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メタルサーガ METAL SAGAのエロパロ その6

255 :名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 02:08:59 ID:5Tj/B2nK
「マスターが私の中に入れてくれると私は素晴らしい快楽を得ることができます。
そこで私がマスターの中に入れれば、マスターも快楽が得られるのではないかと思いました」
「アッー!」

256 :名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 21:59:04 ID:JMNBLDfN
>>255
ノンケにパイルバンカーはwww

257 :名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 22:34:26 ID:0T95z5nd
今 トイレを求めて全力疾走している僕は、メカニックを目指すごく一般的な男の子。
強いて違うところをあげるとすれば、頼れる兄さんみたいな男の人に興味があるってとこかナ。
名前はカール・ベルディア。

そんなわけでニューフォークの町の外れにある、公園のトイレにやって来たんだ。
ふと見ると、ベンチに一人の若い男の人が座っていた。
真っ黒のツナギ。ちょっとワルを気取った革ジャン。そして優しげな瞳。

あんな男の人の膝に座れたら幸せだろうなぁ…。

ハッ

そう思っていると突然その男は、僕の見ている目の前で
真っ黒のツナギのホックをはずしはじめたんだ…!

ジジー…





  「や ら な い か」


258 :名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 22:38:34 ID:a++58Y4c
パイルバンカーの威力が高すぎて、快楽がどうこう以前に気絶してしまうはんたが見えた。

259 :258:2008/10/11(土) 22:39:53 ID:a++58Y4c
>>256へのアンカー付け忘れたwww

260 :名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 22:57:15 ID:9wDwtjRs
「気絶してしまうほど素晴らしい快楽を得たのですね、マスター」
と勘違いしてしまうアルファ

261 :名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 22:55:51 ID:TzvzBRFv
ついにアッー!もOKになったのかこのスレw

262 :名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 17:45:23 ID:PzwYbJxT
カイザーカミカゼが出てこないよ保守

263 :名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 00:44:05 ID:AVnwzQmY
、__人_从_人__/し、_人_入
、_)賞金首、発見っ!!
_) 
`) ぶっコロコロしてやるわっ!!
'´⌒V^'^Y⌒V^V⌒W^Y⌒

   ヽl   ,、 l/                 
   〃"ナ'⌒ ~´ヘヘ^                 
   // ,ハノノソヽソハ                   
  ハ  ヾ ゚ ヮ゚ノ((ニ(ニ(l            ,  ''"´"''': ; . ,         
  〈(つ|三三二弌ll============lニlll),,'   . : ;  _,; "        
  ,く/_!__」ニ〃l,=l┘            "'' -''''"´   
     ./ソ、j、iヾ.     
     /~(_>!(_>~´ ガガガガガガガガガッ…      
  
     エミリ



 ヽ ` │ /
 丶 ヾ  丶
  -  ``/×.. ̄ ̄ ̄ `
   / ヽ/:::..        ヽ
      ;;;::    , '.. ・丶 |
      |;;;:  へ _ ̄_ヘ.|
      |;;::. ヽ └┴┴┘|.|
   /=- ヽ;:.. ヽ====== //--, //
  /″ ̄- 丶;:.....  ̄ ̄ /-- _`|/
     ,,ノ/|;. | ̄|::. ヘ`ヽ\
     ||-  | ,,|  ヽ.. | `-`/
     ``  |__ヽ_  |__ヽ_

       Mr,カミカゼ


METAL SAGA 〜new generation〜

 第3話は、こんな感じです。
 エミリ大暴れ、カール絶叫、ポチはマイペース。
 オリジナルキャラ登場。
 エロ展開は無し。
 完成は、もう少しかかりそうです・・・・


264 :名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 20:17:48 ID:guXlJx3t
保守
誰か、作品書いてくれ〜

265 :名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 20:31:31 ID:sBqGgYho
よしおまえがかけ

266 :名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 21:17:42 ID:Be4Javvj
>>264
よろしくw

267 :名無しさん@ピンキー:2008/10/24(金) 00:14:01 ID:SyutgM5W
ミカドックw

268 :名無しさん@ピンキー:2008/10/24(金) 00:24:28 ID:nWoMswuX
メルカバをMRにしたりするんですね、分かります

269 :名無しさん@ピンキー:2008/10/25(土) 16:41:58 ID:K7QI8L60
初代〜2スレ目あたりまで色々書いてたけど
まだスレが続いてて嬉しく思う俺が保守

270 :名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 13:30:03 ID:eqvSjTvR
>>268さんに触発されて書いてみました。


ミカドックのデモカー

傾向:よろしくチューニング!!


ttp://uproda.2ch-library.com/src/lib064560.zip.shtml

271 :名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 15:26:13 ID:qIsPKsH/
>>270
だめやんwww

272 :名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 18:19:24 ID:sAhdgAKT
最早ネタの鮮度的な意味で18禁のスレになりつつあるw

273 :名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 00:36:36 ID:7LpXo1Vh
>>271 最近はダメキャラばかりやん

274 :名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 00:51:12 ID:/OQ26oxo
バッテリーの処理とかぶっちゃけプリウスは
トータルで絶対エコじゃないだろ。
弟のプリより正直俺のR32オーテックの方がエコな気がするぞ。

275 :名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 14:58:21 ID:nvV3oeaF
初プレイ時はアルファに萌え萌えだったけど久しぶりにやったらそこまででもなかった
運転能力低すぎなんじゃよ

276 :名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 16:54:43 ID:4ib5W3A0
無表情でブーーーーーッ

277 :名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 01:44:58 ID:bo6LjQyC
弟のプリより正直俺のR32オーテックの方がエコな気がするぞ。>
それはない! プリウスどころかプリメーラにも勝てない!!
でもいいクルマに乗ってるね

278 :名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 02:21:31 ID:8Ycac/lk
プリメーラとか言われても妖精しか思い出せないよ

279 :名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 08:38:26 ID:09ZjQBzF
分かってしまう自分が悲しい

280 :名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 20:35:06 ID:bo6LjQyC
車名をパクったキャラで思い浮かぶのが
「レイアース」か「なのは」で世代が分かります

281 :名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 21:36:45 ID:ckq8VddD
>>280
プリンセスメーカーコミック版が浮かんだ私はー

282 :名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 07:51:36 ID:8H8uEZr5
>>280
VIPER-GTS-な自分はどの世代ですか><

283 :名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 19:30:31 ID:GOXHR38m
>>280
ソルティレイな俺は(ry

284 :名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 22:26:07 ID:IewC6zU0
おまえら…年齢ばれるぞ…

285 :名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 11:27:50 ID:T8D48DbM
もう三十路ですが、なにか?

286 :名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 21:39:54 ID:AjveFrwc
初代が18年前だもんなぁ
2作目でも14年

287 :名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 22:55:20 ID:xt1zkyzm
めたさがを購入した人間の半分以上は、旧MMからのファンだろうからね
ここの住人も、殆どが20代後半から40代前半じゃないのかな?

288 :名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 19:44:05 ID:8cdkUrb+
ワイルドアイズの記事で「なにこの神ゲー」と思い、発売されないとも知らずにDC購入。
発売されたもんだと思いゲーム屋を彷徨った挙句MSにたどり着いた自分が(ry

ジープやアメパト、コンボイやキャデに乗りたかったです(´・ω・`)

289 :名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 20:02:41 ID:3kprqo43
もう続編出ないのかな。
砂塵も鋼もあと3ヶ月開発期間が長ければ……

290 :名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 20:20:28 ID:nGNWiSoz
最近改造屋の気持ちが分かってきた
もう戦車で抜ける

>>288
ワイルドアイズの記事見たときはDC買おうかと本気で悩んだ
でも開発中止ってことを知って(´・ω・`)
箱○辺りで出してくれないかな…資金援助受けられるだろうし
俺がPS3とwii持ってないだけなんだが

291 :名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 22:32:46 ID:8cdkUrb+
>>290
最初に言っておく、野バスは俺の嫁だ!

箱○ならLive対応で欲しいな。
全世界のはんたたちと一緒に冒険したい。
それが無理ならWiiのVCでいいから初代〜MMRまでを出してくれ。
え?新宿エクスプレスがうるさいから無理?(´・ω・`)

292 :名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 22:34:44 ID:OcZNnVP/
>>289
せめて続編が出てくるならPSPかPS3で出てほしい
それとキャラと戦車を増やしてほしい


293 :名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 22:47:53 ID:dbpUTNzh
版権持ってるのが「スピードのサクセス」だからなぁorz

294 :名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 22:53:20 ID:nGNWiSoz
>>291
代わりにMMのゲパルトは俺が貰った
嫌がるゲパルトに無理やり主砲を取り付ける…これだけで興奮するぜ

295 :名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 23:03:11 ID:Xg9GIqf/
>>291
タイトル画面その他をちょっといじって
Wiiwearという手もあるぜ

296 :名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 08:47:31 ID:5K0hncCW
俺は続編なんてものはいいからとりあえずサーガの完全版をだな…

どうみてもローズエンド、カエデエンドがないのはおかしいだろ。
欲を言えばシャーリィエンドも欲しいがな

後、戦車の防御力がCユニットの防御で決まるとか
装甲タイルははるだけ無駄

とかいう糞仕様をなんとかw

297 :名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 11:01:22 ID:gzHwl3PP
>>296
おまえは大切なものを忘れている。忘れてはいけないものを忘れている。
 ア ル フ ァ エ ン ド だ !!
これが無かったら例えローズとカエデがあっても納得しない。
あと欲を言えば赤狐エンドとカールエンド、エミリエンドが欲しい。



298 :名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 11:11:53 ID:mNojzds4
フォールアウト3に乗り物要素があればなぁ

299 :名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 11:50:38 ID:nIwQqszL
ミサイルと最後のアレックスをもっと強くしてください
キャラ個別エンドは見てみたい気がするがメタルから大きく離れるような気も…
無駄にインテリア贈れるキャラが多いくせに中途半端にイベント消化不良で
幼馴染との結婚エンドないから不満が出る
没イベント入れて補足してくれればそれで満足なんだけどな

>>298
メタルマックスをFPSにしたらどうなることやら

300 :名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 19:59:45 ID:4h1vYLrc
とりあえず…戦車改造屋になりたいくらいクルマ好きな俺としてはボツになった幻のクルマたちを入れて欲しいです。
キューベルワーゲンとか、パトカーとか、コンボイとか、キャデラックとか…
コンボイに主砲やSEやら副砲やらメタルブレードやらを搭載して魔改造した姿は、
ランドオブザデッドのデッド・リコニング号みたいで最高にイカすと思うんだが。
それならバンを復活させてゾンビの暴走族の連中も再現しないと…

とか書くとミカさんがゾンビ映画について熱く語りだすからやめろってはんたが言ってた

301 :名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 10:32:50 ID:Htc8JSYD
>>299
レイチェルとの結婚イベントならあるぜ?

ttp://benzo.sakura.ne.jp/static/ms/event/Rachael.html

302 :名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 12:42:44 ID:4TrF4Rkz
ミカもあるな

まぁ、俺はレイチェルスキーだからレイチェルのイベントが優遇されてるので大満足!
なんだが、ローズもエンディングみたかったぜ…

303 :名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 13:32:09 ID:ibE4ed4K
頼む! ハーレムエンドも付けてくれ!!

304 :名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 14:50:43 ID:/Vh4Sodd
キリヤ「はんた……お前の主砲のメンテも一生俺が引き受けてやる」
ラシード「背中は、いやむしろ尻は俺に任せろ!」
ポチ「ハッハッハッ」

305 :名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 17:34:10 ID:XwcQo683
>>304
アッーーーー!!!

