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ヤンデレの小説を書こう!Part13

1 :名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 13:40:17 ID:Xx7H6fdy
ここは、ヤンデレの小説を書いて投稿するためのスレッドです。

○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど)
○ぶつ切りでの作品投下もアリ。

■ヤンデレとは?
 ・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。
  →(別名:黒化、黒姫化など)
 ・ヒロインは、ライバルがいてもいなくても主人公を思っていくうちに少しずつだが確実に病んでいく。
 ・トラウマ・精神の不安定さから覚醒することもある。

■関連サイト
ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫(本保管庫)
http://yandere.web.fc2.com/

ヤンデレ臨時保管庫 @ ウィキ(臨時保管庫)
http://www42.atwiki.jp/i_am_a_yandere/

■前スレ
ヤンデレの小説を書こう!Part12
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1196567848/

■お約束
 ・sage進行でお願いします。
 ・荒らしはスルーしましょう。
  削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
  削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。

■投稿のお約束
 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
 ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。

2 :名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 13:50:35 ID:1bEeow00
>>1
         *、 *、      。*゚    *-+。・+。-*。+。*
        / ゚+、 ゚+、   *゚ ・゚    \       。*゚
       ∩    *。  *。    +゚    ∩    *
   (´・ω・`)      +。   +。   ゚*     (´・ω・`)
   と   ノ      *゚  *゚    ・     。ヽ、  つ
    と、ノ     ・゚  ・゚     +゚    *  ヽ、 ⊃
     ~∪    *゚  *゚      *    +゚    ∪~   ☆
          +′ +′      +゚   ゚+。*。・+。-*。+。*゚

3 :名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 14:55:21 ID:vK0u66jz
>>1
乙です

4 :名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 15:37:51 ID:0F7a8S2Y
>>1


5 :名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 20:52:41 ID:v6b08AQV
乙っす

6 :名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 21:16:46 ID:gXF8+qHR
オツマントルコ

7 :名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 21:32:12 ID:leGMajbU
http://jp.youtube.com/watch?v=-bFye6tDbus
やんデレが倒せない?

8 :名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 21:34:16 ID:0jW5/URE
いちおつ

9 :名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 22:19:30 ID:uVb4D2GB
乙!

10 :名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 00:12:05 ID:b4riooay
>>1
乙です

11 :名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 01:50:43 ID:WorItLoe
稚拙な文章、ご容赦を。思い切って投下してみる
ヤンデレ万歳!

《闇母(やみはは)》

トントンと軽快な音をキッチンに響かせて、私は最愛のあの人に、夕御飯を作る。長年付き合ってきたこの包丁で、私は仕事でくたくたになって帰ってくる彼のために、腕を振るう。
私、織田市代(おだいちよ)が深海市代(ふかみ)となって早12年。

最愛の夫の深海聡史(さとし)と私はご近所の幼馴染みだった。幼い頃にはよく遊んでいた私たちも、中学に上がった頃にはお互いを意識して、疎遠になった。けれど、それが逆に私に彼を意識させてくれた。

彼の何を好きになったかなんて、きっと一生、いや永遠に分からないだろう。分かっていそうで、分からない。解けそうで、解けない。そういうもの。それが愛なのだ。

けれど、これだけははっきり言える。《私は、あなたを愛しています。》

12 :闇母:2008/01/11(金) 01:57:02 ID:WorItLoe
「ただいまー」
玄関を開ける音とともに、彼の声が私に届く。その声で私はひとまず料理を中断する。もちろん、彼の労をねぎらうために。
私たちはお互い今年で32歳。20歳の時、二人とも学生だったが、無理言って学生結婚をした。彼の良さは言うまでもなく、その良さ故にくっついてくる『蟲』や後をついてくる『猫』がいた。
私は言いようもなく不安だったのだ。人の優しさ、そして弱さを知っているから。
私は高校に上がった頃に必死になって、彼を自分に振り向いてもらおうと努力をした。料理を学び、オシャレをし、身も心も美しく、理想の女性となるために。
そのおかげで私は自分に料理において特に秀でた能力があることを知った。私の味覚・嗅覚は常人のそれを遥かに上回っていたのだ
。料理は好きだったので、私は料理を極めるため、大学ではそちらの進路をとったところ、先生方から訪問にきた一流シェフの方まで様々な人々に大絶賛を受け何度かヨーロッパにも足を運んだ。
そして、彼の専業主婦として今に至る。シェフの道なんて、彼との生活と天秤に掛けたなら結果は目に見えている。
私の腕は、彼のため。
私の料理は彼のため。
私の愛は、彼のため。
私の刃は、私のために。

13 :闇母:2008/01/11(金) 01:58:24 ID:WorItLoe
ただ、私たちの生活にはいくつかの大きな問題があった。それは────。

「お帰りなさーい♪」
私より若干早く、あの娘が彼を出迎えた。まただ。また先を越された。
今年で中学生になった私たちの一人娘の深海茉奈(まな)。彼女は生まれてからずっと、彼にべったりだった。普通の女の子ならば、思春期ともなれば遅かれ早かれ一定の距離をとるもの。私はそう思い、野放しにしておいてしまった。
後に確かに距離はとった。しかし私にだけ。その分だけ彼女は彼にとりついた。まだまだ現役で、短髪の似合う彼はとても若く見え、どうみてもまだ二十歳ほどにしか見えない。
きっとそんなことから、大人の異性の割に親しみを感じる彼になついているのだろう。
今も彼女は私をさしおき、彼の首に腕をまわし抱きついている。まぁいわゆる親子のコミュニケーションの範囲内かな。

あの時までは、そう信じていた。私はこの12年の平穏を通して、『あの感覚』をすっかり忘れてしまっていたのだ。

14 :闇母:2008/01/11(金) 02:02:54 ID:WorItLoe
一応一段落
プロローグみたいにww
このスレの繁栄のためにと、良かれと思ってやってしまった。今は少し反省してる

15 :名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 07:18:33 ID:PW7NK5rn
これはGJ

母娘物は久しぶりだからこれからの展開にwktk

16 :名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 08:12:16 ID:elJgP89e
グッジョブ!
続きが気になる

17 :名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 08:22:36 ID:s3HfeAZb
GJっす

正に獅子身中の虫

母娘物・・・・しかも旦那の取り合いは大好物です

18 :名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 12:49:54 ID:1fTJtV4K
1乙

19 :名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 18:00:48 ID:+CdfYyII
続き町wktk

20 :闇母:2008/01/11(金) 21:25:51 ID:WorItLoe
《闇母》続き投下します。ゆっくりですがご容赦を。
〈聡史Side〉

俺、深海聡史はしがない会社員だ。
既に32歳となった俺は、今はなかなか給料のいい営業の仕事についており、幾つになっても若さを失わない、それどころかますます美しくなっている妻と、最近は成長の著しいかわいい一人娘に恵まれている。
今のところ、娘は反抗期はまだのようで、家庭内の治安は安泰だ。女の子の親は苦労すると聞いていたから、同僚や先輩の話を聞いたり本を読んだりと大切に育ててきた。
その甲斐あってか、妻の美しさとはまた違う、かわいい女の子へと成長してくれた。親として、なんと微笑ましいことか。
ただ、もう中学生になったというのに父親に甘えるのはどうかと思っている。ついつい構ってしまうのが、男の性というものかもしれない。

我が家は都心から少し離れた団地マンション503号室。
新築であり、眺めがよく、各部屋は広くとってある、というのがウリだったか。実際快適で、文句なんかつけようがない。それと家は五階にあるのでエレベーターがあるのが有難い。

「ただいまー」

21 :闇母:2008/01/11(金) 21:28:21 ID:WorItLoe
玄関を開けるとすぐに、ポニーテールの髪が目にはいった。

「お帰りなさーい♪」
開口一番に抱きついてくる茉奈。胸があたってドキッとしたのは秘密だ。
「なんだ、やけに上機嫌じゃないか。なんかいいことでもあったか?」
茉奈は頭を撫でてやると本当に嬉しそうにするもんだから、気づけば撫でてやるのが癖になっていた。

「へへっ、なぁ〜いしょ」「なんだ、隠し事か?ゆるさんぞ〜」
自分のことは棚にあげ、いつものように玄関でじゃれあうこと数分。

「あなた、お帰りなさい」
長めの黒髪をたなびかせ、妻の市代が廊下にでてきた。類希な美貌の持ち主。茉奈のくりくりとした目ではなく細目な彼女は、外見によらずなにかと不器用だ。
ところが包丁を持つと途端にそこらのレストラン顔負けの一流シェフに早変わりする。
市代は謙遜しているが、市代の味覚と嗅覚は常人の三倍なのだという。事実市代は匂いで鮮度まであててみせた。
そんな素晴らしい才能を持っていたにも関わらず、市代はシェフでなく、俺との愛を選んだ。それを聞かされたとき、無我夢中で抱きしめていたのを覚えている。

22 :闇母:2008/01/11(金) 21:31:53 ID:WorItLoe
「お疲れさま。荷物もつね」
市代の言葉で、右手に携えたかばんを意識すると、忘れていた重さが蘇る。
「おお、サンキュ」
「わたしがもったげる!!」
瞬間、茉奈は俺のかばんをひったくり、空いた手で俺の手を握り居間にひっぱっていく。
「まぁそう急かすなって」口がにやけちまうよ、ちくしょー!

だが、俺はこの時一人浮かれていたから気づけなかったんだろう。家族の空気が大きく変わり始めていることに。

23 :闇母:2008/01/11(金) 21:33:30 ID:WorItLoe
それは突然訪れた。
「じゃあ茉奈。この料理リビングに運ん」
「いや」
な、なんだ!?ぞっとする冷たい声に、俺は一瞬誰が言ったのかわからなかった。
「なっ…茉奈、あなた」
「自分で作った料理なんだから自分で運べば〜?」
さっきとはうってかわって心底気だるそうに茉奈は吐き捨てた。俺はこんな茉奈を見るのは初めてだった。
「だってお母さんの手、血がついてるじゃん。そんな汚いのまじ運びたくない」
「ッ!」
「血!?」
俺は席を立ち市代の手をとった。
「なっ!?」
俺は言葉を失った。綺麗な彼女の手のひらに、爪を刺したと思われる跡があり、今は血は止まってはいるが、見ると痛々しい。
「おい、これどした?なんかあったのか?」
「いや、別になんでもないの」
市代が無理に笑おうとしたときだった。
「嘘」
茉奈は今度は何か汚物でも見るような目でこう言った。
「近所の安藤さんといろいろしてたくせに」


24 :闇母:2008/01/11(金) 21:40:19 ID:WorItLoe
安藤…安藤って同じ階の大学生か!!いろいろって、なんだよ。俺は急に安藤に対し言いようもない怒りがこみあげてきた。

「安藤くんと、何があったんだ?」
「か、彼となんて、なにもありません!」
「茉奈もいいかげんに」
市代は必死の形相で、しかし俺が何か言う前にまた茉奈が。
「私こないだ習ったからわかるよ。あれセックスっていうんでしょ。安藤さんを家に呼んでさ、私がいるのにあんあーんってうるさいったらないし」

少しの静寂がリビングを支配し。
俺は震えていた。怒っているのか絶望なのかは自分でも分からない。市代と目が合い、彼女と安藤がやっている姿を嫌でも想像してしまう。俺は彼女を愛している。愛しているからこそ、愛しているからこそ、許せなかった。
なんとか首だけを市代に向け何か言おうとしたが、言葉にならず、彼女も何かを言おうとしたが俺は構わずに市代を初めて、そう、生まれて初めて、本気で『殴った』。

俺の右手には、今までのどんなそれより強い痛みが走った。

25 :闇母:2008/01/11(金) 21:42:15 ID:WorItLoe
今回はこれで投下終了です(´∀`;)

このスレの良作には到底及ばない(泣)

26 :名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 22:10:44 ID:h4r7cIuQ
GJ!!
安藤くん、とばっちりで一番可哀相だ

とりあえずヤンママがどうやってこの状況を切り返して
娘にどのように制裁を加えるかwktk

27 :名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 22:13:28 ID:PW7NK5rn
GJ!!
かなり好きなシチュエーションだ
続きを楽しみに待ってます



てかパパさん
最低でも話は聞いてあげよう
(´・ω・`)

28 :名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 22:19:35 ID:oxt0kF95
good job.

妻よりも娘の言うことを信じるという反応は、娘への愛とか信頼によるものかな?
娘に死亡フラグが立っているような気がするが、果たしてどうなることか。
これからの展開に期待。

29 :名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 22:29:56 ID:s3HfeAZb
GJlっす

旦那さん、手出すのが早すぎるよ・・・

30 :名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 23:12:08 ID:vH/sPFqN
712 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2008/01/11(金) 22:51:05 ID:auji+D04
ちょwwwおまwww

メチャクチャ萌えた! 埋めネタには惜しすぎる! GJ!

では埋めええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ




こういう書き込みを見ると本当に十八歳以上かと疑わざるを得ない

31 :名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 23:15:16 ID:RAvOkCEZ
ここって21以上じゃなかったっけ

32 :名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 23:18:52 ID:auji+D04
いや、マジで二十一歳以上だよ(´・ω・`)

てか>>30sageないヤツに言われたくないわwww


33 :名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 23:28:26 ID:IfTOL0jI
よくわからんが
わざわざageてまで晒す必要はないわな

34 :名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 23:58:10 ID:QoAMIA8j
別にいいけど今は18以上だよ。
>>24
安藤くん…カワイソス(・ω・`)
あ、もちろんGJ.

35 :名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 00:11:58 ID:XrnaARgO
前スレ埋めネタ及び闇母の執筆者様

大変素晴らしいssをありがとうございました
あまりにもツボですた…

36 :名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 01:07:14 ID:LEyUBh62
娘死ね

37 :名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 01:11:48 ID:LEyUBh62
娘死ねああ娘死ね娘死ね
安藤さんに迷惑かけてんじゃねぇよ!!
恋敵貶めるのはいいけどそれ以外に迷惑かけんな

38 :名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 02:03:29 ID:VEhg6w78
娘wwwwww

市代さんガンガレ!!

39 :名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 02:10:04 ID:WPL0JEe4
お兄ちゃん、殺していい?


あはっ、お兄ちゃんの中、温かいね。

凄ぉい。もう、こんなにびしょびしょだよ。
血管少ないトコ狙って刺したんだけどな。

ねぇ、痛い?もっと痛くしたげよっか?

うわぁ、さすがにお腹は血が一杯出るね。

あ、腸が見えるよ。

あたしね、焼き肉とかでホルモンが一番好きなんだぁ。
ちょっとだけ貰うね。

へぇー、内臓には痛覚が無いって言うけど、ホントなんだね。つまんない。

あれ?どうしたの、お兄ちゃん?

あっ、横隔膜、傷付けちゃったんだ。呼吸、出来ないの?
苦しそう。すごく、かわいいよ

大好き、お兄ちゃん

40 :名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 03:00:42 ID:XrnaARgO
>>39
キモ姉妹スレの転載じゃんか、それ

あとサイコとヤンデレは
ハヤシライスとカレーライス位違う

41 :名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 08:06:58 ID:dXFe86os
パスタとスパゲティくらいだな

42 :名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 08:45:26 ID:JNtkgiW4
新ジャンル:サイデレ

ヤンデレ大全買ったが微妙(´・ω・`)

43 :名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 09:02:39 ID:Vp8du6q9
サイコデレ→元から狂ってる者が狂ってる方法で愛する
ヤンデレ→元々は普通の人が、好きな人に関わる不安要素(近くにいる女)や、
恐怖(取られるかも)の思いに駆られて恋の病の症状が悪化し、一生治らない病気にかかる


44 :名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 09:53:58 ID:7dVHJ5GJ
>>43
それでいくといない君はサイデレで大河内さんはヤンデレ?

45 :名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 17:43:33 ID:yjZouDa1
元からの狂気か
愛故の狂気の違いだと思う

46 :名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 17:56:07 ID:6eBYJiu3
愛故に病むくらいだから、多少なりとも元から狂ってるところがあるだろうし、
そこのところの区別は難しいんじゃないかな。
合わせ鏡の水樹は、元々は狂気の人でないっぽいのに愛故に病んでいってるから、
まさしく本来の意味のヤンデレだな、と思ったが、弟を愛してる時点で狂気かも
しれん。

47 :名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 18:39:21 ID:zq7sbqhA
今月のガンガン読んだら、ひょっとしたら杉小路は女だったら一種のヤンデレなのではと思ってしまった
…さっきからスカリーが脳内で貴方疲れてるのよって連呼してるのはきっと気のせいだ

48 :転載:2008/01/12(土) 18:53:57 ID:khe7/9v9
参考までに

ヤンデレとは──┬─愛情表現が病的なヒロインのことだよ(王道派)
             │     ├─最初はまともだけどだんだん狂うよ(エスカレート派)
             │     │  └精神の変化で色が黒に変わるよ(黒化派)
             │     ├─他人の目なんてこの子は気にしないよ(二人の世界派)
             |     |   └むしろ世界に二人だけだったら良いのに(アダムとイブ派)
             │     ├─極度の恥ずかしがり屋さんだよ(ストーカー派)
             │     └─惚れた男のためなら何でもするよ(直接行動派)
             │         └殺人だっていとわないよ(ちょろい派)

             ├─日頃の行動が病的なヒロインのことだよ(切れたナイフ派)
             │   ├─気を引くために自傷するよ(リスカ派)
             │   │  └やる気はないけど言ってるだけだよ(狂言派)
             │   ├─なんかいつでも武器を携帯してるよ(サバイバル派)
             │   │  └むしろ肉体がウェポンだよ(肉体言語派)
             │   └─死んじゃえば他の女に取られないわ(永遠を生きる派)
             │       └あなたを殺して私も死ぬわ(心中派)
             └─精神を病んでるヒロインのことだよ(過激派)
                └─精神病だったらなんでも良いよ(超過激派)
                    └むしろ俺が精神病だよ(ミイラ取り派)

49 :闇母:2008/01/12(土) 19:47:20 ID:f5RU4BjJ
《闇母》投下させていただきます。視点が何度か変わりますが、あしからず(_ _)
〈茉奈Side〉

スカッとするくらい気持ちいい音がリビングに響いた。ついに、お父さんが、荒だった。お母さん、いや、あの年増、ほんと無様。
泣いたところで無駄無駄。“今のお父さん”にはね。
私はいつからなんて分からないけれど、ずっとずっとずーーっとお父さんといたいって思ってた。お父さんの笑顔に、仕草に、言葉に、私のこの小さな胸はドキドキしてしまう。お父さんの全てが欲しい。ただそれだけ。
けれど、人の恋路を邪魔するヤツがいる。お父さんの幼馴染み?知らないよ、そんなこと。
不思議なのは、私はあの年増をなんとかしなくちゃいけないって分かること。何をすればいいのかも、身体が分かるの。

『嘘も方便』。過程なんて、関係ない。私が欲しいのは、結果だけ。悪いね、お母さん。いや、年増。
私、私のために最善を尽くすから。

50 :闇母:2008/01/12(土) 19:48:03 ID:f5RU4BjJ
もう私なんて眼中にない。半分嬉しくて、半分悲しい。私だけみていて欲しいんだもの。でもいいの。ホントいい気味だから。

お父さんはあの後も何十回も年増を殴り、蹴った。年増はただただうずくまって、必死に耐えるだけ。弁解の言葉は聡史さんには届かない。だって人間が『猫』の言ってること分かるわけないじゃん。
「お父さん…もう許してあげようよ」
お父さんが鬼の形相で振り返る。
「茉奈、まさかお前まで」目が血走ってる。吸いすぎたかな。
「ちがうよ。私はお父さん愛してるから…絶対裏切ったりなんかしないよ」
私はスカートをめくってパンツを晒す。かなり恥ずい。私の顔きっと真っ赤になってる。
「お父さんの、好きにして」
目がパンツに釘づけになってるよ、お父さん。
あの年増は気絶してる。血だらけの顔と床。掃除しとけよ、負け猫。けれどね、まだまだ足りないの。あんたからは全部奪うから。
「お父さん、先お風呂入ってて」
さすがに落ち着いてきたお父さんをお風呂に促し、私はやるべきことをやってしまう。
まだお父さんを我に返してもいけないし、あの年増からは『存在意義』を奪ってやらなくちゃ。
「あは、あははははははははははははは!!」


51 :闇母:2008/01/12(土) 19:50:30 ID:f5RU4BjJ
〈市代Side〉

気付けば、私はリビングの隅でまるくなっていた。身体中が痛い。頭がぐらぐらする。喉もヒリヒリする。軋む身体を起こして、私は周りを見渡す。
真っ暗なリビング。私は電気をつけて、初めて愛のムチの凄まじさを知った。時計を確認すると、午前三時を少し過ぎたところだった。
やられた。懐かしい手法だった。多分聡史さんは薬でもあの小娘にかがされたのだろう。かつて私がやったように。しかし全く同じシチュエーションを真逆の立場で味わうとは思わなかった。
そして悔しかった。まんまと策にはまったこと、そしていくら薬でとはいえ、聡史さんに誤解されたことが。涙が止まらなかった。

リビングを綺麗にし、仕方なしにシャワーを浴びた。。そこそこに上がり、寝室へ向かう。そこには、彼の字で“入るな”と扉に紙が貼ってあった。

仕方なくリビングで寝ようかと思い、背を向けたときに、その信じがたいものがギシギシという音とともにかすかに耳に届いた。
「んあっ、あっ、だめ、もうらめ、らめ、あんっ」
「いく、いく、ま、また、いっちゃうよおぉ、んーーっ!」
信じられない。まさか、あの人がまさか、ね。はは。

52 :闇母:2008/01/12(土) 19:51:22 ID:f5RU4BjJ
〈聡史Side〉

どうやら朝のようで。行為の後特有の気だるさとともに意識が覚醒してきた。
「市代…」
隣にさっきまでいたのだろうか。市代の温もりがまだ残っていた。
だが不思議だ。普段なら行為を思い出して朝も“あれ”が元気なのに、昨日のことをまるで覚えていない。学生時代にも似たようなことがあったような、なかったような。

今日は土曜日。俺は久しぶりの休日を享受できるわけだ。娘の教育の為にも、一応着替えてからリビングに向かう。
「………。」
誰もいない。
明かりはついているが人の気配がしない。
「朝食もまだか…」
なんだ?こんな珍しい。市代が朝食を作ってないとは。それのために毎朝毎朝俺より一時間も早く起きるのが市代の優しさだ。

キッチンを覗いて言葉を失った。まるで何かが大暴れしたかのようにぐちゃぐちゃになっている。バラバラの野菜。ひしゃげたおたま。
「こ、これは、これは一体…」
なんだよ、これ。

53 :闇母:2008/01/12(土) 19:56:16 ID:f5RU4BjJ
その時俺は視界の端にうずくまる市代を見つけた。
「い、市代!!」

市代の身体がピクリとする。
しかし俺は足がすくみ、すぐには近寄れなかった。なぜなら、市代の手には結婚して初めて贈った包丁が握られていたから。
(危ない!)
俺の本能がそう告げている。いやそれははっきりと雰囲気で分かる。
でも俺、俺はあいつの夫だから、それ以前に市代を愛しているんじゃないのか!?お前はあの日約束したろ?
俺はついに駆け寄り、彼女の顔をあげさせたところで、またも言葉を失ってしまった。
市代の顔は殴られたあとのような青痣と腫れでいっぱいだった。
「聡史さん…」
そしてその目は何も見ていなかった。
「私…私…」
「い、一体何があったんだ!?まさか、強盗か!?お、おまえ、まさかや、やられたんじゃ」
かなりパニクっていて、自分が何言ってるかも分からない。
「わか…ない…」
ボソッと言った市代と目が合うと、腫れたまぶたの下、彼女の瞳からぼろぼろと惜しみなく涙がながれて。彼女の口からは衝撃的な事実を聞かされた。
「味が、味がわかんないの…全然わかんないよぉ!!!」

後で分かったことだが、その日、彼女の舌は永遠に味覚を失った。

54 :闇母:2008/01/12(土) 20:00:32 ID:f5RU4BjJ
↑投下終了です。

グダグダになっているやもしれない。(;∀;*)シンパイ

55 :名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 20:02:34 ID:khe7/9v9
>>54
お母さんが可哀想です°・(ノД`)・°・
てか娘はもちろん親父もムカつくなw

56 :名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 20:05:55 ID:P6jTl3AV
薬盛られたんだから仕方ない

57 :名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 20:06:13 ID:yjZouDa1

そしてGJ

薬のせいとはいえ
さすがに父親ムカつくなw
私は何も思いだせない、みたいなのが……
まだ娘のターンぽいけど
ここから母親がどう動くのかwktk

58 :名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 21:25:30 ID:VEhg6w78
なにこれ…市代さん可哀想すぎるだろ・・・

59 :名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 21:49:19 ID:tKTtAWQX
お母さんに救済SSを書いてほしい…
父親が慣れない料理を作ったりして精一杯奉仕するとか
スレの趣旨からズレルか

60 :名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 21:58:04 ID:mG4zbXC5
おまいら、まだ始まったばかりじゃないか。
そんなに必死になるなよw









とりあえず茉奈と聡史氏ね

61 :名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 00:36:06 ID:KMahz0qe
とりあえず全員に死亡フラグが…
とりあえず娘氏ね

62 :名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 01:00:02 ID:5ChAM5LN
うーん、gjとは…

ただの気違いジャマイカ(´・ω・`)ショボーン


63 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/13(日) 02:07:18 ID:4c8uAKM4
茉奈もヤンデレなのに…まあ、俺も市代さん派だけど。

ヤンデレとサイデレ?の違いは難しい。
俺の最萌の如月更紗も、元々病んでるだけで、愛情表現は至極まっとうだし。
それとも、彼女の愛情表現をまっとうだと感じる俺が侵食されてる?

それでは、投下します。

64 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/13(日) 02:08:06 ID:4c8uAKM4
朝早く、電話があった。
昼過ぎに、電話があった。
この二つの電話が、喜劇の最終幕を告げる、ベルとなった。


言葉がうまく像を結ばない。
何を、言っているのか、脳が理解を拒否しているのだ。
「今……その、なんて?」
喉にからまった痰に邪魔され、かすれる声で問うと、電話の向こうの人物は、事務的な、しかし
十分にいたわりをこめた声でもう一度繰り返した。
「ご自宅で、白石勝さん、佐和子さんご夫妻が亡くなりました」
伯父さんと、伯母さんが、死んだ……?
まさか。今朝まであの二人はぴんぴんしていたのだ。今日の午後の便で帰ると言って、私と
こーたを大学に送り出した。
あんなに元気だった二人が、揃って死ぬということは。
「まさか……あんなに元気だったのに……死因……は?」
「殺人です。何者かに襲われたようです」
「犯人は、犯人は、誰ですか?!」
受話器の向こうの人は、一瞬、言葉を切って、息を飲んだ。
「まだ不明ですが、目撃者が存在します」
私が何度聞いても、その犯人について、その警察の人は、何も言ってはくれなかった。
ただ、警察の人間が迎えに行くから、研究棟にいてくれ、と言うだけだった。


65 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/13(日) 02:08:36 ID:4c8uAKM4
呆然とうなだれ、備え付けられた電話の受話器を持った手を下ろす。
研究室棟の実験室。朝から私と一緒にいた同期と後輩が一人ずつ、電話に向かって不穏な言葉を
叫んだ私を、気遣わしげに見つめている。
沈黙に耐えられなかったか、後輩が私に声をかけようとし、同期に止められた。
何かを言う気力もなく、私はただ、立ち尽くしたままでいた。思考が奔流する。
おかしい。
では、何がおかしいのか?
伯父と伯母は殺された。目撃者が存在するのに、犯人が誰かはわからないという。
この言い方自体がまず、おかしくないだろうか?
犯人がわからないというのなら、それだけを述べるだろう。目撃者が存在するかどうかという
ことは、犯人の正体の知・不知に関して、重要ではあるが直接の関係はない。
それをわざわざ私に告げた意図は何か?
目撃者の証言を元に犯人を捜しているところならば、その特徴を告げ、知人であるかを私に
問わなかったのはおかしい。
しかし、犯人がわかっているならば、不明であると言う必要も、目撃者が存在すると述べる
必要もない……。
目撃者が存在し、犯人の身元について私に確かめる必要がないが、犯人が不明である。
これに当てはまる解は一つだけ。


犯人は、私の顔をしていたのだ。


66 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/13(日) 02:09:08 ID:4c8uAKM4
目撃者が誰であれ、マンションの人間ならば、私の顔を知っている可能性は高い。
たとえ知らずに、私だと名指しできなくとも、特徴を述べるだけで、私だと警察にはすぐに
知れるだろう。
そして、警察は私を疑っている…?
いや、違う。
私を犯人と確信しているのならば、私に、伯父と伯母が死んだことも、警察が研究棟に向かって
いることも告げたりしない。
私が犯人ならば、間違いなく逃げてしまう。
警察は、まずこーたに連絡をとったに違いない。いや、事件の発覚が早すぎることを考えると
こーたが第一発見者の可能性すらある。
こーたは、前の事件についても、警察に話したはずだ。
だから、この顔が二人いるということを、警察は既に知っていて……どちらかが犯人であることも、
既に知っている。
そしておそらく、こーたは、犯人が私ではないと、主張しているはずだ。


今、警察は、どちらが犯人なのか、まだ確証がとれていないのだろう。
わざわざ「目撃者がいる」と告げたのは、私の反応を見るためだったのだ。
ここで私が逃げようとしたら、私が犯人であるということを示すことになる。
警察が「こちらに向かっている」というのも、ブラフだろう。おそらく、研究室棟の玄関先
から電話をかけたのではないか。きっと、非常出口にも、警察がいるだろう。
出口に警察がいれば、私を『確保』することはたやすいのだから。


67 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/13(日) 02:09:47 ID:4c8uAKM4
不思議なほど、私は冷静だった。
そして、何の疑問も持たずに、私は『全て』を理解し、『全て』を『受け入れた』。
犯人を導くための思考は、本当は、ただの確認作業にしか過ぎなかったのだ。本当は、二人が
死んだと聞いた時から、全部わかっていた。
いや、もしかしたら、もっと前から、こうなると知っていた。
天啓を受けていた……と言っていいかもしれない。
だから私は、私がすべき『全て』を知って、まよわず実行すると決めた。
覚悟などという大層なものではない。ただ、為すべきことは為さなければならないという、
それだけのことに過ぎない。
「ふ…くうっ、う…っ!」
知らず、嗚咽が漏れた。涙が次から次へと頬を伝う。
でも、私を満たしていた感情は、悲しみではなかった。
父母を殺されたこーたの苦しみを思うと、胸がつぶれそうになるはずだった。
でも、今の私は、そういった感情すら、持たなかった。

そこにあった感情は……。


携帯電話を手提げ鞄に入れ、ただショールだけを纏って、実験室を出た。
わかりにくい場所に扉があって、その先に資材搬入用のエレベーターがある。
この研究棟は、元は二つの建物を繋ぎ、その後も建て増しを繰り返したため、いびつな構造を
している。瑞希は、玄関から近いエレベーターの存在しか知らないはずだ。
私は、エレベーターのボタンを押した。低いモーター音がして、小気味良いくらいに順調に
階数表示が下ってくる。
エレベーターの扉、奈落を見せる小窓に、うっすら、私の顔が映る。
鏡の向こうの自分は、自分と同じ顔をして、自分と違う行動をする。
でも、それが私である限り……同じなのだ。
だから、瑞希が伯父と伯母を殺した理由を、私は知っている。瑞希がどこにいて、次に
何をするのかを、私は知っている。


68 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/13(日) 02:11:07 ID:4c8uAKM4
朝、瑞希から電話があった。
遠くへ行くことになった。水樹に会えるのは最後かもしれない。だから直接会って謝りたい。
二人で買ったおそろいの服を着て、夕方の五時に、会おう。
瑞希は、そう言った。

高崎瑞希及び水樹と白石浩太が姉弟であると知っているのは、伯父と伯母と私である。
白石浩太は高崎瑞希及び水樹と『戸籍上は』従姉弟なのだから、この三人がいなくなれば、
結ばれるのに何の問題もなくなる。
だから、瑞希はこの三人を消さなければならない。伯父と伯母を殺したならば、次は私の
所に来るのは当たり前だ。
私が研究棟にいるというのは、伯父と伯母から聞いたのだろう。彼女は二人を殺してすぐに
私の研究室に向かったに違いない。
用意周到な彼女のことだ、返り血を浴びるなどと言う愚をおかすことはないだろう。
誰にも不審に思われずに、ここまで来れたに違いない。
本来、IDカードがなければ玄関ホールから先の研究棟には入れないことになっているが、
この棟のセキュリティーシステムには、人的な穴がある。知り合いが後ろで待っていれば、
一緒に入るのが礼儀といった風潮があるのだ。
私と同じ顔をした瑞希にとっては、私の研究室までたどりつくことくらい、容易いことだった
だろう。
後は私を殺せばよい。
私にアリバイがないのなら、全てを私に押し付けて、水樹を犯人にして殺せばよい。
私にアリバイがあるのなら、生きている方が水樹で、死んだ方が瑞希になる。伯父と伯母と妹が
死んだショックという理由で、学校をやめれば、私と瑞希の違いなど、なくなる。
だから、同じ服である必要があった。


69 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/13(日) 02:11:45 ID:4c8uAKM4
でも、彼女にとっては不幸なことに、私にとっては幸いなことに、私は今日、地下の実験室で
実験をしていた。今日、私がいた場所は、放射能漏れの危険性のある、レッドゾーン区域だ。
探し回ってもわかる場所ではないし、私の居場所を知っているのは、私と一緒にいた同期と後輩の
二人だけ。
今、彼女は、私の3階の研究室の前で、歯噛みする思いで私を待っているのだろう。


エレベーターが開く。乗り込んで、6階のボタンを押した。
警察はそんなにすぐには私を探しに来ないだろう。でも、時間が経ち、私がいないことに
気づいたならば、行動するに違いない。
それに、3階にいる瑞希の存在が警察にわかったならば、やはり私の計画は無駄になる。
低いモーター音が止み、エレベーターが止まる。
私は小走りに、屋上へと向かう階段へと向かった。立ち入り禁止のロープを、鞄に入っていた
ハサミで裁ち、近くのゴミ箱に捨てる。
自分の記憶力に感謝しつつ、数年前に先輩から聞いた屋上の電子ロックの番号を入力する。
電子音とともに、扉が開いた。
時間は、あまりない。焦りながら、準備を終える。
一つ、深呼吸をした。
さあ、瑞希に電話をかけないと。


70 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/13(日) 02:13:03 ID:4c8uAKM4
携帯をパカリと開けたその時、私の心に、弱さが忍び寄った。こーたの声が聞きたくなったのだ。
思わず、こーたに繋がるショートカット番号を押す。
……話し中だ。事件のことで、誰かに電話をして知らせているのかもしれない。
私は苦笑し、通話ボタンを押して切った。これはきっと、神様からの戒めに違いない。
今度は、迷わず、瑞希に繋がる番号を選択した。
コール1回、息をつく間もなく、電話は繋がった。
瑞希が言葉を発する前に、一息に告げる。
「私は、今屋上にいるから、来て欲しい。エレベーターでも、階段でも来れる。6階で降りたら
 屋上へ続く階段はすぐにわかる。扉を開けて待っているから」
そうして、瑞希が、何も言わないうちに、電話を切った。


おそらく、瑞希がここまでたどりつくのには、3分ほどかかる。
きっとその3分は、永遠にも思えるほどに長いことだろう。
私は、大きく深呼吸をした。青い空を見上げる。
悲しいほど綺麗な、秋の空。心は、どこまでも澄み渡って、静かだった。
こーた、お姉ちゃん、今度こそ頑張るからね。今度こそ、こーたを守るから。


愛してるよ。


71 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/13(日) 02:14:24 ID:4c8uAKM4
以上です。
幸いながら事件に巻き込まれたことがないので、警察の動きが話に都合よい
形で不自然かもしれません。そこらへんはお目こぼしください。

72 :名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 03:32:11 ID:2MvyKI1S
GJ!
水樹には幸せになってもらいたい。
続き投下まで全裸待機してます。

73 :名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 03:38:13 ID:d1AmQR1c
GJ
何だか物凄い勢いで死亡臭がするのはきっと気のせいだ

74 :名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 10:42:52 ID:KMahz0qe
前スレのちび姉の続きプリーズ…
もしよければちび姉を書いてみたい…

75 :墜落の夢 プロローグ1:2008/01/13(日) 11:30:37 ID:jazuqUMY
彼女が、生きるために何があれば生きられるのだろう?
そんなことを彼女は、考えた事があったのだろうか。
彼女は座って泣いていた。
長い髪を振り乱し目からは、止めどない涙を流しながら
「どうして?どうして?どうして?」
「私たちがまともになんてムリだったのかな?」
しかしあまりに弱弱しいこえだった。
普段の彼女からは考えられない。
「あまりこれ以上かんがえるな。」
我ながらひどいとおもう。
彼女に対していった言葉は何の慰めにもならないのに。
「私たちがまともになんてムリだったのかな?」

食料と水と空気なんてお決まりの答え?
そんなの全然彼女は望んじゃいない。
現に俺達には、お決まりの答えくらい問題じゃなかった。
でもそれがこの結果だ。それだけじゃ、たった1人も守れない。
それだけじゃ、悲しみで心が潰れてしまう。
彼女は、現にそれだけでは生きては、いけなかった。
そんなのは、心のない本能だけの動物だろう。
動物園なんてわざわざ区分けしてるしな。
ただ生きるだけならお決まりの答えで理屈上十分だろう。
心なんていらない。
彼女が望むのは、その先だ。
まとも、当たり前、普通、そんな他人との心の触れ合いを夢見た。
だが、求めた瞬間それは、粉々に現実に壊された。
そして彼女の心も壊された。


76 :墜落の夢 プロローグ1:2008/01/13(日) 11:59:59 ID:jazuqUMY
彼女は、凶器をもっていたのに傷つける側なのに壊れた。
いじめられていたから、仕返しした。
それだけで……。
いや、それだけのことをしたのだろう。あやうくずれるところだった。
罪や悪意は、残り続ける。どうやっても抹消できない。
人が3人死んだのだ。十分罪深い。
しかし、救いが無さ過ぎる。
もう彼女は、立ち直れないかもしれない。

強く在れといつも俺にいっていた彼女。
いままでの日々を思い返す。幸せから絶望。そんな時 俺たちは、出会った。
そうだ。かつて交わしたあの約束の時から俺は、彼女によく助けられたんだ。
彼女を助けたい。俺は悩んだ。
人に踏み込まないよう生きてきた俺は、戸惑っていた。
リスクが頭にちらつく。孤独、そんな単語が頭を埋め尽くした。
さみしい、つらい、こわい。感情の波が俺を襲う。

妹達が逃げ出した。悲鳴をあげていた。家族だった。
目の前の俺を同じ人間と認識していなかった。
人とまったくの別物。俺を見てまるで化け物のように。
幼い俺は、しばらく理解できなかった。俺は、化け物。
俺は逃げ出した。姉が追ってくる。
目の前の人間は、俺を家族と認識していない。敵。攻撃される。
傷つけられる。理解は、出来た。俺は、家族の敵。

幼いとき感じたあの感覚に恐怖した。
一度失敗した俺は、臆病だった。
現状維持、それは甘美な響きだった。
俺は、逃避しようとしているのか。
ふいに彼女との約束が浮かんだ。
「いつか楽しいと思える日々まで、ふたりで生きよう」
大切な言葉だ。
俺にとって一番大事な約束。
そうだ約束したんだ。
いま果たさずにいつ果たすんだ。
覚悟の決意をした。最後に理由を聞いた。思い残すことが無いように。
「なんで俺を選んだんだ?。」
その俺の質問に彼女は、すぐ答えてはくれなかった。
しばらく黙っていて、俺は不安になった。
無視されているのか、それとも聞いていないだけなんだろうか?
見下し見下される関係が、続いていたので怖かった。
もう遅いのだろうか?
5分くらいだろうか、突然俯いていた顔が俺に向いた。
「好きだったから。」
それまでずれていた焦点が俺の目と重なる。
ひたむきな姿で告白してきた。俺にはいまだ到底無理な感情。誠 実、真心愛情。
不思議と嫉妬は、しなかった。その言葉は、純粋にうれしかったと思う。

だから、うけとめられるだけの器が自分にないのは、悲しかった。

突然の投下すいません。
続きは、できたら書きます。



77 :名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 15:14:21 ID:IGUDAla6
>>76
続き期待してるぜ!!

78 :名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 17:45:47 ID:wT36kRCu
水樹ガンガレ超ガンガレ

でも瑞希視点も読んでみたいなあと思ったり

79 :名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 18:59:11 ID:/XtATejZ
>>74
書いてもいいんじゃないかな。
俺は読んでみたい。

80 :上書き ◆kNPkZ2h.ro :2008/01/13(日) 21:42:26 ID:637IVz6l
投下します。

81 :上書き ◆kNPkZ2h.ro :2008/01/13(日) 21:43:21 ID:637IVz6l
「加奈を、本当に、好きか?」
 島村の質問を、そのまま口にしてみる。
そうでもしないとそのまま聞き流してしまいそうな程、それは当たり前なことだ。
頭の中でも、言葉でも、繰り返し繰り返し確認してきた――俺という人間の前提。
「お前にしては愚問だな」
「真面目に答えて下さい」
 準備していましたと言わんばかりに即答された。
完全に返答を読んでいなければ絶対に出来ないであろうスピードだった。
それだけ真剣なのだということは理解したが……改めて思う。

 愚問にも程がある。

 島村は何を言っているんだ?
自分で、俺が加奈を好きだということは分かっていると言っておきながら、何で再びその一言を要求しているんだ?
経験上島村がどこか呑み込み難い性格の持ち主だということは知っているが、同時に言っていることに意味があることも解していた。
だが今の島村は、俺の理解の範疇を完全に超えている。
何か目的あってのことだという確信はあるが、その周囲が煙っていて全く見えない。
兎にも角にも――俺に出来るのは、肯定することだけだ。
人様に誇れるほど大層なものは俺には何もないが、加奈への気持ちだけは負けない自信だけはある。
この唯一無二の感情は、誰にだって否定させはしない。
「加奈のことが、誰よりも好きだ――」
 力強く宣言した俺をよそに、瞬きする間もなく、島村は俺の頬を叩いてきた。
それも、かなり重い平手打ちだ。
掌でやられた筈なのに、破裂音と言うには程遠い、鈍い音が響いた。
頬が腫れを通り越して打撲のように青ざめてるんじゃないかと心配してしまうほどの痛みが走る。
手で頬を押さえるという恥を忍びながら、若干呆然としたままの状態で島村を見返す。
「ふざけんのも大概にしろよ」
 思わずそんな汚い言葉が漏れたのは、先程ニュアンス的に俺の加奈への想いを否認されたような気分になったというのもある。
しかし何よりも俺を怒りに駆り立てているのは、今俺を見下ろしている島村の目に、溢れんばかりの非難めいたものが込められているからだ。
言葉にはしないが、お前はどういった了見でそんな視線を浴びせてくるんだと言いたくなる。
お前の命令に近い要求を呑んでやったというのに、した途端の仕打ちがこれか。
さっきまでの穏やかな気持ちが払拭されてしまったよ、全く以ってな。
「ふざけて、そんな暴力振るう訳ありませんよ」
「どの口が言うんだ。人のことつい前まで奴隷扱いしておいて」
 脳裏に浮かぶ男として屈辱としか表現し様のない光景。
少しだけ笑ってしまったのは、その惨めな姿が自分であるという事実を受け入れたくないが為に、客観視したからだ。
ますます、虚しくなった。
「何で笑っているんですか」
「どうでもいいことだ。それより、こんなに豪快にぶっ叩いてくれたんだ。何か意図あってのことだよな?」
「意味のない行動だってありますでしょうに」
「そんなことはどうでもいいから、俺の質問に答えてくれ」
 島村から、悪びれた様子は欠片も見受けられない。
逆に清々しくなる程に当然を身に纏ったその立ち居振る舞いに、沸々湧いていた憤りも萎縮してしまった。
いつもそうだ、こいつは。
俺に対して、傲慢としか取れないような言動を、半強制的納得と共にぶつけてくる。
人並の頭があるなら、いつかそれが俺の逆鱗に触れる時が来るかもしれないという場合を想定出来る筈だ。
にも関わらず、島村はまるで――俺が怒っても、行動には出さないと確信しているかのように振舞っている。
そこまで、俺を信用――そう呼んでいいのかは定かではないが――出来るその要因は、一体何だというのだ?
 ……今更だが、考えるだけ無駄か。
とりあえず思い直して、間もなく島村が返してくるであろう解答に耳の全神経を集中する。
筋道すら見えなければ、永遠に正解には辿り着けないんだ。
「一つは……単なる、嫉妬です」
「は?」
「今のところは諦めるとは言いましたが、私が誠人くんを好きだという気持ちに変わりはありません。絶賛継続中なんですけど」
「あ……」
「もう少し、乙女心というものを分かって下さい。女の子は繊細なガラス玉なんですから」
「どの口が――」
 言うんだか、とは言えなかった。
ふざけて開けてた大口に、島村の親指を除いた右手の四指がすっぽり入れられたからだ。
「憎まれ口しか叩けない、いけない口は、こうして塞いでしまいますからね」

82 :上書き ◆kNPkZ2h.ro :2008/01/13(日) 21:43:48 ID:637IVz6l
 島村の指咥えるのって、これで二度目だな。
同じ女の子の指を強制的に二度も口に含まされるってのは、男としてどうなのかね。
自分の認識を遥か遠くへと追放しながら、追憶してみる。
一度目は、保健室で治療と称した拷問をされた時だったな。
あの時は、頭踏まれたりして、その影響で半ば自棄になって丹念に消毒液を舐め取ってやったんだったな。
……そういえば、俺が意味を読み取れない素振りもあの頃から始まっていたな。
確か、島村の質問にへの返答に皮肉を込めたら、どこか物悲しい顔をしていたんだっけか。
結局、その真意も分からず終いだったな。
ま、今頃訊いたところで、当の島村本人が覚えている可能性は薄いし、何より俺の勘違いって線も捨て切れない。
どちらにせよ、今となってはどうでもいいことだ。
「あ」
 いい加減、涎が溜まってきたので慌てて指を放す。
本来ならば顔を真っ赤にして早急に引き抜くべきところを、何を冷静に俺は数秒間も犬のように咥えていたんだ。
島村の言う通り、身体に受動的快楽を享受する経路みたいなものが確立してしまったのかもしれないな。
「ご主人様とペットごっこは、この辺りで打ち止めにしておこうぜ」
 そう言いながら、口内に残った唾を嚥下した。
若干塩辛く感じたが、その理由を追究した先にはきっと恥ずかしい現実が待っているであろうから、そこで思考を打ち切った。
出来ればこの話題はそろそろ転換したい俺をよそに、島村は俺の涎で滑っている自身の指を色々な角度から凝視している。
見てるこっちも恥ずかしくなる程、島村は平然とそれを眺めている。
そのまま続けること十数秒。
「そうですね」
 相変わらず自分の指を見るのに夢中になっている様子の島村は、若干心此処にあらずな不安定極まりない口調で呟いた。
それを聞いて、ひとまず安堵の一息を吐こうとしたのも束の間――。
いきなり、島村は自分の人差し指を舐めた。
その唐突さに一瞬度肝を抜かれつつ、何とか平生を装いながらその光景を見据える。
猶も島村はアイスバーでも舐めるかのように、中指、薬指と次々に咥えている。
そんな扇情的な場面を前にして、今俺の中で渦巻いているものはと言えば、情けないながらも「厭らしい」の一言……。
島村を本当の意味で“知る”までに俺が彼女に対して抱いていた清楚――と言うと大袈裟だが――なイメージとのギャップが大き過ぎるんだよな。
半分以上言い訳だけど。
「以前みたいに飾る必要なんてないんですよね」
 若干追及したい節があったが、否定されなかった時の反応に困るだろうから無視することにした。
「今は一応ただの友達同士なんですから。友達って、そういう関係なんですよね? 誠人くん」
「そうなんじゃないのか……ねぇ?」
 ――友達、か。
頭の中でその言葉を反芻してみるが、いまいち実感が掴めない。
別に気心の知れた友人がいなかった訳ではないが、彼ら(彼女ら)が果たして俺にどれだけの影響を与えていたのか?
俺を占める割合の中で、当然のことながら一番は加奈であり、後は言い方は悪いがその他のようなものだからな。
そんな風に一括り出来る程、友達って存在は矮小なものなのか?
それとも、そう思うことは、単に俺が求め過ぎているだけだとでも言うのか?
……馬鹿だな、俺は。
普通の奴は、俺みたいに無駄に深く考えたりなんかしないよ。
皆、小さい頃に心で理解する術を学んでいるんだ――加奈のことに夢中な俺を除いて。
「だとしたら、私は加奈さんより少しだけ得したかもしれません」
 俺の適当甚だしい回答に、表情はそのままながらも、島村は僅かながら声を和らげた。
罪悪感に心が軋む音が聞こえたような気がした。
「彼女って立場では決して見れない誠人くんの一面を、垣間見れたんですからね」
「それって――」
「そのこととも関係があるんですか、もう一つの理由を教えてあげます」
 続きは遮られた。
だが、そのことはもうどうでも良くなっていた。
島村の言葉から察するに、俺の言おうとした疑問も全てひっくるめた解答を用意しているに違いない。
さっきまでそれを半ば怒りに任せて要求していたんだ。
素直に受け取るのが礼儀だ。
「後、話している間はおとなしく聞くだけで、割り込まないで下さいよ。私語厳禁、これ命令ですからね」
「わかったよ」
 島村由紀――彼女に関する幾つもの疑点、それが分かるということへの期待からか、俺は子供のように嘗てない程ワクワクしていた。
「それじゃ、まずは一つ告白しておきます。宿題は早目に終わらせるタイプなんでね」
 精一杯の深呼吸を披露した後、始めた。

「私、処女じゃないんですよ」

83 :上書き ◆kNPkZ2h.ro :2008/01/13(日) 21:44:15 ID:637IVz6l
 俺は今、ドッと噴き出る冷汗を感じながらも、心底ホッとしている。
もし発言を禁じられていなければ、島村のあまりにも突発的且つ突飛な告白に対して、俺は何か答えなければなかったのだ。
異性の繊細極まりない問題に、果たして俺はどんな対応が出来ただろうか……?
仮に慰めたとして、それは“処女”の重要性を肯定することになり、そうでない彼女を傷付けてしまう。
かと言って平生を装ったとしても、単純に薄情だと思われてしまうかもしれない。
完全な袋小路――どんな反応も、彼女を追い詰めてしまうのではないか?
「処女喪失の時は、高一の夏。当時付き合っていた男とです」
 必死に思慮している俺を置いてきぼりにして、島村は平気な顔でどんどんプライベートなところへと進んで行く。
その吹っ切れた感のある表情と口ぶりだけが、今の俺にとっては救いの手であった。
「事後の第一印象は、男の性欲旺盛な様です。だって、私と彼が付き合い始めたの、その三日前だったんですよ?」
 “手”は払い除けられた。
とんだ勘違いをしていたことに、気付かされてしまった。
確かに、島村の淡白過ぎる物言いには、心残りは欠片も見受けられない。
代わりにそこに込められているのは、悲しみや怒りを超越した――純然たる、呆れ。
それは、本来の上下関係を無視した威圧感を備えており、又、俺に畏怖の念を与えるのに足るものであった。
「でも、私に彼を貶める権利はありません。彼の『愛している』が当時の私にとっては全てだったんですからね。馬鹿はお互い様ですよ」
 すっかり冷静にさせられた思考の中で、俺を気持ち悪くしていたのは一種の矛盾であった。
女王の風格すら漂う、男を小馬鹿にした島村と、俺に一途に想いをぶつけてきた彼女――その二つの像が、全く一致しないのだ。
結局その根源を辿っていけば、島村が俺をあれ程に好いていた理由は何かという疑問にぶち当たるので、何も進んではいないんだがな。
「その頃の私は、それはもう“いい娘”でしたよ」
 島村は、苦笑を間に置いた。
「朝は彼と一緒に登校する為に、まだ光がない時間に起きて、彼の弁当を持参して家まで迎えに行きました。
 学校でも彼に恥じない彼女になるよう世間体を気にして過ごすようになりました。
 彼と下校する為に部活も辞めました。夜は、彼が求める日はいつでも応じました」
 島村から語られる過去の彼女の姿を脳裏に思い浮かべてみる。
あくまで傍観者としての率直な感想を述べるなら――。
「ちなみに、それは全て彼が私に要求してきたことなんですよ」
 異常だ。
「まるでゲームみたいですよね。自分の操作通りに動いてくれる人間なんて。
 薄気味悪いことこの上ありませんが、彼にとってはそれが至福だったんです」
 彼女のそんな様子を見て注意を促さないどころか、逆に火に油を注ぐようなことをしでかすその男も。
「それが彼にとっての幸せと割り切って我慢していた、私にとっても」
 傍目から見れば最低極まりないそんな男を妄信的に好きになっていた、島村も。
「“恋は盲目”とは良く言ったものです。私は献身的に尽くしました」
 再び、苦笑を一つ。
「ですが、どんなゲームにもいつか必ず訪れてしまいます――“飽き”という段階がね。その後の展開は、大体予想つくでしょう」
 言われなくても、今まで散々考えるということに没頭してきた身の俺にとって、それ位のことは訳ないことだ。
今までしてきた努力の継続では、彼氏を自分の下に繋ぎ止めておけない。
そんな状況に陥った島村が――恋の奴隷になった彼女が導き出す答えは、“足りない”ということ。
彼氏の非を決して認めない島村は、彼氏が離れていくのは自分の愛が足りないだけと信じて疑わないだろう。
彼氏は彼氏で、島村への好意を失くしたことでようやく客観的な視点で彼女を見て、気付いたに違いない――彼女の異常性に。
余計に彼氏は離れ、島村は原因を誤解したまま自ら彼氏に恐怖を植え付けるという、負の連鎖が形成される。
……俺の想定し得る、最悪の結末だ。
「双方にとって非生産的な状況のまま、高二の春になりました。
 春――あの男のことですし、けじめをつけるいい機会だとでも思ったのでしょう」
 三度目の苦笑を、島村は漏らした。
今まで最も深く、そして陰気な感がした。
「とうとう、別れを言い渡されました」

84 :上書き ◆kNPkZ2h.ro :2008/01/13(日) 21:44:57 ID:637IVz6l
 打って変って、自らの体験談を語るその口調には、やはり清々しさが漂っていた。
その言い草の軽快さたるや、まるで話すことを楽しんでいるかのようにすら思えてしまう程だ。
「当然反発しましたよ。省みると羞恥心で身が溶けそうな位取り乱して、とにかく何としてでも気を変えてもらおうとしましたね」
 懐かしむように島村は遠くを見回しているが、俺の心にはそんな余裕は露ほどもない。
感覚的にはほんの前に俺は、正に島村が口にした自身の像と類似する姿を見せ付けられたのだから。
俺の為に体を傷付け、心を侵し、自分を捨てた――形振り構わない、一人の女としての姿。
それがくっきり脳裏に焼きついて離れてくれない。
今でも耳にこそばゆい甘い囁きと、何度も与えられた肉体的苦痛。
飴と鞭を駆使して翻弄された感覚が、体にも心にも染み付いている。
だが、それは決して忘れてはいけないものなのだと思う。
同情だとか罪悪感なんて理性的なことを抜きにして、ただ本能がそうあるべきだと訴えかけてくるから。
「そんな私の様子を見て、狼狽し切った彼が私に言ったこと……何だと思います?」
 突然の問い掛けに一瞬戸惑い掛けたが、深呼吸をしている島村を見るに、回答は求められていないようだ。
胸を撫で下ろしていると、島村はゆっくりと俺の方へと近付いてくる。
そして何を思ったか、俺の右耳を親指と中指で抓んで、自分の口元に引っ張る。
「『もう俺に付き纏わないでくれっ!』」
 島村の言葉は、至近距離だったのと壮絶な音量だったのとが災いして、聞き取れたものの耳が痛くなった。
キーンとかいう擬音が俺の周りを飛んでいる気がして、耳を押さえる他どうしようもない。
その上、声量という点を除いても、島村の先程の言葉には有無を言わせない気迫があった。
結果的に俺に出来るのは、馬鹿になりかけた耳を壊れ物のように撫でながら、島村の次の言葉を待っていることのみだ。
「彼に最後に感謝した瞬間でした。その言葉を聞いて、私はようやく夢から覚めることが出来たんですからね」
 和解――島村が語るこの結末が、俺には少し腑に落ちなかった。
今の島村は俺が好きだということを考えれば当然のこととも言えるだろうが、彼女の常軌を逸した愛情を肌で感じ取った身としては、最終的にはあっさりと退いたことをおかしく思った。
「さて、誠人くん。問題です。私は何故こうもあっさり関係を断ったのか? あ、勿論もう喋っていいですからね」
「……」
「何ですか? その目は」
「いや、お前やっぱり俺の心の中見えてんじゃないかって思っただけだよ」
「そうだったらどれだけ幸せか」
 真顔の島村をよそに、俺は女々しく髪を弄くっている。
島村からの問いに答えようなどとは微塵も思っていない。
正解が導ける筈がないと諦めているからというのもあるが、何よりも俺は勘違いすることを恐れていた。
相手の心中についての懐疑の末に間違った結論を出して、そのことで相手を傷付けることだけはもう沢山だった。
――涙なんて、もう見たくない。
「ところで無言でいるのは、わからないってことでいいですね」
 沈黙で肯定する。
「難しく考える必要なんてありません。簡単なことです。私は人として彼を見損なった。だから別れた。それだけです」
「見損なった?」
「女を人形のように使い古して、飽きたら自身の罪悪を自覚しないで一方的に相手のせいにする。どこに魅力があるのですか」
 正直、意外だった。
あれだけ俺に対して一途に思いをぶつけてきた島村のことだから、前の相手にも同じだけの愛情を向けているのだと思っていた。
現にさっきまで島村が話していたことによれば、彼女は異常なほど元彼氏に尽くしていたようだ。
なのに、今は彼氏に未練どころか、逆に軽蔑している節すらある。
このことに対して、俺は失礼承知で尋ねずにはいられなかった。
「幾らなんでも、心変わり早過ぎないか?」
「全然」
 島村は目を丸くして俺を見つめてきた。
心底言っている意味がわからないとでも言いたげな、おかしな表情をしている。
この即答に、俺は再び沈黙の殻に閉じこもる他の選択を取り上げられてしまった。
「すぐに男を代えられるような軽い女と思うのならご自由にどうぞ。でも、これだけは言っておきます」
 息を若干大きく漏らしながら続けた。

「私は、弱い人は嫌いです」

85 :上書き ◆kNPkZ2h.ro :2008/01/13(日) 21:45:39 ID:637IVz6l
 断固として捻じ曲げさせまいという心意気が伝わってくるその言い振りは、島村が胸を張っているような錯覚すら覚えさせた。
「自分の正当性を疑わず、自省をしない――彼のような心が脆い存在を好きにはなれません」
 島村のことを軽い女だなんて思わないし、思える訳もない。
一人の相手にあそこまで執着する様は寧ろ、恋愛に対して実直だとすら評価出来るものだ。
だからこそ、島村が元彼氏への好意を完全に喪失した背景には、何か彼女自身の思考回路からの影響があるに違いない。
無論、俺には分からないが。
「彼は私に飽きて、そこで初めて客観視したことで私を気持ち悪く思ったんでしょう。
 それは私も同じで、彼のあの言葉で事態を客観視したんです」
 言いながら、島村は自分の顔を右人差し指で指した。
「誠人くん、あなたは私の過去を聞いた時、十中八九こう思った筈です。狂っている、と」
「そこまでは思っていないが……」
「なら異常だ、位ですかね。どちらにせよ、常識的に見れば明らかにおかしいと感じましたよね?」
 問い掛けながら、目で『分かっている』と教えてくる……島村らしい、実に厭らしい攻めだ。
「全く以ってその通りです。彼は私を玩具にし、私は彼を愛すだけ。
 お互い相手のことばかりで、自分を見つめようとしない――そんなの、恋愛とは呼べませんよね?」

 ……恋愛とは呼べない……恋愛トハ呼ベナイ…………レンアイトハヨベナイ…………レンアイジャナイ………………

 アレ?

