?」
「深夜3時だ。それに東京地下鉄には今夜一切の回送電車は運行を休止させた。」
「村雨隊か…?」
隊員たちはひそひそとあれこれ推論を言い合いながら、前方のトンネルに目を凝らした。
だが、伊豆波隊と違い彼らは懐中電灯ではなく暗視ゴーグルを装着していた。
光源のために敵から察知される恐れは減るものの、視界は酷く狭かった。
彼らにはまだ何も見えていない。代わりに、ゴーッと言う轟が聞こえてきた。
電車の音のようだが、明らかに違う。線路を滑る車輪のような一定のリズムではなく、もっと不規則な、どちらかと言うと足音に近い。

449 :腐肉(P.N.):2010/02/21(日) 19:41:05 ID:nKHc0mhU
巨大なものがトンネル内を、天上や壁を擦りながら4つ脚で移動しているような音。次の瞬間、唐突に“それ”は彼らの前に姿を現した。
第一印象は巨大な裸体。実際にその通りだった。それはトンネルの幅一杯に四つん這いになった巨大な少女だった。
自動車程の大きさの腕に支えられた胴体には、銅鐸のような乳房が二つぶら下がっている。その上に子牛ほどの大きさの顔が乗っていた。
まだあどけなさの残る少女の顔だが、引ん剥いた眼球を血走らせ、牙をむき出した口からはだらだらと唾液を垂らし、機動隊員たちを見下ろしている。
これが周防美里の成れの果てだった。2ヶ月間東京の地下に蔓延る、地上の世界から忘れ去られた生命を食い尽くした結果である。
巨人は吠えた。その叫びは轟となってコンクリートに囲まれた地下世界を震わせ、突風となって探索者たちを襲った。
そして逃げる間もなく彼らは巨大な手に捕らえられた。軽自動車くらいなら軽々握り潰せそうなその手は一度に7人の人間を掴み取り、巨人の口へと放り込んだ。
少女の口がばくんと閉じ、頬がもぐもぐと動いて中から無数の骨が砕ける音、ぐちゃぐちゃと肉の磨り潰される音が聞こえたかと思うと、巨大な少女はそれをごくんと飲み下した。
生き残った6人の警官たちは、暗視ゴーグル越しに緑色にぼやける視界を頼りに、トンネルを引き返し一目散に逃げ始めた。
彼らの何十倍もの大きさを誇るその少女は、一足先に踏み出すだけで瞬く間に歩幅をつめる。
その内の1人は少女に追いつかれたものの、あまりのサイズの違いに存在自体を気付かれずに、その巨大な手の平で押し潰されて死んだ。
少女の口からカメレオンの舌のような長い触手がビュルリと飛び出した。
ただしそれはドラム缶ほどの直径のある、全長10数メートルに及ぶ舌で、生き残りの5名全員が一瞬でその餌食となった。
粘着質の液体に覆われたその巨大な舌は5人の人間を絡め取り、彼らが、自分の足が地面を離れたと認識する前に、物凄い速さで少女の口の中へ彼らもろとも引き込んだ。
巨人は「ごきゅん」と音を立てて5人をいっぺんに丸呑みにすると、轟くようなゲップを放った。
それからいつの間にか手にへばりついていた潰れた人間の死体をべろりと一舐めで舐め取ると、それも呑み込んだ。
僅か1分の間に13人の人間を飲み込んでも、巨人の腹は一向に膨れない。ここ数日、彼女はろくに食べていなかった。
めぼしい餌場、即ちホームレスの溜り場となっていた廃駅などは最初の一月のうちに漁りつくしてしまい、
最近はたまにふらりと迷い込んだ鉄道管理局の人間などにありつけるばかりだった。だが身体はどんどん大きくなり、そろそろトンネル内を移動するのも限界に近い。
その時、彼女は遠くの方から懐かしい臭いを感知した。この世で唯一、彼女にとって餌以外の意味を持つ人間、弟の臭い。
弟が会いに来てくれた。美里は嬉しかった。こんな姿になっても、弟だけは彼女を見捨てないで居てくれる。
8月のあの日、彼女の姿を見るなり悲鳴を上げた良心とは違い、弟だけはずっと彼女を愛してくれる。彼に会いに行こう。
弟なら、彼女がこの地獄のような地下迷宮から抜け出せる方法を思いつくかも知れない。美里は喜びと期待を胸に、膝を付いてトンネル内を移動し始めた。
彼女の皮膚は千絵よりも弱く、身体中あちこち壁や天井にぶつけて擦り傷だらけだったが、それでも彼女は気にせず前に進んだ。
弟が居る限り、彼女は何も不安に思ったりする事は無いのだ。痛みを感じる事も、恐怖することも。


[続]

450 :名無しさん@ピンキー:2010/02/21(日) 20:09:37 ID:FjhzxkY8
案の定異形化進むと理性失って規格外の化け物に成り果てるんですね。
クレイモアの覚醒者や彼岸島の邪鬼みたいだ。
佳奈が死亡フラグ立ちすぎてどうあがいても絶望。

451 :名無しさん@ピンキー:2010/02/21(日) 21:02:32 ID:wNkJpYGU
佳奈の生んでもらう発想は分かってたが流石に美里の姿と美和殺しは想定外
というかこんな姿の美里でも食べられてる描写を読んで興奮する俺って・・・

452 :名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 00:31:16 ID:lHngdUcC
ナンテコッタ…

453 :名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 02:39:30 ID:xBrCNNtp
伊藤潤二の絵柄で美里の姿を再現して欲しい

454 :名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 03:13:25 ID:nl8AgIj2
なぜ伊藤潤二www

455 :名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 09:26:40 ID:xBrCNNtp
「元人間」をこれでもかと言うくらいにグロテスクに破壊する描写が得意だからさ。
美里見て、富江の細胞移植されまくって改造された館の娘思い出した。

456 :腐肉(P.N.):2010/02/23(火) 00:55:12 ID:0XO4oX4m
渋谷駅前では、第二機動隊が村雨の指揮の下今まさに地下へ潜入しようとしているところであった。
鼻の良いマスコミはすでにこの異常事態を嗅ぎつけ、封鎖の外に野次馬と一緒に集まっている。村雨の知る限り彼の管轄で情報操作はなされていなかったが、
どこからともなく地下鉄サリン事件のような大規模なテロルが発生したという噂が流れ、今のところマスコミはそれを信じきっているようだ。
好きに報道するが良い。遠くで光るカメラのフラッシュや、次々に到着するテレビ局のバンを横目で睨みながら村雨は思った。
彼の邪魔さえしなければ、連中が何をしようと構わない。事実を隠すのは、後からだっていくらでも何とでも出来るのだ。
その時、バスステーションの端に建てられた臨時対策本部テントから岡崎が彼の方へ駆けてくるのが見えた。地下で何かあったのだろうか。
村雨は駆け寄る部下へ向き直る。岡崎は肩で息をしながら、それでいてはっきりとした口調で告げた。
「地下からの連絡が途絶えました。」
村雨は胃の中に冷たい氷水を注ぎ込まれたような感覚に襲われた。
「伊豆波班に連絡して…」
震える声でそう言いかけるのを、岡崎が遮る。
「連絡を絶ったのは地下の班、両方です。」
村雨は、いっその事感情を表に出してわめき散らせたらどんなに楽だろうと考えた。考えうる最悪の事態だ。
だが彼は表情を崩さず、尚対処法を見出すべく思考に努めた。
「時間は?」
「ほぼ同時です。“D”と“E”が二手に分かれている可能性があります。」
「あるいは“C”の出現か…。」
村雨が考え込むように呟いた。その時、テントから防弾服を着用した男が1人、2人の下へ駆け寄ってきた。
「越後班の発信機が反応しています。」
彼は岡崎と村雨の顔を交互に見ながら告げた。
「生存者か?」
岡崎が尋ねる。
「それが…物凄い速さでトンネル内を移動しています。」
「…喰われたか…。」
岡崎が舌を打つ。
「追いましょう。」
村雨が言った。
「しかし、危険です。」
岡崎は反論したが、すぐに村雨の目を見て何を言っても無駄だと言う事を悟った。彼の瞳には、怒りと決意が炎となって燃え上がっていた。
「機動隊第二班をここから地下へ。発信機の反応を地上から追えますか?」
「かろうじてです。目標が高速で移動しているため、急がないと圏外になる可能性があります。」
「では我々が。」
村雨が岡崎に向かって頷いた。岡崎はすぐに、車を用意するため走り去った。岡崎と入れ替わりに、スーツ姿の別の男が村雨に近づいた。
「市ヶ谷から連絡です。状況の報告を求めています。」
「…軍人の出る幕ではありません。放って置いて下さい。武力があっても、彼らには何も出来ない。」
村雨はそう言ってその場を離れた。
数分後、ソナーを積んだ機動隊のバンが、村雨以下数名の捜査官を乗せ渋谷駅を後にした。
時を同じくして、17名から成る機動隊第二班が地下鉄銀座線の駅から地下へ突入した。
深夜だったが、その模様はテレビで日本中に中継され、レポーターは「テロリストは構内に潜伏中と見られます」と告げた。
--------------------------------------------------------------------------------

457 :腐肉(P.N.):2010/02/23(火) 00:56:52 ID:0XO4oX4m
どこかの駅のホームに差し掛かった時、佳奈は足を止めた。
背中や、美和を抱いた胸の辺りに汗をかき、膝ががくがくと震える。もう走れない。だがここまでくれば、千絵が追いつくのに最低でも7,8分はかかる。
佳奈は少年を線路中央の排水溝の上にそっと下ろした。
美和は地面に足が付いても、佳奈の首に巻きつけた腕を離そうとせずぶら下がったままで、佳奈が腕を外すと地面に倒れ込んだ。
佳奈は辺りを見渡した。ホームは蛍光灯の無機質な明かりに照らされ、冷たく緑掛かって見える。
表示には「明治神宮前」とある。いつの間にか、線が変わっていたようだ。
佳奈は線路に倒れる美和を持ち上げホームに乗せると、自分もひょいと跳び上がった。タンと石床に足を付く音が、無人の駅に響き渡った。
佳奈は、足元に転がる少年をちらりと見下ろした。自分は身体を動かしたわけでも無いのに息を切らし、心底脅えきった目で彼女を見上げている。
佳奈は美和の腕を掴むと、ずるずるとホームの奥のベンチまで引き摺って行き、そこへ横たえた。それから徐に肩にかけたナップザックの紐を緩める。
胸の高鳴りを感じた。それは単純に、人を殺す喜びだった。
ましてや、彼のペニスを喰いちぎったあの時から、佳奈は目の前の少年を殺したくて仕方なかったのだ。
「ちぃちゃんの“アレ”はどうだった?きもち、よかった?」
佳奈は布の袋から、ナプキンに包まれミイラのようになった刃物をするりと引き出した。
「もう感じる場所が無くて残念だね。」
少年はそれを目にすると「ひっ」と短く悲鳴を上げる。佳奈の笑みが邪悪に歪む。
「優しく殺して貰えると思ったら大間違いだよ?」
「約束…したよっ?」
美和は瞳に涙を浮かべ懇願するように佳奈に言った。
「お姉ちゃんの所に案内する。う…嘘、吐いてない!ちゃんと案内するっ…!」
佳奈は少年の訴える声に心地良く身体を震わせ、無言でスライサーを包むナプキンを一枚一枚剥がし出した。
べっとりと付着した血が乾きかけていて、ナプキンはぺたぺたと貼り付いている。佳奈は儀式の場にふさわしい言葉を考えた。
少年が最期に聞く事になる言葉だから、それは重要なものでなければ。千絵ならば、何と言うだろう?
黒く汚れたナプキンの最後の一枚を剥がし終えたとき、佳奈は考えあぐねて一言だけ発した。
「にゃん。」
次の瞬間には佳奈は美和に切りつけていた。先ずは2本の刀で両の腕を同時に、切断しない程度に深く抉る。
「ぎぃああああああああ!!!!!!!」
美和は絶叫するとベンチから跳ね起き、よたよたと後ずさった。白い石の床に真っ赤な血が止め処なくぼたぼたと零れ落ちる。
佳奈は美和の鳩尾の辺りめがけて強烈な蹴りを見舞った。美和は仰向けに倒れ、ホームの床を滑って5,6メートルほど先の柱に激突した。
移動の後を、血の跡がなぞる。こうして血の臭いを撒き散らせば、“あいつ”がいち早く察知するだろうと考えたのだ。
佳奈は、痛み以外の感覚を無くした腕をだらりとぶら下げて柱に縋って立ち上がろうとする美和の足首の辺りをスパンと勢い良くスライサーで撫で付けた。
腱の切れる手ごたえが刃物から伝わる。少年はむき出しの脚から血を噴き出して再び床に倒れた。
美和の泣き叫ぶ声を無視して、佳奈は間髪入れずに少年の服を引き千切った。血で染まったパーカーがずたずたになって、少年の腹が露わになる。
美和は無意識のうちに、片手で尻の穴をまさぐっていた。だがあまりの苦痛に、性的快楽への逃避もままならない。彼を突き動かすのは単なる習慣だった。
もはや尻の裂ける痛み以外、背徳や興奮も何も感じない。だが地下に閉じ込められていた僅か24時間の間に身についた癖が、彼の指を肛門に這わせていた。
佳奈は、まだ毛も生えていない、うっすらと腹筋の浮き出たその白く柔らかな肌をぺろりと舐めると、ど真ん中に刃物を突き立てた。