306 :名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 18:06:32 ID:+pxUChGD
>>304
タロウ「ワンッ!ワンッ!ワンッ!」
ベルナール「ガルルルル〜」
ラリー「クゥーンクゥーン}

307 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:03:13 ID:uCn/ASvo
METAL SAGA 〜new generation〜

 第3話「死の商人」


 サンサンと照りつける太陽の下、一人の少年が荒野を走るハイウェイをジッと見続ける。
 フード付きのマントを羽織り、軍用の高性能な双眼鏡を覗く。
 フードの陰から時おり見える、きらめく金色の髪。
 すっと通った鼻筋に、その下にある小さな唇。
 そして、透けるような白い肌。
 女の子と間違えそうな顔立ちの美男子。
 名は、カール=ベルディアと言う。
 彼は手頃な石に腰掛け、三脚に取り付けた双眼鏡で荒野を見つめ続ける。
 カールがいる小高い丘の上からは、荒野を走るハイウェイの全容がハッキリと見える。
「僕は、何をやっているのかな〜」
 強い日差しの下、カールは、ふっと思い出したように呟き、状況を観察していた。
 なぜ、こうなったかと言うと、やはりと言うかカールが一緒に旅をしているエミリが原因である。
 現在、カールとエミリが滞在している街の近くで、賞金首の目撃情報がハンターオフィスに流れた。
 それを聞きつけたエミリが、さっそくカールを連れて賞金首退治を提案した。
 反対したところで、エミリが勝手に行く事は予想できたので、カールも付いて行く事になったのだ。
 そして、賞金首の目撃情報のあった場所を張り込む事になったのである。
 だが、張り込む時になってエミリが『紫外線は乙女の天敵、張り込みはカール君がやってね』と言ってサッサと自分のクルマに乗り込んでしまった。
 仕方なく、一人で炎天下の中、いつ現れるとも分からない賞金首を待ち続けているカール。
 傍らに置いておいたバックからミネラルウォーターのボトルを取り出す。
「熱いな〜」
 ミネラルウォーターをガブ飲みしながら、額を流れる汗を拭う。
「ハァ〜、いつまでココに居ればいいんだろう・・・」
 本来であれば、ベルディア家の屋敷の部屋の中で、お抱えのメイド達に囲まれ優雅に暮らしていたはずなのである。
 空調の効いた部屋で、ミリタリー雑誌を読んでも良い。
 コレクションの戦車を一日中整備していても良い。
 それが何の因果か、汗を流しながら埃に塗れ、荒野にポツンと座っているのである。
 愚痴の一つも言いたくなるだろう。
(名声が欲しいのはわかるけど、僕を巻き込まないで欲しいな〜)
 そう思っても、ちゃんと面倒を見てしまう辺り、カールの優しさ、強いては甘さである。
 尻にしかれてるとも言うが。
 そんな、理不尽な事が延々と続くのかと思っていた時。
「んっ?」
 ハイウェイの彼方から、砂煙を上げて猛スピードで走ってくるモノがあった。
 双眼鏡を覗いたカールは、手に持ったミネラルウォーターを口の中に流し込むと、それを投げ捨て丘を駆け下り出した。
(来たッ!!!!)
 待ち望んでいたモノが現れた。
 30000Gの賞金首『カミカゼの騎士』
 丘の下に、ステルスシートで覆い隠しておいたパンターGのハッチを勢いよく開け、カールは操縦席に飛び込んだ。
 これで、炎天下の中から解放されると思いながら。

308 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:04:16 ID:uCn/ASvo

 ハイウェイ脇の大きな岩。
 その日陰に一台のバギーが停車していた。
 バギーの車内は、オートエアコンで快適な温度にされている。
「うへへ・・・・お兄ちゃ〜ん・・・・ムニャムニャ・・・・」
 運転席にエミリがシートを倒して横になって寝ていた。
 助手席では、エミリの相棒ポチが身体を丸めて昼寝をしている。
 車内には、スピーカーから『ルート99』のBGMが流れている。
 ピー! ピー! ピー!
 車内に通信機の音が響く。
「・・・・・んぁ?」
 身体を起こし、狭い車内で伸びをして眠気を追い出す。
 エミリは受信スイッチを指で押した。
 通信機から雑音と共にカールの声が聞こえてきた。
『・・・・・・・こちらカール・・・・・・・エミリちゃん・・・・・・・聞こえる?』
 エミリは発信ボタンを押した。
「こちらエミリ、どうしたのカール君」
『・・・・・・・・・賞金首を発見・・・・・・・・・現在追跡中」
「オッケー、そのままコッチに追い込みかけてよ」
『・・・・・・・了解』
 エミリは、ハーネスを付ける。
 キーをひねり、バギーのエンジンが力強いサウンドを奏でる。
 シフトレバーをドライブに入れると、バギーはゆっくりと走り出した。
 ハイウェイの上までバギーを走らせると、道路上で一時停止する。
 しばらくすると、前方からカミカゼの騎士が巻き上げる砂塵がもの凄い勢いで近づいて来た。
 ハイウェイを走るカミカゼの騎士の進路を塞ぐ形で、エミリのバギーが対峙する。
 エミリは、手にはめたグローブを締め直す。
 そして、オーディオを操作し、BGMを切り替える。
『ルート99』に替わりセレクトされた曲は、『お尋ね者との戦い』。
 指でリズムを取りながら、エミリはアクセルを踏みつけ、バギーは全速力で発進した。
 タイヤから白煙を上げながら、走るカミカゼの騎士に猛突進して行く。
 バギーとカミカゼの騎士との距離が、グングン縮まっていく。
「さぁ、来なさい、一発で決めてやるわ」
 バギーの主砲を発射する。
 それとほぼ同時に、カミカゼの騎士が蛇行運転をした。
 砲弾は、カミカゼの騎士には当たらず外れた。
 そして、カミカゼの騎士は、バギーの横を猛スピードで駆け抜ける。
「しまったっ!?」
 振り返るが、カミカゼの騎士は猛スピードで遠ざかって行く。
「逃がすかっ!」
「ワンッ! ワンッ! ワンッ! ワンッ!」
 突然、ポチが吠えた。
 エミリが視線を前に戻すと、前方から戦車がバギー目掛けて突っ込んできた。
 カミカゼの騎士を追っていた、カールのパンターGだ。
「うわぁっ!?」
 慌ててカールのパンターを避けようと、ハンドルを切りながらブレーキを踏みつける。
 タイヤが悲鳴をあげながら、氷の上を滑るようにしてパンターの横を通り過ぎると、バギーは道路を外れ路肩に停車した。
『エミリちゃん、大丈夫っ!?』
 スピーカーから、エミリを心配するカールの声が聞こえる。 
 エミリは事故りそうになった恐怖心よりも、怒りが強かった。
「こんの〜、あったまきたっ!」
 エミリはバギーをUターンさせると、猛スピードで駆け去って行くカミカゼの騎士を追い始める。
「待てーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
 追いかけるバギー、全速力で逃げていくカミカゼの騎士。
 カミカゼの騎士は、今日も元気に駆けていった。

309 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:05:29 ID:uCn/ASvo

 街に戻ったエミリ達は、酒場で次の算段を話し合っていた。
 最初は取り逃がした賞金首の情報を新たにハンターオフィスで得ようとしたのだが、カミカゼの騎士は、とあるモンスターハンターによって倒されてしまっていた。
「私の獲物、横取りされたっ!」
 エミリは、飲み干したコップを、タンッ! と音を立ててテーブルに置く。
 コップの中身がお酒なら、ハンターとして絵になるのだが、エミリは未成年のため中身はミルクである。
「仕方ないよ、モンスター退治は早い者勝ちだからね」
 カールは久しぶりのまともな食事、とは言っても合成ピザだが、を食べながら答える。
 ちなみにポチは、エミリの足元でわんわんグルメを食べている。
「これじゃぁ、お兄ちゃんに相応しいモンスターハンターになれないよ〜」
「・・・・? はんたさんみたいなモンスターハンターじゃなくて?」
 エミリは人差し指を立てて、チッチッチッと振ってみせる。
「カール君、お兄ちゃんみたいなハンターになる、それすなわち、お兄ちゃんのパートナーになれるって事じゃない」」
 そう言って、エミリはコブシを握り締める。
「そうすればお兄ちゃんと一緒に旅が出来るじゃない、お兄ちゃんのパートナーはあんな機械人形なんかより私が相応しいのよ」
「機械人形って、はんたさんが連れてたアルファの事?」
 かつて、はんたが連れていたアンドロイドの事を思い出す。
「そうよ、あのポンコツアンドロイドの事よっ!
 あんなポンコツアンドロイドが、お兄ちゃんのパートナーだなんて許せないっ!!」
 ドンッ! とコブシをテーブルに叩きつける。
「お兄ちゃんを守るのが、私のつとめなのよっ!」
 店内の客は、何事かと遠巻きで見守っている。
「お兄ちゃんは渡さない、お兄ちゃんは・・・・・・・・・・私だけのお兄ちゃんなんだからっ!」
 こうなると止められないので、カールはおとなしくしている。
「幼馴染の女でも、メガネッ娘でも、牛乳女でも、地味な巫女でも、1/1フィギアでも、ツンデレ女でもないっ!」
 エミリは椅子の上に立ち、熱弁を振るう。
「お兄ちゃんを幸せに出来るのは、他の誰でもないっ!」
 片足をダンッ! とテーブルの上に乗せ宣言する。
「この私なのよっ!」
 高々と宣言する。
 その様子に、近くにいた客が、ビクッ! と身を震わせる。
「今に、お兄ちゃんに相応しいのが誰なのか、ハッキリとわからせてやるわっ!」
(ツンデレ女って、まさか姉さんの事じゃないよね・・・・・)
 エミリの言動に、不安を覚えるカール。
「私とお兄ちゃんの幸せを壊すものはっ!」
 テンションの高くなったエミリは、ホルスターからダブルバレル・ソードオフ・ショットガンを引き抜く。
「このショットガンで、この世から消しさってやるわっ!!!!」
 ショットガンを握り締め、あっちの世界へ行ってしまったエミリ。
「いや、それはちょっと」
 さすがに、カールが待ったをかけるが。
「黙れっ!!! そして聞けっ!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハイ」
 エミリの一喝で、カールが小さくなる。
「お兄ちゃんの為なら、何をしても正義っ!!」
 ショットガンをかかげて叫ぶ姿に、近くにいたウエイトレスが身を引く。
「私のお兄ちゃんは、世界一ッィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
 エミリは力の限り叫ぶ。
「L・O・V・E・お兄ちゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんっ!!!!!」
 もはや、カールも、店のマスターも、ウエイトレスも、店内の客も、ポチでさえエミリの暴走は止められない。
「ビバお兄ちゃんっ!!!! ジークお兄ちゃんっ!!!! ハイルお兄ちゃんっ!!!!」
 こうして延々1時間近く、カールはエミリのお兄ちゃん愛を聞かされる羽目になるのであった。

310 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:06:41 ID:uCn/ASvo

 ハイウェイを走る、エミリのバギーと、カールのパンターG。
 二人は、この地域最大の都市『シクザールシティー』に向かっていた。
 ここの所の無駄足で、二人の所持金は底を尽きかけていた。
 今のエミリ達に必要なのは、新しい儲け話である。
 そこで、大都市ならば儲け話があると考えた。
 思い立ったら即行動である。
 だが、街を出たのが遅かった為、黄昏がエミリ達の上に広がり、地平線がほのかな紫色に染まり始めていた。
 闇が迫りつつあるハイウェイを走っていると、前方で一台のクルマが路肩に停まっているのが目に入った。
 そのクルマの傍らに、一人の青年が立っている。
 エミリは無線機でカールに通信を入れる。
「カール君、人が立ってる」
『こっちでも確認したよ・・・・・・どうする?』
 エミリは、ブレーキを踏んで速度を落とし、青年のそばに近づく。
 明るい金色の髪を肩で切り揃えられている。
 衣服は、スーツとズボン、ネクタイを締め、足には革靴と、とても荒野を旅するのに適しているとは言い難い。
「話かけてみる」
『わかった、気をつけて』
 エミリは、青年のそばにバギーを停めると、ドアを開けポチと共に外に出る。
 カールも警戒しながら戦車を降りる。
 エミリは、こちらに敵意が無い事を表すため、ホルスターのショットガンは抜かない事にした。
「どうかしたんですか?」 
 エミリは青年に話しかける。 
「クルマが動かなくなってしまって」
 青年の口調は丁寧で、紳士的な感じを受けた。
 エミリは、ポチをチラリと見る。
 特に問題は無い。
 仮に、青年が悪党であるならば、ポチが何らかのアクションを取っているはずである。
 唸ったり、吠えたり、噛み付いたり。
 だが、そのような兆候は見られない。
 悪い人ではなさそうである。
「故障ですか」
 荒野の真ん中で身動きが取れなくなる。
 それは、死を意味している。
 モンスターは、人間の気配を嗅ぎつけて集まってくる。
 モンスターハンターやソルジャーなら、モンスターに対抗もできるが、一般人にとってそれは死の宣告である。
「レンタルタンクを呼ぼうかと考えていた所だったんです、もしよろしければクルマを街まで牽引してもらえませんか? もちろんお礼は差し上げます」
「それなら丁度メカニックの連れが居ますから診させますよ、それでダメならクルマを牽引して行きますよ」
「メカニックが居るのかい?」
「彼、ああ見えてもメカニックなんですよ」
 エミリは親指を立ててカールを指差す。
「助かります、ぜひ、お願いします」
「わかりました、ちょっと待っててください」
 エミリはカールに命令すると、カールは文句も言わずにメカニックキットを取り出し青年のクルマに近づいた。
「うわ〜、キャデラックだー!」
 カールは、青年のクルマを見て瞳を輝かせた。
 それは、レトロなスタイルの乗用車をオフロード仕様に改造し、ボンネットにエンジンを剥き出しにしたキャデラックであった。
 メカニックとして、珍しいクルマに心躍る気分なのであろう。
 カールはウキウキしながら、キャデラックを調べ始める。
「シャシーはフィフティーズか、原因はエンジンの電子制御ジャンゴかな? それともCユニットのナビィ2011かな?」
「直りますかね?」
 青年がカールの後ろ姿を見ながら呟く。