「愛すことしかせず反省をしない、私が嫌いな人間に自身がなっていたショックもあって、私は彼と別れました。
 ですが、その時はほんの少し、それこそ米粒ほどの未練があったんですよ。
 それを完全に払拭してくれたのが、後の誠人くんとの出会いでした。
 誠人くん、あなたは知らないでしょうけど、私はあなたのことをあの女子トイレの時以前から知っていたんですよ。
 その時、あなたは丁度加奈さんに――“上書き”されているところでしたよ。
 当時の光景を振り返ってみても、壮絶だったとしか言い様がない程、衝撃的でしたよ。
 自分より一回りも小さな女の子に滅茶苦茶にされているあなたの姿は、惨めという言葉がお似合いでしたよ。
 でも、泣きながら謝っている加奈さんを笑顔で許しているあなたの姿を見た瞬間、胸が高鳴りました。
 『俺も悪い』と言いながら加奈さんの頭を撫でているあなたは、私が見てきた誰よりも格好良かった。
 あなたとなら、自分の罪を認める強さのあるあなたとなら、私は幸せになれる……あなたが欲しい、こう思うようになったんです。
 それからは密かに機会を伺っていたんですが、まさか女子トイレ前で会うとは思いませんでしたね。
 しかも、また“上書き”されているんですから、二重に驚かされましたよ。
 でも、そこから関係を持てるようになったんですから…………って、誠人くん、聞いているんですか?」
「……」
「誠人くん?」
「……どういうことだよ、島村? どうして、どうしてそんなこと言うんだよ!?」
 荒れる息をそのまま、俺はベッドから瞬時に飛び退いて島村から距離を取った。
訝しげな視線を送る島村に対して、威嚇するように俺は彼女を睨みつけている。
「そんなことって、何のことですか? ほら、冷静になって――」
「来るなよっ!!」
 立ち上がろうとした島村を言葉で制してみるものの、俺の言葉など意に介さず彼女はスッと立ち上がった。
更に俺は島村から離れる為に後退りした。
「本当にどうしたんですか? もしかしたら傷が深かったのかも……」
「おかしいぞ、この病院。さっき島村は大声を出した。そうでなくとも今俺は叫んだのに、何で看護婦も誰も来ないんだよ?」
 島村と話している間は熱中していてそんな些細なことにすら気付かなかった。
それに、俺が今いるこの部屋にはベッドが幾つもあるのに、俺の以外は全て空席状態。
俺以外は患者が誰もいないなんて、どう考えたって変だ。
「誠人くん、落ち着いて下さい……。話し合いましょうよ……」
「もう一つ」
 何よりも島村に追及したいことがある。
知りたいのは、あの言葉に関して――“故意があるかないか”ということ。

「お前は元彼氏と自分の関係を恋愛とは呼べないって言ったよな?
 それは、俺と加奈の関係に対しても言ったのかよ?」

86 :上書き ◆kNPkZ2h.ro :2008/01/13(日) 21:47:18 ID:637IVz6l
 お互いに相手のことばかりを気にして、自分の行動を振り返れない。
そんな緊張状態の中で何とか保たれてきた、俺と加奈の関係。
島村と元彼氏との関係に類似するそれを、島村は恋愛ではないと否定した。
自分は俺から身を引くと言っておきながらだ。
……勿論、俺の思い過ごしだという可能性もある。
そうであってくれ。
いつもみたいに、馬鹿にして一蹴してくれ。

「ははは……私、馬鹿ですね」

 束の間を置いて放たれた言葉。
似ているけど、違う。
『私』は余計だ。
素直に俺を馬鹿呼ばわりしてくれて構わないから……。

「気付いていましたよ、“矛盾”に。私が求めているものと、それがそうである為に必要なことは、決して交わらないってことにね。
 でも……もう戻れないところまで来てしまったんです。私もあなたもね。こうなったら、形振り構っていられません……ははは」

 島村が近付いてくる。
再び下がろうとしたが、壁にぶつかってしまった。
ドアを探したが、島村を挟んで逆側にあった。
逃げ道はない。

「誠人くん、私は二つ嘘をつきました。それを教えて、謝りますから、その暁には……ふふふ、ははは……」

 島村しかいない。

87 :上書き ◆kNPkZ2h.ro :2008/01/13(日) 21:47:59 ID:637IVz6l
投下終了。次回で終わりです。

88 :名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 23:02:26 ID:c8PX/t8a
グッジョブお疲れ
次回で終わりかー…

89 :機動兵器ヤンダム00:2008/01/14(月) 00:03:11 ID:PTqGLfpw
投下します
ヒロインの恋愛対象が人外なんで苦手な人はスルーで

90 :機動兵器ヤンダム00:2008/01/14(月) 00:06:12 ID:PTqGLfpw
……この世界に“神”なんていない。

私は、ずっとそう思っていたんだ。
だって、いくら祈り続けても、私のお願いを叶えてくれなかったんだもの。
あの頃は毎日、毎日、一生懸命に祈っていた。……祈るしか、できなかったんだ。

“どうか、私を助けて下さい”って。



西暦2XXX年。
宇宙へと進出した人類は枯渇した化石燃料に代わり、宇宙太陽光発電によって新たなエネルギーを手に入れる。
しかし、その恩恵に与れるのは莫大な建造費がかかる軌道エレベーターを有する巨大国家群のみで、それぞれの超大国は全面的な衝突こそないものの、軍事技術の開発による冷戦状態に。
そしてそれらに属さない小国は資源の枯渇による貧困にあえぎ、紛争と内乱を繰り返し続ける。

そんな世界に、突如として“彼ら”は現れた。




「……“ゼノグラシア”、作戦を遂行します」
<了解、あなたの無事を祈っているわ>

ぷつん……と音を立てて通信が切れる。
オペレーターが告げたお決まりの台詞をもう一度思い返し、少女は薄く笑う。

「“祈る”だけじゃ、願いは叶わない。……そうだよね?」

91 :機動兵器ヤンダム00:2008/01/14(月) 00:07:10 ID:PTqGLfpw
現場は、数瞬の空隙の後、騒然となる。
新型の機動兵器の公開演習に突如として現れた、純白の人型機動兵器によって。
まるで重力など感じさせず、ふわりと地に降り立ったその機体は、突然の出現にあっけにとられるお披露目中の機動兵器へと右腕部に携えたライフルを向ける。

「野蛮で、無骨で、品性の欠片も感じられない……」

そのコクピット内で、少女は顔を歪め、吐き捨てるように呟く。
機体のカラーリングとは対照的に真紅のパイロットスーツに身を包んだ少女は、そっと手にしたレバーを撫でさすり、同意を求める。

「あなたもそう思うよね? “ゼノグラシア”」

“ゼノグラシア”と呼ばれたその機体は少女の問いかけには答えず、目前の新型機の詳細を分析し、彼女にデータを提示するのみ。
しかし少女は提示されたデータを確認しつつ、満足げにこくこくと頷く。

「やっぱり、あなたもそう思うよね! ……うん、分かる。あなたの考えていること。だって、長い付き合いだもの」

自分と意見が一致したことに少女は嬉しそうに顔を綻ばせる。
……が、その幸福を味わい、噛み締める時間はここにはない。鳴り響く警告音。

「ごめん、嬉しくなっちゃって今が作戦行動中だってこと忘れちゃってた。……大丈夫、あなたには私が指一本だって触れさせないから」

我に返り、謎の乱入者の迎撃へと打って出た“新型”が背部のハッチから誘導式のミサイルを乱れ撃つ。
一斉に迫りくるミサイル群。しかし、少女は、“ゼノグラシア”は動かない。
ぐんぐんとミサイルとの距離が縮まる。縮まり、…………と、ふいに純白の機体の姿が消える。
寸前で目標を失ったミサイルは互いが互いと衝突し、爆ぜる。盛大な爆発音と、立ち込める黒煙。
“新型”はモノ・アイのカメラをせわしなく左右へ動かし、敵機の姿を探す。……見当たらない。

「本当に見苦しい機体……」

影が差す。“新型”のモノ・アイがぐるりと頭頂部へ移動する。
そして、太陽を背に淡い輝きを放つその機体を、“ゼノグラシア”を視界に捉えた瞬間……

「だから、私たちの前から消えて」

両腕に備えた機関銃を向けることすら叶わず、“新型”は“ゼノグラシア”のライフルから放たれた光弾によって打ち抜かれる。

92 :機動兵器ヤンダム00:2008/01/14(月) 00:07:53 ID:PTqGLfpw
「“ゼノグラシア”、作戦を完遂。……次の作戦へ移ります」

少女が必要最低限の用件だけを通信で伝えると、再びコクピット内に鳴り響く警告音。
レーダーに映る、無数の機影。……突然に起こったこの事態にようやく対応し、送り込んできたこの基地の機動部隊だろう。
うっとうしそうにそれを見つめ、少女はゆっくりとヘルメットを外す。

「うん、今はこれで我慢してね。これが終わったら……ふふっ、後でたっぷり、ね?」

そう言って、少女はそっと機体のコンソールに顔を近づけ……

「大好きだよ。愛してる。……ずっと一緒だよ、“ゼノグラシア”」

“彼”に口付けを交わす。



武力による戦争根絶を目指す私設武装組織によって、世界は変革を促される。

これはそんな時代を駆け抜けた、一人の少女の物語である。

そう、物語はすでに始まっている。

世界に絶望し、唯一のよすがであった神への信仰も失った少女の下に、“彼”が舞い降りたその時から。

93 :機動兵器ヤンダム00:2008/01/14(月) 00:09:25 ID:PTqGLfpw
投下終了です
初投下がこんな話で本当にすまないorz

94 :名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 02:20:12 ID:N1u3dnjd
>>86
ずっと楽しく読んでます
………楽しく、うん楽しく読んでます。GJ

>>92
ヤンダムktkr
期待GJ

95 :名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 02:22:26 ID:h733mn0/
どうしてだろう、GJと言いたいのに
○ミ<スポーン
という言葉が先に出るのは

96 :名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 08:01:21 ID:yW5hkD/j
>>87
島村さん派の俺としてはちょっと複雑な気持ちになった、かなあ。
でもやっぱり可愛いからおkw

97 :名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 09:43:52 ID:JCV+IWZC
>>71
GJ
水樹には幸せになってもらいたい

>>87
GJ
上書き楽しみ待ってました

98 :名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 22:04:31 ID:TzlQWb6v
>>89
元ネタの元ネタの信者だからあまり笑えない…

まあ別にそんなことどうでもいいんですけどね

99 :深月:2008/01/14(月) 22:39:33 ID:pk/0UBFF
 タイトルの読み方は、【深月(しんげつ)】。
 最初はわけが分からないかもしれませんが、何卒ご容赦をm(_ _)m
 細かな設定や質問などは極力お答えします。
 (この先の物語が分かるようなネタバレ的な質問はお答えできませんが)

 では投下↓

100 :深月:2008/01/14(月) 22:43:50 ID:pk/0UBFF
 闇に包まれた山道を深山蒼佑(みやま そうすけ)は走っていた。立ち止まることもなく、後ろも振り返らずに。切れ切れに吐き出される吐息は白く、瞬く間に昏い空に溶けていく。
今宵は満月。見慣れていたはずの月はいつもより、ひと際白い気がする。
その中で火照った体を冷やしてくれる冬の寒さと、夜の山道を照らし出してくれる月の光だけが彼にとって唯一の救いだった。
 もうどれほど走っただろうか。
今は少しでもあそこから離れ、街に近づけさえいればいい。
 街にさえ出ることができれば救いはきっとある。そう信じて蒼佑は走り続けた。
「っ!……あった」
 闇の向こう側一筋の光が見える。ようやく山道から街へ続く道路へ出たのだ。
 ここまで来れば、街はそう遠くはない。やっとあいつから逃げられる。
 走り際に標識を見ると、あと数百メートルで街に出られるようだ。
 数百メートル。陸上部だった彼からすればそんな距離、五分も満たない内に完走できただろう。
 けれど――――――――――――――――――――
「…は、はは……」
 冷たい月の光がその人影を映し出す。
希望を絶望に変えるかのように、蒼佑の前に一人の少女が立塞がっていた。
西岡美月(にしおか みつき)。小学校からずっと一緒だった、幼馴染。
「そうだよな…無闇に追うよりも逃走経路に網張った方が確実、か。まあ、予想はしてたけど……」
 それでも彼女とは会いたくはなかった。
 蒼佑から乾いた笑いが自然と零れる。
「なんで、こうなったんだろうな……美月」
 彼女の着た白いワンピースは血塗られている。
 彼女の白い肌は血塗られている。
 故にそれを意味することは一つ。
「……ねえ、そー君」
 幼馴染はいつものような柔和な笑顔を浮かべる。
 何一つ変わったことなど無い、とでも否定するように。
「早く帰ろうよ。お家は向こうだよ?」
 彼女が指差す方向は数時間前まで自分が監禁されていた場所。逃げ出した地獄。
そこに戻れ、と彼女は言う。
 まるでそここそが深山蒼佑の帰る唯一の場所とでも言うかのように。


101 :深月:2008/01/14(月) 22:45:26 ID:pk/0UBFF
 蒼佑は背負っていたリュックの中から小刀を取り出す。ずっしりとした重量感がこれが“目の前に居る者”を殺す凶器なのだと告げている。
 それを慣れない手つきで幼馴染に向けた。
「そこを、退け」
 短く。自分の感情を抑えるように、警告する。
 けれどそこに躊躇いがある限り、今の彼女に通用するとは思わない。
「……そー君。そんなことしても無駄だよ」
 美月は彼の持つ凶器を気にも留めない様子で近づいてきた。
「いつもそうだったよね。テスト勉強頑張っても勉強する範囲を間違えたり、大会のために必死で練習してたら大会当日に風邪引いちゃったり……そー君って頑張れば頑張るほど空振りするんだよね」
 呼吸は荒く、手の震えが止まらない。
「だからね―――――――――」
 彼女が近づく度に、足は自然と後ろに下がる。
「これもきっと無駄。いつもみたいに徒労に終わるよ」
 白い月の下。
 昏い空は深く、底が見えない湖の様。
 今宵はいつもよりも月が白かった。

 何故、こうなってしまったのだろう。



102 :深月:2008/01/14(月) 23:02:16 ID:pk/0UBFF
 投下終了。書き忘れていましたが、第一話です。

103 :名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 23:17:35 ID:pnwDPEhI
>>102
愛する監禁大歓迎頑張ってGJ

104 :名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 00:02:37 ID:FV3Jb57N
これは期待

105 :深月:2008/01/15(火) 00:08:47 ID:O+x5QWq8
 投下後改めて自分のスレを読んでみて驚愕。
 途中から投稿できてねえっ!?
 なにぶん今までスレは完全に傍観者側だったので恐らくこちらの不手際かと…
 感想を書いてくださった>>103氏と、>>104氏には悪いのですが再投下
 (本当にすみません><)

106 :深月:2008/01/15(火) 00:18:19 ID:QJH77RNn
 夢を見た。
 白く、孤独な少女が出てくる夢。
 そこが何処だったかは思い出せない。その子が誰だったかは思い出せない。
 けれど、確かに僕はその少女を知っているような気がした。


 夢に出てきた場所はどこか山の中。古い日本屋敷の最奥。
 僕は今は亡き祖父に連れられて、幾重にも連なる赤い鳥居を潜っていた。
どこまでも続く同じような風景に飽きていた僕は「どこに行くの?」と尋ねると、祖父は困ったような顔をして、「これからね、蒼佑と同い年の女の子と会ってもらうんだよ」
それだけでは意味が分からない、と僕は答えた。まるで祖父は僕に何かを、いや自分から本題を遠ざけるような、そんな態度だ。
「その子はね、お前の番いになるかもしれない大事な子なんだ」
「つがい、って何?」
「んー…分かりやすく言うと、お前のお嫁さん、かな?ああ、でも、絶対というわけではないんだ。何人もそういう“候補の子”がいてね、その中の一人から選ばれるんだ」
 その時の僕は、祖父が言っていたことがよく理解できなかった。まだ会ったことも、話をしたこともない女の子をなぜ嫁にしなくてはならないのか?
「もし、選ばれたら――――――――――」
だから僕は祖父に聞いた。
「断ったらいけないの?」
 暫くの沈黙が続いた後、祖父は今にも泣き出しそうな顔で、

「これはね、【新月】が決めたことなんだ」

 【新月】。それは昔から僕にとって大嫌いなものだった。
 父と母は【新月】のせいで死んだ、と祖母は言っていたし友達と遊べなくなるのも、決まって【新月】に呼び出されるからだ。
 だからきっとこれも、ロクでもないことだろう。ようやく辿り着いた離れの門を前にして、僕はそう確信していた。


107 :深月:2008/01/15(火) 00:20:46 ID:IKcIIjn4
<hr>

「ようやくあの子に会える」

「この刻をどれだけ待ち侘びただろう」

「この瞬間が来るのをどれだけ夢見ただろう」

「彼が来るというだけで、何事にも無関心だったボクの心は掻き乱される」

「彼の笑顔を思い出すだけで、氷のようなボクの体は熱くなる」

「彼のことを想うだけで、空っぽだった自分の中が満たされるような気がする……」

「でも……まだ足りない。想うだけでは足りない……」

「だから、アナタのことが、欲しい」

<hr>

 部屋に入った瞬間、彼女と目が合った。そして魅入られるように、彼女から目が離せなかった。
 白い、月。
それが彼女を目にした感想。
 光の届かない部屋の奥で、白い少女は幽閉されるように“存在”していた。
 だから、暗い部屋の奥に居た白い少女がまるで夜空に浮かぶ白い月のように思えたからだろう。
彼女の来た藍色の着物は闇に溶け、足元まである長い銀髪と色素を感じさせない白い肌、そしてその奥に光る朱い瞳。外国人とも違う異質な雰囲気に、自然と息を呑んだ。
それはまるで人形の様に。
全てを見透かすような朱の瞳はそれまで何も、誰も見てはいなかった。たった今入ってきた自分を除いては。
「――――――」
彼女は何かを呟いた後、僕に向かって、笑った。
声は聞こえなかったけれど、何故か彼女が呟いたことがはっきりと理解できた。けれど、なぜ彼女が僕にあんなことを言ったのかは、理解できなかった。
彼女は言った。「お帰りなさい」、と。
まるでここが僕の帰る家だとでもいうように。


108 :深月:2008/01/15(火) 00:23:49 ID:IKcIIjn4
 再投下完了。今度こそ本当に投下完了です。
 ご迷惑をおかけして本当にすみませんでした。

109 :名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 00:36:41 ID:/fsQVnjI

レスが誘い受けみたいに見れるから、止めた方がいい
次回に期待

110 :名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 05:15:18 ID:3TWRvj5U
歴史上のヤンデレを発見した!

「フアナ女王」か「狂女フアナ」で調べてみてくれ!

あと聡史くたばれ!

111 :名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 08:38:08 ID:JDfLoMJh
ヤンダムの人の記号が見えないのは携帯のせいかな?

112 :名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 12:16:30 ID:xHt9gAsu
>>108
こういう雰囲気は好きだ。
いい依存の兆候も出てるし続き待ってる

113 :名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 17:49:04 ID:c3YyXhk/
序盤マッタリの、姉一人、妹一人、クラスメイト一人がヒロインの話を、
中編くらいで書こうと思うんですが、投下していいですか?



114 :名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 18:23:15 ID:VIOGqAAI
どうぞどうぞ

115 :名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 18:36:55 ID:dl5lKStF
私は一向にかまわんっ!

116 :デレ&ヤン:2008/01/15(火) 19:20:13 ID:c3YyXhk/
>>113ですが投下します。

序盤ハイテンションなので(しかもまだ病んでないし)
嫌いな方注意願います。

117 :デレ&ヤン:2008/01/15(火) 19:22:03 ID:c3YyXhk/
俺の名前は裕(ゆう)。
高校二年の男子生徒だ。
家族構成は高3の京(みやこ)という姉が一人、中2の梢(こずえ)という妹が一人だ。

京姐(”みやこねぇ”と俺は呼んでいる)は黒髪ロングストレートで、家の外では性格もよく、
優しげな顔立ちと、175センチの長身とスレンダーな体つき(ただしバストも)で、
どこに出しても恥ずかしくないモテモテの姉だ。

梢の方は、150センチくらいと小柄で、やっぱり黒髪のツインテール。
京姐とは違い、口数は少なく、毒吐きで急所を抉るタイプである。しかも”すぐにキレる”子だ。
バストのほうは・・・ODAが必要かもしれない。
いつも眠そうな目がツボに入るのか、彼女もモテモテである。

両親はというと、母は五年前に他界し、父は俺が小学校に上がるころには、ほとんど家に寄り付かなくなっていた。


118 :デレ&ヤン:2008/01/15(火) 19:23:33 ID:c3YyXhk/
「朝ご飯できてますよ、裕君。おきて下さい」

京姐の微かな声に目を開けると、京姐の顔がアップで飛び込んでくる。
横向きに寝ていた俺は、丸めていた背をのばし、さらにそれをもう一度丸めることで、
柔道の寝技回避法「エビ」を繰り出し、京姐の突き出している唇を回避する。

ゴン!!

「ぐわぁっ!?」

突如、後頭部を襲う痛みに悶絶する俺。
ベッドは壁際に配置されており、「エビ」を繰り出せば確実にこうなるのだ。

「ふふ。裕君、梢ちゃんが朝ご飯作ってくれていますから、早く着替えてきてくださいね?」

京姐は楽しそうに笑うと、一階の居間に下りていった。

「京姐は俺に何か恨み・・むしろ怨みでもあるのかな?」

一人つぶやく俺。
何しろ、京姐が起こしにくるときは、いつもキスをしようとしてくるのだ。
で、俺はいつも「エビ」を使っては、頭を打ち付ける羽目になる。
それでも、重度のシスコン(ちなみに姉にも妹にも)の俺は、
キスを甘んじて受ける、という選択はなく、京姐を傷物にしないように、
後頭部を打ち付ける毎日なのだ。


119 :デレ&ヤン:2008/01/15(火) 19:24:14 ID:c3YyXhk/
一通りの準備をし、居間に下りると、お吸い物の木の芽の香りが鼻腔をくすぐる。
自慢じゃないが、俺は食べ物にはうるさく、匂いを嗅いだだけで、
ある程度の献立を予想することができる。

「おはよう、京姐、梢!!今日のメニューは、お吸い物と塩鮭、りんごのトルタ、あとラピュタパンだろう!!?」

俺は背景に稲妻を背負い、ピシャーン!!という効果音と共に、梢に指を突きつける。

「おはよう、そうだよ」

梢は、うるさいといわんばかりに言い捨て、食卓に着く。
・・・目もあわせてくれない。
俺はまたひとつ、心に傷を負った・・・。

ちなみにトルタはイタリアかぶれの京姐の分で、和食は俺の分、
ラピュタパンは梢のお気に入りである。・・・奇妙な取り合わせだ。

「「「いただきます」」」

家訓の皆でいただきますを済ませ、食事(京姐は食餌)に取り掛かる。
京姐は、宅配ピザLサイズはある、巨大トルタを恍惚とした表情で貪り食っている。
いつものことだが、あの体のどこに入っているんだろう?
・・まぁ気にしないでおこう。

そういえば梢は、トルタとラピュタパンと和食、三種類も用意するの大変だよなぁ。

「そうだ、梢。俺も梢と同じメニューでいいぞ?和食って手間かかるし、
三種類も用意するの大変だろう?」

梢は目をパチクリとさせ、急に、恐る恐る、といった風になった。

「でも・・兄は、それが・・好きなんだよね?」

「あ、あぁ、俺は和食党だからな」

慌てて答える俺。
すると梢は、ホッとしたような顔になり・・・次に、鬼の顔になった。

「だ、だったら、黙って食えぇー!!」

梢が、気合と共に腕を一線すると、なにやら粉末状のものが俺を襲う。

「は、ハックション!!・・・?・・・!!ギャー!!」

粉は、ラピュタパン用の黒胡椒だったのだ。
目はビリビリ、喉はカッカッ、鼻はダラダラだ。
読者諸兄には、擬音しか使えない俺の状況を理解してほしい。

「あっ!?兄!ゴメン!つい勢いで・・」

謝辞より水を!釈明より目薬を!

慌てている梢。恍惚のままの京姐。苦しむ俺。
まさに、地獄絵図と化した朝食だった。

120 :デレ&ヤン:2008/01/15(火) 19:27:05 ID:c3YyXhk/
京サイド


今朝の裕君は、いつにも増して可愛い寝顔でした。
あまりにも可愛いので、いつものようにキスしようとしたら、
やっぱり避けられてしまいました。
なんで避けるんでしょう?
でも頭を打って悶えている裕君は可愛いので、許してあげます。

あぁ、しかし、いけないいけないと思いつつも、
梢ちゃんのドルチェ作戦には逆らえません。
朝食の記憶はおいしいトルタのことばかりです。
・・・ちょっと反省。

気合を入れなおして泥棒退治をがんばります。


梢サイド


兄に、和食じゃなくてもいい、と言われ、
不覚にもうろたえてしまった。
せっかくの好物なんだから黙って食べてればいいのに・・・
でも胡椒はやりすぎたかなぁ?

でも、京姉さんは、ドルチェに夢中だったから、
「裕争奪戦朝の陣」は私の勝ちだね。

さて、争奪戦は家の中だけだから、
あとは協力だよ京姉さん。
高校の泥棒猫を兄に近づけないでよね。


投下終了

121 :名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 20:00:15 ID:dBcAdoaS
いつも思うんだけど何で主人公はいつも周りが見えないやつばっかなんだろう。
普通に相手の意思を読んでコミュニケーションを取れる主人公のヤンデレ小説は
ないのかな?

122 :名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 20:15:57 ID:WWCwQ9X1
>>120
GJ
姉妹可愛いよ姉妹。

123 :名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 20:50:26 ID:/6+PPD/e
>>120
GJ!これからが楽しみだ

>>121
主人公が上手く立ち回るとヒロインが病みにくいからでは?

124 :名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 21:01:27 ID:dl5lKStF
>>120
グッジョブ 次が待ち遠しいぜ

125 :わたしを食べて、みたいな?:2008/01/15(火) 21:53:57 ID:WPpTwP0j
「なあ、お前、彼女できたんだって?」
「あ? ああ、うん……」
「なんだよ、あんまり嬉しそうじゃないな?」
「いや……ちょっとね、困ったことがあって」
「困ったことって?」
「彼女さ……今は隠してるけど、手首のところに傷があってさ」
「うわ、なんだそれ、メンヘラってやつ?」
「いや……違うんだよ。リスカ女とかじゃないんだ。傷できたの、僕と付き合い始めてからだし」
「はぁ!? どういうこった、そりゃ」
「実は、何日か前に道を歩いているとき……」

「暑いねえ、瞬君」
「そうだね穂波……あー、なんか喉渇いたなー」
「え、大丈夫?」
「まあ、我慢できないほどではないんだけどね……」
「ダメだよ油断しちゃ! 脱水症状で倒れたらどうするの!?」
「ははは、そんな大袈裟な……」
「ああ、でもどうしよどうしよ、この辺自動販売機もないし……そうだ!」
「? どうしたの、カッターなんか取り出して」
「えいっ」

 スパッ! ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!

「ギャーッ! 穂波の腕から間欠泉の如き熱き血潮がーっ!? な、なにやってんの君ーっ!?」
「えへへ……さ、飲んで瞬君。わたし健康には気を遣ってるから、きっとおいしいよ?」
「そういう問題じゃないよーっ! ちょ、救急車、救急車ーっ!?」
「あはは、大袈裟だねえ瞬君は」
「真っ青な顔して言っても全然説得力ないってば!」

「……ってな具合でさ」
「うわぁ……っつーかよく生きてたなそれ」
「本人は『えへ、あいのちからだよ瞬君』って言ってた」
「間違いではないんだろうが……はぁ、メンヘラより数段性質悪いなお前の彼女」
「まあ、そんなところが物凄く愛しいんだけどね」
「結局幸せなんじゃねえかよ!」
「今度肝臓食べさせてもらう約束を」
「話さなくていいよ怖いから!」

126 :名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 22:09:17 ID:82Uw8w1a
>>120
GJ!
続きwktk

127 :名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 00:54:50 ID:nH+RdVbX
最近スレの進行がクライマックスだなw
追い付くのも一苦労だぜ

皆GJ

128 :名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 01:07:44 ID:lEFvRcLI
>>125これってただの気違いじゃん(´・ω・`)

129 :名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 03:36:08 ID:ODXfJBE3
伊南屋さんの「いない君といる誰か」を今でも待ってます。

130 :名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 08:31:14 ID:3246YMCB
絵をか

131 :名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 11:00:05 ID:1JieWkOC
>>121
沃野とかは?
気持ちを分かっていて、最善を尽くそうとしたけど……


132 :名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 11:04:25 ID:1JieWkOC
しまった……、ごめん
ヤンデレスレで嫉妬三角関係スレのことを話して、何してんだ自分


133 :名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 13:05:47 ID:dJUB5Vzn
住人の多くは被ってるからいいんじゃね?


134 :名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 14:58:09 ID:qyLdUxZV
だが断る。
被ってない住人もいるし、
時々他スレの事情を持ち込んで無用なトラブルを起こす輩もいる。
よそのことはそっちでやってくれ。

135 :デレ&ヤン:2008/01/16(水) 21:49:49 ID:gzK135GS
投下します。
軽いノリ嫌いな人はスルーしてください。

136 :デレ&ヤン:2008/01/16(水) 21:52:17 ID:gzK135GS
京姐と、梢と連れ立って家を出た。
三人とも一貫教育制の病出学園(やんでるがくえん)に通っているため、
一緒に登校している。

「三兄妹!!おっはよう!!」

通学路の半分くらいを過ぎたところで、
唐突に、大変さわやかな挨拶をかまされる。

挨拶をしてきたのは、
活発さをうかがわせる顔立ちに、ショートカットが似合う
160センチほどの身長の舞という名の少女だった。
ちなみに、俺のクラスメイトで、
ムードメイカーとしてかなりの人気を誇る。

「「おはようございます、舞さん」」

京姐と梢はハモリで挨拶するが、俺はそのまま通り過ぎようとする。
こいつの相手をすると、いつもろくな事にならないからだ。

137 :デレ&ヤン:2008/01/16(水) 21:55:04 ID:gzK135GS
「待ちたまえゆっちん!!僕との激しい情事のあとだから、
恥ずかしいのは解るが、挨拶くらいはするべきではないのかね!?」

舞はいきなり大声でとんでもないことを言い出す。
次の瞬間、マイシスターズから俺への視線が、冷凍光線に変わる。
さらに、通学路にいた男子生徒が殺気立って俺を睨む。
まずい。・・非常にまずい。

「俺と貴様が、いつ、どこで情事に及んだのだ!!?」

弁解のために舞に詰め寄る俺。
舞は頬を赤く染め、ものすごく恥ずかしそうに言った。

「・・昨日の深夜、僕の夢の中で」

「・・それは非現実だろうが・・・!!」

和らいだ殺気に俺は一息ついた。
舞はそんな俺の油断を見抜いたのか、
素早く、俺の手をとり、自分の胸に押し付けながら言った。

「そんなに興奮してぇ・・じゃあ・・いまから・・する?」

「えっ・・?あぅ・・」

いきなりの色仕掛けに、
俺の顔面が真っ赤になっていくのがわかる。
恥ずかしいことに!俺は!・・色仕掛けにメチャメチャ弱いのだ。
うろたえる俺を見て、舞はクスクス笑っている。
と、ついにマイシスターズが動いた!

「はい、そこまでね?」

瞬間移動で舞の背後に回りこんだ京姐が、舞の脳天にチョップを入れる。

「しねーーー」

いつの間にか舞の懐に潜り込んだ梢が、棒読みで危険な発言をしながら、
アッパーで舞のアゴを打ち上げる。

上下に揺さぶられる舞の脳。

「死んだか・・・?」

舞はピクリとも動かなくなった。

「兄、早く行こう」

「裕君。遅刻しますよ?」

マイシスターズは何事もなかったかのように歩き出した。
俺は軽く舞の冥福を祈り、姉妹のあとを追うのだった。

138 :デレ&ヤン:2008/01/16(水) 21:56:17 ID:gzK135GS
今日の分は終了

139 :名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 23:33:32 ID:yi6OzT3v
舞があっけなさすぎるw

ま、この先があるのかな?

140 :名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 23:48:48 ID:PpfgFJOx
いや、これくらいのソフトなのもたまにはいい

141 :名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 00:10:40 ID:PZ1PUTeD
>>138
GJ!

俺はかなり楽しんでるクチだぜ

142 :デレ&ヤン:2008/01/17(木) 23:39:09 ID:DPQ73JRh
投下開始

ちなみに、今はデレ期だから物足りなくても、
見放さないでください。病み期までもう少しです。

143 :デレ&ヤン:2008/01/17(木) 23:40:12 ID:DPQ73JRh
俺が教室に着くと、そこには既に舞がいた。

「た、確かに置いて来たはず・・・!?」

びっくりする俺に舞が気づく。

「ゆっちん、置いて行くなんてひどくなぁい?」

「わ、悪かった・・って言うか、どうして俺より先に着いている・・?」

舞は首をかしげ人差し指を唇にあてる、「考え中」のポーズをとり、
3秒ほど悩む。

「ゆっちんの靴箱から有害図書を捨てるため、かな?」

「俺は動機ではなく手段を聞いているのだが・・ん?」

気付くと、クラス中の視線が俺に向けられている。

(なんでそこスルーなのよ)

そんなヒソヒソ話が聞こえてくる。

「なぁ舞、俺何か変なことしたのかな?」

「さぁね?ゆっちんらしくていいんじゃない?」

舞はそんなこと言いながらクスクスと笑っていた。

144 :デレ&ヤン:2008/01/17(木) 23:40:57 ID:DPQ73JRh
1、2限は体育だ。
選択制で人数が少ないので、男女混合で行われる。
今日の内容はサッカーで、男子の試合が終わり、
今から女子のフットサルの試合だ。

「ゆっちん!僕の活躍を見ていたまえ!そして惚れ直すのだ!」

「あ〜活躍を見るのはいいが、直すもなにも、元から惚れてないぞ?」

って言うか大声でそういうことをいうなよ、
いつか男子の誰かに刺されそうで嫌だ。

ピーーーーー。
キックオフの笛と共にフォワードの舞が中央をドリブル突破する。
は、早い・・・!
惜しくもシュートは逸れてしまったが、それでもすごかった。

・・・
・・・・
・・・・・・

試合終了まで残りわずか。
舞は警戒した相手チームが、
フットサルクラブの人間を2枚付けてきたため、
最初以外は思うように動けないでいる。

試合経過の方はというと、0−0で終わりかけている。

おそらくこのコーナーキックが、
舞チームの最後のチャンスだろう。

ピッ!!

笛の合図で、キッカーがセンタリングをあげる。
すると、舞が味方からのセンタリングを受けるため強引に位置取りに出た。
もちろん相手ディフェンダーとかなりの競り合いになる。

「だぁ!!」

舞は、コートの外にまで聞こえる声と共に
高く飛び上がった。

バス!
ピ、ピーー!!

舞がヘディングで点を取るのと、
試合終了の笛はほとんど同時だった。

145 :デレ&ヤン:2008/01/17(木) 23:44:00 ID:DPQ73JRh
あれ?舞の歓声が聞こえないな?
大体こういうときは、大騒ぎする筈なんだが?

「舞!?」

舞は、グラウンドに仰向けになって、足を抱え込んでいた。
俺は咄嗟に駆け寄っていく。

「舞!大丈夫か!?」

舞はかなり痛そうな顔をしているし、
体育教官が足を軽く触るだけで、うめいている。

「着地のときに捻ったらしいな。裕君、悪いんだが
舞君を保健室に運んであげてくれないか?
私は、授業を終わらせないといかんから」

「解りました。舞、悪いな」

俺は舞を、いわゆるお姫様抱っこして保健室へ向かう。

146 :デレ&ヤン:2008/01/17(木) 23:44:30 ID:DPQ73JRh
「わわ、は、恥ずかしいよゆっちん!!
肩貸してくれればいいから!!」

「こっちのほうが早いし、足への負担も軽い。我慢してくれ」

「う、うん・・」

舞は急にしおらしくなる。

「あんまり張り切るから怪我するんだぞ?」

「ご、ごめんね?ゆっちん」

「まぁ、でも、その・・あれだ、が、がんばったな!!」

梢や京姐を褒めることはあっても、
舞を褒めることはあまりないために、
かなり恥ずかしい。

「っ!!あ、ありがとう・・・
・・・僕のフラグ立っちゃったかも?」

「えっ?」

「なんでもないよ!!」

舞も俺から褒められることは少ないために、
かなり恥ずかしいようだ。

俺達はなんか変な雰囲気になりながら
保健室にたどり着くのだった。

147 :デレ&ヤン:2008/01/17(木) 23:46:14 ID:DPQ73JRh
今日の分は終わりです。
全体としては中編より少し長くなるかも?

148 :名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 00:40:31 ID:KU5IAqwz
以前『異色物語』って作品を書いていた者ですが、今更続きを書くとか赦されますかね?
いやま、理由が無かったわけでもなかったんですが、なんか場違いな気がして……
覚えてる人いないかなぁ……なんかごめんなさい。

149 :名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 00:51:18 ID:s1JJoNU8
”覚醒進化”とか”一を食べて一に戻る”とかがキーワード?
の話ですよね?ぜひ続き読みたいです!!

150 :名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 02:07:52 ID:oL6tt301
先ずは投下だ

151 :129:2008/01/18(金) 05:57:31 ID:cUPpaAtV
>>130
A-1ルートとBルートが未完結ッス

152 :名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 06:14:53 ID:jTvfuMgd
>>151
絵か?伊南屋さんは絵師だったと思うが

153 :名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 10:09:50 ID:eCyeFIoA
>>147
うむ。これはいいデレ。

154 :名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 14:37:31 ID:cUPpaAtV
>>152
うぁっ間違えたorz
ちょっとヤマネに刺されてくる

155 :名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 20:22:39 ID:19tgTHBt
ヤンデレな女の子と日常を過ごすのってどんな感じなんだろ……

156 :名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 20:24:37 ID:XHS9dmhf
まあ、基地外と暮らしてた俺の経験ではノイローゼになるが精神が基地外サイドに引張られる

157 :デレ&ヤン:2008/01/18(金) 20:32:45 ID:BIOnKyMu

昼休み、俺は梢と一緒に弁当を広げていた。
弁当は、梢がお重で三人分学校に持ってきているため、
俺と京姐は、毎回、梢と一緒に食べないとメシにありつけないのだ。
以前、一人用弁当箱を新しく買ったら、「洗い物が増える」
との理由で焼却処分されてしまった。

「そういえば京姐は?」

「今日、月曜日」

「なるほど・・・」

病出学園で毎週月曜に行われるイベント、「血涙の月曜日」
まぁ、告白される→ゴメンナサイを京姐が繰り返すイベントのことだ。
なぜ月曜かというと、日曜にラブレターを書くやつが多いってだけだ。

「もてるって言うのも考えものだよなぁ」



158 :名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 20:33:45 ID:/OPEUWE+
まあ、二股とかしなければ純粋でいい子なんじゃないか?

159 :名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 20:33:56 ID:rgXeQoJ3
三次はヒス持ちか精神病か養って欲しい甘ったれのどれか
どの条件と引き替えにセックスするかという問題に過ぎない

160 :デレ&ヤン:2008/01/18(金) 20:33:58 ID:BIOnKyMu
そんなことを呟きながら、卵焼きを口に運ぶ。

「む、これは?」

絶妙な歯ごたえ!甘さ加減!
何より、飲み込んだあとに残る微かなブランデーの香り!
う、うまい!!

「寿司屋のヤマイモと鱧のすり身のテクと、
洋酒の使い方の折衷がなんともいえない・・!!腕を上げたな!」

俺は梢の頭をワシャワシャと撫でる。
梢はすぐに首を傾けることで俺の手を回避し、
手櫛でクシャクシャになった髪を直す。
姉さん・・・俺、妹にウザがられてます(泣)

「兄、・・これも・・」

ショックを受けていた俺の前に、
恐る恐る、梢がカツを差し出してくる。
あれ?別にウザがられてないのかな?
それとも何か、毒でも入っているのか・・?
俺はとりあえずカツにかじり付く。

「な、何てカツだ・・!!」

肉は豚ではなく牛!しかも薄い牛肉と、
癖の強いヤギのチーズを層にして、小麦粉を使わず、
粉チーズとパン粉をあわせた衣で包んである!
俗にいう”ミラノ風カツレツ”のアレンジだ!
俺の好みを完璧に突いている。
妹でなければプロポーズしている所だ。

「う、うますぎる・・・!!嫁に来てくれ・・・!!」

って言うかプロポーズしてるよ俺。
まぁ、冗談で済むからいいか。

「ほ、本当・・・?」(”嫁に来てくれ”が)

「本当だ!!」(”うますぎる”が)

俺はそういってまた梢の頭をワシャワシャと撫でた。
梢は顔を真っ赤にしてうつむいていたが、
今度は抵抗しなかった。

161 :デレ&ヤン:2008/01/18(金) 20:35:05 ID:BIOnKyMu
帰り道の一幕

急に委員会の仕事が入った梢を残し、
俺は京姐と家路についていた。
結局昼を食べ損なった京姐はヘロヘロのようだ。
これも、血涙の月曜日のせいなんだろうな

「なぁ、京姐」

「ん〜?なぁに〜?」

「告白、とかさ、あんまり迷惑だったら言ってくれよ。
俺、何か作戦考えるからさ。今日だって、
結局ご飯食べられなかっただろ?」

京姐は、ちょっと驚いた顔をした後に笑顔になった。

「あら珍しい。心配してくれてるのかしら?」

「べ、別に」

俺はなんだか恥ずかしくなり、ぶっきらぼうになってしまう。
普段しないことをするのは慣れないな。

「大丈夫よ♪それより、お腹すいたなぁ〜」

京姐が俺に上目遣いに言う。
暗に何か作ってくれ、と言っているらしい。

「まかせろって!」

俺は、普段は梢と京姐がやらせてくれないから、
家事をしないだけで、主夫を名乗れるくらいの家事スキルを持っている。

「じゃあスーパー寄ってから帰ろう!」

俺達は寄り道することにした。

162 :デレ&ヤン:2008/01/18(金) 20:35:50 ID:BIOnKyMu
スーパーの一番奥、生鮮食品コーナー。
俺は、今日の献立に頭を悩ませていた。

「京姐、肉と魚どっちがいい?」

「裕君が作ってくれるなら、何でも♪」

むぅ、ならばイワシが良さそうだから、
トマトソースで仕立てようか・・

「ねぇ、裕君?」

京姐はいいながら、
イワシとにらめっこしている俺の腕に、自分の腕を絡めてくる。

「わわ、な、なに?」

かなり慌てる俺。

「こうしてると、私達学生夫婦みたいだよね?」

照れくさそうに言う京姐。

「な、何言ってんだよ京姐」

「冗談っ!早く買い物終わらせようか?
私、お腹空きすぎで死にそうなの〜」

京姐はそう言ってレジへと向かっていった。


163 :デレ&ヤン:2008/01/18(金) 20:36:35 ID:BIOnKyMu
今日の分は終わりです

164 :名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 21:38:34 ID:i2P/D07e
>>163
主人公無意識にフラグ立ててるなあw
意識されないってちょっと梢カワイソス

165 :名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 00:39:38 ID:amvSYpQN
>>163
じれったいから一気に投下してwwwww

166 :名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 00:42:48 ID:2p2r3GNH
ここでは死亡フラグに等しいが。一人が病むのか、皆が病むのかそれが問題だ。
しかし…ここの住人は三次に対して異様に冷徹だな。何ぞ、童貞には分からない境地でもあるのだろうか。

167 :名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 06:31:21 ID:q6ZhXnmH


168 :名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 08:16:47 ID:jOaeJmCi
>>166
俺の知る限り、エロパロ板と角煮の住人はリアルの話題に対してとても冷たい反応をする。

あれだ。リアルツンデレが可愛くなかったりうざったく感じたりするのと同じようなもの。
リアルヤンデレも本当に凶行に走ったら犯罪者にしかならないだろ。
可愛く感じるラインは、男と仲のいい女友達にやきもちを妬くぐらいじゃないか? 


169 :名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 08:53:43 ID:jI06MJPf
僕っ娘とか惨事でみてると殺意しか沸かないもんな。

と、書き込もうとしたら僕っ娘ヤンデレという電波を受信した。

170 :名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 10:42:07 ID:hLUYV7Pk
>>137
なんか舞は
亜沙先輩みたいでいいなあw
空鍋を想像してしまうw

171 :名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 15:53:47 ID:41wzIhE0
>>169
ボクっ娘は三次だとなー
二人でいるのは恥ずかしい

二次ならヤンデレでも可愛くね?

172 :名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 17:53:26 ID:msqn9l87
ヤンデレなら惨事でも

173 :デレ&ヤン:2008/01/19(土) 22:18:54 ID:ulkKILrz
次の日の夕食。

「お、今日は京姐のたらこパスタか」

京姐はパスタ類が特に得意だ。
もちろん市販のペーストなど使わない。
フライパンにオリーブオイルを多めにしき、
刻んだ長ネギとパセリを炒める。
そこに、オーブントースターで炙ったたらこをブツ切にしていれて、
茹でたパスタにサッと絡めれば完成だ。
たらこは食べる人の好みに合わせて火を入れるべし。
読者諸兄もお試しあれ。

「うむ、絶妙の火加減!うまい!」

「おだてても何も出ませんよ、裕君」

京姐はうれしそうに笑う。
そういえば、舞の家が持ってる別荘に
悪友連中と遊びに行く計画立てたんだっけ。
二人に伝えなくちゃ。

「あ、そうだ。俺、週末・・・金曜の夜から、月曜の夜まで、泊まりで遊びに行くから」

月曜日は創立記念で休みなのだ。


「そ、そうなの〜それで・・」

「ど、どこに、誰と行くの、兄?」

なんだか、二人ともすごく慌てている。

「内田とか川中とかと、舞の別荘に」

グニャリ!
あ、二人がフォーク握りつぶした。
・・・確かこのフォーク、チタンだぞ?

「あら、ちょっと代えのフォーク取ってくるわね」

「・・・ジュース取ってくる」

キッチンに消えるマイシスターズ。

「舞が別荘持ってるって知って驚いたのかな?」

俺はとりあえずパスタにかぶりつくことにした。

174 :デレ&ヤン:2008/01/19(土) 22:19:53 ID:ulkKILrz
短くて申し訳ないんですが、今日はこれだけです

175 :名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 22:56:32 ID:bO2neGiW
>>174
ちょw
GJでwktkしてきたんだけど、さすがに短すぎるw
無理に毎日投下しなくてもいいと思われ

176 :名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 23:27:13 ID:qqN6mW2D
頑張りすぎだ
グッジョブお疲れ

177 :名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 00:14:35 ID:FrdBK8N7
gj

無理し過ぎんなよ

178 :名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 01:00:43 ID:2w7H1Eos
数日かけて長い文章創って投下でもいいからwww

GJです

179 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo :2008/01/20(日) 10:21:01 ID:Czr6Onq7
投下します。
かなこルート、24話です。

180 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo :2008/01/20(日) 10:22:00 ID:Czr6Onq7
第二十四話〜逃亡〜

「さあ、雄志様。参りましょう」
 かなこさんが一歩詰めてきて、手を差し出した。
 手を取ってくれ、ということか?
「どこ、に……」
「もう一度、共に私の屋敷に来てくださいませ。そこに、殺されるにふさわしい場所を用意してありますわ」
 自分の家に殺される場所の用意を済ませてから、ここにやってきたのか?
 死の覚悟は既に済ませているということなんだろう。でも、どうしてかなこさんは普段と変わらないんだ。
 少しも恐れを見せず、堂々として、澄ました顔でいられるなんて。
 かなこさんは死すら恐れないというのか? 
 俺を――たった今殺してくれと自ら頼んだ人間を、自分の死地へと連れて行こうとしている。
 死ぬことを恐れるどころか、望んでさえいる。
 さっき言っていたのは、もちろん俺の真の望みじゃない。
 きっと自分の望みを、俺の望みへと投影しているんだ。

「……死に急いじゃ駄目です。死ぬってことは、そこで、もう……」
「もちろん、理解しております。既にわたくしは一度死を迎え、それを越えているのですから」
 そこで、かなこさんが物憂げな表情になった。
「……胸を貫かれる瞬間に脳裏に浮かんだのは、雄志様のお顔でした。
 常に傍に寄り添い、共に日々を過ごしてきた、大切なお方。
 これでもう、雄志様と顔を向き合わせて喋ることも、不意に困らせてしまうこともなくなってしまう。
 そう思うと無性に寂しくなり、最期にもう一度お話ししたい、と願いました。
 体中から力が抜け、目を開けることすら精一杯になった頃、雄志様はやってきてくださいました。
 あのまま、一言も告げることなく離ればなれにならず、本当に、本当に良かったですわ。
 おかげで、こうして出会うことができ、そして望みに応えていただけたのですから」
 手を差し出したままのかなこさんが近づいてきた。
「さあ、手をお取りくださいまし。そして、あなた様の望みを達してくださいまし」
 この人は全てわかっているんだ。死の意味も、自分自身の望むことも。
 ただ、俺自身に関することだけはわかっていない。

「俺は、かなこさんを殺しません。
 誰かを殺したいなんて、これっぽっちも望んでなんかいませんよ。
 俺が、かなこさんを好きだったとしても」
 目を泳がせて華を見る。
 俺の言葉に大きな反応をせず、かなこさんを見ているだけだった。
 そのことに安堵して、続きの言葉を言う。
「好きだったとしても、殺したいだなんて絶対に思いません。
 誰が、好きな人を殺したいなんて願うっていうんです」
「わたくしにはわかります、雄志様のお気持ちが」
 ……まだそんなことを言うのか。
「少しばかり話が離れますが――わたくし、ふと雄志様のお命を奪いたいと思うときがあるのでございます。
 憎いから、ではありません。大事にされているお命を奪って全てを手中に収めたい、という考えとも少々違います。
 それ以外に、それ以上に想いを伝える方法が浮かばず、また、雄志様の想いを知る方法も考えに浮かばないのです。
 愛していると幾多の言い回しで伝える、体を重ね合わせて全てを委ねる、というだけでは足りないのです。
 抱きしめて、そのまま一つに溶け合う想像をしていると、最後には体を腕で潰してしまいます。
 その時は結果として雄志様を殺してしまうであろう――ということでございます。おわかりになりましたか?」
「…………なんとなくは」
「その想像の、わたくしと雄志様の立場を交換することで、お気持ちが理解できましたわ。
 愛するがゆえに、雄志様はわたくしを殺したいと望んだのだ、と」


181 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo :2008/01/20(日) 10:22:43 ID:Czr6Onq7

 力を込めて抱きしめても、好きだと言っても想いが全て伝わらない。
 愛しいと思う気持ちを感じとってくれないかもしれない。言葉はいくらだってごまかせる。
 いっそのこと、自分の思うまま、相手がどうなろうと気が済むまで好きにしたい。
 そうすることで相手も気持ちをわかってくれるのではないか、と思ったことはあった――かもしれない。
 なんとなくだけど、同じ気持ちを想像することができる。
 それでも、やっぱり俺の考えは変わらない。
「さっきから言っているじゃないですか。俺は、かなこさんを殺しませんよ。絶対に」
「では、なぜ今朝、わたくしを殺そうとなさったのです?」
「それは……」
 正直に理由を言いそうになったところで、口をつぐむ。
 かなこさんを目の前にしたら暴力を振るいそうになる。これが理由だ。
 もし、そのことを言ってしまったら、どうなっていたか。
 自分を殺してくれと頼んでくる人間が、今の俺の状態を利用しないはずがない。
 今のこの状況だからわかる。この衝動は、たった一発殴るだけじゃ収まらない。
 全力で腕を振り回して、相手が動かなくなるまで止まらない。
 頭は冷静なままなのに、腕がぶるぶると震えている。
 すぐに駆け出せるほどに脚の筋肉に力が漲っている。
 全ての力の向きが目前のかなこさんへと向けられている。
 これが本物の、純粋な殺意なのか。
 今までの人生で経験してきたどんな怒りよりも、強力に思考を熱くさせ、理性をかき乱して走り回る。
 頭の中がドロドロしているのに体だけは恐ろしく醒めていて、どんな無理でも利きそうだ。

 これは俺の憎しみじゃない。かなこさんを憎んだりしていない。
 じゃあ、一体何が原因だ? あの本と、前世が関わっている?
 今抱いている憎悪は、あの本が与えたもの?
 ああくそ、俺自身がもう一人憎たらしく感じる奴が出来た。
 どこのどいつだ、あの本を作り直した迷惑な人間は。
 あんなものがなければ難題を抱えずに平凡に暮らせていたんだ。
 就職先を探しつつバイトして、華の料理にびくびくしつつアパートで過ごして、香織と親友――いや、それ以上の関係でいられたのに。
 
 駄目だ。流されてしまう。
 今朝以上に誘惑が強い。力を振るいたくて仕方がない。
 拳が力を持て余している。ぶつける先を求めて暴走しそうだ。
 爪を手のひらに食い込ませながら、口を開く。
「あの時は……かなこさんを止めようと思っただけです。あのままだと、香織の命が危なかったから」
「なるほど、そういうことでございましたか。それでは、あの女の命を先に奪うといたしましょう」
「なんっ……?!」
「そういたしますれば、怒りに我を忘れた雄志様が、その気になるかもしれません。
 それに、あの女には恨みもございます。わたくしの居ない隙に横から奪おうとした女など、死んでしまえばいいのです」
 香織を、かなこさんが? 香織は無関係なのに。
 そんなことをさせるわけにはいかない。絶対に。
 ここでかなこさんを強引にでも止めなければ香織が危ない。
 今はあいつに近づくことはできないけど、それ以外にもできることはあるはず。


182 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo :2008/01/20(日) 10:23:47 ID:Czr6Onq7
 ――俺が今するべきこと。それは、
「それでは雄志様。わたくしは天野香織の命を奪って参ります」
 ――この、人を殺すことをなんとも思っていない人を、
「次にお会いするときは、その証を持って参ります。それまでにどうか、覚悟をお決めになってくださいまし」
 ――■すことだ。止めるんじゃなくて、■すこと。
 この人は止めたって無駄だ。動けないようにしてやらないと、絶対に諦めない。
 感情に流されている気がするが、そんなことはどうでもいい。
 脳裏に浮かんでくるいくつもある手段のうち、どれかをとればいいだけだ。
 どれも簡単だ。呼吸のタイミングや肉と骨に伝わる感触まで想像できる。

 単純に後ろから殴り倒す、これで行こう。
 歯を噛みしめ、標的を捉える。
 弾けるような快感と、力を解き放つ開放感を味わう。
 かなこさんが背中を向けた。その背中へと睨みを飛ばす。拳を固める。
 体の重心を前傾させ、地面を蹴ろうとする、その直前。
 目前の光景が一変した。

 まず左側から何かが素早く視界に入り込み、かなこさんの後頭部へ向けて走る。
 直撃する前に、かなこさんはしゃがんでそれを躱した。
「ちっ!」
 飛来したものは、華の放った右の回し蹴りだった。
 振り抜いた右足の勢いをそのままに回転して、しゃがんでの足払い。
 これをかなこさんは前転で回避する。振り返ってお互いに向き合い、にらみ合う。
 俺はその様子を離れた位置から見ていた。
 気づけば抱いていた殺気は不気味なまでに霧散していた。
 まるで、歯を抜き取られる悪夢から目覚めたときのような爽快感が残っている。

 華の後ろ姿を視界に収めながら、かなこさんを見ると、なんとも恨めしげな目をしていた。
「今のは、どういうつもりでしょうか?」
「わかりませんでしたか? あなたの望む通り、殺してあげようっていうんですよ、私が」
 華の言葉を聞き、さらに表情の険が強くなる。
「わたくしはあなたではなく、雄志様に殺されることを望んでいるのですよ。話が難しくて、理解できなかったのですか?」
「難しくはなかったですけど、理解不能でしたね」
「まあ……一体どの辺りが?」
「まず、おにいさんがあなたみたいな女を愛している、というところからです。
 話を聞いていないんですか? それとも耳の穴に汚れでも溜まっているんですか?
 おにいさんは、あなたのことなんかちっとも好きじゃないんですよ。むしろ…………、言わなくても、わかるでしょう?」
「雄志様は素直になれないお方です。ならば、こちらが想いを察するべきである、とわたくしは考えます」
「ふうっ……」
 華が馬鹿でかいため息を漏らした。
「あなたの自分勝手な妄想に付き合っているだけで、こっちまで疲れてきちゃいますよ」
「それならば早々にお引き取りを。雄志様とわたくしの間にあなたが割り込むことそのものが間違いですわ」
「ですね。面倒なことは省いて――手早く片づけてあげますよ」


183 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo :2008/01/20(日) 10:25:12 ID:Czr6Onq7
 頭一つ分だけ華の背が低くなる。
 重心を落とした状態から駆け出し、三歩目で跳躍。右の跳び蹴りがかなこさんの頭部を襲う。
 腕で防ぐことはできていたが、威力は殺しきれず体が傾ぐ。
 続けて、至近距離からの右拳を受けてかなこさんの体が後ろへと勢いよく倒れた。
「つっ……」
「ふん、たいしたことのない。これなら十本松あすかの方がずっと手強かったですよ」
 腹を押さえて苦悶の表情を浮かべる様子を、華は見下ろしていた。
 今のは手加減抜きの攻撃だった。ということは、今ので殺すつもりでいたのか?
 いけない。華に人殺しをさせるなんて、それを見ながら何もせずにいるなんて、できない。
 誰も死ななければいいんだ。ただそれだけでいい。
 なら、どうすればいい? 
 二人を近づけさせないようにするには――――できる。簡単だ。
 根本的な解決にはなっていないけど、この場をしのぐことは出来る。
 
「それじゃあ、そのまま惨めに、勘違いしたままで亡くなってください」
「…………誰が、あなた、などに」
「言っても無駄です。とっくに詰めの状態になっているんですよ、この勝負は。
 じゃあ、さようなら。元大学の先輩で、無力なお嬢様」
 華の足が高く上がる。踵の位置が頭の頂上まで達している。
 それがかなこさんへと振り下ろされるより早く、俺は動く。 
「んん?! ……わわわっ!」
 腕を伸ばして襟を掴み、華の体を後ろに倒す。
 振り向くと同時に、倒れつつあった体を脇に抱えて、そのまま走りだす。

 俺がとった選択肢は、かなこさんの前から逃げ出す、というもの。
 こんなことをやってもいつかは見つかってしまうかもしれない。
 だが、現状でかなこさんを説得する材料を持ち合わせていない以上、それは不可能。
 なら、逃げる以外の選択肢はない。


184 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo :2008/01/20(日) 10:27:56 ID:Czr6Onq7
 ただ一心に足を動かし続ける。どんなペースで走っているのかも把握できない。
 左腕に振動。華が腕の中で暴れている。落とさないよう、抱え直す。
「なんで逃げるんですか! せっかくのチャンスだったのに!」
「あんなのチャンスでも何でもない!」
「ここで仕留めておかないといつかおにいさんに危害が及びますよ!」
「その時は、その時だ」
 俺に危害が及ぶぐらいなんてことない。死なない限りは。
 だが、かなこさんや華や、香織が死んでしまうかもしれないなら、それを回避するべく動く。
 別に理由も何もない。見知っている人に死んでもらいたくないと思っているだけ。
 たったそれだけの簡単なことが、さっき目の前で破られようとしていた。
「お前も簡単にああいうことをするな! 後先を考えろ!」
「後先なんかどうだっていいんですよ。今が大事なんです、私には。
 もう…………居なくなって欲しくないんですよ。寂しいのは御免です」
 ん? 何か今、小声で言ったような……。

「てゆうかおにいさん、さっきからどこに手を回してるんです!」
「何が? どこか変なところでも触ってるか?」
 ただ華の胴に腕を回して、その状態で走り続けているだけなんだが。
「こんな、誘拐犯みたいな抱え方をするのはやめてください!」
「やろうか? 姫だっこ」
「やり方の問題じゃなくって……ああもう、自分で走れますから! 放してください!」
 一際強く暴れられたので、立ち止まって華の体を解放した。
 目を合わせた時の華は、あからさまに不機嫌そうで、照れてなんかいなかった。
 小言を言われる前に走り出す。
 後ろから制止の声が聞こえてきたが、もちろん立ち止まらずに走り続ける。
 かなこさんの声や、車の追ってくるような音は一切聞こえてこなかった。


185 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo :2008/01/20(日) 10:31:04 ID:Czr6Onq7
 路地が左右に分かれている。普段ならば右へ向かうが、今はそちらへは行かない。
 速度を落として華にスピードを合わせる。手を強引に引き、左へ折れる。
 この先をまっすぐ走れば、国道沿いの歩道に出る。
「ちょ、どこに行くつもりですか! アパートは反対側ですよ!」
「だからだよ!」
 右の道はアパートへ帰宅する際に使用するルートだ。いつもなら迷わずそっち側に進んでいる。
 だが、アパートに逃げ込んでも、すぐにかなこさんは行き先を突き止めてやってくるだろう。
 もしかしたらすでに誰かが待っているかもしれない。
「じゃあ、どこに行く気なんです?!」
「……わからないけど、とにかく逃げるしかないだろ!」
 とりあえずバスか、タクシーにでも乗って、時間を稼ぐしかない。
 行方をくらまし、落ち着いた場所で、これからの行動を決めよう。

 華の手を引いて歩道を走り続けていると、後ろから車がやってきた。
 追い越した車は、かなこさんと初めて会った日に見た、でかい黒リムジンだった。
 リムジンは次の電柱の傍で路肩により、停止した。
 この路地は一本道。左右にも道はあるが、どれも誰かの家に向かうだけ。
「止まったら駄目ですよ!」
「わかってる!」
 あの車には、おそらくかなこさんが乗っている。運転しているのは執事の室田さんか、他の誰かか。
 待て。だとしたら通り過ぎるときにドアを開けられでもしたら、足を止められる。
 道の幅は二メートルくらいだから、リムジンが左右どちらかのドアを広げでもしたら通れない。
 ドアを飛び越す――のは、無理だ。あの車高、俺の首よりも高い。
 運良く窓が閉まってる、なんてご都合主義な展開はないだろうし。どうすれば。
「おにいさん、手を離します!」
 突然、華が俺の手をふりほどき、前に出た。
 考え事をしていたせいで俺のスピードが落ちたのか、と疑ったが、そうじゃなかった。
 華は俺より速く走っている。走り続ける俺の進路に割り込み、リムジンの背中へ一直線に進んでいく。
 ぶつかる! と思った瞬間。

「――――ぇ」

 跳んだ。
 スペースの少ないリムジンのトランクの上に着地し、続けてルーフに飛び乗る。
 なんてことするんだ! と、叫びたくなった。
 だって、こんな高そうな、俺じゃあ一生かかっても買えそうにない、それこそ宝くじで夢を叶えなければ
手の届かない車に華の奴は飛び乗ったのだ。
 乗ったということは当然靴で踏んづけている。足蹴にしている。
 気が引けて、同じ行動をとれない。靴跡をつけただけで数十万請求されそうな気がする。
 トランクの手前で足を止めると、上から怒鳴りつけられた。


186 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo :2008/01/20(日) 10:33:44 ID:Czr6Onq7
「何ぼけっとしてるんです! 早く!」
「いや、だってこれ」
「いいんですよ! 下にいるこいつらが悪いんですから!」
「そりゃそうだけど、やっぱりどうも――」
「ああ、もう! こんなのただの四輪車じゃないですか!」
 ただの四輪車、て。どう見たって三千万は下らないぞ、この車。
「傷つけられたくなければこんなところで止らなきゃいいんですよ!」
 とか言いながら、持ち上げた右足でルーフを踏みつける。
 踏みつけられてもまぬけな音が鳴らない。冷水を浴びせられたみたいに俺の心が震えた。
「早く乗ってください! これだけやったんだからこれ以上やったって同じですよ!」
 説得になってない! こいつはなんでこんな頭の痛くなることばっかり!
「あー…………」
「早く!」
「くっ……でぇえい!」
 もうヤケだ! 既にかなこさんから逃げてるんだから、塗装費の請求からも逃げ切ってやる!

 バンパーに足をかけ、トランクを踏み台にして、ルーフに乗る。車の上に乗ったのは今日が初めてだ。
 ルーフに乗ったと同時に、華はボンネットを踏んづけて地面に降りた。
 俺もそれに続く。結構大胆に着地したつもりだったが、足裏はボンネットの硬質な感覚だけしか覚えない。
 どれだけ堅いんだろうか、とか確かめる間もなく、歩道に着地。
 待ちきれなかったのか、華は俺の手を握って走り出した。
 もつれる足の運びを直しながら、後ろを少しだけ振り返る。
 リムジンは追ってくることもなく、止った場所で佇んでいた。


187 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo :2008/01/20(日) 10:36:18 ID:Czr6Onq7
 国道の前に出て、近くにあったバス停で待っていると、焦る気持ちが進まないうちにバスがやってきた。
 行き先は隣の市になっている。どこでも行き先は構わなかったので、迷わずそれに飛び乗った。
 他に乗客は一人もいない。一番後ろの座席に向かい、倒れ込むように座った。
 左側に華が座る。それを待っていたかのように、バスが動き出した。
 大きく息を吸い、首をうなだれながら吐く。同じ動きを三回繰り返すと、ようやく気持ちが落ち着いた。
「そんなに疲れました?」
「……おー」
「だらしない生活を送っているから、たったあれだけの距離でバテるんですよ。まったく、もう」
「あー、すまん悪かったごめんお前が正しい、だから静かにしてくれ」
 手をひらひらと振って言うと、華は眉根を寄せたが、黙ってくれた。
 今は相手をする気力がない。確かに俺はバテている。それは認めよう。
 だが、その原因は走ったからではなく、追われていて心が焦っていたから。
 もう一つは逃げるためには仕方がないとはいえ、結果的に二人してリムジンを足蹴にしてしまったからだ。
 最高の高級車の塗装代っていくらだろう。全塗装したら百万じゃ足りないよな、間違いなく。
 これで、かなこさんと塗装代の請求、二つから逃げ切らなければいけなくなってしまった。
 どちらに捕まっても俺はとても困る。いや、別々じゃなくて、セットになっているか。
 つまり、もし捕まりでもしたら、とても手の届かない金額の借金を背負い、かなこさんに自分を殺してくれと迫られる。
 金の問題は、地道に返していけばなんとかなる。解決できる類の問題だ。
 しかし、かなこさんを諦めさせることは、時間を置いて解決するようなものじゃない。
 何か、諦めさせることができる材料でもなければ。
 数日のうちは逃げ続けることができるだろうが、いずれかなこさんは強硬手段に出て、俺に手を下させようとするだろう。
 たとえば、香織や華、もしくは俺の家族や知り合いの誰かを人質にとって、殺すことを強要してきたり。
 他にも、いくつか手段はあるはずだ。

 かなこさんを殺す以外で、問題を解決させる方法。
 それを見つけ出さなければいけない。
「……んだけどなあ」
「何か言いました?」
「いや、独り言」
 方法が見つからない。
 このままかなこさんから逃げ続けることなんかできっこないのに。
 もし次に会ったときもまた逃げて、その次も逃げて、その次も……なんていつまでも続けていられない。
 このバスが目的地に着くまでに、いい方法が浮かべばいいんだが。


188 :名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 10:37:45 ID:Czr6Onq7
今回はここまでです。

展開が遅くて申し訳ない。

189 :名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 11:36:25 ID:tdiuiFSc
>>188
GJ!
華、いいキャラしてるなぁ

190 :名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 14:56:29 ID:APk4e+Lm
GJ
華かわいいよ華。
でも悲しいけどこれかなこルートなのよね(´・ω・`)

191 :名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 00:44:23 ID:AsZQQZlR
GJ
次回も楽しみにしてます

192 :名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 16:31:00 ID:m/kCkc0L
ことのはぐるまキテター。
GJっす。。続きにwktk

193 :無形 ◆UHh3YBA8aM :2008/01/23(水) 20:23:12 ID:WIoPUPLv
新年明けましておめでとうございます
本年も宜しく申し上げます
では、投下します

194 :名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 20:39:01 ID:3nTQac9i
支援?