458 :腐肉(P.N.):2010/02/23(火) 00:58:28 ID:0XO4oX4m
少年の悲鳴にごぼごぼと液体の噴き出す音が混じり汚く濁ったかと思うと、口から黒っぽい血が溢れ出した。
佳奈はナイフをすっと下に引き、少年の腹を掻っ捌いた。音も無く傷口が開き、次の瞬間少々粘り気のある血がじわりと湧き出した。
佳奈は少年の腹に出来た血の池に手を突っ込むと、中身をぐいと引っ張り出し、それをホームに投げ捨てた。
べちゃっと汚い音を立てて着地した内臓は衝撃で飛び散り、白い床をどろっとした血に塗れた肉片で覆った。
佳奈は更に少年の臓物を、おもちゃ箱の中身を散らかす子供のように次から次へとホームに撒き散らした。
美和の指が血と汚物の感触を捉えたかと思うと、肛門に繋がる部分が丸ごとぶちっと音を立てて千切られ、体外へ引きずり出されて打ち捨てられた。
やがて果てしない苦痛の末、周防美和の心臓は、佳奈の小さく凶暴な手でわしづかみにされ停止した。
佳奈は美和が死んだことを気にも留めず、小さな赤い塊を肉体から引き抜くと、ぽいと投げ捨てた。
その頃には、2人の周囲の床は一面真っ赤に染まり、天上にまで肉片の一部がこびり付きぽたぽたと血の雫を滴らせていた。
佳奈は手を止めると、息を荒げ天を仰いだ。調度真上から血が滴ってくる。
佳奈は口を開けて、冷たくなった血液が舌の上に落ち喉へと流れる感触を味わった。
その時初めて、佳奈は彼女の後ろに何かが居るのに気付いた。背筋に悪寒が走る。
佳奈は徐に舌を口の中に引っ込めた。行き場を無くした血の雫がぽたりと頬の上に落ちる。
彼女は恐る恐る顔を下ろし、人形の首を回すようにゆっくりと後ろを振り向いた。
ホームの終わり、線路の上に、巨人が立っていた。
構内はトンネルよりも天井が高かったが、それでも身を屈めている。身の丈10メートルは在ろうか。
極端に猫背になったその姿勢が、周防美里の“獣らしさ”をより強調していた。
巨人は血走った目をホームに横たわる空っぽの少年の残骸に、次に佳奈に向ける。
佳奈は笑みを浮かべた。
千絵が「どうして“あいつ”は地下から出てこないのだろう」と言っていたのを思い出した。これが、周防美里が地上に現れなかった理由だ。
こんな化物が、出て来られるはずが無い。更には、彼女に勝てるはずが無い。ましてや、“産卵させる”など。
佳奈は笑った。それは諦めの笑みだった。それから、一筋の涙がぽろりと目じりから毀れ頬を伝った。
それは愚かしい作戦を企てた自分を呪うものでも、自分の死に対する哀れみや後悔でも無かった。
もう、千絵に会えない。
佳奈が最後に考えたのは、ただ一つその事だけだった。
彼女の身体の倍はあろうかという巨人の手が、佳奈の上に振り下ろされた。
佳奈はホームに仰向けに横たわり、上から巨大な手で押さえつけられた。
背中に、ぐちゃぐちゃに潰れた周防美和の肉を感じた。
それがクッションになっているが、巨人に圧し掛かられて彼女の肋骨はめきめきと悲鳴を上げている。
片方の腕と脚の骨は既に折れているようだ。遂にはバキッと音を立て、肋骨が砕けた。
「ぐ…ふっっ…!」
巨人の手に胸を握り潰されそうになり佳奈は咳き込んだ。途端に視界が赤く染まる。
それが自分の吐いた血のせいだと気付くのにそう時間は掛からなかった。
だがその時にはすでに、包丁の刃ほどもある牙がずらりと並んだ巨人の口が、彼女の頭上に迫っていた。


[続]

459 :名無しさん@ピンキー:2010/02/23(火) 06:37:40 ID:ZC+oT8sV
佳奈が小物っぽいなw

460 :名無しさん@ピンキー:2010/02/23(火) 11:35:48 ID:6zeRLwhC
予想はしてたが… 佳奈タソ(´;д;´)
てかここにきて最近人減ってきてる気がするのは俺だけか?

461 :名無しさん@ピンキー:2010/02/23(火) 14:13:40 ID:oznuhPq/
ひたすらROMってる人間だっていっぱいいるよー
オレも前スレからいるが初カキコだもん

462 :名無しさん@ピンキー:2010/02/23(火) 16:33:26 ID:c2l0xDYh
もう少し佳奈が理性的に考えられたら・・・
惜しいキャラを失った

>>460
ずっと見てるが、明らかに増えてる
腐肉さんの投稿ペースが速いから反応遅いだけで最初と比べて何倍も居るっぽい

463 :名無しさん@ピンキー:2010/02/23(火) 17:39:24 ID:68nbn6lv
自分も途中参加の人間。
正直エロパロ板にあり得ないような投稿ペースだから他の板に比べて少なく見えるんだろう

あと、ここ最近はクライマックスの緊迫感のせいで何となく書き込みにくかったり
息が詰まるような感覚というか
wktkしすぎというか

464 :名無しさん@ピンキー:2010/02/23(火) 19:41:34 ID:KpemxuI2
いや、まだ佳奈は死亡していない!
まだ……

465 :名無しさん@ピンキー:2010/02/23(火) 20:01:53 ID:IUZACzeA
単純に最近まで携帯規制に引っ掛かってたのでROMってた。いつも楽しみにしてます。

466 :名無しさん@ピンキー:2010/02/23(火) 21:54:03 ID:qDYLggSI
最近見つけてまだ過去ログ分読んでないんだが、そうか、もうクライマックスなのか……。

467 :名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 01:56:49 ID:PTvQeGNF
佳奈たん…

468 :INHUMAN:2010/02/24(水) 15:21:03 ID:x8th8BjV
ちょっと、あんたたち!!
こんなスレッドを立てて非人間的だと思わないの!?
削除依頼を出して消してもらうかどうか、
分からないけど一応の覚悟はしてなさいよね!!

さあ、潰れるざます!
逝くでがんす!
フンガ〜!!
まともに潰れなさいよ〜!!


469 :腐肉(P.N.):2010/02/25(木) 00:36:49 ID:5/0Ph4cJ
佳奈の脳裏を過ぎるのは、千絵の事ばかりだった。佳奈がいなくなってしまったら、彼女はどうするだろう?
悲しんでくれるだろうか?悲しむことは、まだ出来るだろうか?
あの不器用な怪物は、一人で生きていくことなど出来るのだろうか…。
嫌だ。千絵を一人にしたくない。だが彼女の命はもう尽きる。千絵を守るどころか、また足手まといになってしまった。
佳奈は自分の死が、今後一生親友を苦しめることになるだろうと分かっていた。それでも千絵は怒ったり、腹を立てたりせず、きっと優しく微笑んで…。
巨人の牙が彼女の柔らかい肉に深々と突き刺さる瞬間、佳奈は呟こうとした。
「ごめんね、千絵…」
だがその声は音になる前に、込み上げてきた血反吐に呑まれ、トンネルの饐えた空気を震わせることなく、彼女の胸の中だけに閉じ込められた。永遠に。
涙の乾いた頬に鮮血が飛び散り、佳奈は死んだ。

----------------------------------------------------------------------------------

千絵は少し離れたところで、怪物の気配を感知した。佳奈の力が予想以上に発達しており、追い付けずに途方に暮れていた所だった。
正直、千絵は佳奈に自分を撒く事が可能であるなどと思っても見なかったのだ。と同時に、一抹の不安も感じていた。
佳奈がそれほどまでに急ぐ理由は何だろう?周防美和が逃げたか。いや、それならばこれほど掛からずに捕らえられるだろう。
別の追っ手だろうか。だがもはや例え銃を持っていようと、人間は佳奈の適にはならない。となると、考えられる可能性は一つ、“あいつ”と遭遇した事だった。
それまで千絵は佳奈の気配を辿っていたのだが、少し前に不意にその気配が薄らいだ。
替わって強烈に彼女の全感覚を刺激したのは、忘れもしない、あの6月の終わり、あの忌まわしいホテルで出遭った、あの少女の存在だった。
“あいつ”が近くに居る。そう思っただけで千絵は、佳奈の身に起こり得る最悪の可能性についての考えを閉ざしてしまった。
千絵はトンネル内を疾走した。自分の足音が反響するコォンという耳を劈くような音も、耳を掠める風の音も聞こえない。
その時の千絵には“あいつ”の肉に深々と爪を立て八つ裂きにするイメージしか沸かなかった。駆け抜ける彼女の姿は、もしそこに人が居たとしても
目にも留まらなかったであろうが、彼女が足を着いたレールは拉げ、コンクリートの基盤にはクレーターのような同心円状の皹が入った。
ふと前方に明かりが見えてきた。駅のホームらしい。千絵は減速した。ふわっと埃が舞い上がり、視界が霞む。
その時、心臓に小さな針でも刺されたかのような衝撃が彼女を襲った。そのまま心臓が止まってしまったのかと思うほど、胸が締め付けられるように苦しい。
目の前に、ホーム全体を覆い尽くす程の巨人が蹲っていた。
控えめ(と言っても、巨人サイズだが)な乳房と性器から少女である事が分かるが、“それ”は人間離れした獣のように4つ足で立ち、地面にある何かを貪り食っていた。
千絵はぽかんと口を開けて、その後姿を呆然と眺めていた。無論、ホームに散らばった血や肉片が目に入らなかった訳ではない。
だが彼女には思考することが出来なかった。“母”との対面はどんな気分がするのだろうと、この2ヶ月あれこれ考えてきたが、そんな事は全て記憶から吹き飛んだ。
ホームの一角の、ひび割れて瓦礫を敷き詰めたようになっている部分に、見覚えのある金属片を認めた時も、彼女は何一つ考えることが出来なかった。
それが、彼女の親友がいつも大切に持ち歩いていた愛用の凶器の断片である事は、見つけた時から分かっていた。
だがその折れたスライサーの意味するところの事実を、彼女は拒否しようとしていた。
巨人がぼうぼうに伸びた髪を振り乱して頭を上げた。何かを呑み込んだようで、喉がごくんと鳴る。
ふと周防美里は、トンネルの入り口から小さな人が自分を見つめているのに気付き振り向いた。
美里はあくびをする犬のように口を開くと、「げふっ」と小さくゲップをした。
口の周りが血で汚れている。千絵には、感じることが出来た。巨人の胃の奥から込上げてくる親友の香りを。
“あいつ”の口から漂う、彼女が愛した、あの血の臭いを。

470 :腐肉(P.N.):2010/02/25(木) 00:37:50 ID:5/0Ph4cJ
佳奈の脳裏を過ぎるのは、千絵の事ばかりだった。佳奈がいなくなってしまったら、彼女はどうするだろう?
悲しんでくれるだろうか?悲しむことは、まだ出来るだろうか?
あの不器用な怪物は、一人で生きていくことなど出来るのだろうか…。
嫌だ。千絵を一人にしたくない。だが彼女の命はもう尽きる。千絵を守るどころか、また足手まといになってしまった。
佳奈は自分の死が、今後一生親友を苦しめることになるだろうと分かっていた。それでも千絵は怒ったり、腹を立てたりせず、きっと優しく微笑んで…。
巨人の牙が彼女の柔らかい肉に深々と突き刺さる瞬間、佳奈は呟こうとした。
「ごめんね、千絵…」
だがその声は音になる前に、込み上げてきた血反吐に呑まれ、トンネルの饐えた空気を震わせることなく、彼女の胸の中だけに閉じ込められた。永遠に。
涙の乾いた頬に鮮血が飛び散り、佳奈は死んだ。

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千絵は少し離れたところで、怪物の気配を感知した。佳奈の力が予想以上に発達しており、追い付けずに途方に暮れていた所だった。
正直、千絵は佳奈に自分を撒く事が可能であるなどと思っても見なかったのだ。と同時に、一抹の不安も感じていた。
佳奈がそれほどまでに急ぐ理由は何だろう?周防美和が逃げたか。いや、それならばこれほど掛からずに捕らえられるだろう。
別の追っ手だろうか。だがもはや例え銃を持っていようと、人間は佳奈の適にはならない。となると、考えられる可能性は一つ、“あいつ”と遭遇した事だった。
それまで千絵は佳奈の気配を辿っていたのだが、少し前に不意にその気配が薄らいだ。
替わって強烈に彼女の全感覚を刺激したのは、忘れもしない、あの6月の終わり、あの忌まわしいホテルで出遭った、あの少女の存在だった。
“あいつ”が近くに居る。そう思っただけで千絵は、佳奈の身に起こり得る最悪の可能性についての考えを閉ざしてしまった。
千絵はトンネル内を疾走した。自分の足音が反響するコォンという耳を劈くような音も、耳を掠める風の音も聞こえない。
その時の千絵には“あいつ”の肉に深々と爪を立て八つ裂きにするイメージしか沸かなかった。駆け抜ける彼女の姿は、もしそこに人が居たとしても
目にも留まらなかったであろうが、彼女が足を着いたレールは拉げ、コンクリートの基盤にはクレーターのような同心円状の皹が入った。
ふと前方に明かりが見えてきた。駅のホームらしい。千絵は減速した。ふわっと埃が舞い上がり、視界が霞む。
その時、心臓に小さな針でも刺されたかのような衝撃が彼女を襲った。そのまま心臓が止まってしまったのかと思うほど、胸が締め付けられるように苦しい。
目の前に、ホーム全体を覆い尽くす程の巨人が蹲っていた。
控えめ(と言っても、巨人サイズだが)な乳房と性器から少女である事が分かるが、“それ”は人間離れした獣のように4つ足で立ち、地面にある何かを貪り食っていた。
千絵はぽかんと口を開けて、その後姿を呆然と眺めていた。無論、ホームに散らばった血や肉片が目に入らなかった訳ではない。
だが彼女には思考することが出来なかった。“母”との対面はどんな気分がするのだろうと、この2ヶ月あれこれ考えてきたが、そんな事は全て記憶から吹き飛んだ。
ホームの一角の、ひび割れて瓦礫を敷き詰めたようになっている部分に、見覚えのある金属片を認めた時も、彼女は何一つ考えることが出来なかった。
それが、彼女の親友がいつも大切に持ち歩いていた愛用の凶器の断片である事は、見つけた時から分かっていた。
だがその折れたスライサーの意味するところの事実を、彼女は拒否しようとしていた。
巨人がぼうぼうに伸びた髪を振り乱して頭を上げた。何かを呑み込んだようで、喉がごくんと鳴る。
ふと周防美里は、トンネルの入り口から小さな人が自分を見つめているのに気付き振り向いた。
美里はあくびをする犬のように口を開くと、「げふっ」と小さくゲップをした。
口の周りが血で汚れている。千絵には、感じることが出来た。巨人の胃の奥から込上げてくる親友の香りを。
“あいつ”の口から漂う、彼女が愛した、あの血の臭いを。

471 :腐肉(P.N.):2010/02/25(木) 00:41:06 ID:5/0Ph4cJ
すみません間違えて前編を2度投稿してしまいました。2つめは無視してください。
↓以下後編