311 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:07:33 ID:uCn/ASvo

「カール君に任せておけば大丈夫よ、あぁ見えてメカニックの腕だけは良いんだから」
「腕だけって・・・・」
 カールが渋い顔をする。
「そう言えば、まだ自己紹介をしていませんでしたね、ボクの名はヴォルフよろしく」
「私は、エミリ、モンスターハンターです、こっちはポチ、私の仲間です」
「ワンッ!」
 ポチがよろしくと挨拶をする。
 しばらくの間、キャデラックを調べていたカールが声をあげた。
「原因がわかりましたよ」
「わかりましたか」
 ヴォルフがカールの元へ歩み寄る。
「はい、やっぱりCユニットが原因でしたね、このナビィ2011は軽量なのが売りなんですが、軽さに見合った性能でして・・・・」
 説明をするカールと、説明を聞いているヴォルフ。
 その間、エミリは手を出さずにポチと共に見張りを勤める。
 こうした荒野で車両を修理する場合、モンスターを警戒するのは基本中の基本である。
「・・・・ところでヴォルフさんは、こんな所で何やってたんですか?」
 カールがCユニットを修理しながら聞く。
「ボクは、遺跡探索に来たんですよ」
「探索って、どこを探索する予定だったんです?」
 何の気無しにエミリが聞く。
「ここから東に少し行った所に、旧文明の施設があると言う情報があってね」
「旧文明の施設!?」
 カールが驚く。
 モンスタハンターと言っても、モンスターを倒すだけではない。
 旧文明の施設などの探索なども、モンスターハンターの大きな資金源になっている。
 未探索の施設などは宝の山である。
 普通は、そのような情報を同業者に話すことなど無い。
「一人でですか? あの見た所モンスターハンターには見えませんけど」
 スーツを着たモンスターハンターは居ないとは言い切れないが、そう居るものでもない。
「ボクはトレーダーでしてね、いつもならモンスターハンターやソルジャーを雇って探索するだけど、今回いなくて」
「ヴォルフさん、トレーダーって言いましたけど、どんな仕事をしているんですか?」
 エミリが興味本位でヴォルフに聞いた。
「そうだね、主に兵器の販売、石油の採掘なんかもやってるよ」
 俗に言う武器商人、少し悪い言葉にすると死の商人というものである。
 だがそれを批難しようとはエミリもカールも思わない。
 なぜなら彼らのような人がいなければ、人間はモンスターに対抗できないのだから。
「トレーダーなのに、何で旧文明の施設の探索の旅なんてしてるんです?」
「ボクは旧文明の情報を探しているんだ」
「旧文明の情報?」
 カールが修理の手を止める。
「そう、人類の歴史、科学技術、医療技術など、どんな情報でも欲しいんだ」
「どうしてです?」
 エミリがヴォルフの顔をジッと見る。
「現在、人類は過去の遺産を食い潰しながら生きている、でも今に遺産が無くなってしまうかもしれない。
 いや、無くなる日が必ず来る。だから過去を食い潰す前に新たにモノを生み出す技術を、情報を手に入れておきたいんだ。
 そして、旧文明の施設などから見つかる貴重な道具や情報を発掘や鑑定をしたりして、それらから新たなモノを作り出すんだよ」
「新しいモノって、例えばなんですか?」
 カールが質問する。
「身近なモノでは、例えばクルマ」
「えぇっ!? クルマって作れる物なんですか?」
 エミリにとって、クルマとは発掘するモノとの認識がある。 
「確かに一昔前までは、クルマは旧文明の失われた技術ロストテクノロジーとして、発掘するしかないモノだった」
 例外的に一部の専門家が戦車を作れるが、一般的には戦車は発掘するしかない。

312 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:08:31 ID:uCn/ASvo

「でも、今では大量生産は出来ないものの、クルマを作る事は可能になった、これも過去の技術を解析して出来た功績だよ」
「どんなクルマが作れるんですか?」
 メカニックのカールが、目を輝かせる。
「ワイルドバギー、バン、デマーグ、ハンビー辺りが売れ筋かな」
「ヴォルフさん、クルマも売ってるんですか?」
「売ってるよ、ピンからキリまで、安いクルマは2万Gくらいかな」
 スラッと言ったが、一般人にとって2万Gとは決して安い金額ではない。
 買うのはモンスターハンターや、トレーダー等であろう。
「クルマを作るのに鉄クズを多く使うから、鉄クズの買取もしているよ」
「ヴォルフさんって、ひょっとしてどこかのトレーダー組織の偉い人ですか?」
「まぁ、そんなところかな」
「それが、こんな所にいて良いんですか?」」
「優秀な秘書や、従業員がいるからね、たまに息抜きを兼ねて趣味の探索をしているのさ」
「どっかの誰かさんみたい」
 エミリは、横目でカールを見る。
「なんでそこで僕を見るのかな?」
「だって、カール君も家の事、全部ローズさんにまかせっきりじゃない」
「それは、エミリちゃんの旅に付き合ってるからで」
 カールが反論する。
「そう言えば、二人は一体どんな関係なんだい? 話を聞く限り兄妹って訳じゃないようだし、恋人同士かな?」
「違います」
 キッパリと否定するエミリ。
「それじゃ、友達かな?」
「カール君は、え〜と・・・・・・・・・・・・・友達? ・・・・・・・・いや仲間・・・・・・・かな?」
「何で疑問形なの」
「うっさいわね、カール君なんか便利道具1号で十分よ」
「酷いっ!」
 エミリの言葉に、がっくりとうな垂れるカール。
「それに、私には心に決めた人が、ちゃんとした恋人がいるんだもん、カール君が恋人なんて思われたくないもん」
「・・・・・・・・エミリちゃん、その人って」
 カールは聞かなくても分かっているが、何となく聞いてしまった。
「もちろん、お兄ちゃんに決まってるじゃな〜い」
 エミリは両手を頬に当て、身体をクネクネと揺らす。
「エミリちゃん、お兄さんがいるんだ」
 今度は、ヴォルフは質問した。
 エミリの、お兄ちゃん恋人発言は何気にスルーである。
「はい、お兄ちゃんは、それはもう、強くって、優しくて、カッコ良くて」
 軽く興奮しているのか、エミリは頬を赤らめている。
「へぇ〜、良いお兄さんなんだね」
「世界で一番のお兄ちゃんなんですよ〜」
 エミリは、それはもう満面の笑みを浮かべている。
「そうなんだ、ボクには妹がいてね」
「ヴォルフさん、妹さんがいるんですか?」
 エミリを無視してカールが聞く。
「いるよ、エミリちゃんより小さいんだけどね」
 カールはヴォルフの妹を想像してみる。
 きっと、ヴォルフさんのように礼儀正しく、可愛い子なのだろう。

 数分後。

「ふぅ、直りましたよ」
 幸い部品を数個、交換するだけでキャデラックの修理は完了した。

313 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:09:12 ID:uCn/ASvo

「ありがとう、君達には、ぜひお礼をさせて欲しい」
「そんなお礼だなんて、モンスターハンターとして当然の事をしたまでですよ」
 カールの横から、エミリがシャシャリ出てくる。
「(以外だな〜)」
 カールがエミリに耳打ちする。
「(何が?)」
「(エミリちゃんの事だから、てっきり修理費と言って法外な金額を請求するのかと思ってたんだけど)」
「(カール君、私を何だと思ってるのよっ!)」
 エミリの無言の肘打ちがカールの横腹に突き刺さる。
「・・・・・・・・・・・ッ!?」
 その場に蹲るカール。
「・・・・・・? カール君、どうかしたのかい?」
「いえいえ、何でもないですよ・・・・・・・そう言えば、探索する旧文明の施設って、軍事基地だった場所とか、バイオ研究所だった場所とかですか?」
 かつて、兄からそのような場所を探索した時の話を聞いていたエミリは、瞳を輝かせる。
「いや、そんな大それたモノじゃないよ」
「それじゃ、どんな所なんですか?」
「情報によれば、医療関連施設だよ」
「医療関連施設って言うと、ドラックとかドーピングとか扱ってるヤバイ施設とかなんじゃ・・・・・」
 エミリは、横のカールに聞いてみる。
「それは偏見だよ、エミリちゃん」
「ふ〜ん、そこって金目になるモノってあるのかな?」
「見も蓋もない言い方だな〜」
 エミリにとっては、場所よりもお宝の方が重要である。
「兵器関連のモノは無いと思うけど・・・・・・・・・・・・良かったら君達も来るかい」
「良いんですか?」
 ヴォルフの思わぬ申し出に、驚くカール。
「構わないよ、クルマを修理してくれたお礼代わりさ」
「やった〜、やっぱり人助けはするものね」
 金儲けの美味しい話に、エミリはすぐさま飛びついた。
「施設で見つけたモノの分け前はどうするんですか?」
 カールが冷静に聞く。
 報酬の分け前で揉めるのは、よくある話である。
「情報と、医学関連の書物以外は、君達にあげよう」
 それならば、カールも断る理由は無い。
「わかりました、よろしくお願いします」
「二人ともよろしく」
 青年、ヴォルフはそう言うと無造作に右手をさし出した。
 エミリ達の事を信頼してくれているのだろう。
 駆け出しのハンターでも、気安く他人に利き手を預ける真似はしないものなのだが。
「任せてくださいっ! このモンスターハンター、エミリが付いて行きますっ! 大船に乗ったつもりで安心してくださいっ!」
 エミリは、グローブを外すと、差し出されたアベルの手を握る。
「ッ!?」
 その瞬間、握った手から全身が寒くなるような感覚が襲い、エミリは一瞬息を詰まらせる。
 エミリは慌ててその手を放した。
「・・・・・・・・・・・・・? どうかしましたか?」
 ヴォルフが不思議そうな顔をしている。
「いえ、何でも無いです、せ・・・・静電気かな? 何かバチッて来たような」
 必死に誤魔化した。
 今の感覚は、何だったのであろうか?
 それは、今のエミリにはわからなった。

314 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:10:03 ID:uCn/ASvo

 鼻孔をくすぐるコーヒーの香りに、エミリの閉じていたまぶたがゆっくりと開かれる。
「・・・・・・・・・・・・・ふにゃ?」
 自分がいつの間にか寝てしまったのだと気づいて、エミリは寝袋から身体を起こした。
 寝起きで、ボーとする意識。
 横を見ると、ポチが丸まって寝ている。
 辺りを見回すと、破壊された飲み物の自動販売機、砕け散ったガラス製のテーブルやパイプ椅子が散乱している。
 ここは、荒野に取り残されたガソリンスタンドの室内である。
 エミリ達が目指していたのは、旧文明の医療関連施設である。
 施設のある場所は、ヴォルフが知っているので荒野を無駄に彷徨う事も無く、彼のクルマの後ろを付いて行った。
 その途中、荒野にポツンと残っていたガソリンスタンドを見つけのである。
 目的地まではまだ距離があり、夜では探索も困難になるので、ヴォルフの提案でここで野宿をする事になったのだ。
『ちょっと散らかってるけど、クルマの中で野宿するよりずっとマシね』
 クルマの中で寝ると疲れが取れず、身体が痛くなるのでエミリはこんな場所でも喜んだのを思い出した。
 寝袋から起き出し、グ〜っと伸びをして眠気を追い出す。
 先ほどから室内に香るコーヒーの匂いの元を探すと、開け放たれた隣の部屋からカールが顔を出した。
「エミリちゃん、おはようー」
「・・・・・・・・・・おはよ〜・・・・・・・・・・カ〜ル君」
 カールの問に、エミリは眠そうな顔で静かに答えた。
「いま、ヴォルフさんがコーヒーを入れてるけど、エミリちゃんも飲む?」
 エミリは、無言で頷いた。
「OK、ヴォルフさん、エミリちゃんの分のコーヒーも入れてくれませんか〜」
 そう言いながら、隣の部屋に消えるカール。
(そういえば、二人が気を使ってくれたんだっけ)
 その時、エミリは昨夜寝る時に、カールとヴォルフが気を使って隣の部屋で寝てくれていた事を思い出した。
(二人とも、乙女心が判ってるじゃない)
「おはよう、エミリちゃん、よく眠れたかい?」
 隣の部屋から、ヴォルフがコーヒーカップを持って入って来た。
「おはようございます、ヴォルフさん」
「はい、モーニングコーヒーだよ」
 ヴォルフからコーヒーカップを受け取る。
「朝ご飯を作っているから、出来上がったら呼んであげるよ、それまでゆっくりしていてね」
 ヴォルフは、そう言い隣の部屋に移動した。
 エミリは、今現れた青年の事を考える。
 死の商人、ヴォルフ。
 昨日、彼の手を握った時、エミリが何らかの違和感を感じ取った。
 それが何なのかは、エミリにも判らない。
 ただ、ヴォルフとは初対面のはずなのに、どこかで会ったような気がしていた。
 それは、既視感のようでもあり、違うような何とも表現しづらい感覚であった。
 ヴォルフの物腰や言葉使いは紳士であり、相手に常に敬意を払う好人物である事は疑いようが無い。
 だから余計に、気になってしまうのである。
 全身が寒くなるような、あの感覚。
 あえて言うのであれば、何か嫌なものが通り抜けような感覚。
 不意に、足元で寝ていたポチがのっそりと起き上がる。
「ワフ〜ン」
 ポチの大きなアクビの声が、エミリの思索を中断させた。
 人間の評価に迷った時は、ポチに選ばせるとエミリは決めている。
 ポチの勘を信じているのだ。
 そのポチが警戒していないのだから大丈夫だろう。
 そう思いながらコーヒーを口に運ぶ。
 そして、あの事は気のせいだと自分に言い聞かせた。