195 :ほトトギす ◆UHh3YBA8aM :2008/01/23(水) 20:41:21 ID:WIoPUPLv
朝の通学路。
僕は今、そこを歩いている。
これは僕の意思なのか。
それとも、別の何者かの意思なのか。
実のところ、理解が及んでいない。
無論、学校へ往くと云う目的――或は慣例があり、それに従って行動しているのだから、大元では、僕
の意思であり、決定であると云える。
けれど、と、僕は思う。
こうして歩く。
否。
『歩かされている』ことは、自身の望んだそれではない。
僕の馬手に笑顔で腕を廻す一人の女性。
これは、その人の意思ではないだろうか。
織倉由良。
一昨日までは、尊敬する世話焼きな先輩。
そして、昨日からは、僕の恋人。
僕の弓手には、包帯が巻かれている。
云うまでも無い、従妹によって与えられた『罰』だ。
他方、織倉由良の押手にも、包帯が巻きついている。
それも、僕に与えられた『罰』なのだと云う。
「素直にならず」、「本心を偽った」、「悪い後輩に対する」、「本気の現れ」だと。
僕の腕にしがみ付く織倉先輩の表情は明るい。
道往く人人は、そんな僕らをどんな風に眺めているのだろう。
少なくとも、僕自身は冷ややかだ。
願わくば、今この瞬間が、夢幻であらんことを――

「ねえ、日ノ本くん」
昨日の早朝。
立ち上がった織倉由良は、銀色の金属を片手に笑っていた。
それは折りたたみ式の果物ナイフ。
刃は大きめで、一般のそれよりも若干分厚い。
彼女は刃をむき出しにして、しっかりと柄を握り締めていた。
先輩は笑顔。
華の様な、晴れやかな笑顔。
破顔したまま、僕ににじり寄る。
「・・・先輩・・・?それ、何です、か?」
僕は引きつった顔のまま、銀色の金属を指差す。
この人は、どうしてこんなものを握り締めているのだろう。
どうしてこんな事になっているのだろう。
竦んでしまったのか、上手く身体が動かない。
「これ?これはね、保険」
「ほ、保険?」
「そう、保険。日ノ本くんが素直になってくれなかったときのために、一応持ってるだけだから」
だから気にしないで?
小首を傾げるように笑う。
(そんなこと云われても)
気にならないわけが無い。
「保険って、何の保険ですか・・・?」
声が震えている。
これは本当に自分の声だろうか。
僕が問うと、彼女は奇妙な笑顔のままで、ふふふと笑った。
子供の悪戯を微笑ましく見守る様な、そんな場違いの笑みだった。
「ねえ、日ノ本くん。私、知ってるんだ」
「何を、ですか・・・?」
“銀色”ばかりに目を奪われる。彼女の顔が、よく見えない。
ゆらゆら。
由良由良。
刃物が揺れる。

196 :ほトトギす ◆UHh3YBA8aM :2008/01/23(水) 20:43:35 ID:WIoPUPLv
「ふふ・・・」
織倉由良は、声を出して笑ったようだった。
声を出して笑って、それから無造作に僕に抱きついた。
「日ノ本くん、貴方、私のこと、好きでしょう?」
「――は?」
白。
頭の中が、真っ白になる。
“銀色”のことも忘れて僕は呆けた。
片耳は聞こえない。
故に聞き違えたのかも知れぬ、と、そう思った。
それほどまでに彼女の言動は突飛で、この状況には不釣合いだったのだ。
「日ノ本くん、いつも私のこと、見てたでしょう?いつも私のこと、気にしてたでしょう?・・・知っ
てるんだ、そういうの全部。全部知ってるの」
「なに、」
云っているんだ、この人は?
そりゃ今までは、食事を御馳走になるとか、普通の先輩後輩に比べても、仲が良かったけれど。
でも、逆に云えばそれだけだ。
綺麗な人とは思うけれど、この人に懸想したことなど一度も無い。
勿論、誤解させるような言葉も云った事が無いはずだ。どうしてそういう結論になるのだろうか。
なのに、この人は何かを確信しているように、
「そうでしょう?」
等と質して来た。
(違う)
そんな風に思っていはしない。
そう伝えようとして、思い出した。
僕の背中に廻っているこの人の右手には、刃物が握られているのだと。
「・・・・・」
僕は答えに窮する。
何と云えば良いだろうか、思いつきもしない。
時間にして数秒。
僅か数回分の呼吸の間。
けれど彼女は焦れたのか。
「答えて日ノ本くん。素直に云ってくれれば良いのよ?」
耳元に囁かれる声は強い。
(素直に?)
素直になんて、答えられるわけも無い。
「と、兎に角離れて下さい。このままじゃ、答えられないです」
取り敢えず、僕はそう返した。
背中に流れる汗が冷たい。自分の顔は多分に引きつっていただろう。
なのに、この人はどう解釈したのだろうか。
照れたような、奇妙な笑顔で頷いた。
「そうよね。日ノ本くん、奥手だものね。こうしていたら、答え難いかな?」
くすくすと身体を揺らしながら、彼女は距離を戻した。
「・・・・」
僕は彼女の持つ“銀色”に再び目をやって、じりじりと後ずさる。
一先ず答えを先延ばしにした。
けれど、このままではマズイだろう。
僕の背後は出入り口。
いざとなれば――
「駄目よ?」
織倉由良は背後に廻る。
唯一の出入り口。
それを塞がれる。
「ちゃぁあぁんと答えてくれるまで・・・・・、帰してあーげない・・・」
僕の胸中を看破した先輩は、悪戯っぽく笑う。
一寸した悪ふざけみたいに、悪意無く。
だけど、僕には、それが却って怖ろしく感じられた。
『壊れている』

197 :ほトトギす ◆UHh3YBA8aM :2008/01/23(水) 20:45:38 ID:WIoPUPLv
織倉由良の反応は、明らかにおかしい。
目の前の人間は、どこか壊れているのではないか。
僕には、そんな風に思えたのだ。
「せ、先輩・・・」
「ん?何、ナニ、なぁに?」
これから確実に訪れる幸福。
それを判りきっていて、尚恍ける様な仕種をする先輩。
この人は。
この人は僕が自分を愛していると“確信”しているのだ。
このすぐ後に、愛の言葉が囁かれるものと決め付けている。
何故そう思えるのか。
それを知る術は無いが、彼女がそう思い込んでいることだけが現実だ。
僕は――
「先輩」
「何かな?」
嘘だけは吐きたくなかった。
だから。
「申し訳ないです」
勢いよく頭を下げる。
「僕は、貴女を異性としては意識していない。素敵な人だとは思うけど、恋愛感情は持ってません」
ついこの間。
実の妹のように思っていたある少女に婚約を持ち掛けられた時と、類似する状況。
“あの時”は片耳を失って尚、思い通りには往かなかったが。
今回はどうなるのだろう。
嫌な予感がする。
僕は拳を握り締め、反応を待った。
「・・・・・」
答えは返ってこない。
腰を折っているので、対象の表情も見えない。
(どうなった・・・?)
恐る恐る顔を上げる。
先輩は。
織倉由良は笑顔を消していた。
「ふぅん?」
けれど意外なことに、そこに怒りは無いようだった。
予測の範囲内。
僕をまじまじと見つめる先輩の表情は、無言のままそう云っていた。
「やっぱり聞いた通りなんだ?」
「え?」
「可哀想・・・」
憐憫の表情で、織倉由良は僕を抱きしめる。
(どういう事だ・・・?)
理解出来ない。
何がどう可哀想だと云うのだろうか。
何が聞いた通りなのだろうか。
「その事も知っているのよ?」
「その事?」
先輩は頷いて抱擁を強める。
「日ノ本くん、昔好きだった娘に、酷い振られ方をしたんでしょう?」
「!!」
――藤夢。
僕の脳裏に泣きながら走り去る女の子の姿が浮かんだ。
あれは、僕にとっての忌むべき記憶。
けれど、気に病んでも仕様の無い昔話。
(いや、それよりも・・・)
「何で先輩が、その事を・・・!」
「私は知ってる」
聞こえる声は片方だけに。

198 :ほトトギす ◆UHh3YBA8aM :2008/01/23(水) 20:48:07 ID:WIoPUPLv
「私は、日ノ本くんの事なら、何でも知ってるよ?その事で日ノ本くんが傷ついて、恋愛に臆病になっ
てしまった事も。だから私に想いを打ち明けられないって事も。皆、皆、知っているの」
何を云っている?
藤夢の事は、確かに辛かったけど、それで恋に引け目を感じたことは無い。
どうしてそうなる?
どうしてそう思う?
どうして僕の過去を知っている?
どうして。
「でも安心して?私だけは日ノ本くんを裏切らない。傷つけない。ずっと傍で護ってあげる。だから、
素直になって良いのよ?」
「ち、違う・・・」
僕は首を振る。
「あの娘の事は関係なくて・・・。僕は、先輩を恋愛対象としては、」
「見せてあげる」
織倉由良は言葉を遮った。
そして、自らの左手に、肉厚のナイフを寄せ、
「私は、貴方のために、命だって掛けられる」
呆然とする僕の目の前で、織倉由良は刃物を引いたのだ。
飛び散るのは、赤。
生命の赤。
先輩の、命。
「う、うわあああああああああああ!!!!!」
僕は叫ぶ。
「せ、先輩!!何してるんですか!!!!」
「どう?信じて貰える?」
彼女は微笑む。
僕には意味がわからない。
何をやっている。
何でこうなるんだ!?
「ほら、素直になって?云って良いのよ?私のこと、好きだって。付き合って欲しいって」
どくどく。
ドクドク。
生命が流れて往く。
「せ、先輩!手!手、押さえて!!」
「駄目よ!」
慌てて近づく僕を突き飛ばす。
僕の顔に。
先輩の制服に。
部屋の壁に。
和室の畳に。
生命が、飛び散った。
「云ったでしょう?命を掛けられるって。日ノ本くんが素直になれないうちは、治療なんてしない」
素直って、こんな時まで・・・・!
状況がわかっていないのか!?
「まだ素直になれない?それなら・・・」
赤く染まった金属が、自身の首へと移動して往く。
動きに躊躇が無い。
それは、『結末』が確定すると云う事。
駄目だ。
この人は本気だ。
壊れている。
壊れたままで、本気で命を掛けてしまう!
「先輩!やめて下さい!!」
僕は彼女の腕を強引に押さえ込む。
彼女は激しく暴れて、傷口は益益開いて往った。
僕の服に滴った血液が、じくじくと染み込んで往く。
「離して!離して!!私は日ノ本くんのためだったら命だって掛けられる!それを証明するの!!だか
ら離して!!!!!」

199 :ほトトギす ◆UHh3YBA8aM :2008/01/23(水) 20:50:53 ID:WIoPUPLv
「離せるわけ無いでしょう!!死ぬ気ですか!?」
「離して!離しなさい!!」
「だから、先輩、落ち着いて下さい!!」
「落ち着いてる!私は落ち着いてる!!落ち着いているから、こうしているの!日ノ本くんのために、
本気の証明をしてあげるの!私のこと、好きだって云える様にしてあげるの!!!!!」
駄目だ。
話が繋がっていない。
死んでしまう。
こんなくだらない、訳の判らない事で。
この人は死んでしまう。
「わ、わかりました!!」
叫んだ。
彼女を止めるために、僕は力の限り大きな声で叫んでいた。
「ぼ、僕は、」
他に選択肢が無いのだから。
「僕は先輩を・・・・・愛しています!」
紡がれた言葉は全くの偽り。
その場逃れの為の方便。
自分を曲げた事に対する慙愧の念が渦巻いた。
それは多分、一人の人間をこの世に繋ぎ止める為に、より深みに嵌る行為。
暗く澱み、捩れた洞窟の奥底へ入り込むことと同義。
目の前には、真っ赤な笑顔がある。
酷く歪な、狂気と安堵を混合した緩い口元。
「あは・・・」
そこから、弛緩した空気が漏れて往く。
「やっと素直になってくれたね、日ノ本くん」

そして。
僕の腕には蕩けた笑顔の織倉由良が纏わり付いている。
傷を考えると登校なんて出来ないだろうに、それでも包帯を巻いた彼女は遣って来た。
「日ノ本くん、一緒に学校へ往きましょう?」
そう云った彼女の笑顔は、以前見た、平常なそれであった。
先の事象を忘れさせるような、いつもの笑顔。
だけど僕は知っていた。
彼女の持ち物の中に、昨日のナイフがあることを。
それは即ち、何時でも“あれ”が起こり得る事を示唆しているのだ。
今僕に絡み付いている先輩の腕は、きっと物質的なものだけでない、別の次元で僕を捕らえているのだ
ろう。
『離れれば、死ぬ』
暗にそう宣言されているように感じた。
だから、僕は気が重い。
この人自体の状況は勿論、今この状態を従妹が知ったらどうなるのだろう。
あの美しい鶯は、先輩と僕を是とするだろうか。
彼女の父。
楢柴文人は、あの婚約は破棄して良いと云ってくれた。
けれど、綾緒がそれを承諾するとは思えない。
宙ぶらりん。
否。
左右から身体を引っ張られ、宙に浮いているような状態だ。
どちらかの手が離れるにせよ、残っているのは“落下”だけではないだろうか。
そしてこの先、かなりの確率で“それ”は起こるだろう。
そうなる前に・・・この身体に命綱を巻いてくれる人間でもいれば良いのだが――

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

200 :ほトトギす ◆UHh3YBA8aM :2008/01/23(水) 20:52:57 ID:WIoPUPLv
楢柴綾緒が楢柴文人に呼ばれたのは、その日の内の事である。
従兄――日ノ本創が病院を抜け出したその日。
名閥の総帥が自ら彼に謝罪に赴いた、数刻の後の話。
家の者に娘の健康状況を聞き、問題無しと判断した文人は、我が子を一室に通させた。

「とうさま、この忙しい最中、どの様な御話でしょうか?事業の方も佳境であると聞き及んでおりまし
たが、会社を空けて大丈夫なのでしょうか?」
「・・・・」
彼は答えない。
拱手したまま、じっと娘を見つめている。
顔色はそう悪くない。
表情もいつものそれだ。
血液の交換等と云う狂行を引き起こしたとは、とても思われない程に。
けれど文人は顔を引き締める。
外貌や雰囲気だけで他者を判断する愚者では、名閥の長は務まらない。
対する娘は、実父の表情から、重い真剣な話であると読み取り、脳内を切り替える。それでも彼女の
口元は、穏やかな薄笑みを浮かべているのだが。
「綾緒」
「はい」
重厚な声と、涼やかな返答。
鋭い瞳と、柔らかな笑顔。
それらが交叉した後、文人はゆっくりと口を開く。
「病院から連絡があった」
「病院?とうさま、何処か御身体を壊して御出でですか?」
「韜晦は無用だ。お前が創くんにした事――その一部始終を聞いたと云ったのだ」
「さて・・・」
綾緒は首を傾げる。
穏やかな笑みは、酷く妖艶に。
それは、人ではなく、妖しの者の気配であるように彼は感じた。
「わたくしが創さまに為した行為が、とうさまにどのような関係がありますか?」
「私は楢柴の総帥だ」
「存じております」
「なれば――家中の者の愚行は見逃せん」
彼の瞳は強い。
並の人間ならば、竦みあがる程に。
けれどその娘は、柳に風と受け流す。
「愚行、で御座いますか。それはどれを指しているのでしょうか?」
「莫迦者っ!!!」
獅子が吼える様に。
彼の一喝は空気を振動させる。しかし、娘に動じた様子は見られない。
「とうさま、何故その様に声を荒げるのですか。わたくしにも判るように御話下さいませ」
「お前は自分の仕出かした事の是非も判らんのか!?」
「判っているから――判っているから、質しているのです。わたくしにとって、創さまは総てです。命
よりも、楢柴の名よりも大切な御方です。その様な御方に、わたくしが無礼を働くでしょうか?」
「では問う。血液を無理矢理に取り替える。その様なことが、許されると思っているのか」
「許し?」
ふっと、綾緒は笑う。
「わたくしと創さまの間に起きた事に、何故余人の許しが必要でありましょう?創さまに流れる薄汚い
血を清算し、雑種の頸木からあの方を開放したことは、わたくしの人生の中でも屈指の善事であったと
自惚れております。その件に関しては、たとえ楢柴の長と云えども踏み入れぬ領域の話。とうさまと云
えど、立ち入って良い事ではありません」
「その様な一方的な思い込みで他者を傷つけるな!!」
「思い込み?」
綾緒の表情が消える。
何も無いのに、何処か冷たい。
そんな顔に。
「“外様”の貴方がなにを仰るのですか?創さまは一言でも、不愉快であると、苦痛であると云いまし
たか?云っていないでしょう。あの方も綾緒の行為を喜んでおられるのですから」
「そう云い切るのであれば、お前には彼の妻になる資格は無い。慕っているならばこそ、その顔で、そ
の立ち居振る舞いで、胸中を察してやるべきであろうが」

201 :ほトトギす ◆UHh3YBA8aM :2008/01/23(水) 20:55:07 ID:WIoPUPLv
「察しているからこそ、ああしたのです。血抜きはそれなりに苦しいのですよ?奉仕と喜びがあるから
こそ、艱難辛苦に耐えることが出来るのです」
「・・・・」
誇りに満ちた表情で云い切る娘を見て、楢柴文人は眉を顰める。
(話にならん)
ここまでとは。
ここまで歪んでいるとは、思いもしなかったのだ。
「・・・綾緒」
「はい」
「お前と創くんとの婚約は無かったことにする。その事は、彼にも伝えてある」
「――」
無。
今度は、冷たさも無い、完全な無。
突然の出来事に、綾緒は呆然とする。
「これは楢柴の総帥としての決定だ、そして、お前には謹慎を命ずる」
「・・・・・」
「本来なら、お前を引き摺ってでも彼の元に連れて往き謝罪させるべきなのだろうが、お前が自らの過
ちを認識していない状態では、謝らせる意味も無い。暫く頭を冷やせ。良いな」
これ以上言葉を交わすことは無意味。
説得も箴言も無用。
そう判断した文人は、娘に一瞥もくれずに退室して往く。
一人残された綾緒は、理解の及ばぬ状況に心がついて往かず、反駁も疑問も口に出せなかった。
何故、愛しい兄の為に行動した自分が叱責されるのか。
何故、愛しい兄への想いを説明した途端にこうなるのか。
父親が諧謔を好まぬ人間だとは知っている。
だからこそ、降って沸いた婚約の解消に呆然とする。
その決定が覆らないことを知っているから。
あの人は何故、急に婚約破棄をさせるのか。
愛しているから、尽くしたい。
愛しているから、料理をしてあげたい。
愛しているから、掃除をしてあげたい。
愛しているから、洗濯をしてあげたい。
愛しているから、ひとつになりたい。
愛しているから、不安や不満を解消してあげたい。
あれは。
血の交換は。
将来、一定以上の血統を持つ人間と交わる時に、引け目を感じないようにと考えた結果だ。
契って後、子を為した時、その子に血統を誇って貰うためでもある。
つまり、奉仕の一部でしかないのだ。
食事を作り、清掃をする。
それらとなんら変わらない“御世話”の一環なのだ。
何故それが理解できないのだろう?
父は今まで、自分を良く出来た女と評価していたはずだ。
それは、喩えるならば、料理で尽くす事を褒めておいて、掃除でも尽くしたら途端に“悪”と罵られる
ようなものだ。
何でそうなるのだろう。
綾緒には判らなかった。
その中で一つだけ理解できたこと――
それを彼女は口にする。

「・・・・とうさま、貴方は、綾緒の“敵”なのですね――」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

202 :無形 ◆UHh3YBA8aM :2008/01/23(水) 20:57:17 ID:WIoPUPLv
投下、ここで止めておきます
「書き込みました」と出るのに反映されないとは、一体何故・・・?
次回は3月予定です
では、また

203 :名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 20:58:36 ID:aGmTpRxS
ぐっじょぶ

204 :名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 21:03:05 ID:E4ZcE+pv
くっそ、リアル投下見てたのに一番槍とられた!
しかしいよいよ話が血生臭くなってきました。
日ノ本クンもいい加減攻撃する覚悟決めないと死んじゃうよw
次回は三月ですか。楽しみにしてます。GJでした。

205 :名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 21:15:41 ID:7WSLsvKk
お父さん逃げてえぇぇッ!!

206 :名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 21:28:03 ID:W/ERc/Dj
GJです。

二人とも怖いよ……。お父さん、やっぱりダメっぽいか……。
次回も楽しみにしてます。
乙でした。

207 :名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 21:31:36 ID:cSmytw3q
>>202
GJ!オラ、ワクワクしてきたぞ

208 :名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 23:20:50 ID:ATngRAzz
>>202
あけおめことよろ。
そして先輩も従妹も二人とも怖いよ可愛いよ

209 :名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 03:28:34 ID:TSgfRSKY


210 :名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 19:28:49 ID:Pcuy+ZHk
>>172
誰が上手いこと言えとwww

211 :名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 19:45:41 ID:u+QXPY0C
…………………?

212 :名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 21:37:29 ID:EQcD2ZX7
何が上手いのか全く分からない件

213 :名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 21:49:20 ID:Aqopv6G9
「惨事」と「三次」を掛けたから……?

214 :名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 21:49:56 ID:EPp+R9G5
草生やしてるしただの厨房だろ

215 :名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 01:44:01 ID:QztKiKiR
ことのはぐるまに続きほトトギすまで見れるとは、ありがたやありがたや

とりあえず、一話の
鳴かぬなら 死んでしまおう ホトトギス

鳴かぬなら 哭(な)かせてしまおう ホトトギス
がそれぞれ何に対応しているのかが、ついにはっきり分かって幸せです。
この手のつきあってくれないなら死ぬ系のキャラは主人公や恋敵を殺すタイプより実は好みなので、先輩株が急上昇しました。
そしてあの歌は元ネタの段階では三種あったわけだから、一ツ橋もさらに絡んでくれる可能性が高いのでさらに先が楽しみに。
とりあえず、三月を楽しみに待ち続けます

216 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/25(金) 13:50:57 ID:New87wiq
合わせ鏡です。投下します。

217 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/25(金) 13:51:21 ID:New87wiq
合わせ鏡は、悪魔を呼ぶことができる魔術だという。
ならば、その鏡を割ってしまえばいい。


現れた瑞希は、私と同じ服を着ていた。こげ茶のタートルネックのワンピース。オフホワイトの
ショール。
違うのは、胸元にブローチをしているかどうかだけだ。
私のしているのは、安物の、薔薇が籠に入ったデザインのブローチ。
高校生のこーたが、誕生日にくれたプレゼント。
……そう、私達の違いなど、このブローチぐらいなのだ。

「水樹」
不思議なことに、瑞希の顔には憎しみも狂気も見出せなかった。
ただ、一仕事終えた後の疲れだけがあった。
「瑞希」
お互いの名前を呼んで、それで全てが終わる。会話などなくとも、これからすべきことをお互いに
わかっている。
「水樹、ごめんね」
ほんのすこし、悲しげに眉根を寄せ、瑞希は手鞄から包丁を取り出した。私に向かって構えたまま
手鞄をそっと地面に置く。
瑞希は、私を殺さなくてはならない。きっと、彼女はそれを望んだわけではないのだろう。
彼女は私と換りたかったけれども、私自身を殺すことを望んだわけではない。
しかし、今の状況では、私を殺さないと私に換れない。だから、仕方なく決断したのだろう。
私は、その決断を憎んだりはしない。
それに、私と瑞希は同じなのだから、瑞希が私を殺しても、どうせ、自殺にしかならない。
罪になるほうがおかしいのだ。
そして、それは、逆も、同じ、だから。


218 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/25(金) 13:52:21 ID:New87wiq
ゆっくりと退る。瑞希が、じりじりと私に迫る。
さらに退る。屋上の端、金網を背にして、追い詰められるように、退る。
さっき、瑞希が来る前にした細工が、うまくいってくれるといいけど。
願いながら、足を止める。ゆるく、手を広げた。

それが合図のように、瑞希は走り、包丁を突き出した。
一息で息の根を止められても困るので、その手を掴む。この行動は瑞希も織り込み済みだろう。
そもそも、瑞希のシナリオは、「包丁を取り出した瑞希ともみ合っているうちに、水樹である
自分が瑞希を誤って刺してしまった」というものなのだろうから。
私は、もみ合いながら、瑞希の背が金網の方を向くように位置を入れ替えて。


……そのまま瑞希を抱き寄せた。
ナイフが刺さる。熱くて何かが流れ出る感覚。痛みは、既にどうでもよくなっていた。
瑞希の目に私が映っている、その目には、きっと瑞希が映り、その瑞希には私が映っているの
だろう。
どこまでも、どこまでも、理論上は有限だけど、私達には無限に見える、合わせ鏡のように。


219 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/25(金) 13:53:56 ID:New87wiq
ねえ、瑞希。
私はあなたと自分が違うと思っていた。
鏡に映った自分の影のように、右と左が逆なのだと。
でも、それは違った。
合わせ鏡の中で、無限に続く自分のように、右も左も私もあなたも同じなのだ。
瑞希が自分とこーたを阻む者を排除したように、私もそれを望んでしまった。
こーたが、一度、私を異性として好きだと思ったならば、もう一度、好きだと思ってくれる
かもしれない。その考えが頭から離れなくなってしまった。
あの夜、奇しくもあなたと同じことを考えていた。私は一晩中、伯父さんと伯母さんを殺す
方法を考えていたのだ。
だから、伯父さんと伯母さんが死んだ時に私が抱いた感覚は、歓喜だった。あれだけ恩を
受けた人が死んだと言うのに、まず私の頭に浮かんだのは、これで私とこーたの真実を知る
者がいなくなったという事実だった。こーたの悲しみさえ、思いやれなかった。
それに、私は涙した。もう、こーたのことではなく、自分のことしか考えられなくなった
自分を知ったから。
きっと私はもう、姉には戻れない。こーたが他の人と恋をすることも、結婚することも、父親
になることも、望めない。相手を追いやって、壊して……消して、しまいたいと願っている。
そしてきっと、最後にはこーたを傷つける。
ならば、できることは一つ。


220 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/25(金) 13:54:36 ID:New87wiq
一瞬、彼女は私の行動が理解できなかったのだろう。瑞希の目が大きく見開かれる。
顔が強張り、体が硬直した。
その一瞬だけで、私には足りた。
瑞希を引き寄せ、そのままぐるりと廻って、瑞希の背中を、屋上を覆う金網に渾身の力を
込めて叩きつける。
金網は、二人分の体重を受けてゆっくりとかしぎ、形だけ留まっていたボルトが、コトン、
コトン、と小さな音と共に落ちた。
瑞希は私を突き放そうとあがく。でも、私は、全身の力を振り絞って、彼女を押し続けた。
ナイフが瑞希の体に押されて、さらに深くささるのがわかる。温かい液体が、次から次へと
溢れていく。それでも、私は瑞希を押し続けた。
前は負けたけど、今度は、負けるわけにはいかない。
大きな音がして、金網が外れた。瑞希の片足が、ビルの縁から外れる。
きっと、次の瞬間には、私達は空中へと投げ出される。
私は今、どんな顔をしているのだろう。


ああ、これで、全てが終わる。
こーたを傷つける者から、こーたを守ってあげるのが、姉として、最後にできること。
そう、瑞希と……水樹から。


だから、さよなら。


221 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/25(金) 13:55:26 ID:New87wiq
前回、水樹の幸せを願ってくれたみなさん、ありがとうございました。
多分後一回+エピローグでAルートは終わりです。

222 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/25(金) 14:00:46 ID:New87wiq
間違い発見。
>>220の上から4行目、「ぐるりと廻って、」を消してください。このままだと
一回転したことになってしまう。ダンスみたいだ。ごめんなさい。

223 :名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 14:02:16 ID:440JnFGW
>>221
いやぁ――――っ!!さよならなんかしないで!
GJっす

224 :名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 14:06:44 ID:e6gKVkzL
>>221
感動した!
でもお姉ちゃんが……°・(ノД`)・°・

225 :名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 05:08:27 ID:Jgdgkibu


226 :名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 05:09:16 ID:Jgdgkibu


227 :名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 21:34:38 ID:ReG8Srfw
久しぶりに見に来たんだが、首吊りとかドラゴン何とかって完結した?
ロボが大晦日に某スレで投下したのは知ってるが、どこでも富樫病?みたいになってるし

228 :名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 21:37:02 ID:JcLF88Rd
ヤンデレ一家の続きはまだかのう婆さんや

229 :名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 22:32:29 ID:Hj7qN/wD
未完の名作より
完結している普通の作品の方が面白い

完結にはこれだけの差があると常々思ってる
作者様達にはどんなに時間を掛けてでもいいから完結させてほしいものだ
我々はいつまでも待ち続けている

230 :名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 23:23:32 ID:kLy+rv84
うだうだ言わず待ちなよ

そこまで言うなら自分で書いてみたら?

231 :名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 01:45:28 ID:Wh1KG5eS
>>230
完結できてない作品の続きを?
作者様が許可すれば書くよ。

232 :名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 02:07:45 ID:Z6YyIw8I
「夫が隣りに住んでいます」
ってのがかなり俺好みだったんだが…

作者さん続き書いて下さいお願いします><

233 :名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 02:28:22 ID:g6mlJtha
作者さんにも色々事情があるだろうし、プレッシャーにもなるからクレクレはやめとこうや

234 :名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 07:27:08 ID:eX5wajti


235 :名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 16:27:53 ID:Z6YyIw8I
>>233
だな
スレ汚し申し訳無い…

236 :名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 17:32:48 ID:r8UZ+IFY
ヤンドジまだあ?

237 :名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 21:05:01 ID:s5X98Hw4
軽いヤンデレssを投下します。
エロは入ってませんのでエロナシが嫌な方はスルー願います。

238 :237:2008/01/27(日) 21:08:55 ID:s5X98Hw4
 はぁぁ〜……切ないですわ。楓はとても切ないのです。
貴方と離れ離れで暮らすなんて、とても切ないのです。
きっと貴方も、切なくて悲しくて……眠れぬ夜を過ごしておいでなのですね?
ですが、もうしばらくお待ちになってくださいませ。
もう少しで私はこの学園を卒業できますわ。
卒業さえ出来れば、誰も貴方と私の関係に文句を言ってくる者はいなくなります。
あぁ……何故私たちは出会ってしまったのでしょう?
何故身を焦がすような恋に落ちてしまったのでしょう?
はぁぁ〜……切ないですわぁ。楓はとても切ないんですわ。


「おはようございます、楓お姉さま」
「綾小路さん、いい天気ですね。その髪飾り、とても似合っていますわよ」
「まぁ!ありがとうございます!お姉さまに褒めていただけるなんて、とても嬉しいですわ!」

 リムジンを降りるなり、朝の挨拶をしてくる綾小路さん。
私が来るのを待って、挨拶してくるなんて、毎日毎日律儀な方ですわね。
そんな綾小路さんは、私の褒め言葉に頬を染め、嬉しそうに俯いている。
なるほど。その可愛らしい仕草が、男性陣に大人気なんですわね。
この愛らしい仕草が、あの方のお心を惑わすかもしれませんわね……この女、要注意ですわ。

「伊集院さん、ごきげんよう。いいお天気ですね」
「ホント、いいお天気ですわね、三千院さん。
澄み切った青空を見ていると、心まで晴れやかになりますわね」
「まったくその通りですね。澄んだ空を見ていると、心が洗われるようですね」
 
 眩しそうに空を見つめる三千院さん。
その空を見つめる横顔は、同性である私が見ても、綺麗と思ってしまうほど整っている。
さすがは私と学園の2大美女と並び称されるほどの方ですわ。
ですが……ふん!胸は私の圧勝ですわ!しかし、万が一という事も考えられますわね。
早めに手を打っておくべきかしら?

「では、三千院さん。私、一時限目の準備がありますから失礼しますわ」
「ああ、そういえば伊集院さんは学級委員でしたね?
プリント配りなんて先生がしてくださるのに、わざわざお手伝いするなんて……素晴らしいですね」
「三千院さんに褒めてもらえるなんて、光栄ですわ。では、ごきげんよう」

 ふん!貴女なんかに褒めてもらっても、嬉しくともなんともないですわ!
私が褒めていただきたいのはただ御一人。そう、あのお方だけ……

 あのお方のお役に立てる幸せを感じながら、職員室へと急ぐ。
あのお方は……いましたわ!コピー機でプリントを刷っていらっしゃいますわ!

239 :237:2008/01/27(日) 21:09:39 ID:s5X98Hw4
「真柴先生、おはようございます。今日もプリント配り、お手伝いしますわ」
「おはよう、伊集院さん。いつも悪いね、助かるよ」

 あぁ……その輝くような笑顔、素敵ですわ。
その笑顔を見るためでしたら、その笑顔を私だけに向けるためなら……なんだってできますわ。

「真柴先生、おはようございます。昨日はどうもご馳走様でした!」

 私と耕一様の至福の一時を邪魔する女が一人。コイツは……確か新任の美術教師でしたわね?

「間宮先生、おはようございます。先生って、歌、上手いんですね、ビックリしましたよ」

 ……歌が上手い?どういうことですの?
まさかこの女……私の耕一様とお出かけしたんですの?

「またまたぁ〜。わたし、そんなに上手くないですよ」
「ははは、自分なんかよりも相当上手かったですよ?また行きましょうね」
「もちろん先生の奢りですよね?」
「ええ〜!マジですか?じゃあ給料日後にでも行きましょうか?」
「分かりました、給料日後にですね?うふふふ、楽しみにしてますね。では失礼します」

 ……この女、いったいどんな手を使って耕一様を誑かせたんですの?
いけませんわ!耕一様は純粋なお方。
きっとこの女の罠にかかってしまったんですわ!
私の耕一様を罠にかけるなんて……許せませんわ!

「はぁぁ〜……間宮先生ってカワイイよなぁ。伊集院もそう思うだろ?」
「そうですわねぇ……でも意外とああいう純情そうな女ほど遊んでいるものですわよ?」
「おいおい、なんかトゲのある言い方だな」
「例えば……複数の男性と性行為を持っていたりとか?」
「お前なぁ……いくらなんでも言いすぎだろ?」

 そうですわ。耕一様に手を出そうとする女なんか、淫乱な女に決まってますわ!
……そう、アイツはきっと淫乱なんですわ。
……そう、毎日毎日男を変えてSEXをしているんですわ。
……そう、だからそのSEX相手に耕一様を狙っているんですわ。
……そう、だから私は耕一様に毒牙がかからないように、あの女の相手を用意しないと。
……そう、耕一様に目が向かないように、もう二度と近づかないように、相手を用意しないと。
…………クフフ、クカカカカカ。そうですわ、さっそく用意しなければいけませんわ。

240 :237:2008/01/27(日) 21:10:25 ID:s5X98Hw4
「間宮先生、お待ちしておりましたわ。今夜は曇っていて月もなく……男を狩るにはいい夜ですわね」

 仕事も終わり、コンビニ袋を片手に帰ってきたら、マンションの前で話しかけられる。
この制服は……うちの生徒?何故生徒がわたしの部屋を知っているの?

「えっと、あなたは……あ!もしかして伊集院さんでしょ?今朝も職員室で会ったわよね?
伊集院さんがわたしに会いに来るなんて珍しいわね。で、いったいどうしたのかな?
……え?男を狩る?あ、あなた何を言っているの?」

 男を狩る?この子、いったい何を言っているの?

「何を言っているのって……先生は複数の男とSEXをする淫乱な女教師なんでしょう?」

 い、淫乱な教師?この子、いったい何を言っているの?

「ば、バカなこと言わないで!一体誰がそんなことを言っているの!」

 思わず声を荒げて叫んでしまう。
いったい誰がそんな噂を流しているのよ!理事長の耳に入ったら、クビになっちゃうじゃないの!
せっかく決まった職場なんだ、こんな根も葉もない噂でクビになってたまるものですか!

「言いなさい。いったい誰がそんな噂を流しているの?さっさと言うのよ!」
「とぼけても無駄ですわ。私には全て分かっているんですの。
あなたがその汚らしい身体を使って、耕一様を陥れようと考えている事も。
たかが淫乱教師のクセに、耕一様に手を出そうとするなんて……身の程知らずにも程がありますわ」
「はぁぁ?あなたいったい何を言っているの?耕一様って誰よ?」

 耕一様?この子、いったい誰の事を言っているの?
……耕一?そういえば真柴先生の名前って確か……耕一だったわね?

「ま、まさか、あなた真柴先生の事を?」
「私の婚約者に手を出そうとするなんて、とんだ淫乱女ですわね。
耕一様に目が向かないように、私がお相手を用意してさし上げましたわ。感謝しなさいな」

 こ、婚約者?えええ?あのパッとしない真柴先生が?
この日本有数の大金持ちの、伊集院さんの婚約者?ウソでしょ?

「ちょ、ちょっと待ってよ!あなたが真柴先生の婚約者?
ダ、ダメよ!生徒と教師がそんな関係だなんて許されないわ!」
「そう、私たちは許されない、禁断の恋をしているんですの。
ですから耕一様は学園では私に冷たく当るんですの。
一度くらいは愛を囁いて下さってもいいと思うんですけど……お堅い耕一様も素敵ですわ」

 ウソでしょ?なんであんなのが伊集院家の一人娘の婚約者なわけ?

241 :237:2008/01/27(日) 21:11:07 ID:s5X98Hw4
「私が学園に入学して、そこで耕一様との運命的な出会いをしましたの。
真面目な耕一様、人目を気にしてか、出会ってから一度も愛を囁いてはくれませんの。
あぁ……楓は耕一様の愛の囁きを入学からずっとお待ちしているというのに……辛いですわぁ」

 はぁ?この子、いきなり何を言い出すの?

「今だに一度も手さえ握って下さらない、お堅い耕一様。
私はいつでもいいですのに……教師と生徒という関係が私たちを引き離しているんですわ」
「伊集院さん、あなたが真柴先生と恋愛関係にあることは分かったわ。
でもそれがあたしに何の関係があるの?いったい何しにここに来たの?」

 何なのこの子?頬を染めて惚気だして……これ以上訳のわからない話は聞きたくないわ。

「でも愛というものは、障害があればあるほど燃えるんですわ。
でも私たち二人は障害にも負けず、ゆっくりと愛を育んでいますの。
そう、私たち二人にはどんな大きな障害でさえも、恋の引き立て役にしかなりませんの」

 ダメだ、目がイッてるわ。自分の話に酔っているみたいね。
まさか伊集院さんがこんな危ない子だとは思いもしなかったわ。

「……でもね。私たちの愛の引き立て役といえど、邪魔な物は邪魔なんですわ。
前任の美術教師も、同じく前任の保健医も。
私が生徒であるが為に耕一様と肉体関係を結べないのをいい事に、
身体を使って耕一様を誑かそうなどと……許せませんわ」
「ちょっと待って!何を勘違いしてるか知らないけど、真柴先生とは何の関係もないから。
全部あなたの思い違いよ。わたしをあなたの勝手な思い違いに巻き込まないで!」

 前任の美術教師もってなによ?保健医もっていったい何よ!あなた、その人たちに何をしたのよ!

「少し話しすぎましたわね、先生も体が疼いてたまりませんでしょ?
お相手をたくさん御用意していますので、お部屋の方へ御案内いたしますわ。
白人、黒人、もちろん日本人も御用意していますわ。
道具もバイブやローター。ムチにロウソク、拘束具も準備させてますわ。
淫乱な先生の為に御用意いたしましたので、心ゆくまで御堪能してくださいな」

 わたしの話を無視し続けた伊集院さんは、ニッコリと微笑み、その細い指を鳴らした。
すると、どこからともなく黒いスーツ姿の男達が現れて……

242 :237:2008/01/27(日) 21:12:16 ID:s5X98Hw4
 はぁぁ〜……切ないですわ。楓はとても切ないのです。
貴方と交わる事ができないなんて、とても切ないのです。
きっと貴方も、切なくて悲しくて……眠れぬ夜を過ごしておいでなのですね?
ですが、もうしばらくお待ちになってくださいませ。
その時の為に私は、自分でも触っていませんの。自分で寂しさを慰めたりしていませんの。
私の身体を好きに触れるのは、貴方だけですの。
私の身体全ては貴方の物。唇も、胸も、首筋も、太股も、お尻も……全て貴方の物ですわ。
貴方に抱いてもらうことを、胸を吸われることを、お尻を揉まれることを、激しく貫かれる事を、
毎日毎日貴方に抱かれることを思い、切なさで枕を濡らし、眠れぬ夜を過ごしていますわ。
でも私たちは生徒と教師、禁じられた愛。交わる事は出来ませんわ。
でもあと少し……あと少しで私たちは真の恋人になれるんですわ!
その際には視線でではなく、言葉で愛を囁いてくださいませ。
いつものように目で愛を囁くのではなく、私の耳元で、とろけるような甘い愛を囁いてくださいませ。
愛を囁いてくださるまでは……邪魔なゴミを排除し続けますわ。
そう、媚びるような態度で、貴方に接しているあの女も……


「楓お姉さま、おはようございます」
「ごきげんよう、綾小路さん。その髪飾り、お気に入りのようですわね?
昨日は真柴先生にも褒めてもらってましたわね?先生が褒めるだけあって……とても似合ってますわ」

 ……そう、昨日、あのお方に褒めてもらっていましたわ。
この私でさえ、まだ口に出しては褒めてもらっていないというのに。
クフフ、クカカカカカ……そう、私はまだ褒めてもらえないというのに!

「まあ!楓お姉さまにまた褒めていただけるなんて……とても嬉しいですわ!」
「ウフフフ、そんなに嬉しそうにするなんて……とてもカワイイですわね。
そうですわ、綾小路さんにとても面白いものをお見せしたいんですの。
放課後の御予定、空いていますかしら?
もしよければ、1週間前から飼うようになったペットをお見せしたいんですの。
とても……本当にとてもいい声で泣くんですわよ?」
「ええ?わ、私なんかがお姉さまのお部屋に行ってもよろしいんですの?」
「ええ、是非来て下さいな。もしよろしければお泊りしていただきたいくらいですわ」
「ホ、ホントですか?是非お泊りさせて下さいませ!」
「よかったわぁ〜。これであの子も喜びますわ。
新しいペットはとても寂しがりやなんですの。ですから他のオスと一緒に寝させていますの。
一人では寝ることが出来ない寂しがりやさんなので……あなたも一緒に寝てあげてくださいな」

 そう、一緒に寝てあげてくださいな。一晩中ゆっくりと、たっぷりと寝てあげてくださいな。

 クフフ、クカカカカカ……耕一様に近づくゴミは全て捨てますわ。壊しますわ。潰しますわ!
耕一様……今しばらくの御辛抱ですわ。貴方に近づくゴミは全て壊しますわ。
壊し終えるまでの間、辛いでしょうが御辛抱してくださいませ!

 クフフ、クカカカカカ……ゴミはゴミらしく、野良犬にでも犯されなさいな。ねぇ、綾小路さん? 

243 :237:2008/01/27(日) 21:12:59 ID:s5X98Hw4
以上です。

244 :名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 21:37:20 ID:nyg6Dl6/
>>243
GJ!!
これで終わりなのか?
だとしたら、残念だわ。かなり続きが気になっちまうじゃないか・・・

245 :名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 21:49:07 ID:2IUm9vQS
>>243GJ!
綾小路さんが楓にという
綾小路⇒楓⇒耕一という構図を思い浮かべた俺は末期

246 :名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 23:20:03 ID:M0v0Bhlq
>>243
楓にちょっとワロタw
非道いことをしているし、イっちゃってるんだけど

247 :名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 13:36:11 ID:9oYEsTxN
デレ&ヤン の梢っち
ttp://www.imgup.org/iup546666.jpg.html
なんて素敵な番号

京姐殺戮準備モード描こうとして撃墜
絵ってむずいよね

248 :名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 15:01:55 ID:Thf36+Tt
>>247
これは可愛い

249 :名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 17:05:06 ID:fi1Foyo1
>>247GJ!
とても可愛らしいがぱっと見てナデシコのルリルリを思い出した俺ガイル

250 :名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 20:28:49 ID:cXZq+tb3
>>247 たしかにルリルリだ

251 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo :2008/01/28(月) 21:37:31 ID:xf3pEIi4
25話投下します。

252 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo :2008/01/28(月) 21:38:58 ID:xf3pEIi4
第二十五話〜逃亡不可能〜

 腕を組んで窓の外を眺めつつ、思考を巡らせる。
 横にいる華が財布を取り出して、中身を覗いていた。
「バス代、持ってないのか?」
「それぐらい持ってますよ。全部でいくらあるか確認してるだけです」
 華の財布を覗き見る。ほう、千円札が二枚か。なるほど……勝った。
 見えないように手を強く握りしめていると、視線を感じた。
 他に乗客がいない以上、俺に視線を向けることができるのは華しかいない。
「なんだ、その目。ああ、別に哀れんでいるわけじゃないぞ。気を悪くするな」
「言っておきますけど、私はおにいさんよりお金持っているはずですよ。無駄遣いしませんから」
「持ってるって言っても、せいぜい五桁だろ。良くて六桁に届くかどうかって――」
「たしか軽自動車って、新車でも日本円で七桁あれば買えるんでしたよね?」
 なに? 
「だとすると、私は少なくとも三台は買える計算になりますね。それでも結構余りますけど」
 ちょっと待て。
 えーと、七桁というと、一、十、百、千、万、十万……の上だよな?
 そんな馬鹿な話があるか。いくら華がしっかりしているからって、そこまで貯めているはずがない。
「貯金に三をかければ、八桁を軽く越えますね」
「……」
「それで、おにいさんはいかほど?」
「……良くて六桁に届くかどうか、です」
 さっきの台詞にふさわしいのは言っている俺自身だった。
 ここまで自信たっぷりに貯金の話ができるやつなんか見たこと無い。
 どうやら華の資金管理方法は、俺とは大きく違うノウハウであるようだ。
 手持ちは五千円あるけど、今の会話の後では安っぽい金額にしか思えない。

「やっぱり無駄遣いしていたんですね。昔からそうでした、おにいさんは。
 お小遣いをもらうと同時に本屋に行って漫画を大量に買っていました。
 で、いつもいつも私よりお金を持っていませんでした」
「なんでそんなことを覚えてやがる」
「私はおにいさんに毎日会っていたんですよ? それぐらいのことは知っていましたし、
 毎月同じパターンが繰り返されるから、年月が経っても忘れたりできませんよ」
「それならお前だって……」
 華の弱点は料理の腕ぐらいだけど、それ以外となると――何も浮かばないから困る。
「言っておきますけど、今はお金の話をしているんですからね」
 俺の考えまで読んでいるし。
「それで、お前だって、の続きは?」
「……いや、なんでもない」
 こうなっては口ごもるしか俺にできることはない。
 たかがこれだけのやりとりで華にしてやられるなんて、自分が情けなくなってくる。
 ため息だって吐きたくなる。


253 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo :2008/01/28(月) 21:40:55 ID:xf3pEIi4
「携帯電話は持っていますか?」
 突然、話の流れを変えられた。
 ジーンズの後ポケットを探ると、四角い物体の感触があった。携帯電話は持っている。
「あるぞ」
「では、財布の中にクレジットカードやキャッシュカード、身分証明書などはあります?」
「いつも入れっぱなしだから今日も入れて……いるな。うん」
「アパートの火の元の管理は?」
「ガスの元栓は閉めてる、暖房器具はハロゲンヒーターだけ、それも電源切ってる」
「なら、大丈夫ですね」
 いきなりそんな台詞で会話を締めくくられた。
 なにが大丈夫なんだ? 持ち物とアパートの心配?
 いったいどんな意図があってであんな質問をしてきたんだ。

「お前、何を考えてる」
「このまま隣町の駅に行って、電車で実家のある町に帰りますから」
「……は」
「このまま行っても大丈夫か心配だったんですよ。
 もし忘れ物をしていたら取りに戻らなきゃいけませんし。
 でも、私は大事なものはほとんど持ち歩いています。
 おにいさんがどうなのかわからなかったので、聞いたんです」
「ちょっと待て。話を勝手に進めるんじゃない」
 片足を座席の上に乗せて、体ごと華に向き合う。
 華は平静な顔つきで、顔を向けているだけ。

「誰が実家に戻るって言った?」
「おにいさんは言っていませんね。でも、私はこのまま戻った方がいいと判断しました」
「なんで」
「わかりませんか? さっきの菊川かなこの様子を見て何も思わなかったんですか?
 あの女、絶対におにいさんを諦めませんよ。きっと自分の望みを叶えるまで追ってきます。
 望み通りにしてあげるのがいいと私は思ったんですけど、おにいさんはそれを止めました。
 ならばどうするべきか? ……他には逃げるしかないじゃないですか」
 こいつ、あっさりと決めつけやがった。
 かなこさんを止める方法が無い、って断定してる。
「私も考えてみたんですよ。なるべく手荒な真似はしたくありませんから。
 あの女を殺さずに止める方法があるはずだ、それは何かないだろうか、って。
 図書館で二人が話をしている間にずっと考えていました。
 その答えを出したうえでとった行動が、あれですよ」
「お前がかなこさんを、……ってか」
「ええ。おにいさんに手を下させるわけにはいきませんから」
「それは、俺だって同じだ。お前にそんな真似をさせるなんて、絶対に」
「もちろんそのことも分かっています。あの女を排除した罪で逮捕されるなんてまっぴら御免です。
 さっきのあれは、あの行動の目的は、力ずくで諦めさせるのが目的でした。
 できるならば意志を折る。それが駄目なら骨を折る。それでも駄目なら感覚を一つ二つ消す。
 殺意がなかったかというと、否定はできません。けど、人生まで終わらせる気はありませんでした」
 そういうことを平然と言うのはどうかとも思うが、たしかにそれも一つの方法ではある。
 強引に諦めさせる、行動できないようにしてしまう、いわゆる暴力的な手段。
 俺も説得して諦めさせるのは無理だと判断していた。
 かなこさんは俺の言葉の真意を誤解して受け取っている。
 でも、できるなら荒いことはしたくない。


254 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo :2008/01/28(月) 21:41:55 ID:xf3pEIi4
「本当に……他には一つも浮かばなかったのか? 止める方法」
「無いことは、無いです。あります」
「あるのか?!」
「そもそも、菊川かなこはおにいさんを求めて行動しているわけです。
 ならば、その行動理由が無くなってしまえば?」
 理由?
 かなこさんは俺に接触してくる。俺の居るところにやってくる。手を下させるために。
 そうできないようにするには。やる意味を無くしてしまえばいい。
 やる意味。つまり――俺が居なくなればいい。
「お前……」
 ちょっとだけ華と距離をとる。怖くなったわけじゃなく、半分冗談で。
「やるわけがないでしょう。たとえばの話ですよ」
「……まあ、そうだよな」
「ただ、菊川かなこがおにいさんの存在を確認できないようにする、というのはいいと思いますよ。
 おにいさんを、どんな情報網を辿っても突き止められない場所に連れて行くか、
 この世界のどこにもいないように思わせるか。
 偽装してみます? 法的に死んだように思わせれば、諦めるかもしれませんよ」
「俺が頷くと思うか?」
「いいえ。頷くはずありませんよね。そういう危ない橋を渡るのは、嫌いでしょう?」
「当たり前だろ」
 下手したら罪に問われる。それにそんなことできるほど俺は頭が回らない。
 死んだ人間として振る舞うなんてできるか。

「なら、もう手段はありませんね。行きましょう。実家に」
「なんでお前はそこまで実家に帰りたがるんだ……」
 俺はあんまり帰りたくない。
 両親との仲が悪い訳じゃないが、以前帰ったときに小言の応酬を食らわされたことを思い出したら、
積極的に帰ろうという気は失せてしまう。
「なんだったらおにいさん、私の家に来ますか?
 おじさん達の家に帰りたくないんなら、しばらく泊めてあげますよ」
 ……絶対に嫌だ。
 実家に帰るよりずっと気まずい。なんて言って挨拶すればいいんだ。
 おじさんもおばさんも基本的に温厚な人だけど、
この歳になってから泊まりに来た甥を見て何も思わないはずがない。
 華のことだから恋人がいるなんて言ったことはないだろう。
 ということは、華と一緒に帰ってきた俺との関係を疑う可能性もある。
 誤解とはいえ、親戚にそう思われるのは好ましくない。
「いっそのこと、ずっとうちに住んでくれてもいいんですよ」
「冗談に聞こえないからやめてくれ」


255 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo :2008/01/28(月) 21:43:36 ID:xf3pEIi4
 そんなことを話しているうちに、バスが路肩に寄って停車した。
 バスの乗り口は真ん中にあるため、当然のようにそこは開いた。
 が、どういうわけか先頭の降り口の扉までも開いていた。
 このバスに乗っているのは俺と華だけ。他の乗客はいない。
 俺たち二人が降車ボタンを押していない以上、降り口は開かないはずだ。

 なんとなく見つめていると、先頭から誰かが乗車してきた。
 いったいどんな常識知らずの人間だろうか。その人の容姿を観察する。
 頭は白髪のオールバック。
 年齢の重なりを他人に意識させるしわの浮かんだ顔には、力強く開いた目がくっついている。
 着ている服はタキシード。一見して老人には見えないほどの威容を誇っていた。
 背筋はまっすぐに伸びていて、動きの一つ一つに洗練された優雅さがある。
 そこまで考えてから、乗り込んできた人の正体が分かった。
「室田、さん」
「……室田?」
 華のおうむ返しの声が横から聞こえた。
 座ったままでいると、一番前の座席近くにいる室田さんがおじぎをしてきた。
「遠山様、ご無礼をお許しください」
 よく通る声は、何メートル離れていようが耳に入ってきそうだった。
「まことに不躾ではございますが、今から私めがこのバスを運転いたします。
 向かわれるつもりだったところへは行きません。ご了承ください」
 そう言うと、後ろを振り返り、バスの運転手と話し始めた。
 声は聞こえなかったが、一分も話さないうちに運転手が降りていったところから見て、
説得に成功してしまったらしい。

 なんだ、これは。
 室田さんがどうしてここにいて、バスを運転することになっているんだ?
「ちょっと、おにいさん。あのお爺さん何を言ってるんですか? あの人誰です?」
「あの人は、かなこさんの執事だ」
「執事、ってことは……あの女の仲間じゃないですか! まずいです、早く降りないと!」
 そう。室田さんがここにいるということは、とてもまずいこと。
 きっとあんなことをしているのは、本人の意志じゃない。
 誰かに命令されないと室田さんはあんなことをしないはず。
 そして、それが出来る人は、一人だけしかいない。

「降りますよ! 早く!」
 華に手を引かれ、腰を浮かされた。
 華には分かっているのだろう。すでに自分たちが危機的状況に陥っているということが。
 だが、もう遅い。室田さんがここにやってきた時点ですでに遅いのだ。
 俺はあの人――彼女の執念を甘く見ていた。バスに乗るところを、きっと目撃されていたのだ。
 リムジンを飛び越しても、追跡をかわせてはいなかった。
 屋根やボンネットに足跡がついたところで車が行動不能になるわけではない。
 俺たちが乗ったバスを追跡し、しばらく走らせた後でそれを停める。
 車体を使って強引に停めたのではなく、運転手になんらかの手段で連絡を入れてそうしたのだろう。
 どこまで菊川家の力が世間に及んでいるのかは知らないが、こうも簡単に移動中のバスを
止められるということは、俺の想像の範疇に収まらないぐらいに強くはあるようだ。
 なんにせよ、これで俺たちはバスというある意味で密室になっている空間に閉じこめられた。
 このまま走り出せば飛び降りるのも難しくなる。
 昔自転車に乗りながらスクーターに掴まって走り運悪くこけた時の痛みから想像するに、
骨の一本ぐらいは覚悟しなくてはいけない。
 だけど、俺達にはその行動をとることすら許されない。
 なぜなら、たった今乗り口から姿を現した女性がそれを許さないだろうから。


256 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo :2008/01/28(月) 21:45:30 ID:xf3pEIi4
 かなこさんは図書館で会ったときの格好のままだった。
 ただし、白いセーターの右腕は図書館で華に倒されていたせいで少しだけ砂が付いていた。
 立っている位置は扉のすぐ近く。まだ扉は開いたままになっているので降りることはできそうだった。
 だけど、かなこさんを前にしてはすんなりいきそうにない。
 華はそれでも立ち止まることなく歩き続けた。
 おそらく強引に突破する気なんだろう。
 かなこさんは避ける気配を見せない。むしろ迎え撃つかのように悠然と立ち尽くしている。
 自然、二人の顔は向き合うことになった。華が口を開く。
「……ここまでやりますか、あなたって人は」
「大したことではありませんわ。
 上の方に一言告げただけのこと。お願いを聞いていただいただけですわ」
「降ろしてくれませんか? これから行かなければいけないところがあるんですよ」
「ならば、一人でお降りください。雄志様にはこれから、わたくしの屋敷へと来ていただきます」
「お断りです。二人で降ります。
 おにいさんはあなたみたいなブルジョワなお嬢様の住む屋敷に上がるのにふさわしい人間じゃありませんので」
 断る理由に俺を使うな。おまけにさりげなく貶すな。
 言っていることは正論だが、だからこそ何も言えなくて、はがゆい。
「それを決めるのはあなたではありません。わたくしです。
 雄志様には屋敷へと来ていただきます。が、一名招かれざる客がいるようです。
 誰のことかお分かりですね? 現大園華」
「あなたの家に行くなんてこっちから御免ですよ。
 いくら頭を下げられたって行きたくなんかありませんね」
「では、即刻このバスから出てお行きなさい」
「だから、おにいさんと一緒じゃないと降りないって言っているでしょう。
 ……本当にイライラしますね、あなたって人は。
 言うことを聞かないんなら、力ずくで押し通しますよ」
 華の両手が拳の形になっている。臨戦態勢だ。
 さっき、図書館ではかなこさんが倒されて、とどめを刺される寸前までになっていた。
 そこから考えても、華の方が荒事に慣れていることが知れる。
 こうなっては、かなこさんの方が不利だ。

 ――と、俺は思っていたのだが、対するかなこさんはたじろぐ様子を見せなかった。
 何か、違和感がある。絶対に無視してはいけない類のものが。
 図書館で会ったときとのかなこさんと、今のかなこさんは同じ人間なのか?
 氷壁を通して見た時みたいに輪郭がはっきりしない、底が知れない。
 短時間でここまで変われるものなのか?
 いや、そうじゃないな。
 きっと、元からかなこさんはこんな雰囲気を持っていたんだ。
 今まではただ抑えていただけで、やろうと思えばいつでも今のような感じになれた。
 それなら、この違和感の原因も説明がつく。
 穏やかな人柄の仮面が外れた、今のかなこさんが本物なんだ。

「物騒な女でございますこと。宜しゅうございますよ。できるのならば」
「……いいでしょう。望み通りにしてあげますよ。
 あなたをそこの扉から叩き落として、ついでに執事の人も同じようにしてやります」
「おい、ちょっと待て」
 華の肩に手を置き呼びかけると、振り向かれずに返事された。
「なんです?」
「やめとけ。無理に戦おうとするな。逃げた方がいい」
「逃げる必要なんかないです。わかりやすく力で教えてあげた方が、この女のためですよ」
「……たぶん、できないぞ」
「はい? 何言ってるんです。見たでしょう、さっきの無様な姿。
 温室育ちの脆弱なお嬢様に何ができるっていうんです」


257 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo :2008/01/28(月) 21:47:38 ID:xf3pEIi4
 それが誤解なんだ。
 危険な空気がかなこさんの方向から流れてきているのを感じる。
 豹変した姿を何度か目にしたが、そのいずれよりも危ない。
 体の防衛本能が強く警告してきている。
 図書館で会ったときはそれこそ無防備で、華の言っているように非力な印象だった。
 傷つけまいと、こっちから身を引かねばならないほどだった。
 それが、今はどうだ。
 透明なガラスの細かな破片を混ぜたような空気がかなこさんを覆い、近づけまいとしている。
 一歩動くことさえ慎重になる。
 これはもしや、俺の勘が鋭くなったとか、そういうことなのか?
 それともただの気の迷いなのか?
「すぐに終わらせます。一分じっとしててください」
 華はそう言うと、俺の手をどけて一歩踏み出した。

 その時、不意に襲いかかってきた悪寒が、脳裏にイメージを作り上げた。
 首から血を吹き出して倒れる、華の姿。
 世界が暗くなり、音が消える。目にしているもの以外何も知覚できなくなる。
 吹き出した血が床を濡らし、空中に広がり、俺の顔にかかる。
 青い座席も、縁の汚れた窓も、靴のすり切れた跡の残った床にも。
 悶えているうちに、天井にまで血が飛散した。
 力尽きた体は床に膝をついて前のめりに倒れた。
 うつろな眼差しはまだ信じられないように、右に左に動いていた。
 ほどなくして、その動きも止まる。まぶたがゆっくりと閉じられた。
 その想像を俺は咄嗟に否定した。強く、はっきりと。

 跳ねるように動く。
 コートの背中を引っ掴み、力任せに引っ張った。華の体が勢いよく後退。
 間髪入れず、さっきまで華の首のあった辺りに一本の線が走り、空間を引き裂いた。
 唐突に現れ、華の首を狙って走ったそれは、かなこさんが右手に持っている短刀だった。
 左手には鞘。右手は真横にまっすぐに伸ばした状態だった。
「……避けられてしまいましたか」
 穏やかな声が流れる。少しは残念に思っているのか、かなこさんは眉を伏せていた。
 まだ華は呆然としていて、目をぱちくりさせていた。
 見えていたのだろうか。いや、それ以前に、今の攻撃を予感していたのだろうか。
 もしさっきの閃きが起こらなかったらと思うと……あのイメージ通りになっていた。
 意識を短刀に集中させ、警戒しながら話しかける。
「今、もしかして……」
「お察しの通り、殺すつもりでございました。
 いつまでもその女に目の前でうろうろされては迷惑でございましょう?
 油断して近づいてきたところを、と思っていたのですが、まさか雄志様に阻止されるとは。
 つくづく、運に恵まれておりますわね」
 かなこさんは華を見て、小さく笑った。
 右手で掴んでいたコートの生地が動く。
 華が飛びかかろうとしていることがわかったので、今度はより強い力でコートを引っ張る。
「やめろ、華! 今本当に危なかったんだぞ!」
「わかってますよ、そんなこと!
 ……さっきはただ油断していただけです。今度は隙なんか見せませんから」
 力任せに手を振りほどかれた。
 その時、華は俺の顔を見ていた。後ろにいるかなこさんから目を逸らしていた。
 注意までは逸らしていなかったかもしれないが、その動きは油断や隙と言えるものだった。
 その隙をついて、かなこさんが距離を詰めた。
 警戒を断っていない状態だから気づけた、瞬間の動き。
 体がついていかない。
 短刀が華の心臓めがけて突き進むのが見えていても、それを止めることができなかった。
 刃が、華の体に突き刺さるのが見えた。
 悲鳴が聞こえてくるのを、俺は覚悟した。


258 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo :2008/01/28(月) 21:48:49 ID:xf3pEIi4
 しかし、声より先に人を殴る音が聞こえた。目の前では実際に一人が殴られていた。
 殴ったのは華で、殴られたのはかなこさんだった。
 華の胸に短刀は刺さっていなかった。代わりに左肩に深々と、根本まで刃が突き刺さっていた。
 それを信じられない気持ちで見ていると、かなこさんの体が揺れた。
 胴体に華の拳が突き刺さっていた。
 休む暇もなく放たれた追撃をかなこさんは後退して避ける。
 短刀から手を放していなかったので、同時に華の肩から血糊がべったり付いた刃が抜けた。
 華とかなこさんの間を、小さな血の点が連なり結んでいた。
「ち……意外と、深い……」
 華の口から呟きが漏れた。
 着ているものが黒ずくめだから血の色は目立たないが、左手から床へと滴り落ちる紅い血は隠せていない。
 右手はまだ固く握りしめられたままで、構えを解いていなかった。
 かなこさんは唇から垂れる血を確認するかのように、左手の指先を当てた。
「しぶとい女ですわね。どうして今のを避けることができたのでしょう。
 確実に、絶対に仕留められるという確信を持っていたというのに」
「あんまり、私を……舐めないでくださいね。そして、過信もほどほどにするべきですよ。
 ちょっとは刃物の使い方には慣れているみたいですけど、ね」
 苦しそうな表情を浮かべながらも華の口調は変わっていなかった。
 表面を紅く染めた刃が、標的へと向けられる。先にいるのは華。
 構えているのは鋭く目を尖らせたかなこさんだ。
 短刀の刃先から血が落ちる。床に着くとそれは弾けて拡がった。
「二度はありませんわ。次こそは必ずや、心の臓を貫きます」
「ふ……ふふ。次こそは、って言ってる時点で終わりです。
 さっき仕留められなかったのが致命的なミスです。
 次に終わるのは、あなたの方ですよ」
 それは、違う。
 できないんだ。華じゃ、かなこさんを退けることはできない。
 さっきから悪寒が消えない。空気が停滞して凝り固まったみたいに動くのが難しい。
 止めなければ、かなこさんを。守らなければ、華を。
 今やり合えば華が死んでしまうという想像が頭から離れない。
 それはさっき頭に浮かんだものの残滓ではなく、二人を見て冷静に判断して出した答え。
 軽自動車と大型トラックが衝突した結果を浮かべるように、鮮明に画が浮かび上がった。
 俺はそれを否定する。絶対にそんなことにはさせない。
 この状況、扉を開けたまま走り出していない状態のバスで、華を生き残らせるには。
 そして二度と二人を会わせないようにするためには。
 ――ああするしか手はない。


259 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo :2008/01/28(月) 21:52:30 ID:xf3pEIi4
「覚悟なさい、現大園華。あなたが名前を呼ばれるのは、これが最後になりましょう」
「菊川かなこ。あなたにその役はふさわしくありません。
 今の台詞があなたの遺言です。誰にも伝えません。私はすぐに忘れます。
 惨めに、無念を遺したまま、死になさい」
 かなこさんは短刀を逆手に、華は右手を貫手にして構える。

 緊迫した空気が肌を襲う。
 二人はきっかけを待っていた。すなわち、何かが合図を送り、スイッチを入れることを。
 風の音が強く耳に反響した。
 今日の風は勢いが強く、向かい風が吹いてきたら目を細めなければならないほどだった。
 寒風がバスの中に吹き込んでくる。
 運転席の後ろに貼ってある広告のチラシが浮く。

 ――風が凪ぐ。

 二人のうちどちらかが動くのが、限界まで広がったセンサーで感じ取れた。
 それは走り出すために膝を軽く折り曲げる程度の動きだったろう。
 だが、俺にはそれだけで十分。スイッチは入った。
 二人が動きだすまでの刹那をさらに短く切り取り、初動をとる。
 華の膝裏をつま先で蹴る。そのせいで頭の位置が少し下がった。
 間髪入れず、華の頭上を短刀の一閃が走った。
「えっ?!」
「な、……雄志様?」
 大きく踏み込む。手心を加え、腕を振り切ったかなこさんの腹部を掌底で打つ。後退した。
 打撃のフィードバックを利用し、腰を中心にして上体を跳ね返らせる。
 首を向けるより早く、目だけで華の顔を見る。
 そこには、俺が加勢したことによる喜びではなく、単純な驚きがあらわれていた。
 俺にこんな動きができるなんて、意外だったのだろう。
 だけどできてしまうのだ。
 目的を強く意識して体を動かせば、頭で考えるよりも早く、最適な動きを行える。
 右肘を華の胴体の打ち込む。
 華の体がくの字に折れ、肩に顎が乗った。
 顔から拳一つ分も離れていない場所に、華の横顔があった。
 リボンで一纏めにされた髪の束が、鼻先まで近づいた。
 髪の毛の艶は、いつもとは比べられないほどに無くなっていた。
 昨日からの騒ぎで手入れする暇もなかったのだろう。
 俺と華の二人だけに聞こえる声量で言う。
「悪い、華。こうするしかないんだ。お前を助けるためには」
「そ、んなの……って。おにいさん、の…………ば……か」
 かすれた声で呟き、華は脱力した。


260 :名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 21:58:35 ID:xf3pEIi4
25話はここまでです。

261 :名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 21:59:32 ID:y4uiG/te
>>260
リアルタイムGJ!!

262 :名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 22:00:33 ID:D25BFSzM
リアルタイム投下ktkr
段々おいつめられてく様が良いわぁ。
作者様GJ

263 :メディラス ◆IlzOtEH0rY :2008/01/28(月) 22:19:25 ID:b+3VEN7m
雛さんが腹ボテにされたと聞いてきました

264 :名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 22:35:35 ID:3A66oMyv
>>260
雄志に覚醒の気配、これは楽しみ


265 :夫が隣りに住んでいます:2008/01/29(火) 01:22:41 ID:67i2qe8S
久々に続きかいてみました。


第10章

今日の真紀はいやに積極的だった。
いや積極的なのが悪いんじゃない。それどころかどちらかt・・・
まぁそんなことはどうでもいいんだが、とにかく何かいつもと違った。
「う〜ん・・・」
しばらく考えても何も出てこない。
「う〜む・・・」
まだでない。
「U-mu・・・・Zzz・・・」
突然ガッという衝撃に目を覚ます。
見ると真紀が呆れ顔で立っていた。その手にはバールのようなものが握られている。
「突然なにしやがりますかね。このしとは」
と当然の抗議の声をあげるのだが
「何しやがりますじゃないわよ。突然うなりだしたかと思ったらいきなり寝てるし!」
とまるで抗議を意に介さず真っ当なことをおっしゃりだす。
その様子はいつもの真紀だった。
とりあえずさっき感じた違和感はただの気のせいだったのかもしれないと一人納得した。
その後は二人で少しのびた蕎麦をすすりつつどうでもいい会話に花を咲かせる。

蕎麦も食べ終わりごろごろしてると台所でお茶を入れている真紀が声をかけてきた。
「そういえば健一さ・・・さっき挨拶に回ったお隣さんって・・・ドンナヒト?」
その声に少しさっき感じた違和感があったが別段気にせず
「ああ・・・なんかいきなり抱きつかれてさ・・・なんだか変な」
ここまで言うといきなり台所で『バキッ!』と何かが折れる音がする。あわてて
「ど・どうしたの真紀さん!?」
と慌てて台所へ向かうとそこには満面の笑みを浮かべた真紀が居た。
ただ、その手には砕けた湯飲み茶碗が握られている。
その様子が妙にシュールすぎて乾いた笑いしか出てこない。

「えぇと・・・マキサ・・ン?」


266 :夫が隣りに住んでいます:2008/01/29(火) 01:23:42 ID:67i2qe8S
とりあえず名前を呼んでみることにした。
いや、決してその満面の笑みの中にドス黒い何かを感じ取ってビビッてる訳じゃない。
うん。
そんな訳じゃない。

「テ、ダイジョウブデスカ・・・?」

決してビビッテいるわけではない。
その目がココではないどこかを見ているように見えても
ボクはそんなよわむしなんかじゃないやい。

・・・

一瞬だが幼児退行していたような気がする。
それも全て気のせいだ。
大丈夫だ俺!COOLにいこうぜ!そんな自分が大好きさ!
とりあえずもう一度真紀のほうを見ると、そこにはやはり満面の笑みの真紀がいた。
手には何も持っては居ない。やはりさっきのは幻覚だったんだ。

「真紀さんどうしたの?さっき凄い音がしたみたいだけど」
と聞くと
「え?そんな音しなかったけど?」
と真顔で返してくる。やはりさっきの出来事は最初から俺の勘違いだったようだ。
やっぱり俺疲れてるのか?
と頭をひねる。その様子を見て真紀も
「どうしたの?ちょっと疲れてるんじゃない?」
心配そうに尋ねてきた。
「うーん・・・そうかも。俺ちょっと先に休んでるよ」
そう返してとりあえず部屋に戻りソファーの肘掛を枕に休むことにした。
しかし今日は色々ありすぎて疲れた。
ただ、魔法使いになる権利を放棄できたことは非常によい出来事だったが・・・。

267 :夫が隣りに住んでいます:2008/01/29(火) 01:24:04 ID:67i2qe8S
・・・ん?
体がスゥスゥするよ?
それになんだかネチャネチャするよ?
・・・
あれ?腕が動かない?
おかしいと思って薄目を開けるとそこには肌色の何かが俺の上に乗っていた。
「ん・・・ん・・・あ・・」
暗い中よく見るとそれは小さく色っぽい声を上げる真紀だった。
「って、ええぇ?何してるの真紀さん?!」
「あっイイ!!そこ!」
駄目だ。コイツ聞いちゃいねぇ。
「真紀さん。ちょっま・・・っ!」
急速に射精感が高まっていく。とりあえず今はこのままで良いかぁ・・・
「来てぇ中に!いっぱいぃぃぃ!」
その声を合図に溜まっていたものが出て行く。
「ああああぁぁぁ・・・・」
出し終わるとそれまで感じていた疑問が一気に湧き上がってきた。
とりあえず手が縛られているみたいだ。そこから聞いてみよう。
「ええと・・・真紀さん?」
声をかけてみるが返事が無い。
ただのしかb・・・
ただ天使の様な安らかな顔で寝ているようだ。
って俺の拘束は放置プレイっすか?!真紀さん?!


268 :夫が隣りに住んでいます:2008/01/29(火) 01:26:14 ID:67i2qe8S
短くて申し訳ないっす・・・
以上っす。

ヤ○チャ王の続きが出ない。


269 :名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 05:25:16 ID:x41+3ksm
>>268
待ってましたあああああぁああ!!!!!!

GJです!続き待ってます!!