472 :腐肉(P.N.):2010/02/25(木) 00:41:31 ID:5/0Ph4cJ
「うわぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
千絵は力の限り叫んだ。腹筋が悲鳴を上げ、喉が張り裂けそうになる。ホームの壁や天井にに反響した自分の声で鼓膜が破れそうになる。
だがそんなものはどうでも良い。彼女の怒りが、彼女が怪物になってからの歳月で感じた全ての悲しみを起爆剤として爆発した。
千絵は地面を蹴って跳び上がった。巨人の目が彼女を追い、巨大な手が持ち上がる。
だが千絵は美里の攻撃を避けようとせず、迫り来る巨大な手にしがみ付くと、力いっぱいその指を圧し折った。巨人が悲鳴を上げる。
すぐに千絵は巨人の手を蹴り上げる。その衝撃で、美里の手の甲が砕けた。千絵は彼女の顔面にしがみ付くと、第二の口を目一杯開け、巨大な唇に齧り付いた。
無理矢理に口を閉じさせられ、美里は唸り声を上げる。顔面に千絵を張り付けたままぶんぶんと首を振るが、千絵は離そうとしない。
そしてバツンと音を立て、千絵は巨人の顔の皮膚の一部を噛み千切った。
「あああああああああ!!!!!!!!」
美里は悲鳴を上げ、巨大な手で血の噴き出す顔面を押さえた。その間に千絵はホームの端に着地すると、戦利品をごくんと呑み込んだ。
ほんのりと、佳奈の血の味がした。
美里が手を離すと、唇から頬にかけての肉を失い、骸骨のように並んだ歯がむき出しになった顔が露わになる。
巨人は地響きを上げ後ずさった。脅えている。周防美里はこの小さな捕食者に、彼女が放つ禍々しい殺気を前に震え上がった。
彼女はそれが、彼女自身の産み落とした“娘”であると気付いていた。
今となっては身体が人間の数十倍の大きさだが実年齢は14歳なので、“母親”としての自覚などは無かったし、どうして彼女がここに居るのかも分からなかった。
だが一つだけ分かった事は、今彼女の目の前にいる小さな少女は、彼女よりもはるかに強いいきものだという事だ。
そしてその剥き出しの敵意はただ彼女だけに向けられている。
大きさでは解決できない力の差は歴然だった。戦意を喪失した美里は、逃げ道を求めて周りを見回した。トンネルは逃げ込む前にやられてしまう。
それに逃げ込むのに成功しても、移動するにも窮屈な彼女は、あの圧倒的なスピードに敵う筈が無い。
美里は意を決した。外に出るしかない。
巨人は狭い構内で勢い良く立ち上がると、背中を思い切り天井に打ち付けた。天上に皹が入り、コンクリートの破片や石綿が雨のようにホームに降り注いだ。
千絵が瓦礫の山を避けて跳び回っている間に、巨人は石の天井に再度激突した。がらがらと音を立てて屋根が崩れる。
千絵は瓦礫に押し潰されないよう一旦獲物から飛び退いた。
穴の空いた天井の向こうから、ホームよりも明るい改札階の照明が射し込む。ばたばたと人の足音と、何かを叫ぶ声が聞こえる。
夜勤の駅員が何人か残っていたのだろうか。
美里は天井の穴に手を掛けると、危なっかしくぶら下がった鉄骨とコンクリートを引き崩した。穴が自らの巨体が通れる幅まで広がると、素早く穴の中に姿を消した。
地震のような轟音と地響きに、慌てて宿直室から駆け出して来た駅員らは、信じられない光景を目の当たりにした。
改札の向こうの床がパンケーキのように膨らんだかと思うと、次の瞬間黄ばんだタイルが、まるで反発する磁石のように跳ね上がり、次の瞬間床が崩れ落ち、
地下から巨大な人間が姿を現したのだ。
駅員たちは彼らの仕事場を守るために命を掛けられるほど、彼らの仕事を愛しては居なかった。そこで彼らは悲鳴を上げると一目散に逃げ出した。
すぐに後から、身を屈めつつも低い天井に頭や背中を擦りつけながらタンクローリーほどもある巨大な少女が這い出てくる。悪夢のような光景だった。
3つある出口のうち、哀れにも3番出口を選択した1名は、地上へ続く階段を駆け上る途中、追いついてきた巨人の小型自動車ほどもある足に踏み潰されて即死した。
周防美里は、地下鉄の出口を覆う屋根を吹き飛ばすようにして地上に出た。2ヶ月ぶりの地上の空気はひんやりと冷たかった。
脱出の際、コンクリートの天井を突き破った背中はざっくりと何箇所も切れており、夜風が染みて刺す様に痛かった。
彼女は苦痛に悲鳴を上げた。端から見ると、それは雄叫びのようにしか聞こえなかった。


[続]

473 :名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 00:57:06 ID:HKNqjdRC
佳奈ちゃん…(´;ω;`)

474 :名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 18:34:02 ID:PThLC2+x
まあ因果応報なんだけどね

475 :腐肉(P.N.):2010/02/26(金) 00:35:29 ID:ElJ+3x95
最終電車が過ぎ去ってからも、JR原宿駅周辺やライブハウスの出入り口辺りに屯していた奇抜なファッションの若者たちは、突如現れた巨人を見て驚愕した。
殆どの人々の最初の反応は悲鳴だった。それから命の惜しい者から順に、できるだけ怪物から遠ざかるように逃げ出した。
携帯電話を取り出して写真を撮影しようとする者も中には居たが、巨人の咆哮を耳にするや結局は一目散に避難する人々の列に加わった。
途中、地下鉄の出口から逃げ出してきた生き残りの駅員たちも彼らに合流した。
神宮前交差点で、彼らは猛スピードで駆けてきた黒い警視庁のバンに危うく撥ねられそうになった。
死に物狂いの形相で掛けて行く人々に気を取られ、バンは交差点の真ん中で急停車した。
「何事です?」
後部座席から村雨が尋ねた。逃げ惑う人々はもはや理性を失った暴徒のようで、バンが目に入らないのか体当たりするようにもろにぶつかったり、
迂回すればよいものをわざわざ乗り越えて逃げてゆく者もあった。その時、原宿駅の方から獣の雄叫びのような音が聞こえ、地面が大きく揺れた。
「地震か!?」
捜査官の1人が叫ぶ。だが次の瞬間、紅葉した並木群の向こうに、表参道の木々ほどもある巨大な人影が現れた。
全裸で、見たところ若い女性のような身体つきだが、身体を労わる老人のように腰を曲げてズシンズシンと地鳴りを上げて歩いている。
「何なんだあれはっ!!!?」
ハンドルを握る岡崎がパニックに陥り叫んだ。
「“オブジェクトC”…周防美里です。」
村雨は考えうる唯一の可能性を解答として述べた。
「“地下鉄の怪物”…。」
捜査官の1人が恐怖に声を引きつらせて呟いた。
「あ、あれがここに居るという事は、蓮杖千絵と小山内佳奈は…!?」

------------------------------------------------------------------------------

巨人の脱出した後の地下鉄のホームには、引き千切られた電線から放電するバチバチという音と、それに順ずるように痙攣する蛍光灯のビーッという音だけが響いていた。
不幸にも逃げ遅れ、幸運にも巨人や崩落のの餌食にならなかった一人の駅員が、恐る恐る天井の穴からホームを覗き込んだ。
ひび割れた天井にしぶとく残っていた破片の一部がとうとう力尽きてホームに落下する。
もうあの化物のようなやつが居ないのが分かると、一先ず安心してほっと息を撫で下ろした。
その時、下から人の声が聞こえた気がした。幼い少女の、呻くような声。
「誰か…居るのか?」
駅員は恐る恐る声をかけた。すると、線路に落ちた瓦礫の山がむくりと動いた。
「ひっ…!」
駅員は短く悲鳴を上げ、ひび割れて凸凹した床に仰け反った。まだ別の巨人が出てくるのではないかと恐れた。
だがそれきり音は止んだので、もう一度穴からホームを覗いて見ると、先ほどの瓦礫の下から真っ白な小さな腕が見えた。
「大変だ…」
彼は呟くと、ホームへ続く階段へ向かって駆け出した。ホームは酷い有様だった。一面が暦や埃で覆われ、まるで紛争地帯だ。
駅員は瓦礫の山に駆け寄ると、小さな腕を引っ張った。瓦礫に埋もれているらしく、動かない。彼は我を忘れて瓦礫の一つに手を掛けると、力いっぱい動かそうとした。
ざらざらのコンクリートに曝され、手の平から流血する。その血が巨大な瓦礫を伝い、ぽたぽたと少女の腕に垂れた。
と次の瞬間、自動販売機ほどもある巨大なコンクリートの塊が下から押し上げられるようにして持ち上がった。

476 :腐肉(P.N.):2010/02/26(金) 00:37:49 ID:ElJ+3x95
駅員は驚いて瓦礫から手を離すと1,2歩後ずさった。瓦礫に躓いて転びそうになる。
そこへ、今まで彼が居たその場所に、数百キロはあろう巨大な石塊がズーンと音を立てて倒れた。
その下から現れたのは、全裸に近い格好の少女だった。黒っぽい血と土埃に塗れて汚れているが、かなりの美少女だ。
長く美しかったであろう髪はほつれ、所々に何かの破片が絡み付いている。
「き、君、怪我を…」
駅員はすぐに我に変えると、血塗れの少女に声をかけた。
少女はその時初めて彼に気付いたように、驚いて彼に視線を向けると、自分の身体を見下ろして言った。
「ああ…大丈夫、これ私の血じゃない。」
少女は瓦礫の山から降りようと一歩踏み出して顔をしかめた。
「…痛い。」
「当たり前じゃないか、こんな瓦礫の下に居たんだ。」
駅員は少女に駆け寄ると、露出した身体を抱いてよいものか一瞬躊躇い、中庸策として肩に手を掛けた。
少女は呆然とホームを見渡した。今や瓦礫に埋もれて、元の床も、その上に散らばった周防美和の残骸も、佳奈の名残も見る影も無い。
そこはかとない悲しみが込上げてきた。その感情は胸を裂くような痛みとなって彼女の全感覚を苛んだ。
「…痛いよ…。」
千絵は呟いた。泣きたかった。声を上げて、赤ん坊のように泣き叫びたかった。
今隣に居る優顔の男が誰なのかは知らないが、彼の肉を引き裂いて泣きたい気分だった。
だが涙は出ない。それは今の彼女にとって、最も残酷な事に思えた。
「ともかく、ここから出よう。またあの化物が現れでもしたら…」
“ばけもの”。
その言葉に千絵は反応した。思い出した。なぜこんな事になったのかを。“何が”彼女から佳奈を奪ったのかを。
思い出した。“あいつ”の中に、佳奈が居るんだ。
千絵は無意識のうちに第二の口を開いていた。驚愕と困惑、恐怖の表情が目の前にあった。
駅員は、彼の助けようとした少女が怪物に変貌するのを見て言葉を失った。
次の瞬間、千絵は彼の身体をばくんと呑み込み、跳び上がった。天井に開いた穴を跳び抜け改札階に出ると、口を閉じる。
まだ呑み込み切れて居なかった憐れな駅員の手足の一部が千切られてぼとぼとと床に落ちたが、今はそれを惜しむ間は無い。
千絵は駆け出した。ピコーンと間抜けな音を立てて切符を提示しない乗客を阻もうとする改札機を蹴り飛ばして破壊すると、
巨人の重みに耐えかね半壊して凸凹のスロープのようになった階段を地上へと駆け上がった。


村雨はバンを出ると、逃げる群集にもみくちゃにされながら巨人へ近づいた。
「村雨さん、危ないです!」
背後で岡崎が叫ぶ声が聞こえたが、村雨の視線は周防美里に釘付けだった。
長い間の地下での暮らしがたたり、どうやら夜のネオンの光でも彼女にとっては眩しいらしい。
巨人は目を瞬かせながら、途方に暮れたように辺りを見渡し地団駄踏んだ。
「代々木公園上空にヘリを飛ばしてください。民間機の飛行は一切禁じます。それから…」
村雨は襟元に仕込んだ無線機に向かって言った。
「…これは市ヶ谷の出番かも知れません。」
その時、破壊された地下鉄の出口から何かが飛び出してきた。人のようだが、あまりのスピードにその正体を目視できない。
その“何か”は叫び声を上げると、ふわりと宙に舞い上がった。その刹那、村雨には夜風に靡く黒く長い毛髪が見えた。
「あれは何です!?」
耳元のイヤーフォンから雑音交じりの岡崎の声が尋ねた。
「人間…ですか?」
「いいえ、恐らく…」
村雨は指で眼鏡を押し上げると、もう一度目を細めて見ようとした。
夜空に高く舞い上がった“それ”は、目にも留まらぬ速さで巨人に蹴りを食らわせ、大地を揺らして車道に倒れ込む巨人の上に着地した。
「…あれは“オブジェクトD”です。」
村雨は無線機に向かって呟いた。
「…自衛隊の出動要請はもうしばらく待ちましょう。」


[続]

477 :名無しさん@ピンキー:2010/02/26(金) 01:38:31 ID:o0RfpeQS
>>476
>彼の肉を引き裂いて泣きたい気分だった。
が悲しいな
変質するってこういう事だよね

478 :名無しさん@ピンキー:2010/02/26(金) 04:31:17 ID:9UEOiD88
相変わらずGJ
正直、変異してからの佳奈は調子こき過ぎてて見ていて良い気分はしてなかった

479 :名無しさん@ピンキー:2010/02/26(金) 12:17:21 ID:NKKCkjI+
女王蟻と兵隊蟻の対決か。

480 :腐肉(P.N.):2010/02/28(日) 01:16:44 ID:KWjx4aiy
「うぉおおおおおおおっりゃぁぁああああああ!!!!!!!」
千絵は腹の底で煮えたぎる怒りを全て叫びと力に換え、ありったけの力を込めて仰向けに倒れた巨人の腹を殴りつけた。
巨人は口から夥しい量の血反吐を吹き上げて身を捩った。弾みで千絵はその巨体から落ちそうになる。
その隙に息を吹き返した巨人は、腹の上のバランスを崩した小人を払い除けると起き上がり、木々の見える方へと駆け出した。
途中国鉄の線路の上に掛かった歩道橋を踏み崩し、腰の位置ほどを走るケーブルに引っかかったが、力ずくでそれを振り切り、代々木公園へと逃げ込んだ。
すかさず千絵は地面を蹴って空高く跳び上がると、一跳びで原宿駅を飛び越え森の中へ飛び込んだ。
傷ついた巨人は、腰を屈めて木々の間をよたよたと歩いた。歩くたびにズシンと地面が揺れ、身動きすればすぐに居場所がばれてしまう。
だが肩や背中の傷からは今もだらだらと血が流れていたし、千絵に殴られた腹は脈打つようにじんじんと痛んだ。彼女はぼろぼろだった。とても戦うことなど出来ない。
冗談じゃない、あんなパンチをもう一発食らえば、死んでしまう。美里は呻き声を上げて、一時的にでも身を隠せる場所を探して辺りを見回した。
その時、腰の辺りに激痛が走った。あの小さな怪物がとうとう追い付き、跳び蹴りを食らわせたのだ。美里は衝撃で身体を制御できずに、前につんのめった。
秋の訪れと共に茶色く変色し脆くなった葉を散らして、木々をなぎ倒しながら森の中に倒れ込んだ。ぎざぎざに裂けた木々の太い枝や幹の残骸が深々と肉に突き刺さる。
「ぎやあああああああ!!!!!!!」
美里は悲鳴を上げた。だが千絵は容赦無くその身体を蹴りつけ、その巨大な顔の前に立つとぐいと散り散りになった髪の毛を引っ掴み、力の限り投げ飛ばした。
タンクローリーほどの重量はあろうかという美里の身体はふわりと宙に浮いた。視界がぐるぐると回転したかと思うと、彼女の巨体は重力に負けて落下し始めた。
怪力に投げ飛ばされた巨人は森を飛び出し車道に着地した。いや、落ちた、と言った方が正確だろう。
身体のバランスを取れないまま勢いに負けてごろごろとアスファルトの上を転がると、フェンスを突き破り国立競技場の第一体育館の建物に激突して止まった。
金網の一部が千切れて背中の肉に食い込んでいた。駐車場を転がった際に押し潰したと思しき自動車のドアパーツが腿の辺りに深々と突き刺さっている。
もう嫌だ…。
美里の目に涙が浮かんだ。痛み。それは彼女が地上を捨てて以来、忘れていたものだった。
その時、ズンッと音を立てて、第一体育館の特徴的な変形屋根の上に千絵が降り立った。
千絵の足元でコンクリートの尖塔に皹が入り、巨人の上にぱらぱらと破片を降らせた。
血と泥に塗れた白い肌の下で身体中の筋肉が隆起し、髪を振り乱したその姿は鬼神のようだった。荒ぶる鬼は、巨人と同じく涙を流しているように見えた。
美里は、星一つ無い薄汚れた都会の夜空を背にしたその恐ろしくも美しい姿に一瞬見惚れた。だが千絵が屋根を蹴って再び美里の元へ跳びかかろうとした瞬間、
痛みと恐怖を思い出し、巨人は咄嗟に身を屈め、半円盤状に突き出た屋根の下、出入り口となるガラス戸を突き破ると館内に逃げ込んだ。
千絵は自分の身体を止められず、ほぼ垂直にアスファルトの上に落下した。彼女のかかとが地面を砕き、猛烈な土煙と破片を巻き上げて駐車場に巨大なクレーターを穿った。
その様子は公園の外からでも確認出来た。外から見た人には、爆発のように見えたかもしれない。
千絵の蹴りの衝撃で、地震のような振動が東京都心全域に伝わり、その余波で周辺に立つ老齢の並木の何本かがメキメキと音を立てて倒れ、体育館の屋根の一部が崩落した。
「く…っ…」
千絵は思わず声を漏らした。踵から腿の辺りまでしびれるような衝撃が走り、続いて激しい痛みが骨を駆けた。どうやら腓骨と脛骨が粉砕されたらしい。
肉離れも起こしているようだ。立ち上がろうとして、千絵はよろめいた。激痛が走る。その時、体育館の中から壁を突き破るような音が聞こえてきた。
千絵は全部で1千本近くある歯の全てを食い縛って直立した。
砕けた骨は使い物にならなかったが、残った筋肉の力だけで脚を動かし、巨人が入り口に空けた大穴に向かって前進した。
必ず“あいつ”を殺してやる。その想いだけで、千絵は駆け出した。