315 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:11:01 ID:uCn/ASvo

 ガソリンスタンド跡で一泊したエミリ、ポチ、カールは、ヴォルフの案内で医療関連施設に辿り着いた。
「ここが、医療関連施設? なんか地味ね〜」
「わんっ」
 医療関連施設の駐車場にクルマを止めて、外に出たエミリの最初の感想がそれであった。
 医療関連施設は、手前にシンプルな四角い建物と奥にはドーム型の建物が建っていた。
 手前は、事務所の様であり、事務所から奥が医療関連機器が置いてあるメインエリアであろう。
「派手な医療関連施設って聞いたこと無いけど」
 探索の準備をしながら、カールがツッコミを入れる。
 エミリは、腰のホルスターからダブルバレル・ソードオフ・ショットガンを引き抜く。
「ヴォルフさん、武器は持ってますか?」
 エミリは、グリップ上部に配置されたオープンレバーを右にスライドさせ、オープン状態にして銃身を折り曲げ、弾薬を確認しながら聞いた。
「心配無用さ」
 ヴォルフはそう言うと、スーツをチラリッと開いてみせる。
 彼の腰にはガンベルトが撒かれており、ホルスターにはピースメーカーが収まっている。
「事務所の入り口が開いてるよ、さっそく、入ってみましょう」
 エミリが事務所の入り口に足を進める。
「エミリちゃん、待って」
 カールが呼び止めるが、エミリはそのままポチと一緒に中に入って行ってしまった。
「こう言う建物の場合、入り口にセキュリティーシステムが設置されている場合が多い、彼女が危険だ」
「何でこう、後先考えずに行動するかな〜」
 メカニックキットからブーメランスパナを取り出し、慌てて後を追うカールとヴォルフ。




「エミリちゃんっ!」
 カールとヴォルフが事務所に入ると、エミリは入り口からすぐの所にポチと一緒に立っていた。
「探索する時は、単独行動は厳禁だよ・・・・・・・・・・って、何見てるの?」
「カール君、見てよこれ」
 エミリが指差した所を見ると、そこには、監視カメラとガンホールが破壊されていた。
「これは!?」
「エミリちゃんが破壊したって訳じゃないよね」
 ヴォルフとカールが、ジッとエミリを見る。
「入ったら、もう壊れてたのよ」
 カールが破壊されたガンホールを調べる。
「断言はできないけど、ここ最近壊されたみたいだ」
 ガンホールは、何か鋭利な刃物で斬られたようであり、監視カメラは大型銃のようなもので撃ち壊されていた。
「(カール君、わたしここ最近で、こんな事する人見たことある)」
「(奇遇だね、僕も同じ事を考えてたよ)」
 エミリとカールには、黒髪の女性が頭に浮かんだ。
 事務所のホールは、受付カウンターがあり、その横にはソファーやテーブルが、その後ろには自動販売機が置かれている。
 ソファーやテーブル等が置かれている待合所の奥にはドアがあり、ここから奥のメインエリアへ行けそうである。
「自動販売機、発見っ!」
 エミリがダダダダッと駆け寄ると、バンッバンッと叩き始める。
「動いてない、電源が入ってない」
 あれこれと自動販売機を調べるエミリとポチ。
「まったくもう、緊張感無いんだから」
 カールとヴォルフは、受付カウンターの中を調べる。
 ガンッ! ガンッ! ガンッ!
 破壊音にカールが振り返ると、エミリが自動販売機の開閉パネルの留め金をバールで壊し、中からジュースを取り出していた。
「カール君、旧文明の缶ジュースよ! これは高値で売れるわよ!」
 エミリは盗り出した缶ジュースを持ってきたバックの中に入れていく。

316 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:11:54 ID:uCn/ASvo
10
 エミリが自販機荒らしをしている間、カールとヴォルフは受付カウンターの奥にあった部屋の中に入っていった。
 ホールには、エミリとポチが残される。
 盗り出した缶ジュースを一つ一つ調べていると。
「ワンッ! ワンッ! ワンッ!」
 突然、ポチが唸り声をあげて激しく吠えた。
「んっ? どうしたの、ポチ?」
 エミリがポチの視線の先を見ると、待合所の奥のドアが開かれ中から何かが飛び出した。
 ガソリン等を入れるポリ缶に六本の足が付いたモンスター『うろつきポリタン』であった。
 見るとドアからもう一体、計二体のうろつきポリタンが現れた。
「うわぁっ! モンスターだーっ!」
 エミリが叫ぶと同時に、ポチが一体のうろつきポリタンに向かって飛び掛った。
「ガウッ! ガウッ! ガウッ!」
 ポチとうろつきポリタンが、取っ組み合いになる。
「ポチッ!」
 エミリがポチに駆け寄ろうとした時、もう一体のうろつきポリタンが、ノズルからエミリに向かって火球を発射した。
 ポンッ!
「きゃぁっ!」
 エミリは、身体を捻り間一髪、火球を避ける。
 火球は、自動販売機に当たると、ボンッ! と音を立てて小さく爆発した。
 そして、うろつきポリタンは、エミリにタッタッタッタッタッタッタッと駆け寄ると体当たりを食らわせた。
 ドンッ!
「うわぁぁぁぁっ!!!」
 バランスを崩していたエミリは、うろつきポリタンの体当たりをまともに食らってしまい、後方に吹き飛ばされる。
 お尻から地面に倒れ、そのまま後方にゴロゴロと転がり仰向けになって止まった。
「痛っ」
 体当たりを食らった胸辺りを押さえ、身をよじる。
 エミリを突き飛ばしたうろつきポリタンは、パタパタとその場をうろつく。
「こ・・・・・・このっ」
 首を持ち上げ、自分を突き飛ばしたうろつきポリタンを睨みつける。
 うろつきポリタンのうろつく行為に、自分がバカにされた様な気がしたのだ。
 その時、エミリはショットガンを落とした事に気が付いた。
(やばっ!)
 慌てて辺りを見ると、後方にショットガンが落ちている。
 うろつきポリタンを見ると、うろつきポリタンはまだうろついている。
「くっ」
 エミリは倒れたまま手を伸ばし、ショットガンを拾おうとするが届かない。
 すると、うろつきポリタンがピョンッピョンッと飛び跳ねると、再びタッタッタッタッタッタッタッとエミリに向かって駆け出した。
(も、もう少し・・・)
 エミリは這いつくばり、精一杯右手を伸ばした。
(届けっ!)
 右手の指先がショットガンに届く。
 エミリは右手でショットガンを握ると、身体を回転させ倒れたまま上半身だけを持ち上げた。
 うろつきポリタンが目前に迫る。
 腕を伸ばし、ダブルバレル・ソードオフ・ショットガンを構える。
 照準も何も無い、撃てば当たる距離だ。
 エミリの持つ、ダブルバレル・ソードオフ・ショットガンは、トリガーが左右独立しており、前のトリガーを引くと左銃身が、後ろを引くと右銃身が弾丸を発射する。
 エミリは、ショットガンをうろつきポリタンに向けて、前後のトリガーを一度に引いた。
 ダブルバレル・ソードオフ・ショットガンの、左右の銃口が青白い閃光を放つ。
 バゴンッ!!
 フロアーに雨が叩くような勢いで、四散したうろつきポリタンの破片が後方に飛び散る。
 至近距離で発射された12ゲージショットシェルの高速ボールベアリング弾が、うろつきポリタンを木端微塵に粉砕したのだ。
「はぁ・・・・・・・はあ・・・・・・・ざまぁみなさい」
 ショットガンを構えたままで居ると、騒ぎを聞きつけたカールとヴォルフの二人が受付カウンター奥の部屋から飛び出してきた。

317 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:12:57 ID:uCn/ASvo
11
「エミリちゃんっ! 一体何がっ!?」」
「見ての通り」
 エミリは破壊されたうろつきポリタンを指さす。
「大丈夫かい? 怪我は無い?」
「はい、大丈夫です、ヴォルフさん」
 エミリは、カールの差し伸べられた手を握り立ち上がる。
「そうだ、ポチは!?」
 ポチは、もう一体のうろつきポリタンと、取っ組み合いをしていたはず。
 すぐに辺りを見回し、ポチの姿を探す。
「ワンッ! ワンッ!」
 ポチが尻尾を振りながらエミリに駆け寄ってくる。
「ポチ、良かった無事だったのね」
 見れば、破壊されたもう一体のうろつきポリタンの残骸が残されていた。
「結構、モンスターが入り込んでるみたい」
 エミリは、ショットガンのグリップ上部に配置されたオープンレバーを右にスライドさせ、オープン状態にして銃身を折り曲げ、空薬莢を抜き取る。
「そうだね、単独行動は危険だ、お互い出来るだけ離れないようにしよう」
 カールの言葉に、ショットガンに新しい弾丸を込めながらエミリは頷いた。
 エミリ達は、建物の探索を後回しにして、まずは建物内のモンスターを退治して安全を確保する事にした。
 侵入者撃退用のセキュリティーシステムは、その全てが破壊されているようであるが、その分建物内にモンスターが入り込んでいた。
 ポチを先頭に、カールとヴォルフが左右に並び、後ろにエミリが付いて行く。
 正面の敵にポチが飛びかかり、ヴォルフが射撃で倒す。
 ヴォルフは、腰のガンベルトに収めたピースメーカーを、目にも止まらぬ抜き撃ち連射する。
 パンッ! パンッ! パンッ! パンッ! パンッ! パンッ!
 引き金を引いたままでピースメーカーを抜き、撃鉄をもう一方の手で連打することで高速に連射する「ファニング」と呼ばれるテクニックだ。
 乾いた音と共にモンスターの身体に小さな穴が開く。
 トレーダーとは思えない、見事な腕前である。
「えいっ!」
 カールは、勢い良くブーメランスパナを投げつけた。
 ブーメランスパナは、ギュンッと、銀色の旋風が空を斬りモンスターを粉砕し、弧を描きカールの手に戻ってくる。
 ヴォルフの弾丸が無くなり、装填するあいだ、カールがブーメランスパナでフォローする。
 そして、エミリの持つショットガンの拡散弾が敵全体を掃討する。




 奥に進むにつれて入り込んだモンスターは減り、一番奥のドーム型の建物に入る頃には、モンスターの姿は無くなっていた。
 入り口付近では、モンスターがいたが、この辺りまでは入り込んでいないようである。
 こういう所の重要な部屋には、強力なセキュリティーシステムがあるものである。
 エミリ達は慎重に、施設の中を進んで行く。
 そして、予想通り、施設の最深部と思わしき場所には、強力なセキュリティーシステムが存在した。
 いや、存在していた。
 機銃が付いていたらしき柱は弾丸で削り取られ、防衛システムらしき球体は真っ二つに切り裂かれていた。
 それは、ここを守っていたセキュリティーシステムの成れの果てであった
「こんなセキュリティーシステム、見た事ないわよ」
 通常、セキュリティーシステムと言えば、監視カメラ、ガンホール、スネークホール等。
 強力なセキュリティーシステムでも、レーザーアイ、ソニックスタナー、バルカンホール、ゴーゴンホール等である。
 だが、今エミリ達の前にあるセキュリティーシステムは、それらの物より遥かに強力そうであった。
「これは、ブラドコングロマリットの作ったガーディアンに似ていますね」
 防衛システムの残骸を調べていたヴォルフが呟く。
「カール君、ブラドコングロマリットって、例の」
「うん、大破壊前、かつて世界最大の企業の名前がブラドコングロマリットだよ」