270 :名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 10:52:44 ID:XaC5MgZI
>>268
未亡人の逆襲が待ち遠しい……てか

>ヤ○チャ王の続きが出ない。

同じ人だったのかw

271 :名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 11:04:51 ID:FsAV6YpX
>>268
うん?




おっぉぉおおおおぉおおおお!?
俺も待ってましたぁっぁぁぁぁああああああ!!!!!!

272 :名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 18:49:53 ID:JQ4resi3
名作ラッシュktkr!いつも楽しみに読んでますww

273 :名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 18:58:19 ID:a1grl/nm
>>268
待ち焦がれた作品がついに来た。
これほど嬉しいことはないだろう。
さぁ諸君、今夜は私のおごりだ!!好きなものを頼みなさい!!

274 :名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 20:22:01 ID:RJe3l1qL
>>273課長、ごちになります!

ではヤンデレ先輩の監禁コースとキモウトの秘密の調味料弁当を。
あ、あと生二つ。

275 :名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 20:50:48 ID:GZ0DGQGv
そ、そんな……生でだなんて……>>274さんったらもう……

276 :名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 21:09:49 ID:OOHwqWLF
>>274
「残念!それはお姉ちゃんのおしっこだ!」

277 :名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 21:40:51 ID:gzC0mJSV
>>276
何言ってんだ? 正解じゃないか

278 :274:2008/01/29(火) 22:24:02 ID:RJe3l1qL
なんとも…
素敵な妄想の人達だw
ちなみに普通のビールのつもりで書いた俺は
まだまだ修行が足りないorz

279 :名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 22:27:57 ID:4vvdbSMu
ならオレは搾りたてを熱燗でいただこうか。

280 :名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 01:26:42 ID:xRVsK5iO
兄さん、おしっこが泡立つ人は糖尿の恐れがあるそうですよ・・・

281 :名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 10:08:43 ID:UwKqFECo
というか空気に触れた尿は雑菌だらけになるから飲むときは
出る場所にじかに口をつけるべきだろ

282 :名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 11:27:08 ID:BNl9Ydtf
以下ションベン禁止

283 :名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 13:38:19 ID:LO6S3lf0
兄「喉が渇いたなぁ」
妹「兄さん、口を開けてください。はい、もっと。あ〜ん…」

ぶちゅうぅ〜

兄「…!!!」



こうですか?わ(ry

284 :名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 15:14:23 ID:FAgCKwm1
>>283
兄「お腹すいたなぁ」

285 :名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 18:49:09 ID:fFagT8nl
⊃「ヤンデレワッフル」

286 :名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 19:51:48 ID:LO6S3lf0
>>284
「…弟くん、ハイチュウ欲しい?」

287 :名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 21:25:34 ID:4cTGjeHU
>>283
潮吹いて潮を飲ませてる姿を想像した俺は基地害だな。
母乳のみてええ

288 :名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 21:52:40 ID:rlNBY8Xr
ほんとにココにはへんたいが多いですね

でもそんなおまえらが大好きだw







…ん?
隣の部屋がやけに静かだな…

289 :名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 22:03:38 ID:42dp7sXQ
>>286
「ねえ、ちゃんとお風呂入ってる?」

290 :名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 22:08:52 ID:P7mpYR+D
〇〇さんがいけないんですよ、隣に住んでいるのをいいことに、毎朝毎朝>>288さんにちょっかいを出して、いやらしい。
あの人が迷惑がっているってわからなかったんですか?
でも、もう大丈夫。こんな風になっちゃったら、もう何もできないでしょう。
待っていてくださいね>>288さん、今行きますから。
二人で誰にも邪魔されないこの世の天国を作りましょう。

291 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/31(木) 00:14:01 ID:iHY9/w9g
合わせ鏡Aルート最後〜エンディングまで一気に投下します。
今までありがとうございました。

292 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/31(木) 00:14:38 ID:iHY9/w9g
ゆっくりと、世界が傾ぐ。
空が斜めになり、さっきまで地面だったものから離れていく。
私は、瑞希を突き飛ばし、自分も奈落へと落ちる。
そのはずだった。


聞きなれた怒鳴り声が、聞きなれない意味不明な言葉を撒き散らす。
いくつもの足音が怒涛のように迫る。
確かに地面から離れたはずの私の体が、途中で止まった。
意味不明なわめき声が呼んでいたのは、私の名前だったらしいと遅れて気づく。

「重症だ!担架を呼んで来い!」
「手を離すな!」
「限界です!」
「念のため下にマットを用意しろ!」
いくつもの聞きなれないきびきびとした声とバタバタとした足音が、背中の上で交差する。
耳元で、聞きなれた、聞きなれすぎた息音が聞こえる。
「こーた……?」
声を出すと、私の体重を支えている腕が押しつぶしている下胸部と、包丁がささっている腹部が
連動して、凄まじい痛みが私を襲った。全身から脂汗が噴出し、顔が歪む。自分のものではない
ような呻き声が私の喉から漏れた。
「しゃべるな、今、引き……揚げる、から、な……!」
私の背中に押し当てられたぬくもりは、決してもう会うことはないと思っていた、こーたのもの
だった。


293 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/31(木) 00:15:14 ID:iHY9/w9g
教訓:ドラマを演じる時は、周りに気をつけるべし。

警察からの電話を受け、泣きながら悲壮な決意をして実験室を飛び出していくまでの私は、
当たり前だが、一緒にいた同期の篠原君と後輩の中浜君に行動の一部始終を見られていたのだ。
もちろん、電話でしゃべった内容も全部、聞かれていた
すっかり自分の世界に入っていたのだ、と思うと笑ってしまう。

こーたは私と同じ学部ではないくせに、私の友人・知人・同期・先輩後輩に所属教官に至るまで
すっかり仲良くなっていた。私の交友関係が狭いせいもあるが、あれは天性のものだろう。
よって、私の後輩である中浜君も、こーたとは仲がよかった。
おせっかいでもある彼は、私の行動にすっかり心配してしまい、こーたに電話をかけたのだ。
私が屋上からこーたに電話をしたのは、その時だった。
不振なそぶりをしていたという私からの電話は、割り込みをかけたくせに、取る間もなく切れた。
これで、こーたと中浜君の心配は最高潮に達したという。
こーたは自転車で全速力で実験棟へと向かった。信号を無視し、到着まで3分。よくも事故に
合わなかったものだ。
私が屋上へと向かったと割り出したのは篠原君と中浜君だ。
実験室から出た私がどちらへ行ったか、足音の方向から割り出し、資材搬入用のエレベーターの
階数が6階で止まっているのを見つけた。
この時点で、こーたが玄関先に到着。警察の制止に、事情を話す。警察もこの時点で、実験棟に
瑞希がいる可能性を知覚、警戒態勢をとる。何人かがこーたに同行。
エレベーターで6階に急行。二人と合流。人気がないことと、屋上への階段のロープが外され、
立ち入り禁止の看板が裏返っている不自然に気づく。
電子ロックのパスワードは、二人のうちのどちらかが知っていたのだろう。
扉を開けて、最初に目に入った光景は、外れかけた金網と、落ちそうになっている私達二人だった
という。

篠原君が言うには、こーたは「キャプテン翼」の若島津のようにすっ飛んで私をキャッチしたという。
私はあまり漫画を読まないので意味がわからないが、とにかくすごかったのだろう。
すでに屋上の縁から足が離れていた私を捨て身で受け止めたこーたの体もまた、屋上の縁を越えて
いた。そのこーたを、数人の警察官がつかんで、私ごと引きずり上げたのだという。
こうして、私は、生き残ってしまった。


294 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/31(木) 00:15:50 ID:iHY9/w9g
瑞希は、実験棟の横、隣りの棟との間のコンクリートの道に落ち、即死した。
伯父と伯母の死は、被疑者死亡のまま、送検されたという。
そして、私は何の罪にも問われず、こうして、日々をおくっている。
私は真実を言わなかった。
こーたが、そう、望んだから。

あの日、屋上でこーたは泣きながら血塗れの私を抱きしめ、耳元で嘆願したのだ。
水樹までいなくならないでくれ、一人にしないでくれ、と。
そして、警察に聞こえるように、泣きながら叫んだのだ。
「なんて馬鹿なことをしたんだ、自分で瑞希を説得したかったのはわかるけど、無謀だってわから
 なかったのか……!」
そう、確かに私が瑞希に刺されたのは事実だ。
でも、私が屋上に呼び出した行動には疑問が残るかもしれない。結局は、私も落ちるところだった
とはいえ、瑞希は死んでいる。ここは私の行動区域で、金網が外れたのも不自然だ。
だから、私に疑いがかかる可能性は、まだ残っていた。
いや、疑いもなにも……事実、私は瑞希を殺そうとしていたのだから、当然の帰結なのだ。
だから、私には、自分の行動を理屈にあうように正当化する必要があった。
瑞希を屋上に呼んだ理由は、『警察に自首するよう瑞希を説得するため、そして、信じられなくて
自分で彼女を問いただしたかった、そんな浅はかな気持ちから』だと。
そして、一連の行動は、『瑞希に刺され、金網に追い詰められたところで逃げようとしてなんとか
体勢を入れ替えたところ、金網が外れて二人とも体勢を崩し、落ちそうになってしまった』と。
その過程で、金網が緩んでいたのは、大学の管理のせいになってしまった。……本当に胸が痛む。


295 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/31(木) 00:16:27 ID:iHY9/w9g
実は、これに関しては、不思議なことがあった。
藤堂先輩……私と瑞希がエントランスで揉み合っていた時に助けてくれ、警察に通報してくれた
先輩……が私の言に沿った証言をしてくれたのだ。
数ヶ月ほど前にあった、ポスドクの自殺未遂騒ぎの名残かもしれないと。
そのポスドクは、皆に見つかる前に、何かしていたようだから、金網を外して死のうとしたのかも
しれないと。
しかし、私はそれが嘘であることを知っている。なぜなら、私がボルトを緩めるまで、それは
しっかりしまっていたのだから。
藤堂先輩が、何故嘘をついたのか。ただ単に、助けてくれただけなのか。私は、その理由が聞けず、
先輩も、語らなかった。


信じてもらえるかは、賭けだったが、拍子抜けするほどにあっさりと警察は私達の言うことを信じた。
前の事件の存在、私とこーたが白石夫妻殺人事件に無関係であったこと、警察に終始協力的だった
こと、事件直後の状況などから、私達は巻き込まれただけの被害者であると判断された。
そして、伯父と伯母を殺したのが『高崎瑞希』である……少なくとも『生きている方』ではないこと
も、確定した。
瑞希の手鞄の中から、二人を殺した毒物を入れた小瓶が見つかったのだ。
その手鞄及び小瓶についていた指紋は一種類であり、『生きている方』のものとは違っていたのだ
という。
一卵性双生児はDNAの螺旋にいたるまで、同じなくせに、指紋だけは少し違ってくるのだと、
初めて知った。それは、とても悲しい事実で、恐ろしい真実だった。



296 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/31(木) 00:17:05 ID:iHY9/w9g
私は間違っていた。瑞希もきっと、間違っていた。
私達はもうすっかり別人で、同じ人間ではなくなっていたのだ。いや、生まれたときから別人
だったのだ。
私は間違っていた。
私にも、瑞希にも、相手を殺す権利などなかったのだ。
どうして私達は、分かたれてしまったのだろう。母の中で、ミクロの卵として生を受けた一瞬は
私達は一つだったはずなのに。
私は間違っていた。
私の鏡に映るのは瑞希などではない、最初から私だったのだ。
私は間違っていた。
謝っても届かない。話しかけても応えない。永遠に赦されることはない。
瑞希は、私を憎んでいるだろうか。それもわからない。
私達は、違う人間だから。瑞希の気持ちを知ることは、できないのだ。
私は間違っていた。間違っていた、間違っていた!
だから私は、自分ではなく『妹』を殺した罪を背負い、アベルを殺したカインのように放浪するの
だろう。
永劫に。


297 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/31(木) 00:17:37 ID:iHY9/w9g
それが私の、最後に与えられた、罰。
それは絶望であり……希望でもあるのかも、しれない。
罰は、罰のためだけにあるのではない。その罪から人の心を救うために与えられた、赦しでも
あるのだから。


298 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/31(木) 00:18:11 ID:iHY9/w9g
秋が過ぎ、冬が過ぎていく。
私は大学を辞めることにした。先生は惜しんでくれ、就職の推薦をしてくれた。
明日から、私はこの家を出て行く。そして、こーたにはもう、なるべく会わないつもりだ。
法では裁かれなかったが、私の罪は消えない。でも、死ぬことも許されない。
あの日、浩太が私に言ったように、私の死はこーたを一人ぼっちにする。
こーたのために瑞希と水樹を殺すという私の決意は、間違いだったのだ。それは、やはりこーたを
傷つけることになる。両親を亡くした今、こーたには肉親の……姉の存在が必要なのだ。
でも、私がこーたの側にいれば、こーたをいつか傷つけてしまう。こーたに恋人ができることを、
私はきっと許せないから。
だから、離れる。姉弟が離れることなんて、世間にはよくあることだ。進学、就職。私達だって、
一度は私の進学で離れたのだ。
こーたに会えないことは、地獄の苦しみだろう。一生、彼の面影を抱き、時折耳に入る近況に焦がれ、
魂を削ってのたうちまわり、血反吐を吐くような思いで生きるだろう。
それが私の罰なのだ。
でも、それでもいい。こーたを傷つけないことが、私にできる最後の償い、最後の赦しなのだから。


299 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/31(木) 00:18:43 ID:iHY9/w9g
荷造りが終わった。
手伝ってくれたこーたが、いつの間にかソファーで眠っている。一休みのつもりが、本格的に
眠ってしまったのだろう。くすりと笑い、部屋から毛布を持ってきて、かける。
こーたの前に座って、頬を撫ぜた。
明日、私は出て行く。もう、こーたには、なるべく会わない。お姉さんはお仕事で忙しくて
弟には会えないのだ。
最初は頻繁に連絡をとるだろう。でも、そのうちお互いの生活が忙しくなり、新たな交友関係が
できて、そちらにかかりきりになる。
頻繁だった連絡は、週に一回、月に一回になり、最後には年に数回になって、年賀状だけのやり取り
になる。もう、私達には帰る実家もないのだから、会うとしたら、お盆の墓参りで、いつかこーたは
奥さんと子供を連れてくるようになる。私は数時間だけ一緒に過ごして、仕事が忙しいからすぐに
帰るだろう。次の年は仕事が忙しいからと別の日にする。あまり避けていては変だから、数年に一回
は一緒にすごして、その繰り返し。私のほうが年上だから、私が先に死ぬだろう。その時はきっと、
こーたが喪主をしてくれて……それで、おしまい。

涙が後から後から頬を伝った。全部納得して、決めた。迷いなどない。でも、悲しい。そうしたく
ないと思う自分が、どうしても消せない。
こーた。
どうして私達、姉弟だったのかな。
どうして私達、それを知らずに別々に育ったのかな。
どうして私、あなたに恋をしてしまったのだろう。
本当は、もっと一緒にいたかった。一緒に生きられるならば、世界全てを敵に回してもよかった。
守りたいという気持は嘘じゃなかったけど、全部が本当でもなかった。
本当は、全てを壊してもあなたを手に入れたかった。私を壊しても、あなたの側にいられるの
ならばよかった。それだけでよかった。それだけが望みだったのに。


300 :合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw :2008/01/31(木) 00:19:26 ID:iHY9/w9g
でも、あなただけは壊したくない。
だから、もうこれでおしまい。


こーたの手を握りしめる。だらんとした手をぎゅっと握り締める。
やすらかな寝顔を見つめる。規則的な寝息に聞き惚れる。
明日から、私は姉ではなくなる。だから、最後だから……。
私は、ゆっくりと顔を近づけ、キスをした。
初めて触れる浩太の唇は、柔らかくて、少しかさついていた。


瞬間、私の腕が強い力で引き寄せられた。





301 :合わせ鏡・エピローグ ◆GGVULrPJKw :2008/01/31(木) 00:20:14 ID:iHY9/w9g
「おーい、浩太じゃないか」
「あ、先輩!お久しぶりです」
「なんだよ、最近連絡も来ないじゃないか。白石姉がいなくなったらお見限りか?
 冷たいやつだなあ、お前も」
「すみません。そんなわけじゃないんですけど、専門が始まって、やっぱり慣れるのに精一杯
 で……そうだ、週末に、芋焼酎持って伺いますよ。先輩はバカルディでいいんで」
「どうせ一人で飲むつもりだろう、このうわばみが!」
「うわばみは先輩じゃないですか!」
春が過ぎ、初夏が来た。
中浜義明が、研究室の先輩の白石水樹とその従弟の白石浩太を巡る事件に、ほんの少し関わってから
半年が経った。
その事件は、白石水樹の双子の妹が浩太に恋して、ストーカー化したあげく、接近を両家族に
禁じられたところ逆上して、浩太の両親を殺し、白石水樹を殺してその罪をなすりつけようとした
あげく逆に死んでしまった、などという、まるでテレビの中でしか聞いたことがないような事件
だった。
もちろん、テレビでも放送されたが、タイミング良く、次の日に内閣を巻き込む大規模な汚職事件が
発覚し、幾人もの大臣が辞職、すったもんだの末、内閣総理大臣が辞職するという騒ぎになり、
世間の目がそちらにいってしまったため、あまり騒がれずに済んだ。
週刊誌から何度かインタビューが来たが、水樹も浩太も、叩いて埃の出る人間ではない。
無責任な記事もあったが、それも、すぐになくなった。


302 :合わせ鏡・エピローグ ◆GGVULrPJKw :2008/01/31(木) 00:21:51 ID:iHY9/w9g
その後白石水樹は研究室を去って就職し、今は筑波にいるらしい。
浩太も、それ以来研究棟には来なくなった。だから、この付近で見かけるのは半年振りくらいになる。
実際、自分の従姉でストーカーだった人間が死んだ場所に来たい人間などいないだろう。
両親も殺されたのだ。目の前で明るく笑っているこの青年の心の傷は、見えはしないが、きっと深い
に違いない。それでも彼は健気に生きている。
よく耐えている、と義明は同情した。

もしかしたら、それもきっと、やっと思いが叶ったからかもしれない。
浩太が従姉である白石水樹に恋してるのなんて、最初からバレバレだった。
浩太自身も、全く隠していなかった。むしろ、自分達に対しての牽制という意味合いもあったに
違いない。
工学部は男ばかりだ。そして、白石水樹は、身なりを構っていないとはいえ、そこそこ美人な部類
に入る。
とはいえ、水樹が恋愛に興味がなく、男に興味がない研究バカだということは4年間を通して、
既に周知の事実だったため(レズという噂がたったくらいだ)、自分達は彼女を女として意識する
段階などとうに過ぎていた。だから、浩太の行動はむしろ、格好のいじりの的となっただけだった。
浩太の気持ちを知らなかったのは水樹だけだろう。そして、水樹が今まで男に興味を持たなかったのは
自覚がないとしてもあったとしても、浩太がいたからなのだろうと推測が立ち、皆で納得したものだ。

あの事件の後、当然のように、あの二人は結ばれた。
そして、事情を知る者は全て、知らない者も全て、彼らを祝福した。


「で、どうなんだ?」
「なにがですか?」
「とぼけるなよ〜、白石姉とだよ〜。な、結婚はいつなんだ?やっと両思いになったんだから、
 本当は毎日でも会いたいんじゃないか?電話してるか?ちゃんと構ってやらないと逃げちゃう
 ぞぉ〜?」
真っ赤になる後輩を見て、義明はにやにや笑った。本格的な追及は、週末夜、酒を入れてからだな、
それこそ、夫婦生活に至るまで、じっくり、たっぷり、どっぷりと。などと思いながら。


303 :エピローグ・浩太 ◆GGVULrPJKw :2008/01/31(木) 00:23:03 ID:iHY9/w9g
白石浩太が水樹に恋をしたのは、中学生の時だった。
近くに住んでいて、比較的よく会うが、年齢が4つも上だから学校に同時に在籍したことはない。
でも、必ず先生は水樹を覚えていて、浩太にそれを言った。曰く、「我が校の誉れ」「秀才」と。
最初は、反感だった。でも、加奈子叔母と水樹と同居していた祖母が病気になり、その看病を
手伝うようになり、水樹を知っていった。
水樹と加奈子叔母の関係は、共依存だった。その当時、加奈子叔母はすっかり心身のバランスを
崩しており、祖母が病みついてからは、高校生の水樹が精神的に全てを支えていた。
最初はどうして逃げないのかと苛立ち、次には守りたいと思い、徐々に……大きな存在になって
いった。
それは、水樹が実の姉と知っても変わらなかった。
あの絶望の夜、浩太は一晩中考えて、決意した。
戸籍は従姉弟なのだ。だから結婚できる。
大人になって、社会に出て、生活できる力を身につけたら、父親と母親に反対されても、水樹と
結婚しよう。絶対に結婚しよう。そのためには、今は引き離されるわけにはいかないし、水樹に
嫌われるわけにはいかない。
そのために、両親に対して必死で演技をした。
そして、水樹に好かれるために、『いい男』になるべく努力した。
背を伸ばすために牛乳を吐くまで飲んで、骨の成長のために適度な運動をした。バカみたいだが、
当時の自分は『かっこいい男=背の高い男』だと思っていたのだ。まあ、報われたからよかったが。
そして、水樹につりあうべく勉強も一生懸命した。誰よりも優しくして、水樹のためになること
なら、なんでもした。


304 :エピローグ・浩太 ◆GGVULrPJKw :2008/01/31(木) 00:23:50 ID:iHY9/w9g
祖母が病みつき、死んだのが浩太が中学1年の春、加奈子が死んだのが、その秋だった。
睡眠薬を飲みすぎての、事故とも自殺とも言えない死に方。
葬式で、水樹は、糸の切れた人形のように、焦点の定まらない目で、壁によりかかっていた。
その姿を見て浩太は、水樹も加奈子と一緒に死んでしまうのではないかと恐れた。
だから、手を差し伸べて、「一緒に住まないか?」と言った。両親には了解をとっていなかった。
もし、両親が反対したら、自分が家を出て、一緒に住んでもいい、そう思った。
……身寄りのない水樹を両親が一人で住まわせるわけがないという計算も、どこかにはあったが。

そして、思ったとおり、母親を失った水樹は、浩太に依存した。
浩太はわかっている。
水樹は、祖母が病気になって浩太が来るようになった時から、恋心を抱くようになったと言っていた
が、あれほどまでに自分を思うようになったのは、彼女が自分に依存するようにしむけたからだと。
東京に来てからも、身なりにも言動にも常時気を使った。
女には近寄らず、男臭いクラブに入り、男連中とだけ遊んだ。人間関係にも、敵を作らないように
細心の注意を払った。水樹の周囲の人間と仲良くなり、外堀から埋めにかかった。
そして、水樹の生活を自分一色に染めた。例え今は弟だと思っていても、他の男と比類ない存在に
なって、周囲の圧力もあれば、全てを失いたくないがために、浩太の思いを受け入れるだろう
という打算があった。
そして、もし、水樹が自分を愛さなかったら……その時は、どんな手段でもとるつもりだった。
最終的には、どんな形であれ、水樹は自分を受け入れるだろうというヨミがあったのだ。そのために
打てるだけ、全ての手を打った。
でも、全て思い通りだったわけではない。水樹があれだけ罪の意識を抱いていたことも、自罰的
な性格だということも、よく考えればわかったはずなのに、思い至らなかった。
水樹が自分を愛していたことも確信できなかった。言い訳のようだが、それだけ水樹の演技は
完璧だったのだ。



305 :エピローグ・浩太 ◆GGVULrPJKw :2008/01/31(木) 00:24:40 ID:iHY9/w9g
浩太は思う。
あの事件は自分のせいだった。
瑞希をあまり強く拒まなかったのは、水樹に妬いて欲しかったからという気持ちが少しあったからだ。
そして、瑞希を両親に会わせたのも……間違いだった。


両親の死を自分は、悔やんでいる。悲しんでいる。そして、それだけとは言い切れない。
親はいずれ子より先に死ぬ。それが早まっただけだ。なんてどこかで思おうとしている自分がいる。
どうせ、両親が生きていても、水樹を自分のものにするつもりだった。反対される心配がなくなった
だけだ。なんて思っている自分がいる。
あれだけ愛してくれ、愛した両親だったのに。

でも、考えることはもうやめた。
あの事件は全部、瑞希のせいなのだ。そうだろう。殺したのも、狂ったのも、瑞希なのだから。
ただ、あの時、水樹が死ぬのならば、自分も死ぬつもりだった。
水樹を危険に晒してしまったこと、その手を汚させてしまったことだけは……耐え難く悔やんで
いる。自分に罪があるとしたら、水樹を苦しめてしまったことだけだ。


自分は潰されたりしない。生きている人間が勝ちなのだ。どんなに罪があったとしても前を向いて
生きていく『権利』がある。それがどんなに人でなしでも、構わない。
瑞希を破滅へ追いやる原因を作ったことも、結果、両親が死んだことも、もう、後悔しない。
水樹さえいればいい。
最後の罰からさえ赦された水樹が、自らの罪の意識に潰されても、自分の側にいてくれれば
それでいい。
真実などどうでもいい。死人には黙っていてもらおう。水樹の罪だって全て、引き受けてやる。
赦される必要などない。どうせ、自分達の恋は最初から罪なのだ。俺は、既に人でなしなのだ。
ならば、血だまりの上に立って、幸せになってみせる。
絶対に。


そうでなければ、全てが無駄になってしまう。苦しみも、悲しみも、後悔も罪も罰も死も全て。



306 :エピローグ・浩太 ◆GGVULrPJKw :2008/01/31(木) 00:25:28 ID:iHY9/w9g
携帯が鳴った。この着信音は、水樹からだ。浩太は優しい笑顔で携帯を開き、通話ボタンを押して
耳に押し当てる。
初夏の、さわやかな風が、キャンパスを吹き渡り、浩太の髪を揺らす。
学生達の笑顔と笑い声がはじけている。
鮮やかな新緑が、生命そのものの青い香りを彩る。
浩太は、笑いながら上を見上げた。金網は修復され、あの日よりも鮮やかな青い空と立体的な
白い雲が、広がっている。
今日も明日も、いい天気になるだろう。



そう、この世界がきっと、白石浩太の望んだ、幸福の形。



Aルート:合わせ鏡END


307 : ◆GGVULrPJKw :2008/01/31(木) 00:26:56 ID:iHY9/w9g
Aルートは以上です。
あまりヤンデレにならなかったのが悔やまれます。
読んでくださってありがとうございました。

308 :名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 00:39:49 ID:HgDryOuU
GJ!

309 :名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 00:44:32 ID:6Dq3WE8Y
GJっした!
やっぱりHAPPY ENDは良い!

310 :名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 02:49:27 ID:cdCVjzMK
GJ!!!!!

311 :名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 03:03:17 ID:7XwvWwgD
こーたもある意味ヤンデレだったとは…
GJです

312 :名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 12:03:58 ID:d6qCKSJK
>>307
( ;∀;)イイハナシダッタナー
幸せになった後の水樹のデレっぷりとかも読んでみたくなってしまった

313 :名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 16:11:19 ID:yQAlvXyE
GJ!水樹より浩太がヤンデレだったのが新鮮だった。
水樹が幸せになってよかったよ!

314 :名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 18:25:06 ID:ngOTYGja
GJ!

315 :名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 01:37:11 ID:D1CL6qux
なんとまあこーたまで…
でもとにかく幸せでよかった。GJ!
…あれ?じゃあBルートは…

316 :名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 16:19:53 ID:JapsdzXv
GJ
ということはBルートはBADEND?

317 :溶けない雪 ◆g8PxigjYm6 :2008/02/02(土) 15:38:41 ID:KeJEi2Pv
投下します
前回下げ忘れていたみたいで本当にすみませぬorz

318 :溶けない雪 ◆g8PxigjYm6 :2008/02/02(土) 15:40:48 ID:KeJEi2Pv
田村夏夢視点より


私が健二と初めて顔を合わせたのは、今から約5年前、私が小学5年生の時だ。
今思うと恥ずかしい事だが、当時の私には一人も友達というものがいなかった。
別にいじめられていたわけではない。
人付き合いが苦手だとか、嫌いだとかいう理由でもない。
ただ単純に、一人が好きだっただけだ。
何でそうだったのかは今でも解らない。
ただ、漠然と一人が良いとは思っていた。
一人になるという事は、周りから離れる事と同じ意味だ。
小学生の頃は、寄ってくる人達に冷たく当たって、近づかせない様にしていた。
悪口を言った。
無視した。
嫌がらせをした。
本当に、あの時の人達には悪い事をした、と今でも反省している。
私が一人で孤立していた事に気付いて、それをやめさせようとしただけだったのだから。
孤立していたのではなく、自分から離れていた。
私が人の呼びかけを、助けを拒んだのは、それだけの違いだっただけだ。

健二と初めて会ったのは、その頃の事だ。
健二は他にも数多くいた、私に近づこうとしてくる一人だった。
いつも笑いながら近づいてきて、私に対してよく話掛けていた。
その行動は、孤立していた私を周囲に溶け込ませようとしてきた人達と、同じ様な行動だった。
しかし、健二はそんな人達とは違うところがあった。
やっている事自体は、他の人達となんら変わりはなかった。
だが、何回無視をしても、何回汚い言葉を吐いても、
何回嫌な事をしても、健二は私に近づこうとするのを止めようとはしなかった。
他の人は、直ぐに諦めたというのに。
いつも私に、
「寂しくないの?」
そう、聞いてきた。
そう聞かれる度に、うっとうしいな、等と心中で呟いた。
自分から一人になりたいのだから、好きにしてくれればいい。
その頃の私は、そんな事をいつも健二が来る度に思っていた。
気付けば、一人が好きだという行動理由が、一人にならなければならない、と入れ替わっていた。

そんな自分を、よく分かっていたつもりになっていたのだろう。
自分はずっと、こんな感じで生きていくのだと、確信に似た予想を自分に立てていた。
しかし、そんな予想はただの勘違いだった。
あれほど分かっているつもりでいた未来は、簡単に只の錯覚だと思いしらされた。
何か劇的な変化ではない。
ただ、簡単な事に気付いたのだ。


319 :溶けない雪 ◆g8PxigjYm6 :2008/02/02(土) 15:51:04 ID:KeJEi2Pv
それは、5年生での運動会、昼休みの事だった。
珍しい事に、一日に数回私に話掛けてくるアイツが来なかったのだ。
まだ昼なのでこれから来るという事もある。
だけど、いつも通りなら昼までには5回位は私が居る所に来ている筈だ。
行事という事もあるし、団体行動ばかりで一人だけの行動が少なかいから、
今日は来ないのかもしれない。
その事に安堵し、両親と一緒に昼食を食べていた。
運動会なだけに、いつもより豪華な昼食なのは、よくある普通の事だろう。
唐揚げ、玉子焼き、エビフライ、パスタサラダetc……
母は料理が上手いので、オカズ達が分相応以上に美味しい。
父も美味しそうに食べている。
私はあまり食べない方なので、名残惜しいながらも昼食を終え、お手洗いに行く事にした。
トイレは小学校の本校舎にある1階を使用する事になっている。
1階のトイレを使おうとしたが、誰かが居る可能性があった。
理由としてはそんなところだ。
普通だったら使用が禁止されている、自分達の教室がある階のトイレを使う事にしたのは。
2階のトイレに到着し、お手洗いを済ませる。
その後、誰も居る気配がない2階の雰囲気が気に入ったせいだろうか。
なんとなしに一つ一つの教室を端から順に覗いていった。
端から順番に、誰も居ない教室を見回していく。

端から純に見回していき、遂に一番最後の教室――私が普段居る5年3組までたどり着いた。
いつもは、ガヤガヤ人が沢山居る教室。
それが静まりかえって、誰も存在していない教室の中身を想像し、知らず知らずの内に微笑む。
想像したせいもあってか、何かを欲する様に教室の中を覗き込む。
しかし、想像と外れ、教室の中に、いつも私に話掛けてくるアイツが居た。

その姿を見た途端、私は呆然と立ち尽くし、教室に居るアイツを眺めていた。
教室にアイツが居る。
ただそれだけの光景なのに、
私はしばらく物を考える事すら出来ないでいた。
そんな私の姿に気付いたのか、やや驚いた様な顔をしながらアイツが近づいてきた。
彼は私の立ち尽くした姿を見て、あろう事か
「どうしたの?」
そう言ってきた。
今日初めて聞いた彼の声。
何も考える事が出来なかった私は、その言葉で消えた。
だが、何かを考えようとした時には目の前の彼に問いかけていた。
「何でこんな所に居るの?」
それは、自分らしくもない震えた声だった。
まるで、想像している事の通りでないのを祈るような。
そんな震えだった。
私の声を聞いた彼は、バツが悪そうな顔をしながら頬をかいていた。
「んー………ここからの景色が好きだから眺めていたんだよ」


320 :溶けない雪 ◆g8PxigjYm6 :2008/02/02(土) 15:51:52 ID:KeJEi2Pv
その自分の言葉に納得した様に、彼は何度も頷く。
まるで、その理由もあるな、と自分で思い出した様な仕草をしていた。
その姿を見て、自分の想像通りだったのだと確信した。
「あのさ……だったら、なんでこんな所で昼食を食べていたの?」
「…………なんで、っていわれてもなぁ………」
そう、今目の前に居る彼はこの教室で昼食を食べていた。
その事を、机の上に置いてあるパンの袋が証明している。
彼以外、誰もいない教室。
文字通り誰も、親もいない教室。
弁当ではなくパンを、彼は食べていた。
普通だったら、私の様に親の弁当を食べながら、親と運動会の話をする。
そんな当たり前ともいえる光景が、ここにはなかった。
ここまで揃えば、小学生の私でも容易に想像出来る。



この子の親は、運動会に来ていないのだ。
仕事の関係なのかどうかは分からない。
分からないが、彼はそのお陰で独りだった。
目の前に居る彼は、この教室で孤独だったのだ。
外ではなく、隠れる様に校舎に居た彼。
彼はこの教室で、パンを食べていた。
親の手作りの弁当などではなく、大量生産されているパンを。
そんな彼を見て、私は羨ましいとは思えなかった。
自分が望んでいたものが、目の前にある。
なのに、それを憧れることも、そうなりたいとも思わなかった。


自分が憧れた独りというものは、本当は憧れる様なものではなかったのだと。
なる時には本人の意思に関係なく、回避出来ないようなものなのだと、
気づいてしまったから。
自分が憧れていたものの正体を知ってしまって、
また呆然と立ち尽くしてしまいそうになった。
こんなにも虚しいものを求めていた自分が、一番虚しかった。

だけど、そんな自分の心情は無視した。
無視して、目の前の彼の手を掴む。
私にはやるべき事がある。
それを理解した上での行動だった。
いきなり手をとられた事に驚いたのか、
今度は彼が、さっきの私の様に呆然としていた。
しかし、そんな彼の様子も私は無視して、手を引っ張りながら教室を出た。
自分が引っ張られているという事に気付いたのか
「ぇ…ちょっと、どこいくのさ」
そう私に疑問を投げかけて、彼は足を止めた。
引っ張りながら教室までは出られたが、彼が立ち止まっていてはここから先には進めない。


321 :溶けない雪 ◆g8PxigjYm6 :2008/02/02(土) 15:52:47 ID:KeJEi2Pv
男子1人の体重を引っ張る事なんて、いくら運動神経が良い私とはいえ、さすがに無理がある。
立ち止まっていると、昼休みが終わってしまいそうな焦りがあったのか、
私はそんな彼に対して怒鳴っていた。
「ついて来れば分かるから大人しくしてなさいよ!!」
なんで自分が怒鳴られたのか分からないのか、
いつもと態度が違う私を見てなのかは分からないが、また彼は呆然とした。
何故そうした態度をとったのか、分からない。
だけど、そんな事はどうでもいい。
彼を連れていくのが、私が今、やるべき事だ。
彼を引っ張りながら階段を降り、少し長めの廊下を歩き、校舎の玄関まで着いた。
そこまで来た時、私が外に行こうとしているのに気がついたのか、
繋いだ手を通して、彼がビクッ、と怯えたのを感じとった。
そんな反応も、彼の手を強く握り、無視した。
玄関を出て外に出る。昼休みが始まってから大して時間が経っていないためか、
昼食を食べている人は沢山居る。
親と子で。
そんな風景を見て思わず足を止めるも、直ぐに歩きだす。
彼の足取りが段々重くなっていくのが分かる。
凄く引っ張るのが困難になってきた。
だが、そんな重い足取りごと彼を引っ張って、引っ張って、ようやく着いた。


少し息を切らしながら帰ってきた娘を見て、母や父も少し驚いた顔をしていた。
それも無理はない。
今まで、私が同い年位の子を、両親達の所に連れてきた事などないからだ。
しかし、そんな両親の反応も今ではどうでもいい。
私は、彼の手を放し、両親の前に立たせた。
彼は、私が何をしようとしているのか全く分からない、というような顔をしていた。
「私またお腹空いちゃって、また昼食を食べたくなったの。
それで、この子も少しお腹が空いちゃったみたいだから、一緒にそのお弁当を食べてもいいかな?」
「えっ?」
私が両親に言い終えた途端に、彼は疑問の声を上げた。
両親の方は、私の言葉を聞き、なんとなく事情を察した様だった。
「そういう事なら二人共食べるといい。
今日は母さんが張り切っちゃったみたいで、まだ沢山残っているからね」
「別に張り切ってなんかいません。
いつもこんな感じでしょ?」
父は簡単に承諾し、母は見栄をはった。
その言葉を聞いて、彼はまた震えていた様だった。
何で震えたのかは私には分からない。
だけど、自分がやった事は決して、間違ってはいない事を感じた。
「それで―――その子は誰なの?」
至極当然な質問を、母は私に聞いた。
本人に聞かなかったのは、母なりの配慮なのだろう。
「この子は……」
その問いに、私は返答に困った。


322 :溶けない雪 ◆g8PxigjYm6 :2008/02/02(土) 15:54:44 ID:KeJEi2Pv
彼は−
彼は−
彼は−
彼は−
彼は−
馬鹿みたいに、彼は−の続きの言葉を考える。
考えているうちに、ある言葉が唐突にうかんだ。
こう言ってしまっていいのかは分からない。
彼とはまだ仲が良いわけでもない。
だけど私はその言葉を言った。
迷いを振り切って、言った。


「私の友達だよ」

この日、私に初めての友達が出来た。






投下終了です 
まだヤンでいないわけですが
「こいつ場違いじゃねーの?」
みたいなぬるい目で見守って下さい

323 :名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 19:03:38 ID:dInHY9MT
>>322

病みまで長くなってもそれはそれで
病む時が楽しみになるしおk

324 :名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 02:26:16 ID:wTPQaitB
GJ!!病む過程が楽しみだ

325 :名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 19:03:57 ID:rmBO8C/b
今日は節分。
どこのうちも豆をまいて遊んでやがる。平和なもんだ。
だが、俺は知っている。
豆をまいたところで逃げていかない鬼がいることを。
その鬼こそが真の鬼であることを。
その鬼の姿は人であることを。
その鬼はありふれた平凡の中に潜んでいることを。
そして









その鬼が後ろにいることを。


なんちゃって。つまらないけどネタです

326 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/04(月) 05:59:08 ID:ryJwY4ic
投下します。
世は節分でも、こっちの話はクリスマス編です。

327 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/04(月) 06:00:35 ID:ryJwY4ic
*****
  
「それじゃあ、行ってきます」
 行かないでくれ、頼むから。
 あの子を止めたいのに。止めたいのに俺の四肢を縛り付ける縄が邪魔で動けない。
 俺はいったい何のために自分を鍛えよう、強くなろう、と思ったんだ?
 喧嘩に強くなりたいから? 
 他の誰かよりも優れているという自信を付けたいから?
 そんな理由じゃなかっただろう。
 大事な人を守り、ずっと一緒に暮らしたい。そう思ったから武道を始めたはずだ。
 体を壊しかねない鍛錬をして、血と涙で彩られた日々を送った末、俺の望みは叶えられた。
 でも、それはずっと続かなかった。

 仕方のないことなんだ、あなたは何も悪くない、とあいつは言った。
 俺はそんなことを言って欲しくなかった。
 最期だからこそ、恨み言を残して欲しかった。
 これから、残されたあの子と二人きりで生きていかなければいけない俺を戒める言葉を。
 だらしなくて、武道以外ろくなことができない俺を、あいつは一度も責めなかった。
 間違ったことをしたときはいつだって優しく諭してくれた。
 愛していた。他の何よりも強い絶対の自信を持って、あいつを愛していたと口にできる。
 それなのに俺はあいつを裏切って、別の女と一緒になってしまった。
 ただ、あいつが居ない寂しさに耐えきれなかったんだ。
 俺はあの子とを守るために、あいつの分もしっかりしなければいけなかったというのに、
結局他の拠り所を見つけ、甘えてしまった。
 だから、あいつに恨まれても、そしてあいつと似た顔に成長したあの子に去られても、文句を言えない。

 ――でも、やっぱり嫌なんだ。もう失いたくない。

「う、ううぅ……!」
 拳を固め、腕に意識を集中させる。
 俺に縄抜けなんかできない。だから力ずくで引きちぎるしかない。
 縄が皮膚に強く食い込んでいる。皮膚が削れ、肉が擦れるのが分かった。
 だけど、諦めない。諦めてたまるものか。
 あの子がどこぞの男の毒牙にかかるかもしれないのに、何もせず見過ごすわけにはいかない。
「ええ、行ってらっしゃい」
 扉の向こうから声が聞こえた。俺を縛り付けた張本人。
 縛られる理由など俺にはない。絶対にない。
 過保護? 馬鹿なことを言うな。自分の子供を心配しない親がいるものか。
「……お父さん、行ってきます」
 ちくしょう。猿ぐつわを噛まされているから扉の向こうにいる娘に返事できない。
 あと五分、いや三分あれば噛みきれる。
 でもそれだけあれば、あの子は家から出て行ってしまう。
 そして、俺の知らない誰かと一緒に今日の夜を過ごすのだろう。
 許せることではない。まだあの子は高校生なんだ。嫁入り前の大事な体なんだ。
 相手は、最近よく話題に上るあの男か?


328 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/04(月) 06:02:00 ID:ryJwY4ic
「ぐ、ぎ、ぐうぅぅぅぅ!」
 お前さえ居なければ、娘はもっと道場に来てくれるのに!
 今では平日に一時間、土曜日は二時間だけしか居てくれない。
 日曜日と祝日なんか顔も出してくれないんだぞ。
 それなのに技が鈍るどころか数段鋭くなっているという事実が、なおさら俺を苛立たせる。
 一体どんな魔法を使ったんだ。恋の魔法、か? ――馬鹿を言うんじゃねえ!
「気をつけてね。どこかに泊まるときは」
「……ちゃんとお父さんの携帯に電話します。それじゃあ」
 無情にも玄関の閉まる音がした。
 間に合わなかった。もう終わりだ。娘が傷物にされてしまう。

 閉ざされていた部屋のドアが開いた。
 入ってきたのは妻。扉を閉めると同時にため息を一つ吐く。
「相変わらずですわね、あの子は。
 やっぱり、クリスマスイブだからって変わったりしませんよね」
「ぐうぅ! むう、ぅう!」
 早く縄を解け! 今ならまだ間に合う!
「だめですよ。今日は家に居てもらいます。
 せっかくお堅いあの子が自分からデートに誘おうとしているんですから。
 どんな夜を過ごすのでしょうね。きっと若者らしく、ロマンチックな雰囲気で……」
 させるものか! 結婚するまであの子は清いままでいるんだ!
 一層強くあがくと、妻がもう一枚猿ぐつわを噛ましてきた。
 手足に巻いてある緩んだ縄まできつく縛り付けてきた。
「あの子は、多分夕方頃に帰ってくるでしょうから、あなたにはそれまでそのままで過ごしてもらいます。
 きっと、そっとしてあげるのがいいんですよ。だってあんなに嬉しそうな顔は久しぶりですよ。
 優花さんが居なくなってから、あの子はいつも表情に陰がありましたけど、今は心から笑っている感じです。
 うまくいくといいですね。あの子と、クラスメイトの男の子」
 それは、確かにそうだ。
 優花――俺にとって最初の妻――が病気で亡くなって、娘の元気はしおれてしまった。
 目の前にいる妻は後妻だ。
 娘は二人目の母親には懐かなかった。自分から避けているようにも見て取れる。
 優花にするように甘えたりはしないだろうとは思っていたが、まさか他人行儀に接するとは思わなかった。
 再婚してからは、俺に対してもどこか冷めた対応をするようになった。
 まるで娘の体を通して、優花が俺を責めているようにも感じられた。
 
 その態度が明らかに変わったのは一ヶ月か二ヶ月ぐらい前のこと。
 高校に入った頃から少しずつ態度は温かくなってきていたが、近頃は太陽みたいになっている。
 多分そのころから例の男と付き合いだしたのだろう。
 娘の心の支えになってくれたのは感謝したい。だが、淫らな行為をするのは絶対に許さん。
 心配だ。無理矢理行為を強要されたりしないだろうか。
 本当は騙されているんじゃないのか? 
 どこかの変態どもに目を付けられたりしていないか?
 もしかして今頃、若い女をさらう犯罪組織に捕らえられたりしていないだろうか?
 ああ、もう! 早く駆けつけたい! 娘に近づく汚らわしい奴らを一掃したい!
 心配だ、心配だ、心配だ、心配だ、心配だ!

「いんぅあいあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーー!」


329 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/04(月) 06:03:22 ID:ryJwY4ic
*****

 二学期最期の一日が終わった本日はクリスマスイブである。
 高校生はまだ親に養ってもらっている者たちがほとんどだ。社会的に見れば子供だ。
 しかし子供であろうがなかろうが、色めき立つのは何歳になっても変わらない。
 同じクラスの西田君は遊びに誘ってきた五人ほどの女子にもみくちゃにされていた。
 争いが終わって最後に立っていたのは、凄絶な笑みを浮かべている三越さん。
 気絶していた西田君は彼女に引きずられてどこかへと連れて行かれた。
 我がクラスの担任であり、図書館に住まう沈黙の女神として一部に大受けの篤子先生は相変わらずで、
通信簿を渡した後で今年最後の挨拶もそこそこに職員室へ向かい、湯飲み片手に文庫本を読んでいた。
 高橋はそんな担任になんと言って声をかけるべきか迷い、職員室前の廊下と男子トイレを行ったり来たり、
ときどき人や壁にぶつかって頭を下げたり、フルカラーのサイレント映画を一人で演じていた。
 結局高橋が篤子女史を誘えたのか、観察に飽きた俺にはわからない。

 早く帰りたい気分だったのだ。
 葉月さんに声をかけることもできなかった自分の情けなさに落胆していた。
 葉月さんとは文化祭以来、話を何度かしているものの進展はない。
 むしろ、機会は減っている。俺が積極的に話そうとしないから。
 花火の頬を切りつけ、誰かを傷つけたという過去の記憶が甦ってからそうなっている。
 そのときの真相があれから何一つ明らかになっていない。
 妹は昔のことをあまり覚えていない。その頃はまだ小さかったからだろう。
 父と母に聞いてもあてになりそうな答えは返ってこなかった。弟に聞いても同じ。
 深く追求したら教えてくれるだろう。弟はともかく、両親は。
 一言、俺は誰を刺したんだ、と聞くだけでいい。
 でも、聞く勇気が俺にはない。

 怖い。
 もしあの記憶が真実で、誰かに取り返しのつかない傷を負わせ、人生を狂わせてしまったのではないかと思うと、
目の前がが真っ暗になって何もすることができなくなる。
 すでに花火の頬に消えない傷を付けてしまっているのだから、十分にあり得る。
 花火には二度と近づくなと言われた。それは罪を償うこともできないということ。
 贖罪すらできないなら、罪人はどうすれば赦されるのだろう。
 このまま、ずっと忘れた振りを続けていけたらいいのかもしれないが、俺にそんな真似はできそうにない。
 いつも心の中で罪の意識を抱えた状態で生きていくことになる。
 いくら考えてもいいやり方が見つからない。袋小路の中に、今の俺はいる。


330 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/04(月) 06:04:40 ID:ryJwY4ic
 布団の上に寝転がり天井を見上げていると、自室のドアがノックされた。
 父と母は朝からどこかへ出かけている。妹はまだ学校から帰ってきていない。
 ドアの向こうにいるのが弟だと予測し、俺は言った。
「何の用だ? 弟」
「あ、いたんだ? ちょっと入るね」
 ドアが開く。顔を出したのはやはり弟。
 しかし今日のこいつはひと味違う。
 かっこよさの数値が跳ね上がりそうな服を着て、めかし込んでいる。
「その格好はどうしたんだ――って、そっか。今から出かけるのか」
「うん。たぶん帰りは遅くなると思う。だからご飯は用意しなくていいよ」
「そうか」
「用事はそれだけ。……なんだけど、さ」
「ん? なんだ?」
 言いにくそうに目を伏せている。
 いきなり表情を暗くするな。こちとらさっきまでブルーになっていたんだ。
 もしかして俺が何かしたんじゃないか、とか心配になるだろうが。
「その、兄さんはどこにも行かないのかな、と聞こうと思って」
「なんだ、そんなことか。いちいち俺のことを気にかけるなよ。
 お前はお前で楽しんできたらいい。俺は今年も例年通りだ」
「ずっと家にいるってこと、だよね?」
「ま、そういうことだ」
「それならさ……僕と一緒に」
「断る」
 赤と白に彩られ、ネオンの光を振りまいているクリスマスの町並みを弟と歩くのが嫌なわけではない。
 もちろんそんなのは御免こうむりたい訳だが、弟がどうしてもと言うなら乗ってやってもいい。
 が、弟が今のように誘ってきたのには隠された真意がある。
「晩ご飯、おごるよ?」
「いらん。今日は食べる気分じゃない。そもそも今日みたいな日に外で食えると思ってるのか」
「予約してるから大丈夫」
「どうせ、お前と女の子の、二人分だろ」
「ううん。ちゃんと三人で予約してるから……って、あ…………」
 はい、バレた。
 弟が何を仕込んでいるか、読めない俺ではない。
「予約してくれたのに悪いのだが、行かないぞ」
「……どうしても?」
「どうしてもだ」
「そう……わかった。じゃあ、行ってくるね」
 そう言って弟は部屋から出て、ゆっくりとドアを閉めた。
 足音が玄関の方へ向かっていき、少しの間を置いて玄関の開く音がした。


331 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/04(月) 06:05:47 ID:ryJwY4ic
 ここでようやく、俺はため息をはき出せた。
「どんな顔をしてあいつに会え、って言うんだよ……」
 弟がしたかったのは、俺と花火を仲直りさせること。
 文化祭で数年ぶりに再会した俺と花火は、お互いに目頭の熱くなるような感動を覚えなかった。
 俺に罪の意識を思い出させ、花火に熟成された憎悪を表出させるというマイナスの結果しかもたらさなかった。
 弟はそれがわかっていたから、俺と花火を会わせまいとしていたのだろう。
 その努力を無駄にしてしまった俺は馬鹿だ。
 きっと弟は、俺と花火、二人ともに気を遣っていたのだ。
 俺に昔の出来事を思い出させないために。
 花火にこれまで通り穏やかに過ごしてもらうために。
 何も知らなかったとはいえ、俺のやったことはあまりにうかつだった。
 弟が居れば、確かに花火と話し合いをすることができるだろう。
 だけど、花火の俺に対する憎しみは、弟の顔に免じて許せるレベルのものなのか?

 ――そうは見えない。
 顔に目立つ大きな傷を付けられたというのは、男ならともかく、女にとっては大きな損失だ。
 花火が一見して不良のような容姿をしているのは、頬の傷と無関係ではないだろう。
 きっとあの傷を見たら、初対面の人間なら引いてしまう。誤解をする。
 誤解されるぐらいなら、と考えて人と関わらなくなり、そしていつの間にか孤立していき、
仲のいい人間が弟だけになったとしても、何の不自然もない。
 そんなあいつに俺がしてやれることは……きっと、何もない。
 花火は俺に何かを望んでいない。顔も見たいと思っていない。
「それでも、いいのかもな」
 文化祭で再会する以前のように無関係の態度を貫いていけばいい。
 何年か経って、もし弟と花火が一緒に暮らすようになっても放っておけばいい。
 そうだよ。再会する前の状態に戻っただけさ。
 別に何もおかしくないじゃないか。
 近くに居ても一言も話したことのないやつだって、学校には居る。
 そのうちの一人が花火だったとして、何が悪い?
 悪くない。何も悪くない。
 もう俺は最悪のことをしてしまっているんだ。
 なら、それ以上傷を深くしないよう努めるのが、やるべきことだろう。
 下手に触れてしまってはいけないんだ。

 本当は、こんなことを考えている時点で放っておけてないんだけど。
 もう一遍、記憶喪失にでもなってくれたらいいのにな。


332 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/04(月) 06:07:30 ID:ryJwY4ic
*****

 考え事をしていたら、どうやら眠ってしまっていたらしい。
 部屋の中は真っ暗。カーテンは常に閉めっぱなしになっているが、隙間から明かりが漏れないところから見るに、
すでに夕方になってしまったようだ。
 今、何時だ?
 蛍光灯の明かりを点けるため、天井から垂れている紐を手探りで探す。
「ん、と……お、これか」
 手の中に紐の感触があらわれた。紐を握り、下へ向けて一回引く。
 点灯管が輝き、蛍光灯が三度瞬き、部屋中が照らされる。
 机の上に置いていた置き時計が六時半を指していることを確認した。
 弟にはああ言ったが、やはり腹が減っている。
 そういや、昼飯も食ってなかったっけ、今日は。朝飯、食ったかな……?
 いいや。今から三食分摂るつもりで晩飯を食べることにしよう。
 でも、冷蔵庫の中に上手いこと残り物があるだろうか。
 今日はスーパーなんか混むだろうし、買い物には行きたくない。
 レストランにて一人で食べるのに抵抗はないが、まず座れまい。
 とすると、コンビニか。めぼしいものが残ってたらいいが。

 財布をポケットに突っ込み、コートを羽織る。
 部屋の明かりを点けっぱなしにしたままドアを開け、玄関へ向かう。
 ふむん? 玄関マットの上に何か転がっている。
 結構大きい。人間サイズ。毛布か布団が丸まっているようにも見える。
 なんだろう。サンタがやってきてプレゼントでも置いていったのか? 
 それとも余りの激務で疲れ果てたか、仕事をボイコットするかしたサンタが上がり込んだか?
 おそるおそる、玄関の明かりを点ける。すると、そこにいた人物の正体が判明した。
「うぅ……お兄ちゃん? 帰って、きた……やっと! お兄ちゃんっ!」
 転がっていたのは妹だった。そして、どういうわけか制服姿だった。
 どうやら俺が弟だと勘違いしているらしく、いきなり顔も見ずに抱きついてきた。
「待ってたんだよ、私。帰ってきてからずっと、お兄ちゃんが来るまでここで待ってようって決めてたんだ。
 でも、遅いよ。寒いし、暗いし。だから、暖めてくれると嬉しいなぁ?」
 そうかそうか。よし、お兄さんで良ければ――――って、違うだろ。
「あー……妹。ちょっと顔を上げてくれないか?」
「あれ? お兄ちゃん、風邪でも引いちゃった? なんだかいつもより声が低いよ?
 それにいつもと匂いが違うし」
 中学三年生の女の子が、匂いがどうとか言うんじゃない。
 まあ、この妹ならそれぐらい嗅ぎ分けがつくだろうけどさ。
「ねえ、どうして今日は頭を撫でてくれないの?
 私がこうしたら、いつもやめてくれ、って言って撫でてくれるのに。
 もしかして、今日はずっと抱きついててもいいの? クリスマスプレゼント?」
 そんなことしてやがったのか。妹がこうなったのに弟が一枚噛んでいるという疑いが浮上してきた。
 妹は股間のブツに触れることなく頬ずりをしてくる。
 この状況は俺にとってレアそのものだが、俺はシスコンではないのだ。
 されても別に嬉しくなんかない。……うん、目が潤んだりしていないし。
 早く妹を振り解こう。これ以上続けていたら妹に悪い。


333 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/04(月) 06:09:18 ID:ryJwY4ic
 咳払いをしてから、弟の口調を真似して優しく声をかける。
「あー……あのさ。僕の顔をちょっと見てくれない?」
「どうして?」
「何ででも。ていうか、早く見て欲しいな、なんて」
「変なお兄ちゃん。いいよ、私は毎日毎時間毎分毎秒見続けても構わ、な……い…………んだ、から?」
 顔を上げたまでは普段通りであったが、俺の顔を見た途端に少しずつ声が小さくなっていった。
 なんと言ったものか。今の妹の顔を例えるなら、クリスマスプレゼントはトリコロールカラーで塗装された
ロボットのプラモデルを買ってきてほしいと父親に頼んだものの、買って来られたものをよく見たら、
「これじゃない!」と怒鳴りたくなるような代物だった時の顔、とでも言おうか
 うむ。妹が待ち望んでいたのは弟だったが、実際に現れたのは俺だったりするところが似ている。
「ふぁ、ふぁ…………」
 妹は俺の顔を見つめたまま呟きだした。
 顎は小さく震えている。たぶんそれは寒さのせいではあるまい。
 今日は一日中ずっと快晴らしい。きっとこの辺りの空にも星が輝くであろう。
 クリスマスに雪が降るとロマンチックな気分になるという。
 でも、クリスマスには雪の白とは別にもう一色、ふさわしい色がある。
 すなわち、赤。夕焼けの赤、トマトの赤、血の赤。
 白と赤は慶事ののしなんかにも使われている。いいイメージを抱かせる組み合わせなのだろう。
 でも、どうして今の妹を見ていると悪い意味での赤を連想してしまうのだろうね?

「ふぁ、き……」
「ふぁ、き?」
 妹の呟きはもはや理解不能の域にまで達していた。
 跪いた状態から立ち上がると、俺と向き合った。顔は伏せたまま。そして拳は固められたまま。
 右と左、いったいどちらから暴力が飛んでくるのかと俺は待ちかまえた。当然、反応して避けるため。
「ふぁ……ファ、ファ……っ!」
 呟きに怒気が混じっていく。
 ああこれは一発で済むことはないだろうな、と冷静な部分が判断した。
 説得に入る。
「落ち着いて聞け。弟は帰ってきてからどこかに出かけていて、家にいないんだ。
 そして何よりさっき俺を弟と勘違いしたのはお前なわけで、俺は何も悪くないというか、
 その拳を早く緩めてくれると嬉しいななんてお兄さんは思うわけで――――」
「このバカ! 妹に欲情する変態兄! 妹に抱きつかれて喜んでんじゃないわよ!
 何なのよその嬉しそうな顔はっ! ファッキン! ファッキン! ふぁあぁぁぁーーっきん!」
 下品な横文字で三回罵倒された後、半身をずらしてからの回し蹴りをお見舞いされた。
 スリッパのつま先にこめかみを貫かれ、俺の脳は激しく揺さぶられた。
 立つこともままならない。俺は膝を着いた後、前のめりに倒れた。
 すると何か柔らかいものに顔が触れた。ぼやけた視界ではそれがなんなのか確認できない。
「なっ! ちょ……どこ触って……や…………」
 妹が何か言っている。頭上から聞こえてくる。
 そうか、この体は妹か。つまり俺は妹の体のどこかに顔を当てている、と。
 でもこのアクシデントが起こったのは俺のせいではない。妹が蹴った結果だ。
 よって、俺は悪くない。顔は動かさない。というか、動けないし。
「ん……この……、いつまでそんなとこに触ってんのよ! そこはまだお兄ちゃんにも触られてないのに!
 サノバビッチ! このっ、さのばびっちーーっ!」
 今度は後ろへ突き飛ばされた。後頭部が床をしたたかに打ち付けた。
 いい感じで記憶喪失になれそうな一撃だった。
 吐き気を催していた気分が、倒れているのと激痛のおかげで覚めていく。
 最近の中学校では嫌いな相手を世界的にポピュラーな言語で罵倒するのが流行っているのだろうか。
 なんてことを考えつつ、俺は目を閉じ、なにかやばそうな単語を吐き捨てて家を飛び出していく妹を見送った。
 正確には放っておいた。


334 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/04(月) 06:13:05 ID:ryJwY4ic
  
 妹が飛び出していってから数分。
 目眩は少しずつ覚めていき、開け放たれた玄関の扉から吹き込んでくる風が身にしみ始めていた。
 体を起こす。少しばかり鼻の奥が詰まった感じを覚えるが、それ以外は回復していた。
 妹は弟を追っていったと思われる。それから一体どうするのかは知らない。
 急いで出て行ったから、何も持っていないだろう。少なくとも凶器は用意していないはず。
 そもそも俺は弟が出かけたと言っただけだ。花火のことは喋っていない。
 しかし妹のことだ。クリスマスイブに出かけていったという事実がどういうことなのか分からないわけがない。
 妹は弟のファンクラブが存在するという事実を知っている。俺が教えたから。
 そして思ったのだろう。弟に近づく女が確実に存在するということに。
 加えて、今日のようなカップルにふさわしいイベントの日に、弟に遊ぶ相手がいることにも気づいた。
 果たして、家に帰ってきてから弟は妹にどんな言い訳をするのだろうか。
 以前、ファンクラブのことを俺がばらしたときには、そんな人たちはいないよ、の一点張りだった。
 しかし今回はそうは行くまい。
 だって、一人で遊びに行った、では苦しいし、男友達と一緒に遊んでいた、でも無理がある。
 たとえそれが事実だったとしても、妹は納得すまい。
 頑張れ、弟。女の子との修羅場をくぐり抜けてこそプレイボーイだ。
 俺はいつもお前を見守っているから。
 お前の修羅場スキルが高まっていくことを俺は心から望んでいるよ。

 玄関のドアに鍵をかけ、コートのポケットに手を突っ込んだままコンビニへ向かう。
 外は肌を刺すような冷えっぷりであった。首元やズボンの裾から入り込む風がやっかいでたまらない。
 こんな季節でもミニスカートを穿いて外を出歩く女性達の根性は感心すべきだ。
 俺の通う高校の女生徒は登校時にジャージを穿いているが、やはり中には制服のままの人もいる。
 現在確認しているところでは、葉月さん、弟と同じクラスの女子、あと花火もそう。番外として妹も含もうか。
 弟関連の女子については言うまでもないが、それでもあえて言うなら、弟に女の魅力をアピールするため、ということだ。
 葉月さんについては……弟は関係ないのかな。
「やっぱり、俺……か」
 俺のために葉月さんが寒い中でもスカートを穿いていると思うと、嬉しくなる。
 まだ俺は葉月さんにちゃんとした告白の返事を返していない。保留の状態だ。
 以前――文化祭の前まで葉月さんに返事ができなかったのは、自分の気持ちに迷いがあったからだ。

 本当に俺は葉月さんのことが好きなのか? 
 うん、好きだ。性格もいいし、美人だし、俺のことをいろいろ構ってくれる。
 好いているんだけど、そこで混乱してしまう。
 そもそも、付き合いたいって、どういう感じなんだ?
 それって、ずっと一緒にいたいから恋人関係になりたいってことだろう。
 じゃあ、親友と恋人、一体どこが違う?
 高橋は、数字でいうところのゼロでただの友達、イチで親友、という基準とすると、好感度を四捨五入すればイチになるため、親友だ。
 あいつとずっと遊ぶなどごめんだが、他の知り合いよりは無言の間を苦しく感じない。
 暇で暇でしょうがないときに高橋のおごりなら一日中遊んでやってもいいくらい。
 葉月さんは高橋と違い、こっちから遊びに誘いたい。当然、俺が全額持つ。
 この違いが親友と恋人の境目――――ではないんだろうな。
 昔、中学時代に好きだった女の子。あの子に対して、俺はもっと積極的な気持ちを向けていた。
 なるべく目を引きたくて髪型を変えたり、毛抜きを使って眉毛を整えたりした。
 席替えの時は隣か後ろの席になりたかった。近くであっても前の席だけは嫌だった。自分の目であの子を見たかったから。
 そんな日々を過ごしているうちに、あの子から呼び出され、付き合って欲しいと言われた。
 そして一ヶ月経つか経たないかのうちに、あの子は本性を現して俺を振った。
 結果はともかく、あの子に向けていた感情こそが異性に抱く好意、というものだろう。
 あの時のような好意を葉月さんに抱いているかというと、否だ。
 あそこまで今の俺は夢中になっていない。
 こんな半端な気持ちで告白なんてできるわけがない。


335 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/04(月) 06:14:57 ID:ryJwY4ic
 文化祭が終わってからは、花火との一件もあり、積極的に近づくことすら難しくなった。
 罪の意識が、お前に葉月さんはふさわしくない、とささやいてくる。
 その言葉に翻弄されているのは事実だ。半端な気持ちと、罪の意識が俺の思考をいつも止める。
 今こうして歩いているように、淡々と歩を進めることができないのだ。

 家から一番近い場所にあるコンビニの光が見えてきた。
 首都圏では成人が歩いて五分かかる距離を空けてコンビニが建っているというが、本当なのだろうか。
 家を出て、住宅街に入り組んでいる路地を歩いて、車の通りが頻繁にある国道沿いを歩き、
行く手をさえぎるかのように存在する坂道を上らなければコンビニに行けない俺にとっては眉唾物の説だ。
 時間的には、急いで二十分少々、ゆっくりなら三十分はかかる距離。
 スーパーはそれよりもう少し遠くにある。いつもこれでは買い物に行くのも億劫になる。
 住んでいるところは市町村の区分のうちでは一番大きい市である。
 しかし上手いこと、商店街を安全過ぎる圏まで避けるかたちで家が建っているので、現状に甘んじている。
 楽をするために原付の免許が欲しい、と考えたこともある。
 だが、免許をとることはできても肝心の単車を買うことができそうにない。
 クラスにいるバイク好きの中野君は、三万円で中古を買った、と言っていた。
 それならなんとか俺でも買えるな、と思ったのも束の間、続けて中野君は、新車なら二十万近くするんだけどね、と言ったのだ。
 どうやらバイクというものは俺の想像以上に高価なものであるらしい。
 というわけで、買い物を楽にする計画は敢え無く断念することになった。
 俺が楽をするには住む場所を変えるなどしなければ無理なようである。

 外から覗き見たコンビニの店内は意外なことにあまり人がいなかった。
 タイミングが良かったのだろう。買い物をするには絶好のチャンス。
 店内へ入ろうとした時、聞き慣れた着メロが鳴った。
 わずかな音量で鳴ったそれは間違いなく俺のものである。
 二年前に放映されていた戦隊もののオープニング曲を着メロにしているのは俺ぐらいのものだ。
 着信したのはメール。送ってきたのは葉月さん。用件は俺の所在を聞くものだった。
 葉月さんは以前俺の家に来たことがある。ということは通り道になっているコンビニの場所も知っているはず。
 居場所を記したメールを送る。程なくして返信のメールがあった。
 用事があるのでそこで待っていて、というものだった。
 むう。それは別に構わないのだが、どうせ訪ねてこられるなら自宅で迎えたいものだ。
 その旨を本文に打ち込み、送信しようとしたとき、コンビニから男女が出てきた。
 出てきたのは若者同士のカップルではない。男は中年。女は若い――というより若すぎる。
 中年男が女の子の前に回り込んだ。出入りする人間にとって実に迷惑な位置で話し始めた。
「これから何の予定もないんでしょ?」
「いいえ、忙しいんです、アタシ」
「いいじゃない、晩ご飯ぐらいなら。ね、そんなに時間はとらせないから」
「嫌だ、って言っているじゃないですか」
 肩の上でカットされた短めの髪に、妹より低めの身長に、絵に描いたように整った顔のパーツ。
 サラリーマン姿の中年男を冷たい態度で断っているのは、中学生のようである。
 が、彼女が中学生じゃないということは知っている。だって彼女は知り合いだから。
「彼氏を捜しているって言ってたよね。
 でも、さっきからずっと歩いていて見つからないんだから、約束をすっぽかされたんじゃないの?」
「ちっ……」
 コンビニの外に設置されている電話ボックスの後ろに隠れながら様子を観察する。
 女の子はポケットに手を突っ込んでいる。おそらく、凶器をポケットの中に用意している。
 止めようかとも思ったが、相手はいい年して県条例に違反するようなおっさんである。放っておくことにした。


336 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/04(月) 06:17:31 ID:ryJwY4ic
 女の子が歩き出した。男も並んで歩く。二人と入れ替わりに、体を入り口へと割り込ませる。
 このコンビニのドアは自動ドアではない。ドアの取っ手を掴んで奥へと押す。
 そして、女の子にばれないよう店内へ。
 よし、このままばれなければ――。
「いらっしゃいませー! こんばんは!」
 途端に、無駄に威勢のいい店員の挨拶が飛んできた。
 その声量とタイミングは思わず俺の体をびくつかせるほどのものであった。
 かくれんぼが台無しである。
 挨拶をするなとは言わないが、もうちょっと小さめに、小鳥がさえずるぐらいの音量で頼む。
「あぁっ! 見つけたっ!」
「ぁ……っちゃぁ……」
 驚きの声が背後であがる。嫌な予感がした。そして絡みつくような視線も感じる。
 逃げようと思ってももう遅い。すでに俺と彼女を隔てるものは透明なガラス製のドアだけだ。
 仕方がない。観念しよう。きっとこんな場所で、今日という日に会ってしまったことも何かの縁なのだ。
 嫌なイベントのフラグを立ててしまったのでなければいいのだが。

 暖房の効いた店内から冷え込んだ外へと出て行く。
 そこに待っていたのは道行く人たちの好奇の視線と、おっさんの苦虫を噛み潰したような表情と、
世間知らずの男なら十人中十人は詐欺に引っかかってしまいそうな笑顔を浮かべる澄子ちゃんだった。
「先輩! もうどこに言ってたんです? ずっと捜してたんですよ?」
 いつのまにそんな約束をしたんだろう、なんて思ったが、すぐに思い直した。
 澄子ちゃんがどういうつもりでこんなことを言ったのか、自発的に理解できない俺ではない。
 本日二度目となる弟のモノマネで相手をする。
「ごめんよ。さっきまで寝ていてさ。今来たところ」
「もう、仕方ないですね。でも来てくれて良かったあ。アタシも今来たところなんですよ」
 その切り返しは、さっきおっさんに付きまとわれていた様子からは苦しいんじゃなかろうか。
「ねえ、せぇんぱい?」
 突然澄子ちゃんの声が甘ったるいものに変わった。
 ホワイトチョコとイチゴチョコを混ぜそれをホットチョコレートにして角砂糖を十個くらい投入し、
付け合わせに出てきたミルクとシロップまで突っ込んだぐらいの甘さ。
「遅れて来たんだから、その分の償いはしてもらわないといけないですよね?」
「ああ、そうだね。ごめんよ、気がつかなくて。僕にできることならなんでもするよ」
「え、何その喋り方……あ、彼の真似してるのか」
 似てないですね、と小さな声で言われた。そんなこと言われなくてもわかっている。
「えっとぉ、あとで二人っきりになったとき抱きしめてもらうのは当然としてもぉ……、
 澄子、今すぐ暖めて欲しいな、なんて思っちゃったなんかするんですよね」
「ぐ……!」
 内臓のてっぺんに重量物。有り体に言えば衝撃を感じた。
 たとえ演技だと分かっていても、その男を魅了する笑みと甘い声を前にしては、自制することさえ困難になる。
 なんと返事しよう。このまま流れに乗っていけば……澄子ちゃんとキスできる?
 いやいやいや、いやいや。嫌なわけではないが、これは演技なのだ。本気になってはいけない。
 そもそも、澄子ちゃんは弟のことを一途に思っている。俺のことなんか好きな人の兄としてしか見ていない。
 だが、それならそれで俺を惑わすようなことをしないで欲しい。
「抱きしめてもらえません? アタシが力を抜いていても倒れないくらいに、力強く」
 この状況を切り抜けるためとはいえ、好きでもない人間に対してここまでできるなんて。
 もし、澄子ちゃんと弟が恋人関係になったらどこまでバカップルになるだろう。
 人混みの中でも、小さな子供に見せられないようなことをやらかしてくれるかも。
 そんな状況であたふたする弟も見てみたい。花火とくっついたら接近することもできないし。
「早く、シてください。澄子、寒くって……先輩の熱が欲しくて、体が疼いて仕方ないんです」
「ああ、わかったよ。それじゃあ、遠慮無く…………」
 流されるまま、俺は澄子ちゃんの体を抱きしめるために両手を広げた。


337 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/04(月) 06:20:13 ID:ryJwY4ic
 がつんと一発殴られた。今回は左のこめかみではなく、右顎だった。
 脳の中身が、たぷん、と揺れるような気がした。
 膝に力を入れるより早く、俺はその場に尻餅をついた。
 澄子ちゃんの得意武器であるボールペンで貫かれなかっただけマシかもしれない。
 あれを受けていたら流血する羽目になっていただろう。
 しかし、澄子ちゃんに合わせて演技していただけでここまでいいものをもらう謂れはない。
 文句を言おうとして顔を上げたら、澄子ちゃんは確かに目の前にいた。
 ぽかんとした表情で俺ではなく、俺の右側を向いていた。
 あれ、今のは澄子ちゃんがあまりの嫌悪感を覚えた故にとった行動ではないのか?
 では、一体誰が俺の顎を打った?