481 :腐肉(P.N.):2010/02/28(日) 01:19:28 ID:KWjx4aiy
巨大な鉄のテントのような形をした体育館の中は意外と狭く、巨人の通った形跡は至る所に残っていた。床に落ちた血痕、壁を擦った血の跡、所々欠けた天井。
体育館独特の冷たい臭気が、2人が故郷を発った日の、あの虐殺の体育館を思い出させた。あの時の気持ちが甦る。世界の全てを壊してしまいたくなる、凶悪な衝動。
千絵は煮えたぎる残虐な獣の心と全身の痛みに苛まれ、虚ろな目でひたひたと傷だらけの裸足の足でスタジアムへ続く階段を上がった。その先に“あいつ”の臭いがした。

-------------------------------------------------------------------------------------

周防美里はアリーナの真ん中に身体を横たえた。照明は落ちていて、スタジアムは真っ暗でひっそりと静まり返っている。
美里は背中に手を延ばし、深々と肉を抉っている金網の破片を引き抜いた。血がぼたぼたと垂れ、新たな傷口に冷たい外気が当たった。
美里はすすり泣いた。彼女には理解出来なかった。なぜ自分がこんな目に合わねばならないのだ。
彼女は、弟を殺したあの小さな少女を喰っただけだ。あの子は、あの化物にとってそれほど大切な存在だったのだろうか。
だが彼女は、自分と弟の絆ほど強い関係がこの世に存在するなど、想像も出来なかった。
一方で、彼女やあの小さな怪物のようなけだものにとって、“誰か、自分以外の者を愛する”、“大切にする”などという人間的な感情が許されるとも思って居なかった。
その矛盾が彼女を殺した。人間としても、怪物としても。もはや彼女には生きる目的も、気力も無い。
美里は一時的に苦痛から逃れるため、腿に刺さった金属片を抜き取ると、ぐったりと冷たい木の床に沈み込むように身体を広げた。
“あの子”が、とどめを刺しに来てくれるのを待って。
千絵が階段の先の扉を開けると、そこは観客席の真ん中だった。ずらりと並んだ暗い無表情な座席たちの向こう、開けたアリーナの中央に巨大なものが横たわっていた。
血を流し、荒く掠れるような息をして、彼女を見つめていた。千絵は傷んだ身体に鞭打って、一跳びに観客席を飛び越えるとアリーナに降り立った。
千絵は巨人に歩み寄った。巨人は、彼女を怪物へと変えたあの夜と何ら変わりのない、無邪気で罪の無い少女の顔をしていて、その頬を大粒の涙が伝っていた。
「ふざけんなよ…」
千絵は呟いた。
「何でお前が泣いてるんだ!!!!」
千絵の哀しげな叫び声が、テントの中のようなスタジアムに木霊した。この中に居ると、まるで中世のフリークショウの見世物になったような感じがする。
見世物になった怪物は一人ぼっちで、檻の中に立っている。今だけは、どこまでも自分勝手にわがままに振舞っても良い。そんな気がした。
千絵は気分が悪かった。彼女は、彼女の心から彩を奪って渦巻く靄の様な不快な感情を拳に込めて、力の限り巨人に向かって突き出した。
あまりに強く握っていたので、拳の先で肉が捩れる感触も、骨を砕く手応えも千絵は感じなかった。
だが、巨人の身体は大きく仰け反って車に轢かれた動物のようにぐしゃりと音を立てて動かなくなり、美里は無言で千絵の一撃の壮絶さを物語った。
巨人、周防美里は死んだ。仰向けに倒れた巨体は、ぐったりと首を横へ向け、口を開いている。
下顎が半分に割れ、牙のずらりと並んだ顎が蜘蛛の口のように縦に開き、だらりと空を掴んだまま硬直していた。
千絵は足を引き摺りながら美里の巨大な亡骸の上によじ登って、獣の死に顔を一瞥すると、丸座椅子ほどある巨大な乳房の間に立った。
それから屈み込むと、傷だらけの巨人の腹に深々と爪を突き立て、硬くなった肉を一瞬で切り裂いた。
綺麗な一直線の切り口から真っ黒な血があふれ出し、アリーナの清潔で無機質な木床に広がった。
千絵が切り口に手を掛けて押し広げると、くぷんと音を立てて大蛇のような腸がはみ出した。それを脇へ遣り、千絵は巨人の腹から巨大な胃袋を引きずり出そうとした。
それは大きな血に染まったゴミ袋のようで、千絵が持ち上げようとすると破れて内容物が土砂のように巨人の腹の上にぶちまけられた。


[続]

482 :名無しさん@ピンキー:2010/02/28(日) 01:24:04 ID:rJ2UAQfL
千絵が負けるところは想像つかなかったが、
まさか母親をも圧倒するぐらい強くなってたとは・・・

483 :腐肉(P.N.):2010/03/01(月) 01:36:40 ID:7c2Azwhm
恐らく機動隊の身に着けていた防弾チョッキの一部であろう黒っぽい硬い繊維がたくさん出てきた。
だがその他には、形の分かるものは僅かに残った溶けかけの骨しか無かった。
千絵はどろどろのペーストのようになった肉を掻き回した。佳奈の臭いがした。ふと、千絵は他のものより比較的小さな頭蓋骨の欠片を見つけた。
眼球や脳はとうの昔に溶け出しており、骨も顔面の半分が解けて穴の開いたのっぺらぼうのようにつるつるしていた。
だが千絵には、それが佳奈であるとすぐに分かった。千絵はその愛しい骨を胸に押し当てると、ぎゅっと抱きしめた。
佳奈の骨が未発達な薄い乳房に食い込み、痛い。
千絵は泣いた。涙を流して泣いた。佳奈のあの優しい顔を二度と見れないのが悲しくて泣いた。
あの柔らかく温かな肌に触れることがもう叶わないのが辛くて泣いた。
彼女のために、最も運命を狂わされた少女。ただ千絵と友達だったというだけで、人間としての人生を奪われ、自らの力に押し潰された哀れな少女。
例えどんなに愚かでも、千絵はその少女が大好きだった。
だが止め処無いと思われた涙はすぐに枯れ、千絵は咽び声を上げるしか出来なくなった。
そして猛烈な食欲が、彼女の肉体の大部分を占める広大な胃の奥から込上げてきた。
千絵は佳奈の頭蓋を口に含むと、一思いに噛み砕いた。骨は小さな欠片となって、喉の奥へと消えていった。次に彼女は巨人の胃の中から出てきた肉を呑み込んだ。
水を飲む動物のように腹這いになって、液化した肉を吸い込んだ。そう時間は掛からなかった。
その間に、佳奈と過ごした時間の記憶がぼんやりと脳裏に浮かんではすぐに消えた。
千絵は引きずり出した胃袋と腸も食べた。引き裂いて、喰い千切って、思い切り豪快に食べ散らかした。それでもまだ彼女の食欲は留まる処を知らない。
千絵は美里の亡骸に齧り付くと、その巨体から肉をむしり取って食べた。
人間とは違う味がした。今まで食べたどの生き物よりも濃厚で、一種の酩酊を引き起こした。
その甘い肉は彼女を酔わせた。千絵は恍惚の表情を浮かべ、無我夢中で巨人の肉を貪り食った。
あまりに勢い込んで呑み込んだので、しばしば吐き気が込上げてきた。胃袋が満腹を訴えてゲップを連発したが、それでも千絵は食べるのをやめなかった。
村雨たちが機動隊を引き連れ第一体育館に突入する頃には、千絵の腹ははち切れんばかりにぱんぱんに膨れ上がっており、その傍らに巨大な白骨が横たわっていた。
骨にはもう殆ど肉が残っておらず、頭皮と髪の毛の一部以外、顔面からは眼球や歯茎まで削げ取られていた。
機動隊は観客席をぐるりと巡ると、次々にアリーナの中央へ銃を向けた。村雨他黒服の男たちはアリーナの入り口で立ち尽くしその壮絶な光景に目を見張っていた。
千絵は口を隠そうともせず最後のゲップを盛大に放つと、ゆっくりと彼らを振り返った。
殆どの捜査官は彼女の目を見ただけで怖気づいて数歩後ずさったが、村雨だけは逆に一歩彼女へ歩み寄った。
その時、スタジアムの照明がパッと点灯し、アリーナは眩い光に包まれた。目を瞬かせる千絵に向かって、村雨が口を開いた。
「蓮杖千絵、君を拘束します。」
千絵はぼんやりとした目で村雨を見つめ、不意にふっと笑った。
「村雨さん…でしたっけ。まだ私を人間扱いするんですか。」
千絵はくっくと喉の奥で笑おうとしたが、吐き気が込上げてくるので止めて代わりに上を見上げた。無数の照明が彼女の頭上で輝いていた。
観客席からたくさんの防弾服にヘルメット姿の男たちが、彼女に向かって銃を向けていた。
「君にまだ理性が残っているなら、大人しく我々と一緒に来てください。」
村雨が無表情に言った。光を受けて眼鏡が不気味に光っている。千絵はその奥で彼女を見ているであろう瞳を真直ぐ見据えて尋ねた。
「私は、人間か?」

484 :腐肉(P.N.):2010/03/01(月) 01:43:06 ID:7c2Azwhm
村雨は眼鏡のブリッジを指で押し上げると、少し躊躇いながら言った。
「…いいえ、違います。」
「じゃあどうしてこんなに苦しいんだ!!!!」
千絵は叫んだ。機動隊の銃を持つ手に力が籠もり、スタジアムに緊張が走るのが分かった。千絵は泣き出しそうな声で呟いた。
「答えてよ… 捕まえるんでしょ?私の全てを解き明かして見せてよ…。」
だが涙はもう出なかった。彼女は今なら、周防美里が最後に見せた涙と、諦めたような穏やかな表情の意味が分かった。
もう、嫌だ…。
千絵にはもう、生きる気力も、目的も、何も無かった。これほど力が漲っているのに、身体は海の中を果てしない深淵へ沈んでいくようにだるい。
彼女の中の獣は今もはっきりと目を覚ましているのに、動物園の脅えた猿のようにひっそりと息を潜めている。生き地獄、と言ったところか。
彼女はその倦怠に身を委ね、ふらふらとよろめいたかと思うと、その場にがくりとくず折れた。遠くの方で叫び声が聞こえた。
「今だ、確保!急げ!」
ばたばたと駆け寄る足音がして、何かが彼女の手足をきつく押さえつけ、持ち上げた。巨大な拘束具のようなものを装着させられる。
痛みは無い。彼女の身体は、重く沈みこむようで、それで居てふわふわと浮遊しているようだ。彼女の身体は固定され、屋外へと運び出された。
空はまだ暗い。排気ガスや二酸化炭素で汚れて透明度を失った空気に、人工的に生み出された街の明かりが反射してぼんやりと発光して見える。
秋の夜は長く、まだ明けそうに無かった。それからややあって、耳元で誰かが囁いた。
「死なせはしない。」
彼女は意識を失った。

----------------------------------------------------------------------------

その夜の内に関係各所に通達が回り事態の終息を伝えたが、騒動から一夜が明けてもまだ、代々木公園周辺は封鎖されたままだった。
マスコミには作られた物語が流され、世間には当初の報道通り地下鉄内で爆弾テロ未遂があったと発表された。
死傷者は、不幸にも崩落した地下鉄千代田線の明治神宮前駅で駅員を務めていた男性の1人のみとされ、
機動隊員や伊豆波を始めとする捜査官らの死は歴史の闇に葬られることとなった。
だが代々木体育館周辺で爆発があったとの目撃情報や、同時刻に東京全域を襲った局地的な地震との関連も囁かれた。
中には原宿の地下から“巨大な怪物”が出現するのを見たと証言する者もいたが、彼らの記憶は例の如く、三流記事の肥やしとなって終わった。
9月の丸の内線の事件と違い今回死傷者が1名だったためか、大々的な報道合戦は2,3日で下火となり、瞬く間に都市の住民からは忘れ去られた。
年が明ける頃には地下鉄利用者の人数も元通りに戻るだろう。だが一つだけ、“地下鉄の怪物”の噂だけは、都市伝説となって後世に残ることとなる。
東京で地下鉄に乗る際、好奇心旺盛で想像力豊かな人々は、自分なりに“怪物”の姿を想像し、ほんの一瞬だけ興奮と一抹の恐怖を胸に抱き、
そうした魑魅魍魎の類の居ない平和な世界に生を受けた事を感謝し、弱肉強食の掟とは縁のない幸福な日常生活へと再び埋没して行くのだった。
だが怪物は確かに実在する。それを知る極僅かな人々にとっては、これが真の始まりである。
その中心となる、悪夢の物語からただ1人生き残った少女は、事件の2日後、環境庁の施設の片隅で目を覚ました。


[続]
-----------------------------------------------------------------------------
遅くなりましたが>>459-468ありがとうございます。リアルタイムに感想などいただけるのがこの掲示板の良いところで一番嬉しいです。
これで周防美里編が終わります。後はエピローグ的なエピソードをいくつか考えているので、もうしばらくお付き合いいただければ幸いです。

485 :名無しさん@ピンキー:2010/03/01(月) 07:33:28 ID:Y9Bc3xri
ついにメインストーリー終了か・・・
今までお疲れ様でした、いつも楽しみに読ませてもらいました
エピローグも楽しみにしています

486 :名無しさん@ピンキー:2010/03/01(月) 07:36:14 ID:Xj3KQ/9F
腐肉さんGJ!!