318 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:13:41 ID:uCn/ASvo
12
 防衛システムの奥には、何やら重要そうな鋼鉄の扉がある。
 鋼鉄の扉は、ロックがかかっていたが、何か鋭利な刃物で切り裂かれたようになっていた。
 何者かが、力技で強引に中に入ったようである。
「凄いですね、一体ボク達の前に、誰がここを訪れたんでしょう?」
 切り裂かれた扉を調べるヴォルフ。
「(これ壊したの、あの人なのかな?)」
「(何言ってるのよカール君、戦車斬ったくらいなんだから、鋼鉄の扉くらい楽勝でしょう)」
 エミリとカールがヒソヒソ話しをしていると、ヴォルフが部屋の中を覗き込む。
「どうやらここが、コントロール室みたいですね」
 防衛システムの奥の部屋へと足を踏み入れたエミリ達。
 その部屋は巨大なモニターに、数十台のPCがズラリと並んでいた。
 本棚には医療に関する、色々な資料が並んでいる。
 コントロール室には、モンスターのいる気配は無く、人がいる様子も無い。
 デスクの上に置かれていた分厚い本をエミリは、適当に一冊手に取り、パラパラとめくって見たが、すぐに閉じてしまった。
 中に書かれているモノは、エミリには難しすぎて5分も読んでいれば熟睡出来るだろう。
 整理棚の中には、割れたビンが散らばっている。
 ヴォルフがPCのキーボードを叩く。
 ディスプレイに映し出される情報に、ヴォルフは釘付けにされている。
 エミリにとっては価値の無い部屋であるが、ヴォルフにとっては宝の山なのだろう。
「どうです? 何か役立ちそうな情報でもありますか?」
 ヴォルフの後ろから覗き込むようにカールが聞く。
「まだ何とも言えないけど、この施設は医療機器の注文や発注を受ける会社みたいだ・・・・・ボクはしばらく、ここのコンピュータを調べてみますよ」
「手伝いましょうか?」
 メカニックであるカールは、コンピュータにも強い。
「大丈夫ですよ、君達は他の場所を調べてくれませんか」
「それじゃ、私とポチとカール君は、まだ調べてないもう一棟の建物を調べて来ますね」
 実は、ドーム型の建物に来る途中で、渡り廊下を見つけていた。
 どうやらドーム型の建物の横に、もう一棟建物があるらしい。
 案内図で調べたところ、そこは二階建ての職員用宿舎になっているようなのである。
 ヴォルフのお宝は情報でも、エミリとポチ、カールのお宝はあくまでお金になる物である。
「モンスターの気配はしませんけど、気をつけてください」
「大丈夫ですよ、ここに来るまでにモンスターは全部退治しちゃいましたから」
「そうですね、軍事関連施設や、研究施設などの場所ならともかく、ここはただの医療販売会社みたいですから危険なモノは無いと思いますけど・・・・・・」
「何か危険なモノでもあったんですか?」
「以前、別の場所を探索した時に、タンスかと思ったらタンスゴンで食べられそうになりました」
「うはぁ」
 ただの家具でも油断は出来ないと言う事である。
「一番驚いたのは、台所に襲われた時ですよ」
「台所?」
「キラーキッチンと言って、ボクを料理の材料と思ったんですかね、流し台や電子レンジ、冷蔵庫が襲って来ました」
「「怖っ!」」
 それは、本気で怖い出来事だ。
 そして、エミリとポチとカールは、ヴォルフをコントロール室に残し、職員用の宿舎を探索する事にした。




 エミリ達は、渡り廊下まで戻り、職員用の宿舎に移動する。
「あの人は、こっちを探索しなかったみたいだね」
「そうだね、こっちを探索してたら入り口も向こうと一緒で切り裂かれてたはずだし」
 渡り廊下の先、職員用の宿舎の入り口には、電子ロックがかかっていた。
「ん〜、IDカードが無いと入れないみたいね」
 仕方なくIDカードを探す為にエミリとポチは一旦引き返す。

319 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:14:29 ID:uCn/ASvo
13
「エミリちゃん、ちょっと待って」
 それをカールが呼び止める。
「なに?」
「これくらいの電子ロックなら、僕が開けられるよ」
「どうやって?」
「こうやってさ」
 カールは携帯型のコンピュータを取り出すと、配線を電子ロックに繋ぎキーボードを叩き始める。
 後ろから覗き込んでみるが、ディスプレイには数字っぽいものがズラズラと並んでいてエミリにはチンプンカンプンであった。
 そして、ほんの少しした後。
 ピッ! ピッ! ピッ! ポーンっ!
 電子ロックが開いた。
「開いたよ」
「何々、今何やったの?」
「少し、コンピュータをハッキングしただけだよ」
「凄いじゃない、見直しちゃった、ただの戦車オタクじゃなかったんだ」
「戦車オタクって・・・・」
 褒められているはずなのに、なぜか悲しくなるカール。
「よーし、さっそく探索開始よ」
 意気込んで職員用の宿舎の中に入ったエミリ達は、探索を始めた。
 宿舎の中は、ドーム型の建物の無機質な感じと違い、どこか親しみのある感じがした。
 手近の扉を調べる。
 扉はずっしりとした木製で腐っておらず、高価そうな材質のようである。
 カールが取っ手をガチャガチャいわせたが、扉は開かなかった。
 扉には、管理人室と金属製のプレートが打ち付けられている。
「カギがかかってる、当たり前か、入り口が閉まってたんだから」
「カール君、開けられないの?」
「電子式ならさっきの方法で開けられるけど、こんなアナログ式の物を開けられるピッキング技術、僕には無いよ」
「んじゃ、これしかないわね」
 エミリはショットガン構える。
「ちょっ!? まっ!?」
 カールが慌ててドアから離れる。
 エミリは、ドアノブに向けてショットガンを発砲した。
 バゴンッ!
 ドアノブ周りのフレームが砕け散り、ドアをロックしている内側の四角い金属がむき出しになる。
「ふもっふっ!」
 エミリはドアノブを力任せに引っ張ると、バキッ! っと音と共に錠が外れてドアが開いた。
「ほら開いた」
「何て無茶を・・・」
 ドアを撃つのは漫画みたいに簡単ではない、跳ね返ってくる弾丸で怪我するかもしれないのだ。
 カールの心配を余所に、エミリか管理人室に入って行く。
 管理人室の中は、ベット、デスク、本棚、ロッカーがその部屋の全てであった。
 壁にはこの宿舎の見取り図が書いてあった。
 カールが本棚に目を通し、エミリはこれまた木製の高級そうなデスクを調べる。
 一番上の引き出しを開けようとしたが、鍵が掛かっている。
 鍵が掛かっている=何か大事なモノがある。
 すぐにそう思ったエミリは、迷う事無く引き出しに向かってショットガンを発砲した。
 バゴンッ!
 デスクが砕け散り、引き出しの鍵の部分が吹き飛ぶ。
 エミリは引き出しをデスクから引きずり出すと、中身を調べ始めた。
 その様子を見てカールは思った。
(エミリちゃんも、あの人に負けないくらい力技で探索するな〜)
 普通は、スペアキーを捜したりするものだが、いきなりショットガンを撃つのだから十分力技である。
 エミリに、フェアプレイの精神と言うものは無い。
 結果良ければ、全て良しである。

320 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:15:13 ID:uCn/ASvo
14
「あった、あった」
 エミリはそう言いながら、引き出しの中から鍵の束を持ち上げて見せた。
 鍵にはナンバーが書かれており、壁の見取り図に描かれている部屋のナンバーと一致した。
「それじゃ、カール君は一階を探索して、私とポチは二階を探索するから」
 エミリは鍵の束から一階の部屋の鍵を数個外し、カールに渡す。
「うん、それじゃ、何かあったら大声で呼んでね、すぐに行くから」
「わかったわ、ポチ行こ」
「ワンッ」
 エミリとポチは、さっそく管理人室を出る。




 エミリは、廊下から階段を上り、二階に移動する。
 ショットガンの弾丸を装填し直すと、さっそく手近の扉を調べる。
 取っ手をガチャガチャいわせたが、当然扉は開かなかった。
 先ほど見つけた鍵の束を取り出し、扉の金属製のプレートに書かれている番号と一致する鍵を探す。
 ロックを外し、室内に足を踏み入れた。
 部屋の中は、色々な日用品が混在している。
 ざっと見たところ、危険は潜んでいない。
 ベット、デスク、クローゼット・・・・・・・。
 エミリは、つい先ほどヴォルフに言われた事を思い出した。
 部屋に置いてあるクローゼットは、ひょっとしたらモンスターなのではないか?
 チラリとポチを見る。
 ポチは、ベットの横にあるゴミ箱をひっくり返し、中に捨ててあったおそらくお菓子の袋をフンッフンッと嗅いでいる。
(ヴォルフさんも、探索前にあんな怖い事言わないで欲しいな〜)
 エミリは、勇気を振り絞ってクローゼットの前まで移動すると、ショットガンを向けながら思い切って開けた。
 クローゼットの中には、染みだらけになった白衣や私服が数点かけてあった。
 その服の下に、ハンドバックが置いてある。
 ハンドバックを取り出し、中身をデスクの上に空ける。
 数本の万年筆、手帳、壊れた電卓、クシャクシャのレシート等、金目になりそうなモノは無い。
 その中に、エミリの目を引くモノを発見した。
「こ、これはっ!?」
 エミリは、ソレを掴んでマジマジと見つめる。
「これは、乙女の憧れ・・・・・・・・・・・・・いちごの口紅っ!!!」
 使えば、女らしさがアップする魔法のアイテムである。
「ふっふっふ、これを塗ればお色気アップ! これを使えばお兄ちゃんもメロメロよ〜、うふっ、うっふっふっふっ・・・・」
 いちごの口紅を握りながら、エミリは悪い笑みを浮かべる。
 さらに、ハンドバックの中から化粧箱も見つけた。
「ちょっと、試してみようかな〜」
(鏡ないかな〜)
 辺りをキョロキョロと見回し、入ってきた扉の横に小さめの扉を見つけたので開けてみる。
 そこは浴室であった。
「あった、あった、鏡、鏡〜」
 エミリは鏡に向かって立つと、化粧を始めた。
「えへへ、レイチェルが塗ってるの見て、私も欲しかったんだよね〜」
 以前、実家の隣に住んでいるレイチェルが、これと同じいちごの口紅をして、兄のはんたと話しているのを見たのだ。
 その様子を、エミリは物陰から眉をひそめ、レイチェルを睨みつけていた。
 エミリは、レイチェルに嫉妬した。
『何、お兄ちゃんを誘惑してるのよ、殺すわよっ!!!!』
 その時のエミリは、レイチェルに本気の殺意を抱いていた。

321 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:15:55 ID:uCn/ASvo
15
「レイチェルなんかに負けるもんですか、お兄ちゃんは私のものなんだから」
 鏡に向かって独り言をブツブツ言いながら、いちごの口紅を唇に塗っていく。
 エミリの唇がイチゴ色に染まる。
「ん〜、少しはみ出ちゃったかな? もう少し多めに塗った方がいいのかな?」
 なんせ化粧などした事が無いエミリは、母親のニーナが時おりしているのを思い出しながら、アレコレと試行錯誤する。
「わんっ、わんっ」
 エミリが、熱心に鏡に向かって悪戦苦闘していると、ポチが浴室に入ってきた。
「あっ、ポチ、見てみて可愛い?」
 振り返ったエミリの顔を見たポチは、全身の毛を逆立てると悲鳴をあげて逃げ出した。




 カールは一階の部屋を調べていた。
 一階の部屋も、エミリが調べていた部屋と大差ない。
「うわぁ、旧文明のミリタリー雑誌、しかも戦車特集だー!」
 デスクの上に置かれていたミリタリー雑誌を見つけたカールは、大喜びしていた。
「これは売らずに、僕の宝物にしよう」
 ミリタリー雑誌を、バックに入れるカール。
 バックの中には、先に見つけたボロボロの携帯電話が入っている。
 大破壊前の時代に使われていたものだろう。
 それと台所では、冷蔵庫の中からわんわんグルメ。
 流しの下から、未開封の20世紀のワインを4本、昔のウイスキーを2本見つけていた。
 酒場で、高値で売れるモノだ。
「キャインッ! キャインッ! キャインッ!」
 不意に、廊下からポチの悲鳴が聞こえてきた。
「んっ?」
 カールが不審に思っていると、ポチが部屋の中に入ってきた。
「どうしたんだい、ポチッっ!?」
 ポチは部屋の中に入ってくるなり、カールの後ろに隠れてしまった。
「ク〜ン、ク〜ン」
 ポチは、カールの背後で丸まって震えている。
 その様子はただ事ではない。
「ポチ、まさか、エミリちゃんに何かあったんじゃ!?」
 ポチがエミリの元を離れて逃げ出すなんて、余程の事が無い限りありえない。
 きっと、エミリちゃんは、何かとんでもない事に巻き込まれた可能性が高い。
 カールは、そう判断すると、急いで部屋を出ようとした。
 その時。
「ポチ〜、どこ行ったの〜?」
 廊下から、エミリの声が聞こえてきた。
 カールはホッとした。
 どうやら、取り越し苦労をしたようである。
「エミリちゃ〜ん、ポチならここだよ〜」
 カールが呼ぶと、廊下からパタパタと足音が近づいてきた。
「もう、ポチ、驚かさないでよ」
 カールは、振り返ると、足元で震えているポチを撫でてあげる。
「カール君、ポチ、ここにいるの?」
 エミリが部屋の中に入ってきたのが、背中越しに感じられる。。
「うん、一体何があったの?」
 カールが振り返り、そこに立っているエミリの顔を見た。
 その瞬間。
「ギャアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!」
 エミリの顔を見たカールは、絶叫した。