 目を右側へと泳がせる。確かにそこに人がいた。
 文句を言う前に、じっくりとその人物を鑑賞する。
「……ほう」
 感嘆のため息が漏れ出たのは、相手の格好と体型が非常にマッチしていたからである。
 まず、闖入者の格好はミニスカサンタスタイルだった。
 なんと、手抜きすることなく、白い袋まで右肩に担いでいた。
 空いた左手は固く握りしめられていた。おそらくはあれが顎を打ち抜いたのだ。
 目元まで帽子を被っているせいで顔は下半分しか見えない。
 肩にはケープが乗っていて、その下から細い腕が伸びている。腕が嘘みたいに真っ白だ。
 細い胴と滑らかな腰の間で衣服が分かれていない。ワンピースを着ているらしい。
 そのワンピースから伸びるフトモモが、膝上三十センチまでさらけだされている。
 そして、俺のアングル――しゃがんだ状態――からは神聖な領域がばっちり見えている。
 ふむ、黒……か? 夜だから色の区別がつかない。
 個人的にはストライプだったら嬉しい。だが今はそんなことを望んでいる場合ではない。

「あんた、一体誰だ?」
 ミニスカサンタは答えない。ただ、拳が震えているところから腹を立てているということは分かる。
「変な格好をして、いきなり殴りかかるなんてどうかしてるぞ」
「そ、そうですよ!」
 調子を取り戻したらしく、澄子ちゃんが割り込んできた。
 本当は違うけど、と前置きして澄子ちゃんが言う。
「アタシの彼氏になんてことするんですか!」
 サンタの肩が小さく揺れた。
「か、れ、し」
「そうです。誰だか知らないけど、こんなことをしたからにはそれなりに覚悟してください」
「黙れ……この、泥棒猫。泥棒猫ォッ!」
 サンタが突然袋を振りかぶり、澄子ちゃん目がけて殴りかかった。
 澄子ちゃんはそれをバックステップで回避すると、コートのポケットに手を突っ込んだ。
 手を外気にさらしたとき、その両手にはボールペンが握られていた。
 片手に四本ずつ。指と指の隙間を一つも無駄にしていない。
「せいっ!」
 片手を振りかぶり、投擲。煌めく光の筋を描き、ミニスカサンタへと向かっていく。
 上体を反らし、サンタが避ける。とてもゆっくりで、余裕たっぷりの動きだった。


338 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/04(月) 06:22:42 ID:ryJwY4ic
「まだまだですよっ!」
 次は両手を振りかぶり、交差させる。
 その動きでもボールペンは飛んでいったが、それには続きがあった。
 澄子ちゃんは続けて両手を上下に、左右に、斜めに振り回しながら投げ続ける。
 しかし、ただ投げ続けているわけではなかった。
 投げると見せかけて投げない。フェイントを織り交ぜている。
 加えて、回転しているせいでコートが浮き、腕の動きを読めなくしている。
 コンビニが振りまく明かりをボールペンが反射する。
 光が走る。澄子ちゃんの体のいたるところから飛び出していく。
 軽快にステップを踏む様はダンスを踊っているようだ――なんて、よくある喩えもしたくなる。
 俺は目の前の光景に目を奪われていた。
 そして、サンタの動きにも目を疑った。

 赤い帽子を目深に被ったまま、サンタは全て避けていた。全弾、掠りもしていない。
 ゆらりゆらりと体を振り、ふらふらとした足取りで澄子ちゃんへと接近していた。
 直撃コースをとったボールペンは腕で払ったり、ケープでガードしていた。
 なんで、帽子を被っているのに避けられる?
 帽子に穴を空けているとしても、視界はかなり遮られているはずなのに。
 まるでボールペンがどれだけの速度で、どんな角度で、どれほどの威力を持っているのか、
あらかじめ悟っているかのような動き。
 武道の心得などないのだが、この動き、見た覚えがある。
 どこだっただろう。そんなに昔ではなかったような気がするのだが。


339 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/04(月) 06:24:24 ID:ryJwY4ic
 気がついたら澄子ちゃんの攻撃は止んでいて、サンタも足を止めていた。
 そして、二人を遠巻きに見るギャラリーがびっしりとできていた。
 ボールペンの軌道の先にはもちろん誰もいない。
 澄子ちゃんを誘っていた中年男の姿はない。
 すでに逃げたのかもしれない。しかし、もし人混みに紛れていたとしても、もう誘う気など失せているだろう。
 これでアトラクションが終わった、とでも受け取ったのか、観客から拍手が沸き起こる。
 澄子ちゃんが恥ずかしそうに顔を伏せた。
「うぅ……なんでアタシがこんな目に…………あ!」
 顔を上げると強い瞳でサンタを睨みつけた。人差し指を突きつける。
「そうですよ! あなたがいきなり殴りかかってくるのが悪いんです! アタシは何にもしてません!」
「……嘘を、吐け!」
 サンタは低音の声で叫ぶと、担いでいた袋を地面に叩きつけた。物が壊れるような鈍い音が聞こえた。
「お前がその人を惑わした! それが私には許せない!」
「なっ……あんなの演技ですよ! 白状しますよ、しつこいナンパを避ける口実を作るためにくっついたんです!
 先輩は彼氏でも何でもありません。アタシが好きなのは先輩の弟さ――」
「問答無用!」
 踏み込んだサンタが袋で殴りかかる。
 動きをとることもできず、澄子ちゃんは鼻先を掠められた。
「私からその人を奪うことは許さない! 許さない! 許さない!
 今度はずっと離れない! お母さんの時みたいに、離ればなれになったりしない!
 そのためなら……そのためならっ!」
 二人の間合いがゼロになった。サンタが一足飛びで間を詰めたのだ。
「私は自分の全力を賭して、戦う!」
「こ……のっ! しつこいんですよ! 真冬のミニスカサンタなんて、今更男に受けるもんですか!」
 澄子ちゃんの真上への蹴りが飛ぶ。顎を狙ったその一撃は易々と避けられた。
 観客が小さな歓声をあげる。スカートの中身が見えるとでも思ったのだろう。
 スパッツを穿いているから期待しているものは見えなかった。
 澄子ちゃんは一瞬の隙をついて肩に乗せられた手を振り解くと、サンタの後方へ向けて駆けだした。
 もちろんサンタもその背中を追う。 
「待ちなさい! 逃がさない! 思い知らせるまでは、絶対に!」
「ああ、もう! 彼は見失うし変なサンタに会うし! 今日はろくでもないことばっかりですよ!」
 後輩と正体不明のミニスカサンタは驚異的な足運びで最高速度に達し、その場から姿を消した。

 観客は二人が去ったことで誰もが残念そうなため息を吐き出し、解散していった。
 数人はしりもちをついたままの俺に声をかけようとしていたが、結局は誰も話しかけなかった。
 誰もいなくなってから、なんとなくあぐらをかいた。
 アスファルトの地面は冷たかった。
 だが、さっきまで熱気に包まれていた空間に流れ込んできた風の方がずっと冷たい。
 風が少しでも暖かくなることを期待して、呟いた。
「最近殴られること、多くなったなあ。俺……」
 というより、今みたいな暴力的な状況に遭遇することが多くなった。
 昔にやらかしたことのツケが今になってやってきたのだろうか。
 それならこうしているのも、むべなるかな。


340 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/04(月) 06:26:08 ID:ryJwY4ic
*****

 賞味期限ぎりぎりの弁当とおにぎり、それとなんとなく夜更かしをしたくなったため、菓子を数個購入し、帰宅した。
 玄関の明かりは灯っていた。弟の靴と妹の靴がある。二人揃って帰宅しているらしい。
 リビングへ歩を進めるとテレビの音声に混じって話し声が聞こえてきた。
 ドアを開ける。ソファーに並んで座っているのは弟と妹だった。
「お兄ちゃん、これ高くなかった?」
「気にするなよ、そんなこと」
「無理だよ。気にするって。ねえ、どこで買ったの? こんな時間じゃなきゃ買えないお店って、どこ?」
「あはは、それは……あ、兄さん」
 振り向いた弟は穏やかな表情だった。対照的に妹は汚物を見るような目で俺を見た。
 どうやら――いや、あれは確実に怒っているな。一体俺はどこに顔を埋めてしまったのだろう。

 妹の手に握られているのは銀色のペンだった。もう一本、同じようなものが机に転がっている。
 見ていると澄子ちゃんとサンタの攻防を思い浮かべてしまう。
 まさかさっきのあれを見ていて、現場から拾ってきたとかじゃ、ないよな?
「ちょっとごめん。兄さんにもあげてくるから」
「えー……私だけじゃなかったんだ」
 残念そうに呟く妹を置いて、弟が近づいてくる。
「はい、兄さん。クリスマスプレゼント」
「お、おお……サンキュ」
 弟が差し出した細長い箱を受け取る。中身を取り出すと、二本組のシャープペンとボールペンが入っていた。
 クリップの部分に名前のイニシャルと名字がローマ字で刻まれている。
 弟が耳打ちしてくる。
「それ、クラスの女の子に頼んで掘ってもらったんだ。妹には黙っててね」
「その子って、もしかして、木之内澄子ちゃんか?」
「あれ、知ってたの? そうだよ。その子に頼んだんだ」
 なるほど。ということはこのペンのいずれかがああいった用途に使われることもあったというわけか。
 手のひらに乗せてみる。百円ショップで売っているような安っぽい代物とは違い、重量感がある。
 これなら確かに武器としても使えるな。うむ、物騒きわまりない。日常に潜む恐怖。
「でも、どうやって妹の名前を彫ってもらえたんだ?」
 妹の名前を彫ってくれと頼まれても、澄子ちゃんは引き受けないと思うのだが。
「そこは大丈夫。名前はイニシャルだけでしょ? おばあちゃんの分って言ったら引き受けてくれた」
「……ほっほう」
「でも良かった。プレゼントを用意してて。
 プレゼントを取りに行ってた、って言い訳をしたら妹も機嫌を直してくれたよ」
「へえ、ぇ…………」
 口がひくつくのを抑えきれない。この弟はどこまで計算高いんだろう。
 イニシャルについてはまあいい。俺でも思いつく。
 だが、あらかじめプレゼントを用意しておき、クリスマスイブに出かけていた理由を問い詰めてきた妹には、
プレゼントを受け取るためだった、と言い張る。
 仮に俺が同じことをやっても信じてもらえまい。
 自分に寄せられている信用を利用したとしても綱渡りになるはずなのに、それを弟はあっさりとやってのける。

「お前……」
「ん?」
「い、いや……なんでも、ない」
 弟の笑顔の影に言いしれぬ恐怖を覚えた。
 これが天然の強さか。ぱっと見では緑の草原が広がっているのに、一歩でも踏み出すと使われていない井戸に
足を突っ込んでしまいそうな危なさを潜めている。


341 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/04(月) 06:27:02 ID:ryJwY4ic
「兄さん、それは?」
 弟が俺の手元を見た。左手にはコンビニの買い物袋が握られている。
「ああ、安物だが、俺からのクリスマスプレゼントだ。ポテトが二袋と、クッキーの箱が二つ」
「え……嘘」
 弟が視線を上下させる。せわしなくまばたきを繰り返している。なんだ、この反応は。
「兄さんがプレゼントをくれるなんて……今日、何かあったっけ」
「クリスマスイブだろ。どうした、俺がこういうことをしちゃだめか?」
「いや、だって。初めてだよ」
「そうだったか? 一度くらいはあっただろ?」
「無いよ。一回も無かった」
 断言された。ここまで言うからには事実なんだろう。
 そういえば、誕生日プレゼントを贈った記憶もないな。なんだか自分が甲斐性なしに思えてきた。
 これからは月イチのペースで缶コーヒーでもおごってやるとしよう。
「それじゃあ、お茶でも煎れよっか。兄さんは紅茶? コーヒー?」
「コーヒーで頼む。インスタントじゃなくてレギュラーで。あと、濃いめ」
「うん、分かった」
 弟がキッチンへ向かった。それを見て、妹もソファーから腰を浮かして弟の傍へ。
 ソファーではなく、床に置いてある愛用のクッションの上に座り込む。
 ガラステーブルの上に両腕と顎を乗せる。
「今日は、疲れた……」
 去年のクリスマスイブはここまで疲れなかったような気がする。
 なぜ今年に限って家で蹴られて倒され、出先のコンビニではサンタに殴られる羽目になったんだろう。
 澄子ちゃんは大丈夫だっただろうか。あのサンタ、相当にしつこそうだったけど。
 そういや、何か約束していたような気がするぞ。
 コンビニに着いたとき、メールで――――。
「ああ!」
「うわ! いきなり何、兄さん?!」
 大きめの皿に菓子を盛っていた弟が袋を取り落とす。
「悪い! ちょっと出てくる!」
「え、あ、兄さん? お菓子は?!」
 返事をする間も惜しい。早くコンビニへ行かねば!
 葉月さんはまだ、あそこで待っているはずだ!


342 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/04(月) 06:28:50 ID:ryJwY4ic
*****

「……ただいま」
 手足を縛り付けていた縄を柱に擦りつけてちぎり、外へ飛び出そうとしたら、娘が帰ってきた。
 右手には大きな白い袋の口が握られている。残りは引きずってきたようだ。
 着ている服は乱れていない。たが、羽織っている物はカーディガンだけ。
 薄着で、どう見ても寒さをしのげそうな格好ではない。
 娘の表情は沈んでいた。近頃は久しく目にしなかった。こんな娘の姿は。
「どうしたんだ?! 何かあったのか?」
 肩を掴み揺さぶる。うつろな眼差しが少しだけ力を取り戻した。
「お父さん、私…………」
「誰がお前をこんな目に遭わせたんだ? 最近言っていたあの男か? まさか、暴漢に絡まれたのか?」
 否定の動作。
「違う、違うの」
「じゃあ、その有様はどういうわけだ?!」
「私…………どうしよう。……あの、あの人……殴って。本当に手加減なしで、殴っちゃった……」
 なんだって? それは結構、よくやった――――じゃない。
「怪我を、させたのか?」
「してないと……思う。顎、狙って。座り込んだだけだったから」
「本当か? 嘘は吐いていないだろうな?」
 頷いた。この状態で嘘を吐くとは考えにくい。
 もし怪我をさせたなら、それなりの罰を与えなければいけないところだった。そうならなくて良かった。
 でも、一体なにがあった?
 出かけるときはあんなに嬉しそうにしていたのに。

「話せるか? 言えるところまででいい」
「……うん」
 玄関マットの上で体育座りになると、ぽつぽつと話し出した。
「今日こそは決着を付けてやろう、って、思ってたの。あの人と、私の関係に」
「なに?」
 あの男とは決着を付けねばならないような仲だったのか?
 娘と互角の実力者で、今の今までライバル同士だったとか?
 なんだ、そういうことなら怪我をさせても構わないぞ。
 むしろどんどんさせてやれ。若いうちなら回復が早いから。
「それで、今までは手加減をしていたのか?」
「うん。あの人がそうしてくれ、って言ったから。だから私、ずっと踏み込んで行かなかったの」
「それは駄目だな。勝負というのは常に真剣でなければいけない。手加減する必要なんか一切無いんだぞ」
「だって、好きだったんだもん。あの人のこと。……今でも好きだけど」
 娘の言葉が鳩尾に突き刺さる。
 きつい。娘の気持ちがどんなものか知っていたが、ここまで断言されるときついものがある。
 しかも今でも好き、ときた。まだ破局していないということか。ちくしょう。
「それで、メールで呼び出して、会おうと思ったの。場所も予約しておいたし、二人で行こうと思って」
「なんでうちでやらない? ふさわしい場所があるだろう」
「だって、お父さんがいるもん。お父さん、絶対邪魔するもん……」
 真剣勝負の邪魔をするわけがないだろう。まあ、もし顔にかすり傷でも付けたら、骨をぼきりとやってやるがな。
「それでね、待ち合わせの場所に行ったら、あの人……別の女と一緒にいたの」
「何!」
 娘とほんの少しだけでも交際しておきながら、他の女と会っていた?
 しかも決闘の場に連れて行こうとしてやがったのか?
 同じ道を志す者として許せん。来るなら一人で来い。男の風上にも風下にも置けない野郎だ。
「私、腹が立っちゃって……頭があっという間に真っ赤になって、それで、その時に…………」
「不意打ちでやってしまった、というわけか」
 娘は黙り込んだ。この沈黙は肯定ということだろう。


343 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/04(月) 06:30:23 ID:ryJwY4ic
 困った。
 男のやらかしたことは許されるものではない。全身を引き裂いてもまだ生温い。
 だが、不意打ちで攻撃を仕掛けた娘の行動も褒められたものではない。場外で振るった技はただの暴力だ。
「どうしたらいいの? ……教えて、お父さん」
 娘の弱々しい瞳に見つめられ、つい抱きしめたくなった。もちろんしない。
 好きな男に、嫉妬心故に殴りかかってしまった。男は構える前に殴りかかられて怒っているかもしれない。
 女として、武道家として、見損なわれてしまったかも。
 これからどうすればいいのかわからない。だから、答えを教えて欲しい。

 こういうのは、武道抜きで考えた方がいいのか?
 男としての、父親としての意見。
 そもそも、娘みたいな可愛い女に言い寄られて浮気する男の気が知れない。
 俺が優花にアプローチするには、周りにいる猛者どもを蹴散らさなければならなかった。皆、優花に夢中だった。
 もしかしたら、ライバル不在の状態だから悪いのかもしれないな。
「他の男の存在をちらつかせたらどうだ? 危機感を覚えれば、一途になるかも」
「無理だよ……私、そんなことできないよ。それに、そんなことしたらきっと、引いちゃうよ」
 嘘は吐きたくない、ということか。こんなに一途な子に思われて、幸せ者だなあ、二股男!
 でも、娘はそんな男が好きなんだよな。悩んで、泣きそうになって、それでも付き合いたい。
 まるで、昔の俺を見ているみたいだ。
 優花のことを好きで、優花のことを考えている時が一番幸せだったあの時の俺は、今の娘と似ている。
 俺がとった行動は障害の排除だった。それと、優花に認められるぐらい強くなること。
 性別が逆転しても通用するかはわからない。でも、相手も武の道を歩んでいるなら、もしかしたら。

「男の浮気相手は強いのか?」
「ううん。今日も戦って、決着は着かなかったけど」
「なら、力ずくで追い払ってみろ」
「……いいの? そんなことしたら相手の子が」
「ちゃんとした場で白黒つけるなら、問題はない。俺は許す」
「場……? 二人きりで会って、ってこと?」
「そうだ。そして教えてやれ。男にふさわしいのは自分だと。
 いくらお前が近づいてきても私は負けない。何度でも、私はお前を倒し続ける。最後にあの人の傍で笑うのは私だ。
 俺が若い頃に言った言葉だけどな。参考になるかわからないが」
「負けない……倒す……最後に、隣で……」
 そう。恋は戦いだ。一回しかしていない俺に言う資格はないかもしれんが、実際そうなのだ。
 恋敵は全て倒すべき存在。意中の人に近づく異性全てが敵だと思って疑うべし。
 油断したら即奪取される。一瞬のチャンスを逃さず、活かし、望みを繋げ。
 父親としては複雑だが、邪魔をして娘に嫌われるよりは応援役に徹した方がいい。
 ――優花。成長した娘は、姿はお前、性格は俺そっくりになったよ。
 そこから考えると、いつか娘は家を出て行ってしまうことになるが、俺はそれでもいいと思う。
 だから、俺の元から巣立つまではがっちり守ってやる。
 例の男がろくでもない奴だったら、性格をたたき直してやるから。
 お前の分も、娘は守る。今夜、誓いを新たにするよ。


344 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/04(月) 06:32:34 ID:ryJwY4ic
「ありがと、お父さん。ちょっとだけ気が晴れた」
 娘は立ち上がった。ちょっとどころか、いつも以上に気が充実している。
「そうか。ところで、腹減ってないか? ご飯は残ってるぞ」
「大丈夫。ちゃんと食べてきたから。――あ、そうそう。お父さん、これあげる」
 娘は放っておいた白い袋を掴むと、俺に差し出した。
「クリスマスプレゼント。何がいいかわかんないから、適当なもの買ってきちゃった」
「俺に? 俺に……くれるのか?」
「うん。期待が外れても恨まないでね」
 すでに予想が外れているよ。娘から何かもらえるなんて、思っても見なかった。
 袋を受け取った俺は、涙をこらえるのに精一杯で顔を上げることすらできなかった。
 娘が二階にある自室へ向かっても、ずっと体の震えが止まらない。
 こんないい子に育ってくれるなんて。やっぱり俺の育て方は間違っていなかったんだ。
 できるなら一生嫁に出さず、一緒に暮らしたい。今立てた誓いがもう倒れそうだ。

 妻に見つからないよう、離れの道場へ向かう。
 明かりを点け、神棚に手を合わせてから、正座して袋の口を開く。
 真っ先に飛び込んできたのは赤。何を買ってきてくれたのかな。赤い道着かな?
 破かないよう慎重に取り出す。最初に出てきたのはサンタの帽子だった。
 これはもしかして、俺にサンタになってほしい、と遠回しに言っているのか?
 高校生になってからも父親にサンタクロースになって欲しいと願うなんて、なんて可愛らしい。
 もちろんいいぞ。幼稚園の頃みたいに部屋に忍び込んでやるからな。
 帽子を被り、続けて上着らしきものを取り出す。
 出てきたのは……なんだろう。腰巻きのようだが、前か後ろのどっちかしか隠れないじゃないか。
 真っ赤な布地を白い毛で縁取った腰巻きを床に置き、最後の一着を取り出す。
 赤い袋? いや、両端には穴が空いている。片方には紐が二つ通っている? 鯉のぼりか?
 違う。これはそういうものじゃない。――服か?
 鯉のぼりもどきを縦にした状態で広げる。そして最上部にさっきの腰巻きを置いてみる。
 これはサンタの衣装じゃない。なんだ、このヒラヒラした部分。まるで娘の制服のスカートじゃないか。
 そしてこの山の連なったような部分、ドレスの胸元に見えなくも無い。
「――――はっ!」
 閃いた。娘は今日、男と会うつもりだった。
 袋を持ち歩いていたということは、この中身も一緒だったはず。
 では、娘はまさか、このやけに短いスカート丈のワンピースを身にまとってその腰巻きを肩に乗せて帽子まで被って、
「今夜、私はあなただけのサンタクロースよ。プレゼントはもちろん……」とか言って迫っていって興奮した男が
ベッドに娘を押し倒してこの衣装を褒めながらあれやこれやそれや色々――――

「うがあああぁぁぁあああっ! 許すもんか! そんなの、誰が許すかっ!
 お前に娘は絶対に渡さん! 家に挨拶に来てみろ! この道場で俺に勝てたら許してやるあああぁぁぁっ!」

 俺は帽子をむしり取って床に叩きつけようとして――やめた。
 だって、こんなのでも娘からもらったものだから。
 俺は丁寧に衣装を折りたたみ、袋に詰めた。
 帽子だけを被った状態で袋を担ぎ、道場の明かりを消し、静かに自室へ戻った。
 そして、止めようとしても勝手にあふれ出してくる涙をうっとうしく思いながら、眠りについた。


345 :名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 06:33:44 ID:ryJwY4ic
クリスマス編はこれで終わりです。
次回も時期を大きく外したものになります。ご了承ください。

346 :名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 06:41:31 ID:krG0FVNJ
リアル遭遇ktkr!!
しかしなんて量の投下なんだ、すご過ぎだぜ。
GJ!!

347 :名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 06:43:09 ID:krG0FVNJ
すまん、思わずsage忘れてたorz。

348 :名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 06:47:36 ID:SEAO4ycL
>>347(o・_・)/"(ノ_<。)ヨシヨシ

349 :訂正 ◆KaE2HRhLms :2008/02/04(月) 07:26:23 ID:GXZ9fMCj
>>338
> 赤い帽子を目深に被ったまま、サンタは全て避けていた。全弾、掠りもしていない。
ここは
> 赤い帽子を目深に被ったまま、サンタは全て避けていた。全弾、直撃していない。
でした。

申し訳ない。

350 : ◆KaE2HRhLms :2008/02/04(月) 07:28:33 ID:GXZ9fMCj
うあ、sage忘れ。
寝ぼけてました、すみません。

351 :名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 08:36:58 ID:48mqmV8/
GJ! 待ちかねたよ!
しかし、濃い親父だなw

352 :名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 10:03:14 ID:rjztUHAA
GJッス! つーか親父 キ モ イ w

もう何か男に変わるだけでこんなにキモくなるとは思わんだwww
しかし葉月さんはお母さんっ子だったわけか


353 :名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 11:40:07 ID:Dl/oKRj1
GJ
思わず、「かれかの」と「お父さんは心配性」を思い出した。
兄の幸福を心より願う。

354 :名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 12:05:53 ID:mZYIT+f0
>>345
相変わらず理不尽に酷い目にあっている兄が可哀想です(´;ω;`)
でも葉月さんのトラウマが母親が原因で
過去に男がいたというわけじゃないのには安心したw

355 :名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 14:28:34 ID:f3S4ly5F
GJ
親父の親バカにワロタw

356 :名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 14:42:22 ID:2B19bk6M
>>345 GJです
お兄ちゃんの過去とこの先が気になって、全裸解除が出来ません。

……幸せになって欲しいなぁ

357 :名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 17:52:13 ID:aD6tdObE
最後にお兄さん殺されそうで怖いなぁ。

358 :名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 23:24:08 ID:lCI9GRVQ
むしろ50才台でホームレス狩りにあって終わりそう。
そして他のキャラは円満な人生をおくる。

359 :きゃの十三 ◆DT08VUwMk2 :2008/02/05(火) 03:57:54 ID:86AzRp91
投下します。
ネタは、『ヤンデレの薬』の三番汁です。

「うぅ〜ん、できたぞ」
目の前の試験管に入った液体を見て僕は、背筋をう〜んっと伸ばす。
土曜日と日曜日と両方の休日を費やして作った自信作だ。
僕の名前は、木地 甲斐(きち がい)。
色々、発明したい年頃の小学5年生だ。
「キチ○イ、それは、なんナリか?」
「だからキ○ガイって言うなぁ〜」
そして、僕の背中をつっつくこのズングリムックリのロボット。
彼の名は、切腹丸。――僕の先祖・奇怪丸の残した『奇怪大百科』で作った発明品だ。
僕の祖先・奇怪丸は、偉大な科学者でかの有名なエジソンやライト兄弟も彼の弟子だったらしい
そんな世界から注目されていた天才科学者・奇怪丸は、ある日、子供の幽霊丸を残し、妻と共に謎の心中をはかった。
そして、その奇怪丸が僕達、子孫に残したのがこの『奇怪大百科』である。
これは、現在の技術者も驚くようなアイディアが詰まった発明が載っている本なのだ。
僕は、この『奇怪大百科』に載っている発明が祖先の切腹丸の謎の心中事件の手がかりがあるのではと思った僕は、
手がかりを探るべく単行本8冊分の冒険&発明をするのであった。

360 :【病照列ノ薬】 ◆DT08VUwMk2 :2008/02/05(火) 03:59:04 ID:86AzRp91
「なぁ〜に、連載再開した少年漫画みたいな回りくどいあらすじしてるナリか!!」
「むっ僕とした事が……」
僕は、試験管をビンに移し、フタをきつく閉め、一回、ポケットの中に入れる。そして取り出す。
「でぇっけてっててぇ〜て〜てん、『病照列ノ薬』!!」
「なんかネーミングセンスが『頑駄無』とか『殺駆』みたいナリね」
「『奇怪大百科』によるとこれを片思いの人間に飲ませるとたちまち監禁してしまいたくなるほど
好きになってしまう全国3百万人の男子諸君なら喉から手が出る代物なのだ」
「……ようは、ラブコメのセオリーの惚れ薬ナリね」
「これをお隣の勉子さんに飲ませて……でへへへへ」
そうと決まれば善は急げだ、愛しの勉子さんに飲まして一緒に愛の巣を作ろう
あぁ、子供は、男女2人は、欲しいかな
「……お前、さっきのあらすじと言ってる事、違うナリ」
しかし、世の中そう上手くいかないものだ。
僕が玄関を開けるとそこには――音波 黒美(おとなみ くろみ)が立っていた。
こいつは、僕と勉子さんとの恋路を邪魔するお邪魔虫なのだ。
「……話は、全部聞かせてもらった……つまり、それを私に飲ませてラブラブする気…なんだね」
「一体、どこから僕とお前とラブラブする話なんか……って、なんでこの薬の効果を!!」
黒美は、切腹丸を指差した。
「……さっき、……盗聴器を仕掛けた」
「あぁ〜、本当ナリ!!」
うかつだった。いつも僕のストーカーしてるのは知っていたが
まさか、盗聴器まで使うとは……
しかし、僕と勉子ちゃんの恋路は、誰も防げないのだ!!
こんな事もあろうかと
「でぇっけてっててぇ〜て〜てん、『手榴弾』!!」
僕は、手榴弾を黒美に投げつける。
手榴弾は、黒美に当たると発火。本物ほどの威力は、無いがこれで黒美から逃げる事ぐらいは、できる


361 :【病照列ノ薬】 ◆DT08VUwMk2 :2008/02/05(火) 03:59:50 ID:86AzRp91
お邪魔虫の魔の手から逃れることの出来た僕は、勉子さんの家に着く。
あぁ、これで僕と勉子さんの長きに渡るラブロマンスストーリーは、終了。木地先生の次回作にご期待下さい。
僕は、胸ときめかせてインターホンを鳴らす。

……出ない
もう1回、インターホンを鳴らす。

……出ない
あっ、そうだ!勉子さんは、故郷の山形に里帰りしてたんだ!!
トホホ、夢の年上のお姉さんとの禁断の同居生活が後、1週間延期になってしまった。
僕は、自分の部屋に戻って、布団に包まった。
「○チガイ、元気出すナリよ 1週間すれば勉子さん、戻ってくるんっだし」
「うぅ……ロボットなんかに僕のピュアハートがわかってたまるか」
「はぁ……やれやれ」

その時、家のチャイムが鳴った。
「切腹丸、出ろよ」
「我輩は、今、『CROSS†CHANNEL』やってて手が離せないナリよ」
全く、使えないロボットだ。誰に似たんだろう?
僕は、2階から降りてインターホンの受話器を取った。
「どちら様ですか?」
ちょっと、声のトーンを落としていかにも嫌そうに対応した。
「えぇ〜っと、甲斐くんかな?」
その透き通った声は、勉子さん!?
きっと、僕に会いたいが為に予定より早く帰ったのだろう。オシャマさんだな
僕は、『病照列ノ薬』片手に玄関を開けた。

しかし、そこにいたのは、勉子さんではなく――不気味な笑みを浮かべる黒美だった。
黒美は、僕の持っていた『病照列ノ薬』を奪い取るとその中身をイッキに口の中に入れ、
唖然としている僕に口移しの形でそれを無理矢理、飲ませた。
あぁ、頭がぼんやりとして来た。
薄れていく理性の中で僕は、『黒美は、声マネが上手いという事』を思い出した。

362 :【病照列ノ薬】 ◆DT08VUwMk2 :2008/02/05(火) 04:00:26 ID:86AzRp91
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

我輩は、黒美ちゃんの家のインターホンを鳴らす。
しばらくすると黒美ちゃんのお姉さんの響子さんがやって来た。
「キチガ○の奴、どうしてるナリか?」
響子さんは、自分の目で見るといいと黒美ちゃんの部屋にあがらせてもらった。
正直な話、キ○ガイの事などどうでもいいがパパさんとママさんが心配するので
連れ帰さなければと思い我輩は、黒美ちゃんの家に来たのだ。
さて、部屋には、やっぱりというかキチ○イと黒美ちゃんの肢体が絡み合っていた。
キ○ガイの奴、黒美ちゃんの無い胸を必死に嘗め回していた。
そして、胸の次に腋を丁寧に舐め穿っていた。あぁ、キチガ○は、腋フェチだったナリか……
黒美ちゃんも必死に種付けの為に腰を振っていた。
とてもお互い小学5年生とは、思えない淫妖な光景に我輩、仰天。
あぁ〜この事をパパさんとママさんには、どう説明しようと我輩は、頭を痛めた。

なんだか藤子A不二雄のオチっぽいなぁ〜
でも、二人とも幸せそうだからこれでいいのナリかな?……少なくとも薬が切れる3日後までは………

363 :きゃの十三 ◆DT08VUwMk2 :2008/02/05(火) 04:05:26 ID:86AzRp91
投下終了です。

>>345GJです。
最近の子供は、玩具商品よりTVゲームとかをクリスマスプレゼントに
買ってもらう子供が増えたらしいのでそういう『これじゃない現象』は、あまり起こらないっぽいです。

364 :名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 10:59:10 ID:SOVFTmaT
>僕の名前は、木地 甲斐(きち がい)。

ちょwwww
吹いたwwwww

365 :名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 13:34:51 ID:9ZZ96QhS
GJ!

C†Cは良いよな。ある意味、冬子は切腹丸だし

366 :名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 17:46:03 ID:oJHiY2iJ
それって、男の気を引くために腹を切って、
「こんなに血が出てる。だから優しくしてよ(うろおぼえ)」って言った娘?

だとしたら>>365、ありがとう。
画像と台詞は思い出せるんだけど、どうしても名前がわからなかったんだわ。


367 :名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 20:06:22 ID:5/wmvI63
>>366
クロスチャンネルはいいぞ
監禁もあるし

368 :名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 23:14:58 ID:wuhx+dOA
ヒロイン全員ヤンデレだしな

369 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 00:16:54 ID:+RuxwIlw
>>368
男ももれなくヤンデレだからなぁ。
まああれだ、男のヤンデレほど見苦しいものはない。

370 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 01:04:20 ID:iQItVlYq
クソ吹いたwwwGJ!!!

371 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 07:45:27 ID:VNX5rNVf
男のヤンデレは存在自体が犯罪。男のヤンデレは殺されても文句を言う権利はない。
そのくらいキモイ。

372 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 08:02:55 ID:7FSHM0nq
同意せざるを得ない

373 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 08:13:11 ID:mzFcCvFB
ヤンデレ「女のヤンデレは存在自体が犯罪。女のヤンデレは
殺されても文句を言う権利はない。そのくらいキモイ。
男君の妹がヤンデレだったらどうしよう。
こっそり食事に汚い体液を混ぜ込んでいるんじゃないかと思うと寒気がする。
ああ、男君がヤンデレだったらいいのにな。
私を監禁して滅茶苦茶に犯して欲しい……」

374 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 08:38:27 ID:GbA4HG8i
イヤ、でも鬼哭街とかアレ男もヤンデレだが……

ゴメン、やっぱアイツ性格キモかったわ
兄様は別だけど


375 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 14:17:35 ID:5Qrb4S6G
ヴァルキリープロファイルのレザードあたりだと、腐女子が大喜びする「男ヤンデレ」かもしれん
しかしこのスレは、熱き血潮滾る男たちの花園だ! 男ヤンデレなぞ不要!

男は黙って刺されるのみっ!

376 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 16:07:40 ID:vtyzrrNY
お前ら過激だな……

377 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 17:59:07 ID:2CdBhMcj
俺は相手に盲目的に尽くすタイプなら男ヤンデレも好きだなあ
トライガンのブルーサマーズなんかは見ようによっては男ヤンデレかもしれん

378 :空気を読まずに投下するアレな人:2008/02/06(水) 18:28:54 ID:I3wC+RXJ
ある日、ロッカーに手紙が入っていた・・・
四角い便箋には放課後の屋上に来るように・・・とだけ書かれていた
待ち合わせ場所で待っていたのは一つ上の先輩
眼鏡の似合うクールな・・・そして何を考えているかよく分からない・・・
とりあえず図書館でいつも黙々と本を読んでいることだけは知っている
「あのー先輩・・・一体何の用なんですか?」
大体の用件は分かっていた
こんなありきたりな場所でコクられた事など何度もある
もう少しヒネリを効かせても良さそうなものだが女とはベターなものが好きらしい
「付き合ってください」
ウンザリしながら分かりきった台詞を驚いたように聞く
無論付き合うつもりは無い
ルックスは上々、スタイルも良し、嫌いなタイプでもないし、特に付き合わない理由も無い
しかしツボに嵌らないというか・・・もう少し自分の好みなコを探したい
「あの・・・スミマセン・・・」
申し訳の無さそうな声を装っていつもの台詞を吐く
相手には見る見る落胆の色が広がる
「ど・・・どうして!?私は・・・・・・!!」
うわぁ・・・ウザ・・・断られたらそこで潔く引けよ
というか一度も話した事すら無いんだが・・・
「あ〜・・・そうだ」
まァこういうウザい女は─・・・
「何でも言うコト聞いてくれるってんならいいですよ・・・『なんでも』ね」
これで諦めてくれればそれで良し・・・
諦めてくれないなら少し遊んでギブアップに仕向けるか
「わ・・・分かったわ・・・」
ま・・・楽しんでみるか

379 :何も考えずに続投:2008/02/06(水) 18:29:57 ID:I3wC+RXJ
「んーと・・・じゃあ少し・・・向こうの方に行きましょうか」
屋上の隅、タンクとコンクリの間を目指して歩く
後ろからは黙って付いてくる先輩・・・
「さて・・・と」
「エート・・・な、何をするの・・・?」
声に若干緊張の色が見られる
心配しなくてもこんな所で犯すようなバカな真似はしませんよ・・・
「今から二人っきりの時には御主人様って呼んでもらえます?」
「えぇ!?」
「あ、イヤなら構いませんが、別に強制はしませんよ」
付き合わない・・・という暗喩はちゃんと伝わったようだ
「分かりました・・・御主人様」
「うんうん、じゃあ次は〜・・・そうだな・・・動くな」
「は、はい・・・」
強張った声で返事をし、起立したまま動かない
その女のスカートをパンツもろともずり下ろす、小さく声が出る
陰部を丸出しにした彼女に「動くなよ」と言い残して少しずつ遠ざかる

380 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 18:32:16 ID:I3wC+RXJ
目的の物を校庭で採取して女の下へ戻る
律儀にも立ったまま全く動いていないようだ
どこか澄ましたいつもの顔に少しばかりの恥じらいが残っているのが興奮を誘う
「お帰りなさい・・・・・・御主人様」
中々分かってるじゃないか、と少し楽しくなりながら校庭で取ったものを渡す
受け取った木の枝をしげしげと見つめる
一体何をしろと言っているのか分からないようだ、分かるはずもないよな
「それ使ってオナニーしろ(笑)」
ピキリ・・・と凍りつく
「ん、イヤなの?だったら止めてもいいよ、今すぐ帰りなよ」
「や・・・やり・・・ます・・・」
「良く聞こえないな〜・・・
いつ、どこで、ナニを、するのか言ってみよう、主語述語をハッキリとね♪」
「あ・・・うぁ・・・」
暫く固まった後、搾り出すように
「放課後の学校で・・・オナニーをします」
「よく言えました、じゃあやってみようか」
携帯を取り出してムービーを起動する
それを見て困ったような顔をしているが、それで止める程優しい訳ではない

381 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 18:33:05 ID:I3wC+RXJ
女は便所座りの体勢になり、恐る恐ると股間に手を伸ばし、木の枝を押し付ける
「こ、こういうこと・・・やったことなくて・・・」
うっわぁー・・・生きた化石ハッケン・・・まさかまだこんな人間がいるとは・・・
まぁ知識としては知っているのだろう
少しずつ手が早く動き、クチュ・・・クチュ・・・という音が出始める
「ハッ・・・ハァッ・・・あァん・・・」
喘ぎ声と共に先程校庭で拾った木の枝が陰部に挿入されていく
「な、何か・・・当たりました・・・これ以上は無理・・・です」
思ったとおり・・・処女か、
ではバージンを棒切れ相手に散らすかオレと付き合うのを諦めるか選んでもらおう
声を出さずに、携帯を持っていない手で中指と薬指の間に親指を入れる
続けろということは分かったらしい、グズグズと泣き声が入る
「そんなぁ・・・ご、主人・・・様ぁ」
年上でクールな謎の女、その泣き顔はまた格別なものがある
ニコニコと笑いつつ微動だにしないこちらを見て、諦めをつけたらしく
先程から同じところを行ったり来たりしている木の枝を握りなおす

382 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 18:35:34 ID:I3wC+RXJ
「うっ・・・あぁぁぁ─────ッッッ!!」
股間の茂みからは血が滴り落ちる
それと共に絶頂を迎えたらしく、後ろの壁に全身を預ける形でもたれかかる
股間に木の枝を突っ込んだまま絶頂直後の荒い息のまま、この先輩は小さな笑みを浮かべて一言
「これで・・・付き合って・・・くれるのよね?」


以上で投下終了です、もうなんか・・・スミマセン
調教SSに落とすか迷ったんですがこれは調教・・・って程でもないなァ・・・とこっちに投下してみました
ここまで読んでくださった方々、ありです

383 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 19:24:47 ID:pJAwIcut
心が痛んだ

384 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 19:30:08 ID:23FcO5Km
やっぱり刺されるべきは男なんだなと思った

385 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 19:34:37 ID:206tNGtA
面白かったけど、木の棒に処女捧げてまで言うこと聞いたのに「別に付き合うとは言ってないでしょぉ?」とか言われてサックリ捨てられ、徐々に病んでいくとかじゃなくて
これで全部終わりなら鬼畜スレに投下すべきだったと思うよ。

386 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 19:41:01 ID:vtyzrrNY
いや、付き合うためにここまでするってのはヤンデレじゃね?

387 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 20:13:08 ID:I2NSBxmP
ヤンデレっていうか只の場か?

388 : ◆cFn2gA3fHc :2008/02/06(水) 20:23:46 ID:sTi8jTwH
確かにヤンデレっぽきないな

389 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 20:58:44 ID:rBlmfr2R
>>382 どうみても調教です。

390 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 21:33:52 ID:nVWJtZBL
ゲームで起きたオカルトなことスレより
131 名前: 本当にあった怖い名無し [sage] 投稿日: 2005/12/12(月) 23:42:29 ID:9Mn36Pt90
PCのエロゲだったが、「私が愛してるのはあなただけ」って感じの台詞で、途中でPCが暴走して
「あなただケケケケッケケッケケケケッケケケケケケ」
って感じになったことがあったなぁ。
怖いというか笑ったけど

…………これをオカルトでも笑いでも無く、ヤンデレと思った俺は大分染まってきたな

391 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 21:38:35 ID:grKXDQ9D
ガンダムOOの新女キャラがヤンデレみたいだね

392 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 22:47:30 ID:vsvSHoJx
ツンデレ女王の癖にな

393 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 22:55:17 ID:1ROgE7xa
>>391
ニコニコのMADだったら、ヤンデレはあのお姫様なんだけどな


394 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 23:22:32 ID:zNoR1fLf
>>391
あれがヤンデレ!!?
どの辺りが??

思い当たる節が無い…

395 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 23:25:23 ID:grKXDQ9D
>>394
http://www.new-akiba.com/archives/2008/02/00_19.html

396 :名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 23:56:33 ID:5Qrb4S6G
こんなんでヤンデレだったら、富野ガンダムの登場人物は男も女も全員ヤンデレの気がするが…

397 :名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 00:26:44 ID:MF17whRQ
ただの基地外だろ

398 :名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 01:39:59 ID:7nE1dI1A
このスレって最初から病んでる、もしくは即病むってのが多いけど、中々病まない話ってこのスレ的には投下してもいいのか?

399 :382:2008/02/07(木) 01:57:19 ID:4xM/5ojR
>>377を見て「なんでもする」っていう奉仕系ヤンデレを目指してみたんだけど・・・
このスレって女が病的に男に好意を持ってるなら相手には刺殺でも奉仕でもいいんじゃなかった?
あのアレ・・・なんか間違ってます?とりあえずスミマセン・・・

400 :名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 02:04:53 ID:oegOo/yq
奉仕系ヤンデレっていう目指す方向性はいいと思う

401 :名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 02:05:37 ID:X8j5o+Vt
>>395
こういう記事のヤンデレ説は正直信用ならない

402 :名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 07:36:46 ID:hOF7DEmc
>>398
いいんじゃないか、だんだん病んでいくっていうのも
病むまでの過程を見るのも面白いし

403 :名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 08:28:00 ID:hfnsuHcs
アレだよ、刹那に会いたいが為に紛争を起こす位じゃないと


404 :名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 09:20:32 ID:wyH94Urz
奉仕系だと男自身には絶対手を出さないことが前提だな。
他の女性に目移りした場合、そっちを排除する、もしくはそれすらも男が望むからといって受け入れたり積極的に招こうとしたり。

405 :名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 09:27:43 ID:hOF7DEmc
ということは言葉様は依存系と奉仕系の素質を両方を兼ね備えていりわけか
楓は奉仕系どうなんだろ?

406 :名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 09:34:36 ID:EjH43a/r
奉仕することに依存しているというか…
主人公への愛というよりも、自己を確立するための奉仕は正直微妙な感じだな

407 :名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 16:27:04 ID:CdbVj8TQ
>>403
お七か…
MADのマリナはまんまやってたけど

408 :名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 21:16:29 ID:locB5dmf
マリナドールとマリナ専用ティエレンか

409 :名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 22:13:35 ID:tTZRvDga
>>404
むしろ男が惹かれた女を攫ってきて、あなたもこの人に奉仕しなさいとかするぐらいキレてないと

410 :名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 22:38:19 ID:7nE1dI1A
でも俺は最初は男の幸せを思って尽くしていても、途中で気持ちを抑えきれなくなり暴走してしまう女のほうが好みだけどな

411 :名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 23:17:18 ID:H/JZCd5R
メイドロボなら包含条件を満たすと思った

で、『アハ、壊れちゃったぁ…』と自己判定、ロボット三原則を破棄して主人の周りの女を次々と

412 :名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 23:23:16 ID:hfnsuHcs
ロボット三原則で西博士が作ったあのロボ娘を連想して
そういやエセルドレーダもヤンデレ入ってるかなぁ、と徒然と思ったり
奉仕系ヤンデレで思いつくのは後電波的なの雨だな


413 :名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 23:34:16 ID:JWtXWYYD
REDのムラサキとか…いやあれは独占系か



男だし

414 :名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 23:37:25 ID:CdbVj8TQ
REDはブルー様とかグリーンウェルとか男ヤンデレ多いよなぁ…

415 :名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 00:44:34 ID:0wycU6uo
 

416 :名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 06:25:17 ID:onTGHg5g
マスクド・ドラゴンの沙希タンみたいな、
改造人間の葛藤+恋愛でヤンデレキャラにしたら最高だと思うんだが

417 :恋の病はカチカチ山をも焦がす:2008/02/08(金) 07:13:56 ID:hsHjATE+
余り動きが無いようなので小説でも投下してみる。

418 :恋の病はカチカチ山をも焦がす:2008/02/08(金) 07:16:58 ID:hsHjATE+
 その山に住んでいる狸は決して不細工ではなかった。
 ただ、欠点があるとするならば何処と無く人に不安感と不快感を覚えさせることは確かだった。
 例えば、何時もおびえたようにビクビクしてた。
 また、上擦った声で、追われているのか脅されていているのか解らない様子で捲し立て、相手が欠伸一つして呆れた目で見つめられたならばそのまま押し黙ってしまう。
 あるいは、歩いている姿など不安定で苛々させては蹴り飛ばされる。
 それは散々であった。

 そんなわけだから、狸は穴倉から出ずに本を読み、レコードを眺めながら音楽にうっとりしては自分の孤独に嘆くことを喜びとしていた。
 相変わらず穴倉で狸が音楽を聴きながら、数少ない喜びの時間に浸っていると、一匹の兎が穴倉にやってくる。
 この兎は大層美人であった。肌は雪のように白くてみずみずしく、身体の均衡も取れており、顔立ちも目がぱっちりしており切れ長で、漆黒の髪がますますその美しさを演出する。動物の誰もがあの娘を抱けたらいいのになあ、と思いながら羨望の目で眺めていたのは確かだった。
 しかし問題はその性格の悪さであった。
 この娘は人の前ではにこにこしながら愛想良く過ごしてはいたものの、狸の前ではその残虐性を顕わにしていた。

419 :恋の病はカチカチ山をも焦がす:2008/02/08(金) 07:18:23 ID:hsHjATE+
 狸が終始びくびくしていたのはこの娘のせいもあったかもしれない。
 しかし、何時もの狸のことだ、きっと狸がまた悪さをしたに違いない、
 と動物達は同情を寄せてくれないどころか、むしろあのような美人の娘に構って貰えるのだから、
 世の中というのは不条理であり詰まらぬものである、と溜息を尽き、
 ある動物なんかは狸に受ける様々な虐めに被虐的な快楽を見出しては身を震わせている奴までいる始末。
 こんな調子であるわけだから、狸の風当たりが強くなるのは目に見えた話である。

「狸さん、おはようございます」

 そのように溌剌とした声で狸に挨拶をする。
 狸は飛びあがらんほどに驚き、その姿を確認する。
 兎はくりくりとした瞳で見なれた穴倉を見渡す。
 狸はまたこれから何が起きるのか、びくびくしながら横目で見ていた。
 こう何度もあってはもう諦めが付いており、ただただ肩を下げるだけだった。

「で、今日はなんのようなんだ」

 溜息交じりに語る狸。

「いえいえ、狸さんは独身でしょうから、栄養が整った食事などされてないでしょうから、私が手料理を持ってきたのです」

 狸は一瞬、おや、この子にしては珍しい気遣いだな、と感謝したのだが、それを期待した自分が馬鹿だったと後悔する。
 兎が取り出した豪華な重箱からは異臭が立ち込めていて、非常に不安にさせた。


420 :恋の病はカチカチ山をも焦がす:2008/02/08(金) 07:20:04 ID:hsHjATE+
「あの、兎さん、あの……」
 狸は重箱と兎の顔を交互に見ながら、口をぱくぱくさせていた。
 兎は笑みを崩さず、重箱を開ける。
 一体、この料理は何だろうか?
 鵺みたいにあらゆる物が分離合体し、
 元の材料が何だったのか、
 そもそも何の料理だったのかわからなくなっていた。
 狸は念の為に、震える箸で料理に手をつける。
 持ち上げた芋状の何かは無残にもぼろぼろと力なく崩れていく。

「いや、その、兎さん、なぜ私にわざわざ食べさせようとするのですか?
 兎さんのような美貌を持ってすれば、 男なんてよりどりみどりで御座いませんか。
 そして最も愛するような男性に手料理を食べさせればいいではありませんか、
 違いますか?」

 そのように哀願するような顔で兎に語る。
 兎は耳をピンと伸ばし、すました顔で述べる。

「確かにその通りですよ、狸さん。まず第一に、私にふさわしい人がおりませんし、愛する男性もおりませんしね。
 それに狸さんがこの役目には一番よろしいかと思われるのですよ。何故なら、下手な男性に試食を頼んで
 殺人罪にも問われたりしたら、私の身柄が危険ですからね」

 そう笑いながら兎をくすくすと笑う。

421 :恋の病はカチカチ山をも焦がす:2008/02/08(金) 07:21:19 ID:hsHjATE+
 狸はぎょろりとした目を向けながら
 ――なるほど、この少女に料理が下手だという自覚は一応あるのか――
 と思う。
 「万が一、残したとするならば、狸さんが私の料理をまずいといって食べてくれないのです、
  と周囲の動物に泣きついたりしますので、その覚悟で挑んでくださいね」

 狸は自らの不運を嘆いた。
 全く、碌な動物に掴まれたもんじゃないな、と天を仰ぐ。
 狸は目を瞑り、一心不乱に料理を書きこむ。

「それでは味も解らないでしょう?もうちょっと味わって食べたほうがいいと思いますよ」

 狸は、ああ、味など解らなければいいのに、と思う。
 狸の表情がみるみるうちに青ざめていく。
 味を跳ね除けたあとは触感である。
 ねちゃねちゃとまとわり付き、歯茎の間から満遍なく染み渡りそうな、不愉快な感触が口に広がる。
 狸は箸を握り締めぐっと耐えていた。脂汗があとからあとから滲み出てくる。
 兎はそれを見て満足そうに、まだ残ってますよといわんばかりに料理を勧めるのであった。

 狸は完食し終わるとそのまま床に倒れ、泡を吹いてしまった。


422 :恋の病はカチカチ山をも焦がす:2008/02/08(金) 07:23:25 ID:hsHjATE+
 
***
 
 狸はニ三日後によろよろと置きあがり、目の前にある重箱を見て、涙した。
 何故、自分がこのような目に会わなければならないのか。
 確かに兎は美人だ。だがこの仕打ちはあるまい。
 俺はただただ、誰からも放っておかえるような
 、気の楽な人生を送りたかったに過ぎない。
 それが、あいつのわがままで全て台無しにされていく。
 自分が気に入ったレコードのどれだけが割られ、書籍は破られたことか。
 そのようにぽろりぽろりと愚痴っていると、狸はふと空腹感を覚えた。

 仕方が無い。
 何か食料でも探しに行くか。

 胸が相変わらずむかむかするけれども、背に腹は代えられぬというわけで、いそいそと外へ出た。

 腹が減っては戦が出来ぬ。
 空腹は感性というものを著しく低下させてしまう。


423 :恋の病はカチカチ山をも焦がす:2008/02/08(金) 07:26:41 ID:hsHjATE+
 事実、この狸の場合もそうだった。
 普段であるならば、

 ふん、こんな罠には引っかかる動物が何処にいるのだ、

 と鼻で笑って通りすぎていくような稚拙な罠だったのだが、
 兎の料理の為か、それともその空腹の為か、あっけなく引っかかってしまう。
 狸はこのような不運を呪った。ああ、なんたる惨めな人生なのか。
 小娘には言いように扱われ、
 動物達からは阿呆だの馬鹿だの罵られ、
 挙句の果てに罠に掴まり鍋へと放りこまれ、
 人間の腹で栄養となって死ぬ。
 ああ、何故自分は生まれてきたのか。狸は自らを罵った。
 暫くするとお爺さんが現れた。恐らく罠を仕掛けた張本人なのだろう、今日の獲物に満足げの様子であった。
 
***
 
 狸は力も無くうなだれていた。
 狸は縄でぐるぐる巻きにされ、柱に括りつけられていた。
 狸はぽつりぽつりと涙をした。

424 :恋の病はカチカチ山をも焦がす:2008/02/08(金) 07:27:55 ID:hsHjATE+
 その様子を見ていた独りの娘がいた。
 この狸を捕らえたお爺さんの娘であり、
 着物のよく似合うおしとやかで清楚な美人であった。
「狸さん、狸さん、そんなに何を泣いているの?」
 狸はその娘が何者かを知らずに自分の一身の不幸を訴え続けた。
「俺はよう、俺はよう、今の今まで一生懸命生きてきたんだよお、
 せめて誰にも迷惑をかけないように、皆のためをおもって頑張って生きてきたのによう、
 いまじゃあこんなありさまだ。俺は不細工だし身なりは汚いしよお、
 神様か仏様かしらねえけどよお、俺みたいな奴は早く死んでしまえという思し召しなんだよお、
 それが憎くて憎くてよお」

 狸は留まることを知らなかった。娘はただにっこりと聞いていた。
 娘の胸のうちには同情もあったかもしれない。

「狸さん、そんなに悲しまずに。貴方は全然不細工でも小汚くもありませんよ」
「嘘だ、嘘だ、娘さんはそうやって俺を騙そうとするのだ」
 娘はクスクスと笑うと、柱へと向かい、するするとその結び目を解いてしまった。
 縄は緩やかになり、狸の足元にはあれほど苦しめてきた縄が力もなく横たわっていた。


425 :恋の病はカチカチ山をも焦がす:2008/02/08(金) 07:29:40 ID:hsHjATE+
 狸は周囲を見渡して呆気に取られてしまった。

「な、なあ、俺が性の悪い狸だと知っていて、こんなことをするのか?」
 娘はまた笑って答える。
「悪い狸ならば、縄が解けた途端に逃げ出していると思いますよ」
 狸は娘のひざで泣き出し始めた。
 娘は、狸の頭を少し撫でてあげると、もう行かなければお爺さんが帰ってきますよ、と優しく諭してあげた。
 狸は顔を上げ、少し頭を下げると一目散に家へとかけていく。
 家はぐんぐんと離れ、何時の間にか小さくなっていた。
 もう、ここまでくれば安心だろうと木陰に因りかかり、あの美しい娘のことを思い出していた。
 娘のことを思い浮かべると何やら鼓動が早くなり顔のあたりに火照りを感じるようになっていた。
 最初は、余りにも走りすぎていたが故のことだ、思い違いだと頭を振ったのだったが、何時しかそれは確信に変わっていった。
 それはつまり――ああ、俺はあの子に恋をしているのだな――と狸は確信した。
 狸はそれからというものの、人目を盗んでは家へと向かった。
 そしてその娘を陰で見送り、こっそりと玄関に柿や栗の実を落とすことしか出来なかった。


426 :恋の病はカチカチ山をも焦がす:2008/02/08(金) 07:31:17 ID:hsHjATE+
 
***
 
 兎は何時ものように狸を虐めてやろう、今日はどのように虐めてやろうかなどと思案をしながら穴倉へと向かっていた。
 すると、穴倉の外で何やら肩を落とし、溜息ばかりついている狸の姿が見えた。
 兎はなにやら変に思えた。
 というのは、何時もならばもう少し肩をびくびくさせて、
 今日はどうしよう、明日はどうしようと
 きょろきょろと見まわしている筈だったからだ。
 今の狸の様子は肩の力が抜け、なんだかぼんやりとしている様子だった。

 それが気に食わない兎は後ろから固い枝でぽかりとやった。
 狸は頭を抱えて振り向き、力なさそうに溜息をついた。
「ああ、なんだ、君か――はぁ」
 反応が余り無い狸を見て、面白くなさそうに枝を投げ捨て、改めて聞く。
「狸さん、何か落ちこむようなことでもあったのですか?」
 狸はあの調子で、はぁ、と溜息をつくと頭を振って答えた。
「いやいや、ある娘に惚れてしまったようなのだよ、兎さん。恥ずかしいことだ」
 兎は笑い転げた。
 狸は何がそんなにおかしいんだ、と少し苛立ちげの表情を浮かべた。


427 :恋の病はカチカチ山をも焦がす:2008/02/08(金) 07:32:41 ID:hsHjATE+
 兎は笑いを抑えながら、狸にこのように述べる。

「あははは、まさか、まさか貴方が恋をするなんて、
 これほど滑稽な話はございませんよ、
 貴方の何処にその恋が実るような要素があるというのですか、
 それこそ馬鹿げた話ですよ、あははは、死んでしまう、死んでしまう」

 腹を抱えて笑う兎を、狸は恨めしそうに眺めていた。

 確かに、俺みたいな男が、あのような器量の良い娘に好かれるということは殆ど無いだろうことは間違いが無い。
 むしろ逆に恐怖を覚えられ、お爺さんに告げ口でもされようものならば、
 彼の人生は瞬く間に終わってしまうであろうことは事実であった。
 しかし、狸にとって、もはや娘にそのような虐げられ方をされようとも、
 娘無しにこの人生はありえず、拒絶されたとするならば、
 惨めに死んでいくのも構わないとまでに思いつめていた。

 狸はすくと立ちあがると泣くのを止めて走っていった。


428 :恋の病はカチカチ山をも焦がす:2008/02/08(金) 07:35:40 ID:hsHjATE+
 その姿を見て兎は呆気に取られていたが、狸の姿が彼方に消え去ると、
 先ほどの嘲笑うような表情とはうってかわり、唇をかみ締め、わなわなと震えて、呟いた。

「あんな女の何がいいというのだろう……
 私が、私が、誰からも相手にされない貴方のことを構ってあげていたのに、
 少しかわいい女が現れたらすぐころりといってしまう……
 あんな女の傍へ行った所で、惨めに振られるか捨てられるかだけなのに・……
 今なら頭を下げて私のところに戻ってくれば、百倍も虐めてあげるのに……
 一生一生、五体が動かなくなっても一生虐めてあげるのに」

 兎は何やらくすくすと笑う。兎の笑みは何処となく歪んでいた。

「そんなことも理解できない狸には少々きついお灸を添える必要があるみたいですね」

 狸の居なくなったこの場所に用はない。
 兎はその場を離れた。

429 :恋の病はカチカチ山をも焦がす:2008/02/08(金) 07:36:39 ID:hsHjATE+
第一話投下終了。
スレ汚し申し訳ない。

430 :名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 07:38:42 ID:yOKAx1z/
>>428
早朝からGJ!
リアルタイムで読ませてもらったぜ
御伽噺ちっくな物語で個人的にはかなりツボだ

431 :名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 07:57:13 ID:+X7S0ZD5
GJ!
でもやだなぁ。原作通りだとこの後、狸殺人容疑かけられて、兎に死刑にされるんだぜ。
あんまりに報われねぇ。

432 :名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 08:27:33 ID:e3Gp+I7m
>>431
それ原作やない、改変アニメや!

433 :名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 08:43:35 ID:qlj01ah8
どうか狸に幸せを。

434 :名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 09:11:09 ID:An6tiquO
とぼけたキャラ配置と大正〜昭和初期ふうの文章が、
なんともいえん味わいを醸し出している。ヤンデレも
奥が深いなあ。脱帽だ。GJ!

435 :名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 09:31:00 ID:Kzw1VghW
これは期待。

436 :名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 09:52:19 ID:Ey7xCLUR
昔話系は大好物だ
次回wktkして待ってます

437 :名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 10:08:35 ID:AXVrcm1Q
>>428

超GJ&期待っす
どうか狸に幸あれ


438 :名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 20:19:39 ID:CCBcbRIW
>>428
GJ!
こういう話は大好きだ
これからも期待してますよ

439 :名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:03:58 ID:6OAPbaSr
>>428
面白かったのだが、一つ気になる事が…

兎のデレが無いのは気のせいか?
それとも、これからに期待?