一人になった千絵が不憫だ・・・

487 :ますたー:2010/03/02(火) 23:17:29 ID:FM0yfRAB
将来、同人誌描きたくてがんばっています。
友達の小説の絵描いたりしてるんですが・・・ 
すごく絵描きたいなw

488 :名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 00:38:50 ID:57qrWF35
GJでした
ついに半年に渡り連載されてきたこのSSもメインストーリーは一段落ですか
エピローグ次第ではまだ続く可能性も捨てきれない
楽しみです


>>487
自分もいつかはコミケデビューしたいです
良かったらロダにうpよろしくです

489 :名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 01:03:16 ID:PDu6Awd/
もはやSSのレベルをこえて一大叙事詩だな

490 :名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 16:07:21 ID:6uLmxCCI
こんなマイナーフェチの場にここまでクオリティの高いSSが投下された奇跡

491 :名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 20:14:03 ID:6kP1L4WW
しかしこの性癖は絵師にもSS職人にも愛されてるな
昔からポツポツ見かけてはいたがこれ程までとは

492 :ますたー:2010/03/03(水) 21:56:38 ID:0X64VFK7
千絵ってどんな髪型でしたっけ?

493 :腐肉(P.N.):2010/03/04(木) 04:16:18 ID:NZ+mCnqM
「気分はどうですか?」
村雨はマイク越しに、厚さ100cmのアクリルガラスの向こうの蓮杖千絵に尋ねた。
千絵がいる部屋は鋼鉄と衝撃吸収剤でガードされ、水族館の水槽よりも更に分厚いガラスで仕切られている。
「君の友人の…小山内さんは残念でした。」
村雨の声はキーンという耳障りな音と伴に、スピーカーを通じて千絵の部屋へ届けられた。
千絵は耳を塞ぎ、スピーカーのボリュームを下げろとジェスチャーで伝えようと、ガラス越しに指でつまみを捻る手振りをした。
村雨は背後でオーディオを制御する技師に向かって支持すると、再びガラスに向かって言った。
「君の声もこちらへ届くようになっている。私は君と、話し合いに来たのだからね。」
千絵は村雨を睨み付けると、徐に口を開いた。村雨や数名の職員のいる部屋のスピーカーから、少女の声が聞こえた。
「…私は話すことなんて無い。どうせ殺すなら、今やったら?」
千絵は自棄っぱちに吐き捨てるように言った。村雨は意外そうな顔をする。
「言ったろう、死なせはしない、と。」
千絵は内心動揺した。気を失う直前に聞いたあの声は、この男だったのか。だが彼女には理解できない。
彼らはてっきり、怪物を殺すために活動しているものと思っていたからだ。
「自殺の可能性は?」
村雨はマイクを切って傍に居る白衣の男に尋ねた。
「無い、とは言い切れません。獣には自らの命を絶つという衝動はありませんが、彼女は“半分人間”、ですから。」
村雨は頷くと、再びマイクのスイッチを入れ千絵に言った。
「君にはこれからいくつかの、あー…検査を受けて貰いたい。」
「何が目的?」
千絵は訝しげに尋ねる。村雨は怪物に向かって不敵に微笑むと、彼女に背を向け、戸口へと歩みながら言った。
「検査が終わったら教えてあげよう。君がそう望むのなら、ですが。」
村雨はマイクを切ると、それを金属のテーブルに置いて部屋を出た。白衣の職員たちが彼に続く。
やがてガラスの向こうに誰も居なくなったかと思うと、千絵の居る部屋の天井がガコンと音を立てて、スライドしながら開いた。
「拘束具、用意。」
遥か上の方で、マシンガンのような銃で武装した男が号令を出す。白衣の男たちがぞろぞろとやって来るのが見えた。
その後ろから、肉屋が肉を吊るす台と外科手術の台が合体したような器具が現れる。あれに繋がれるなんて、千絵は御免だった。
「いいよ、自分で行くから。」
千絵は溜息を吐くと、床を蹴って跳び上がった。彼女の身体はふわりと浮き上がり、10メートル以上の高さにある天井の扉から外へ出て、上の階に着地した。
白衣の男たちが悲鳴を上げて拘束器具の後ろに後ずさり、武装したガードマンが震えながら彼女に銃を向けた。
「大丈夫、取って喰いやしないって…今更。」
千絵は両手を上げて投げやりに呟いた。
「検査、受けるんでしょ?どこへ行けば良い?自分で歩くから。」
白衣の1人が、恐る恐る廊下の奥を指差した。千絵は示された方に歩き出した。白衣の男たちは彼女に道を空けるため飛び退いた。
後ろから7,8メートル距離を置いて、ガードマンが銃を構えたまま、おずおずと着いて来た。千絵は何だかその様子が可笑しかった。
ラボのような部屋に通された千絵は、銃を向けられながら、身長・体重を始めあらゆる身体データを計測され、レントゲン、CTなど通常の医療検査から、
第二の口内部の構造調査まで身体の内外ありとあらゆる箇所を調べられた。初めて第二の口を開いた時には、白衣の研究員たちは仰天して床に尻餅をついた。

494 :腐肉(P.N.):2010/03/04(木) 04:22:35 ID:NZ+mCnqM
検査が終わると、千絵は元の地下室に戻された。
脚の骨折は2日間眠っている間にほぼ直っていたが、10メートルほどの高さを跳び下りるのは嫌だったので、帰りはエレベーターを使わせて貰った。
数時間後、ガラスの向こうに村雨が現れた。
「気分はどうですか?」
スピーカーから村雨の冷徹な声が尋ねた。
「…お腹空きました。」
千絵はぼそりと呟いた。
「それは失礼。では食べながらで良いです。」
村雨がそう言うと、天窓が開き、簡易エレベーターで食肉処理場から直接運ばれてきたような牛の姿をほぼ留めたままの骨のついた牛肉の塊が丸々1頭分降りてきた。
千絵は訝しげに村雨を睨んだ。
「…毒は入っていませんよ。」
村雨は肩を竦めて見せる。千絵は皮を剥がれた肉牛に歩み寄ると、それに触れるなり悲鳴を上げた。
「冷たっ!」
「解凍が間に合わなかったのでね、すみませんが。」
千絵は溜息を吐くと、凍った牛の後足の辺りをかりかりと齧り始めた。
村雨は満足げにその様子を見ると、背後に控えた白衣の研究者からファイルを受け取って話を始めた。
「話に寄ると君は彼らに非常に協力的だったようで…感謝します。」
村雨はファイルを開きぱらぱらと書類を捲り、ガラスに向き直った。
「結果は非常に興味深いですね。まず君の身体構造についてですが…興味深い。
肋骨が消滅し、代わりに筋肉の束、君が“触手”と呼ぶものが寄り集まって骨格のようなものを形成している。筋密度は人間の数十倍。
骨盤も退化し、支えるべき臓器が無くなっている代わりに、首から下の肉体ほぼ全てが消化器官を備えた巨大な胃袋だ。
消化構造についてはまだまだ分からない事が多いが、摂取した質量を一瞬で消化し殆ど全てをエネルギーに変える…」
「あの…その話長い?食事中に聞きたくないんだけど。」
千絵は肉牛の後足をばりばりと噛み砕きながら言った。
「自分の身体について知っておくのは重要だと思いますがね。」
「私が知りたいのはもっと全体的な事なんだけど。」
千絵は反論した。
「良いでしょう…。だがこれだけは尋ねたい。君は、生殖について考えたことがありますか?」
千絵は思わず、口に咥えた凍った肉の塊をぼとりと床に落とした。
「はい…?」
「君はこれまでの“オブジェクト”と違い、生殖機能までもが退化しています。」
「それ女子高生にする質問?」
千絵は村雨を睨んだ。さっきから睨んでばかりだ。千絵は未だにガラスの向こうのあの男が好きになれなかった。
「本来、生命体の生存目的は種の繁栄です。」
村雨は無視して続けた。
「“オブジェクト”も最初はそうでした。だが君たちは僅かな時間でこれほどの進化を遂げ、遂には生殖機能を失うに至った。
種が生殖を放棄するのはどういう場合か、分かりますか?」


[続]
-----------------------------------------------------------------------------
>>492 千絵は黒髪ロングです。前髪とか詳しくは決めてないです。
描いていただけるととても嬉しいですし、終了後も別の形で皆さんに楽しんでいただけたら幸いです。

495 :ますたー:2010/03/04(木) 07:42:09 ID:YJaSXtfh
千絵のイメージはでけたw
アナログ画ですが描いたらスキャンして張ってみます。 
気分屋だからいつになるかはわかりませんが^^,

496 :名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 08:17:35 ID:OongQM0L
千絵の反応が新鮮でタマラン!!

く・黒髪ロング・・・・だと・・・

これ以上戦闘能力が上がるというのか・・・

497 :名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 08:48:22 ID:P3uXWrNP
この千絵は変身する度に戦闘力が増す、
その変身をあと2回も残してる・・・その意味がわかるな?

498 :名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 13:21:00 ID:YiS5yBOH
いや黒髪ロングの記述は何度か出てきてたぞ?

つーか
>>495
何歳か知らないけど、質問に答えてもらったときはお礼を言うものなんだよ?

499 :名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 15:53:52 ID:yyyA+bZX
俺は自分で答えたわけでもない>>498がどうしてそこまで偉そうなのか判らん

500 :名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 18:17:24 ID:WxvC/MId
>>499
キミは495を擁護するのかい?

501 :名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 18:24:01 ID:yyyA+bZX
いや、どうしてそこで擁護って言葉が出てくるのかも理解できない
なんか害あるわけでもないし、好きにさせてたらいいじゃん
俺ら乞食より自己満足オナニーでもいいから創作してくれる人のが創作板としては相応しいと思うし
質問〜お礼のクダリに関しては言及する資格あんのは丁寧に応答した腐肉さんだけだと思うし

502 :名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 18:31:13 ID:oLU+kID0
そもそも>>498>>500の口調がキモい

503 :名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 18:36:30 ID:LR/K+aNV
キモいという話をしだしたらきりがないだろ

504 :名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 18:46:29 ID:cMe50Zqg
自分みたいな乞食がここに相応しくなくて
言及の資格があるのは腐肉さんだけだと思うなら
どうして>>501は黙ってないんだ?

505 :名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 18:48:50 ID:1rSzCBSm
まぁ、仲良くしようぜ

>>495の人、絵期待してるよ〜

506 :名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 22:13:11 ID:OaGAhVL8
何かすごい流れ速いと思ったらけんかかよ。がっかりだぜ…

507 :名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 22:23:58 ID:NnoRw1hd
良いんじゃね、喧嘩出来るほど人居るって事で
投稿作品に対する中傷じゃないし過疎よりはマシって事で一つ

508 :ますたー:2010/03/04(木) 23:19:21 ID:YJaSXtfh
腐肉さんありがとうございましたm(>_<)m
498〜ごめんなさいm(*_*)m
お礼を言うのは当たり前のことなのに忘れていた自分が悪かったです。
>>498の意見は正しいと思います。
>>505ありがとうございます!がんばってススメます^^
ただ、あまり期待し過ぎないでくださいort 

509 :名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 23:31:53 ID:4lQqvRqj
人がいるっていいよな

510 :名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 00:23:15 ID:O+T3HFzP
だがリアルで千絵が現れたら一瞬でみんないなくなるなw

511 :腐肉(P.N.):2010/03/05(金) 01:04:07 ID:RJAipcuc
「まず、“オブジェクト”って何?それから、“これまでの”ってどういう意味?あと、進化って言うな。」
千絵は第二の口を開き、牛の上半身を全身でがりがりと齧った。冷たい。ふと、村雨がガラスに張り付くようにしてこちらを見ているのに気付いた。
千絵は急に恥ずかしくなった。ただでさえ知らない人間に食事を観察されるのは不快だが、よくよく考えたら千絵は今裸に近い格好をしているのだ。
入院患者の着る病衣のようなものを身に纏っては居たが、食事の時のいつもの癖で前を肌蹴ていた。
「…あんま見ないでくれる?」
千絵は顔を赤くして村雨に言い放った。
「これは失礼。」
村雨は表情を変えずに謝罪し、続きを述べ出した。
「まず“オブジェクト”とは、君のような存在に我々が付けた呼称です。
“これまでの”と言うのはお察しの通り、“オブジェクトC”、つまり周防美里以前にも、怪物が存在したという事です。」
千絵は村雨の話に興味が沸いて来て、食事の手を一旦止めた。
「発端は昨年の12月、紀伊半島で保護された女性でした。殺人容疑で拘留されたのを、我々が発見しました。彼女は完全に人間性を失っており、自分の恋人を殺して、あー…」
「喰った?」
千絵が助け舟を出した。
「そうです。」
村雨が顔をしかめた。
「当初我々は、原因不明の病原体の存在を疑いました。環境庁が本件に携わっているのはそのためです。
我々は彼女、通称“オブジェクトA”をある研究所で調査していました。そこは疫病研究所で、怪物を捕らえておく設備がありませんでした。
ある日“A”は脱走した。我々は彼女を捕らえ始末しましたが、既に被害は拡大していました。“オブジェクトB”なる存在が現れたのです。
奴らがどうやって“増える”か、君はご存知でしょう。」
千絵は頷いた。
「この時点で我々は“オブジェクト”を、人類を脅かす新たな種であると判断し、殲滅計画を始動し対策本部を設けました。
“B”を殺しましたが、数ヵ月後に別の“オブジェクト”が現れた痕跡を発見しました。君が生き残った例の事件です。」
「私が最後の一体では無い、って事ですか?」
千絵が尋ねた。
「恐らくは。そこで先ほどの話に戻ります。これほど短期間で増殖する能力を持っていた種が、ある時突然その進化を止めたのは何故だと思います?」
「進化って言うなぁ…微妙に傷つくんだから。」
千絵は呟いたが、村雨は無視して続けた。
「進化の最終形態に到達した時です。」
千絵はきょとんとして、村雨の眼鏡の奥の瞳を見つめた。彼が何を言いたいのか、今一つ理解できない。いや、察しは着いたのだが、あまりに突拍子無い話で納得できなかった。
「君ですよ。」
村雨がさらりと言ってのけた。
「“オブジェクト”が進化の末に到達した最終形態、それが君だと私は考えています。つまり、最強の生物です。」
この場合言うべき言葉は「ありがとうございます」なのだろうか?と千絵は考え、結局「はあ…」とだけ呟いた。
「実際に、狂犬病のようだった“オブジェクトA”に比べると、君は随分人間の理性の部分が残っている。人間としての記憶がある、という点も挙げられます。
これは“C”から現れた特徴で、我々が“C”の正体を断定できなかった理由の一つでもあります。
ただし、“C”は最終形態と呼ぶにはあまりにも生物として破綻していた。あのサイズはこの地球上で生存するには、仮に可能であったとしても最適とは言えない。」
「でも私の血を飲んで、佳奈が…」
千絵はそう言いかけて、一瞬言い淀んだ。“佳奈”。3日前の事なのに、長い間口にしていなかった名前のように感じた。
「…佳奈は、怪物に変わりました。」
千絵は自分を落ち着けるように冷静に言いのけた。
「…君にはあまり聞きたくない話かも知れませんが…地下鉄で採取した、小山内佳奈の血液を調べました。その結果、非常に興味深い事が分かりました。」
「…もったいぶるんだね。」
千絵は再び牛肉をむしゃりと裂き毟りながらもごもご言う。