322 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:16:37 ID:uCn/ASvo
16
 コントロール室に一人残ったヴォルフは、生きているコンピュータを片っ端から調べていた。
 何者かが暗証番号の書かれた紙を置いておいてくれたおかげで、明らかに機密だと思われる資料にも簡単にアクセス出来た。
(誰か、ボクと同じ事を調べている人物がいるのか?)
 見当は付いている。
 おそらく、死神と呼ばれる凄腕のモンスターハンターであろう。
 コンピュータ画面にいくつものファイルが表示される。
 一つ一つ、ファイルを開いてみる。
 どれも旧文明時代の医療機器に関するものだ。
 しかし、今のヴォルフが欲しいのは、この情報ではない。
 ヴォルフは、エミリに旧文明の情報が欲しいと言った。
 確かにそれは嘘ではない。
 だが、今のヴォルフが欲しい情報は、これらの医療機器や情報を送っていた先である。
 この世界の裏に、ある巨大な組織の存在がある。
『地球救済組織』
 旧文明の情報を調べれば、必ずと言ってよいほどこの組織が絡んでくる。
 この世界に蔓延るモンスターたちは、この組織が生み出しているのではないかとの噂もある謎の組織だ。
 組織の組員は、人間は地球に巣食う害虫であると言い放ち、地球を救済するには人類は不要と各地でテロを起こしている。
 一年程前、ジッグラトと呼ばれる巨大なミサイル発射基地での事件にも関与していたとの情報もある。
(彼女も、あの情報を知って行動しているのだろうか?)
 ヴォルフは、地球救済組織が地球意思と呼ばれる、あるモノを復活させようとしているらしいとの情報を入手した。
 地球意志と呼ばれるモノがなんであるかは分からないが、旧文明の遺産であることは想像できる。
 ヴォルフは、その情報を知った時、組織が復活させようとしている地球意志が何であるのか興味が沸いた。
 そこで、ヴォルフは地球救済組織のアジトを探る為に、旧文明の施設を調べる事にした。
 この組織の多くの支部は、人の知らない旧文明の基地や研究所をアジトとしている。
 死神と呼ばれる彼女も、ここの情報よりもその送り先を調べていたはず。
 ヴォルフの考えが正しければ、ここの医療機器や情報を送っていた先には、組織の支部があるはずである。
 彼女がここを調べたのも、組織のアジトに関しての事だろう。
 彼女の事は、危険人物としてマークしているが、色々と組織の事についてかぎ回っているようで、どうやら組織とは敵対関係のようである。
 こちらの邪魔をしないうちは、泳がせておく予定だ。
 ヴォルフは、ディスクを取り出すと医療機器のファイルをコピーする。
 これはこれで、貴重な情報だ。
 ヴォルフはファイルをコピーしている間、別のコンピュータを操作し、ここから医療機器を送った施設を調べる。
 それほど時間が掛からない内に、商品の送り先の書かれたファイルを見つけた。
 画面上に地図を呼び出す。
 “大破壊前”の地図である。
 その地図で、商品の送り先の緯度と経度を調べると、自分の持つBSコンローラーに入力する。
 そして、“現在”の地図に送り先の場所が表示される。
(ここから、北西に約30キロ、シクザールシティー付近か)
 次の目的地は決まった。
 これで、ここでの目的は達成した。
 後は、ここの施設で使えそうな資料をのんびりと物色してから、次の目的地へ移動すれば良い。
 ヴォルフは、デスクの上に置かれていた分厚い本を適当に一冊手に取ると、ファイルのコピーが出来るまでの暇潰しの為に読み始めた。

323 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:17:23 ID:uCn/ASvo
17
「乙女の顔を見て叫ぶなんて、ほんと失礼しちゃうわ」
 エミリは、化粧箱に入っていた化粧落としで顔を洗い、元の顔に戻っていた。
「聞いてるの、カール君」
 本来、温和な印象を与える顔立ちを、鬼の形相に変えて怒るエミリ。
「・・・・ふぁい・・・・」
 カールの両頬は、真っ赤に膨れ上がっている。
 エミリの顔を見て、叫んだ後。
『ぎゃあっつったか今っ?!!!』
 怒ったエミリにカールは、これでもかと頬をブッ叩かれた。
「まったく、モンスターを見たような叫び声出して」
「(モンスターなんかより、よっぽど怖かったよ〜)」
 カールがポツリと呟く。
「何か言った、カ〜〜〜〜〜〜ル君?」
 凄味のある顔を近づけると、カールの襟首を引っ掴む。
「にゃにも、いっへましぇん」
 涙目で答えるカール。
「よーし、それじゃ探索を続けるわよ〜」
 手を放すと、エミリは部屋を出て探索を再開する。
「はぁ〜〜〜」
 カールが溜め息を吐くと、ポチがテコテコと近寄ってくる。
「ワフンッ」
 ポチが、あんたも大変だね〜、とでも言うように鳴いた。
「ポチ〜、行くわよ〜」
 廊下からエミリの声が聞こえると、ポチはビクッと身体を震わせ、そそくさと部屋を出て行った。
「ポチ・・・・・・・・君も苦労するね」
 部屋を出て行ったポチに、カールが呟いた。
 カールとポチの間に、友情が生まれた。




 数時間後。
「いや〜、大量、大量」
 いっぱいになったバックをカールに持たせて、エミリ達はコントロール室に引き返していた。
 宿舎の中を荒らし回り、金になりそうな物を片っ端から盗ったエミリは大満足であった。
「これらを街で売れば、当分旅の資金に困る事は無いわね」
 エミリは、カールが持っているバックをパンッパンッと叩く。
 バックの中には、酒場や道具屋で買い取ってくれそうな、お酒や電子部品が入っている。
「うん、かなりの価値があると思うよ」
「これで、また安心して、賞金首を追い掛け回せるわ」
「・・・・・・なんか、目的が違う気がするんだけどな〜」
 通常、モンスターハンターは、賞金が欲しくて賞金首と戦う。
 だが、エミリは、賞金が欲しくて賞金首を追いかけているので無い。
 あくまで、エミリは賞金首を倒した際の名声が欲しいのだ。
 名声が上がれば、それだけ兄のはんたに近づけると思っているから。
「まぁ、何にせよヴォルフさんに感謝しなくっちゃね」
「そうだね、あのままだと活動資金どころか、生活すら成り立たなくなる所だったよ」
 ハンターの収入は、他の職よりも格段に良いが、それは成功すればの話。
 収入も良いが、支出も多い。
 特にクルマや戦車の維持費には、多くのお金が必要である。
「今回は楽な仕事だったわね、セキュリティーシステムは破壊されてるし、お宝はそのまま残ってるし、血ドバーとかグロイのも無いし」
「さすがに、前回の様な事は、そうそうお目にかかれないと思うけど・・・・」
 ふと、カールは気になっていた事をエミリに聞いた。

324 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:18:12 ID:uCn/ASvo
18
「・・・・・・・ねぇ、エミリちゃん」
「・・・・・・・・・? 何?」
 エミリが立ち止まる。
「セキュリティーシステムを壊したの、あのカレンさんだよね」
 死神カレン。
 前回、盗賊団退治で出会った、モンスターハンターである。
「そうだと思うけど」
 切り裂かれたガンホール、撃ち抜かれた監視カメラなどが盗賊団退治で出会った彼女を彷彿させる。
 この施設に入ってから、エミリもカールも、この仕業は彼女がした事だと思っている。
「あの人、ここで何を調べてたのかな?」
 カールの疑問に、エミリが首を捻る。
「何でって、モンスターハンターが旧文明の建物を探索するのはおかしな事じゃないと思うけど?」
「そうだけど、こんなにお宝を残して行ってるんだよ」
 カールは、持っているバックを持ち上げてみせる。
 無理をしているのか、腕がプルプル震えている。
「それは、あれだよ、宿舎の入り口が開けられなかったんだよ」
「戦車を斬り裂ける人だよ、あの程度の扉ならロックを外す前に斬ってるよ」
 そしてカールが、自分が考えていた事を話す。
「僕の考えだと、あの人が言ってた『ノアシード』って言うのを調べてたんじゃないかな?」
「ノアシードって、あの人が言ってた・・・・・」
「うん、どんな物かは、わからないけど、あの人はそれを調べてたみたいだし、ここに来たのもソレを調べる為じゃなかったのかな?」
 ノアシードという単語に、エミリが少し考え込む。
「カール君・・・・・・・その、ノアシードなんだけどさ」
 エミリは、前回、気になった事をカールに聞いた。
「お兄ちゃんが戦った、ノアの残党って言うのと何か関係あるのかな?」
 エミリの兄、はんたがジッグラトと呼ばれる巨大なミサイル発射基地で戦った相手が、ノアの残党である。
 はんたから、ミサイル発射を阻止した時の話を聞いた時、エミリは、ノアの残党の事を聞いていた。
 もっとも、ノアの残党がどんなモノなのかと言う事は、くわしく知らない。
 知っているのは、ノアの残党が人類を抹殺しようした事だけである。
「う〜ん、ノアの残党と、ノアシード、名前が似てるから関係無いとは言い切れないと思うけど」
 そもそも、カールにしてもノアの残党が何者なのか詳しくは知らないのである。
 ノアシードにいたっては、それがどんな物なのかすら知らない。
 存在すら知らなかったのだから。
「僕は、かつて、大破壊を起こしたって言う巨大電子頭脳ノアに関係があるんじゃないかと思ってるけど」
「ノアの残党、巨大電子頭脳ノア、そしてノアシード、ひょっとしてこの三つは繋がってたりして」
 エミリが思いつきで発言したが。
「その可能性は、かなり高いと思うよ」
 ノア、ノア、ノアっとこれだけ同じ名前が出てくるのだ。
 繋がりが無いと思う方がおかしい。
 カールが考え込んでいると。
「まぁ、何にせよ私には関係無い事だから、ヴォルフさんと合流して帰りましょ」
 そう言って、エミリはこの話題を切り上げると、再び歩き出す。
「・・・・・・・・もし、関係があったら?」
 エミリの後ろ姿に、カールが問いかける。
「それは、お兄ちゃんが関わってたから?」
 カールは無言で頷く。
 はんたが、ノアの残党と事を構えた事は事実である。
 それが、エミリに飛び火してくる可能性はゼロではない。
「そのときは」
 エミリが腰のホルスターから、ダブルバレル・ソードオフ・ショットガンを引き抜く。
「お兄ちゃんに代わって、ぶっ潰してやるわよ」

325 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:19:07 ID:uCn/ASvo
19
 こうして、ヴォルフと合流したエミリ達は探索を終え、施設の外へと戻ってきた。
 施設から出ると、外は既に日が落ち辺りは暗闇に包まれていた。
 夜空を見上げれば、満天の星が輝いている。
 エミリ達は、ここを訪れた本来の目的を充分に果たす事が出来た。
 だが、クルマの置いてある駐車場に着いた途端、突然、エミリ達を何者かに取り囲まれた。
「何よ、こいつら」
 エミリ達が最初に考えたのは、他のハンターとの鉢合わせ、もしくは待ち伏せ。
 他人の見つけたお宝を奪っていく、ハンターの風上にも置けない質の悪い連中も世の中に少なくない。
 最初はそう思ったが、その者達の格好は普通ではなかった。
 全員、頭に機動隊ヘルムを被り顔面保護用のバイザーで素顔を隠し、臑当、篭手、アサルトアーマーを身に付け、MP5で武装している。
 性別も人相も定かではないが、体格からして男だろう
 ハンターやソルジャー、野盗と言うより特殊部隊といった感じだ。
 エミリは、腰のホルスターのショットガンに手を掛けた。
 その手を、カールが押さえる。
「(カール君!?)」
「(エミリちゃん、ここは不用意に動かない方がいい)」
 カールはエミリに囁くと、サッと視線を走らせる。
 ザッと数えて20名近くの武装集団に囲まれていた。
 武装集団が持つMP5が、エミリ、カール、ポチに向けられている。
 エミリが、チラリと自分のバギーを見る。
 クルマに乗り込みさえすればどうにかなるが、クルマに乗る前にMP5の集中砲火を受けそうである。
 エミリが辺りに視線を走らせていると、足元のポチが唸りながら身構えた。
 ポチが警戒態勢をしている。
 人間以上の勘を持つポチには、この者達が発する奇妙な気配に警戒していた。
 ポチの様子に、エミリとカールも只ならぬ空気を感じ取る。
 緊張した空気が場を支配する。
 動けずにいると、突然、ポンッとエミリとカールの肩が叩かれた。
 ビクッと身体を震わせ二人が振り返ると、ヴォルフが立っていた。
「ヴォルフさん!?」
「大丈夫だよ」
 そう言うと、ヴォルフが二人をかばう様に前へ進み出た。
「あ、危な・・・・」
 心配するエミリ達をよそに、ヴォルフが武装集団の前に立ち塞がる。
「銃を下ろしなさい」
 低く響くようで、それでいて不思議な威圧感のある声でヴォルフが命令した。
 彼らに向けたその目は、エミリ達に見せていた人の良い、優しい瞳ではなくなっていた。
 その瞳に宿った眼光の鋭さに、エミリもカールも息を飲んだ。
 すると、武装集団はエミリとカールに向けていたMP5を素直に下ろした。
「(えぇぇ〜〜!?)」
「(何で?!)」
 エミリとカールが、驚いていると。
「・・・・・・・・・・来ているのだろ、出てきなさい」
 ヴォルフは、武装集団ではない、何者かに向かって言った。
 20人あまりの男達が突然左右に分かれ、列をなしてビシッと整列した。
 その動きは、訓練された者の動きである。
 訳がわからず、事の成り行きを見守るエミリとカール。
 二人は、左右に割れた武装集団の向こうに、一人の少女の姿を確認した。
 暗闇の中から、少女が大柄な体格をした武装した男を従え、エミリ達の前に現れる。