440 :名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:06:30 ID:ZmT4y+W+
>>439
気が早い

441 :名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:08:09 ID:Ig7geVJs
なんか、筒井康隆の文体の匂いを感じるの俺だけか?

442 :名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:15:39 ID:zuzakOfq
GJッ!! オラわくわくしてきたぞ!

443 :名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:34:47 ID:ewzM2TNf
>>441
実は俺もだ。

444 :名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 14:51:06 ID:qvYSmSGh
慈円乙

445 :名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 17:50:12 ID:o90fOjYf
ヤンデレにありがちなこと
・親になるとDQN
・法律のことなんて気にしない
・相手のことなんて気にしない
・頭がいい
・超変態
・女と喋っただけで嫉妬 または見ただけで嫉妬

446 :名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 19:07:53 ID:0ScQq26a
思ったんだが、それってヤンデレではなくてただの嫉妬深い女だろ。

447 :名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 23:55:39 ID:2uae5pK7
空鍋様とか相手の気持ちを尊重しすぎたせいで爆発してるしな

448 :名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 00:35:27 ID:ASZ1Gaha
・暗い部屋で名前を連呼

449 :名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 01:27:13 ID:F7gVrUw4
>>447
あれは自分の気持ちを慰める為でもあるからなぁ
しかし楓は原作版もあれはあれで充分歪んでると思う。

450 :名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 07:34:58 ID:6qM3OOdq
>>449
俺の嫁がどうかしたか??

451 :名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 09:27:08 ID:ys4sDJPy
>>450
稟乙

452 :名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 02:03:40 ID:4zY0/7dX
>>449
参考までに、原作のほうの楓はどんな風なのか教えてくださいませ

453 :名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 07:05:57 ID:7fHl2qu3


454 :名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 07:13:03 ID:YrCZj8ml
>>452
ひたすら一途
稟から告白してもそんな資格はないと断って、でもお世話をさせて下さいと言うくらいに
まあ、自分の気持ちを裏切るくらいに一途だからその辺が歪んでるとも言う

455 :名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 23:18:21 ID:gvYdcvh8
別キャラルートに入らないと強制的に楓ENDなのも面白いよな
とは言っても原作の楓はアニメとはまったく別物だからヤンデレを期待してると肩透かしになるだろうな

456 :名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 00:32:31 ID:Pa5Z0FvB
それは初耳だ。興味深いな>強制的に楓END
アニメしか知らないけど、方々で聞いた話を総合すると「病んでる」じゃなくて「歪んでる」印象を受けるな、原作楓。

457 :名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 00:42:09 ID:RbJ/A09U
>>456
原作では日常バッドがないから、全員の好感度が規定値に達していないなら楓ルートになるって話だと思う

458 :名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 00:55:43 ID:dBSByQBQ
よくよく考えればよくあの原作で修羅場イベント作ろうなんて思ったよな
みんな原作だと後半で「自分は、凛くんと付き合う資格がない」って戦線離脱したり、
もう一つの人格に譲ったりする良い子ばっかなのに

459 :名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 01:21:06 ID:SfcZ5Yf3
監督がオリキャラ投入により信者を発狂させたみなみけおかわりの人だからじゃね?

460 :名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 02:24:49 ID:MAFCco93
このスレ的には病んだのは良い改変だったんじゃないの?
まあ信者がどう思ってたかは知らんけど

461 :名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 03:27:14 ID:aQ1r/o7y


462 :名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 06:41:42 ID:pgnlAjt8
>>458

>みんな原作だと後半で「自分は、凛くんと付き合う資格がない」って戦線離脱したり、
もう一つの人格に譲ったりする良い子ばっかなのに

え?悪い子だろ?

463 :名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 20:04:34 ID:pY6YeEC0
これは?携帯だけだけど
ttp://courseagain.com

464 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/13(水) 00:27:57 ID:E7a9J8wT
第二話、投下します。

465 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/13(水) 00:30:00 ID:E7a9J8wT
 ***
 
 兎は最初、狸を馬鹿にしていた。
 馬鹿にして悪戯を仕掛けていたのは間違いない。

 兎が最初に狸を見たのは、川岸であった。
 狸は、そこでのんびりと釣りをしていた。
 兎は、少しからかってやろうと思い、川へと石を投げた。
 石に反応した魚は散るようにして逃げていった。
 狸は何やら肩を落として、その様子を眺めていたように思う。
 狸は後ろを振り返らず、またゆっくりと釣り針にうねうねと身をもじるみみずをちぎり、
 丁寧に針へつけ、ひゅんと川へ投げ込んだ。
 先ほどの喧騒を忘れたかのように魚が帰ってくると、兎は面白そうに、また石をぽちゃんとやった。
 逃げていく魚。
 また狸は肩を落とす。
 兎はその愚鈍な狸をけらけらと笑っていた。

466 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/13(水) 00:30:41 ID:E7a9J8wT
 その笑い声に気がついたのが、狸は振り返る。
 きっと狸は怒鳴り散らして追いかけてくるだろう、
 そのときは自慢の足で逃げ切ってやろうと思っていた。
 だが、予想に反して狸は兎へと手招きして、川につけてある魚籠を見せた。
 その中には魚が数匹、この後の運命を知らずにのんびりと泳いでいた。
 狸はその何匹かを上手に串に刺して、兎に渡した。
 兎は呆気に取られていると、狸はまたどっしりと腰を落として、魚釣りをやった。

 兎は馬鹿にされていると思い、狸に石を投げた。
 頭にぽかりとぶつかる。
 さすがにここまですれば愚鈍な狸も怒るだろうと思っていた。
 だが、狸は目をぱちくりしたあと、このように言った。

「なんだ、魚が欲しかったんじゃなくて釣りをしたかったんだなぁ」と。

 兎はここまで愚鈍な動物がいたとは、と心底飽きれた。
 その時から、狸に対してさまざまないやがらせをしていた。

 例えば穴倉の前に落とし穴を作ったり、
 あるいは彼が大事にしていた収集物を壊したり、
 あるいは濡れ衣を着せては動物達に責めさせたり。

467 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/13(水) 00:31:03 ID:E7a9J8wT
 その行為は悪意に満ちたものだったけれども、それでも狸は怒らなかった。
 ため息を吐き、なにやら諦めたような顔をしてまた歩いていく。

 兎はいつしか彼に惹かれていたのかもしれない。
 狸は愚鈍だっただけではなく、何処か達観したような何かを持っていたのだと思う。
 狸に、そのように仕向けたきっかけは解らない。
 狸は粘り強く兎の悪戯を我慢した。
 兎にとって、狸は何処か信頼の置ける人物となっていったのだろう。

 ならば、諸君はなぜ兎は告白しなかったのかとたずねるだろう。
 しかし、兎にとってはもはや自分から告白するなどは考えもしなかった。
 狸が泣いて謝って許しを請うだけではなく、奴隷として名乗り出て、
 一生を共にすることを期待していた。

 狸が奴隷として一生を遣えるとするならば、
 兎は少し苦虫を潰した顔をして、渋々と了解しようと思っていた。
 それに、狸のことを好意もつ動物などいないだろう、と思っていた。
 だから兎は余裕を持つことができたのだった。
 しかし、兎が余裕を持っていたのも"あのとき"までだった。

468 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/13(水) 00:32:11 ID:E7a9J8wT
 若干、兎は焦っていた。
 狸が、他でもなく私ではない誰かを好きになるとは考えても見なかったからだ。

 兎には自分に言い聞かせていた。
 狸のことなど好きになる奴などいない、
 どうせ傷心して帰ってくるに違いない。

 その時は、立ち直れないほどに詰ってやろうと考えていた。
 私以外の女性を好きになった罰として。
 もう他の女性などを好きにならないようにだ。
 
 ***
 
 狸が焚き木の束を背中に背負うと、えっちらほっちらと、
 均衡の取れない不恰好な歩き方を始めた。

 これほど、体を使ったことがないのだろう。
 兎は笑いながら、背中を蹴飛ばした。
 狸は前ののめりで倒れると、振り向いて、溜息をついた。

469 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/13(水) 00:33:03 ID:E7a9J8wT
「また、お前さんか」

 狸はよっこらせと立ち上がり、またえっちらほっちらと山を降りていく。
 兎は後ろから付いていって、顔を覗き込み、尋ねる。

「ねえ、あの時、何処へ行っていたの?」

 狸は、頭を少しかき、照れくさそうにする。
 兎は何を柄にないことを、と訝しかった。

470 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/13(水) 00:33:40 ID:E7a9J8wT
「いやあ、そのな、一目惚れした娘さんがいてよお、
 つい前まで贈り物するくらいしかできなくてよお、
 ほら、俺が好きになったとしても、娘さんに迷惑がかかると思ってしまってよお、
 遠巻きに見るしかねえと思ってたんだよ。
 だけど、こないだそれだと埒が明かない、
 もう壊れてもいいから当たって砕けろの精神でよお、
 向かっていったわけさ、すると

 『そう、やっぱり貴方が柿や栗や茸を置いていってたのですね』

 と喜んでいてよお、そのあとは、まあ、なんというか、うん、そそその……、
 両思いって奴でさ」

 狸は喋りながら顔を真っ赤にしていく。
 兎は何かが崩れたような気がした。
 もしかしたら狸の妄想かもしれない。
 いや、振られた衝撃の為、現実と妄想の区別がついていないのかもしれない。

471 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/13(水) 00:34:08 ID:E7a9J8wT
 兎は声を震わせて言う。

「そんなこと……
 そんなことあるわけがないじゃない……
 騙されているんですよ、狸さん」

 狸は相変わらずあっけらかんとしている。

「ああ、俺なんかを好きになってくれる人なんていないだろうさ、
 俺はそれでもかまないよ、あの娘が喜ぶ顔があれば、
 俺にはいいんだよ、だから別に騙されていたってかまわないよ、
 そのときはそのときだ、俺は頭を下げて穴倉で寝込むだけだよ」

 兎はそのことを聞いて、目の前が暗くなったように感じた。
 狸がそれほどまでに娘を愛しているという事実がそこにはあったからだ。
 そして何か別の感情がめらめらと心の奥からわきあがってくることに気が付いた。
 それは兎が今までに感じたことのないような感情であった。

472 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/13(水) 00:34:56 ID:E7a9J8wT
 嫉妬。
 兎は嫉妬したいたのだ。

 狸は陽気な鼻歌を鳴らしていた。
 兎は懐から火打ち石を取り出した。
 そして、背負った焚き木に火花を散らしていた。

「おや、兎さん、何か、かちかち、という音がしないかね」

 兎はとぼけた顔をして狸に言う。

「ええ、ここはかちかち山というんですよ」

 狸はなにやら浮かない顔をしてたずね返した。

「いやあ、俺はここに十数年住んでるけど、そんな話聞かなかったぞ」

 兎は済ました顔で言う。

473 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/13(水) 00:35:39 ID:E7a9J8wT
「あら、狸さん、そんなに他の動物と話をしたことないくせに。
 じゃあ教えてあげますわ。

 この山で、ある男性に恋をした女性が、
 その男性と焼身して無理心中しようとしたのですよ。
 なにしろ、その男性は隣村に奉公に行く最中でしたが、
 離れ離れになるならば死んだほうが良いと寝ている時を襲い、
 燃やしてしまったのですよ。

 いつしかこの山はかちかちと音がして誰かまわず燃やしてしまうと
 評判になっているのですよ」

 兎は恰も、あった話かのように淀みなく話をした。
 狸は何やら納得したような、しないような曖昧な表情を浮かる。

「いやあ、俺になんか嫉妬するような女性なんていないよお、
 むしろ女性のほうから逃げていくよお」

 と少し自嘲ぎみの笑みを浮かべ俯いた。
 兎は、あらあら、その女性は目の前にいますのにね、と思っていたが、
 口には出さなかった。目の前の焚き木にはだんだんと火の手が上がる。

474 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/13(水) 00:36:34 ID:E7a9J8wT
「なあ、兎さん、なにやら暑くはないかなあ、それに、ぼうぼうという音もする」

 狸は汗を腕で拭いながら言う。
 兎は相変わらずすました顔で答える。

「ええ、一度ついた嫉妬の炎は消えることなく燃え盛るものですから」

 流石に愚鈍な狸でも、背中に付いた火に気が付いた。
 しかも、狸は焚き木が落ちないようにと腰にしっかりと
 結び付けていたものだから、焚き木を降ろすことができなかった。

「うわあ、あつい、あつい、兎さん、兎さん、何で教えてくれないんだよお」
 狸は泣きながら結び目を解こうとしたが、
 焦っている手前、なかなかほどけてはくれない。
 とにかく川へと走り出す。

「だから言ったでしょう、一度付いた嫉妬の炎は消えないのです」

 兎はその姿を見ながら冷ややかな笑みを浮かべた。

「そうですよ、私以外の女性が好きになったらこういうことになるのです」

 もはや狸は小さくなっていっていた。
 狸の向かうところには川が見えた。

 兎は、後の焼けどが大変だろうな、とくすくす笑っていた。

475 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/13(水) 00:39:15 ID:E7a9J8wT
投下終了です。

476 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 00:39:42 ID:z0mtyeaj
oo

477 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 00:40:29 ID:yzOs/PJb
うおおおおお、やっぱり嫉妬はいい!
ひたむきな嫉妬はいい! ……ヤンデレスレだけど

GJ! GJ!

478 :いつのまにアク禁とけたんだ、おれ:2008/02/13(水) 00:40:39 ID:z0mtyeaj
まちごうた
GJ!つかうさぎ怖ええ

479 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 00:41:24 ID:a5Wmyhcv
>>475
嫉妬イイ!
久しぶりに萌えたww心が震えたwwwww
GJ!

480 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 00:41:47 ID:ekw4wFVF
>>475
リアルタイムGJ!!

481 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 01:22:01 ID:O33HgO5t
>>475
狸に惚れた! 兎の嫉妬もむべなるかな、と思わせるキャラで、とてもイイ!
兎かわいいよ兎。GJGJGJ!

482 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 02:55:19 ID:A5vAT1F2
ウサギむかつきますな

ともあれGJ

483 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 03:02:38 ID:POA4jIG0
>>482
君は一度嫉妬深い女性に背中を焦がされたほうがいいな

>>475
GJ!!これからの兎に超期待!
でもそれだと狸が…

484 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 03:29:07 ID:lZYhu3dP


485 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 08:28:17 ID:y+OucXp8
>>475
GJっす!

今後の兎のデレ分に期待したい

そして狸…死ぬなよ…

486 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 12:40:02 ID:uK43VcgK
>>475
GJ!!

原作どおりだと狸死ぬよね……


487 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 13:00:02 ID:ih6kSV5/
太宰のカチカチ山でも兎は悪女なんだよな
狸←兎じゃなくて狸→兎だけどw

488 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 18:37:04 ID:wDqWFNBR
>>475
GJ!

とりあえず狸と友達になりたい

489 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 19:17:48 ID:ih6kSV5/
今更だがヤンデレの魅力とは何なんだろう?
最近ツンデレ同様にヤンデレが俗化する傾向にあり、にわかも増えてきた
結局ヤンデレの魅力、いやさヤンデレの真髄は何なのだろう?
最近じゃ単に狂気や猟奇があればいいという風潮にあるが
だからレナもヤンデレになるんだろうな

490 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 19:21:42 ID:YumLN2vO
そんな議論どうでもいい

491 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 19:49:38 ID:ih6kSV5/
単なるキチガイをヤンデレにした方がわかりやすいから?

492 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 20:13:05 ID:ekw4wFVF
相手を愛しすぎてヤンでしまうところがいいんじゃないか?
最初は普通の価値観をもつ少女でも、男君を愛しすぎてしまったが故に、男君を手に入れるためにはどんなことでも厭わないという思考を持つようになる究極の純愛だと思う
 
病むほどのデレがあってこそ初めてヤンデレと言えると思う
猟奇は大した問題じゃない、というか趣旨が違う

493 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 20:28:52 ID:v3JoR40Q
想いが肥大して赤色巨星みたくなったあげく自重で内側に潰れていき、しまいにゃブラックホールに…。

みたいなのを書こうと思った時期が俺にもありました。

494 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 20:50:27 ID:GsPkVf2x
>>493
まだ遅くない
ssを書くんだ

495 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 21:10:03 ID:YHHRf9lh
明日はバレンタインか・・・
ヤンデレの女の子が、血と愛液が混じったハート型のチョコを持って来てくれないかな〜
一人は辛いぜ!!ちっくしょー!!

496 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 21:24:32 ID:l/m6yGoH
>>495
最近電柱の裏に隠れている美女がお前をジロジロ見てたんだが・・・。

497 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 21:42:46 ID:asrnyYam
>>495に素敵なフラグが立ってるな。


ところで勢いで書いた短編を置いていく。杜撰で済まない。

498 :君になら殺されてもいい:2008/02/13(水) 21:43:44 ID:asrnyYam
屋上に2人。僕と彼女は立っていた
。突き抜けるように青い空、あおい、蒼い空を仰いだ。
空っぽの僕の心よりずっとあおい。
太陽が眩しい。

「泣いているの?」

彼女が僕に問いかける。

「空が眩しいんだ」

僕は彼女の問いに答える。
視線を空から彼女に戻した。長い黒髪はいつ見ても本当に綺麗だ。
白かったワンピースは膝までに破れてしまっている。

視線が交わった瞬間、僕と彼女の時は止まった。
止まった時の狭間でも僕は何も思わない。
悲しいも嬉しいも幸せも寂しいも。

「泣いているの?」
「君が二度も聞くってことは泣いているんだろう」
「あなたを哀しませてしまったのね」
「君が誰かを殺したことが悲しいんじゃないよ」

眉をひそめて申し訳無さそうな彼女。
白かったワンピースは返り血で赤い。
赤い紅いあかぁい血の色。
僕の父と僕の母と僕の妹の血の色。

その血を見て何も思えない僕は問題なのか。
その彼女を見て何も思えない僕は問題なのか。



499 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 21:43:52 ID:a5Wmyhcv
俺はどうせ今年もゼロだよバーロー

500 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 21:44:02 ID:v3JoR40Q
支援

501 :君になら殺されてもいい:2008/02/13(水) 21:44:56 ID:asrnyYam
「なにが悲しいか当ててあげるわ」

彼女は諦めたような顔で空を仰いだ。

「私が何をしてもあなたは私を好きにならないことが悲しいのでしょう?
 そして正確には悲しいというよりどうでも良いんでしょう?」
「当たりだよ、驚いたな」
「だって私はそんなあなたが好きなんだもの」

目を閉じて踊るように歩きだす。
白かったスカートが重たげに揺れ、黒く美しい髪が軽やかになびく。

空っぽの僕に近づいて来る。

「何にも執着しないあなたが好き、
 何にも捕らわれないあなたが好き、
 何も大切にしない出来ないあなたが好き」

歌うように言葉を紡ぐ。
五メートルほどあった僕と彼女の距離はゼロになった。
彼女の左手は僕の唇に触れ、彼女の右手には包丁が紅く光る。

風は無い。鳥は鳴かない。誰も来ない。

「私のことを好きになるようじゃ興醒めだわ」
「なんとも素敵な告白だね。じゃあ僕は君の望み通りじゃないか」
「そうね」

ぱっちりと目を開けしっかりと瞳を覗き込んで。

「だからあなたを私に頂戴」

僕は笑った。正確には微笑んだ。

「そうだな。君になら殺されてもいい」

――――空っぽの器でいいならいくらでも君にあげよう。



502 : ◆5PfWpKIZI. :2008/02/13(水) 21:46:14 ID:asrnyYam
これしか無いんだ。済まない。
支援ありがとうございました。

色々な点で反省はしている。2月中には必ず再開する。


503 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 21:46:46 ID:a5Wmyhcv
割り込みスマソ

504 :495:2008/02/13(水) 22:36:22 ID:YHHRf9lh
>>496
それは本当か!?
くそ!俺には空鍋様という人がいるというのに!
ちょっと、文句を言ってくるわ。人をジロジロ見るなってな

505 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 22:45:56 ID:Wtu7Lhh+
>>502
こういう雰囲気は結構好きだ……ってか恋人作りの作者さんか
あの作品元々はバレンタインネタだったっけ、もう一年経つんだな

506 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 22:50:20 ID:Ifwve53h
>>504
お前ちょっと表出ろ

507 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 22:53:05 ID:wk9IXhvU
>>495!落ち着くんだ。

何故496は、495の正体を知っていたかを考えるんだ!
つまり496こそが・・・・・・

508 :名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 23:11:34 ID:uZ3ICv30
>>502
彼女もヤンだが僕も相当なヤンですな
……恋人作り、全裸でお待ちしてますよ

509 :名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 00:11:15 ID:ue68UZEY
>>507
俺がヤンデレ?ごめんだぜw

510 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/14(木) 10:30:27 ID:Eysd06wo
連日で申し訳ないですが、第三話投下します。

511 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/14(木) 10:31:08 ID:Eysd06wo
 
 ***

 狸は布団で横になり、唸っていた。
 まだ背中のやけどが痛むのだろうか、狸は寝返りをうつたびに少し叫んで飛び起き、
 いつものように自分の不運を嘆いていた。
 すると、扉が軽く鳴る。狸は重い腰を上げ、のそのそと扉に近づく。
 開けると、にこにこと笑っている兎の姿がいる。

 狸は肩を落とし、物憂げな表情をしてゆっくりと口を開く。

「兎さん、今日は一体なんの用事だよお……」

 兎は懐に抱えている壷を見せる。
 中には粘り気のある液体が入っている。

「いえいえ、狸さん、こないだはとても不幸な目に会いましたね。
 まだ傷も癒えていないかと思ったので、知り合いの薬師に、
 やけどに効く薬を分けて頂いたのですよ」

 狸は少し溜息をつき、弱弱しく言葉を返す。

512 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/14(木) 10:33:13 ID:Eysd06wo
「その薬というのも、唐辛子が入っていたりして、肌がひりひりとなったりするのだろう……
 あるいは、法外な値段を吹っかけたりするのだろう……」

 兎は表情を崩さずに笑いながら返す。

「あらあら、狸さん、私はそこまで性悪ではありませんよ。
 ちゃんとした塗り薬ですし、お金もいりませんよ。
 それに狸さんは身包みを剥がせるほど豊かでもないでしょう?」

 狸は疑うような目をしていたが、兎が急かして中へと強引に入る。
 狸も半分は諦めた様子で、穴倉の中へと案内し、一枚の座布団を差し出した。
 兎はその上に行儀良く正座をする。狸は背中を見せる。
 背中は毛が無くただれており、怪我の痛々しさを伝えている。
 兎は塗り薬を指で救うと、手のひらを使って背中全体へと伸ばしていく。
 狸は塗られると何やら肩の力が抜けるような気持ちよさを覚えたが、
 段々と体が火照り始め、気持ちが高ぶりはじめた。

 特に女性と肌を合わせたこともない狸のことであるからして、
 この状況に対して耐性の無い狸が、
 扇情的な気分になるのも仕方がないことだった。


513 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/14(木) 10:33:59 ID:Eysd06wo
 また、かわいらしい兎がこのように肌へと薬を塗っていくと考えることが、
 何処か狸の妄想をかきたててしまうのだろうか。

 狸の下半身が段々と反応をし始め、自分自身をますます困惑させてしまう。
 流石にこのような情けない姿を見せないためにも狸は目をつぶり、
 落ち着かせようとした。

 暫くすると、手の動きが止まったのか、液体の粘るようなぬるぬるした感触が消えた。
 もう、塗り終わったから、安心できるかなと思う。

 しかし、今度は何か背中に圧し掛かかられているように感じる。

 目を開けると、首の前で、兎が手を交差している。
 狸が後ろを振り返ると、直ぐ傍に兎の顔が見える。
 白い肌の頬をほんのりと赤らめ、うっとりしたような目付きで狸を見ている。

 しかし狸には正直それが気持ち悪いとしか思わなかったし、
 狸をより一層困惑させる原因となっていた。
 それは考えれば当然のことで、兎にあれほどまで虐められてきたのだから、
 このようにされたとしても、素直に従うほどの度胸も甲斐性も狸にはないだろう。
 だが、狸の気持ちとは裏腹に、狸は兎の身体を求めてしまいそうになっている。

514 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/14(木) 10:34:22 ID:Eysd06wo
 いったい、俺はどうしてしまったのだろうか、と狸は思う。
 兎は身を乗り出し、狸の肩に顔を出し、耳元で誘うような甘い声でささやく。

「ねえ……狸さん……本当にあの娘のことが好きなのですね?」

 弱弱しく息があたり、呼吸の音が聞こえる。
 狸は顔を真っ赤にしてうつむく。

「いいいいやそそそそのおれはああああのこのことがすきで」

 緊張しているのか、このような状況に慣れていないのか、
 狸はしどろもどろになっている。
 上手く舌も回らず、身体も震わせていた。

 兎は狸の頬に手の平をあてて、ゆっくりと兎のほうへ向かせる。
 兎の顔がゆっくりと近づき、唇同士が触れ合う。そして、舌と舌が絡み合う。
 何も音のしない静寂の部屋で二匹の唾液が絡む音だけが響く。
 狸は、蒸気が吹き出んとばかりになっていた。
 唇を離すと糸を引き、呼吸に合わせて、二人の肩が上下する。

「おおおおい、うさぎさんおれおれをからかうのはやめてくれよお」

515 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/14(木) 10:35:27 ID:Eysd06wo
 狸は兎を突き放し、壁に寄る。
 兎は少し首を傾け、潤んだ瞳をぱちくりとさせている。

「何一つからかっていませんよ。
 寧ろ狸さん、貴方こそ、女性がこのようにしているのですから、
 もう少し構っていただけないと恥をかかせることになりますよ」

 そのように喋りながら、兎は距離を詰めて行く。既に兎は上着を脱いでいた。
 何時の間に、と狸は思う。
 ゆらゆらと揺らめく蝋燭の光に照らされて、兎の膨らんだ乳房に影が出来ている。
 その姿は淫靡に感じられ、ますます狸には直視が出来なかった

「はははははじとはいっても、おれはおれはむすめにはじめてをささげるつもりで」

 兎は狸の下着へするりと手を滑らせる。
 十分に硬くなった男根の頭部分から少し粘り気のある液体の感触が、
 兎の手のひらから伝わる。
 その液体を伸ばすように手で撫で回す。

516 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/14(木) 10:36:21 ID:Eysd06wo
「ふふふ……狸さん……
 私ならばともかく、他の雌に貴方の"始めて"を捧げるだなんて、
 本当に純情なんですね……本当は誰にも捧げられたないのに……
 私はそんな狸さんが好きで好きで仕方がないんです……
 でも、それが私ではないのが許せないんですけどね……」

 そっと狸の首筋に手を添え撫でる。
 狸の背筋が凍る。
 それは別種の怖さであった。
 狸はそれほど女性経験もないので、ちゃんとした言葉に出来ないが、
 それでも伝わってくる冷ややかな怖さ。
 虐めるときに見せるような怖さではなく、もっと違う、何かどろどろとした怖さを、狸は感じた。

「ああ……うさぎさん……うさぎさん……こんなことはだめだ、だめだよう」

 狸は身が硬くなってしまい抵抗すること出来なかった。
 兎の撫で回す感触にただただ震えるだけであった。

「何が駄目なのですか?本当はこのようなことを望んでいたのではないですか?」

 狸の耳元で囁き、そして耳を甘噛みし、そのまま耳の周りを舐めまわす。
 耳を這う舌の音がいっそう狸の欲望を駆り立てる。
 兎は狸の物を握り、優しく動かす。兎はまた続ける。

517 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/14(木) 10:36:51 ID:Eysd06wo
「狸さんは私の気持ちに気が付いてくれることを信じていましたよ……
 でも、そんなことは無かったわけです……
 むしろ貴方は自分に優しくしてくれた人にだまされてほいほいとついていったわけです……」

 狸は身を震わせ、唇を噛んでいる。兎は手の動きを早くする。

「最初のうちは貴方に虐め倒し、私を見るたびに震え上がり、
 従わざるを得ないところまで追い込もうと思いましたが、やめました。
 むしろ貴方に、あの小娘なんかには到底思い浮かばないような快楽を身体に教え、
 私だけしか抱けなくしようと思ったのです……
 あんな小娘なんかに、あんな小娘なんかに、貴方を寄越してやるものですか……」

 狸は兎の腕に力なく手を置く。

 最後の抵抗。

 狸は目をきゅっと閉じ、身体を震わせた。
 兎は手の中に暖かく粘り気のある液体が強く当たる感触を覚えた。

 きっと射精したのだろう。

518 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/14(木) 10:37:16 ID:Eysd06wo
 兎は手のひらを見つめ、舌で救いあげるようにして舐める。
 射精したせいか、狸はぼんやりとその姿を見つめている。

 一体、目の前の兎は、いつも見る兎なのだろうか?
 あの意地悪で虐めてくるあの兎なのだろうか?狸は動かない頭で考えていた。
 しかしその考えも次なる快楽の刺激が、それを阻害した。

 兎がひくひくと動く肉棒に兎は腰を降ろしていた。

「確かに私の料理は下手だと思いますが、
 あれは本当に貴方だけに食べさせるために作ったものですよ。
 あの料理には私の"愛"が入っていたのですから……

 ねえ、狸さん、何が望みですか?娘の体ですか?
 自慢じゃないですが、私はあの娘よりもよほど良い体をしていると思いますよ……
 自惚れなしに、ですよ……

 それに娘よりも一緒にいられますしね……
 私と一緒にいたほうがいいんです……絶対に……」

519 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/14(木) 10:37:52 ID:Eysd06wo
 兎は腰をなまめかしく動かす。
 狸はされるがままだった。
 何も考えることも出来ず、ただ力無く兎を見るだけだった。
 そのように腰をこすり付けられることで、狸は射精感を再び覚え始めた。

「駄目ですよ、狸さん……
 先ほど背中に塗った薬は、"愛液"によって、その効果が増えるんです……
 しかも若くて美しい娘の愛液ほど効果があるのです……
 さらにいうならば、その"愛液"が"精液"と混ざることで、
 効果が活性化され、治りがよくなるのです」

 狸にはもうそれが本当かどうかを考えるほどの気力はなかった。
 兎はそのまま、自らの穴へと棒を招きよせ、そのまま繋がった。

520 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/14(木) 10:41:18 ID:Eysd06wo
 ***

 狸が目を覚ますと、既に兎の姿はいなくなっていた。背中の痛みは既に引いていた。
 狸はぼんやりと顔をこすりながら、自分でも変な夢を見たものだなあ、と思った。
 ふと、狸が机の上を見ると、そこには達筆な字で
 
 『他の用事があります、ごめんなさい』

 と書かれた手紙と、毒々しい色の芋の煮っ転がしが皿に添えられていた。
 狸はふと台所を見ると、乱闘か何かの跡のように悲惨な状態になっていた。
 狸は台所を掃除することと、目の前の小皿に添えられた料理のことを考えると、
 段々と頭が痛くなってきた。

521 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/14(木) 10:43:25 ID:Eysd06wo
 ***
 
 兎は少し離れた草むらで佇んでいた。
 暫くすると、狐の行商が鈴を鳴らしながら歩いてきた。
 兎は手を振って呼び止める。
 狐は媚びるような笑いをして近づいてくる。

「おじょうちゃん、こないだはありがとね、どうだい、効いたかい?
 あの媚薬っつーやつは?肌にひとぬりすればたちどころに体が火照り、
 快楽だけにしか身動きできなくなるという奴は」

 手を揉みながらまくし立てる狐。兎は呆れた顔をして言う。

「全く、あいかわらず口が減らないのね」

 狐はへへへ、と舌を出した。

522 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/14(木) 10:44:39 ID:Eysd06wo
「これも商売のうちですからね、で今日は何にしましょう?
 この穴開き包丁は切れ味抜群でどれだけ切っても野菜が包丁にへばりつかないわけで
 お手入れも簡単とこれぞ主婦の見方というわけで」

「いえ、そんなものはいりません。
 "私は別に物理的に殺したいわけではない"のですから」

 狐は殺す、という言葉を聞いて、その兎の表情を改めて見つめた。
 確かに口元は笑っている。
 しかし目は笑ってはいなかった。
 狐も数年行商をやっているから、それほど勘が無いわけでもない。
 この目をした女性はたいてい似たような商品を要求する。
 狐の手のひらから汗が滲み出る。それは……

「一口舐めただけで段々と体が衰弱し、
 何時しか死においやってしまうような毒薬が欲しいのです」

 沈黙が流れる。
 荒涼とした草むらに風がざわつき始める。
 狐は天を仰いだ。きっと嵐が来る。どろどろとした嵐が。

523 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/14(木) 10:47:10 ID:Eysd06wo
投下終了です。

デレ分が足りないようなので入れてみたのはいいけれど
変になっているかもしれない orz

524 :名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 11:49:47 ID:VxM/ugdq
GJ!
狸がすげーかわいいw

525 :名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 13:28:11 ID:h7295RH/
さて残るフラグは泥舟に乗ってNice boat.ですか。
狸の生首を抱きしめるのは兎か……。
wktkしつつ続き待ってますGJ

526 :名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 13:43:51 ID:TiVqQ2b7
急にデレてきた兎かわいいよ兎。

でもまだなにか企んでるっぽいのな。

527 :名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 17:03:15 ID:zujCa/Sh
人間の女はどうでるか期待
グッジョブ

528 :名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 19:19:58 ID:8XdQMgiO
人間の娘さんが老婆役なら、殺して鍋にするんだよなぁ・・・

529 :名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 19:45:56 ID:AtoHhA1P
!!

530 :名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 22:29:39 ID:OB4soKPE
>>523
GJ!今後の展開が気になる
それにしても、今日はバレンタインだっていうのに誰からもチョコが貰えなんだわ
チョコ、欲しかったな・・・

531 :名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 22:44:13 ID:15RIRsL1
>>530
「あの……ずっと好きでした」

今日のために愛を込めて作ったチョコをおそるおそる>>530に差し出す。
頬が熱い。緊張し過ぎて目がちかちかする。>>530は驚いた顔のまま固まっていた。

「え……俺に?」
「はい」

チョコをわたす瞬間、>>530の指先が軽く触れた。それだけで体が熱くなる。

「……開けて食べて良い?」
「はい、もちろん」

目の前で食べてくれる。
予想以上に都合の良い展開にめまいがした。

532 :名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 22:45:13 ID:15RIRsL1
↑続かない

連投スマソ

533 :独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo :2008/02/14(木) 23:26:22 ID:28tXPm3E
大きくなったら>>531みたいな展開があるはずだ。
そう思っていた時期が私にもありました。

投下します。
タイトルは去年のクリスマスイブのSSと似せていますが、登場人物は違います。

534 :独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo :2008/02/14(木) 23:29:44 ID:28tXPm3E
 僕にとってバレンタインデイは甘くない。しかし少しも甘くない訳ではない。
 嘘は言っていないけど、いきなりこれだけ言われたら他人にはわけがわからないだろう。

 一般的に二月十四日はバレンタインデイと呼ばれている。一ヶ月後はホワイトデイだ。
 恋に夢中な女の子は十四日の一週間前からチョコレートを贈与するらしい。
 姉さんの知り合いにそんなせっかちな乙女がいるらしいのだ。
 その乙女は同棲している恋人に毎年チョコレートをあげる。
 バレンタインデイの一週間前には部屋中がチョコレートだらけ。
 なぜなら、朝食と夕食のデザートとしてチョコレートを出すから。
 うん。僕が姉さんの友達の彼氏だったら絶対にチョコレートに飽きるだろう。
 いくらお菓子が好きな僕でも限度というものがある。
 一日で食べたチョコレートの数の記録は板チョコ五枚。それ以上は無理だった。
 僕はチョコレートに飽きたくない。何事もほどほどが一番だ。

 二月十四日の朝には僕の家の中にカレーのいい匂いが立ちこめる。
 去年がそうであったように、今年ももちろんそうだった。
 僕は鼻腔をくすぐる香りに食欲を刺激されて起床した。
 睡眠欲求を喚起する布団の温もりを意識的に遠ざけてベッドから這い出し、冷たい制服を身に纏う。
 階段を下りて洗面所へ行き顔を洗う。よかった、今日は寝癖がついていない。
 リビングのドアを開けると、すでに家族全員が揃っていた。
 椅子に座っているのは父さんと母さん。キッチンに立っているのは姉さんだ。
 すれ違いざまに両親に挨拶して、キッチンへと向かう。
「おはよう、姉さん」
「おはよう、正史。今日の調子はどう?」
「別に、どこもおかしくなんかないけど」
「……昨日はちゃんと眠れたかしら?」
 僕は胃をつつかれたような気分になった。平静を装って返事する。
「うん。ちゃんと、いつも通りに寝たよ」
「あらそう。ふふ、それならいいの。今日のことでドキドキして眠れなかったんじゃないかな、
 って思って聞いてみただけよ」
「まさか、たかがこんなイベントぐらいで僕がおかしくなるわけがないよ」
 嘘。実は昨晩、すぐに眠れなかったのだ。
 それは、昨夜風呂上がりの姉さんの姿を目にしたときから僕の心が落ち着かなくなったから。
 姉さんの湯上がりのほてった顔や湿った髪の毛を見ているうちに気持ちが急いてきた。
 断じて興奮したわけではない。僕の大事な部分に変化は起こらなかった。
 ただ、姉さんを見ていることができなくなったのだ。
 だから僕はすぐに自室に籠もってベッドに飛び込んで布団をかぶって寝た。
 しかし、昨晩はそこからが辛かった。
 二月だというのに真夏の夜のように寝苦しかった。何もしなくても汗が吹き出した。
 熱を発散させるために腹筋や腕立て伏せなどをした。筋肉の痛みに意識を向けることでようやく眠れた。
 慣れないことをしたせいで今日は筋肉痛に見舞われている。
 腹に力を込めると疼く。たまに刺されるような痛みを感じる。

 昨日はいったい何が僕の身に起こったんだろう。
 ただいつものように母さんと姉さんの作った料理を食べただけなのに。
 父さんの顔を見る。目尻にしわが浮かんでいるが、精悍な顔つきをしているところは変わらない。
 父さんも筋肉痛に苛まれているんだろうか? こうして見ているだけでは判別できない。
 母さんは机に肘をつきながら姉さんの料理する後ろ姿を眺めている。
 こちらにも変わった様子は見受けられない。
 やっぱり昨晩の体の異常は僕だけに起こったものなのか?
 それならそれで構わないけど、どうして僕だけなんだ?
 ……だめだ、わからない。考えるのをやめよう。
 きっと僕ぐらいの年齢だとたまにこういうことが起こったりするんだ。そういうことにしよう。


535 :名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 23:31:07 ID:28tXPm3E
 姉さんの作った朝食はカレーライスだった。付け合わせにサラダがついてきている。
「おかわりもまだまだあるから、たくさん食べて。朝食は一日の活力よ、正史」
 悪いけれど一皿だけで十分だ。それ以上食べると学校に行くのが辛くなる。
 僕は小さな声でいただきます、と言ってからカレーを食べ始めた。
「どう? どう? おいしい?」
 頷いて自分の意志を伝える。満足したのか、姉さんは自分の分の朝食を食べ出した。
 
 このように、僕がバレンタインデイに最初に口にするのはカレーライスだ。
 中辛のカレーライスとバレンタインデイは僕の脳内ではセットになっている。
 姉さんが作ったカレーライスはけちの付け所の無い出来だ。とても美味しい。
 料理上手を自負する母さんでも姉さんほど美味しく作れないらしい。
 美味しさの秘訣を聞いてみたところ、じっくり熟成させるのがポイントだという。
 どれぐらいの時間熟成させればいいのかさらに踏み込んで聞いたら、三日以上よ、と答えられた。
 それはつまり、十一日の朝には作り始めているということだ。
 しかし、ここで疑問が湧いてくる。
 昨日の夕方の時点ではキッチンのどこにもカレーの入った鍋は置かれていなかった。
 昨日、偶然昼食を食い損ねて空腹に耐えかねている状態の僕が探しても見つからなかった。
 ということは、台所には置いていない、イコール、作っていないということだ。
 どこかに隠しているとも考えられるが、わざわざカレーを隠すためだけにそんなことをするだろうか?

 ちょっと聞いてみようと思い、横に座る姉さんの方へ顔を向ける。
 姉さんの目がとろんとしている。なんだか眠そうだ。
「大丈夫? 姉さん」
 姉さんが顔を向ける。正面から見た顔はどこか血の気が薄くなっているように見えた。
「平気よ。ちょっと昨日夜更かししただけだから」
「それなら別に朝食を作らなくても……」
「いいじゃない。正史、カレー好きでしょ?」
 頷く。認めよう。僕は姉さんの作ったカレーが大好きだ。
 毎日――はさすがに飽きるから、毎週金曜日の夜に食べたい。
「だったら何も言わずに食べなさい。今年のは去年以上にたくさん……」
「たくさん?」
 何を入れたんだろう? 香辛料の種類を増やしたのか?
「……じゃなかった。いっぱい時間と手間をかけたから。残さずに食べなさいよ?
 食べ終わった後でカレーの鍋を使ってうどんを作りなさい。きっと美味しいから」
「気が向いたらそうするよ」
 久しぶりに食べる姉さんのカレーは本当に美味しい。ファンになってしまう。
 まだ残っているらしいから、今日は全部食べずに明日に残すとしよう。


536 :独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo :2008/02/14(木) 23:32:26 ID:28tXPm3E
 学校へ向かいながら、今日どんなことが起こるのかを想像する。
 まず、僕は一個もチョコレートをもらえない。それは確定している。
 学校に来ている女子生徒はもちろんのこと、家族からももらえないはずだ。
 姉を持つ同じクラスの友達に聞いたところ、姉からは必ずもらえる、母と姉からもらえる、
妹も姉もいるけど一個ももらえねえよちくしょうめ、という回答をいただいた。
 例外はあるが、姉からチョコレートをもらうというのはよくあることらしい。
 しかし、僕はそんなこと信じられない。
 なぜかというと、僕の姉さんはカレーは作っても、チョコレートをくれないからだ。
 小学校に通っていた頃はもらっていたように思う。しかし、今の姉さんはチョコレートなんかくれない。
 理由は知っている。姉さんは本命にしかチョコレートをあげないから。
 姉さんには心に決めた相手がいる。名前も教えてくれないけど、いい人だということはわかる。
 バレンタインの日、姉さんはずっと上機嫌だ。きっと特別なイベントだから浮かれているんだろう。
 そのおかげで僕は姉さんから美味しいカレーを振る舞ってもらえる。ありがたいことだ。

 姉さんに恋人が居ると聞くと、ちょっとだけ寂しくなる。
 シスコンだと思われるかもしれないけど、姉さんと一緒に暮らす今の生活が僕は好きだ。
 姉さんは大学二年生だから、あと二年もすれば就職して家を出るはず。
 長く付き合っている恋人がいるなら、卒業と同時に結婚するということも考えられる。
 そのことが原因というわけではないけど、僕も高校卒業と同時に家を出ようと決めている。
 自分から離れていた方が気持ちの踏ん切りがつきやすいからだ。
 就職か、進学か。どちらを選ぶかは決めていない。どちらに対しても気持ちが半分ずつ向いている。
 だけど、家を出て一人暮らしをすることは決めている。
 もちろん両親には相談済み。去年の十二月に受けた実力テストの結果を見せたら渋々ながらも了解してくれた。
 姉さんには話していない。進路がはっきり決まってから打ち明けるつもりでいる。
 でもきっと、姉さんは僕を応援してくれるはず。
 今通う進学校も、両親が反対する中で姉さんだけが味方してくれたから通うことができた。
 お礼に、僕は離れて暮らしても姉さんの味方をしようと思う。
 でも、姉さんが僕を頼りにすることはおそらく無いんだろうな。


537 :独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo :2008/02/14(木) 23:36:03 ID:28tXPm3E
 靴箱置き場へたどり着き、自分の上履きを取り出そうとした僕は違和感に気づいた。
 シューズの上に、箱が一つ乗っている。
「……ああ、またか」
 ため息が出た。今の僕の心に浮かぶのは怒りではなく、呆れだ。
 バレンタインデイに靴箱の中に四角形の箱を入れられる。
 そこだけ聞くといい話だ。箱の中にはチョコレートが入っているはず、なんて誰もがまず思う。
 だけど、これはフェイク。断言してもいい。
 上履きと箱を同時に取り出す。右手の上に乗った箱を開けてみて、僕は呟く。
「……ほらね」
 やっぱり空っぽだった。去年とまったく同じだ。誰かが僕をからかうために空箱を入れたのだ。
 辺りを見回して監視している人物がいないか探る。
 …………ま、いないよね。実行犯が見つかるようなヘマをするはずがない。
 きっと見えない角度から僕の悔しがる顔を見ているのだろう。
 そういう手合いは下手に構うと喜ぶ。放っておくのが正解だ。
 空箱を鞄の中へ放り込む。ゴミ箱には捨てない。家に帰ってから誰かへの恨みを込めて引き裂くことにする。

 学生鞄の口を閉じて歩き出したとき、背後から明るい声で挨拶された。
「松ちゃん、おはよう!」
「山城さんか。おはよう。珍しく早いね」
 いつも遅刻ぎりぎりでやってくるはずのクラスメイト、山城ゆずさん。愛称ゆずぽん。
 元気一杯の笑顔と明るい声で、低身長という欠陥を補っている。
 欠点があるとするなら僕を松ちゃんと呼ぶ点だ。
 こっちは松ちゃんって呼んでるんだから松ちゃんもゆずぽんって呼びなさい、なんて言われる。
 愛称を呼ぶのが嫌な訳ではない。言わされているみたいな気がするから嫌なのだ。
 そもそも他人にそこまで馴れ馴れしくするなんて僕にはできない。
 だから僕は呼び方を変えない。山城さんは山城さんだ。

「たまたま早起きしてね。松ちゃんはいつもこんな時間なの? 早すぎじゃない?」
「……授業が始まるまであと二十分しかないよ」
「まだ二十分もあるの? もったいないことしたなあ。
 今日も寒かったから一分でも長く布団の中に入ってたかったのに」
 それには同意しかねる。一分でも入っていれば再び眠ってしまうのは確実だ。
 特に山城さんみたいに授業中に必ず寝ている人はやめた方がいい。
 しかも僕の席の隣で眠っているものだから、僕にまで先生の目が向けられている。
 山城ゆずを叩き起こせ、松田まで眠るんじゃないぞ。
 そんな感じの念がこもった目で見られるからたまったものじゃない。


538 :独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo :2008/02/14(木) 23:40:00 ID:28tXPm3E
 山城さんは素早い動きで靴からシューズに履き替えた。
 僕が歩き出すと真横に並び、同じスピードで歩き出した。
「ねえ、チョコもらえた?」
 笑い混じりの弾んだ声。何が嬉しいんだか。ちょっとだけ僕は不愉快だ。
「もし僕がもらったと言っても、それが事実だとは限らないだろう? 信じる?」
「まず信じないよ。松ちゃんが一個もらったら、このゆずぽんのもとには十個やってくるはずだもん」
「なるほど。山城さんが十個貰ったら僕のところには一個やってくるというわけだね。ステキな説だ」
「残念。それは成り立たないよ。だって誰も松ちゃんには渡さないはずだから」
 よくわかっているじゃないか、という台詞を口から出しそうになった。
 自分から負けを認めてどうする。ここは反論するべきだろう。

「それはまだわからない。義理堅い女子生徒がくれるかも」
「へえ、誰かにお世話したことがあるの? 義理って、誰からでももらえるわけじゃないんだよ?」
「そうだね、貸しがある女の子からじゃないともらえないよね。というわけで、山城さん」
 手を差し出す。もちろんチョコレートの催促だ。
「私に貸しがあるって? いつのこと?」
「昨日僕は弁当も昼食代も持ってきていない山城さんのためにお弁当を分けてあげた」
「ああ、そんなこともあったっけ。おいしかったよ、ありがとう」
「どういたしまして。まさかジュースを買いに行っている隙に全部食べられるとは思わなかったよ」
「それは松ちゃんが悪いね。机の上に美味しそうなお弁当を置きっぱなしにされたら誰でも手を出すって」
「居直っても駄目。借りは返さないといけないよね?」
 さらに手を突き出す。山城さんの眼前を覆う形になった。
「うーん……わかった。じゃあとっておきのやつをあげる」
 手を握られた。山城さんの柔らかい両手から熱が伝わってくる。
「一瞬だけだからね?」
「はい?」
 チョコを食べるのに一瞬しかかからないという意味か?
 もしや十円でお釣りが返ってくるチョコでも渡すつもりなのか?

 山城さんは僕の正面に立ち、僕の手首を立てた。続けて腕を少し下げた。
 何をする気なんだ、と訝しんでいると、山城さんが間を詰めた。
 手の位置は山城さんの胸の高さにある。その状態で山城さんが近づいてきたらどうなるか。
 答えを出したときにはもう遅かった。
「……んっ……もう、松ちゃんの、バカァ……」
 山城さんの制服の胸ポケットに僕の手のひらが触れた。ダイレクトにいうと胸に触れた。
 手首の角度が変わる。僕の手が山城さんの制服の胸元にシワをつくった。
 小柄な山城さんは――失礼だが――胸が小さい。制服の生地の触感しかしない。
 しかし、女子生徒の胸に触れているというこの状況はたやすく僕を混乱に陥れた。
 恍惚とした目をつくるという高等な演技が目の前で行われている。
 山城さんの腰がくねくねと動いている。まるで僕の手に胸を押しつけようとしているようだ。
 急いで手を引く。山城さんに怒鳴ろうと思ったけど、台詞が見つからなかった。
 顔が火照っているのがわかる。今の僕の顔写真を撮られてバラまかれたら学校にいけなくなること受け合いだ。

「じゃね、松ちゃん! お釣りはきっちり返してねー!」
 そう言うと、山城さんは身を翻して駆けだした。
 朝一番のチャイムが鳴るまで、僕は山城さんを追いかけることができなかった。


539 :独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo :2008/02/14(木) 23:42:22 ID:28tXPm3E
*****

「持ち物検査をする」
 数学教師のくせに紺のジャージに身を包み頭に剣道で使う面タオルを巻いた井藤先生は、
授業が始まると同時にそんなことを言い出した。
 こころなしか、額に筋が浮き上がっているように見える。何か良くないことでもあったのだろうか。
 けっこうなことだ、なんていつもの僕なら思うのだろう。今日がバレンタインデイでなければ。

 ブーイングが教室内の至る所で沸き起こる。
 隣の席に座る山城さんも、井藤ちゃん空気読めー、と言っている。
 僕は不満を漏らさないが、井藤先生の行動は色々な問題を引き起こすからよくないと思う。
 今日持ち物検査なんかしたら、どこからかチョコレートが出てくることだろう。
 先生まで勘違いするであろう空箱を持ち歩いている僕はともかく、クラスメイト同士でくっついている
カップルにとっては迷惑この上ない。絶対に没収されてしまう。
 そして、僕を含む彼女いないグループにとってもよろしくない。
 誰かが裏切ったということが丸わかりだ。先生は生徒間の恋愛だけでなく、友情までも壊すつもりか?

「うっさいぞ、ヒヨっこども! 授業中だ!」
 井藤先生が怒鳴る。剣道部顧問の大音声。籠められた気迫が生徒を一気に静かにさせる。
 窓の向こうに見える別棟の科学室までこの怒声は響く。
 誇張ではない。なにせクラスメイト全員が聞いたのだから
「いいか? 学校って場所は勉強しに来るところだ。教科書とノートと筆箱だけ持ってくりゃいい。
 ……だが、オレは余計なものを持ってくるなとは言わない。やかましい学年主任ならともかく、な」
 おお、さすがに話がわかる。授業も厳しいしテストも難しくするが、井藤先生は頭でっかちではないのだ。
 髪を結うのがめんどくさいからという理由で面タオルを着用するような柔軟な発想の持ち主だ。
 きっと持ち物検査だって見て回るだけで、取り上げたりはしないはず。

「――だが、見つけた時は話は別だ」
 井藤先生が冷笑を浮かべる。誰かが息を呑む音がした。
「持ってくるぐらいなら、当然見つからないように気を配ってるよな?
 授業が始まったのに携帯電話をマナーモードにしてなかったり、なんてことはしないよな?」
 そんな初歩的なミスをする役は相当なドジっ子か山城さんにしか似合わない。
 仮に僕がやらかしたとしよう。そうしたらみんなは僕を冷たい目で見るはずだ。
 だがそんなことはありえない。なぜなら僕は着メロというものを一切ダウンロードしない。
 一曲まるごとダウンロードしたり、高い料金プランに入るぐらいならMP3プレーヤーを持ち歩く。
 だから、常に携帯電話はマナーモード。いつ電車に乗せられても準備はオーケーだ。


540 :独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo :2008/02/14(木) 23:46:39 ID:28tXPm3E
「んじゃ、かけてみるとするか。誰にすっかな……」
 井藤先生が標的を絞り込んでいる。さすがにちょっと不安になってきた。
 万が一ということもある。一応確認をしよう。

 ――――――あれ、無い。

 いつもならば制服のポケットに入れているのに入っていない。どこに行ったんだろう。
「よし、こいつにするか。ほいっ、と」
 そういえば、慌てて教室に入ってきたせいで携帯電話を落っことした。
 もう落とさないように、と思って僕は安定した場所に置いた。
 平らな場所。身近なところでは床。その次は僕の鞄の中。あとは机の中かな。

「……んん?」
 その時、工事現場の近くを通りがかったときのような騒音が耳を掠めていった。
 ああもう、うるさいな。誰だマナーモードにしているやつは。もしかして山城さんか?
 隣の席に座っている山城さんを見る。
「松ちゃん……ドジ」
 あれ、どうして僕を見ているんだ?
 山城さんの指が床を指している。いや、僕の机を指している。
 身を縮めて机の中を覗き込む。
「……………………うわぁお」
 僕は携帯電話を発見した。通信端末が駄々っ子みたいに机の中で暴れていた。
 プラスチック製の本体と鉄製の机の底がぶつかり合っている。イルミネーションが花火みたいだ。
 つまり、僕は似合わないことをやらかした、ということか。
 なるほど。今こうしてみんなから冷たい視線を浴びせられているのはこれが原因か。
 携帯電話を手に取り、電源ボタンを一回押す。振動が止まり、井藤先生の名前が表示された。

 井藤先生が僕の前に立った。ジャージ姿でも先生の眼光は鋭いままだった。
 初めて会ったときはこんなだらしない格好をしている人じゃなかった気がする。
 入学式の日、僕は先生の姿を目にして言葉を失ったんだから。
「松田、何か言うことはあるか?」
 微笑まれた。笑顔と服装の品位が違いすぎる。
 悪あがきする僕の思考は、精一杯先生を褒める方向へと働いた。
「先生、ジャージ姿も素敵ですけど、スーツの方がお似合いですよ」
 周りで小さな悲鳴があがる。山城さんは小声で僕を罵った。
「そうか。オレはお前に褒められて、とても嬉しいよ。あっはっはっはっは」
 先生が両手を上げて伸びの仕草をとった。
 ジャージの胸元が膨らんでいる。初めて気づいたが、先生は声だけじゃなく胸も大きいらしい。
 その感動を伝える前に直上からやってきた衝撃に頭を打たれ、僕の視界から先生の姿が消えた。

 ――僕、何かまずいことを言ったかな?
 疑問が晴れる前に、目の前が真っ暗になった。


541 :独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo :2008/02/14(木) 23:47:52 ID:28tXPm3E
*****

 放課後、私は保健室で眠る松ちゃんを看護していた。
 松ちゃんは井藤ちゃんに殴られて白目を剥いて、保健室に担ぎ込まれた。
 それからゴタゴタになったおかげでクラスのみんなはチョコを没収されなかった。
 取られたのは松ちゃんの携帯電話だけ。
「残念だったねー、松ちゃん?」
 人差し指で松ちゃんの鼻先をつつく。ふがっ、という音が漏れた。
 鼻を摘むと眉をひそめた。口が開き、呼吸が再開される。なんだか面白い。
 でも。

「やっぱし松ちゃんと話してる方が楽しいよ。リアクションは面白いし予想外の展開も見られるし。
 それにね……………………好きな人と話をしていると、女の子はそれだけで幸せなんだよ?」
 耳元でささやく。これが原因になって夢の中で私と会ってくれたら嬉しい。
 松ちゃんの夢の中で、私はどんな女の子なんだろう。
 変わらない? いじわるになっている? おしとやか? 淫乱?
 ちなみに私の夢の中に出てくる松ちゃんはすっごい鬼畜だよ。
 一晩中休ませずイかせずにアソコを弄り続けるなんて当たり前。
 ロープで大股開きにさせたうえ、前と後ろにおもちゃを入れて、その様子を見ながら笑ってる。
 平らな胸に搾乳機を付けて、乳を出せ、なんて無茶を言う。
 でもそんなのはいい方。だって私も気持ちいいもん。
 一番ひどいのは四肢を縛り付けた後で体中をくすぐる時。
 夢の中なのに気が狂いそうになった。起きたら、部屋の中の物が散乱していた。
「仕返ししちゃおうかな? この場で。だって仕方ないよね。罰だよ、罰。
 ……松ちゃん、今日誰かにチョコレートを贈られてたんだよ?」

 今朝、私はいつもより一時間早く学校に来ていた。
 目的はもちろん、松ちゃんに贈り物をしようとする女を成敗するため。
 思いつく場所全てを見回った。見つかったのは一つだけ。
 松ちゃんの靴箱の中に、包装された市販のチョコレートが入っていた。
 本命ではなさそうだったけど、油断せずに処理を行うことにした。
 包装紙を破かずに剥ぎ、箱に歪みをつくらないようにしてチョコを取り出し、中身以外は再び元の形に戻す。
 これで中身不在のバレンタインチョコが完成。
 後は靴箱の中に戻してその場を立ち去る。
 しばらくして松ちゃんがやってきて靴箱を覗き、中身が無いことに気づいてがっかりしたところで姿を現す。
 ちなみに去年も同じ事をしている。
 去年も靴箱に一個だけ入っていた。どうやら松ちゃんに想いを寄せている女が一名、校内にいるらしい。

 でも、それっぽい相手は一年経った今でも浮上してこない。
 松ちゃんに近づく女は私ぐらいしかいない。
 クラスメイトや女教師も話しかけたりするけど、邪な考えを持っていそうな人はいない。
 男という線も考えてみたけど、ソッチ系の人間は校内に一人もいない。……たぶん。
 そう、松ちゃんと仲良くしている女は私だけ。――――なのに。
「どうして松ちゃんは手を出してこないのかな? せっかく無防備な女の子を演じているのに。
 唐変木もほどほどにしておかないと、誰かに刺されちゃうよ?」
 今朝みたいに胸を触らせるのなんて、私を好きにしていいよ、って言ってるのと同じだよ?
 ここまで鈍いとなると、このゆずぽんは警戒しちゃいます。
 松ちゃんに好きな女がいるんじゃないか、なんてね。


542 :独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo :2008/02/14(木) 23:49:37 ID:28tXPm3E
「もしかして、他の人に色目使ったんじゃないの? 私の知らないうちに。
 そうじゃなきゃ、誰かがチョコを贈ったりなんかしないもんね」
 私にさえ甘い言葉を囁かない松ちゃんが想いを寄せる相手。
 許せない。こんなに想っている私をあっさり追い抜いて、隣に立とうだなんて。
 松ちゃんも松ちゃんだよ。鈍すぎるよ。
 毎朝会うだけで嬉しくって、放課後が近づくにつれて悲しくなる私の気持ちに気づいてよ。
 もう二年生の三学期だよ? 来年には卒業しちゃうんだよ?
 今の関係のままをだらだらと続けていったら、本当に友達のまま終わってしまう。
 私は友達の関係が好きなんじゃない。松ちゃんを独占する唯一の人になりたい。

「だから、好きになって? 私はもうこれ以上好きになったら……壊れちゃう。
 壊れたら、きっと周りなんか見えなくなる。松ちゃんの気持ちを無視してしまう」
 私はそんなんじゃなくて、普通の家庭を築きたい。
 結婚して子供産んで、時々喧嘩しちゃうけどやっぱり最後には仲直りする、そんなのがいい。
「あのね……たまに、怖い夢を見るの。松ちゃんも出てくるんだけど、鬼畜じゃないの。
 鬼になっているのが私。自分の望みを叶えるために、鬼はなんでもする。
 人を平気で傷つけたり、居場所を奪い取ったり、殺したり。
 想像できないでしょ? 私みたいな小さい女がそんなことをするなんて。
 でも夢の中で私は鬼になってる。
 寝ている時は気持ち悪いのに、起きたら気分が晴れてて、夢のことまではっきり覚えてる。
 学校に行って、松ちゃんが他の女と話しているのを見ると、女が頭の中でバラバラになってる。
 どこから壊していけばいいのか、そんなことまで理解できるようになってるの」

 松ちゃんの手を握る。寝ているから握り返してこない。それが、ちょっとだけ怖い。
 できることならこの手を離したくない。
 でも、まだ私は友達でしかない。起きる前に手を離さなければいけない。
 ずっと手を取り合うためにどうすればいいのか。その答えは分かってる。

「私はずっと松ちゃんの傍にいます。何があったって裏切りません。
 お願いですから…………私と付き合ってください」

 何度もシミュレーションした告白の言葉。
 言ってしまえばいいのに、振られるのが怖くて言えない。
 きっとチョコレートを渡せないのも同じ理由。
 チョコレートを渡せたら、ちょっとは度胸がつくのかな。
「……うん、そうだね。練習は必要だよね」
 松ちゃんの手を離し、ベッドにそっと置く。
 そして、耳元に口を寄せる。
「今日は無理だけど、明日はチョコレートを持ってくるから。
 あんなに欲しがってたんだから、貰ってくれるよね?
 貰わなかったら――――怒るから」

 頬にキスをすると、私は立ち上がって保健室を後にした。
 暖房の効いていた保健室とは違って、外は嫌になるぐらい寒かった。
 さて、これからスーパーにでも行きましょうか。


543 :独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo :2008/02/14(木) 23:51:52 ID:28tXPm3E
*****

「ったく、あのバカたれが」
 人前であんなことを言うんじゃねえってんだ。
 照れたせいで手加減するのを忘れてしまった。本気でハンマーを食らわしてしまった。
 息があったから命の心配はないだろうが、またちょっとバカになったかもしれない。
 ま、それはそれで。
 バカになったとしてもオレが飼ってしまえばいいだけの話だ。
 さっきみたいにもっと褒めるようになればなお良し。むしろそれだけしてろ。
 湯飲みを手にとってお茶をすする。
 濃いめに煎れたつもりだったが、口の中に残る甘さを払うにはまだ足りなかった。
 机の上に湯飲みを置く。その横には所狭しと並べられたチョコレートたちが置いてある。
 これは生徒から没収したものじゃない。オレは今日という日にチョコを取り上げるほど無粋じゃない。
 今朝、職員室に入ったら机の上にチョコレートが山のように置かれていた。
 山のてっぺんには『剣道部女子一同より』なんて紙切れまで付いていた。
 いや……女からもててもなあ。これから女子部室で着替えられねえよ。
 そもそも、松田に惚れられないと意味がない。
 あいつはあいつでオレのことを教師としてしか見てないみたいだし。
 おまけに朝は山城の胸に触ってやがった。オレの胸には触れようともしないくせに。

「面白くねえ……」
 銀紙を剥がして小振りなアーモンド入りのチョコを口の中に入れる。気分が少しだけ晴れた。
 まったく、この美味しさがどうしてわからんのかね、あのおばちゃんは。
「優雅ですね、井藤先生? 生徒から取り上げたお菓子でティータイムですか」
 ――ツラを思い浮かべた途端に来やがったな、学年主任。
「そんなとこです。主任も食べます?」
「いいえ。私はそんな無慈悲なことはできませんから」
 すぐさまこんな切り返しが出来る時点でこの学年主任の底意地の悪さが知れる。
 オレらに持ち物検査するように命令しておいて自分はどこぞの会議に出席。
 せめてノルマ無しにしてくれたら楽だったのに。
「それに私は甘いものが大の苦手でして。特にキャラメルが」
「ああ、わかります」
 小学生のころキャラメルを噛んでいるうちに歯が抜けた記憶がある。
 トラウマになって甘いもの全てが嫌いになってもおかしくはないだろう。
 このおばちゃんにとっては四半世紀以上昔の話になるのかな。

「先生のクラスでは結構な量になったのですね」
「そですね。義理チョコを大量に持ってきた女子生徒がいましたから。
 男子に配るつもりだったそうです。男どもは悲しんでましたよ」
 嘘だよ。むしろ自習になって喜んでたはずだ。
 オレは数学の時間中、ずっと気絶した松田を見守ってたから。
「まあ。そんなものを食べて歯を磨かずにいたらすぐに虫歯になるのがわからないのかしら。
 これはもう、歯を磨く道具を持ってくるよう生徒に伝えないといけませんね」
「そんなことしたら買う金を出せ……出してください、とか反論が来るんじゃ?」
「押し切ります。子供のためにお金も出せないようでは保護者失格です」
 ……これが本気の台詞に聞こえるから、話すのが嫌なんだよな。

「それでは井藤先生。あとで没収した品をリストにして出してくださいね」
「りょーかいです、学年主任」
「言っておきますが、今週中にですわよ?」
「わかってます。あとでやっておきますよ」
 やるわけがない。意味がない。だって、没収したのは一つだけだし。
 仕方がない。部屋に転がってる要らない漫画でも持って行ってやるとしよう。
「では私は帰りますから、あとはよろしくお願いします」
「はい」
「ああそうそう、井藤先生にはジャージよりもパンツスーツの方がお似合いです。
 強制はしませんけど、明日こそはと思っていますわ。ごきげんよう」
 立ち去る学年主任に向けて軽く頭を下げる。下げなかったら今の顔を見られていた。
 今のオレは憎しみを顔にあらわしている。おばちゃんが気絶するかもしれない。
 ――ババア、松田と同じ台詞を吐くんじゃねえ。あいつが穢れるだろうが。

544 :独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo :2008/02/14(木) 23:52:37 ID:28tXPm3E
「……………………っはあああぁぁぁ」
 足音が遠ざかっていったところで顔を上げる。
 面倒でたまらない。教師になってから我慢することばっかりだ。
 なんで今頃になって男を好きになっちまったんだ。
 暇で仕方なくて、剣道だけしてた高校時代に松田に会えたらよかったのに。
 そしたらきっと毎日頭の中がお花畑になっていたはず。
 高校時代ならそれでも良かった。けど、教師になってから頭ん中に花が咲いてもらっても困る。
 気持ちの切り替えができずに変なテンションになる。
 松田が夢に出てきてオレの体を抱いた夢を見たときなんか、もう――――
「やばっ……」
 急いで鼻を押さえる。鼻血が出そうになったんじゃなくて、鼻の穴が拡がっていたから。
 手をそのままにして立ち上がる。早くトイレに行かないと。
 
 生徒が利用する女子トイレは放課後はほとんど使用されない。
 そのことは知っていたけど、万が一のことを考えて別校舎に向かう。
 トイレに駆け込み、個室のドアを閉めて鍵をかける。
 ここは部活動をする生徒が利用しない、校庭からもっとも離れたトイレ。
 オレが何を言ったとしても聞こない。校内で松田に愛を囁けるのはここだけだ。
「松田……いや、正史。悪い。オレ……今日も駄目だったわ」
 上着のチャックを全開にして、肌着の中に手を入れる。
 ブラをしていないのは面倒だからじゃなくて、自慰するときに楽だから。
 それに、ノーブラで正史と話をするといつもより興奮する。
 間違って正史が胸に触れたら、たぶんオレは情けない悲鳴をあげるだろう。今みたいに。
「ぅ……あぅ、ん……違うんだ。乳首、固いのは……お前が原因だ。
 いつもいつも、オレを見るから。見られてるって意識すると、こう……なるんだ」

 一昨年の四月、新任の教師としてオレはこの学校にやってきた。
 どんな格好をしたらいいかわからなかったから、スーツを着て行った。
 そんで、クラスの担任として正史を含むクラスの連中に挨拶をして、流れで全員に自己紹介させた。
 その時に正史があんなことを言わなければ惚れたりしなかった。
「松田正史です。えー、スーツの似合う先生のクラスに入れて嬉しいです。これからよろしくお願いします」
 それ以来正史が見ている、見られている、と思うと恥ずかしくてスーツは着られなくなった。
 着なくなった時点でもうハマっていた。正史ばっかり見るようになってしまった。
 我ながらなんて惚れっぽいんだろ。それまで男を作らなかったのが悪いのか、別の何かが原因なのか。

 別の何か。正史しかいない。
 オレには正史しかいない。――あれ、何でそっちに考えがいく?
「わけ、わかんね……罪を償え、あほ正史」
 名前を呼びながら乳首の先端を引っかく。股間へ一直線に痺れが走った。
 下着と一緒にジャージの下もずらす。……なんでこんなにびちょびちょなんだ。
 男に挿れられたらどうなるんだろ。そういや、めちゃくちゃ痛いって知り合いが言ってたな。
 それでも、正史のモノならいい。

 右手で乳首を摘んだまま、左手を秘所にあてがう。
 濡れそぼった割れ目に指が吸い込まれていく。手が勝手に動く。
「奥まで……お前の、正史のが欲しい。こんな細い指じゃ、足りねえ。
 ……チョコ、もっとたくさんやれば良かった。その分、一ヶ月後にねだれたのに」


545 :独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo :2008/02/14(木) 23:53:54 ID:28tXPm3E
 でも、オレは正史にチョコを一個しか上げられなかった。
 去年と同じで、靴箱に持って行くだけで精一杯だった。
 呼び出す手紙も書いたけど、自分で破り捨てた。
 告白なんかできるかってんだ。情けない顔を見せるだけだ。
 じゃあどうやって想いを伝える? 一番いいのはあいつの方から奪ってもらうことだけど。
 既成事実でも作ってやろうか。
 道場に呼び出して、部室に連れ込んで一つ残らず服を引っぺがし、固いあいつのをココに挿れる。
 オレの体に夢中になった正史は次第に腰の動きを早めていって、そして――――あれ、外に出した?
「ぃやっ、やぁやあ、だぁ…………もっと、もっとちょ、だい……」
 ポケットから携帯電話を取り出す。正史から没収したやつだ。
 正史が毎日手にしているもの。あいつの一部。あいつにとって大事な、大事なモノ。
 携帯電話を割れ目に当てる。ちょっと濡れるだろうけど、少しぐらいなら。
 細かい溝が割れ目を刺激する。あ……ほんとにイイ。返すの、やめるか?
 だな。すぐにオレしか見えないようにしてやるから。オレの連絡しか欲しがらなくなるだろうから。
 だから……いいよな、正史?