512 :腐肉(P.N.):2010/03/05(金) 01:04:59 ID:RJAipcuc
「小山内佳奈のDNAは人間のものでした。」
千絵は口に含んだ肉塊を思わずぽろりと落としそうになった。慌ててそれをごくんと呑み込み言う。
「そんなはずないでしょ?だってあの子、ヒトを…」
「喰いましたか。でもDNAは変異していない。つまり君は“人間”の肉体だけを変成させる事が出来る。
したがって、君によって変成した“オブジェクト”は生殖機能も持たない。」
「…どういう事です?それじゃあ、種として先が無いでしょう?」
村雨は少女の混乱を想定内の事のように満足げに見て取った。
「それこそが、君を“最強の生物”と呼んだ根拠です。君は“ホスト”なのです。」
「ホスト?」
「宿主。媒介主。生殖行為で繁殖する種族が、ある種のウィルスのようなもので増殖する種へと変容した。
考えても見てください。菌を媒介にして、哺乳類とは比べ物にならない速さで成長する生命体、しかもそれが、他の生物よりも圧倒的な力を持っている。
強靭な肉体を持ち、弱点の無い絶対的な捕食者。まさに、最強の生命体です。それを生み出すのが、宿主である君なのです。
しかも君は“C”のように肥大したりせず、人間の特徴も兼ね備えている。2つの種の頂点に立つ、ハイブリッド、とでも言いましょうか。」
「何か嫌だなぁ…」
千絵は率直な感想を述べた。
「でも私が血をばら撒かない限り、もう怪物は増えない。だから私をここに閉じ込めて置くんですか?」
千絵が尋ねた。村雨は一瞬考えるように黙り込むと、眼鏡を指で押し上げて言った。
「それがそうは行かないのです。先ほど言ったように、君が最後の一体では無い。周防美里を“オブジェクト”へと変容させた者が居ます。
君たちの進化は予測不能だ。恐らくは、宿る人間が異なれば進化の形態も異なるのでしょう。
今回君のような存在が生まれ、しかもこれほどの経験値を積む事が出来たのは、単なる偶然に過ぎない。それには我々の不手際に起因する所もあるのですがね。
しかし進化を重ねれば遅かれ早かれ、いずれは君のような存在、もしかしたら君を超える存在が確実に誕生するでしょう。」
「じゃあ、どうするんですか?」
千絵は何気なく尋ねた。だが次の瞬間村雨が考えている事を理解し、彼女は呆然となった。
「…私?」
「ええ。」
村雨はにやりと不気味な笑みを浮かべた。
「これは取引です。君は我々、いや人類のために、“オブジェクト”を狩る者となる。代わりに我々は、この地球上に君の居場所を確保する。」
「…随分勝手な取引ですね。地球は人類だけのものでは無いし、人間社会に居場所が無くても私は生きていけます。怪物だから。」
「いいえ、間違っていますね。」
村雨は嘲笑うように言った。
「あの時私は、“君は人間ではない”と言いましたが、だからと言って“けだもの”でも無いのですよ。
君にはどこにも居場所など無いのです。動物園の一件を思い出してみなさい。どんなに馬鹿な犬でも君には寄り付きません。君は永遠に一人ぼっちだ。
君はそれに耐えられない。君は1人で生きるには“人間的”過ぎる。」
そう言われても、千絵は怒りも憎しみも感じなかった。ただ、空しさだけ。これが“人間的”という事なのだろうか。
「蓮杖さん、君はなぜ周防美里を追ったのです?わざわざこの街へ出向いたのは何故です?」
村雨が語気を和らげて尋ねた。彼なりに優しい口調にしたつもりなのだろう。
「周防美里を殺して喰いたいと思ったらからではないですか?」
千絵は答えなかった。村雨は尚も続ける。
「実際に“試食”してみてどうでしたか?」
千絵は、巨人の肉の味を思い出した。全身に甘く広がる濃厚な肉の味。それがもたらす幸福感と陶酔を。
「“オブジェクト”の僅か半年間の進化の歴史は、生命の進化史の縮図ですよ。
弱肉強食。強いものが、弱いものを淘汰する。君はそれに従った。同種の中でね。」
答えは出ている筈でしょう。もう一度、あの肉を味わう機会を得られるのですよ。」
千絵は顔を上げ、村雨の眼鏡の奥の瞳をじっと見据えた。村雨は勝ち誇ったように笑みを浮かべた。


[続]

513 :腐肉(P.N.):2010/03/05(金) 01:07:32 ID:RJAipcuc
長い間独占してしまっている私が言えた義理じゃ無いですが、仲良くやりたいです。
ますたーさん、楽しみにしていますね!

514 :名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 02:02:49 ID:Y746T1Ph
続きキター
この展開は予想外だった

515 :名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 07:52:11 ID:LDT3w2q7
ところで、序章のラブホテルの惨劇の後に車で周防美里を迎えに来たのは誰なの?

516 :名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 08:50:41 ID:sabVqjLu
ある程度予想出来てた展開だが、好きな話だ

517 :名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 19:08:02 ID:I/87ezsV
どうやったらこの世界に行けますか

518 :名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 19:45:35 ID:dHHH6vzI
>>517
生物学を極めて生み出すんだ!

519 :腐肉(P.N.):2010/03/06(土) 16:35:20 ID:16BpWf9v
12月のある朝、千絵は故郷の街に戻って来た。ラボの外に出る事自体、一月半振りだったので、外の風をいつもより冷たく感じた。
去年の今頃は、将来への不安など何も知らずに、佳奈と一緒に部活に勤しんでいた。
冬になっても陸上部は、バスケ部と兼ね合いながら定期的に体育館の中で筋トレや練習に励んだ。
今頃、彼女と同じ学年の生徒たちは受験勉強に勤しんでいる事だろう。
あの頃は彼女も、自分もそうやって苦手な勉強に力を入れどこかの大学へ進学するのだろうと漠然と思っていた。
電車を降りてから、彼女はしばらく歩いた。やはり電車は嫌いだ。地下鉄には酔わなかったのに、どういう訳かここへ来る途中の新幹線でまた酔った。
新幹線の窓から見るスムーズ過ぎる位滑らかに流れていく景色は、彼女の獣としての感覚を狂わせ、地下鉄の暴力的な轟音と粗暴な振動が懐かしくなったのだろう。
千絵は葉の失せた森を抜け、寒々とした田畑の脇の小道を歩いた。佳奈と学校の帰りに歩いた道だ。学校へは立ち寄らなかった。
行ってもあまり良い気分はしないだろうし、平日の午前中なので生徒が居る。彼女を知る誰かに見られたら大変だ。
表向きには、千絵は死んだ事になっていた。佳奈の葬儀は、11月の頭に開かれたそうだ。
結局佳奈は、母親を殺害した容疑を背負ったまま事故死という事になった。
千絵は佳奈の家との分かれ道となる橋の袂でしばし立ち止まった。
この橋の下で佳奈と一緒に父親の遺骸を隠滅し、目撃者のホームレスを殺した7月のあの夜の事を思い出す。
あの一夜の冒険が、こんな結末を迎えるとは、あの時は思いもしなかった。
千絵は雲間から覗く太陽の光をきらきらと反射させる川の流れから顔を背けると、自分の家の方へ歩き出した。
家はしんと静まり返っており、警察が踏み入って捜索した痕跡がそのまま残っていた。千絵はしばらく玄関に立ち尽くし、目を瞑った。
家の中の様子がありありと目に浮かぶ。初めて佳奈が遊びに来た時、母親が倒れた時、母の葬儀で父の涙を初めて見た時。
何だか、今となっては悲しい思い出ばかりだな、と千絵は思った。千絵は家には上がらずに、そのまま立ち去った。
見慣れた街の景色。白っぽい空の下、どんよりとした家々。だがその全てが、愛おしい。千絵は手に「はぁ」と息を吹きかけた。
そんな事をしても彼女の手はもう温かくならないのだが、白くなる息を見たかったのだ。熱い吐息は蒸気となって目の前に広がり、ふわっと消えた。
無性に、誰かの手を握りたくなった。
千絵は橋を渡り、目的地を目指した。第二の我が家だ。いつも暖かく、優しくて、その全てを千絵が駄目にしてしまった、忌まわしい場所だ。
小山内家は蓮杖家以上に寂しげに佇んでいた。まだ警察の「立ち入り禁止」ロープの残骸が門の脇に残されており、それが一層もの悲しさを助長する。
千絵は辺りに誰も居ないのを確認すると、この身体になって初めて佳奈の家にやって来たときのように、屋根の上に跳び乗った。
以前は配管を伝って上ったのだが、今は軽々と跳び越える事も出来る。千絵は落ちないように腕を突っ張って、佳奈の部屋の窓をそっと揺すった。
案の定鍵が掛かっていたが、千絵はガラスを割らないように少しずつ力を込めてステンレスの窓ロックを拉げさせると、そっと呟いた。
「ごめんなさい。」
佳奈の部屋は、依然と何も変わらなかった。廊下の血の染みももう掃除されている。千絵はまた目を瞑り、深く息を吸い込んだ。ほんのりと、佳奈のにおいがした。
かつて、愛しかった人。今も、いつだって愛おしい。一度忘れかけた、彼女の愛した男性、末永雅人。彼女の愛した女性、小山内佳奈。一生忘れない。

520 :腐肉(P.N.):2010/03/06(土) 16:36:31 ID:16BpWf9v
それが彼女の“人間”としての誓いだった。ふと千絵は、自分の父親のトランクが部屋の片隅に置かれているのを見つけた。
何となく開けてみると、中になにやら黒い小石のようなものがある。千絵は手に取ってその正体が分かると、はっと息を呑んだ。
3ヶ月前、福沢刑事が彼女の体内で発砲した銃弾だった。恐らく佳奈が拾って取ってあったのだろう。
体育館の一件の後、慌てて荷造りしている最中に落としたようだ。
千絵は、今ではもうすっかり傷跡も消えてしまった脇腹の辺りを服の上から摩った。千絵は拉げた弾丸をぎゅっと握ると、それをポケットに入れた。
これは千絵が持っているべきだと思ったのだ。彼女と、親友の血を繋げた絆なのだ。千絵は無念そうに呟いた。
「ごめんね、佳奈。私には何もあげられるものが無いよ…。」
その時、階下から物音が聞こえた。千絵がびくっとして耳を澄ますと、誰かが階段を上ってくる足音が聞こえた。
「誰か居るのか?父さん?」
佳奈の兄の声がした。どうやら大学の休みで帰省していたようだ。千絵は慌てて窓を開けると、急いで飛び降りた。
その直後、小山内佳明が妹の部屋の戸をそっと開けた。
佳明は戸口に呆然と立ち尽くした。気のせいだろうか。ほんの一瞬、妹の友人の姿を見た気がしたのだ。
やがて窓が空いているのに気付き、徐に部屋に歩み入ると窓を閉める。
「何だこりゃ…。」
鍵が捻じ曲がっているのを見て呟くと、溜息を漏らし、クリスマス前に修理屋を呼ぶべく階下へと引き上げて行った。
本当は佳奈の墓参りでもしようかと思っていたのだが、もう十分だった。千絵は予定を切り上げて早めに高速バスの停留所へやって来た。
そこへ座って、山々の向こうに沈む夕日を眺めた。8月の朝、2人が大計画のために出発したバス停。
破滅へと足を踏み出した9月の夜、身を寄せ合って眠った場所だ。
千絵は1人でベンチに座り、空虚に寄り添うように身体をちょっと傾けた。もうじき雪が降るだろう。
全てを覆い隠してくれるわけではないが、季節がまた過ぎて行くのだと思うと、少し気が楽だ。
時間の流れは、積み重なる雪のようだ。決して消えはしない。
それが彼女の“怪物”としての呪いだった。
一時間ほど一台の真っ黒な護送車のような車が道路を遣って来て、停留所の前で停車した。千絵は立ち上がると、後部のドアを開けて乗り込んだ。
中は強化ガラスで仕切られており、向こうに村雨の部下の1人、岡崎が座っていた。
「もうちょっとましな車無かったの?」
車が発進すると、千絵が文句を言った。
「お前の体重は小さいゴリラ並みなんだ。筋密度が人間とは違うからな。乗用車じゃ潰れちまう。」
ガラスの向こうから岡崎が言った。千絵の力ならこんなガラスは片手で突き破る事が出来るので、実質意味は無いのだ。
それをこんなに近くで出迎えてくれるという事は、大分信用されたと言う事だろう。施設を出るまでに一月半掛かった割には大きな進歩だ。
「少しは、何か感じる事が出来たか?」
千絵は、ぶっきら棒だが人間の少女に接するように千絵に接する岡崎が嫌いではなかった。
千絵は後部ドアの上部にある小さな窓からもう一度故郷の街を振り返り言った。
「うん。」
今頃、学校は放課となり生徒たちが家路を急ぐ頃だろう。
千絵は、街から遠ざかる車の中で、楽しげに笑いながら畦道を歩く自分と佳奈の後姿を想像した。
それ以来、その街で千絵の姿を目にした者はなかった。


[続、エピローグへ]

521 :名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 23:13:44 ID:jqFDjumd
おかしい…俺はノーマルなはずなのに気づいたら千絵ちゃんに惚れていたんだ


ttp://girlfriend.is-a-chef.org/up/No_0015.jpg

522 :名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 23:27:16 ID:xZxdy4+N
何これエロ可愛い
ノーマルの人すら惚れさせる千絵はマジ魔性の女

口チラがエロく感じる俺はかなり重度の変態な気がしてきた

523 :名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 00:26:08 ID:WXfwI+/3
>>520
ナケル…(´:ω:`)

>>521
GJ!

524 :名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 02:03:38 ID:oN/73S/4
ttp://girlfriend.is-a-chef.org/up/No_0016.jpg

エロくもなく捕食でもなくです、描きたくて描いた絵
この2人は仲がよくて壊れてて本当に素敵





525 :名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 02:52:00 ID:AY597F+Q
腐肉さんはラブホ襲撃後は未定だったのに、三日足らずで構想を練り
そしてほぼ半年の間超ハイペースで投稿を続けたのか・・・
本当に貴方は何者なんだw

>>524
GJ!!