326 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:19:45 ID:uCn/ASvo
20
 まだ年端もいかぬ幼子である。
 長い銀色の髪が、月の明かりを浴びて輝いて見える。
 頭部には白いレースや薄布を幾重にも重ねて作られたヘッドドレスが、長い銀色の髪に華を添えている。
 少女が身にまとっているのは、漆黒のドレス。
 スカートの裾は地面に触れそうに長い。
 ヘッドドレス、ドレスの襟元や袖口、スカートの裾などには、純白のレースやフリルがなどの装飾をふんだんに使われている。
 足には黒のロングブーツを履いている。
 何処から見ても、荒野にいるのは不自然な格好である。
 ポチが彼女を見るなり、激しく唸り声をあげる。
 牙を剥き出し、完全な戦闘態勢に入っている。
 他人を見て、ポチがこれほど敵意をむき出しにしているのは、エミリも初めて見る。
 エミリは、ポチのその姿を見て直感する。
 こいつは敵だっ!
「探しましたわよ」
 年相応の、可愛らしい幼い声で呟くように言い、少女はヴォルフの前に立つ。
「・・・・・・・・シゼル」
 ヴォルフが、少女の名を口にした。
(ヴォルフさんの知り合い?)
 エミリは、ヴォルフと、シゼルと呼ばれた少女を交互に見る。
「君が来ていると言う事は、あれを動かしたのか」
「えぇ、もちろんですわ」
 シゼルはそう言い荒野を指差した。
 エミリとカールが、その方向を見る。
「な、何よ、あの馬鹿デカイのは!?」
 エミリは、驚きで目を見開いた。
 指差されたその方向には、巨大な何かがあった。
 現在いる場所から、かなり離れているが、それでも輪郭が分かる程の大きさである。
 カールには、その巨大な何かが、何であるのかがわかった。
 それは、とても信じられないモノであった。
「あ・・・・・・あれは!? まさか・・・・・・・・・・・ティアマット!?」
 震える声で、そのモノの名を口にする。
「カール君、ティアマットって、お兄ちゃん達が破壊したって言う地上戦艦の事っ!?」
 カールの言葉に、エミリが聞き返す。
「う・・・・・・・うん」
 呆気に取られているカールは、言葉少なに言う。
 地上戦艦ティアマットの事は、エミリも、はんたから聞かされていた。
 大破壊前の旧文明の巨大戦艦。
 その戦艦は、一隻で一個師団を滅ぼすことが可能な武装を保有し、生半可な兵器ではかなわない装甲を持つ。
「でも、ティアマットは、お兄ちゃん達がアリス・ワンの北の砂漠で破壊して、その地に置かれていたはずじゃ」
 ティアマットは、激戦の末、エミリの兄はんたが見事撃破に成功し、今はアリス・ワンの北の砂漠に放置されている。
 それは、カールも確認していた。
 だが、今エミリとカールの目の前にあるのは、間違いなく地上戦艦ティアマットであった。
「あれは・・・・・・・・・・・・ティアマット級二番艦『ネメシス』」
 ヴォルフが呟いた言葉を、二人は聞き逃さなかった。
「ティアマット級・・・・・・・・・・・・二番艦!?」
「ヴォルフさん、あの戦艦を知っているんですか!?」
「・・・・・・・・・・・ボクの船だよ」
 二人は一瞬、ヴォルフが何を言っているか分からなかった。
 彼は今、なんと言った。
 ボクの船・・・・・・?
 二人はしばらくポカーンと間抜けに口を開けたままになっていた。

327 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:20:24 ID:uCn/ASvo
21
「「えぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!????」」
 二人は最大級の驚きの声をあげた。
「あのティアマット、ヴォルフさんのモノなんですかっ!!」
 カールが珍しく声を張り上げる。
「あぁ、そうだよ」
 ヴォルフは、大仰に肩をすくめた。
(ヴォルフさんって何者なのよ!?)
 昨日、聞いた限りでは、ほんの少し他のトレーダーよりお金持ち程度にしか思っていなかったのだ。
「よく、ボクの居場所がわかったね」
「当然ですわ、私達の情報網の広さは、お兄様が一番良くご存知のはず」
「・・・・・そうだったね」
 何か納得したようなヴォルフ。
「お、お兄様!?」
(この子が、ヴォルフさんの妹!?)
「ところでお兄様、誰ですの、このおサルさん達は?」
 幼いためか、邪気も無く人を侮辱する少女に、エミリの瞳がつり上がる。
「誰がサルですって!」
「エミリちゃん落ち着いて」
 飛び出そうとしたエミリを、カールが慌てて止める。
「あら、あら、人の言葉が理解できないようですわね、やはりおサルさんですわ」
 口に手を当て、クスクスと意地の悪い笑みを浮かべるシゼルに、エミリの額に血管が浮き上がる。
「ダメですわよお兄様、お兄様は世界を支配するお方なのですから、このような庶民などと一緒いては、お兄様が穢れてしまいますわ」
 そして、その一言に、エミリが切れた。
「私のお兄ちゃんが世界一だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
「えぇっ、!? 切れるのそっち!?」
 カールが呆気にとられると。
「わたくしのお兄様が世界一ですのよーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
 エミリの一言に、今度はシゼルが切れる。
 どうやら、この少女もエミリ同様、自分の兄に対して、強い愛着・執着を持っている様である。
「私のお兄ちゃんは、世界を救った英雄よっ!!!!」
「わたくしのお兄様は、かの有名な巨大トレーダー組織『ヴォルフ商会』の総帥ですわよっ!!!!」
 ブラコン同士の熱い激論が飛び交う。
「ヴォルフ商会だって!?」
 シゼルの発した言葉に、カールが反応した。
「ホーホッホッホッホッ!!! 驚いたようですわね」
「カール君」
「なに、エミリちゃん?」
「(カール君、驚いてたみたいだけど・・・・・・・ヴォルフ商会って何?)」
「(知らないの?)」
「(うっさいわね、それで、カール君知ってるの?)」
「(知ってるも何も、今現在、世界で流通している兵器や燃料の約三分の一を取り扱ってる貿易グループだよ)」
「世界の三分の一っ?!」
 思わずエミリは、声をあげてしまった。
「ホーッホッホッホッ! お兄様は、世界を支配する帝王なのよっ!」
 シゼルは、高笑いをして自分の兄を最高に褒め称える。
「へっへ〜んだ、私のお兄ちゃんがいなかったら、その世界が無くなってたんだから、私のお兄ちゃんの方が上ね」
 エミリは腕組みをして、身を反らせる。
「な、なんですって」
 エミリの態度に、シゼルが身を震わせる。
「お兄様の敵と言うのであれば、わたくしはこれを使わせていただきますわ」
 そう言い腕を伸ばすと、フリルの付いた袖口から小さな銃、デリンジャーが飛び出し、その小さな手の平に納まる。
 そして、デリンジャーをエミリに向けた。
 幼さゆえの純粋さ、残酷さである。

328 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:21:12 ID:uCn/ASvo
22
「わたくしのお兄様が、世界一と認めなさい」
 この娘、殺る時は殺る。
 そう思わせるだけの雰囲気があった。
「そっちこそ、私のお兄ちゃんが上だって認めなさいよ」
 売り言葉に買い言葉。
 やられたら、やり返す。
 そして、自分の兄の事では絶対に後には引かない。
 エミリは、ショットガンを引き抜くと、シゼルに向ける。
「エミリちゃん、相手は子供だよ」
 カールが止めに入るが。
「カール君、こう言う子供には躾が必要なのよ」
(ただ単に、はんたさんの自慢したいだけなんじゃ・・・・)
 二人のブラコンが、互いの意地でそれぞれ対峙する。
 っと。
「やめなさい、シゼル」
 エミリとシゼルの睨み合いを中断させたのは、ヴォルフであった。
 ヴォルフはヒョイッと、シゼルの手からデリンジャーを取り上げる。
「あっ?」
 デリンジャーを取り上げられたシゼルが、不満そうな顔をする。
「エミリちゃんも」
 カールが、エミリのショットガンを下げさせる。
「二人ともすまない、妹が失礼をした」
 ヴォルフがエミリとカールに頭を下げる。
「なぜこのような者に頭を下げるのです、この者はお兄様を愚弄したのですよ」
「シゼル」
「・・・・・・・・・・・はい」
 少女にとって、ヴォルフの言葉は絶対なのか、シゼルは唇を噛み締めて後ろに下がった。
 下がったが、相変わらずエミリを睨みつけている。
「二人とも、本当にすまなかった」
「そんな、気にしないでください、こっちも大人げなかったんですから」
「そう言ってもらえると助かるよ」
 ヴォルフはカールとエミリにそう言うと、シゼルの横に待機している大男に命令した。
「ローレンス、部隊を引き連れて撤退しろ」
 ヴォルフに、ローレンスと呼ばれた武装した大男は無言で敬礼すると、手を上げ合図を送る。
 エミリ達の前に立ち塞がっていた武装集団はそれを受けて、乱れる事無く撤収を始める。
「カール君、エミリちゃん、ここでお別れだ、楽しかったよ・・・・・・そうだ、カール君、君達にこれを渡しておこう」
 ヴォルフはそう言うと、スーツの内ポケットから一枚の金色に輝くゴールドカードを取り出し、カールに手渡す。
「ヴォルフさん、これは?」
「それは、ヴォルフ商会の特別カードだよ、それをヴォルフ商会に加盟している店で見せれば商品を割引価格で買えるよ」
「良いんですか、こんな良い物を貰ってしまって」
 カードとヴォルフを交互に見る。
「構わないよ、一緒に探索した仲だし、妹の無礼のお詫びもかねてね」
 ヴォルフは、人の良い笑みでそう言うと二人に背を向けた。
「縁があれば、また会おう」
 ヴォルフはゆっくりと自分のクルマに戻っていく。
 シゼルがその後を慌てて追う。
 そして二人は、キャデラックに乗り込むと、何処に隠れていたのか現れた数台のトラックと共に、巨大戦艦に帰っていった。
 後には、エミリとカールとポチが残された。

329 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:22:07 ID:uCn/ASvo
23
 シクザールシティー。
 この辺りでは最大規模の街である。
 ざわめく人々、たくさんの露店が並ぶそんな大通りから一本外れた真っ暗な裏路地。
 ゴミが雑然と転がっている裏路地に、一人の女性が佇んでいた。
 ふくよかな胸の前で腕を組み、彼女はただ瞳を閉じて、待ち人が来るのを待っていた。
 腰まで伸びる黒色の髪。
 闇色の黒地の上下つなぎのレザースーツ。
 腰には、大きな二挺の拳銃がホルスターに、背中には片刃の長剣を背負っている。
 目を凝らさなければ分からないほど、闇に溶け込んでいた。
 死神カレン。
 それが彼女の通り名である。
 ふいに、彼女は閉じていた瞳を薄っすらと開く。
 その瞳は、獣のように鋭く、現れた人影に向けられる。
 薄汚れた、緑色のコートを着た男である。
 暗闇だというのに、サングラスを掛けている。
「・・・・・・・・早かったな」
「お前さんからの連絡だったからな、そりゃぁ急ぐさ」
 男はサングラスを押し上げながら笑った。
「それで、用件は何だ?」
 カレンは、一枚のディスクを取り出す。
「ここに記されている、研究所の場所を知りたい」
「連中のアジトか?」
 男の頬を一筋の汗が流れる。
「さぁな、この街のどこかと言う事は分かっているが、ここ数日探し回ったが見つけられなかった」
「それで、俺を呼んだ訳か」
「あなたの情報網を使って、この研究所を見つけて欲しい」
「・・・・・・わかった、ただ少し時間をくれ、なんせこの街はデカイからな」
 男はティスクを受け取ると、懐に入れる。
「・・・・・・・・任せる、連絡は私のBSコントローラーに」
「あぁ」
 それを聞くとカレンは男に背を向けた。
 あまりに無防備すぎるが、それだけ彼女がその男を信頼しているのだろう。
「・・・・・・・・・・・すまねぇ」
 小さな、本当に小さな呟きだったが、カレンは聞き逃さなかった。
「・・・・・・・・? 何がだ?」
 立ち止まり、肩越しに視線を男に投げる。
「俺があんな物を・・・・・・・・・・・ノアシードを君の家に持って行かなければ、あんな事は起こらなかったのに」
「あなたはあの時、最善の行動をしただけだ」
 無愛想なカレンの声に、男は首を横に振る。
「そのせいで、クリフやイングリッドを死なせちまった」
「・・・・・・クリフおじさんも、イングリッド姉さんも己の宿命に従って戦い、そして死んだんだ」
 カレンは静かに答えたが、ほんの少し声の調子が変わっている事に男は気づいていた。
「二人とも、あなたを恨んでいないはず」
「でも、そのとばっちりで、君の弟まで・・・・」
 カレンは目を細め、無言で暗闇を見据える
「気にするな」
 そう言ったカレンの声は、微かに震えていた。
「・・・・・・・・・・ケリはつける、私の手でね」
 カレンは軽く握り締めた自分の拳を見つめた。
「償わせてやる、絶対に」
 復讐のために鍛え上げられた、彼女の放つ殺気が、男に強烈に感じられた。