 遠慮はやめた。壊すのを覚悟して擦りつける。
 太腿へ愛液が垂れていく。手が濡れて滑りそう。
 今のオレは正史に犯されている。腰を打ち付けられよがり狂うオレを正史が抱き締める。
 口が正史のそれと繋がり、お互いの舌が行き来する。
 もぎ取られそうなぐらい胸を揉みしだかれる。正史の一物は胸の谷間も犯す。
 切ない。想像している通りにずっと繋がっていたい。でもオレは一人。正史と一緒じゃない。
 近づきたい。嫌がられるぐらいくっついて、殴って大人しくさせて、またくっつく。
 そうでもしなきゃ駄目なんだ。先生じゃなくて、女として見てほしいんだ。

「うぅ……んん、く、る…………来るよお、正史……」
 体の奥からせり上がってくる。心が張り裂けそうなほど正史が愛しく感じられる。
 どんな体勢をとっているのか、わからない。体全体が熱くなる。
 思考がぼやける。正史の顔しか浮かばない。
 快感が体内を食い破っていく。耐える力は完全に失せた。
 歯を食いしばる。ぎゅっと左手の中にある物を握りしめる。

 ――――その時、予期せぬ力が加わって快感が倍加した。

「あ! ああっ、駄目、だっ! 震えちゃ、やあっ、やあああああああぁぁぁぁぁっ!」


546 :独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo :2008/02/14(木) 23:55:25 ID:28tXPm3E
*****

 十数回目のコール音が聞こえてきた。一旦諦めて携帯電話を折りたたむ。
 おかしいわね。正史に電話しても反応がない。
 呼び出し音がするから、電源は入っているはず。
 すでに午後五時を過ぎている。こんな時間まで授業をしているはずがない。
 ああもう、不安で不安でしょうがない。
 よりによってバレンタインデイに帰りが遅くならなくてもいいでしょうに。
 もしかしたら女の子に告白されているかもしれない。
 どうしよう。正史が穢されてしまう。

 今の今まで大事に育ててきた正史。あと一年で十八になる。
 来年の春には高校を卒業するから、それからは二人きりの生活が送れる。
 毎日抱き合ってお互いの熱で爛れて溶け合って、二人で一つになれる。
 結ばれることを夢に見始めてから幾星霜を経た。あと一歩というところまでやってきている。
「それが……それなのに、どこぞの馬の骨にとられるなんて!」
 他の女に正史は渡さないわ。渡すもんですか。
 正史。私以外の女はみんな不潔なのよ。
 あなたに出会っていなければ、あいつらは全員があなた以外の相手を見つけるわ。
 誰が相手でもいいのよ。愛を囁いてくれる相手が欲しいだけなのよ。
 でも私は違う。私の相手をできるのはただ一人、正史だけ。
 相手は他にいない。いるわけがない。

 なのにどうして正史は私の想いに気づかないのかしら。
 私が姉だから? 姉だから好きにならないように努力しているの?
 そんなの、気にしなければいいのに。私みたいに弟を本気で欲しがれば楽になれる。
 そうしたら、自分がとっても恵まれているということに気づく。
 好きな人は同じ屋根の下に住んでいる。お互いに相手がどんな人間か理解している。
 ――――ね、まるで恋人同士みたいじゃない?

「ふふふ。あの子、本当のことを知ったら驚くかしら?」
 私には恋人なんかいない、ってこと。
 心に決めた相手はもちろん正史。浮気したことなんか一度も無い。
 私の本命は正史だから、バレンタインデイにはチョコレートを贈りたい。
 でも、チョコレートを渡したらあなたが本命だということを知られてしまう。
 来年のバレンタインデイまでは上手く隠し通さなければいけない。

 本命チョコレートは贈りたい。でも直接渡すことはできない。
 ならば、別の形にして食べさせてしまえばいい。
 その結果誕生したのが、たった今私の部屋の中で調合している、カレーライスよ。


547 :独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo :2008/02/14(木) 23:58:21 ID:28tXPm3E
 テーブルの上に乗ったコンロがカレー鍋をぐつぐつと熱している。
 二月七日から正史好みの味になるようチョコや香辛料の量を調整してきた特製カレー。
 朝食に出したカレーを食べたときの正史の嬉しそうな顔を思い出すと、疲労なんか吹っ飛んでしまう。
 そして、とっても興奮する。だって、正史は私も一緒に食べているのだから。

 私が朝からぼーとしていたのは、血が足りなかったから。
 昨晩は味を損ねないようにしつつ、カレー鍋の中に血を注ぎ込んだ。
 これまでの経験からして、皮膚を切りつけるときは大量に血が噴き出すところを選ばない方がいいと知っている。
 一昨年は手首を大雑把に切ってしまったせいで部屋中が血に濡れて大変なことになった。
 去年と今年は左手の小指を少し切りつけて、そこから出てくる血を一滴一滴眺めながら鍋をかき混ぜた。
 おかげで今年のバレンタインデイのプレゼントは大成功。
 正史も私も笑顔になった。片手間に作ったチョコと血の入っていないカレーを食べた両親も感嘆していた。

 今年でもうチョコ入りカレーを作ることは終わり。
 来年からは手渡しで本命チョコをあげることができる。そして、私は正史と結ばれるのだ。
 そのための下準備もしっかりしてある。
 昨日の夕ご飯を作っている最中、正史に出す酢の物に媚薬をちょこっとだけ入れた。
 結果は……ちょっとだけ媚薬の効果あり、かしら?
 昨晩正史の部屋の戸に聞き耳を立てていたら荒い息づかいが聞こえてきた。
 実際に何をしていたのかよくわからないからはっきり言えないけど、効果ゼロというわけではないみたい。
 もし自分で慰めていたんだったら私のところに来て欲しかった。
 一年と一日早いけど、正史と結ばれるのなら結果オーライ。

 今まで私の愛を一身に受けて育ってきた正史は、一体どんな味がするのかしら?
 とっても甘いミルクチョコ? ほろ苦いビターのお味? まろやかなホワイトかしら?
 想像するだけでよだれが出てきそう。下もちょっと疼き始めてる。
 正史、早く帰ってきなさい。今夜のメニューもあなたの好きなカレーライス(私入り)だから。

 でも、私も正史の血が入ったカレーが食べたいな。
 一ヶ月後のホワイトデイが来たら、こっそり端っこを切っちゃおうかな?




-------

というところで終わりです。

では、また。

548 :名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 00:10:35 ID:Jm7yAfYl
GJ
ホワイトデーに続くのかな?
期待してるぜ

549 :名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 00:17:38 ID:CsBzdPrb
バレンタインネタGJ!
しかし正史に死亡フラグが立ちまくってる気がする。

550 :名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 00:26:29 ID:pmYjV5do
最初体育教師が男かと思ってウホッかと思ったぜwww

GJ!!

551 :名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 00:37:57 ID:hAz+i6f+
また、という言葉に期待していいんですね?
いいんですね!?

552 :名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 01:19:57 ID:DQ0kqEUn
GJ!

ところで>>550、数学教師じゃないか。

553 :名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 01:52:02 ID:MWgeW95Q
GJ!!
>また、
ここに期待しちゃいますよ?

554 :名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 05:51:45 ID:5GXor0VL
>>547
GJっす!

素晴らしきヤンデレトライアングル!
俺は体育教師を応援したい

男みたいな体育教師の可愛らしさに萌えた・・・

555 :名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 07:40:35 ID:xD/TrOek
>>547 GJです。最初、学年主任が出てきた時は主任もかと思いましたが、
どうやら違うようですね。ともかく、ホワイトデーが楽しみです。

556 :名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 15:37:39 ID:MyL/ueO5
ゆずぽん理性強いなw

557 :名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 16:42:04 ID:G6CUPep2
>>547
GJ!!

ホワイトデーにwktk

558 :名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 18:19:26 ID:4akLCi4V
大きな胸というところで、やっと女だと気づいた。
厳つい男だと思ってたぜ・・・

559 : ◆Z.OmhTbrSo :2008/02/15(金) 19:01:37 ID:Iu6tUy6y
誤解させてしまったようで申し訳ないです。
性別がわかるよう、wikiの方では修正しておきました。

560 :名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 23:53:19 ID:yOBFdfuG
叙述的ワナだと思ったんだが>性別

561 :名無しさん@ピンキー:2008/02/16(土) 00:26:09 ID:aczhLdY4
>>560
俺もw
たいしたもんだと感心してたぜww

562 :名無しさん@ピンキー:2008/02/16(土) 02:37:51 ID:LlzfDq4y
>>547
これは良い作品になりそうだ

俺も教員を応援したい

563 :名無しさん@ピンキー:2008/02/16(土) 05:17:43 ID:F/f9rgKZ
とりあえずGJ
ゆずぽんが可愛い
他の女のチョコ捨てたりとヤンデレ街道を歩みはじめつつ、まだ理性を残して踏みとどまろうとしている様が萌える

564 :名無しさん@ピンキー:2008/02/16(土) 08:43:36 ID:aAfHae2r
ゆずぽん真っ平らと聞いて、板チョコフラグかとオモタ

しかし、万力のような包囲網ですなぁw

565 :名無しさん@ピンキー:2008/02/16(土) 19:54:49 ID:VzQS/xp7
アッーかとおもってリタイアしてた
もう一回最初からじっくり読んでくる

566 :名無しさん@ピンキー:2008/02/16(土) 20:46:16 ID:joZAtlyx
現実世界にもヤンデレが!
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/n_kankin__20080216_4/story/16fuji320080216016/

567 :名無しさん@ピンキー:2008/02/16(土) 23:11:12 ID:B71c4csm
男ヤンデレはやっぱダメだな

568 :名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 00:56:06 ID:rEF/SLbP
これが女だったらオーケーと思ってしまう不思議。

569 :名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 02:56:15 ID:FQyL10Ju
問題は性別じゃない
顔だ

570 :名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 06:32:08 ID:cCh/gYDX
ヤンデレイケメンでも嫌です><

571 :名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 17:08:55 ID:N/3k/le+
そこでヤンデレショタですよ

572 :名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 17:49:39 ID:qtn6sN98
>>571
俺はそんな趣味は無いつもりなんだが、何故か「意外とありじゃね?」とか
思ってしまった・・・

573 :名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 17:50:06 ID:M5urjDmY
>ショタヤンデレ
保管庫に忍者ものがあったよね。
作者さんもかなり気を遣っていた記憶がある。

574 :名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 18:33:45 ID:IOtBzzfe
ここはオリジナルじゃなくてもいいの?二次創作でもOK?

575 :名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 19:05:00 ID:Z2zJKfop
>>567
それは君が男だからだ。

576 :名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 19:19:15 ID:9/7uPzC/
>>571
書きもしないのに毎回毎回しつこいな

577 :名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 19:21:52 ID:FQyL10Ju
>>574
いいんじゃないかな
原作を明記してくれると嬉しい

578 :名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 19:25:08 ID:rEF/SLbP
二次創作はその作品のスレで、って感じだった気がするんだが。

579 :名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 20:24:04 ID:D55iUela
しかし、ヤンデレならこのスレの範疇じゃあ?
二次創作でもその作品のスレだとちょっとあわないかもしれんからな。

580 :名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 20:28:06 ID:6zgdHVxr
おれはその作品のスレでを推奨するがな・・・

581 :名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 20:38:33 ID:vfS33Bx+
作品スレがないくらいマイナーな原作なのやも。

582 :名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 21:11:21 ID:6VtXrFVi
>>578
嫉妬スレの話じゃないのか、それ?だったらこのスレには関係なかろう。

2chのスレなんて全部チェックしきれないし
ヤンデレ好きとして作品を見逃す可能性が高まるのは、憂うべきじゃないか?
念のため冒頭に二次創作という断りとネタバレの危険等に触れておけば、個人的には問題なかろうと思う。

583 :名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 21:13:29 ID:6VtXrFVi
更にいっとくと、嫉妬スレは当時の爆発的な勢いのせいで
二次は邪魔だし他でやれ、といった雰囲気になってた。
もろん粘着荒しのせいもあるが、スレの勢いが無くなってから作品を欲しがっても後の祭りなんだよな……。

584 :名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 21:30:39 ID:7kb1b5Sr
ここは嫉妬スレではない件

585 :名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 21:36:09 ID:vfS33Bx+
まあ作品スレがあって、そのスレで引かれないような内容ならそっちに投下するのがベターだと思うけど、
べつにこっちに落とすことに積極的に反対する理由もないわな。
あとは投下する本人の自己判断でってところじゃね。

586 :名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 22:03:29 ID:cCh/gYDX
ある作品のスレでヤンデレ作品が投下されたら、このスレに任意に報告ぐらいでいいんじゃないの

587 :名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 00:08:21 ID:4uiIC+MU
>>574
俺は大歓迎だな。
テンプレに二次禁止を謳ってない事や「ヤンダム」シリーズが保管庫にいる事からもスレ的にも反対する理由はないんじゃあないかな?
という訳で投下待ちwktk

588 :名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 00:27:43 ID:/FHX6AR2
いやガノタの俺にとってヤンダムは大分きつかったんだぜ
だから警告だけでもだしてくれたら助かるんだぜ

589 :名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 01:18:47 ID:N1xrm9FB
警告すればなんでもいいよ。

590 :名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 01:44:21 ID:Og3aO9VI
次スレを立てる時はテンプレの修正が必要だな。

591 :名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 02:31:41 ID:cB9oFTo8
了解、意見をくださった皆様ありがとう。
書いたら投下します

592 :名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 03:44:21 ID:9i0SWU4m
まずはsageろ
それからだ

593 :名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 04:20:48 ID:DXGV4sK6
【佐賀】50代女性教師、17才の男子生徒にキスを迫り首を捻挫させる 生徒はショックで休学★4
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1203248876/


594 :名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 04:25:31 ID:ZfrJwK8B
これはヤンデレっていうより基地外なんじゃないかなぁ・・・
実際病気を患っていたらしいし

595 :名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 04:53:04 ID:8RLFpXqi
このスレで書かれるヤンデレも大概基地外だと思うがw

596 :名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 06:05:53 ID:9Jvvr6Rk
愛故に狂うのと狂人が愛を騙るのとはやっぱり違うと思う。


いや定義付けは難しいけどね。

597 :名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 06:22:22 ID:3U0uwre6
>>596
いいや、簡単だ
広義狭義と唱える輩もいるがね

猟奇は結果に過ぎず、狂気は過程に過ぎぬ
ヤンデレの要因は、否、根本は、狂おしいがまでの強い愛情、依存、執着だ

598 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/18(月) 07:07:56 ID:10oW+0H1
第四話投下します。

599 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/18(月) 07:09:18 ID:10oW+0H1
 
 ***
 
 その時からか、兎は態度を一変させた。
 
 あれほど執拗に悪戯や邪魔を仕掛けていた兎は段々と大人しくなっていき、
 いつしか狸の傍らで腕を抱くようになっていた。

 驚いたのは動物達だった。
 動物達はあの愚鈍な狸が如何なる妖術を使ったのだろう、と噂した。
 当然、その事で狸の待遇が特段変わるわけではなかった。
 変わったことといえば、今まで以上に狸に対して距離感を置くようになっていることだけだった。
 狸としては、まあ、こんなものだろうという調子だった。

 狸が気に病んでいたのは、周囲の目では無かった。
 どちらかといえば兎の、その態度が変わり過ぎたことのほうが気に病んだ。
 一人の女性に愛されるくらいでは気質というのは変わらないもので、
 狸は相変わらず何か企んでいるのではないかと脅えていた。

 狸は釣りへと出かけた。
 狸が水面を眺めていると、兎が後ろから声をかける。
 狸は未だその声に馴れることが出来ず、相変わらず肩をびくっ、びくっと震わせた。
 兎は後ろから背中へと飛びつき、そして頬ずりをする。

600 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/18(月) 07:10:31 ID:10oW+0H1
「うわあ、兎さん、やめてくれ、その、恥ずかしいから」

 狸は身が固まってしまう。
 兎は狸の顔を覗き込む。

「狸さん、狸さん、お腹が空きませんか?もうそろそろ一緒に昼ご飯でも食べましょう」

 特に狸には断る理由は無かったし、恐らく断ることもできなかっただろう。
 気がつけば兎は狸の返事を聞くまでもなく、風呂敷を広げはじめていた。

 風呂敷の中からは笹の葉で包んだおにぎりが出てきた。
 おにぎりはまるまるごろごろとした形であり、正直不恰好ではあった。
 にぎりが強すぎるのか炊き方が間違っているのか、少々ご飯が潰れて
 もち状になっていた。

 だが、前のように張り切って料理を作っては毒殺されかねても困るので、
 それはそれでまあ、いいかと狸は思う。
 狸は一つおにぎりを掴み、口へと入れる。
 すると意外や意外にそのおにぎりはそれなりにおいしかった。
 ほんのりとした塩味と梅干の爽やかな風味がちゃんと行き渡っており、
 なるほどちゃんと味見を覚えたのか、と思いほっとする。

601 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/18(月) 07:11:43 ID:10oW+0H1
「狸さんに恥ずかしいところは見せられないですからね」

 と、少し頬を赤らめて言う。
 狸は変わったな、と思う。

 おにぎりを頬張っていると、竿の先がひくりひくりとなる。
 狸は竿に手を取り直し、えいと引っ張り上げる。
 飛沫を上げ、魚が鱗をきらきらと光らせる。
 兎は目を見開き、口に手を開ける。
 狸は糸を丁寧にたぐりよせ、最後のあがきをする魚を釣針から取り、魚籠へと入れる。

「狸さん、狸さん、この魚をどうするつもりですか?」

 狸は少し考える。

「うー……娘さんのところへ持っていこうと思う」

 その言葉を聞いた兎は少し口を歪ませ、軽蔑したような目付きで狸を見る。

「まだ……そんなことを言うのですか?
 ……私を抱いておいて、まだそんなことを言うのですね……」

602 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/18(月) 07:12:57 ID:10oW+0H1
 狸は焦る。
 あれは不可抗力に過ぎないことだし、狸は自分に責任は無いと思い込もうとしたが、
 そう思い込むには狸は繊細すぎた。魚籠の中で魚はぴちぴちと跳ねている。
 兎は歪んだ口のままくすくすと笑った。

「もう、貴方は以前のようには上手くいかないのです。
 形はどうであれ、一人の女性を抱いてしまった汚れた体なのです。
 その体を持って、あのような清浄な娘を汚すのですか?」

 狸の足元から力が抜ける。
 狸は娘に操を立てていた。愛する以上は操を立てる当然の行為だと思った。
 しかしその当然のことはあっけなく崩れるものなのだ、ということを認めざるを得なかった。
 狸は、ただ口をぱくぱくと開け閉めするだけだった。

「狸さん、あんな"女"のことなど考えなくて良いのです。
 ただただ、私だけを見て愛してくれればいいのです。
 全く悪いことは無いですよ。私は以前の私ではありません。
 ちゃんと反省し、誠意を尽くしているつもりです」

 兎はかぶさるようにして狸を抱きしめた。
 狸は悲しみに暮れていた。

603 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/18(月) 07:14:28 ID:10oW+0H1
 兎は当然、その姿を良しとしなかった。
 兎にとって、狸が自らと付き合うことは幸せな顔をするべきだし、
 悲壮な顔をするのは、他ならぬ自分が苛めた時であるべきだった。
 そして、兎にとって一番の問題は

 その悲しみの顔が他ならぬあの娘の思いによるものであったことだった。

 しかし、兎は大丈夫だろうと思う。
 直ぐに私に降参して、足元に平伏すだろうと。
 あとは時間が解決してくれるだろう。しかし、そのようなことは無かった。
 現実はもう少し残酷であった。
 
 ***
 
 その夜は満月だった。
 兎と狸は布団を並べ、身を寄り添うようにして寝ていた。
 狸は眠れなかった。狸は、娘のことを考えていた。
 兎は寝言で狸を呼んでいた。

 狸は一人、布団の中で考える。
 ああ、今頃どうしているだろうか。
 俺が、俺が不甲斐ないばかりに操を守り通すことが出来なかったと、
 狸は自分を責めていた。

 自分を責めれば責めるほど眼が冴える。
 少し夜風にあたり落ち着かせようと狸は外へ出る。

604 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/18(月) 07:16:45 ID:10oW+0H1
 さわさわと草木が揺れ、狸を撫でる。
 狸は少しの散歩のつもりだったが、何時しか娘の家が視界に入ってくる。
 娘の家は灯りがゆらゆらとゆれており、恰も狸を待っていたかのようだった。

 狸は頭を振るった。
 今、娘の前に姿を現したら自らの誓いが崩れてしまいそうな気がした。
 この汚れた体を近づけないつもりであった。
 しかし、狸がそのように頭で考えようとも、足は一歩一歩、距離を近づけていた。
 狸は、ふすまを開けなければ大丈夫だろう、と思った。
 ただその姿が見えればいいと思った。

 何の因果か解らないが、狸が直ぐ傍まで来ると、襖がすうと開き、娘が出てきた。
 狸は驚いてしまった。まさか狸は娘が出てくるとは思わなかった。
 確かに望んではいたものの、いざ対面すると、狸は無様に混乱してしまって
 体を動かすことが出来なかった。娘は裸足で狸に近寄り、そっと抱きしめる。

「寂しかった、寂しかったよ、狸さん」

 娘は改めて狸の顔を見る。
 哀しそうな顔をして、娘を見つめている。

605 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/18(月) 07:18:21 ID:10oW+0H1
「ねえ、狸さん、なんでそんな哀しそうな顔をしているのですか?
 こんな時間に、偶然でも会えたのですよ?もう少し楽しそうにしてくれなきゃ、
 私も悲しくなります」

 狸は力無くぼそり、ぼそりと呟いた。

「俺は、俺は、汚れちまったんだよ……
 兎に、兎に迫られて、いやいや……その……事に運んでしまったんだよお……」

 狸は我慢していたかのようにわっと泣き出した。
 狸の瞳からは土砂降りのような涙があとからあとから出てきた。
 娘は背中に手を添えた。

「狸さん……落ち着いてください……
 家のものがおきてしまいます……
 どうしたんですか、無理矢理事を結ばされたというのはどういうことですか……」

 狸はひっくひっくと背中を震わせて、呟く。

「関係ねえよお……俺は不甲斐ないからこういうことになったんだよお……」

606 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/18(月) 07:19:43 ID:10oW+0H1
 娘は厳しく問い詰める。

「関係ないことありません、ねね、正直に言ってください、
 そうしないと、私のほうが胸が張り裂けそうです」

 狸はその夜のことをつっかえつっかえながらに話した。
 娘は黙っていて聞いていた。黙って頷く。
 何時しか狸は無言になる。沈黙の後、娘は優しく語り掛ける。

「狸さん……狸さん、あまり自分を責めないで下さい、
 狸さんは何も悪くないですよ……」

 狸は顔をゆっくりと上げる。眼が真っ赤に充血していた。

「狸さん……何も悪いことは無いですよ……
 もし、狸さん、貴方の体が汚れているとするならば、
 私が一緒になって洗い落として差し上げます。
 もし、貴方の体で私が汚れてしまうとするならば、私もまた一緒に汚れてあげます、
 ですから……もうあんなことは言わないでください……
 私は貴方が離れることが一番辛いことなのですよ」

 狸は再び泣いた。それは嬉し泣きだったのかどうかは解らない。
 
 ***
 
 兎はふと、目を覚ました。
 隣の布団に目を向ける。そこには狸の姿は無かった。
 女性の勘というものがあるのか解らないが、多分あの"女"のところへ向かったのだろう、
 と兎は思う。


607 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/18(月) 07:21:29 ID:10oW+0H1
 兎は棚へと向かい、隠しておいた壷を取り出して、その壷の表面をなぞる。

「狸さん、狸さん、貴方はここまでしても、
 あの人の元へと行ってしまうのですね」

 兎はくすくすと笑った。

「狸さん、あの"女"がいなくなれば、私だけのものになってくれるかしら?
 私だけに頭を下げてくれるかしら?私だけに身を投げ出してくれるかしら?
 私がいなければ生きられないようになるかしら?
 私を求めて求めて止まないほどになってくれるかしら?」

 兎は壷を撫でる。そして笑った。穴倉に響き渡るように笑った。

「あははは……もうすぐ、もうすぐ……
 まだ時期を待たなきゃ……あの"女"を始末する為に、貴方には役に立って貰うよ、
 高い金銀を出して買ったものだもの……いずれ来るわ……近いうちに、近いうちに、
 貴方には役に立ってもらうからね」

 その夜は満月であった。
 夜空を飲み込むほどの満月だった。
 これほどの満月であるならば、恐らくは理性も藻屑となってその中へと消えていくに違いない。
 そんな満月の夜だった。

608 :名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 07:22:46 ID:JdipJyuV
支援

609 :恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26 :2008/02/18(月) 07:24:08 ID:10oW+0H1
投下終了です。

病んだ恋が人を病ませるのか、
人が病んでいるからこそ恋もまた病むのかは、
わかりにくいところでありますね。

では失礼します。

610 :名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 08:36:16 ID:q6vVOWPn
いいねw
独特の魅力がある

611 :名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 08:36:23 ID:T+YXavN3
GJ
うさぎが怖いんですけど…

612 :名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 12:29:18 ID:LjzUKneC
GJ
狸が可愛すぎるwww

613 :名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 14:56:00 ID:fLsAj8GI
やっほう! 兎かわいいよ兎かわいいよ兎かわいいよ兎かわいいよ兎(ry

人も恋も、分かちがたく一つのもので、後先はあるまいと思う。
ある日唐突に、思ってもみないくらいに抗いがたくも狂おしい自分を発見する。
恋とはそういうものだ、と思っている。

だから、あなたの描く恋と狂気は、好きだ。

614 :名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 15:23:05 ID:l04Ej4z2
兎が素敵過ぎるw

615 :名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 19:14:18 ID:zo0JJ7H1
>>609
GJ!
いつもながらwktkが止まりませんわwww

616 :名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 22:36:05 ID:/pB6Ix2B
GJ!
狸と結婚したひ(´・ω・`)

617 :名無しさん@ピンキー:2008/02/19(火) 00:07:45 ID:11NxoNdQ
>>616
おい、頭のおかしい女関連スレでは口には気をつけろ。

618 :名無しさん@ピンキー:2008/02/19(火) 00:37:23 ID:EqKFSJfD
>>617
一時間半も経ってから忠告しても、>>616はもう……

619 :名無しさん@ピンキー:2008/02/19(火) 00:58:59 ID:Ao6kkqk8
>>609GJ!なんだけど、な ぜ か 娘さん を 応援 したく なった。

なんかチャイムが鳴ったからチョット出てくる。

620 :名無しさん@ピンキー:2008/02/19(火) 01:08:08 ID:uIoBNvNO
>>619
オイ、覗き穴はちゃんと見ろよ……って、遅かったか――

621 :名無しさん@ピンキー:2008/02/19(火) 11:21:34 ID:gtVrghbt
娘さんも病んでるっぽいなw
wktkwktk

622 :名無しさん@ピンキー:2008/02/19(火) 21:13:07 ID:KmrGH/+Q
気づいたぞ!
>>616>>619が兎に手によってこr

623 :名無しさん@ピンキー:2008/02/19(火) 21:17:47 ID:M0/+LYtO
なんだっr

624 :名無しさん@ピンキー:2008/02/19(火) 21:24:00 ID:B0DA9JdP
それはたいへ(ry)

625 :名無しさん@ピンキー:2008/02/19(火) 23:29:48 ID:4MVwNIW6
・・ぶり・・・・r

626 :名無しさん@ピンキー:2008/02/19(火) 23:46:05 ID:XeGOAjxB
そしてだれもいなくなtt

627 :名無しさん@ピンキー:2008/02/20(水) 03:09:55 ID:VAcJnGIr
この速さなら言える

3回目の浮気くらい多めににみてよ

628 :619:2008/02/20(水) 04:38:10 ID:COUKVhTy
は〜い>>627が僕たちの仲間になりました。
_▲_  ▲_
(ノ^^)人(^^ )ノナカーマ

629 :名無しさん@ピンキー:2008/02/20(水) 13:42:40 ID:7SozY+UQ
昼ドラの安宅家の人々の遠藤久美子がヤンデレっぽい

630 :名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 01:21:07 ID:1ET7IueN
あれは障害者の男を支える女が逆に依存してるのがポイントだな

だが所詮は3次元さ

631 :名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 15:35:37 ID:37kVTdPt
「美少女に監禁されたい」って、女友達(軽度オタク、非腐)に言ったら、「ヒモ願望があるの?」って素で訊かれた
そんなんじゃないのに……

632 :名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 15:38:33 ID:UrJnFnEr
キモ過ぎる
性癖は秘めねばならない

633 :名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 15:47:08 ID:37kVTdPt
同じオタだから、通じるかもしれないと思ったし、このネタで盛り上がれたらと思っただけなんだ
監禁されたいかされたくないかの二択ならば、されたいのは事実だが

634 :名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 16:13:09 ID:PJX5G968
>>632
オタ相手なら許してやれよ……

635 :名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 17:12:25 ID:vahpFvFy
>>630
あの障害者役の演技はちょっとねぇ…って観てなかったけどそういうことは早くいってくれよ

636 :名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 20:35:23 ID:0iGgiuDJ
でも、生活面だけ見ればヒモ同然なんだよな。監禁って。

まあ、病み娘から「あんたは私と一緒の時だけしかでかけちゃいけないの!」
と言われるならヒモの地位に甘んじるのも悪くないな。

637 :名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 20:40:12 ID:PJX5G968
「外出なんて絶対にダメよ。外になんてでたら>>636君が他の女の視線で汚されちゃうわ」

くらいになるだろうけどな

638 :名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 21:44:04 ID:aMh7H581
ふと思ったんだけど、監禁生活って太るよな。
ヤンデレっ娘は容姿の変化なんか特に気にしないだろうけど、メタボが原因で寿命が縮むのは対策あるんだろうか?

639 :名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 21:54:17 ID:37kVTdPt
体型維持出来るぐらい、夜の運動を強要されるんじゃないか
あと、監禁から脱出しようとする努力が運動になるかもしれないし

640 :名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 22:40:20 ID:S65lQIUS
案外引きこもりって太らないんだぜ!
1時間に1回は死にたくなるけどな!!

641 :名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 23:49:33 ID:EITW8juu
>>637
そこまで来ると殴りたくなるなw
俺はヤンデレ監禁好きだけどたまに外出させてくれる人じゃないと嫌い。

642 :名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 23:55:36 ID:xj0+4lT7
>>641
満面の笑みを浮かべたヤンデレっ娘にさも当然のように首輪を渡されるわけだな。
「もう、やだなぁ。お出かけするならこれつけなきゃだめだよぉ」

643 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 00:16:21 ID:267bY/SF
>>641
リゾートで監禁やってるわけじゃないんだからw
監禁とは愛、愛とは命がけ。ヤンデレさん達は本気なのだから、こっちもいい加減覚悟を決めるんだ

監禁ってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ。
逝っちゃた目のヒロインが疑心暗鬼に駆られて、不用意な発言でいつ「私から逃げるつもりなのね……?」と疑われてもおかしくない
足の骨を折られるか切断されるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。
リゾート感覚は、すっこんでろ。

しかしこれをやると、ミザリーのヒロインはオバサンだという諸刃の剣。
素人にはお薦め出来ない。
まあお前らド素人は、由乃んにミイラと一緒に縛り付けられてなさいってこった。

644 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 00:39:02 ID:u0dg0AWv
某ヘタレゲーだと緑ルート一択というわけか

645 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 00:42:43 ID:gPj/U3cG
>>643に着いていけない…

646 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 00:56:12 ID:6+PWQXIg
>私から逃げるつもりなのね……?
これだけで俺萌えたわwwww

647 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 01:00:02 ID:267bY/SF
>>645
す、すまない
つい素を出しすぎた…

さぁ、カチカチ山の続きを全裸で待つ作業に戻ろうではないか

648 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 01:07:20 ID:gI9A4V7G
俺は全裸に靴下に正座で同時に傍観者と溶けない雪も待ってるぜ

649 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 06:48:28 ID:hOBg5Rz0
この一連のレスの中に…
本当の監禁者とヤンデレがいるぞ!


全裸正座が待機の正装って何時ぐらい前に決まったのかな?


650 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 09:48:27 ID:eyeuRkPM
>>643
改変乙w
つーか>>645、」こんなの前菜みたいなもんじゃねーか

651 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 10:32:56 ID:bDLxMZMc
ちょっと聞きたいが、ヤンデレ少女の性格はヤンデレを抜きにした場合、
素で人間的に好きになれない、もしくは問題のある性格と、
元々は人間的に全うな性格はどっちがいい?

652 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 10:49:28 ID:5Q2r+Tj5
全うな性格かな
そんな娘が病んだときとのギャップが良い

653 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 12:21:48 ID:7ajTJvrg
ヤンデレと戯れる妄想しているときでもやっぱり愛液入りのご飯はNGだ。
痛いこと(手足切断)されるのもNGだ。監禁されても出入り自由。
だから俺の脳内では素人でも扱いが簡単なヤンデレさんが住んでるんだよね。初心者はまずここから。

654 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 12:42:03 ID:eyeuRkPM
>>653
なんか甘口のカレーみたいだ
ちなみに俺は甘口のカレーはカレーと認めない派

655 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 12:54:30 ID:5Q2r+Tj5
甘口だったら、体液と言わずとも体毛ぐらいは入っているんじゃないか?
バレンタインとかでも、髪の毛が数本入っていたとかよく聞くし。まぁ、体液入れられてても気付けるわけがないが

656 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 13:00:52 ID:zf831HXe
>>655 >バレンタインとかでも、髪の毛が数本入っていたとかよく聞くし
それ手作りチョコだからだろ。料理してれば意図せず入ってしまう。
現実世界で意図的に食べ物に体毛入れられたらドン引きしちゃう。

657 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 13:21:15 ID:5Q2r+Tj5
>>656
いや、実際に小学生中〜高学年ぐらいのときに髪の毛の束が入ったチョコが話題になったことがある
あの頃は、占いやおまじないでそういうことをする女性も少なからずいたそうだ
アイドルへのチョコもそういう噂、一度くらい聞いたことないか?
ヤンデレには直接、関係ないかもしれないが、そういうのに頼ってまで男を自分のものしたいという女性は確実にいたということだよ

658 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 14:09:44 ID:7ajTJvrg
>>654
愛液ドプドプ(お茶漬けできそうなくらい)のご飯を出され、手足切断は当たり前。
監禁されたら最後お日様とは永遠のおさらば。これが辛口?  SSなら俺も辛口派だね。
>>657
今は目立たないだけで今でもそう言うの多いと思うよ。男が弱くなってきたから更にヒートアップしそう。

659 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 14:36:37 ID:eyeuRkPM
>>658
辛口というか、あくまでそれらは副産物なのであって、肝心の気持ちがどうとかそういうのが分からないと……

660 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 14:51:11 ID:6+PWQXIg
ヤンデレは病みばかり注目されるけど本当はデレが本質だよな

661 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 15:48:41 ID:bDLxMZMc
>>660
何のために病むか、それは愛ゆえだ


病みを重視するなんて、ハンバーグの肉汁ばかり重視して肉を蔑ろにするようなものだ

662 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 16:45:47 ID:u0dg0AWv
こんなに愛してるのにっ!愛してるのにいッッ!!!
こんな台詞、言われてみたいもんだよなァ

663 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 16:49:21 ID:B0UHSx4e
ナルトの主人公って自分の意思で里抜けしたサスケを無理矢理追いかけ
手足バッキバッキにしても連れ戻すとかサスケの意見をバリバリ無視してるが…女なら最高のヤンデレ?

664 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 16:51:51 ID:6+PWQXIg
>>663
友情と愛はまったく違う

665 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 17:10:00 ID:eyeuRkPM
>>663
アレは悪の道に落ちようとしていた、って事情があるだろ
ヤンとか無関係だ

666 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 17:45:04 ID:cwplr3tW
ヤンデレの手料理なら愛液でも血液でも陰毛でも爪でも混ぜてもらって構わん
けど玉ねぎだけは入れないでください

667 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 17:52:06 ID:u0dg0AWv
>>666
猫乙

668 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 18:00:39 ID:eyeuRkPM
>>667
お前に言われて気づいたが、家猫飼ってる女ってある種のヤンデレが混ざってねえ?

669 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 18:42:24 ID:2Q6Sb2Yl
>>666
激しく同意
タマネギは許せねえよ

670 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 19:16:04 ID:9LD/DLwJ
>>669
犬乙

671 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 21:12:35 ID:u0dg0AWv
>>668
レイプ目魔女と黒猫と申したか

672 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 22:24:25 ID:YGUCBxZp
>>668
飼ってる人間じゃなくて猫自体がヤンデレっぽい。ブラック臭キツイし嫉妬が激しい。

673 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 23:08:37 ID:267bY/SF
>>653さま >>654さま >>659さま 
ヤンデレとは愛であること、これはもはや論ずるまでもない真実でございます。
その上で不肖わたくし>>643は、「監禁」という言葉は「高度に拘束されている状況」を意味すると言いたいのでございます。
これは単純に、言葉の辞書的な意味の問題でしかございません。

両手両足は鎖で繋がれ、解いてよと頼んでも「私が貴方の手、貴方の耳、貴方の足になるわ。だから……そんな必要ないよ?」と言われるだけの状況。
なおも解いてよと頼むと、みるみるうちに彼女の表情が崩れていき「逃げるつもり……?」→「私のこと嫌いになったのねッ?」→「あの女のせいッ!?」
――などと話が飛躍して、ドンドンややこしくなっていくわけであります。
これを読んでいる貴方、ふと今のわが身を振り返って「あ、俺のことじゃん」と思う貴方、貴方はまさに「監禁されている」状態なのでしょう。

そこの貴方。アウンサン・スーチーさんの如く、お部屋の中では自由にしていていいけど、一歩も出してもらえない貴方。
「それじゃ行ってくるね。いい子にしてないとメッだゾ」と貴方のおでこをつつき、にこやかに微笑んでお仕事に出かける彼女の背中――
30個の南京錠と15個の電子ロックと10個の電撃トラップと3個の警報装置を玄関にガチャガチャ仕掛けていく彼女の背中を、ぼんやり眺めているだけの貴方。
そんな貴方は「軟禁」されていると言えるのではありませんか?

そして>>653 出入りが自由の貴方ですが、それは言葉の意味的に「監禁」ではありません。しかし恥じ入る必要もございません。
貴方の場合は「束縛」と表現するのがぴったりでございます。
思うに、貴方が外出するためには、キモ姉やキモウトの監視&付き添いが必須ではありませんか?
北の国の幹部は、一時間インターネットをしただけで思想教育が施されるそうでございます。
貴方も同じではありませんか? 三十分外出した後には、たっぷり三時間は「愛しているのは誰?」と問い詰められていませんか?

「監禁」「軟禁」「束縛」――どれもヤンデレには違いはございません。
どの状態に嵌りたいかは個人の嗜好の問題で、そこに貴賎はないのでございます。
しかし敢えて言おう! 俺は「監禁」されたい!
俺は由乃に監禁されたユッキーの如く、真っ白で虚ろな躯になって、渇いた涙を流したいのだ。

ヤンデレ好きとは、まっこと漢の修羅道なのでございます。
SSでもない青年の主張、ご清聴いただきありがとうございます。ありがとうございます。

674 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 23:18:12 ID:eyeuRkPM
>>673
あなたほどの漢がなぜ軟禁状態におかれてないか不思議でならない

675 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 23:48:26 ID:YgtxMzIe
>>673!!こんな処にいたのね?
さぁ、早く2人だけのあの部屋に戻りましょう?
貴方のこと、誰が世界で一番愛しているのか再度、教えてあげますからね?
ハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤク
ハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤク
ハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤク
ハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤク、カエリマショウ?

676 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 23:50:30 ID:eu9iVfiS
>>672
新聞紙にも嫉妬するからな

677 :名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 23:54:30 ID:u0dg0AWv
>>673
あんた随分前に別スレで姉妹について語ったことあるだろwwww
才能無駄遣いしすぎwwwwwwww

惚れた

678 :名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 00:04:10 ID:CrP1vi28
おい>>677、今>>675が鬼の形相でお前の家に向かったんだが大丈夫か?

679 :名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 01:59:52 ID:ztBYb5/b
遅かったか・・・クッ
>>673の恋人は私なのに>>675みたいなクソ女が・・・
ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ
ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ
ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ
ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ

680 :名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 11:18:25 ID:WRv9xa0P
>>671
シグルイの藤木が女だったら最強のヤンデレだよな

そんな風に考えていた時期が俺にもありました

681 :名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 11:20:33 ID:wSFeQhpo

>>673に死亡フラグが…

682 :名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 11:37:42 ID:LhanQoKr
しかし改めて考えてみるとヤンデレにデレは無いんじゃないかと言ってみる
デレているからこそ病んでるわけだし
でも病んでる状況こそがデレてるんだからやっぱりデレはあるのか?
あれ?

683 :名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 11:47:37 ID:ku0/6Beh
>>682
日本語でおk

684 :名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 12:09:52 ID:LhanQoKr
>>683
すまん
俺も何がいいたかったのか自分でわからなくなったから気にしないでくれ

685 :名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 12:26:11 ID:+Fiw/AL0
ヤンデレにとってのデレの表現が、常人にはデレと受け取られないということだろう

686 :名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 12:41:19 ID:2I80Fq9o
ヘンゼルとグレーテル<KHM15> 4−1

どこか大きな森の入り口に、貧乏な木こりが、お上さんと二人の子供と暮らしておりました。 
兄の名前はヘンゼル。妹の名前はグレーテルといいました。 木こりは元々貧乏で、苦しい生活をしておりましたが、この年の飢饉で日々のパンすら手に入らなくなりました。 
このままでは一家四人、全員飢え死にしてしまうと考えた両親は、ヘンゼルとグレーテルを森の奥へ連れ出し、そこに置いてきてしまおうと相談しました。 
その話はお腹が減って眠れずにいた子供たち耳にも届いていて、 「もうおしまいだわ」とさめざめと泣くグレーテルにヘンゼルは、 
「心配するんじゃないよ、お兄ちゃんがきっと何とかするからね」となぐさめ、その夜はヒシと抱き合って眠りました。 
翌朝、二人はまだ日の昇りきってもいない内におかみさんに起こされ、 
「ホラいい加減起きなよ、これからみんなで森へたきぎを取に行くんだよ」 
と、めいめいに小さなパンを渡し、「ほらこれはお昼ご飯だよ、お昼にならないうちに食べちゃ駄目だよ、もう無いんだからね」と言いました。 
両親は子供たちの手を引いて森の奥へ奥へ進みます。 
ヘンゼルはポケットの中でパンを細かく崩し、少しずつ道にこぼして行きました。帰りの目印にするためです。 
両親は森の奥深くへつくと、 
「あたしたちはたきぎを集めてくるから、ここで待っといで」と言って更に奥へと入って行き、 それっきりでした。 

「待っといでねグレーテル。月が出れば、まいたパンくずが見えてお家に帰る道を教えてくれるからね」 
と言いましたが、月が地面を照らしてもパンくずは一つも見つかりません。 
森や野原を飛び回っている何千何万の鳥が残らずついばんでしまっていたのです。 
「道はきっと見つけるからね」とメソメソ泣くグレーテルを慰めながら歩き続けますが、知った景色はいっこうに見つかりません。 
夜通し歩きとおすと、やがて小さな家の庭先に着きました。 
その家は壁はパンで、屋根は卵焼きのお菓子、窓は白砂糖で出来ていて、そばには冷たい奇麗な水で満ちた池がありました。 
「一つご馳走になろう。ボクは屋根を食べるから、グレーテルは窓を食べな」 
と二人がかりでぽりぽりかじりました。そうすると中から、 
「ぼりぼりばりばりパンの皮、あたしのお家をかじるのだあれ?」と言う声がして、それに子供達は、 
「かぜだ、かぜだ、天の子だい」と答え、構わず食べ続けました。 
そのうち中から石の様に年を取ったお婆さんが出てきて、子供たちを中に誘いました。 
お婆さんは二人に牛乳だの砂糖のかかったお菓子だの胡桃やリンゴだの、上等なご馳走をたんと食べさせ、真っ白いシーツのかかったベットを用意しました。 
この親切そうな婆さんは実は悪い魔女で、このお菓子の家も子供をおびき寄せ、ノコノコやってきた子供を殺して煮て食べてしまうのでした。 




687 :名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 12:44:12 ID:2I80Fq9o
ヘンゼルとグレーテル<KHM15> 4−1

朝起きるとヘンゼルは家畜の檻に閉じ込められていて、グレーテルはその世話を魔女に命じられました。 
「ホラいい加減起きなよ、これから水汲んで、檻に居る兄ちゃんに何か美味いものをこさえてやりな。脂がのったらあたしが食べちまうのさ」 
グレーテルは泣きました。 ですが泣いても何の役にも立ちません。 
「どうせこんなところをうろついているあんた達は、誰からも必要とされなかったんだろう? せめてあたしのご馳走になれることに感謝しな」 
と言い捨て、気持ち悪い声で嗤います。 
魔女の婆さんに命じられた通りに、昼間中ヘンゼルに食事を作り続けました。 
グレーテルはヘンゼルが人質に取られているので作らないわけには行きません。 
ヘンゼルはグレーテルが人質に取られているので食べないわけには行きません。 
夜になればグレーテルもその小屋へ放り込まれ、懐から鍵を取り出し錠をおろしました。 
「大丈夫かいグレーテル? あの魔女に酷いことをされなかったかい?」 
兄は乱暴に投げ込まれた妹にかけより、抱き寄せ、頭をよしよしとなでなぐさめました。 
打たれたり蹴られたりもしましたが、それよりも魔女が事あるごとに言い放つ「お前たちは誰からも必要とされていない」というセリフに心を痛めましたが、 
「あたしは大丈夫よお兄ちゃん。でもこのままじゃお兄ちゃんが太らされて、あの魔女に食べられちゃうわ」 
とヘンゼルの胸でめそめそと泣きました。 
「ボクはきっと大丈夫だからね、泣くんじゃないよ」 
とは言え、どうしたら良いか具体的な方策はいっこうに思いつきません。 
ヘンゼルは小屋の中をぐるりと見回し、 
「こんなに狭いと、ここで出来る運動なんて、何があるだろう」 
と、ポツリとつぶやくと、 
「・・・ある、あるよお兄ちゃん!」 
グレーテルは顔を輝かせいきなり服を脱ぎ始めました。 

最後の一枚まで取り払い、幼い裸体をあらわにすると、今度は兄の服を剥ぎ取りにかかります。 
「グ、グレーテル? 何をしてるんだ?」 
グレーテルはむかし、家がまだ今ほど貧しくなかった頃、両親が寝台で息を切らせ激しく絡み合っているのを見たことがあったのです。 
ズボンとパンツも脱がせると、その中心のまだ形も大きさもウィンナーほどの男の子のシンボルが姿をあらわしまします。 
「えーと、お母さんは確かこう・・・」 
パク、とヘンゼルのそれを口にくわえました。 
「うゎ! グレーテル何するんだ!? 駄目だよそんなの、汚いよ!」 
そんな兄を無視し、しばらくペチャペチャと嘗めまわしていると、兄のソレが口の中で大きく膨れ上がしました。 
何が起こっているか分からないヘンゼルは未経験の感覚に戸惑い、固唾を呑んで見守ることしか出来ません。 
グレーテルはチュボチュボと音を立て、先端から根元まで顔を前後させます、始めはゆっくりと、要領を掴んだのかだんだん激しくなっていきます。 
その口に吸いだされるように、兄の下腹部に熱い塊がこみあげ、 
「グレーテル! どいて、おしっこ出ちゃう!!」 
と離れようとしますが、手にも足にも力が入らず振りほどけませんでした。 



688 :名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 12:46:42 ID:2I80Fq9o
ヘンゼルとグレーテル<KHM15> 4−3

グレーテルが頬をすぼめ、ジュルルルと勢い良く吸い込むと、ついにヘンゼルは爆発しました。 
「んぶっ!? んは、けほ、けほ」 
先端から放たれたものは、尿とは違い、濁った粘液が脈打つように飛び出し、喉を撃たれ咳き込む妹の髪や体を汚しました。 
兄は産まれて始めての射精に、魂が抜けたようにその場にへたり込み、妹は始めのように力を失った兄の中心に再び口をつけました。 
「ふあぁ!!」 
たった今放ったばかりで敏感になっている所を刺激すると、それはすぐに力を取り戻します。 
グレーテルはそれを跨ぎ、そそり立つヘンゼルの肉竿を自分の中心へあてがいました。 
指一本触れていないのに、内側から溢れる蜜でトロトロに濡れているそこで兄の一部を飲み込み、 
ッビ 
「っっっっ!!」 
乙女の破れる痛みにのけぞり、半ばまで飲み込まれた肉竿に一筋の鮮血が伝わりました。 
「グレーテル! 駄目だよ! やめなよ! 血が、血が出てるじゃないか!!」 
グレーテルは、自分を気遣い、抜いてどかそうとするヘンゼルの肩を押さえつけ、 
「あたしは大丈夫よ、お兄ちゃんのためだもん」 
と健気にも全身を冷や汗で濡らしながらも、顔には笑みを浮かべ、兄の言葉を封じました。 
「っん」 
ズチャ、竿の残りを一気に飲み込むと、糸が切れたようにヘンゼルの胸へ崩れます。 
兄は、目に涙をため息を荒げしがみつく妹の背を撫でさすりながら、飲み込まれた部分から湧き上がる感覚に戸惑っていました。 
背中に回していた手で妹の小さなお尻を握り、小刻みにゆすります。 
本当はもっと大きく、激しく動かしたい衝動に駆られますが、可愛い妹が壊れてしまいそうなので必死に堪えていると、 
「いいよ、お兄ちゃん。思いっきり動いて、そのために、してるんだもん」 
と耳元でささやく少女の言葉に、少年の中で何かが弾けました。 
少年は自分の腰を下から大きく突き上げ、少女のお尻を強く引き寄せ、奥へ、奥へとねじ込みます。 
「あぐぅ! ぅあっ、ああ!」 
少女の苦しげな悲鳴も、精を放つ悦びを知った少年の歯止めにはならず、むしろ更に腰を激しく動こうとしますが、この体勢では上手く動けないと悟り、少女を抱きしめゴロリと転がって上下を反転させました。 
自由になった腰を思う存分動かし、何度も抜けそうになりながら、先端から根元までを使い、入り口から袋小路までを突き続けると、少女に劇的な変化が起こりました。 
「あぁ・・・んん、あぁん」 
苦しげな響きは消え、甘く切なげな声を上げ、両手両脚でしがみつき、少年の腰に合わせるように、自分の腰も振りはじめます。 
「あぁ! お兄ちゃんっ! おにいちゃん! あたし、もうだめぇ!!」 
「ボクも、ボクもまた出そう! 出ちゃうよ!!」 
先ほど勢い良く自分の喉に流し込まれた熱い粘液が、今度は自分の奥で放たれる。 
それは少女にとって恐怖でした。正気を保てる自信がありません。 
「出して! お兄ちゃんあたしの中で出してぇ!!」 
二人は一際強く抱き合うと激しく震え、少年は少女の胎の中に全てを注ぎ、少女は全てを受けとめました。 
息を荒げ、覆いかぶさってくるヘンゼルに、グレーテルは聞きました。 
「お兄ちゃん、あたしたち、ずっといっしょだよね?」 
「勿論だよグレーテル。ボク達は、たった二人の兄妹だもの、これからもずっといっしょだ」 
汗だくになり疲れ果てた二人は、繋がったまま抱き合い、すぅすぅと眠りにつきました。 

689 :名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 12:47:30 ID:2I80Fq9o
ヘンゼルとグレーテル<KHM15> 4−4

それから二人は魔女の隙を見つけては交わり続けました。 
グレーテルは昼間は檻の格子に、夜はその隔たりの鬱憤を晴らすように強く抱き合い、一日何度も何度も繋がりました。 
幸い年老いて目も耳も悪くなっている魔女には気付かれずにすみました。 
ある日、魔女はヘンゼルを呼び、腕を握りました。身に付いた脂を見るためです。 
ですがヘンゼルはグレーテルの目論見どおり、連日連夜の際限の無い行為で、精を使い果たし、太らずにいられたため、魔女は首をひねり、グレーテルに、 
「明日からこいつの食事をもっと増やすんだよ! あんたは誰からも必要とされない娘なんだ! せめてそのくらいの役には立ちな!!」 
と命じました。 
そんなヘンゼルとは別に、グレーテルの体は日に日に丸みを帯びて行きました。 
太ったのではありません。 
胸や腰周りなど、それまで直線で出来ていた体が、女の子らしい曲線を描くようになりました。 
ヘンゼルはそんなグレーテルの体に益々のめりこみ、妹と交わる回数は日に日に増えていきました。 
一月ほど経って、魔女が再びヘンゼルの腕を握ると、それは以前よりもやせ細り、脈も弱っているのに驚き、 
「死んじまったら元も子もない! せめて生きているうちに喰っちまわにゃ! あんたたちみたいな要らない子は、あたしのご馳走になれることに感謝しな!」 
とグレーテルに火を起こし、湯を沸かすように命じました。 
それを聞いた後のグレーテルの決断は一瞬でした。 
湯の沸き加減を見るために暖炉に近づき、背を向けた魔女の頭を火掻き棒で叩き割り、ピクリとも動かなくなるまで殴り続けました。 
そんな妹にヘンゼルはしばらく声も出せませんでしたが、ハット我に返ると、 
「グレーテル! そいつの懐に鍵があるはずだ! それで檻の錠を開けてくれ!」 
と叫び、グレーテルは魔女の懐を探り、鍵を見つけました。 
グレーテルはその鍵を血で汚れた掌でもてあそびながら、唐突に、 
「お兄ちゃん、あたしたち、ずっといっしょだよね?」 
とヘンゼルに声をかけました。 
どこか様子のおかしいグレーテルに、ヘンゼルはひるみましたが、 
「勿論だよグレーテル。ボク達は、たった二人の兄妹だもの、これからもずっといっしょだ」 
と応えると、グレーテルは幸せそうな笑顔を浮かべ、 
「お兄ちゃん、あたしたち、ずっといっしょだよ」 
暖炉の火の中に、檻の鍵を放り捨てました。 

それからおかしな森のおかしの家で、グレーテルは末永く幸せに暮らしましたとさ。 

おしまい 

690 :名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 12:49:29 ID:FwJ+5Z6d
このssは他スレのコピペです
なにがしたいんだか

691 :名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 12:54:52 ID:wasoDiMz
多分、終わり方がヤンデレっぽいからココにコピペしたんだろ

692 :名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 14:58:22 ID:3kkcY/kT
ヤンキーのツンデレSSでも書いてるのかと思って覗いてみたらホラーみたいなSSだったってやつは少なくとも30人くらい。
しかし意外といけると思ってそのままここの住人になってしまった人はその中の10人と見た。

693 :名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 16:26:40 ID:dYV9EWBz
明後日国公立の入試な僕ですが、何か会場にいるヤンデレっ子たちを釘付けにするようないい策はありませんでしょうか

694 :名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 17:08:03 ID:IIaFatUm
そのヤンデレっ子が惚れている子に擦り寄っていけば注目間違い無しだ

695 :名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 17:42:56 ID:PbaHbH5d
普段話し掛けない同級生に話を仕掛けろ。

そこから立ったフラグは君のものだ

696 :名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 18:44:54 ID:ku0/6Beh
>>694
通報しますた

697 :名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 19:51:56 ID:3kkcY/kT
>>694
お前は>>693になんの恨みがあるんだ!w

698 :名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 19:56:15 ID:1t5PpyCK
>>697
>>694ほど親切な奴はいないだろwww

699 :名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 23:46:43 ID:01IPKb9z
>>694 むしろ釘を打ちつけられそうである 

700 :名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 13:09:56 ID:mYTU965Q
>>694
死亡フラグのガイドラインだな

701 :名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 14:35:18 ID:e4dL5APF
ヤンデレが病んで壊れてくのを楽しんでる黒主人公とか良いよね

702 :名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 18:00:40 ID:3KWclekA
そんなことはない。男は被害者!それが良いのよ! 妄想の世界ではね。
まあ、そんな人ですオレは。

703 :名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 18:14:05 ID:l+nl2sdO
そんな人です、俺も
ただし男は鈍感という加害を加えてなければならない

704 :名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 18:20:45 ID:MkX2MMm9
椅子に縛られて延々とビンタ&尋問されたい

705 :名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 21:24:12 ID:6QV5imgy
>>702
俺だったら最終的に壊しすぎて自分もやられるオチを妄想する

706 :名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 21:25:09 ID:bBGcyjBy
>>704
IDにM、mが沢山あるだけあるなWWWW

707 :名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 21:29:54 ID:g0Y6h1Cv
>>693
何でエロパロにいるんだい

708 :名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 23:55:02 ID:3KWclekA
>>703
そしてターゲットに対し仲の良い友達としてみていて、決して落ちてたりしてはいけない。

709 :名無しさん@ピンキー:2008/02/25(月) 00:41:03 ID:zqTZeBFc
>>701
 他愛の無い挨拶を交わしながら教室へ入る。今日も実に爽やかな朝だ。
悪友どもは相変わらずバカな遊びや会話で盛り上がっているし、
隣の席の香奈は可愛いし幼なじみの茉莉のツンデレっぷりも最高だ。

「お前もカラオケ来るか?」
「茉莉と香奈も来るから来いよ」
「そうだな、弥生さんも来るなら行くよ」

 心の底に秘めた悪意を隠して翔と啓太の誘いに乗った。
 笑顔に黒い思いを出さないように注意する。

「弥生?おい茉莉、誘ってくれよ」
「なっなんで私が!?」
「だってあの人話し掛けにくいじゃん。頼む」

 茉莉に誘わすなんて。無意識の翔のアシストに溢れる笑みを隠しきれない。

「僕からも頼むよ、茉莉。お前しか頼めないんだから」
「……仕方ないなぁ」
「ん、ありがとう」

 しぶしぶ承諾した茉莉の頭をわしゃわしゃと音を立てて撫でる。

「あ〜頭触ってる〜」

 香奈がすかさずうらやむような声ではやし立てた。
わざわざ音を立てる必要は無かったようだ。こんなことなら
茉莉の機嫌を損ねる覚悟でぐしゃぐしゃにしなくとも良かったのに。

「香奈ちゃんにもやったげるよ」
「ちょっと髪型崩れたんですけど!しかも香奈には優しくするんだ」

 本当に。
 本当にこいつらは素晴らしい。
 わざわざ実況してくれるなんて。

「お前は本当にモテていいよな」

 啓太の軽口と同時にチャイムが鳴り、僕らは各々の自席に散った。
担任の須田先生はこれでもかという程の典型的「厳しい女教師」だ。
黒髪縁メガネの32才にみっちり怒られたくは無い。

 着席して教室を眺める。弥生だけ他クラスになったのは幸か不幸か。
 少なくとも彼女を追い詰めた点では僕にとっては幸なのだろう。
 見ていて実に楽しい。

 襟の後ろに手をやると今日もしっかりついていた。
 先程の会話を弥生に聞かせていただろう盗聴器。

 いいよ、もっと狂え。
 僕は楽しくて楽しくて笑みが溢れるのを止められ無かった。

710 :名無しさん@ピンキー:2008/02/25(月) 00:41:50 ID:zqTZeBFc
続かない。反省はしてる

711 :名無しさん@ピンキー:2008/02/25(月) 01:37:48 ID:z0FO1z+2
何て酷いおちんちんだ

712 :名無しさん@ピンキー:2008/02/25(月) 01:47:56 ID:+V/UlNdx
楽しそうw

713 :名無しさん@ピンキー:2008/02/25(月) 01:48:40 ID:+V/UlNdx
 やばw サゲサゲw

714 :名無しさん@ピンキー:2008/02/25(月) 19:34:20 ID:c7PjU2qg
な、なんだこのスレ・・・
ただならぬ妖気を感じる・・・
ダメだ!俺はここにいちゃいけない!
このままじゃ抜け出せなくなってしまう!

715 :名無しさん@ピンキー:2008/02/25(月) 19:55:24 ID:9jVNIOky
おいでやすー

716 :名無しさん@ピンキー:2008/02/25(月) 22:27:55 ID:xWMFFe8c
続きは?ねえ続きは?

717 :名無しさん@ピンキー:2008/02/26(火) 02:49:10 ID:Jzbh9Web
「はい、これバレンタインのプレゼント」
外からは運動部の喧噪が聞こえる。
「ありがとう、未樹」
教室には二人きりだ。
否。二人きりに見えた。
僕には分かる。今もその掃除用具入れの中から僕らを見てるんだろう?

「じゃあ私部活があるから」
「うん、また明日」
そう言って未樹と別れ、靴箱を開ける。
やっぱり入っていた。可愛らしく包装された包みが一つ。
僕は気付かなかったかのようにそれを下に落とし、今取り出した革靴で踏みつけた。
後ろに隠れてるあいつにちゃんと見えるように。
そうだもっと壊れろ、そうじゃなきゃおもしろくない。
僕は必死に笑いを堪えながら帰路に付いた。

718 :名無しさん@ピンキー:2008/02/26(火) 02:50:13 ID:Jzbh9Web
翌日。
「今日は一緒に帰れるんだろう?未樹」
「それが、2組のひとに屋上に来るように言われてて・・」
・・ちょろいな。
「じゃあ、教室で待ってるよ」
そうは言ったがその通りにするはずも無く僕は屋上の扉の前にいた。
間もなくして未樹の悲鳴が聞こえてきた。
そろそろか、そう思って僕は勢い良く扉を開ける。

見ると暗い目をしたあいつがナイフで未樹に切りかかろうとしていた。
「止めろォ!」
迫真の演技で叫び間に入って未樹をかばう。
僕の顔を見たあいつはまるでこの世の物では無い物を見るような顔をして驚いていた。
「君、2組の長坂さんだよな」
表情を変えぬままうめき声を漏らすだけ。
「僕らには二度と近づかないでくれ。行こう、未樹」
そう言って屋上から退出しながら僕は今までにない爽快感を感じていた。

背後からはごめんなさい、とか、でも名前を知ってて貰えた、とかそんな譫言がいつまでも聞こえていた。

719 :名無しさん@ピンキー:2008/02/26(火) 02:59:21 ID:Jzbh9Web
勢いでやった。
眠い。

720 :名無しさん@ピンキー:2008/02/26(火) 07:26:32 ID:dca4+RYD
俺も頑張ってみるよ!
リアルにドリームをカムトゥルーするんだ!

721 :名無しさん@ピンキー:2008/02/26(火) 12:50:16 ID:jNo87WPO
>>720
ルー乙

722 :名無しさん@ピンキー:2008/02/26(火) 16:32:46 ID:oFUp3gw8
>>719
出来れば続けてくれ

723 :名無しさん@ピンキー:2008/02/26(火) 19:06:45 ID:RR+DbnnC
>>719
続きを書かないと友達のヤンデレ女にストーカーさせるからな!