バイヨネット吹いた

526 :名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 04:30:10 ID:TdNDIcaV
怒涛に人を食らう千絵の如く書き連ねてたからな。
腐肉さんエネルギーぱねぇ。
あなたがオリジナルのオブジェクトか。

527 :腐肉(P.N.):2010/03/07(日) 18:56:15 ID:WXfwI+/3
[エピローグ]

 あれから5年の歳月が流れた。蓮杖千絵は多くの経験を経て、肉体的にも精神的にもより強くなった。
だがそれを成長と呼べるかは微妙だ。外見的成長はあれ以来止まってしまったようで、彼女はまだ18歳の肉体のままだ。
人間としての成長を捨てた、という事だろう。そうして彼女は、青春最後の数年間を過酷な任務に費やした。
彼女の任務は、彼女と同じ“種族”を狩ること。
彼女自身の目的は、忘れられない怪物のあの味をもう一度味わうためであるが、彼女は今や日本政府と、FSB(ロシア連邦保安庁)に雇われている身だ。
 千絵は今、ロシア連邦ウラル山脈の西端、かつて軍需産業で栄えたペルミという街の古いアパートに1人で暮らしている。
無論監視の目はあるが、言葉も少しは覚えたし、ささやかながら仕事もして、彼女なりに“人間らしく”振舞えるよう努力している。
この地では18歳と言えど、日本人の顔つきでは幼く見られる事もしばしばで、彼女の周りの人間は皆彼女に対して親切だ。
 セックスも覚えた。無論、監視者には内緒だ。
食欲以外を人間のように感じることは無かったが、彼女なりに有り余った体力と食欲・性欲を満たす方法を見つけたのだ。
ペニスを自分の中に受け入れると、ちょっとした丸呑み感覚を味わうことが出来る。自慰のようなものかも知れない。
今は特定の恋人は居ないし、当然彼女に生殖機能は無かったが、見様見真似でぎこちなくしていた頃に比べれば上手くなったと自負している。
その際最も気を付けねばならない事は、相手の身体に自分の“血”を混じらせないようにする事だった。コンドームの着用は必須である。

------------------------------------------------------------------------------------------

2009年12月24日、午後5時。

 千絵はもこもこの毛皮の着いたコートを着込み、アパートを出た。
外はまだ雪が降り続いていて、既に膝下まで積もっていた。千絵は雪を踏みしめ、ぎしぎしと音を立てながら歩いた。
辺りはもう薄暗い。ロシアでは、24日の日没から翌25日の日没までがクリスマスであり、つまりもうクリスマスは始まっている。
この時間には大通りは賑やかで、クリスマスソングの流れる明々とした店の光や幸せそうな笑顔を浮かべ手をつないで道行く人々を見ていると、
千絵も何だか嬉しくなった。
美味しそうだとも思ったが。
千絵は大通りから少し離れたレストランバーへやって来た。質素な店で、ガラス戸の中に見えるこんがりと焼けたケバブ用の肉が一際目立っている。
ここが千絵の職場だった。千絵が店に入ると、既に開店しており数組の客がグラスを酌み交わし、肉汁の滴るケバブサンドに食いついていた。
「遅れてごめん!」
千絵はカウンターの向こうに居る太った男に言った。
「良いんだ。今日はクリスマスだから、気まぐれでちょっと早く開けたんだ。」
太った男が笑った。ワレリー・イシュタールはこの店の店主で、同じ外国人の血の流れるよしみで千絵を雇い入れてくれた男だ。
「奥で着替えてきな。こんな店でも、今夜は忙しくなるかも知れないからな。」
ワレリーが言った。千絵は店の奥のワレリーの居住スペースで黒い腰エプロンを身につけると、彼と共にカウンターに立った。
店はお金の無い若いカップルや、1人暮らしの老人、仲間と飲みに立ち寄った初老の男たちなどが入れ替わり立ち代り訪れては、楽しげにグラスを傾けた。
千絵はアルコールが飲めないが、付き合ってチェリージュースで乾杯した。

528 :腐肉(P.N.):2010/03/07(日) 18:59:36 ID:WXfwI+/3
 客足が途絶えた10時過ぎ頃、千絵が炙った肉の塊をスライサーで削ぎ落としていると、入り口の扉の上に付けたベルがチリンチリンと鳴った。
「ドーブルイヴィエーチェル。」
千絵が覚えたてのロシア語で挨拶しながら顔を上げると、厚手のトレンチに身を包んだ神経質そうな眼鏡の男が、カウンター席に座るところだった。
「こんばんは。」
男は日本語で言った。
「…お久しぶりです、村雨さん。」
千絵はスライサーを持ったまま言った。彼に会うのは、あの日の研究所以来、5年振りだ。
「クリスマスのこんな時間まで仕事とは大変ですね。」
「そっちこそ、クリスマスのこんな時間にわざわざ部下の怪物を訪ねて来るなんて大変ですね。」
千絵が言い返した。店の奥に引っ込んでいたワレリーが顔を覗かせる。
「お客か?」
彼は村雨を見るなり、驚いたような顔をして千絵に尋ねる。
「日本人か?」
「うん。故郷の話で、盛り上がっちゃって。」
千絵は愛想良く笑ってみせる。ワレリーは安心したように頷いて言った。
「じゃあ、しばらく任せても良いか?」
「了解だぜっ。」
千絵が敬礼して見せた。ワレリーは笑いながら再び店の奥に姿を消した。
「上手くやっているようですね。」
村雨が言った。
「何それ。お父さんの台詞みたい。場末の酒場ってよりは、ちっとは洒落てて良いけど。何飲みますか?」
千絵はスライサーを置いて酒瓶の並んだ棚の方へ歩きながら言う。
「仕事中は飲みません。」
「じゃあチェリージュースね。」
そう言って千絵は勝手にグラスに紫色のどろっとした液体を注いだ。
「本当の父親だったら、今頃胃の中だね。」
千絵は冗談のつもりで言ったが、村雨はくすりとも笑わず黙ってどろっとした紫の液体を一口啜った。元々期待はしていない。
「“人間ごっこ”は上出来のようですが、任務の方は思わしくないですね。」
村雨は目の前のグラスを覗き込んで顔を顰めながら苛立たしげに言った。
「せっかちは老化の始まりですよ、村雨さん。」
千絵はけろっとして言った。
「憎まれ口を叩けるのも今の内だ。」
村雨が語気を強める。
「10月頃から失踪者が増えているそうですね。マフィア関係との噂もありますが…」
その時、ドアのベルがチリンチリンと鳴り、冷たい雪混じりの外気が店内に吹き込んだ。
見ると、スタニスラフ・エーゴロフ青年がコートの雪を払いながら入ってくるところだった。地元のホッケーチームに所属している青年。
千絵に気があるようで、最近練習の後はいつもこの店に、千絵に会いに来る。
「うぅ、寒っ。」
スタンは震えながら呟くと、店の奥のソファにどさりと腰を下ろした。
「プリヴィエート、チエ。」
スタンは村雨がただの客だと思って朗らかに千絵の名を呼んだ。千絵は彼に向かってちょっと笑顔を向けると、村雨に向き直った。
「今すぐ帰った方が良い。」
村雨は一瞬驚いたようだが、すぐに千絵を睨み付けた。
「それは脅しですか?」
「チエ、その人、知り合い?」
後ろからスタンの戸惑う声が尋ねる。2人の言葉は分からないが口調からただならぬ空気を感じ取ったようだ。
「いいですか、蓮杖千絵。私は君をこの街に、“奴ら”を探し出すために送り込んだ。だが止まらぬ失踪事件にFSBも業を煮やしている。
君がこの町に来てからの3ヶ月でマフィアとは無関係の女子供まで消えているのは、どういう事です。」
「その犯人を始末するのが任務、でしょ?」
千絵が言った。
「確かにそれが君の仕事だが、君の本性は違うだろう。」
村雨が語気を強めた。


[続]

529 :腐肉(P.N.):2010/03/07(日) 19:00:39 ID:WXfwI+/3
>>521>>524おお、かわいいですね、ありがとうございます!

530 :名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 20:39:00 ID:chMgImaR
おお?ちょっと不穏な雰囲気??

531 :名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 23:31:06 ID:FuGYOsTZ
続きが凄く気になる

532 :521.524:2010/03/08(月) 18:01:40 ID:ILI48T4s
レス下さった方どうもありがとうございます!
腐肉さん応援してるんでがんばってください
また機会があれば投下したいなと思っております
ではROMに戻ります



533 :腐肉(P.N.):2010/03/09(火) 16:37:30 ID:LgpaFX10
「何の話だ!?」
村雨の背後でスタンがうろたえて言う。
「あんた何なんだよ、おっさん。」
スタンがソファから立ち上がり、村雨の肩を掴んだ。村雨が振り払おうとしたその時、スタニスラフ・エーゴロフが口を大きく開けて村雨に襲い掛かった。
いつもは優しく微笑んでいる青年の下顎がぱっくりと割れ、蜘蛛の口のように縦に開くと鋭い牙をむき出しにして村雨に迫った。
「こいつ…っ!」
村雨が細い目を見開いた。だが時既に遅く、青年の牙が深々と彼の肩に突き立てられた。
「ぐっ…蓮杖さん、早くっ…」
村雨がそう叫ぶが早いか否か、だぶついたジーンズに包まれた千絵の脚がカウンターを跳び越え、村雨ごと変貌したスタンを蹴り飛ばした。
村雨は怪物と一緒に店の壁に叩きつけられ呻いた。先ほどまで村雨の座っていた椅子の上に千絵がひょいと着地すると、怪物の重みで丸椅子が軋みを上げた。
「だから帰れって言ったのに…。」
千絵は呟きながら腰からケバブ肉の汁で汚れたエプロンをするりと外した。
「蓮杖っ…何を…」
村雨が掠れるような声で言った。噛まれた肩から夥しい量の血を流し、蹴り飛ばされた衝撃で骨が何本か折れているらしい。
その時彼の下敷きになっていたスタンが叫び声を上げ、次の瞬間村雨の腹部から、血と臓物を飛び散らせ怪物に変容したスタンの力強い腕が飛び出してきた。
「うぐふっ…!!」
千絵は村雨を無視して赤いフード付きのセーターの前ファスナーを開けた。
真っ白な腹が露わになったかと思うと、綺麗に割れた腹筋の間に縦に亀裂が入り“第二の口”が姿を現した。
「私まで殺す気か…!」
「勘違いしないでよね?」
千絵は両腕を延ばして頭の上で絡ませると、第二の口を開いて触手を解放した。触手は村雨ごとスタンの身体に巻き付き、締め上げる。
「私の任務は“お食事”であって、あなたを守る事じゃない。」
千絵はくすりと笑う。怪物との戦いに疲れた男の顔に滲んだ恐怖が、千絵の快楽を誘った。
「名誉の戦死だよ、村雨さん。」
そう言って千絵は2人の身体をばくんと呑み込んだ。スタンが奇声を上げて千絵の口の前で手足をばたつかせてもがいたが、第二の口を勢い良く閉じると、
ホッケーで鍛えた腕と脚はあっけなく折れ、血しぶきを上げながら胃袋の中へ姿を消した。今となっては慣れ親しんだ極上の肉の旨みが全身を駆け巡る。
怪物の濃厚な味に村雨の貧弱な肉の味はすっかり掻き消されてしまい、
代わりに村雨の胃の中から染み出たチェリージュースの味がほんのりと千絵の中に広がった。
千絵は口の中をもごもごさせて、ぺっと何かを吐き出した。べとべとの唾液に塗れたそれは、フレームが歪んでレンズに皹の入った村雨の眼鏡だった。
その時、店の奥からドタバタと音を立ててショットガンを手にしたワレリーが現れた。ワレリーは、腹を膨らませた千絵に銃口を真直ぐ向けると叫んだ。
「この化物め!!」

534 :腐肉(P.N.):2010/03/09(火) 16:42:31 ID:LgpaFX10
その声を合図にしたかのように、店の奥から更に5人の柄の悪そうな男たちが、ショットガンやサブマシンガンを構えてどかどかと押し寄せてきた。
「面倒見てやったのに、スタンを喰いやがった!!」
ワレリーが喚いた。いつもの陽気な笑みが信じられないほど険しく歪んでいる。彼らはマフィアだ。
そしてスタンのホッケーチームはこの二月の間に全員怪物へと変貌しており、マフィアと結びついて街の人々を襲っては喰っていた。
「一つ教えて。スタンを“あれ”に変えたのは誰?ホッケーチームの誰か?それとも、別の“何か”?」
千絵はワレリーを見据えて尋ねた。
「さあね、知るかよ。奴ら、突然現れたんだ。俺たちは商売をしてるだけだ。その役に立つ事以外、化物なんかは御免だね。」
ワレリーは凄んで見せた。だが肉厚の額に浮き出た脂汗は隠しきれて居ない。
「よく言うよ、自分たちも同じくせに。」
千絵は溜息を吐いて、カウンターの向こうのこんがりと焼けたケバブ肉に目を遣った。
「“おこぼれ”をああして売ってたくせに。」
「いつから気付いてた?」
ワレリーは驚きを隠せずに尋ねた。
「最初に店の前を通った時。人肉は見ればすぐ分かる。」
千絵はにやりと笑った。大方あの肉は、ファミリー同士の抗争で殺されて死体の処分に困った結果“切り売り”された幹部だろう。
ワレリーは千絵を睨んだまま戸口へ歩み寄ると、ドアに掛かった「開店」の看板を裏返し「閉店」に変えた。
「なぁ、スタンの事は水に流そう。だから俺たちの仲間にならないか?」
ワレリーが不気味な笑みを浮かべた。
その邪悪な笑みは、どことなくつい先ほど“殉職”した村雨に通じるものがあり、千絵の背筋に悪寒が走る。
「お前なら俺たちと一緒にこの街に、いやこの国に、君臨する事が出来る。お前も、居場所が欲しい。そうだろう?」
「違うよ。私は腹が減っているだけ。ここんとこ凍った牛ばっかりで、うんざりしてたんだ。」
千絵はくっくと喉の奥で笑った。
「今の私は、“底なし”だよ?」
ワレリーの表情が恐怖と嫌悪に歪む。隠れ蓑として、爺様の代から受け継いだ店だったが、仕方あるまい。
太った店主は醜悪な形相で叫び声を上げた。
「殺せええええええ!!!!!!」


[続]

535 :名無しさん@ピンキー:2010/03/09(火) 18:36:44 ID:yrUt4FGo
やべぇ千絵かっけぇ

536 :名無しさん@ピンキー:2010/03/09(火) 22:51:22 ID:JV+sZZ+p
村雨まで喰っちまうとは・・・

537 :名無しさん@ピンキー:2010/03/09(火) 23:26:35 ID:FV45Ukqm
何かもう、続編のノリですね

538 :名無しさん@ピンキー:2010/03/09(火) 23:33:55 ID:ZuHK+2as
この盛り上がりでエピローグ・・・だと・・・

539 :名無しさん@ピンキー:2010/03/09(火) 23:49:01 ID:8HIZioT1
いやこれ新章スタートしてんだろ

540 :名無しさん@ピンキー:2010/03/09(火) 23:54:39 ID:iemjt/wU
いや、エピローグだからこの後ちょっと潰したら終わりじゃね

541 :ますたー:2010/03/10(水) 12:56:51 ID:LahF3Aah
>>521
あぁ・・・
先に上手い人に絵あげられちゃったみたいだなぁ(;_;)
くそっ!誰かおれのやる気スイッチを探してくれort
この作品がまだまだ続くといいなw


542 :名無しさん@ピンキー:2010/03/10(水) 14:21:08 ID:bHbIUNb8
>誰かおれのやる気スイッチを探してくれ
丁重にお断りします。

543 :ますたー:2010/03/10(水) 16:51:05 ID:LahF3Aah
多分やる気スイッチはないのだろう・・・
腐肉さんはすごいなあ。
おれも、がんばって絵を描こう!