 第4話へ続く。

330 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:28:37 ID:uCn/ASvo
METAL SAGA 〜new generation〜

 オマケ 各キャラ紹介その@
    _  _ _
 ,'⌒《l|´  ヽl|ヽ.  
 ヽ (i ノノ))))〉 ))  
  )人(l.゚ ー゚ノ! (( 
  (( ⊂)iソ!iつ )
     くんi〉   
     し'ノ  

     エミリ

 言わずと知れたMS1のメインヒロインであり、この物語の主人公。
 MM2主人公(この物語での名はマックス)の孫に当たる。
 お兄ちゃん大好きっ子。
 兄妹でありながら兄を深く愛しており、兄の事になると見境が無くなり暴走する事も。
 武器は、キョウジからプレゼントされた『ダブルバレル・ソードオフ・ショットガン』
 搭乗車両は、MM2主人公マックスが使い、キョウジ、はんたを経てエミリが譲り受けた『バギー』


       _
     〃   `ヽ
     ! イ从,从リ   
.    "j(!! ゚ ー゚ノ゙
      /゙)|iÅi|ト、
.    (ニイ-゚イー!ニ)  
      }_l,ハl_,{

    カール

 おそらくこの物語でもっとも不幸な少年。
 戦車大好きっ子で、メカニックとしての腕は一流。
 勤勉な性格で、行動派の姉に振り回されるが、誰よりもローズの事を慕う姉想いの少年である。
 エミリのお願いと、姉ローズの命令で、エミリの旅に無理やり付き合わされる。
 武器は、メカニックの定番『ブーメランスパナ』
 搭乗車両は、コレクションの一台『パンターG』


   ∧ ∧
   (,,゚Д゚)
  /  |
〜OUUつ

  ポチ

 言わずと知れた、メタルシリーズの看板犬
 はんたが旅先のBG研究所で拾ってきたバイオニックドック。
 高い戦闘能力と戦闘本能、人間の言葉などを理解する高い知能を持った生物兵器。
 好きな人は、ご飯をくれるエミリ。

331 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:35:45 ID:uCn/ASvo
METAL SAGA 〜new generation〜

 オマケ 各キャラ紹介そのA
     _
    '    `ヽ
   | ,l/リ|/ハヘ
   lv|V . .ハ!
     i゙、!i,.!
     くU/|l〉
      し'ノ

    カレン

 MS2のメインヒロインであり、この物語のもう一人の主役。
 伝説の大破壊を引き起こした超電子頭脳ノアを破壊した伝説のハンターレバンナの娘。
 父親のレバンナ譲りの運転技術、クリフに教え込まれた修理技術、イングリッドに叩き込まれた戦闘技術を持つ最強のモンスターハンター。
 師であるクリフとイングリッド、そして最愛の弟の敵討ちの為、たった一人で地球救済組織に戦いを挑む。
 武器は、イングリッドの形見である『無銘刀』&『デザートイーグルカスタム』×2
 搭乗車両は、生前レバンナが使っていた『メルカバmk2ブラックスペシャル』(元が目立つ色だった為、黒く塗装した)

    _
  '´ '´ 丶 
  i ノノノリ)ヾ〉   
  ヾ.(!゚ ‐゚ノ!  
   (てス)     
    fテハ} 
   ヒZラ

   ヴォルフ

 武器を取り扱うトレーダー、ぞくに言う死の商人。
 礼儀正しく紳士的であり、常識をわきまえ、相手に常に敬意を払う好人物である。
 その正体は、世界の3分の1の兵器や燃料を取り扱ってる貿易グループ『ヴォルフ商会』の総帥。
 だが、それ以外にも何か秘密があるのだが・・・・・。
 武器は、ピースメーカー。
 愛車は、ここを狙えとはかりにエンジンが剥き出しになっている『キャデラック』


    ,ィ〜ir、
  ん-─-ヽ
  ,@i((ノ)))))
  lj リ.゚ -゚ノiリ
  /ノζ介 〉l)
 (( ,f//__ 〉ヽ)〉
 ζ ~~じソ~~ζ

   シゼル

 アベルの妹。消極的な兄とは対照的に、非常に勝ち気。
 美女であるが、性格は高慢である。
 プライドが非常に高く、自分と兄以外の人間を一切認めようとはしない。
 兄を尊敬しているが、兄が他の人間に近づこうとなれば容赦なく突っかかってくる事も多い。
 武器は、デリンジャー(可愛いから)
 搭乗車両は、地上戦艦ティアマット級2番艦『ネメシス』

332 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 21:49:09 ID:vu3Njt57
来たw

333 :名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 22:41:46 ID:HZ0vr98E

一気にこんなにw

334 :名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 20:17:54 ID:2TxTUlN9
読み返してみたら、誤字・脱字・果てには下書きの修正ミスまで(名前の修正ミスが恥かしい)
次から気をつけます・・・orz
そういう訳で↓に書き直しておきます(本当は全部直したいくらい)

    ,ィ〜ir、
  ん-─-ヽ
  ,@i((ノ)))))
  lj リ.゚ -゚ノiリ
  /ノζ介 〉l)
 (( ,f//__ 〉ヽ)〉
 ζ ~~じソ~~ζ

   シゼル

 ヴォルフの妹。消極的な兄とは対照的に、非常に勝ち気。
 美女であるが、性格は高慢である。
 プライドが非常に高く、自分と兄以外の人間を一切認めようとはしない。
 兄を尊敬しているが、兄が他の人間に近づこうとなれば容赦なく突っかかってくる事も多い。
 武器は、デリンジャー(可愛いから)
 搭乗車両は、地上戦艦ティアマット級2番艦『ネメシス』

現在、METAL SAGA 〜new generation〜 の第4話を下書き中です。
予定では。
エミリ・ポチ・カールは謎の施設に潜入?
ヴォルフの陰謀、シゼルの悪意。
そして、カレンと地球救済組織の幹部が激突?
グロは少々、エロは・・・・少し?
タイトルの通り『次代の子』達の物語がここから始まります。
書き込みは当分先になると思います。

335 :名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 23:29:28 ID:HZxx50HT
乙。続き待ってる。


>>270 冬コミ当落ドウダタ?

336 :名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 16:35:24 ID:qVQEy7aO
>>335  ウカタ。12/30ヨロ。

337 :名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 00:24:52 ID:Hv4ntsUS
アホレイチェルその3

傾向:レイチェルがレイチェルなりに考えてみる。
でもダメ。

ttp://uproda.2ch-library.com/src/lib068800.zip.shtml

338 :名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 02:27:56 ID:1ttxjm2d
>>337
セレブな金持ちなんて大っつ嫌いだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!

339 :名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 04:23:05 ID:r1kI+Wnf
>337
乙です
相変わらずネタの内容的に18禁なスレだなあw

340 :名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 18:47:22 ID:YGQximWn
キリくんの言ってることはもっともだけど、それでもレイチェルの感覚の方が正しいと思ふ。

341 :名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 21:29:41 ID:moSe4H3k
いや?
金持ちは金に執着するからこそ金持ちなんだとか、
主観でしかない意見を、もっともらしく見せているだけだ。

物語の筋道にそって言っているから一見筋が通っているように
見えるだけで、純粋に経済対策として文書(だけ)に書き出したら
ちょっと見れない作文になるな。

342 :名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 21:32:39 ID:RbJsKgA2
うん。まあ。床屋だと分かっていたら開かなかった。

343 :名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 12:27:58 ID:fxfLNOlF
ファンブック見てたら年齢設定に驚くな
レイチェル14歳とかもうマジ素敵

344 :名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 12:47:15 ID:xk9um78L
ファンブック持ってないんだよな。砂塵の主人公が15歳ってのはどこかで聞いたことがあるが。

345 :名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 23:14:03 ID:GWvKQ0WG
私もファンブック持ってないんだよ。
誰か、砂塵のキャラの年齢書いてくれないかな。

346 :名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 00:05:58 ID:gQSNUsrb
>>345
おけ

はんた、15歳
キリヤ、23歳
ミカ、17歳
ラシード、28歳
シャーリィ、25歳
アルファ、外見年齢15歳前後
ニーナ、32歳
エミリ、13歳
レイチェル、14歳
ローズ、18歳
カール、13歳
カエデ、17歳
レッドフォックス19歳
グレイ博士、28歳
キョウジ、35歳
ジャック、37歳
ビーン、52歳
セバスチャン、50歳
アラン、42歳
タミオ、45歳
タミコ、42歳
クヌギ、50歳
サザンカ、40歳
ムラサメ、30歳
ゴーレム、27歳
ジュリ、16歳
レミ、10歳
ジョーイ、19歳
ドン、12歳
バット、13歳
パティ、12歳
ガス、11歳
シデン、12歳
ロタ、12歳
レオン、28歳
エミリオ、13歳
マッキンリー、35歳
オリガ、64歳
ロジャー、76歳
カレーマン、20歳
ブック、33歳
アレックス、ヘッケル、ジャッケル、バトー博士、ヤミクモ博士、ソロモン博士、超☆特技仙人、ウサギマン、Drミンチ、イゴール、年齢不詳

これでヨロシ? 間違いがあったら訂正ヨロ

347 :名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 01:07:42 ID:id9l1/1J
カレーマン若いな
凄まじい回復量のカレー弁当をこしらえたり重い屋台を引いてキャノンエッジまで来たり只者じゃないとは思っていたが……

348 :名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 13:26:16 ID:hbOIFdrc
はんたとキリヤの年齢差が8歳
エミリとレイチェルの年齢差が1歳

うーん。ちょっと簡単には受け入れられないな。

349 :名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 16:40:35 ID:+zSQnGrZ
ちなみにガスの本名がマリオンで傷を隠してる話も載ってたような
まあ続編のマリオンと同一人物で確定ですわな

ロタとかどうなったんだろうか

350 :名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 18:07:38 ID:64+GimXX
おいおいカエデも年上かよ

351 :名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 20:27:25 ID:j6lkmHDg


はんたとレイチェルが若く感じるな。
はんた15歳か、パーティーメンバーの中で一番若かったのか、てっきり18歳くらいかと思ってた。
レイチェルもミカと同い年くらいだと思ってた。
そこで思ったのだが、レイチェル14歳で結婚ENDってやばくない?

ラシードは、あのオッサン顔で20代かよ、てっきり30代後半〜40代前半の中年だと思い込んでたよ。

そして一番驚いたのが、エミリとカールが13歳で同い年だという事。
絶対にカールの方が年上だと思ってたよ。

352 :名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 22:30:38 ID:+zSQnGrZ
>レイチェル14歳で結婚END
しかしニーナは17歳ではんたを産んでるから、仕込みはそれ以前だろうし
タミオさんとこでさえキリヤが貰われっ子と認識してない(=記憶に残らないくらいの歳で引き取り)から、
そのころから両親と認識=夫婦だったとして結婚は20代はじめくらい
人間の寿命も短いだろうから、適齢期は10代半ば〜20代後半くらいなんじゃないかな

だって15歳と14歳の結婚に誰も「早すぎる」ってツッコミしないんだぜwジャックですらもwww
キョウジは「ウチの息子に文句あんのか」とまで言い放つしwww


〜ここから妄想〜
どうでもいいけどアルファさんはターミネーターみたいに有機/無機両方で出来たバイオ系アンドロイドですよね
まんたんドリンク(=ナノマシンの塊)で回復するし
んで、人類が滅びに瀕したときのための遺伝子保存機能として人工子宮と提供者の卵子で妊娠・出産可能とか当然なんですよ
しかも妊娠は完全任意で
だからこそ「人型イイ」「人型ワルイ」とか言ってたんですよ
「人型イイ」派は子を生すという好意はやっぱり女の子の温もりが必要だという多数派だったんですよ
「人型ワルイ」派はドラム缶にちんこ突っ込んでオナニーとか平気な少数派だったんですよ
アルファさんが美少女型になった理由がこれで解明されましたね! やったね!
そしてティアマット以外で開発されてた11〜13歳くらいの外見年齢の機体もあるというのは当然ですよね
そうするとヘアバン……いやアイノスとかのアルファさんは将来ロリ妊婦ですね! マーヴェラス!

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