724 :名無しさん@ピンキー:2008/02/26(火) 20:18:54 ID:P4aONNa0
そうやっていつも>>723君は私をいいように利用するんですね。
『友達』なんて便利な言葉で誤魔化して、
私がどんな気持ちで貴方の願いを叶えてきたのか知りもしないで。
イイデス。
アナタガソウイウオツモリナラ
ワ タ シ ダ ッ テ

725 :名無しさん@ピンキー:2008/02/26(火) 20:22:06 ID:Ljx4oWYT
>>723
さっきからお前の事をじーっと視てる女がいるんですがその子の事ですか?
“友 達 の”ヤンデレ女っていうのは。

726 :名無しさん@ピンキー:2008/02/26(火) 21:18:34 ID:q2QPltKH
723「ヤンデレ女さんごめんなさい。ポテチあげるから許して」

727 :名無しさん@ピンキー:2008/02/26(火) 21:19:48 ID:q8/xug64
確かに、素性がばれてるヤンデレ女に友達ってのはありえないな
敵か、動く壁か、それとも愛する人か、だ
>>723がうらやましいぜw

728 :名無しさん@ピンキー:2008/02/27(水) 06:49:38 ID:GhYqL3sh
飼っているペットがヤンデレになって飼主の恋人を次々と殺している夢を見たんだが……これは俺のどんな心理を表しているんだろう?
教えてエロい人。

729 :名無しさん@ピンキー:2008/02/27(水) 07:01:24 ID:Fdv55PSl
フロイト的に言うとそれは性的欲求不満

730 :名無しさん@ピンキー:2008/02/27(水) 07:20:29 ID:CoAXgaY/
>>728
つ[胡蝶の夢]

本当にそれは夢なのか?
むしろ今のきみが夢の中なのではないのか?
そしてふと気がつくと、きみのうしろに恋人の生首を咥えたペットが・・・

731 :名無しさん@ピンキー:2008/02/27(水) 07:26:02 ID:aUfXt0hp
盲目の主人公とヤンデレの幼なじみ…


732 :名無しさん@ピンキー:2008/02/27(水) 11:26:17 ID:UR+I3AFm
一見普通そうな俺の妹がヤンデレだったって夢を見た。
想像すると吐き気がします。これが本当の兄妹ね。

733 :名無しさん@ピンキー:2008/02/27(水) 16:18:51 ID:UVZFbppe
>>732
それは本当に夢なのかな?

734 :名無しさん@ピンキー:2008/02/27(水) 17:13:12 ID:2x4R4S6e
>>731
何も知らない主人公
目が見えないのを言い事に周りにやりたい放題の幼馴染の構図が思い浮かんだ

735 :名無しさん@ピンキー:2008/02/27(水) 21:02:18 ID:UR+I3AFm
>>734
主人公はいい迷惑だなwww
近づく女を平気でぶん殴ったりすんのか。

736 :名無しさん@ピンキー:2008/02/27(水) 21:57:24 ID:qJloRP79
>>734
是非書いて下さい

737 :見えないよ ◆2YJV.XkANs :2008/02/27(水) 23:44:03 ID:g6LmVHR9
三行だけど

「何の音だ?」
「え、ああ、最近汚らしいメスぬこの被害が大きいから退治してたんだよ」
「へー」

738 :名無しさん@ピンキー:2008/02/28(木) 00:02:23 ID:GyaljFNA
記憶喪失の男にあることないこと吹き込む幼なじみとかもいいな

739 :名無しさん@ピンキー:2008/02/28(木) 00:05:22 ID:TAx7gvbt
主人公が事故で記憶喪失になって目も見えなくなればいいんじゃね?

740 :名無しさん@ピンキー:2008/02/28(木) 00:39:03 ID:OS9J3CaI
その事故は実はヤンデレの仕掛けたことってのはあり?

741 :名無しさん@ピンキー:2008/02/28(木) 00:41:10 ID:ZE+RIs7g
>>740
俺とまったく同じ発想だったんだが
まさか姉さん! 姉さんなのか!
僕のヤンデレ姉さんなのか!

742 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/28(木) 01:55:37 ID:2qzBLu79
投下します。死闘編です。


743 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/28(木) 01:56:23 ID:2qzBLu79
「んー……こんなもんかな?」
 ボールペンを机の上に転がし、便箋を右手でつまんで持ち上げる。
 B5サイズの便箋には彼へ向けたアタシの想いが綴ってある。
 現国の課題で作文用紙に感想文を書かされる時はすっごく悩むのに、これを書いている間は悩む暇も無かった。
 って言っても、悩まなかったのは文章だけ。
 要点を押さえながら、不必要な部分を省く方が難しかった。
 「アタシはあなたを助けたいの」って部分は残しておきたかったんだけど、頭の痛い女だと思われるかもしれないから、渋々削除した。
 文章って難しい。もうちょっと真面目に授業を受けたり、本を読んだりしておけばよかった。
 これから勉強する暇も無くなると考えると、損をした気分になる。
 でも、いっか。
 損した分を補って余りあるものがもうすぐ手に入るんだから、少しは我慢しないとね。

 便箋を折りたたんで封筒に入れる。そしてラブレターらしく、ピンク色のハートのシールで封をする。
 あとはこれと、アタシの愛が凝縮したチョコレートを彼の靴箱の中に入れれば、事を行う準備が全て整う。
 チョコは今日の夕方にようやく完成した。
 作り始めたのは何日も前からなのに時間がかかったのは、理想通りに仕上がらなかったから。
 アタシの血とか愛液とか入れると必ず失敗するのよね。
 おかげでチョコレートを溶かして固めただけのバレンタインチョコしかできなかった。
 でも、我慢しよう。明日の今頃には、彼はアタシを食べているはずだから。
「そして、アタシも…………ふひひひひ」
 告白の舞台は完璧に整っている。彼の性格を考慮に入れた作戦もできている。
 彼がやってきて、告白されてどんな顔をして何を言うのか、手に取るように分かる。
 そして、アタシに抱きつかれても彼が受け入れてくれないということも。

 椅子から腰を浮かせて、ベッドの上に身を投げ出す。音も立てずにベッドがアタシの体を受け止めた。
 このベッドで眠るのが恐ろしくなくなったのは、彼に出会って癒されてから。
 それ以前は自分の部屋に入るだけで吐き気がして、その度に胃の中身をもどしてた。
 彼にもしも出会っていなければ、アタシはずっとあのままだったに違いない。
 今では、どうしてあそこまであの男の影に怯えていたのかすら思い出せない。
 あの男はアタシの件を含めたいくつもの罪で懲役中。少なくとも十年は出てこないはず。
 死刑になっちゃえばいいのに。日本の司法の甘さにはほとほと呆れる。
「あー、やめやめ。バカバカしい」
 いくら考えたって過去は過去。決定したものは覆らない。
 今みたいに世の中の理不尽さを恨んだところで何も変わらないんだ。
 それよりも前を見よう。明日のことを考えよう。

 どこまで考えてたっけ? ――そうそう、彼の返事のところまでだった。
 きっと彼はこう言うはず。「ごめん。僕は他の人が好きだから、君とは付き合えない」。
 台詞は違っても、返事に込められた意味は同じ。
 ――アタシを受け入れることはできない、アタシなんか要らない、ってね。

「ハ……アハハ………………ッハハ、ハハハハハ、アハハッ……」
 乾いた笑いが勝手に漏れ出た。満たされない虚しさが心に広がっていく。
 分かってるよ。あなたが自分の想いをねじ曲げたりしないなんて、重々理解してる。
 だけど、アタシだって気持ちを変えたりしない。
 あなたが拒否しようと、逃げようと、アタシを強引にねじ伏せようと、諦めない。
 どうしてか? ――好きだからに決まっているじゃない。

 あなたの好きな黒い仮面を被ったヒーローさん。
 ヒーローはどうして戦うのかしら? 仕事だから? お金のため? 誰かの命令?
 どれも違うでしょう。守りたい人がいるから戦うの。
 力尽きてもボロボロに傷ついても死にそうな時でも、死を恐れずに立ち上がる。
 アタシも同じ。無条件にあなたが好き。だから諦めない。挑み続ける。
 どうして好きなのか、なんて無粋な質問はしないでね。
 好きだから好きなの。好きになるのに理由なんて必要ない。


744 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/28(木) 01:57:05 ID:2qzBLu79
 ごめんね。こんなに思いこみの激しい女で。
 最初はこんなに好きになるつもりじゃなかったの。
 あなたが優しくしてくれたから、ほんのちょっとの間だけすがろうと思っていたの。
 救いがどこかにあると信じて生きてきて、ちょっと疲れた時に立ち寄った小さな休憩所があなた。
 からかって遊んで、アタシの台詞でどぎまぎするあなたの顔を見るだけのつもりだった。
 あなたは時々顔を赤くした。けど、アタシに気があるような素振りを少しも見せなかった。
 その理由はあなたの行動を観察しているうちに判明した。

 葵紋花火。別のクラスに居る一見して不良っぽい女。
 でも実際は髪が金髪なだけで、成績はとても優秀。
 目立つ金色の髪の毛と大きな胸のおかげで男子のウケはとてもいい。先生たちも時々いやらしい目で見てる。
 あなたが有象無象の男共と同じだったらまだ良かった。
 それなのに、よりによって幼なじみで、しかも惚れているだなんて。
 面白くなかった。捜し回ってようやく見つけたおもちゃ屋がもうすぐ取り壊されると知ったときみたい。
 この時点で、すでにあなたにのめり込んでいたんでしょうね。

 後はずるずるとはまっていった。気づけば、あなたが葵紋花火の方を見ているだけで歯ぎしりをするようになってた。
 あんなすました女のどこがいいの? いつもむっつり黙り込んで愛想も見せないのに。
 あいつより、アタシの方がずっとあなたのことを愛してる。アタシならあなたをもっと幸せにすることができる。
 アタシだけを見て。アタシの目はあなただけしか見てないの。
 見てくれないと、寂しくて泣いちゃうよ?
「本当に、寂しいんだから……毎日毎日、もうヤダよ……」
 呟いた途端に涙腺が緩んだ。涙が零れる。
 いくら泣いても無駄なのに。あなたは手に入らない。少しも寂しさは紛れない。
 心の中から寂しさを永遠に無くす方法はたった一つ。
 ちっとも冴えてない泥臭いやり方だけど、これしかない。

 あなたを二人だけの世界へと連れて行く。
 他の手段はない。あなたの心を動かせない以上、無理矢理奪うしかないの。
 責任をとってあなたの面倒は一生見るから。いいえ、見させてもらいますから。
 明日からアタシは、あなたの良き妻となります。
 あなたとだけ体を重ねて、あなたのためだけにご飯を作って、あなただけを愛する存在になる。
 重ね重ね、ごめんなさい。好きになってしまって、ごめんなさい。
 でも、こうなってしまった以上、もう仕方がないの。
 自分では抑えがきかない。あなたを独占しなきゃ、この疼きは収まらない。

 壁にかけている時計を見る。
 まだ夜の十時か。明日が待ち遠しいなあ。
 早く二人っきりで会いたいな。その時から、アタシとあなたの物語が始まるんだから。

745 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/28(木) 01:58:17 ID:2qzBLu79
*****

 毎年二月十四日になると思う。バレンタインデイって無意味だな、と。
 こう思うのは、毎年学校の女子や家族からチョコをもらえないからではない。
 また、帰宅した弟が持ち込んだ大量のチョコレートを妹に見つかったら処分されるからという理由で
俺の部屋に運搬され、貴重なスペースを占領されることに腹を立てているわけでもない。
 男としての感情を抜きにして、無意味だと思うのだ。
 そう思うのは、女性が想いを込めた贈り物をするのが珍しいことではないという認識が働いているから。

 うちの両親は兄妹でありながら子供を作った。妹は弟に過剰なまでの好意を向けている。
 どちらも世間の常識に反しているのだが、その想いだけは本物の好意だと言える。
 この二組と同居している俺は、母と妹がチョコレートを差し出す様子を毎年見ている。
 昨日はキッチンでにぎやかにしていたから、今年もチョコレートを送るのだろう。
 だが、それがなんだというのであろうか。
 我が家では母が父への愛を込めた鼻歌を歌いながら調理に励むのは当たり前だし、
妹が弟の目を気にしながら鍋をかき混ぜるのも当たり前。ほぼ毎日繰り返されていることだ。
 バレンタインデイなど、贈り物がチョコレートに変わるだけの日でしかない。
 それが俺の認識である。

 俺は、告白するなら何も今日でなくとも構わないと思う。
 告白したいときに告白すればいいし、贈り物をするならいつでもいい。
 受ける側が困るということなどないだろう。
 恋人がいたり、人から施しを受けるのが嫌いな人間以外なら喜ぶはずだ。

 バレンタインデイのいいところは、男に小さな期待を抱かせるところ。
 もしかしたら大好きなあの子が告白してくれるかも、なんて思ってしまうのが俺ぐらいの年頃の男だ。
 俺の経験で語るならば、告白されるかもなんて考えている男は告白されない。
 もしくは、好きでも嫌いでもない女子に告白される。現実はそんなものだ。
 まあ、たかが毎年やってくる慣例的なイベントである。
 特別なことを期待せず、どっしりと構えているのがよかろう。

 朝起きたときにそんなことを考えて自分に言い聞かせ、部屋を覆う冷気に辟易しながら学校へ向かう準備をした。
 その後で朝食を食べ終えて、弟と一緒に登校しようと玄関へ向かった。
 ここまでは良かった。昨日と何ら変わりない朝の光景だった。
 しかし、今日は違った。俺と弟が玄関から出ようとするのを阻む者がいたのである。

746 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/28(木) 01:59:33 ID:2qzBLu79
「おはよう、お兄ちゃん」
 バスケットのディフェンスみたいな構えで玄関の扉の前に立ち、弟に向けて挨拶をしたのは妹だった。
 妹は来年度から俺と同じ高校に入学することが決まっている。
 兄二人と同じ高校を選んだ理由は弟と同じ高校に通いたいからだろう。聞いていないけどそれぐらい分かる。

 今朝の妹は俺に挨拶するどころか視線さえ向けない。
 それ自体は毎度のことなのだが、今朝はどうも様子が違う。
 弟を険しい目で見つめたまま黙り込んでいるのだ。
 弟の顔を見る。疑問符を頭の上に浮かべそうな顔つきをして、人差し指で頬を掻いていた。
「おはよ。朝ご飯食べてなかったのは、ずっとそうしてたから?」
「そうよ」
「なんでさ?」
「決まっているじゃない。お兄ちゃんを学校に行かせないためよ」
 妹に止められたから今日は学校を休みます、という言い訳は果たして教師に通用するのだろうか。
 医者ならともかく、妹に止められたではさすがに苦しいと思われる。
「……なんでさ?」
 再度弟が問う。俺も同じ問いをしてやろうかと思ったが、妹の反応が怖いのでやめた。
「今日はバレンタインよね?」
「ああ、うん。そうだけど」
「はい、お兄ちゃん。ハッピーバレンタイン」
 妹が差し出したのは黒い紙と赤いリボンでラッピングされた四角い箱だった。
 中身はカカオを主としてその他諸々を練り固めたお菓子、いわゆるチョコレートだろう。
 ……チョコレート、か? 形はそうだとしても中身はチョコレートの材料だけなのか?
 アイドルの追っかけがやりそうな変なモノ入りのチョコだったりしないか?
 もしそうだったとしても食べるのは弟だから俺に害はないのだが、さすがに引いてしまう。
 髪の毛は入れないはずだ。食感でやばい物だということがすぐに分かってしまう。
 血液もないだろう。湯煎している最中に水分が入り込んだら上手く固まらない。
 待てよ、凝固させていれば大丈夫かな?
 数日前から一滴ずつ容器の中に垂らしていき、固まったら次の一滴を、とかしていったらなんとかなりそうだ。
 ――考えるのはやめよう。怖くなってきた。
 心配無用だと考えることする。妹がそこまでイカれていないと信じよう。

「今年もくれるんだ。ありがと」
「当たり前でしょ。私の本命はお兄ちゃんだけなんだから。本命の人以外には絶対にあげないもん」
 妹よ。今の台詞の後半は俺に向けて言っていたな?
 こっちだってもらえるなんて思っていないぞ。
 妹にもらっても数のうちに入らないからありがたくもない。
 そう。ありがたくなんかない。繰り返して言うが、ありがたくなんかないんだ。

「――でもね、お兄ちゃん」
 妹が突然声を低くした。チョコレートは手に持ったままで、まだ弟に渡していない。
「なに?」
「お兄ちゃんは学校に行ったら誰かにもらうよね? そして、家に持ってくるよね?」
「うん。もしもらったら、だけど」
「もらうに決まってるじゃない。お兄ちゃんのことを好きな人、学校に一杯いるんでしょう?
 ファンクラブがいるんですってね? しかも何人も」
「それは兄さんの嘘だって言っただろ」
「下手な嘘はやめてよ、お兄ちゃん。お願いだから、本当のこと言って? ……ね?」
「だから、嘘なんかじゃないって」
「嘘吐かないでってば!」

747 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/28(木) 02:01:27 ID:2qzBLu79
 妹が玄関に拳を叩きつけた。朝の静けさとは異なる沈黙が玄関を支配した。
「どうして黙ってるの? どうして本当のこと言わないの?
 私、ファンクラブがあることぐらいじゃ怒らないよ。だって、お兄ちゃんがかっこいいのは事実だから、
 惹かれる女の子がいたっておかしくないもん。
 私が怒っているのは、お兄ちゃんのせい。お兄ちゃんが本当のことを言ってくれないから悪いの。
 もう一回聞くね。お兄ちゃんの、通っている高校には、お兄ちゃんのファンクラブが、あるの?」
 朝から妹が嫉妬心全開で怒っている。
 一体どうしたのだ。バレンタインデイで気持ちが浮かれているせいで、頭まで熱に浮かされたのか?
 この状態の妹に対して、弟はなんと答える?
 イエスと言ってもノーと言っても逃げられそうな感じがしない。

「どうなの? お兄ちゃん」
「……いるよ。詳しいことは知らないけど、そういう人たちがいるってことは知ってる」
「やっぱり、そうなんだ。……ふうん」
「ちゃんと答えたろ。そこ、どいてくれないか?」
「嫌よ。お兄ちゃんを狙っている女共がいるところに行くのを、みすみす見逃すと思う?」
 思わないな。きっと弟も俺と同じ認識を持っているはず。
 なるほど。弟を学校に行かせたくないから、朝から玄関の扉を死守している訳だ。
 ううむ。弟が学校をサボることについては構わないのだが、模範的な生徒としての行動を
心がけている俺としては早く学校に行きたいところだ。
 どうしてやろうか。このまま強行突破――してもいいんだけど後が怖いな。
 何か使えそうなものは無いかと玄関を見回す。
 置いてあるものは靴箱と傘とドライフラワーと、対女人用決戦兵器の弟のみ。使えそうなのは弟だけだ。
 障害物はブラコンを超えたブラコン、頭の中が弟のことで一杯の妹。
 仕方がない。最初から俺は何もしていなかったが、この場は弟に任せるとしよう。

 弟がうつむいた。妹にばれないよう、横目で俺にアイコンタクトを送ってきている。
 なになに――――ちょっとギリギリなことをやってもいいか、だと?
 瞬きを素早く繰り返す。――――何をする気だ、弟。
 弟が小さく首を振る。――――心配するようなことじゃないよ、か。
 ……ふむ。何をやらかすつもりか知らないが、俺がいる状況で暴力を振るったりはしないだろう。
 それにゆっくりしていたら学校に着いてからまったりぼんやりする時間が無くなってしまう。
 よし。異常な状況をつくった張本人は身内だが、緊急事態には変わりない。いいだろう。
 大きく一回頷く。承認の合図と受け取った弟が首を持ち上げ、妹と対面した。

「お兄さんと何の話をしていたの? 逃げる相談?」
「ううん、そうじゃないよ。妹がそこまでするんなら今日は学校を休んでいいか聞いただけ」
 あれ、アイコンタクトを読み違えてたか?
 弟は逃げる作戦を立てていたはずではなかったのか?
「……本当に? 今日は家に居てくれるの?」
「もちろん。高校ではたまにサボっても大目に見てくれるから平気さ」
 でまかせを言うんじゃない。無断で欠席なんかしたら放課後に居残らせて反省文なんか書かせるような高校だぞ。
 今の発言を信じた妹が来年サボりの常習犯になったらどうするつもりだ。留年だぞ、留年。
 弟、お前だって同じだ。俺が勉強を教えていなければ高校は受からなかったし、テストだってクリアできなかっただろう。
 弟と妹が同時期に卒業するなんてあっちゃいけないことだ。
 学校ぐらい平凡に卒業してくれ。非凡なのは家庭の事情だけで十分だ。

748 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/28(木) 02:02:26 ID:2qzBLu79
 妹の顔から少しだけ険しさが消えた。代わりに疑惑の色を浮かべている。
「証拠は? 今日一日中家に居てくれる証拠を見せて」
「何を見せたら信じてくれるんだ?」
「そうねえ。お兄ちゃんが制服から私服に着替えたら信じてあげてもいいよ」
「うーん……別なやつじゃダメかな」
「証拠になるんだったらなんでもいいよ。他にあるのなら、ね」
「じゃあ、代わりは――――僕の気持ちでもいいよね」 
「え?」
 なに? なんだそのうすら寒い台詞。
 弟が言うから様になっているが、俺の気持ちを見せてあげる、なんて俺が言ったらほとんどの人間は卒倒するか逃げ出すぞ。
「本当は今渡すつもりじゃなかったんだけど、せっかくだから渡すとするよ」
「え、え? 渡すって何?」
 弟が学生鞄の中に手を突っ込んだ。
 隠されていた手がその全容を見せたとき、長方形の物体も同時に姿を現した。
「うそ……それって。もしかしなくても、やっぱり……」
 妹の考えていることは当たっている。
 俺だって、ワインレッドの包装紙に包まれた箱の中身を九分九厘当てることができる。

 ――そう。
 それは、黒ずくめのカカオ菓子。
 それは、情念の凝縮した姿。
 我々(俺を含む一部の男)が求める、高貴なる存在。
 その名も――――――

「バレンタイン、チョコレート……」
「そう。タイミングを見計らって渡そうと思って持っていたんだ」
 なんて奴だ。座っているだけで山のような数のチョコレートをもらえるくせに、
一個でも数を増やすために身銭を切って用意しているなんて。
 そこまでして、見栄を張りたいのか――――って、それはないな。
「なんでお兄ちゃんがチョコレートなんか持っているの……? 今日はお兄ちゃん、もらう側でしょう?」
 そうだ。何でチョコなんか鞄の中に入れてやがる。
 まさか本当に妹に渡すつもりでいたのか? いや、そんなはずがない。
 いくら鈍感アンド天然な弟でも、妹のむき出しの好意に気づいているだろう。
 妹からチョコレートをもらえることは予測していたはずだ。
 でも、現に弟は目の前でチョコレートの入っているらしき箱を手にしている。
 ということは、やはり妹に渡すつもりで?
「男が渡すのってやっぱり変かな?」
「変っていえば変だけど、でもあげるのはその人の自由だから。
 ……でも、お兄ちゃんからもらうんなら、やっぱりホワイトデイの方が私は嬉しいな」
 妹はそう言いながらも嬉しそうである。弟からもらえるものならなんでもいいのだろう。

 弟の作戦は妹に餌を与えて油断させ、その隙に登校するものであったようだ。
 そうか。ならば早く渡すがいい。すでにいつも出発する時間より十分オーバーしてしまっている。
 バレンタインデイに遅刻なんかしたら高橋に誤解されかねん。
 「チョコレートの食べ過ぎで体が重いのかい、ハハハハハ」なんて言われたら何も考えず蹴ってしまう。
 そうならないためにも、ホレ、弟よ。妹に早くチョコレートを譲渡するんだ。

749 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/28(木) 02:03:55 ID:2qzBLu79
「お兄ちゃん、私……今すごく感動してる。だってそれ、本命なんでしょ? 
 ちゃんと味わって食べるから、その後でお兄ちゃんにも…………してあげるよ。
 ねえ、早く頂戴?」
「あれ。僕、妹に渡すなんて言ったっけ?」
「もう、今更照れなくても……」
「違うって。これは妹のやつじゃなくって」
 弟が言葉を切った。
 ああ、なんだろう。また嫌な予感が湧いてきた。
 なんとなく読めてきたぞ。弟が何をしようとしているのか。
 さっきのアイコンタクトの通り、これは色々ギリギリだわ。俺の安全の確保が。
 兄妹三人しかいないこの状況下で、妹以外にチョコレートを渡す相手は、一人しかいないもんな。

 弟が俺と向かい合い、胸元に箱を押しつけた。
 まだわからない。まだ弟の意図ははっきりしていない。
 もしかして、このチョコレートを同じクラスの葉月さんや高橋に渡してくれ、と言いたいのかもしれない。
 頼む。俺に向けた贈り物ではないと言ってくれ、弟!
「これは、兄さんの分だよ」
「なん…………です、って?」
「兄さん、受け取ってくれるよね?」
 あー。
 はっはっはっ。
 へーえ。やっぱり。
 そうだったんだねえ。

 ………………弟のド阿呆。


750 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/28(木) 02:08:33 ID:2qzBLu79
* * *

「やあ、おはよう。どうしたんだい今日は。遅かったじゃないか。
 もしかして、チョコレートの過剰摂取のせいで体が自分のものではないように重いのかい?」
 高校の教室に辿り着いて机に座った途端高橋から話しかけられた。
 返事する気力は残っていない。朝のホームルーム前のわずかな時間は体力回復に使わなければならない。
 ハンカチを机の上に広げて、その上に頬を軟着陸させる。
 机がひんやり冷たくて気持ちいい。このまま眠ってしまいたい気分だ。
「むう。返事することもできないほどに疲労しているのか。
 こんな気持ちのいい日の朝から一体何をやっていたんだね、君は」
「…………妹に追いかけられた」
「なんと! 世の妹好きの男から羨ましがられるような朝の過ごし方だね。素敵だ。
 妹の居ない僕としては一度でいいから君みたいに追いかけられたいものだよ」
 ああ。確かに羨ましく聞こえるだろうさ。追いかけられるだけだったら俺だってそれなりに楽しめたんだ。
 だけど俺の妹は違うんだ。傘を全力で振り回し、聞くに堪えない罵詈雑言を叫び散らしながら追撃してくるんだ。
 そもそも弟が悪い。妹にさんざん期待させたのは反動で我を忘れさせるほど怒らせるためだったのだろうが、やり過ぎだ。
 結果的には逃げられたが、俺と妹の間にはより深い溝が生まれてしまった。
 今日家に帰ったら今朝の続きが待っているだろう。
 帰りたくねえなあ、ちくしょう。
「それほど仲がいいからには、妹からチョコを貰えたのだろう? それとも、帰ってから渡されるのか?」
「…………おそらくは」
 渡されるのはチョコレートでなく、引導だと思うけど。

 高橋から振ってくる話をぼんやり聞きながら相づちを打っていると、チャイムが鳴った。
 途端に高橋は自分の席へと戻る。奴にとっては今この時から一日が始まると言っても過言ではない。
 その理由は単純である。高橋が恋する男子高校生だから。恋のお相手が担任だから。
 したがって、ホームルームが始まる前には絶対に席に着かなければならないのだ。
 ほどなくしてカーディガンとロングスカートという相変わらずの格好をした担任の篤子女史が教室にやってきて、
朝のホームルームが始まった。

751 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/28(木) 02:10:36 ID:2qzBLu79
* * *

 本日の一時間目となる体育では、ボールを足蹴にしていじめる競技、柔らかく言うとサッカーをすることになった。
 ちなみに屋内でやるサッカーの簡略版みたいな競技はフットサルと言う。
 五人ほどのチーム二組が小さなコート上で試合を行う。ボールもゴールも小さい。
 サッカーと言った場合は、人数もコートもボールもゴールも、全てがひと回り以上大きいものを指す。
 よって、サッカーの試合場はとても体育館の中には収まりきらない。
 当然、やる場所は寒風吹きすさぶ屋外ということになる。

 運動場の一角で準備運動をする俺の横では、高橋が腕組みをして立ち尽くしていた。
 視線はゴールを一直線に見据えている。早くもドリブルでの切り込み方をシミュレーションしているらしい。
 体前屈をしている最中に話しかけられた。
「鉄壁のディフェンダー君」
「なんだ? エースストライカー殿」
「いいか。寒い、と言ったら負けだぞ」
「冷える、と言ったら?」
「それも無しだ。ともかく、でっちあげの理由をつけて途中で動きを鈍らせるのはダメだぞ」
「わかってるって。一点も相手にやらねえよ。お前こそ本気でやるんだぞ」
「言われるまでもない。始まると同時に一気に攻めて敵の戦意を削いでやるさ」
 力強く言い残し、高橋はコートへ向けて歩き出した。
 ――うむ。お互いにできもしないことを誓い合う会話は不毛だ。
 高橋は中盤より前、いわゆるフォワードの位置に立つのを好むが足が遅いので点取り屋としては役不足。
 俺は敵が攻め込んできたら無様に立ちふさがり、ほとんどの場合突破されるダメな壁の役。
 お互いにその事実を理解し合っているのに格好付けた会話をしたのはなんでだろう。
 手足が冷えて寒いから、バカな会話をして少しでも熱くなりたかったのかもしれない。
 そんなことをしても暖かくなるわけがないんだけど。

 お隣のC組とのサッカー対決は、冬の寒さにも関わらず、意外に白熱した。
 動いていると体は自然と温まる。朝から全力疾走していたというのに、俺は飽きもせずグラウンドを走り回った。
 俺だけでなく、やる気のある人間は皆サッカーを楽しんでいた。
 いつもはいまいちキレのない高橋でさえナイスアシストをして、チームの得点に貢献した。
 試合自体は一点差で惜しくも敗れてしまったが、所詮は体育の授業。あまり悔しくない。
 少しだけ欝だった気分が晴れて気持ちいいぐらいだ。

752 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/28(木) 02:13:24 ID:2qzBLu79
 一時間目終了後、暖まった体が冷えないうちに校舎へ戻り制服に着替える。
 俺の所属するD組とC組は隣同士なので、体育の時間は合同で行う。
 よって、男女それぞれ別々の教室で着替えることができるのだ。男子はC組で、女子はD組で。
 D組に隠しカメラでも仕掛けておけば女子の生着替えを録画することができるが、実行する人間はいない。
 俺だって退屈な思考がたまたまそんな不埒なことを浮かべただけで、やろうとは思わない。
 というか、あまり見たくない。嫌いなD組男子の机にいたずらをしている光景とかが映っていたら女性不信になってしまう。
 仮に、もしもいたずらされているのが俺だったりしたら、登校拒否になってしまうかもしれない。
 人気者の葉月さんと仲良くしているため一部の女子に目を付けられているから、全くあり得ないとは言えないのだ。
 そんなこともあり、同級生の女子の着替えシーンには触れないことにしている。
 そもそも盗撮自体が犯罪だ。俺は犯罪者になりたくない。

 女子の着替えが終了してから、教室へと戻る。
 自分の席を見てみる。変わったところは見受けられない。良かった。
 安堵の吐息を小さくついてから席に着く。
 二時間目は国語。高橋にとって一日のうちで最も幸せになれる時間である。
 教科書とノートを出すために鞄に手を伸ばし――――あることに気づいた。
 家を出る際に弟のヤロウがとち狂って渡してきたチョコレートが、鞄の中に入ったままだった。
 菓子類の摂取に消極と積極の中間的な態度をとる俺にはチョコをゴミ箱へ放り込むことができなかったのだ。
 たとえ弟から渡されたものだとしても、だ。
 弟がどんなつもりでチョコを用意していたのかは、朝のゴタゴタのせいで聞けなかった。
 真実はわからないが、俺のために用意していた、という答えはあり得ない。あっちゃいけない。
 そういうことにしておこう。

 異物が混入しているとはいえ、教科書とノートを取り出さないわけにはいかない。
 膝の上に鞄を乗せ、クラスメイトに見られないようにして開ける。
 ペンケースと、教科書とノートが数冊と、バレンタインチョコが入っているらしきオレンジ色の箱が入っていた。
 さしあたって必要としている筆記用具と国語の教科書とノートを机の上に並べる。
 そして腕組みをして高橋のアイドルが到着するのを待って――――いられれば良かったのだが。
「…………箱が、変わってた?」
 今気づいた。箱の色が変化した事実を自然にスルーしていた。
 呆けていたわけではない。弟からもらった箱の存在を無いものとして捉えていたからつい見過ごしてしまっただけだ。
 だけど、もしかしたらチョコを求める本能が生み出した幻視だったかもしれない。
 もう一度鞄の中身を確認する。
「ふうむ……」
 やはり入っている。弟がよこしたワインレッドの箱の代わりにオレンジ色の箱が混入している。
 さて、俺はこの事実をどう受け止めるべきだろう。

753 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/28(木) 02:15:44 ID:2qzBLu79
 一つ目。殺気だった妹の攻撃を知らぬ間に鞄で受けていて、箱の色が変わった。
 ポケットの中に入っているビスケットを叩いたら増えていくのと同じ理屈である。
 しかしあの歌はそうであったらいいという願望を歌ったものだ。
 もしくは叩いたら割れてしまったというもの悲しい出来事を努めて明るく表現しただけだ。
 鞄の中に入っている箱は色だけでなく大きさも違う。
 弟のものと比べるとオレンジの方は二倍ほど大きい。潰れたのならもっと不格好になっているはずだ。
 よって、一つ目の思いつきは却下。

 二つ目。あらかじめ俺がオレンジ色の箱を入れていた。
 事実であった場合、弟に渡された箱はどこかに紛失したということになる。
 そろそろバレンタインチョコレートを頂戴した数を表わしたグラフに波を作りたい俺の気持ちが無意識のうちに体を動かし、
自腹でチョコを購入して鞄の中に入れたとは考えられないだろうか。
 もしそうだったとすれば、このオレンジの箱は俺が用意したものだとは言えない。
 純粋に貰ったものとしてカウントしてもいいだろう。俺が意識して用意したのではないのだから。
 だが、俺は認めたくない。チョコレートに飢えた男なんて格好悪い。
 俺はやっていない。俺はここ数日間チョコレートなんか買っていない。貰えなければそれで構わないんだ。
 よって、二つ目のひらめきも却下する。断じて却下する。

 三つ目。一時間目の授業中から着替え終わるまでの間に誰かが箱を入れていった。
 これが一番妥当な予測だ。十分に納得できる理由がある。
 それは、席の配置。俺の席は偶然にも男子の席に囲まれている。野郎の頭越しでしか黒板に書かれた文字を拝めない。
 男子の席が集中していると、誰も座っていない状態では机の主の判別がつかなくなる。
 あこがれの男子の席がどこか分からない女子はだいたいの見当をつける。
 席の一つや二つ分見当が外れてしまっても仕方がない。人間だもの。間違いくらいある。
 狙って俺の席に入れたということもあり得るが、これまでの実績からいって可能性は低い。

 男子の席を把握していないということを考慮に入れると、他のクラスの女子が贈ったということになる。
 おそらく、着替えに来ていたC組の女子だ。
 C組の誰かさんは誰にチョコレートを渡すつもりだったのだろう。
 前の席に座るクラス一背が高い椎名君か、後ろでひそひそと話す声まで大きい剣道部所属の木村君か。
 右翼を固めるバイク好き中野君や、左の席にて常習的に居眠りをする藤田君、ということも考えられる。
 しかし、困った。四人のうちで誰が女子に一番好かれているかなんてわからない。
 脳内の仮想スプリントではノッポの椎名君が一位だったが、二位の木村君とは僅差だった。
 四席のいずれかに座っているのが我がクラス一のイケメンである西田君だったらここまで困らないのに。

 何かヒントは無いかと思い、鞄の中で箱を手にとって観察する。
 手に取った手応えは、軽いか重いかで言わせれば重い方。板チョコ三枚分はあろう。
 表面は長方形、高さは三センチほど。B5ノートを真ん中で折りたたんだものがすっぽりと収まりそうだ。
 どの面を見ても差出人の名前や宛先などは書かれていない。メッセージカードも付属していない。
 はて、間違って届けられたチョコレートはどこに預ければいいんだろうか。
 交番、職員室、生徒会室、弟の机、高橋の靴箱、怒れる妹の手の中……いずれも然るべき対応を期待できない。

 ――保留しよう。手の施しようがない。
 間違いに気づいた送り主が取りに来るまで待つことにする。
 もし放課後になっても誰も尋ねてこなかったら……その時に考えよう。

754 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/28(木) 02:18:02 ID:2qzBLu79
* * *

 頭が痛い。悩んでいるから。
 肌寒い。座っている場所が屋上のベンチの上だから。

 結局、放課後になってもオレンジの箱について問い質してくる人間は誰一人いなかった。
 慌てながら捜し物をする生徒の姿は一度も目にしなかった。
 手にはオレンジ色の箱に包まれたバレンタインデイの贈り物。今日は一日中こいつに悩まされることになった。
 もう校内にいる生徒は部活に所属している人間だけ。今から誰かがこの箱を取りに来たりはしないだろう。
 どうしたものか。捨てるわけにはいかないし。一番簡単なのは俺が貰う、ってのだけど。
「……なんだか悪い気がするなあ」
 こういう贈り物って念がこもっているみたいに思えるから扱いにくい。バチが当たりそうだ。
 でも、明日になって持ち主を捜してもどうせ見つからないだろう。

 箱を鞄の中に入れる。判定はグレーだが、鞄に入れられていたのだから貰ったものとしてカウントしよう。
 腰を浮かせて立ち上がる。鞄を左脇に挟んで両手をポケットの中に突っ込み、屋上の出口へ向かう。
 ポケットから手を出し扉のドアノブに伸ばす――――と、すさまじい勢いで勝手に扉が開いた。
 この高校は前衛的な趣向を凝らした作りをしていない。自動ドアなど校内のどこにも存在しない。
 勝手に扉が開いたのは、俺以外の人間が扉を開け放ったからだ。
「ったく! どこに逃げたって一緒なんだから大人しく耳から血を…………って、あ、れれ?」
 姿を現したのは葉月さんであった。
 俺と顔を合わせた途端吊り上がっていた目が平常に戻った。
 俺の顔には鎮静剤的な効能でもあるのだろうか。妹に対しても有効だったら嬉しい。

「葉月さんは、屋上に何か用でも?」
「ううん。ちょっとドラね――じゃなくて、探している人がいて」
「そうなんだ。もう五時過ぎだけど、見つかった?」
「三回見たよ。一回目は屋上、二回目は一年の教室、三回目は靴箱の前。逃げ足だけは毎回素早いんだから」
「逃げ足? 探しているんじゃなくて、追いかけてるの?」
「あ」
 葉月さんが口に手を当ててひるんだ。まずった、という感じの顔をしている。
「ち……違うの! 私は別に怒っているわけじゃなくて、ただ聞きたかっただけなの!
 本気なのかどうかとか、朝は家から走って飛び出していったのにどうやって渡せたのか、とか!
 私、朝からずっと見張っていたんだからそんな隙はなかったはずなのに!」
「はあ」
 要領を得ない説明に対しては力の無い返事しかできない。
 主語を用いない会話をする時は相手の理解度をあらかじめ把握しておいて欲しい、なんて思った。
「それで、葉月さんは今からまた探すの? もうすぐ暗くなるよ」
「え? そういえば、そうだね。うん…………もう別にどうでもいいかな。
 探すのはやめる。ねえ、一緒に帰ってくれる?」
「もちろん」
 断るはずが無い。無駄なことに頭を使ったので癒しが欲しかったところだ。

755 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/28(木) 02:20:02 ID:2qzBLu79
 葉月さんと談笑しながらの帰り道は、葉月さんの豪邸に着いたことで終わることになった。
 ここまで来てもチョコレートのチョの字も会話に出なかった。
 ひょっとしたら葉月さんから貰えるかも、なんて期待ははずれてしまった。
 でも、二人で歩きながらの帰り道が楽しかったので悔いはない。
 物より思い出。食欲より心を満たそう。
「それじゃあ、葉月さん。また明日」
「うん。……そうだ。一つ聞いてもいいかな?」
「いいよ。何?」
「今日、バレンタインのチョコ、貰えた?」
「う………………………………………………ん、貰った」
 頷いて嘘を吐く。鞄の中にチョコレートが入っているからまるっきり嘘ではないけど。
 何者かが鞄の中に入れていたものを我が物にした、という事実は隠す。
「そうなんだ。悩むってことは、やっぱりアレを、ってこと…………だよね」
「え?」
「だよね!」
「いや、だよねって、何が」
「だ、よ、ね?!」
「…………はい。そうです……だよ、ね」
 よくわからないが押し切られてしまった。今日の葉月さんの勢いはやけに強い。
 それになんだか上機嫌だ。何かいいことでもあったに違いない。

「じゃ、また明日。そうだ、朝から尋ねていってもいいかな?」
「いいよ。葉月さんが来るまでずっと待ってるから」
「うん。絶対に行くからね。それじゃあ、バイバイ!」
 別れの挨拶の後、葉月さんは身を翻して門の向こう側へと歩いていき、門の手前に着いたところで鞄の中から鍵を取り出した。
 その時、くしゃくしゃになった物体が地面に落ちた。
「え……あ! しまった!」
 葉月さんが慌てている。落としてまずいものだったのだろうか。
 あれは何だ? 暗くていまいちわからないが、紫に近い色合をしているような。
 そういえば、弟に貰った箱の色はワインレッドだった。
 紫とワインレッド。どっちも濃色だから今ぐらいの時間だと判別がつかなくなる。
 じっと目を凝らしていると、葉月さんが両手を横に振る、いわゆる否定の動作をし始めた。
「ち、違うからね! これはその――教科書だから! 変に勘ぐらないでね!」
 そう言いつつ詳細不明の物体を回収し、家の中へと入っていった。

756 :名無しさん@ピンキー:2008/02/28(木) 02:23:37 ID:PmDa2ZlT
支援

757 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/28(木) 02:23:38 ID:2qzBLu79
 葉月さん宅からマイハウスまでの歩いて十分少々の道のりは体には甘く、心には険しかった。
 妹という鬼が待っていると思うと、足が自然に止まってしまう。何度友人宅に外泊しようと考えたことか。
 朝の出来事から十時間が経過しようとしている今でも妹の怒りが持続しているのかは、ようとして知れない。
 弟が妹の怒りを諫めてくれていれば、軽傷で済む可能性もある。
 朝のことは水に流してやる。帰っててくれ、弟よ。

 わずかな望みにすがり、玄関のドアノブを掴む。
 深呼吸をする。鼻から入った外気が脳まで冷やしてくれた。吐息は少しだけ白くなって掻き消えた。
 喉を鳴らして唾を飲み込み、覚悟を決める。
「……よし」
 行くぞ!

 勢いよくドアを開け放つ。そして叫ぶ。
「いるか弟! 今朝のことを悪いと思っているのなら今すぐここに来て――く、れ?」
 言葉が止まった。
 玄関を開けて最初に目にしたものは人間の頭頂部だったのだ。
 よく観察してみるとその髪は滑らかで艶があった。この髪は妹のそれだ、と見当をつける。
 妹はうつむきながら震えていた。前髪が垂れていて目の色を伺えない。
 玄関で待っていたということは、俺に暴行を加えるつもり満々だということ。
 ああ、もう終わりだな――――と、さっきの勢いを霧散させ、あっさり生きることを諦める。

 だが、いつまで経っても拳や足技や凶器の類が襲いかかってこない。
 刺激しないよう、優しく声をかける。
「ど、どうかしたのか?」
「……お兄さん。お兄ちゃんなら、帰ってきてないよ。帰ってこないんだよ。ずっと、ずっと……待ってるのに。
 まだ、チョコ、渡してないのに」
「どういう意味だ?」
「そのまんま。メール、見たら?」
 妹はゆっくりと後ろを向き、ふらつきながら自室へ入った。
 帰ってきてない? いや、帰ってこない?
 高校生なんだから帰りが遅くなることもあるだろうに。そこまで消沈しなくても。

 携帯電話を見ると、メールが一件届いていた。
 送り主は弟。思い出してみれば弟からメールが送られてくるのはこれで二回目だ。
 初回はアドレス登録するための空メールだった。
 ということは、用件を伝える目的のある今回のメールこそが初めてのものである、と言える。
 記念すべき弟からの初メール。ちっともドキドキワクワクすることなく開封する。

『兄さん、今までありがとう。
 僕は兄さんの弟に生まれて幸せだったよ。
 さようなら』

 弟からの初メールは、お別れを告げるものだった。
 これがいたずらではないことを、バレンタインデイが終わる時刻になってようやく理解できた。



 弟は、帰ってこなかった。



758 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms :2008/02/28(木) 02:27:36 ID:2qzBLu79
ここで一旦切ります。
続きを書き終わったら早めに投下します。

あと、
>>756、thanks.

759 :名無しさん@ピンキー:2008/02/28(木) 02:28:53 ID:d8BORF4L
>>758
GJ。続き待ってやす

760 :名無しさん@ピンキー:2008/02/28(木) 02:29:07 ID:PmDa2ZlT
リアルタイムGJ!!
続き、楽しみにしております

761 :名無しさん@ピンキー:2008/02/28(木) 02:30:08 ID:zMDQ1Eqr
>>758
リアルタイムGJ!

762 :名無しさん@ピンキー:2008/02/29(金) 01:12:56 ID:tms19p1S
次スレのテンプレはどうする?
二次創作について触れておいた方がよくないか?

763 :名無しさん@ピンキー:2008/02/29(金) 01:42:28 ID:uZFpKqF/
ついでに、ヤンデレの定義も変わってきたから

■ヤンデレとは?
好きな男のために狂気に走る(黒化、黒姫化)事、またそういったヒロインを指す。
  狭義のヤンデレ:愛(デレ)ゆえに病ん(ヤン)でしまった状態、ヒロイン。
  広義のヤンデレ:病ん(ヤン)だ愛情表現(デレ)、またそれを行うヒロイン全般。

↑に、変えた方がよくね?

764 :名無しさん@ピンキー:2008/02/29(金) 02:10:51 ID:BHkZO0da
女の子は少し病んでいる方が可愛い

765 :名無しさん@ピンキー:2008/02/29(金) 05:04:36 ID:1Dk0Mh6B
狭義?本来にすべきだろそこは

766 :名無しさん@ピンキー:2008/02/29(金) 09:35:21 ID:QLVbbkNH
原義と派生でどうか

767 :名無しさん@ピンキー:2008/02/29(金) 10:50:00 ID:KsAxdS5g
サイ娘とヤンデレを区別しろーってことで
サイ娘スレでも立ててくるか……

768 :名無しさん@ピンキー:2008/02/29(金) 11:12:25 ID:tDytp7sX
>>767
それはさすがに細分化し過ぎじゃね?

769 :名無しさん@ピンキー:2008/02/29(金) 11:16:33 ID:eVM2qKZ2
定義の話をし出すときりがないもんな

770 :名無しさん@ピンキー:2008/02/29(金) 11:22:11 ID:WbcF0JIQ
定期的に定義の話になるからなぁ

771 :テンプレ案:2008/02/29(金) 13:00:00 ID:kAnF2FVb
ここは、ヤンデレの小説を書いて投稿するためのスレッドです。

○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど)
○ぶつ切りでの作品投下もアリ。

■ヤンデレとは?
 ・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。
  →(別名:黒化、黒姫化など)
 ・転じて、病ん(ヤン)だ愛情表現(デレ)、またそれを行うヒロイン全般も含みます。

■関連サイト
ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫(本保管庫)
http://yandere.web.fc2.com/

ヤンデレ臨時保管庫 @ ウィキ(臨時保管庫)
http://www42.atwiki.jp/i_am_a_yandere/

■前スレ
ヤンデレの小説を書こう!Part13
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199940017/

■お約束
 ・sage進行でお願いします。
 ・荒らしはスルーしましょう。
  削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
  削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。

■投稿のお約束
 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
 ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。
 ・版権モノは専用スレでお願いします。
 ・男のヤンデレは基本的にNGです。

 
 毎度議論になる男のヤンデレについても追加してみた。
 これでしばらく待って問題なければ立ててくる。 

772 :名無しさん@ピンキー:2008/02/29(金) 14:06:17 ID:kAnF2FVb
一時間待ったけど問題ないかな?

では立ててきますよ

773 :名無しさん@ピンキー:2008/02/29(金) 14:11:22 ID:kAnF2FVb
立ててきました
ヤンデレの小説を書こう!Part14
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1204261770/

774 :名無しさん@ピンキー:2008/02/29(金) 15:05:53 ID:GDyXR8hj
いや平日の14時とか人がいない時間帯にそんなこと言われても…
しかもそんなに差し迫ってる訳でもないんだからもう少し落ち着けよ

775 :名無しさん@ピンキー:2008/02/29(金) 15:29:24 ID:tDytp7sX
とりあえずスレ立て乙
別にテンプレもあれで良かったんじゃね?

776 :名無しさん@ピンキー:2008/03/01(土) 19:58:07 ID:s1JwMypw
ヤンデレに後ろから『だ〜れだ』ってされたい
で、間違えたい

777 :名無しさん@ピンキー:2008/03/01(土) 21:20:59 ID:mMeCAGTm
自殺願望があるのか・・・・(´・ω・)カワイソス

778 :名無しさん@ピンキー:2008/03/01(土) 22:56:57 ID:dLP8n0o6
「だ〜レダっ」

後ろからふわっとシャンプーの香りがした。と思ったら視界が少し汗ばんだ手で覆われた。
真っ暗ではなく、細い指は陽に透けて赤みを帯びている。生命の赤だ。
首筋のあたりに柔らかい髪が触れ、吐息もかかる。
走ってきたのだろうか、後ろの少女の息は上がっていた。
声音を変えていて誰だか分からない。
だが、おそらく待ち合わせの相手だろう。

「ことみだろ?」

「うふふ」

風が背後から吹いてきた。
生臭い風だ。
片手が外れた。
半分の視界の後ろから、放物線を描いて、丸い、ものが。
丸い、モノが。飛んで、きて。

視界の真ん中に落ちた。

「やっぱりことみちゃんと間違エタ……」

視界の真ん中に落ちていることみと目があった。







続かない。反省はしている。

779 :名無しさん@ピンキー:2008/03/01(土) 23:06:26 ID:HiTnCk+i
続け!反省の必要なし!

780 :名無しさん@ピンキー:2008/03/02(日) 01:01:55 ID:uQ4T/+sU
>>778君にはヤンデレさんの包丁が贈呈されます!おめでとう!
そして埋めネタに期待してる俺ガイル

781 :名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 05:05:27 ID:1TtCDyZj


782 :名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 10:32:33 ID:45DmLX45
>>523
お疲れー
投下ペース安定してて良いですね。
頑張って下さい。

話は変わるけどゲームの質問って何処でやりゃ良いのだろう

783 :名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 15:25:24 ID:NOzoek8E
>>782
亀レスだなww

784 :名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 23:42:27 ID:nHh+8dh6
兎と亀の前ふりかも。

「ふん!あんたなんかノロマに私が負けるわけないのよ!」
「だりぃ…」
「も、もし勝ったら。わ、私を好きになさい!!」


「寝たふりして…早く、早く!!」
「めんどいなぁ…」

浦島さんが登場。
「亀さん、こっちは山だよ。連れてってあげるわ」
「わわわ…」

で目撃した兎がヤンデレに。


駄目だ…
途中まで新ジャンルスレ作品と被ってるしorz

785 :名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 00:31:40 ID:jgySssGy
ヤンデレに質問攻めされたい

786 :名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 03:03:35 ID:umHCfdct
海は死にますか山は死にますかって

787 :名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 03:13:43 ID:r3cJ61AX
>>786
空も死にますか?

ってネタが古いなまたwww

788 :名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 03:23:42 ID:RyCR7zxh
>>785ヤクザ一億人に尋問受ける方が数億倍気が楽ですな。
矛盾や嘘や黙秘一つで、問答無用あの世行きなんてあんまりですぜ。

789 :名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 03:55:39 ID:4YBRnRa7
ヤンデレの質問はきっと尋問っていうかソビエトの思想矯正かキリシタンの弾圧みたいなものなんだろうな

790 :名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 06:55:02 ID:pxKFeuIb
>>789
「ねえ、あたしのこと好き? 好きだよね? 好きなんでしょ?!
 だってあたしはこんなにあなたのことが好きなんだから! 寝ても覚めてもあなたのことを想ってる!
 だから、あなたはあたしのことを好きじゃなきゃいけない、好きにならなきゃいけない、好きになるべきだ!
 遠慮なんかしなくていいよ。あなたがあたしを好きになるのは当然のこと。必然なの。何も恥ずかしくない。
 そんな当たり前のことを笑う人間は頭がおかしいのよ。
 あなたを笑う人間やあたしたちの邪魔をする人間は皆、みーんな――――――居なくなってしまえばいい!」

791 :名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 08:08:22 ID:rfeziCV1
    , -.―――--.、
   ,イ,,i、リ,,リ,,ノノ,,;;;;;;;;ヽ
  .i;}'       "ミ;;;;:}
  |} ,,..、_、  , _,,,..、  |;;;:|
  |} ,_tュ,〈  ヒ''tュ_  i;;;;|     
  |  ー' | ` -     ト'{   
 .「|   イ_i _ >、     }〉}  
 `{| _.ノ;;/;;/,ゞ;ヽ、  .!-'     >>789
   |    ='"     |      他の女を見たりしたら、そいつをシベリア送りよ。
    i゙ 、_  ゙,,,  ,, ' {
  丿\  ̄ ̄  _,,-"ヽ
''"~ヽ  \、_;;,..-" _ ,i`ー-
   ヽ、oヽ/ \  /o/  |


792 :名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 08:50:33 ID:ECbFv44c
    , -.―――--.、
   ,イ,,i、リ,,リ,,ノノ,,;;;;;;;;ヽ
  .i;}'       "ミ;;;;:}
  |} ,,..、_、  , _,,,..、  |;;;:|
  |} ,_tュ,〈  ヒ''tュ_  i;;;;|
  |  ー' | ` -     ト'{
 .「| ///イ_i _ >、///  }〉}  ねぇ、同志答えて。
 `{| _.ノ;;/;;/,ゞ;ヽ、  .!-'    わたしのこと好きよね?
   |    ='"     |
    i゙ 、_  ゙,,,  ,, ' {     ・・・それともシベリア送りのほうが好きなの?
  丿\  ̄ ̄  _,,-"ヽ
''"~ヽ  \、_;;,..-" _ ,i`ー-
   ヽ、oヽ/ \  /o/  |


793 :名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 09:16:25 ID:A7eMHiHm
男ヤンデレだけは勘弁してくれw

794 :名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 13:01:53 ID:2OoFmGoe
スターリンやめれwwww

795 :名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 15:46:09 ID:iIfDI6aU
>>791-792
貴様らwwwww

796 :名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 18:13:45 ID:+MMsHS9Z
確かにある意味病んでるがちっともデレてねえw

797 :名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 19:34:29 ID:WJpbeD99
>>791-792
こいつら馬鹿だww良い意味でww

798 :792 1/2:2008/03/04(火) 19:55:12 ID:ECbFv44c
俺には学生時代、付き纏ってくる女が居た。
もちろん恋人ではないし、手も出していない。
彼女はきっと最近巷で聞く"やんでれ"だったのだろう。
しかしそんな俺も就職を機に、この地から離れ彼女から逃げられるはずだった。

なのに・・・

「あはははは、今日もお仕事ご苦労様。暖かいボルシチできてるわよ♪」
「なんで・・・」
「ん、どうしたの?お仕事辛かった?内容変えるよう掛け合おうか?」
「なんで槌星さんがここに居るんだ!」

俺の目の前に居る女は槌星 鎌赤(つちぼし れんか)。
学生時代ありとあらゆるストーキング行為やリスカなどのメンヘラ行為を行い、
周りにあることないことを撒き散らし俺の社会的地位を下げまくってくれた女だ。
そして俺が就職してしまった、株式会社ヨシフの会長令嬢である。

「今日こそ辞めてやる!辞表も書いたんだ、もう俺はお前の居ない生活がしたいんだ!」
「ふぅん、でもここで辞めたら、ううん、このシベリアで社宅から出たらどうなるのかな?」
「ぐっ・・・そ、それを言われると・・・」

そう、"海外赴任"というこの女から逃れるために飛びついた俺の職場、
それは文字通りのリアルシベリア送りだった。
ストーカーから離れられたと喜んでこの地に来たが、社宅(ログハウス)の入り口を開けた瞬間
エプロンを着て黒パンを焼いているこの女を見て俺はハメられたことを悟った。

799 :792 2/2:2008/03/04(火) 19:55:55 ID:ECbFv44c
それからというもの、毎日の仕事は地面にシャベルで穴を掘って埋めることだ。
抗議して仕事を変更してもらったこともあったが、それは白樺の木を数えることだった。

一度逃げ出そうと計画を立てたが、外は-50℃の極寒の地であり一番近い"集落"
("村"にあらず)までスノーモービルで片道4時間なので断念した。
スノーモービルを奪おうともしたが、鍵はこの女が持っている上に保管場所を聞いたら
顔を赤らめて「なくさないように女の子の中に入れてあります」と抜かしやがった。

「ほらほら、特製のボルシチとピロシキをいっぱい食べて満腹になれば
 このシベリアも良い土地と思えてくるわよ」
「ムグムグ、いやそれはない」
「もう・・・こうして外に出られず部屋の中で2人っきりという楽園なのに」
「ごくごく、ごちそうさま」
「うふふふふ、さぁ、食べたら今日も一緒に寝ましょうね・・・ぽっ」

この社宅には暖房設備が足りない。おそらく確信犯だろう。
ストーブの類はあるにはあるが設計上寝室が十分に暖まらないのだ。
それではどうやって暖まって寝るかというと・・・

「はぁ、はぁ、凄い、あなたの、匂いがする・・・はぁ、はぁ・・・」
「抱きつくな。そして服を脱ごうとするな。秘所を弄るな」
「はぁ、でもほら、はぁ、ふたりで肌を寄せ合って寝ないと、次の日に
 はぁ、はぁ、凍死しちゃうかもしれないし」

興奮して息を上げながら、濁りきってぐるぐる渦巻きの瞳を向けるこの女。
つまりは「一緒に寝ないと、夜中に布団を剥ぎ取って凍死させちゃうよ☆」と
言外に言っていやがる。

「えへへへへへへへ、押し倒したくなったらいつでも襲い掛かってきてね♪」

シベリア出兵したひいひいじいさんは5年。
シベリア抑留したじいさんは10年掛かったそうだ。
・・・俺は15年もこの生活をしなければならないのだろうか。

800 :792:2008/03/04(火) 19:58:42 ID:ECbFv44c
毛主義者(マオイスト)やゲバラ信者はやっぱりダメだと思うの。
トロツキストなんて判明した日には、たとえメキシコにだって暗殺者を送り込んじゃうんだから。


・ボルシチ、黒パン
 ロシア人のソウルフード。なおソウルドリンクはウォッカ
・槌 鎌 赤 星
 槌(ハンマー)は工業労働者、鎌は農業労働者、赤は血の色革命の色、
 星は労働者の5本の指と五大陸をあらわす、共産主義のシンボル
・ヨシフ
 鉄の男、偉大なる同志スターリンのファーストネーム
・穴を掘って埋める、白樺の木を数える
 行為自体に生産的意味はなく、思想を矯正するためのシベリア流拷問術
・シベリア出兵、シベリア抑留
 ググろう

801 :名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 21:16:39 ID:CwWeJSIO
マオイストゲバラ信者トロツキスト全てウィキってみましたが、理系の俺にはそれぞれどう違うのかさっぱりです
でも萌えた。こんな共産主義なら悪くない。GJ!

802 :名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 21:28:25 ID:s7MNp3Wt
>>800
何でかはわからんけど笑って萌えたwww

803 :名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 21:50:54 ID:jgySssGy
「アメリカの汚さを教えてあげる」と迫ってくる学生会の連中がこんなんだったらなぁ…。

804 :名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 04:25:07 ID:lWe9Lf8P
「アメリカの汚さを教えてあげる」

昼下がりの大学、うとうととしながら講義を受けていた俺は隣に座っていた女からそんなことを言われた。

「は?」

隣に人が座っていたことは知っていたが、まさか自分が話しかけられるとは思ってもいなかった。
面識もないし、会話すら交わしたことがないはず。完全に赤の他人のはずなのだが。
無意識的に聞き返す。いや、聞き返すという意図すらなかった。思わず口からこぼれていた。
眠気は吹っ飛んだが、電波な発言をすぐに理解できるほど俺の脳内処理速度は速くない。

「私、学生会の者よ。よろしく」

「……はぁ、それはどーもご丁寧に……」

俺の警戒の眼差しに気づいたのだろうか、にっこり笑う女。
警戒をさせたくないんだったら一言目にあんなことを言わなければよかったんじゃないかと思うんだがな。
そんな笑顔なんかで俺の警戒心が解きほぐされるわけもなく、むしろ警戒心は強くなっていた。
一応面倒なことにならないように表面上は適当に取り繕っている。

「それでその学生会の方が俺に何の用で?」

「ええ、貴方に注意をしておきたくて」

「注意?……ああ、なるほど。アメリカさんね」

話しかけられたときの言葉が記憶によみがえる。
正直そんな面倒な話に関わりたくないのだが、まだ講義中だ。エスケープするわけにもいかない。
単位が危ないという個人的事情も関係してくるのだがね。
幸い、俺たちは後ろの方に座っているので声が教授に聞こえることはないだろう。

「ええ、貴方はアメリカについてどういう風に思っているかしら?」

「……悪いけどね、俺そういう話興味ないんだ。アメリカに大して特に感慨も思想も主義主張もないよ。
そういうのはお仲間とやってくれ」

「そう、それは良かったわ。私もそんな話をしに来たわけではないしね」

「え?」

どういうことだ。この女は俺を学生会に勧誘しにきたわけではないのだろうか。
アメリカの話から学生会に入らないか?、コースだと思っていたのだが。
そういう話じゃないんだったら、さっきの言い方はちょっときつかったかな。

「ああ、さっきの言葉?あれは学生会の合言葉、挨拶みたいなものだから気にしないで」

おいおい、随分変な挨拶もあったもんだ。普通出会い頭にあんなこと言われたら引くぞ。
…なんてことを言うわけにもいかないので、一応納得した風な顔はしておこう。

「本題はこっち。貴方アメリカ人のことはどう考えているかしら?」

「結局アメリカじゃねーか!」

「あら、失礼ね。歴史や戦争について聞いているわけではないわ。アメリカ人についての印象を聞いているだけよ。
貴方にとってはそれすらいけないことなのかしら?」

以下ヤンデレ展開

俺はもう力尽きたぜ…
>>803の馬鹿!学生会の連中にホイホイ着いていったら、きっとこんな展開に……ねーな

805 :名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 10:36:37 ID:7v80/xye
>完全に赤の他人のはずなのだが

どう見ても"アカ"の他人です本当にありがとうございました。

806 :名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 11:31:12 ID:lrxU7mo9
女とヤってお金が貰える♪
まさに男の夢の仕事!
出張ホストっておいしくない?
ttp://outsideseek.com/2ch/01_info.html

807 :名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 12:39:13 ID:lNZLS1LY
>>806
そしてホストにはまった女がヤンデレ化

808 :名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 15:41:18 ID:lWe9Lf8P
>>805
あれ、そうなのか
てっきりこうだと思っていたんだが
辞書にもそう載ってたし

809 :名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 16:12:56 ID:7v80/xye
>>808
えっと、ごめん。
全く知らない人って言う意味では"赤"の他人であってる。

ただ、"アカ"ってのは共産主義者への蔑称なんだ。
それで"赤"と"アカ"が掛けられているのかと思ってww

810 :名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 18:29:07 ID:jHT57ydR
何かの映画で、母親に言われるまま、連行されていく人々をアカと罵る子供がいたなぁ

811 :名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 19:02:50 ID:b6pMR1qV
「ヤンデレの女の子に愛されて眠れないCD」を聞いたせいで耐性がつき、
ついつい「告白CD」というものに手を出してしまった。

告白してくる女の子全員がヤンデレに思えた俺はどこかが壊れ始めている。

812 :名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 19:20:27 ID:heNbA8V5
奥様は惨殺少女のさゆりってヤンデレかどうかジャッジに困る
主人公を誰よりも好いているという条件は満たしてるが
見方を変えればただ嫉妬深い純粋な子でメンヘラ成分が足りん希ガス

813 :名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 19:59:30 ID:ZqSWn/p7
大学生活の華と言えば、一般的には恋愛なのだろう。
しかし、俺はこんな愛は欲しくない。

「あんた、それ以上彼に近づいたらルビヤンカ(自宅らしい)に送るわよ。」

このとち狂った発言をしているのが俺のストーカー兼彼女(無理矢理誓わされた)である、
大学の学生会を仕切っていると言われている風鎮羅巣(ふうちん らす)だ。
俺は単に「ラス子」と呼んでいるが、彼女は特技の柔道とサンボと射撃を生かした暗殺技術で、
学生会で恐れられているらしい。
俺に付きまとう前からひとたび内ゲバが起きれば彼女に敵対する連中は
次々と不審死を遂げるか行方不明になったそうだ。
そのためか、今では誰も彼女に逆らわない。
将来の夢は愚民共をインテリである自分が支配し、
邪魔する奴を片っ端から粛清しながら俺と二人の世界を築くことらしい。

「…………別に彼を欲しいわけじゃない。
 …………ただあなたのようなアカは私の神の敵。
 …………神の名においてこれ以上増やすわけにはいかない。
 …………そういうわけで彼は私が貰う。」

こっちはもうひとりのストーカーの辺根出九戸(べね でくと)。
俺は単に「法王」と呼んでいる。
熱心なカトリック系キリスト教徒らしいが、目の下のクマが非常に怖い。
はっきり言って、クリスチャンと言うより、悪魔を思わせる迫力である。
彼女は怪しげな魔術のようなものを使い、ビームを出したり洗脳したりするそうだ。
キュベレイみたいな形に変形も出来るらしい。

今日も大学行ったとき、俺の目の前でふたりは激しく殺しあった。
ポロ二ウムとか周囲に撒き散らされていたが、あの大学今後もちゃんと使えるのだろうか。

何はともあれ、二人が争っている隙をついて何とか家の前まで帰って来れた。
――――はあ、今日も疲れた。
どうせしばらくしたらあいつらがやってくるのだからせめて一寝入りしておこう。
そう思い家のドアを開け自室に入る。
すると、窓から視線を感じた。
この所、ずっと感じていたあの二人とは確かに違う気配。
普通の奴には感じ取ることも出来ないごく僅かなものだが、
あの二人にストーキングされ続け、鍛え抜かれた俺には通用しない。
素早く気配の出所である、俺の部屋が見渡せる近くのアパートに侵入すると、中には女が居た。
ラス子から泥棒猫から身を守るためにと渡されたリシン銃仕込みの傘を女の体に押し当てた。

「あんた、俺に一体何のようだ?」




「か、勘違いしないでよねっ!別にアンタのことを好きなわけじゃないんだからね!
 風鎮羅巣と関係が深いからアンタを監視しているだけなんだから!」

公安の人間だそうだ。
……………………また、やっかいなことになりそうだ。


814 :名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 20:02:48 ID:ZqSWn/p7
>>789をネタにするならこんな感じか。
今書いている最中のSS放置しているのに、こんなのに1時間半もかかってしまった。

815 :名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 20:34:41 ID:0GAO8rDW
>>814 ワッフルワッフルと言っておこう

816 :名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 22:52:11 ID:nhevnZ6q
>>812
レストランで赤い選択肢を選ぶんだ・・・

>>813
ワッフルワッフル
期待して待ってるぜ

817 :名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 23:11:04 ID:heNbA8V5
>>816
あの■■にはいったい何が・・・?
赤文字で唯一分岐するみゆきの家に行くは背筋が凍るぜ・・・

818 :名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 12:37:41 ID:fpPl5CpC
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         |: |(|: :.| トュリ     トュリ |:.:|)|    U  M  E  
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          Nl!: :.|从:≧ァ ≦‐j:从:!:.j  
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       乂_:/三三V:::::::I ̄ ̄ ̄l:::::::::::::ハ
        イ/  /7::::::::::::Iニニニl:::::::::/::::',
         /   ィ7_/::::::::::::_ム/::::::|::::::::::::::::::ヽ-、
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819 :名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 12:43:04 ID:fpPl5CpC
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    ',  !. l     '., ',::''::.ヽニ.ノ, .:    ::... ミニ'r  l.   !  ll::::ト:ヾー'  
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