544 :名無しさん@ピンキー:2010/03/10(水) 18:56:44 ID:tPVAGcHg
乞食より性質が悪い…

545 :名無しさん@ピンキー:2010/03/10(水) 19:05:00 ID:oS7R6gN/
もうおまえ帰っていいよ
絵も特に期待してない

546 :名無しさん@ピンキー:2010/03/10(水) 19:16:49 ID:AHpFLzEW
気になってたんだ、何のますたーなの?
べーしょん?

547 :名無しさん@ピンキー:2010/03/10(水) 20:30:19 ID:VfcZO1YJ
ただSS読んでGJ言うだけの人形が、微力とはいえ何かやろうとする奴に口出しするなよ。
文句言うだけなら誰だって出来る、気に入らなきゃお前らも何かやれ。出来なきゃ黙ってろ。

548 :名無しさん@ピンキー:2010/03/10(水) 20:39:58 ID:qmfLpyBF
>>547
すんごい上から目線ですけど何様ですの?上級乞食かナニかですの?

549 :名無しさん@ピンキー:2010/03/10(水) 22:10:35 ID:Lwinm/RH
五月蝿いな
喰われるのに集中できないじゃないか

550 :名無しさん@ピンキー:2010/03/10(水) 23:08:29 ID:RuwPtsYq
残念だよ、半年間共に腐肉さんの愛読者だった連中がこんなくだらない奴らで

551 :名無しさん@ピンキー:2010/03/10(水) 23:43:43 ID:ohiZsGkY
>>550
お前が一番くだらない奴だから安心しろ

552 :腐肉(P.N.):2010/03/11(木) 00:04:50 ID:jyOBpZa2
無数の銃弾が、一秒間に十数発のペースで発射された。
店内は工事用の重機のような耳を劈く発砲音と、フラッシュのような閃光に包まれ、グラスや酒瓶が、次に椅子やテーブルが破片となって宙を舞う。
一頻り辺りの物が砕け散ると、ワレリーは発砲を止めさせた。
だがガラスの無くなった窓から吹き込む風に、埃や薬莢の煙が薄らぐと、彼はぎょっとして我が目を疑った。
あの怪物がまだ目の前に立っているではないか。
その身体を包んでいた洋服は銃弾を受けて殆ど吹き飛んでいたが、真っ白な引き締まった肉体には、傷ついた形跡が無い。
ワレリーは、部下達の動揺を感じ取った。しかし実際のところ、誰よりも動揺しているのは彼自身だった。
千絵は顔を上げ、歯に挟まったものを舌で取り除こうとしているかのように、もごもごと口の中を探ったかと思うと、次の瞬間
彼女の口から何かが物凄いスピードで飛び出し、ワレリーの片脚に命中した。
「ぎあああああああああああああ!!!!!!!!!」
ワレリーは太った身体を捩じらせて悲鳴を上げる。
見ると、ズボンに穴が開き、脚の肉に何かが食い込んでいる。それは彼が怪物に向けて発射した、百発の銃弾の内の一つであった。
千絵はべーっと舌を出し、残りの無数のひしゃげた銃弾をじゃらじゃらと吐き出した。
ぺっと吐き出された最後の一個が、彼女の足元に出来た弾丸の山の上に落ち、チャリンと音を立てた。
ワレリーは倒れたまま額に脂汗を浮かべ、唖然として怪物を見上げた。自分が史上最強の生き物を相手にしているのだという自覚が、彼には足りなかった。
「種も仕掛けもございません…。」
千絵が呟く。
「アブダカダブラ。」
魔法の呪文を合図に、再び彼女の身体から触手がするすると這い出した。
大きく裂けた秘所から延びた細かい襞の付いた無数の触手は背中に回り、肉で出来た天使の翼さながら空間いっぱいに腕を広げ、
巨大な影をマフィアたちの上に落とした。
「あああああああああああ!!!!!!!!!」
哀れなごろつきどもは逃げ惑う隙も無く、あっという間に触手に捕らわれた。
一本絡みつくと、すぐにたくさんの触手が身体全体に巻き付き、巨大な肉の繭となって全身を包み込んだ。
男たちはスタン同様、その怪物の本性を明らかにして抵抗を試みた。だが千絵の前にはもう、屋台に並ぶ魚も同然だった。待ち受ける運命は餌になるのみ。
彼らは繭の中でゆっくりと消化され、彼らの血肉から溶け出した怪物の旨みはチューブのように変形した触手を伝って千絵の中へと取り込まれた。
千絵は、倒れながらも震える手で握り締めたマシンガンの銃口を彼女へ向けようとしている愚かな一人の男にゆっくりと歩み寄り、その腕を無慈悲に踏み抜いた。
骨が砕ける音と共に腕が千切れ、銃が床に落ちて暴発した。
流れ弾が、片脚で何とか起き上がって逃げようとしていたワレリーのもう片方の脚に当たり、太った男は甲高い悲鳴を上げて再び無様に汚い床の上に倒れた。
触手が、腕をもがれた男の脚と胴体を捕らえた。彼は残された腕で必死に何かにしがみ付こうとしたが、そのまま床をずるずると引き摺られた。
彼は千絵のまだ知らないロシア語で必死に命乞いの言葉を叫んだ。
だが千絵の足元まで来ると、どんな抵抗もどんな命乞いの言葉も空しく、ごきゅんと下品な音を上げてその底なしの胃袋に吸い込まれて行った。
千絵が肉の繭を解体し触手を体内に引き戻すと、白骨だけの哀れな姿となった男達ががらがらと音を立てて床の上に散らばった。
その骨も、半分消化されて河原の石のように凹凸の少ないカルシウムの塊と化していた。
5人のマフィアを喰い尽すと、店には千絵とワレリーだけになった。
ワレリーは銃弾がめり込んで出血した脚を引き摺りながら、腕だけで床を這って店の奥に逃げ込もうとしている。
千絵は、太ったなめくじのような憐れな男にゆっくりと歩み寄ると、肉が裂けて弾丸の埋まった脚をぐりぐりと踏み躙った。

553 :腐肉(P.N.):2010/03/11(木) 00:06:30 ID:hoAzKcgD
ワレリーは悲鳴を上げ、身体を仰向けにして目の前の猛獣に向き直った。
千絵は徐に身をかがめ、肥満体を包むシャツの襟首を掴んで自分の口元に手繰り寄せると、彼の目の前で、悲鳴をも掻き消す様な凄まじいゲップを吐きかけた。
そのけだものの咆哮のようなおぞましい音と、地獄の底から込み上げるような、熱くむせ返る様な死の臭いに、ワレリーはすっかり縮み上がった。
「や、やめてくれ…俺はあいつらとは違う、人間なんだぁぁ…」
ぶよぶよと肉の乗った顔面で涙と鼻水が混ざり合って汚らしく垂れた。股間をじわじわと、5つの時以来初めて漏らした小便が濡らして行った。
千絵は身を屈め、太った男の股間に手を宛がうと、ほかほかする臭い小便塗れのペニスをきゅっと握った。ワレリーは小便しながら勃起した。
千絵の口からぺろりと蛇のような長く太い舌が顔を出し、ワレリーの汚い顔や、服の下のぶよぶよと醜く肥えた腹を舐め回した。
「知ってる。あんたは人間。だから…」
千絵は恍惚の表情を浮かべ、小便塗れの手をぺろりと舐め、その手を自分の腹に這わせて言う。
「思う存分、嬲ってあげる。この中で。」
「や、やめっ…」
ワレリーは情けない声で訴えかけたが、寄り添う千絵の肉体の躍動に絶頂に達しようとしていた。だがどの道、命乞いは彼女の耳には届かない。
千絵は舌を仕舞うと徐に口を開いた。蜘蛛のように開く下顎から、秘所まで裂けた、胃袋への入り口を。
エクスタシーと苦痛、人のありとあらゆる感覚が一体となる地獄のような桃源郷への入り口を。
だがその淵にずらりと並んだ無数の鋭い牙を見るや、ワレリーは悲鳴を上げた。
その一本一本が彼の肉を貫き骨を噛み砕く様を想像しただけで彼は、射精する代わりにもう一度失禁した。
千絵の目がにゅぅっと細くなり、その畏怖と恐怖に歪んだ顔を満足げに見下ろして呟いた。
「いただきまぁす。」
ばぐんと音を立てて、千絵の口が閉じた。ワレリー・イシュタールを巨大な胃袋に閉じ込めて。
合わさった鋭い歯と歯の間から、彼が呑まれる瞬間に射精した、どろっとした精液がこぼれ、千絵の秘所からぽたぽたと数滴床に落ちた。
千絵は目を瞑り、体内で溶け行く肉から染み出る血の味を堪能した。
それから腹を擦ると、彼女の胃袋に収まる全ての生き物がこの世に最後に残す残滓を、千絵は満足げに吐き出した。
「げぇええっぷ… ふぅ。」
その咆哮は降りしきる雪の中に吸い込まれ、家族と幸福なクリスマスを祝う近所の人々の耳には随分と遠くの音に聞こえた。
どこかで、獣が鳴いている。
夜の時間は獣の時間。人間が立ち入ることの許されぬ、魍魎たちの時間。人々は窓辺に寄ると、カーテンを閉めた。
ガラスに張られたその布が、夜は全ての生き物の上にやって来るという事を、覆い隠してくれるかのように。
その夜、雪は街中に降り積もった。全ての生き物たちの上に。全ての幸福と、全ての不幸の上に。

-----------------------------------------------------------------------------

 骨に僅かのゼリー状の筋肉しか残っていないような状態でも尚、痙攣するように動いていた腹の中のワレリーが、ようやく静かになった。
千絵は、誰も居なくなった荒れ果てた店で1人、チェリージュースで聖夜を祝った。彼女は脚を組むと、足首に巻いた鎖のアンクレットから血を拭き取った。
そこに付いている、みすぼらしい拉げた金属のチャームが何なのか知る者は、もうこの世に彼女しか居ない。だがそれはもう、枷ではなかった。
「メリークリスマス。」
千絵は呟いた。その空気の微かな震えが、どこかの誰かへ届く事を願って。そうして、クリスマスの夜は更けた。






554 :腐肉(P.N.):2010/03/11(木) 00:09:26 ID:jyOBpZa2
最後、変に期待させてしまったようですみません、これで完結です。
最後の最後に荒れてて書き込み辛いし気分が悪いですが、私のせいならごめんなさい。では

555 :名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 00:24:37 ID:acXTx8vf
>>554
乙だが、あんたがそんな煽りをする奴だとは思わなかった。
最後の最後で幻滅した。

556 :名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 00:27:25 ID:1w3QsNsI
>>554
貴方が原因ではなく、構ってちゃんが原因ですから御気になさらず
大作投下お疲れ様でした、いつも楽しく読ませていただきました
また機会があればよろしくお願いいたします

557 :名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 00:47:03 ID:UrSaKAW8
>>554
実に半年近くお疲れ様です。
また気が向いたら書いてくださいね。

あなたのせいじゃないですよ。
悪い空気にレスすると悪化する一方なので
放置するしかなかった自分が恨めしい。

558 :名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 01:35:14 ID:VLuu0nT6
>>554
長期連載お疲れ様です。感動しました!

まあ腐肉さんからすれば煽りも何もそれが本心でしょうが
555みたいな構ってちゃんが一々反応するのでほっとけばいいですよ。
貴方のファンはあんなのばかりじゃないですから。

559 :名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 01:50:15 ID:l1yqEiic
>>554
今まで素晴らしい作品をありがとう。
そして、お疲れさまでした。

次回作も期待して待ってます。

560 :名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 01:52:56 ID:1fGkrpmT
完結お疲れ様です
改めてみるとすごい文量…!
度重なるアクションや展開にも驚かされました
捕食描写も艶めかしくグロテスクなのに萌えた
けれどもやっぱり千絵は孤独なのですね…どう生きていくのだろうかと妄想中

不穏な空気になると書き手読み手共に辛い
跳ね返す力があるのですから無視が一番です

561 :名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 02:04:31 ID:j5IZHcis
祝完!ちょっぴり切ないぜ・・・
ここ最近の荒んだ雰囲気も、作品が終わってしまう寂しさの裏返しですよ
フェチ板の概念をくつがえす歴史に残る名作でした

ともあれまずはその偉業を讃えて、お疲れさまです!

562 :名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 02:19:13 ID:c8/NKJ9n
>>554
乙!
素晴らしかった!

563 :名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 08:12:36 ID:5pRMjb3U
>>554
躍動感溢れる引き込まれるような展開と多彩な表現が魅力的な作品をありがとうございます
数日前に発見して一気に読ませて貰い、ラストはドキドキしながら待たせて貰いました
ご自身の美学を感じさせるラストでキレイに完結したのは凄いことだと思います
また機会がありましたら是非作品を読ませて頂きたいです

564 :名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 13:13:46 ID:pVmWS/TZ
>>554
大長編の投稿、お疲れ様でした!楽しく読ませていただきました!
日々の更新が待ち遠しかった日々……さらば。
またいらして下さい。


――そして気付けば次スレの時期だこれ。

565 :名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 16:25:09 ID:+HRrxCkE
お疲れさまです! 本当に。
毎度毎度わくわくしながら読ませていただきました。
千絵の孤独がちょっぴり切ない……

566 :名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 21:16:54 ID:m6VHiXiC
いやー

引越してネットできなくなる前に

最後まで見れてヨカッタ!!

腐肉さんほんとにGJ!!
腐肉さんは間違いなく伝説に残る名SS職人だね

自由になった千絵がこの先どう生きていくのかwktkするよ!!

567 :名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 22:27:23 ID:IVShyWEL
とうとう終了か…感慨深い
腐肉さん、このスレの住人は皆千絵とあなたを忘れないよ

ところでペルミって、去年の暮れにクラブかどこかで大火事があったとこですか?

568 :名無しさん@ピンキー:2010/03/12(金) 01:17:05 ID:1PmYntHP
>>567
あったな。そんな事件。

569 :名無しさん@ピンキー:2010/03/12(金) 06:53:04 ID:yRybqRR+
漫画の方がぴくしヴに新しい一枚絵を上げているぞ

570 :名無しさん@ピンキー:2010/03/12(金) 07:27:17 ID:wS5D5tL1
次スレ立てたよー。
500kbとか言われないと気付かないよ。
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1268345774/

571 :名無しさん@ピンキー:2010/03/12(金) 08:21:41 ID:Zfh4dI60
>>570
乙!

572 :名無しさん@ピンキー:2010/03/12(金) 13:59:04 ID:TUg9OdGn
>>554
長い間GJでした!
余韻を残してスッと終わらせるラストがイイ!
やっぱ腐肉さんは凄い人だった

最後ちょっと荒れたのは一人が騒いでるだけだからご愛嬌ってことで
こんなスレだからたまに魑魅魍魎くらいはやってくるさ

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